わたしは価値を創る

大阪在住の経営コンサルタントのブログです。

マクドナルドは、5000億円の限界売上高を超えるのか?

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日本マクドナルドの業績が絶好調だということです。

2014年に異物混入騒ぎを起こして信頼失墜し、2015年には約350億円の最終赤字を計上した同社ですが、その後順調に回復し、2017年期には約240億円の黒字になりました。

そして2018年期の中間決算でも大幅な増収増益が見込まれています。

店舗の再編により業績回復


マクドナルドといえば、商品のネーミングを募集したり、「マクドかマックか?」なんて東西対決をあおったり、あまりお金をかけないキャンペーンを打って、うまく集客してきた感があります。

が、あくまで本線となったのは、不採算店舗の閉鎖やリニューアルなどによる店舗収益の向上だとみています。

2015年期には2956店だったが、2017年期には2898店に縮小。それなのに、売上高は1895億円から2536億円に向上しています。

いかに生産性を向上させたかというものです。

原田泳幸前CEO時代にもたどった道


思えば原田泳幸前CEOの時代にも、就任してからしばらくは、店舗のリニューアルなどで収益性を向上させて、V字回復を演出させた時期がありました。

その勢いをかって、店舗数拡大にまい進しましたが、全店売上高5500億円あたりをピークに急速に収益力を衰えさせてしまいました。

原田泳幸前CEOは、6000億円を目標としていたようですが、どうもそのために結果を急ぎ過ぎてしまったのかも知れません。

あとをうけたカサノバCEOは、まずは肥大した店舗数のスリム化を図っていましたから、異物混入事件がなくても、一時的な業績の悪化とその後の校回復を見込んでいたはずです。その意味では、計画通りの結果になったということでしょう。

(フランチャイズ店を含めた2016年期の全店売上高は4580億円)

限界値を超えるための戦略はあるのか


日本マクドナルドは、2020年に全店売上高5000億円という目標を掲げていますが、果たして今度は収益性を伴ったまま売上拡大を果たすことができるのでしょうか。

市場の流れにあわせて店舗の再編をしていくことはこれからも必要でしょうが、それだけでは5000億円という限界値を超えることは難しいと思います。

思うにマクドナルドに対する日本人の意識を変えるような大きな戦略が必要です。

朝、昼、夜、と時間帯別に集客力向上を図る意図は素晴らしいと思いますが、それでどれだけのかさ上げが図れるというのでしょうか。

今後、マクドナルドがどのような手を打ってくるのか、注目しております。







最終局面に入った大塚家具

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大塚家具がいよいよ危険水域に入ってきたようです。

最近は、身売り話も出てきていて、TKP、ヨドバシカメラ、台湾の企業グループなどの名前が出てきています。

が、実際の交渉はなかなか進まないようですね。

ヨドバシカメラは早々と支援しないことを発表しましたし、貸し会議室運営のTKPにしてもどのような思惑で支援しようというのか理解できません。

台湾の企業は、海外の販路開拓を考えているのですかね。ここは未知数です。

超優良企業だったのがわずか3年で危険水域に


大塚家具といえば、3年ほど前に、ワイドショーをにぎわせるほど話題になりました。何しろ創業者の父親とその娘が経営権を争うというわかりやすいお家騒動を起こしたからです。

大塚家具の父と娘はどちらが正しいのか?

 ↑ は、その頃のメルマガ記事です。

それから3年、あっという間に、大塚家具は身売りを取りざたされるほどの状況に陥りました。

2014年期には、115億円の現預金と71億円の投資有価証券があったようですが、2017年期には、18億円の現預金と27億円の投資有価証券に減っています。

それもそのはず、ここ2年の営業キャッシュフローは105億円のマイナスです。

壮大に現金を放出してしまっています。

無借金経営の超優良企業が、わずか数年でこうなってしまうとは戦慄を禁じ得ません。

生き残るための事業再構築を怠った


この事態を招いた大塚久美子社長は責任を免れないでしょう。

が、前社長がやっていたとしても、遅かれ早かれ、この状態に陥ったことは想像に難くありません。

なぜなら上の記事にあるように、大塚家具のビジネスモデルが時代遅れであり、このままでは立ちいかなくなることは自明だったからです。

(3年前のメルマガ記事の繰り返しになりますが、一軒家に一生ものの家具を揃えるライフスタイルが廃れたので、高級家具をまとめてちょっと安く売るという大塚家具の売り方は時代に合わなくなったわけです)

3年前のメルマガ記事では、前社長のやり方ではダメになるでだろうし、かといって新社長の再建策もイマイチだなあと書きました。

本当に再建するためには、かなり大掛かりなリストラ(人員削減を含む)が必要でしょうし、そこで得た資金をもって新事業を立ち上げなければなりませんでした。

小さなブランドショップを複数立ち上げて、群経営に持ち込む

海外の販路を探る

あるいは全く違うビジネスに進出する

など考えられたはずですが、現社長がやったことといえば、中古家具の販売ぐらいですかね。あとは販売キャンペーンを繰り返していました。今の大塚家具の規模を維持しながら再建するという無理筋を通そうとした結果だと考えます。

結果的に生き残るハードルが低くなった「匠大塚」


一方の前社長(創業者の大塚勝久氏)は、大塚家具を追われる形となりましたが、匠大塚という高級家具の販売店を運営するに至りました。

それがいま成功しているかどうかは知りませんが、とりあえずは存亡の危機にあるという話は聞きません。しかし、結果として規模が小さくなっている分、生き残るためのハードルは低くなっているので、大塚家具と比較するわけにはいきません。

だからそれをもって、大塚勝久創業社長に任せていればうまくいったはずだという意見はフェアではないと思います。

最後の策をとるべき時がきているのでは?


この後、大塚家具が、現在の危機を乗り越えるかどうかはわかりません。

今の規模のまま、事業の在り方を少し変えるだけで、生き残れるとは到底考えられません。ましてや販売キャンペーンをいくら繰り返しても好転するはずがありません。

生き残るためには、相当の事業再構築が必要になります。

しかし、今の経営陣にそれができるなら、とっくにやっていたことでしょうね。

経営者が変わって、何とかなるのかと言われても、それも難しいでしょう。支援しようと名乗り出る企業が現れない現状をみても、その難しさがわかるというものです。

今となっては、一刻も早く会社を清算して傷口を広げないことが最善策じゃないでしょうか。

大塚家具はもう清算するしかないのか





縮小する白熱電球市場で生き残る小さな工場の事例

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衰退市場で残存者利益を得る会社の事例です。

こちらは、新潟で白熱電球を生産する工場です。

エジソンが商用化した白熱電球


白熱電球とは、エジソンが本格商用化した電球のことです。発明から140年あまり照明として使用されてきたのですが、近年はLED照明にとって代られています。

白熱電球はLEDに比べて、寿命が短い、電気代が高い、という欠点があります。また照明のエネルギー効率が悪いので、地球環境にも問題があるといわれます。

特に東日本大震災以降は、電力供給に問題があることが続いたのでLED導入が進みました。

そんな事情から、白熱電球の需要は急激に下がり、大手企業を中心に生産中止することが多くなってきました。

少ないが残る白熱電球の需要


ただし白熱電球がすべてなくなったわけではありません。

LEDが不得手とする領域があります。

LEDの放つ周波数が白熱電球とは違うので、影響を受ける機器があるかも知れません。そのような現場では、白熱電球を使わざるを得ません。

電球が放つ温度を利用する場所(ビニールハウスなど)では、白熱電球が使用されます。

あるいはシャンデリアや工芸品のような照明では、昔ながらの白熱電球を使うことが多いでしょう。飲食店などでは、白熱電球の持つ柔らかな光は、LEDには出せないという声が上がったりするそうです。

もっともいずれにしろ需要はかなり小さいと言わざるを得ませんが。

残存者利益とは


需要が小さくなってくると、供給側が過多になるので、競争が激化します。値段を下げざるを得ず、利益が出ません。

しかし、大手企業が撤退していくと、今度は需要と供給がバランスされてきますので、規模は小さいながらも生きていける状態になります。

いやむしろ、供給側が少ないので、一社に注文が集中したりするようになります。

これが残存者利益です。

レコード針とか、真空管とか、レアな製品を作っている工場は、実は維持できていたりするはずです。

白熱電球の需要はまだまだ縮小する


もっとも、白熱電球に関しては、まだ縮小過程にあるところです。

いまだLEDに切り替わっていない部分も多く、さらに需要の縮小は進むはずです。

最後の特殊需要のみの小さな市場にまでなってしまったら供給の淘汰も落ち着くのでしょうが、いまはまだその時ではありません。

その際に、記事の工場が維持できているかどうかは、分からないところです。






小さな製造業でもIoTに取り組めるという理想的な事例です

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老舗製造業が、IoTを実現したといういい事例です。ぜひ読んでください。


IoT(モノのインターネット)


ちなみに、IoTとは、Internet of Things(モノのインターネット)のことです。

インターネットは、パソコンやスマホでみるものだけではなく、車やカメラ、家電製品などでも裏側でつながり活用されつつあります。

家電製品などがネットとつながっていると、遠隔操作できるようになり、内部の自動更新や、故障個所の自動修理などができるようになるかも知れません。

逆に、製品側からネット経由でデータを送ることもできるので、膨大な使用状況のデータを集めることができ、次の製品やサービス、周辺ビジネスの開発に役立てることができます。

なにしろ便利ですから、これからあらゆる製品は、インターネットでつながっていくと考えらえます。

いま世界中の企業が、どのようにIoTを活用し、製品をデザインしていくかに知恵を絞っています。

老舗の黒板メーカーはいかにしてIoTに取り組んだのか


記事では、老舗の黒板メーカーが、IoTに挑戦する様が書かれています。

少子化の日本では、学校で使う黒板製造は衰退事業です。実際、多くのメーカーが廃業しています。

危機感を抱いた記事の会社(サカワ)は、新たな使い方を模索します。

思いついたのが、プロジェクションマッピングのように黒板に画像や動画を投影することです。

この方式なら既存の黒板を活用することができるので、学校側の負担も軽くて済みます。

しかもなるべく専用の機械に頼らず、スマホアプリやパソコンから操作できるようにすれば、便利です。

そう考えたサカワは、専門のIT企業に連絡をとり、共同開発する形で、製品開発に至りました。

小さな企業がIoTに取り組む上で、理想的な事例


この事例、IoTに取り組むには、理想の形だと思います。

まず製品とネットをどのようにつなげるのか?という部分は、IT企業側には思いつきにくいものです。

そこは、普段製品を扱っていて、ユーザーの声を聞いているメーカー側が考えるべきでしょう。

サカワでも、社内でアイデア出しをしています。おそらく実現不可能な突拍子もない意見も出るのでしょうが、それも含めてアイデアです。

その突拍子もないアイデアが、IT企業とのコラボによって、実現していくという流れです。


2018年度の中小企業白書でも、企業間の連携や共同研究が、企業業績につながることが繰り返し述べられています。

およそITとは無縁のように思えた老舗製造業が、IT企業と連携して、IoTに取り組むこの事例がまさに白書の言わんとすることを補完しています。

これはあらゆる業界の製造業にとっても、あるいは地域のIT系開発企業にとっても、今後の方向性を占うのに、いい事例ではないでしょうか。





半周遅れのヤフーによる起死回生の逆転戦略

ヤフー
 (2018年8月9日メルマガより)

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日本のポータルサイトの草分けヤフー(YAHOO!)が苦しんでいます。


記事によると、2018年4月〜6月期の決算は、売上収益2318億円(8%増)、純利益326億円(9%減)

増収減益というのは、ここ2年のヤフーの決算の特徴です。

利益が減るのは、将来にむけて投資をしているからで、仕方ありません。

むしろ問題は、営業収益(売上高)の伸びが他のネット関連企業に比べて、見劣りすることです。

ネット通販企業としては、アマゾン、楽天に大きく水を開けられていますし、ポータルサイトとしても、フェイスブックやLINEなどのSNS勢の後塵を拝しています。かつてキラーコンテンツだったヤフーオークションも、メルカリに追いやられてしまっています。

「インターネットといえばヤフー」だった昭和の世代からすると寂しい限りですよ。

いったいどうなってしまったというのでしょうか。


日本のネット黎明期を支えた功績


日本におけるヤフーは、米国ヤフーとソフトバンクが合弁会社を作って始めたポータルサイトの草分けです。

インターネット黎明期だった1996年、分かりやすく情報を並べて提示してくれるヤフーのサイトは、ネットに慣れない我々にとって、じつに重宝されるものでした。

パソコン時代、ヤフーのサイトは、人々は、何があろうとまずは開ける。というサイトの地位を獲得しました。

そのヤフージャパンを率いたのが、初代社長の井上雅博氏です。

黎明期にポータルサイトの価値を見抜き、いち早く事業化したのは、ソフトバンク社長である孫正義氏の先見性によるものです。

が、米国ヤフーが身売りする今日に至っても、日本最大級のポータルサイトとして育て維持するに至ったのは、井上雅博氏の功績であることは間違いないでしょう。

井上社長は、玉石混交のネット情報を慎重に選別し、いわゆるフェイクニュースをヤフーに載せないようにとことんこだわったといいます。

その姿勢が、毀誉褒貶の激しいネットの世界において、ヤフーを信頼できる第一級のニュースサイトとして人々に認知されることにつながりました。

ヤフーはその抜群の集客力を生かして、ネット通販やオークションなどを展開するに至るのですが、その過程においても、井上社長は堅実な姿勢を貫き、その時々の流行りに飛びつくことはありませんでした。

だからこそITバブル崩壊においても、ヤフーの屋台骨は揺らがず、安定した成長を続けてきたのです。

井上氏は、社長を退任した後、昨年、自動車事故で亡くなりました。

ご冥福をお祈りします。



スマホ対応に遅れて、半周遅れに


しかし、井上社長の堅実、慎重な姿勢が裏目に出たのが、SNSやスマホへの対応でした。

人と人がやりとりするソーシャルネットワークの価値にいまいちピンと来なかった井上氏は、フェイスブックから依頼された合弁会社設立の話にも乗り気ではなかったようです。

遅々として進まない合弁交渉に業を煮やしたフェイスブック側は、ヤフーの交渉担当者を引き抜いて事業を任せました。その後、フェイスブックが日本において急成長したのは周知の通りです。

さらに致命的だったのは、スマホ対応に遅れたことです。

フェイスブックやグーグルは、スマホ対応することで、成長を加速させていきました。

LINEの成長も、スマホの普及なくしては語れません。

結果として、ヤフーは、人々が最初に見る画面の地位を、フェイスブックやLINEやグーグルに明け渡してしまいました。

ECの分野に関しても、ヤフーのキラーコンテンツだったヤフーオークションのスマホ対応に遅れてしまい、フリマアプリのメルカリの台頭を許してしまいました。

スマホがこれほど普及することが予測できなかったわけではありません。ヤフー内にも、スマホ対応を急がなければいけないという危機感はあったようです。

しかし井上社長をはじめとする当時の経営陣は、聞く耳を持たなかったとか。

いま、Eコマースにおいても、ポータルサイトとしても、ヤフーが半周遅れと言いたくなる中途半端な位置に止まっているのは、やはり井上社長の責にあると言ってもいいでしょう。



川辺新社長が掲げる戦略


その後、ヤフーは2代目宮坂社長のもとで再出発しました。これまでの停滞を取り戻すべく矢継ぎ早に打たれる施策は「爆速」経営といわれました。(いや、自分で言ったのか)

業績の伸びは爆速とはいきませんでしたが、遅れていたスマホ対応に取り組み、ヤフーショッピングの出店料を無料化して参加者を増やし、アスクルを子会社にするなどEC強化のためのテコ入れを行いました。

いまの川辺社長は、3代目です。

川辺社長は、どのような方向性を持っているのでしょうか。



記事によると、ヤフーの戦略は

(1)グループ内のサービスを統合する

(2)スマホ決済を実店舗展開する

(3)顧客企業とデータ連携する

(4)ECで日本一になる

の4つです。

「グループ内のサービスを統合する」なんて言ってますが、要するに、ポータルサイトとして、様々なサービスを追加してきたが、その連携がうまくとれていないということなんでしょうね。

まだその辺りか!?と呆れないこともないですが、仕方ありません。

ソフトバンクを統率する孫正義社長は、無軌道だと思えるほど広がったグループ内のデータをAIによって統合し、有機的に生かすことを戦略としようとしています。

その意味では、ヤフーが持つ集客力はやはり魅力です。多彩なサービスから得られるユーザーの行動データは、宝の山のはずです。ソフトバンクグループとして期待するところ大でしょう。



アリババにみるEコマース企業の未来


今後のヤフーを占う上で参考となるのが、同じソフトバンクが出資するアリババです。

世界最大級の取引高を誇る中国ECの雄アリババですが、その会長のジャック・マー氏は、「アリババはもうEコマースの会社じゃない」と発言しています。

アリババが想定しているのは、Eコマース(電子商取引)から得られる顧客の行動データを活用して、次のビジネスを生み出すことです。


現在のところ、アリババが力を入れているのは、金融サービスです。

もとはアリババが運営するネット通販の決済機能であった「アリペイ」は、今や中国をキャッシュレス社会にした立役者と言われています。


中国の決済インフラとなったアリペイ


アリペイは、ネット通販の決済機能として作られたものです。

ネット取引で重要なのが、安心してお金をやりとりすることです。お金を支払ったのに、商品が届かない。あるいは、商品を送ったのにお金が支払われない。というトラブルが頻発すれば、ネット取引そのものが普及しません。

そこでアリペイは、ネット通販の買い手からいったんお金を預かり、間違いのない商品が届いたと判断される時点で、売り手のものにする仕組みを作りました。

支払いの保証をアリペイが担ってくれるわけですから、とりあえず安心です。

売り手は、アリペイに支払われたお金を引き出してもいいし、そのままアリペイに置いておくことも可能です。

なぜならアリペイは、一時的に預かったお金を比較的安全な投資に回して利益を生んでいます。だから預けておくだけで、銀行預金よりはるかに高い利息がつくからです。ユーザーによっては、通販をしないのに、アリペイにお金を預けている人もいるようです。

その上、アリペイは、ネット通販だけではなく、実店舗での購入、公共料金の支払いなどにも使えるようになっています。

なにしろQR決済だからお店側も特別な機器を必要としません。お互いスマホがあれば簡単にお金のやりとりができます。

しかも決済手数料がほぼ無料!

そんなだから、中国では夜店の露店でもアリペイ対応しています。いやむしろ偽札の恐れがないアリペイの方が信用が高く、現金での支払いを拒否する店もあるそうです。

ということは、消費者も、現金を持ち歩くよりも、スマホにアリペイのアカウントを持っている方が便利なのです。

それどころか、中国ではアリペイさえあれば、決済に困らない状態です。これで現金を持ち歩く意味があるでしょうか?

(ちなみにアリペイには割り勘機能もあるので、誰かがまとめて払って、後で皆から徴収するという居酒屋でよくある風景も不要です)


アリペイが中国社会の信用度の基準となる


お金がない場合は、アリペイ側が貸してくれるサービスもあります。しかも、一定の期間内に返済すれば金利ゼロです。

ただし悪用されると困るので、信用できる人にしか貸し出すことができません。

そこで活躍するのが、個人としての属性や、これまでの商取引のデータです。アリペイの関連会社が、そのデータを取り扱っていて、問題ないと判断されれば、お金を借りることができます。(信用度を判断する時間は3秒程度といわれています)

逆にいうと、それまでトラブルを起こしたりした人は、信用度が低いので借りにくくなります。

そこに目をつけたのが、他の事業者です。

アリペイの信用度が高い顧客とは安心してビジネスができます。逆に信用度が低い顧客は警戒した方がいいでしょう。

そこで、アリペイの信用度を提示させることを取引の条件にしている事業者が増えています。

そうなんですね。アリペイにおける取引実績がその人の信用を保証することになるわけです。社会で生きる上において、便利だというよりは、なくてはならないものになりつつあるのです。

自分のアリペイの信用度が高ければ、いろいろ得をすることが多いので、人々は信用度を上げることに注力します。

結果として、商取引においていい加減なことをする人が少なくなることに結びつきます。


決済を制する者は経済を制す


こうしてみると、アリペイが、中国の経済活動の最もコアな部分に絡んでいるということがわかります。

そこにはすべての経済活動の情報が集まります。個人としての信用情報も集まります。

その情報の有益性は測り知ることができません。

ジャック・マー氏が、アリババのことを情報産業と位置付け、アリペイに続く次のビジネスを構想していると言われるのは、その情報の有用性を示す一端です。

まさに決済を制する者は経済を制す、です。


日本では、銀行も含めて、ドコモや楽天やLINEまでもが、決済システムのデファクトスタンダード(事実上の標準)をものにしようとしています。

なぜなら決済を制することが経済を制することだからです。


ヤフーも同じように、決済システムの普及を目指しています。

いまのところ、日本企業の中では、ヤフーが最も有利な位置にいると思われています。

なぜなら、世界的に実績のあるアリペイが日本進出を狙っていて、そのパートナーに、同じソフトバンクグループであるヤフーを選ぶだろうと考えられているからです。

もっともこれは推測です。ヤフーに力がなければ、アリペイも組みません。他の企業を探すでしょう。

そうならないためにも、ヤフーはEコマースの実績をさらに上げて、情報の集まる企業でなければならない。

そのために、現在の活動があると考えられます。


起死回生の戦略は成功するのか


もっとも、川辺社長は強気です。

ただのEコマースよりも、ヤフーの方が多彩な情報が集まっています。多彩なサービスを抱えているのだから、その通りです。

ただその情報を連携して生かすことをしてこなかった。

先ほど「各サービスの統合」を掲げるヤフーに対して「まだその辺り!?」と揶揄しましたが、もしその情報を統合することができれば、測り知れないほどの価値を持つデータになることは間違いありません。

これは、アリババにも、アマゾンにも、楽天にも持つことができない価値です。

日本人の価値ある情報を握った上で、アリペイの機能を組み合わせることができれば、ジャック・マー氏にも思いつかない「何か新しいビジネス」を生み出すことができるかも知れません。

今のところは半周遅れの感が否めないヤフーですが、起死回生の逆転があるとすれば、まさにその部分、決済システムのデファクトスタンダードを得た上で、独自のビジネスを生み出すことです。

狭い道かも知れませんが、狭路を抜けた後には広大な土地が広がっているはずです。

芸能事務所の経営が厳しい理由

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日経ビジネスの連載記事です。東京商工リサーチのビッグデータを分析して、様々な業界や業種の姿をみていこうという趣旨。なるほどなーと思うことがあり、なかなか面白い連載ですよ。

小規模事業者が多いゆえの葛藤


今回のテーマは芸能事務所でした。

芸能事務所の特徴は、小規模事業者が多いということです。

タレントとマネージャーがいれば始められるビジネスであり、規模が小さくなるはずです。

もう一つ、タレントという個人の才能に準拠したビジネスなので、大量生産できません。だから小規模事業に止まることが多い。

今年の中小企業白書でも、小規模事業者の生産性の低さが指摘されていましたが、事業者として安定するためには、ある程度の規模が必要になってきます。

何しろ、少数の売れっ子タレントに頼るのは経営としてリスクが高いわけです。

できれば本業で規模拡大したい(つまり、人気タレントを複数抱えたい)でしょうが、タレントの発掘、育成は、そう簡単なことではないようで、工業製品を複製するようにはいきません。

多角化展開を志向するも、2、3の事業ではダメ


そこで芸能事務所が試みるのは、周辺事業への多角化展開です。

本業に関連する事業(例えば、イベント企画、著作権管理、出版、音楽、映像制作など)に展開していくことで、規模拡大を目指します。

本来、多角化は成功確率が低い戦略ですが、それでも規模拡大のためには、背に腹は代えられないということなのでしょう。

かくして小規模なのに、複数事業を手掛ける会社が多くなるという現象になります。

しかも厄介なのは、2つ3つの多角化ではあまり効果がなく、というかむしろ生産性を低下させてしまうというデータがあることです。

多角化の進行度合いと利益率には一定の相関関係がある。多角化により事業の数が2、3業種に増えた場合、芸能事務所の専業だったときと比べて利益率が低い。しかし、多角化によって事業の数が4つ以上に増えると再び利益率が高くなる。

なんと、事業を4つ以上持たなければ、生産性が上がらないのです。

芸能事務所の経営が厳しい理由


一人二人のタレントでは、安定しない。

かといって、複数の売れっ子タレントを抱えるための方法論はない。

そこで周辺事業への多角化展開を試みるも、4つ以上の事業を成功させなければ、生産性が上がらず、むしろ逆効果…

という姿が浮かび上がります。

こうしてみると、芸能事務所というのは、通常のセオリーが通用しない厳しいビジネスなんだなあと思いますね。

どんなビジネスでも厳しいのは同じ、とはいえ、特に厳しい世界だと感じます。





カルビー前CEOの「勝ち方」の極意

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カルビーの上場とさらなる成長を果たした松本前CEOのインタビュー記事です。

ライザップCOO就任を発表する前のインタビューなので、そのことには触れられていません。

カルビーの突然の退任は、様々な憶測を呼んでいますが、インタビューではサバサバした調子で答えているように思えます。

プロ経営者としての確かな実績


松本氏の手腕や業績については申し分ありません。

カルビーで手掛けたことは、本人のいうように単純で、コスト管理を徹底して儲けが出る体制にしたこと、社内コミュニケーションの活性化を図ったこと、権限委譲し若手を育てたこと、さらなる商品分野を育てたことなど、です。

本人のいう
難しく考えるから、かえってうまくいかないことが多いんです。ビジネスというのは、当たり前のことを当たり前にやるだけなんですよ
というのは、本音なのでしょう。

しかし、それを貫いてブレなかったのは、松本氏の手腕です。

「勝ち馬」に乗ることが成功の秘訣


また松本氏のいう

ビジネスは勝ち馬かどうかを見分けることが重要です

というのも、身も蓋もない言葉に聞こえますが、実際にその通りだと思います。

ただ松本氏のいう「勝ち馬に乗る」とは、既にうまくいっている会社を選ぶというのではないようで

勝ち馬に乗るとは言っていますが、実際はどこの会社にもそれなりのポテンシャルがある。経営とは、それをどうやって引き出すかということに尽きる。まったく力のない会社のほうが少ないです

と言っているのは、要するに、その会社が勝ち馬になれるような状況を作る、ということなのだと理解しました。

いわゆる「勝てる市場で戦う」「勝てるタイミングで戦う」「勝てる相手と戦う」という「孫子」や「ランチェスター戦略」が教える通りのことを言っています。


言い換えれば、技術力をひたすら磨いてきたカルビーという会社に、戦略的なポジショニングという概念を持ち込んだということなのでしょう。

この基本姿勢があれば、まだまだ多くの日本企業に必要とされる人だと思います。

なぜライザップだったのか?

というのは、よくわかりませんが。

RIZAPグループが松本晃カルビー前CEOを招聘 化学変化は起きるのか?








日本企業の好業績は「弱者」であることを受け入れたから

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勇ましい記事ですね。失われた20年を経て、ビジネスモデルの転換を果たした日本企業の好業績によって、メガ景気がやってくるという内容です。

ナンバーワンから堕ちた日本企業


記事は、日本企業がナンバーワンを追うのをやめて、オンリーワンを志向するようになったからだと言っています。
1980年代までの日本は、導入技術と価格競争力により、世界の製造業主要分野においてナンバーワンの地位を獲得しました。銀行の総資産世界ランキングでも、日本の都市銀行がずらりと上位を独占していたことを覚えています。まさに、ジャパン・アズ・ナンバーワンの時代でした。

つまりアメリカという先達を模倣し、低廉な労働力と効率化により「安くて良い品」を作ることができた日本企業(特に製造業)は、多くの分野でアメリカを追い抜きナンバーワンの地位を得ました。

ところが、さらに低廉な労働力をようするアジア諸国や、ITや金融の分野でゲームチェンジを果たしたアメリカ企業の反撃により、日本はナンバーワンの地位を失いました。これが失われた20年につながっていきます。

「弱者」であることを受け入れた

では、日本企業はいったい何で稼いでいるのでしょうか。日本企業が稼いでいるのは、「周辺と基盤の分野」です。たとえばデジタル機器が機能するためには、半導体などの中枢分野だけではなく、半導体が処理する情報の入力部分をつかさどるセンサーや、そこで下された結論をアクションにつなげる部分のアクチュエーター(モーター)などのインターフェース、すなわち周辺分野が必要になります。この周辺分野の製品製造に、日本企業は強みを持っているのです。

商品そのものやメインの分野で勝てないと悟った日本企業は、周辺のデバイスなど競争の少ない分野に散らばっていったということですね。

これをオンリーワンというのは語弊があるのではないでしょうか。単に、競合が弱い市場に焦点を当てたということです。

需要の大きな中心部分では勝てないなら、需要が小さくても勝てる周辺市場に目を向けるのは、いわゆる「弱者の戦略」の一つです。

規模に劣る欧州の企業が当たり前のようにやっている戦略行動であり、きわめて合理的です。

むしろ、自分が弱者であると気づくのに20年もかかったんか!と言いたくなりますが、意識を変えるというのは、時間がかかるものなんでしょうね。

移ろいやすい周辺市場では、変化への適応力が求められる


記事の言う通り、日本の企業業績が上向き、日本経済全体も良くなってくるのでしょうね。

ただ周辺市場はあくまで周辺市場です。中心市場よりも移ろいやすい特徴がありますので、気を抜くと、市場そのものが縮小したり、消えてしまったりすることがあります。

常に社会の流れ、技術の進化、市場の状況を見極めて、ポジションを変えていかなければなりません。素早く変化に対応する能力が求められます。

ただその能力を日本企業が身に着けたとすれば、規模は小さいなりに、好業績を残すことができて、これまでのように沈み込むことはなくなるのではないかと思います。

いよいよ日本企業もポジショニング戦略を身に着けだしたということなら、面白い。

規模が小さくてもしたたかに生き残る企業が多くなるはずです。

みんなランチェスター戦略を学んでほしいですね。





大塚家具とニトリの違い

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大塚家具は現在、2期連続の赤字決算中。2018年12月期も赤字が予測されています。

これに対して、ニトリは増収増益を更新中。絶好調です。

なぜ同じ家具店なのにここまで違うのか?ということについて書いた記事です。

ニトリはもはや家具販売店ではない


記事の解答は明確です。

ニトリはすでに家具販売を主業とする店ではなく、その他インテリアを販売する店になっているからです。

家具市場が縮小するなか、ニトリはなぜ増収増益を続けているのか?

日本の家の間取りも変化しており、かつて必要とされた家具がもはや必要とされていません。

マンションの間取りでさえ、20年前とは大きく変化しており、必要とする家具が異なってきていることが示されています。

なぜ日本人は家具を買わなくなったのか。考えられるのは住宅事情の変化です。近年のマンションは洋室中心で、しかもウォークインクローゼットを設けるなど、収納を充実させた設計になっています。

大きなタンスは不要。むしろ邪魔です。

婚礼3点セットなど迷惑な存在になってしまっています。

記事は、大手家具店のイケアも赤字転落していることを示し、家具販売店の低迷が避けられないことを指摘しています。

変化に適応できなければ生き残れない


この点、ニトリは20年も前に、家具以外の部門を充実させる決断をして、製品の自社製造に踏み切りました。

大塚家具は、お家騒動以前に、変化に適応してこなかったつけを払いきれていないということですね。

「強い種が生き残るのではなく、変化に適応した種が生き残る」というダーウィンの言葉を補完するような事例ではないですか。

自然界のランチェスター戦略







ジーユーは、ここで頭打ちなのか?

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ユニクロ傘下のジーユーが、伸び悩みをしているらしいです。

2017年8月期の決算によると、ユニクロの国内売上は、8107億円、海外売上は7081億円。

国内は頭打ち感がありますが、海外売上は伸びています。

一方、ジーユーの売上は、1991億円。じゃっかん前年比を割り込んでいます。

とはいえ、数年で1500億円も売上を伸ばしてきたジーユーですから、踊り場も来るというものです。

アパレルからトレンドを省いたユニークなコンセプト


ジーユーが急激に業績を伸ばしたのは、記事にあるように、「ユニクロの廉価版」から「高トレンドブランド」へコンセプトを変えたことです。

ユニクロは、もともと高機能・高品質のノントレンド商品をコンセプトにしてきました。

ファッションというジャンルから、機能や品質以外のものを省いたために「安くてよい」ものを実現することに成功しました。

ユニクロが日本のアパレル企業としては異例の1兆円超えを果たしたのも、このユニークなコンセプトのおかげだったと私は考えています。

日本発の「ファストファッション」


これに対して「ユニクロの姉妹店」のような位置づけでスタートしたジーユーは、ただの廉価版になってしまって鳴かず飛ばずの時期を過ごします。

そこからユニクロが捨ててきた「トレンド」を拾い上げることにより、全く違うブランドとして再スタートしました。

品質や機能を犠牲にしても、最新のトレンドに寄り添うコンセプトは、いわゆる「ファストファッション」への参入であり、実は世界のアパレルブランドの王道を行くものでもありました。

ファーストリテイリングの世界戦略の重要なパーツ


現在、ユニクロやジーユーが属するファーストリテイリング全体の売上は、1兆8619億円で、アパレル企業としては世界3位です。

1位はZARAが属するインデックス、2位はH&Mです。

この上位2社の看板ブランドがファストファッションの2大巨頭であり、最大需要を捉えるものです。

ユニクロはユニークな位置づけであるものの、ノントレンド商品で2社をしのぐことは難しいと思われています。

だからこそジーユーの成長は、ファーストリテイリングにとって、世界に伍していくための大きな武器となるはずでした。

ジーユーがユニクロを超える時、ファーストリテイリングは世界トップになる


「弱者の戦略」を先鋭化すべき時


記事では、ヨーロッパの最新トレンドを救い上げるZARAに比べて、日本のトレンドに準拠したジーユーの弱さが指摘されています。

確かにそうかも知れません。

しかし、世界的には弱者であるジーユーがZARAと同じことをしても勝ち目がないことは自明です。ここは、日本発のユニークなファストファッションブランドであることを前面に押し出して、尖った存在であり続けるべきでしょう。

変に世界基準に合わせるよりは、日本のファッションを世界に発信していくユニークな役割を担い続けるべきです。

その方が、日本の皆も感情移入しやすいでしょうしね。


いずれにしろ売上高2兆円を超えている上位2社と戦う上において、売上高2000億円では、いかんともし難いものがあります。

ここは、コンセプトをさらに先鋭化して、海外進出における「弱者の戦略」を明確にすべき時です。

そうじゃないと、市場に存在感を示すことすらできません。

成長が鈍化しているのは、戦略が鈍ってきているということなのだと思います。

ジーユーがトップを狙う位置になってから、次の一手を考えればいいわけで、今は、尖る時期だと考えます。






営業は「準備」が9割!

営業は準備が9割
 (2018年7月26日メルマガより)

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どこかで聞いたようなタイトルで申し訳ございませんm(_ _)m

今回は営業の話です。

仕事がら営業セミナーを担当することがよくあります。ベテランから中堅から新人から、実に様々な立場の人を対象にセミナーを行ってきました。

立場が違えば、セミナーに対する姿勢も変わってきます。

新人は、営業の基本を聞きたいでしょうし、中堅クラスは現場での裏技やノウハウ、あるいは営業マネジメントに関すること、ベテランになると今度は新人を育成するための切り口などを求めておられます。

が、とどのつまり、営業セミナーに参加される方が求めているのは「どうすれば営業成績が伸びるのか?」という一点に集約されます。

その質問に対する答えが、今回のタイトルです。

準備なんて当たり前だろ。もっと裏技を教えろ!

と言い出す人がいるかも知れませんね。でも、そう言いたくなる中堅クラスは特に気を付けてください。

経験をそれなりに積んで自分なりのスタイルを身に着けつつある頃が最も大切です。本当の営業スタイルを身に着けるのか、あるいは独善的な名ばかりのベテランになってしまうのか、その分岐点です。

そんな時こそ、基本を思い出してください。

後輩育成をするためだけではありません。

安定して成績を上げることができる本当の戦力になるためにも、準備の大切さを再確認していただきたいと思います。


算多きは勝ち、算少なきは敗る


これは、孫子の一説です。(計篇)

これは、事前の算段で勝つ確率が高い方が勝ち、少ない方が負ける。という意味で、しごく当然なことを言っています。

算段。というのは、事前の計画やシミュレーションや評価分析のこと。

充分に検討して、成功する確率が高いと判断される方が、成功するということですから、孫子もいかに準備が大切かを説いているわけです。


では、営業活動においては、どのような準備をすればいいのか?

今回は、3つのポイントに絞ってお話したいと思います。


1.情報を集める


準備段階でまずしなければならないのは、情報を集めること。

顧客情報、顧客の周辺情報、顧客が属する地域や業界の情報、競合情報などです。

新人の頃は、自社の情報も整理しておかなければなりません。


先日、私の事務所に営業の方がやってこられました。ホームページを見たとかで、事前の電話があっての訪問でした。


あまり営業の訪問を受け入れることはないのですが、今回は、アプローチ時の口上が面白かったので、受け入れてみました。

が、結果的には期待外れで、時間の無駄だったと感じるほどでした。

なぜかというと、あまりにもこちらのことを調べていない。

ホームページを見てきたという割には、私の仕事のことも、過去のセミナーのことも、10年以上続けているこのメルマガのことも、何も知りません。

たくさんの会社に訪問しているので、そこまで調べられないということでしょうかね。しかしそれだと営業の成績は上がりません。

ほんの少しです。「メルマガ読みました。前回のテーマ、面白かったです」とでも言ってくれれば、好感を持つのに、それもなし。憑かれたように、自社の商品説明をしておられました。まったくもって残念です。


そんな営業ばかりです。業界の有益な情報や、ましてや競合の情報などお土産に持ってくる人など皆無です。

仲間うちの情報に劣る話しかできない営業だと、門前払いされるのも仕方ないと思わなければなりません。

逆にいえば、ほんの少し、意識を変えれば、頭一つ抜け出せるとも言えるでしょう。


20分早く行って、情報を集める姿勢を持つ


今はネットがあるのだから、たいていの情報は手に入ります。

日経新聞のサイトで、業界検索すれば、概要はつかめますし、さらに業界紙の情報もネットに掲載されていることが多いです。

SNSで個人情報を披露されている人もたくさんいますよ。

そのほんの少しの手間や意識を持たない営業ばかりなのですから、頭ひとつ抜け出すのは簡単です。

その意識されあれば、普段から同業者などからネットに載っていない情報を集めておくこともできるはず。

有益な情報をもたらしてくれる営業は、重宝されます。

結果として、接触回数が増え、信頼関係を作りやすくなり、成績につながっていきます。

そんな有益な情報はとても集められない。

という方は、20分早く現場に行って、周辺を歩いて、地域や現場の情報を集めてみてください。

そのほんの少しの姿勢だけで、情報感度が変わるはずです。


情報は整理する


当たり前の話ですが、集めた情報は、整理しなければ有効な営業情報にはなりません。

私は、情報は、表にして整理することをお勧めしています。

例えば、商品、価格、仕様、納期…といった項目ごとに、「自社ができること」「競合ができること」「顧客が求めること」をまとめていきます。

自社のことは正確な情報が手に入りますが、顧客情報、競合情報は、推測です。

推測でも一向に構いません。調べた内容から、推測して記入することで、情報感度が上がります。(つまり、どんな情報を集めればいいのかが、わかるようになる)

実際の表は、20項目、30項目ぐらいになるはずです。

その推測だらけの表が、ヒアリング時、どのような質問をすればいいのかを示してくれます。

つまり表を準備するから、営業の精度が上がっていくのです。


2.目標を決める


営業成績が伸びない人は、目標を設定していないことが多いように思います。

目標とは、1か月の数値目標ではありません。今日、これからの営業訪問における目標です。

営業は段階ごとに、目的が異なります。

アプローチ段階であれば、顧客と信頼関係を作ること。

ヒアリング段階であれば、顧客から本音を言ってもらうこと。

プレゼンテーション段階であれば、顧客に臨場感を以て価値を伝えること。

クロージング段階においては、抜け漏れなく、契約を締結すること。

だから、段階ごとに、目標が異なります。これを意識していないと、実に間抜けな営業訪問になってしまいます。

信頼関係もないのに、商品説明を熱心にしてしまう。

ニーズも聞いていないのに、値引きを提示してしまう。

提供できる価値が伝わっていないのに契約しようとする。

いずれも、事前に目標を決めていないから起こる悲劇(喜劇?)です。

思えば、先日、私の事務所に来た営業も、目標を立てずに来た類ですね。信頼関係ゼロで熱心に商品説明されても、その時間は苦痛以外のなにものでもありません。


3.交渉カードを用意する


交渉カードは交渉事を行う際に必須となるものです。いわゆる、交渉カードもなしに交渉に行く者は、武器を持たずに戦場に行くようなものだ、と。

営業においても同じです。交渉カードを持たずに営業に行く者は…以下同。

交渉カードは切り札のようなものです。相手をぐらつかせ、胸を突き、とどめを刺します。

ただし営業における交渉カードは、物騒なものではありません。

営業が手の中に持つカードには、「顧客が喜ぶこと」が書いてあります。顧客が喜べば喜ぶほど、営業が進展するので、切り札になるのです。

例えば、顧客ニーズに合致した商品を提案できれば、それだけで顧客は喜ぶはずです。

それに加えて、適切な納期、配送の工夫、設置のオプション、充実したメンテナンス、柔軟な価格対応など、顧客が喜びそうなポイントはいっぱいありそうです。

それが皆、交渉カードとなります。

事前情報が多ければ多いほど、顧客の喜ぶポイントが見えてきます。だから交渉カードも多く用意することができます。


交渉カードは一気に出すものではない


ただし交渉カードの使い方にはコツがあります。

交渉カードはいきなりすべてを晒してはダメです。いわゆる手の内をすべて晒すのは愚かです。

交渉とは、条件を引き出しあうものですから、手の内をすべて晒せば、そこからスタートの交渉になってしまいます。だから、お互いが徐々に切り札をだしあう形になります。

カードが切れてしまえば、あとは値段対応するぐらいしか手がなくなってしまうからです。

徐々に出す、というのは、けっこう難しいことです。ここにはじゃっかん経験が必要になってくるかも知れませんね。

もっとも徐々に出すというのは出し惜しみをすることではありません。契約した後に、さらに感謝の意味で、出していなかったカードを提示すれば、顧客はもっと喜ぶはずです。

ビジネスは、継続することが何より大切ですから、顧客が喜ぶことはとことんやってしまいましょう。

いずれにしろ、交渉カードが多ければ多いほど、営業は有利です。なるべく多く準備しておきましょう。


営業現場に行った時点で、成否は決まっている


戦いが始まった時点で勝負はついている。

という意味のことを孫子は言っています。

同じように、営業現場に行った時点で、成否は決まっています。

だから「営業は準備が9割!」なのです。

新人営業の時は言わずもがな。

パーク24が、カーシェア事業を成功させなければ危ない事情

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パーク24のカーシェア会員が100万人を超えたそうです。

同社のカーシェア事業は、現在、国内市場のシェア7割を超えるダントツのナンバーワンです。

その利用から生まれる膨大なデータは、自動車会社も羨むほどの規模であり、次世代ビジネスの主役になれる可能性があると期待されています。

カーシェアとは何か?


ちなみにカーシェアとは、複数人で1台の車を共有することです。

近所同士で、1台の車を購入し、それぞれが必要な時に使用する形態です。

自家用車なんてのは、ほとんどの時間、家に置いてあるだけなので、それぞれが譲り合って使えば、安くつくので合理的です。

もっとも、土日とかお盆とか、使いたい日が被ってしまうことが多いので、近所同士でシェアするという事例は少ないとは思いますが。

ところが、パーク24(タイムズ)のカーシェアは、100万人の会員が、同社が用意する大量の車をシェアする形になります。

需要が重なれば使用できない会員もあるでしょうが、たいていはどこか空いています。

心斎橋界隈にも、置いてある車が何台かあるので、ちょっと使用したい時に予約して乗ることができます。

レンタカーとの違い


似た形態にレンタカーがありますが、そっちはあくまで借りることです。

だからレンタカーは、借りたい時にレンタル契約をして、使用します。保険をかける必要性もありますし、ガソリンも使用した分、補充しておかなければなりません。

比べてカーシェアは、所有することになるので、月額会員料金が必要となります。その分、毎回の契約が不要になりますが。

1回あたりの使用料金は、カーシェアが安くなります。

ですから、月に1回以上使用する場合は、カーシェアがお得になります。

「シェア」の時代に重要なのは、保管場所と移動手段


パーク24が、短期間でカーシェア事業をナンバーワンにしたのは、全国展開している同社の駐車場を利用できたことが大きいです。

もともと同社は駐車場事業でも日本トップです。

全国の小さな空き地に同社のコインパーキングが設置されているので、カーシェア用の車を置く場所には困りません。

車に限らず「シェア」するビジネスが流行ってきています。実際、所有していてもほとんど利用しないものが多いので、シェアする方が合理的です。

ところがその際にネックとなるのが、リアルな置き場所であったり、配送であったりします。

その意味でも、駐車場というシェアのためのインフラを持っていたパーク24が、有利な位置にいたということができますね。


そういえば、日経新聞には、寺田倉庫が個人向けの倉庫を安価で提供する事業を展開しているという記事がありました。

ミニマリスト社長が生んだ大きなシェア市場 

寺田倉庫は、個人の荷物を預かるだけではなく、販売やレンタルをするための支援も行うのだとか。

寺田倉庫は、もともと法人の荷物を預かるビジネスですが、「シェア」時代のインフラを提供できる位置にいることに気づき、いち早く対応したということですね。

カーシェア事業を成功させなければ生きていけない


パーク24に戻りますが、同社の駐車場ビジネスの将来性は必ずしも高くありません。

少子高齢化と自動運転車の普及、というダブルパンチで、駐車場需要はじり貧になっていくでしょう。

同社の売上の7割が駐車場ビジネスだということを考えれば、パーク24が決して安泰な位置にいるわけではないということが分かります。

つまり、カーシェア事業の成功は、同社の命運を握っているということです。

会員100万人ぐらいではとても安心できないでしょう。

同社が、車に関するシェアビジネスのトッププレイヤーとして発展しなければ生きていけないという危機感を抱かなければならない所以です。

この分野ではまだできることがありますから、期待してみております。



「九条ねぎ」を全国区にした営業パワープレイとステップアップ戦略

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「九条ねぎ」の販売で年間10億円を売り上げる「こと京都」のお話しです。

小さな農家の成功事例ですが、他の業界の小さな事業者にとっても参考になります。

狭くても深い需要に特化する


この会社、もとは京都にあった小さな農家です。現社長が引き継いだ頃は、野菜全般に扱う普通の農家でした。収入も少なく、とても専業でやっていけるようなものではなかったらしい。

現社長が引き継いでからは、「九条ねぎ」一本に絞ります。

九条ねぎは京都の郷土野菜で、全国的にみれば特殊性があります。それに1年を通じて収穫できます。必要とする人はいるはずなので、その狭い需要に応えていこうという思い切りのいる決断です。

広く浅い収益を捨てて、一本に絞るのは勇気のいることでしょうが、戦略理論的には正しい選択です。

この決断によって、農家として安定を得ることができました。

需要を広げる決断


ところがそれだけで満足しませんでした。

超ニッチな作物ゆえ、需要は少ないが、供給(ライバル)も少ない。だから、バランスがとれて成立したわけですが、それでは小規模農家から脱却できません。

そこで現社長は、九条ねぎの需要を増やす方策に着手します。

まずはねぎを「カット加工」すること。カットすることで、総菜扱いになり、単価アップを図れます。スーパーなどで一般向けに売ることができれば売上は飛躍的に伸びるはず。

が、いかんせん九条ねぎの知名度が低く、販路開拓が進みません。

そこで「全国のラーメン屋に直接納品すること」に乗り出します。業務用で九条ねぎが使用されれば継続的な売上は見込めるし、知名度も上がるという算段です。

どうやったかというと、東京に行って、一軒一軒、売り込みに回るというパワープレイです。

仲介業者に任せても知名度のないものを販売してくれません。小売店に売り込みにいってもやはり売れないものは置いてくれません。だから、業務用として飲食店に売り込むというのは、正しい方法です。

ただ呆れるほどパワーが必要なので、普通の農家はやらないでしょうね。

このパワープレイができるかどうかが、企業として大きくなれるかならないかの境目なんだと考えます。

営業にパワープレイは必要


たまに、営業というとスマートにやるもんだ、最小の労力で最大の効果を上げるもんだ、と安易に言う人がいますが、間違っています。そんなことをいう人に営業なんてできませんよ。

動かない石を最初に動かす時には、途方もないパワーが要るものです。営業だって同じ。軌道に乗ってからしか営業をしたことがない人にはわからないでしょうが、いつだってパイオニアはパワーをかけています。

そういう意味で、この事例はとてもよく理解できます。

強みをてこに事業をステップアップ


パワープレイ営業の結果、販売経路の確保という「強み」を手に入れた同社は、その後、地域の同業者も巻きこんで、生産の安定化を図ると同時に、京都の郷土野菜全般を流通させるように事業を拡大させていっています。

一つの強みをてこに、事業をステップアップさせていく様は、まるで教科書のようですね。

販路は、こと京都が握っているので、同業者としては、相乗りする方が経済合理性があるわけですが、
傘下に入ることをよしとしない事業者は、自ら販売先を確保すべく営業しなければなりません。

そういう事業者もいるでしょうね。だだ後発だからといって、パワー営業がいらないわけではありません。むしろさらに大きなパワーが必要になるし、得られるパイも少なくなってきます。

フォロワーの方がはるかに楽ですね。ただ、そこに甘んじるかどうかは、それぞれの経営判断です。


ともあれ、スタート時は「狭く深く」を志向し、その後、「広く」を求めていくやり方は、ランチェスター戦略にいう「グー・パー・チョキ戦略」に通じるものがあり、参考になります。









サッカーW杯日本代表はなぜ躍進したのか?



サッカー日本代表
 (2018年7月12日メルマガより)

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サッカーワールドカップロシア大会は、いよいよ佳境を迎えています。

すでに準決勝まで終わって、あとは15日の決勝、フランス対クロアチア戦、14日の3位決定戦、ベルギー対イングランド戦を待つばかりです。

これはちょっと意外でしたね。

てっきり、ベルギー対イングランドが決勝戦をするものと思っていました。

フランスも優勝候補の一つでしたが、王国ブラジルを破り、勢いに乗るベルギーこそ優勝候補筆頭だと思い込んでいました。

それ以上に意外だったのが、人口440万人の小国クロアチアの決勝進出ですよ。

グループリーグを3戦全勝で突破し、ノックアウトステージ(決勝ステージ)ではなんと2試合連続PK戦で勝ち上がると、準決勝のイングランド戦では延長戦の末、撃破しました。

3戦連続延長戦をフルに戦っているわけです。

どんな体力と精神力をしているのでしょうか?

さすがに決勝では、体力的に余裕のあるフランスに分があると思いますが、それでも何が起きるかか分からないのが今大会ですからね。

楽しみにしています。


「おっさんジャパン」はなぜ躍進したのか?


さて日本代表チームは、グループステージを2位で通過し、ノックアウトステージ(決勝ステージ)では、優勝候補といわれていたベルギーと対戦しました。

これは実に凄まじい試合でしたね。

一時は、2−0のリードを得て、ベルギーを「敗退も覚悟した」と言わせるほどでした。

惜しくも後半、3点を返されて、敗退してしまいましたが、そのアグレッシブなサッカースタイルは、世界中のファンを驚かせました。

まさかあの日本代表が?!

と思ったのは、ほかならぬ日本人ファンでしょう。

なにしろ、今大会が始まる前は「おっさんジャパン」と揶揄され、期待感低レベルのチームでしたから。

私も3戦全敗を予想していましたから、グループステージ突破じたいが奇跡のような思いでした。

その上、優勝候補だったベルギーを相手にあれほどの戦いをするとは。

いったいどうなってしまったというのでしょうか。


8年前の南アフリカ大会との共通点


日本代表チームは、1998年のフランス大会からワールドカップに出場しており、ノックアウトステージに進出したのは、2002年の日韓大会、2010年の南アフリカ大会です。

8年ごとに、ノックアウトステージ進出を果たしていることになり、今年は8年ぶりに進出する番だと冗談まじりに言われておりました。

しかも今回、前任のヴァヒド・ハリルホジッチ監督解任を受けて、緊急登板した西野朗監督が率いる日本代表の状況は、8年前に似ていると言えなくもありません。

というのは、8年前も、前任のイビチャ・オシム監督の病気による退任を受けての岡田武史監督が率いる日本代表だったからです。

代表として期待感が低かったのも同じです。

もっとも8年前は、約1年の準備期間がありましたが、今回はたった2か月の準備期間です。

なんだか貧乏くじをつかまされたような西野朗監督が気の毒になるほどで、さすがに今回は期待できないだろうと思うのが普通の考えだったはずです。

しかし、日本代表は躍進しました。8年前と同じです。


ハリルホジッチ前監督の功績


8年前、日本代表は、守備的なサッカーを基本として、グループステージ突破を果たしました。

そこには日本代表そのままの力では、世界の強豪国に太刀打ちできないという現実を冷静に判断した岡田武史監督の決断がありました。

ところが、守備的なだけでは、ノックアウトステージを勝ち切ることはできないことを痛感させられたのも事実でした。

そこで「自分たちのサッカーをする」と言って攻撃的に臨んだ2014年ブラジル大会(アルベルト・ザッケローニ監督)ですが、こちらは1分2敗でグループステージ敗退。

やはりまだ日本代表には、まともに戦って世界に伍していく力はないのだと思わせる結果となりました。

これらの反省を踏まえた今大会、日本代表は、守備と攻撃の切り替えを早くする「守備的でありながら攻撃的な」サッカーで臨みました。

ガチガチに守っていたら攻撃できないので、前線からプレスをかけて、ボールを奪うとすぐに攻撃に移るというカウンターを武器とするサッカーです。

いわば、世界のサッカー中堅国が基本戦術とするサッカーです。今回、日本も世界の流れに倣って採用し、実際に機能しました。

この戦術をものにするために、前任者のハリルホジッチ監督が日本代表に課したのが、一対一のデュエル(決闘)に強い個人技と、縦に早いパスを入れるチームの連携です。

やはりハリルホジッチ前監督の功績なくして、今大会の結果は生まれなかったと認めなければなりません。


サッカー弱小国でも戦う方法があることが見えた


今大会、世界の強豪と堂々渡り合う日本代表をみてわかったことがあります。

まず一つ。日本のトップ選手は、世界レベルでみても、遜色のないテクニックと強さを持っているということ。

いまや日本代表選手のほとんどはヨーロッパで鎬を削り、活躍しています。海外選手の強さを体感しながらテクニックを磨いている選手たちであり、ワールドカップの舞台でも、その実力を発揮していました。

海外移籍を奨励するサッカー協会の方針が効果を上げているということです。

さらに下の世代も育ってきており、将来楽しみになってきます。


もう一つは、海外の強豪といえども弱点を持っているということ。

超人のような海外のスター選手をみているととても対応できないように思えますが、どんなチームにでも穴があります。

ベルギーでさえ、左サイドの守備に弱点を持っており、日本代表はそこを突いて2点を奪いました。

それだけではありません。最大の脅威と目されたルカクなどの超人選手も、その攻撃力をほとんど封じ込みました。

どんな相手でも同じ人間です。戦いようがあることを見事に示してくれました。


もう一つ。組織的に動くチームは強いということ。

日本代表には、突出したスター選手はいませんが、それだけにマークする相手がひとりではありません。組織で連動して動くので、対戦相手は対応に困っていました。

逆に、アルゼンチンやポルトガルなど、個人の能力を全面に押し出して戦うチームは思ったほどの活躍を見せることはできませんでした。

もはやワールドカップは、スター選手の活躍を見せるだけの花試合大会ではなく、戦術を駆使した虚々実々の駆け引きで勝ちにいく場所になりました。

強者として堂々と戦ったブラジルが、ベルギーの戦術に屈したのがいい例です。

思えば、日本代表も、2点リードした時点で、戦術を変えてきたベルギーに対応できなかったことが大きな敗因でした。

この結果を踏まえて、日本代表にはより多彩な戦術を駆使できるチーム作りが求められますし、同時に世界の各国も、クラブチームなみの洗練された戦術オプションを持つことが命題となってくるでしょう。


西野朗監督の手腕


このたび、ハリルホジッチ前監督が「私が監督なら、ベルギーに逆転されなかった」との発言をしたという報道がありました。

そうかも知れません。老練なヨーロッパの監督なら、2−0になった時点で、逃げ切るための戦い方をオプションとして持っていたことでしょう。

ただ、ハリルホジッチ監督のままなら、そもそもグループリーグを突破できずに、ベルギー戦も実現しなかったのではないかと多くの人が思っているはずです。

今回、多くの報道から、西野監督になってからの日本代表チームの一体感が確かなものであったと聞こえてきました。

大迫勇也、乾貴士、柴崎岳といった新戦力に加えて、本田圭佑、香川真司、長友佑都、岡崎慎司といったベテラン勢が、それぞれの持ち場で、生き生きと活躍したことからも伺い知れます。

約2か月の準備期間しかなかったにも関わらず、不協和音が聞こえていた代表チームをまとめあげた西野監督の手腕は、称賛して余りあるものだといえるでしょう。

いったいどのようにして、日本代表のようなプロ集団をひとつにまとめていったのでしょうか。


選手間に浸透していた西野監督のビジョン


さいわいワールドカップに関する記事や報道は多く、西野監督のマネジメントについても、様々な情報が伝わってきます。

そんな諸々の報道をみていて、西野監督がチームを一体にした要因として、私があげたいのは、下記の3つです。

(1)まず一つ目。目標を明確にしたこと。

具体的には「8強進出」を目標とし、そのためにはすべてを犠牲にするという覚悟をチームに示しました。

リーダーの仕事の最大のものはビジョンを示すことです。スポーツチームは最初から目標達成型の集団ですが、それでも目標がぶれることがあります。

前大会の「日本らしいサッカーをする」というビジョンじたいが、自己満足したいのか、勝ちたいのか、矛盾を含んでいます。

ところが今回は「8強進出」のために、ポーランド戦で1点差負けを受け入れるという非常に難しい決断をしました。

(勝ち点差で並んでいるセネガルがコロンビアに負けていたため、警告数の差で2位通過ができると目されていた)

要するに、1点差負けなら、グループステージ突破が可能になるという状況です。

ポーランド戦では、控え組を中心に戦ったのですが、パフォーマンスが低調で、点をとれるような気配がありませんでした。

それなら、コロンビアがセネガルにこのまま勝ち切る方に賭けようという西野監督の勝負士らしい冷徹な判断です。

ここで「お客さんに変な試合を見せられない」「攻め切るのが日本らしいサッカーだ」などと余計なことを考えると目標と矛盾してしまいます。

「いや、そもそもポーランド戦で勝つためには、主力組を大量に休ませるなど無謀ではなかったのか?」という批判もありました。

が、これも「8強進出」のためです。単にグループステージ突破のためだけなら、主力組で戦えばよかったのです。

しかしノックアウトステージを勝ち上がるためには、主力組を休ませる必要がありました。この措置が、ベルギー戦でのハイパフォーマンスにつながったのだから間違ってはいません。(逆に、ポーランド戦にフル出場した柴崎は、ベルギー戦の後半疲弊して交替を余儀なくされました)

ポーランド戦後、日本国内からもその戦術に賛否巻き起こりましたが、選手からはチーム戦術を批判する声は聞こえてきませんでした。

これは、西野監督のビジョンや目標が、選手間に共有されていたという証拠だと思います。


爆発的だったコミュニケーション解禁


(2)コミュニケーションを重視したこと。

上の「8強進出」という目標は、前大会からの日本代表の命題であり、ハリルホジッチ監督にも課せられていたものでした。

しかし、前監督になかったのは、日本人選手との充分なコミュニケーションでした。

この点、西野監督になってから、爆発的とでもいいたくなるような、チーム内でのコミュニケーションがとられたことが、様々な報道から伺い知れます。

西野監督じたい、選手一人一人と対話することを重視したようですし、選手間同士のミーティングも積極的に奨励したようです。

この点、ハリルホジッチ前監督は、ヨーロッパ人らしい厳格なリーダーシップを志向し、選手間同士のミーティングは禁止していたそうです。

余計なことは考えなくていい。方針はすべておれが決めるというスタイルですね。

ところが西野監督は、自身とぼけたおやじを演じ(天然だったという話も)委縮した選手たちをほぐしました。



ハリルホジッチ時代に冷遇されていた本田圭佑選手の変心も重要です。

大会前、NHKの番組で「プロフェッショナルとは…(長い沈黙の後)…ケイスケ・ホンダ」と発言して、日本中にイタい奴認定されてしまった本田選手ですが、今大会においては、自らイタい奴キャラを認め、若い選手からいじられまくっていたそうです。

ベテランである本田選手が道化役を買ってまでチームのコミュニケーションを活性化させた効果は非常に大きかったと言えるでしょう。


日本の強みは、ベテラン選手のアドリブから生まれた


(3)選手に任せたこと。

西野監督に与えられた準備期間は約2カ月でした。その期間でできることはあまりありません。

そこで西野監督は「お前はどうしたい」「どうすればいいと思う?」と選手に聞いて回ったと言われています。

ハリルホジッチ前監督ならありえなかったことでしょう。

もともとハリルホジッチ前監督に鍛えられた基本戦術があり、そこに選手が自主的にアレンジする権利が与えられたわけです。

何が起こるかわからない本番に対応するためには、現場で臨機応変に動くことが求められます。

特に今大会のように準備期間が短い場合、現場対応の力が必要不可欠です。

ことに今の日本代表は、世界で戦っている選手たちであり、自分独自のサッカー観や戦術眼を持っているはずです。

そんな選手たちですから、ヨーロッパの有名監督であるといえ、箍(たが)をはめられるのは、欲求不満のたまることだったと思います。

そんな箍が外れて、一気に爆発した。その勢いが、今大会の日本代表の躍進の原動力になった側面は大きかったと思います。

逆にいうと、今大会の日本代表は、ベテラン勢の現場におけるアドリブに頼ったチームです。

そのために、選手たちが気持ちよくプレーできる状況を作る。これが西野監督の基本プランだったということです。

準備期間2カ月の中で、割り切って、できることをやりきった見事なマネジメントであったと評価したいと思います。


西野朗監督の失策


しかし、2点リードしたベルギー戦で、逆転を許してしまったのは、準備期間が短すぎて、「守りきる」というオプションを用意できなかったということでもあります。

ベルギーは、2点リードされた時点で、戦術を変更し、高さと強度で圧倒するパワープレイに出ました。

これに対抗する術は今の日本代表にはありません。

いや、今回の敗戦だけではありません。ベルギー戦の後半3失点は、日本攻略法を世界に晒してしまったといえるでしょう。

特に最後の1点。終了間際のカウンターによる1点は、西野監督の失策だといわれても仕方ありません。

守ってもパワープレイは防ぎようがない。だから攻める。という姿勢はわかりますが、終了間際のカウンターによる失点はさすがに防がなければいけません。

ここは「8強進出」という目標にとっても間違った指示であったと思います。


ワールドカップそのものの方向性が決まった


それにしても今大会、クロアチアだけではなく、ロシア、スウェーデン、メキシコといった中堅国の健闘が目立ちました。

弱者は弱者なりに、強豪国を分析して、強みを消し、弱点を突く戦術が相当以上に機能することを示してくれました。

そればかりか、ベルギーのような強国でも、戦術変更を駆使して、局面を打開するオプションを持っていることを示しました。

今大会を受けて、各国は、戦術オプションを複数持ち、状況に応じて使い分ける柔軟性を持つことをスタンダードにしてくるでしょう。

日本代表も、今大会で戦い方や強化の方向性がはっきりしたはずです。

私のようなにわかファンでもそれなりに、戦術というものを意識してみるようになったわけで、4年後にむけたプロセスを、厳しく評価され続けることを覚悟してもらわなければなりません。

ともあれ、今大会は面白かった。(まだ終わっていませんが)

新たな局面に入るワールドカップに向けて、期待していきたいと思います。





「働き方改革改正法」は、構造変化への第一歩

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「70年ぶりの大改革」と安倍首相のいう「働き方改革法」が昨日成立しました。

残業時間の上限規制、有給休暇取得の義務化、勤務間インターバル制度など、長時間労働を頼みとしていた日本企業の方向性を変えさせる大きな改正だと思います。


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(時事ドットコムニュースより)

社会構造の変化を背景にしており、後戻りできない


この法案改正は、大きな社会構造変化の流れを背景にしているので、後戻りはできないものです。

すなわち、日本の少子高齢化の進展による、労働人口不足と企業業績の低迷が背景です。

企業が業績の低迷を現体制のまま挽回しようとすれば、既存社員をさらなる長時間労働に駆り立てざるを得ず、非人間的な会社生活をますます助長してしまいます。

これはまずい、ということで、政府と厚生労働省は、女性の社会参加、子供を産んでも復帰できる会社制度、高齢者の社会参加、転職市場の活性化、短期時間労働者など多様な働き方の促進などを目指して、法改正に臨んでいます。

残業時間を減らすというのは、これから続く働き方改革の第一歩だと捉えられます。

今のままでは残業規制にも対応できないのでは…


たとえば、残業時間の例でいうと、目安は月45時間ですが、上限は100時間と規定されます。

ただし年間720時間上限ですので、月平均にならすと60時間です。

60時間というと、月20日で割ると、3時間です。休日出勤があると、さらに減らさなければなりません。

それは無理だろーと悲鳴を上げている会社は多いのではないでしょうか。

中小企業は、2020年4月からの施行ですが、最初は厳しく取り締まられることが予測されますので、そんなの無理だと開き直らないようにしてくださいね。

ITやAIの導入だけで生産性向上はできない


今回の法案は、社会が変革に追い付いていないことをわかった上で強行するという、確信犯?的なところがありますので、軋轢が起こるのは織り込み済だと思われます。

当然ながら残業を減らしたからといって、業績が上向くわけでも、従業員の満足度がすぐに上がるわけでもないでしょう。

業績については、むしろ下がるはずです。人手が足りなくなるわけですから。

大手企業の中には、業務プロセスの中に、ITやAIを導入するなどして効率性を上げると主張しているところもありますが、それだけではカバーできません。

ただしい「戦略」を導入することが必要


そもそも日本は欧米に比べて生産性が低いといわれていますが、それは国家の戦略に差があるからです。

生産性が高い国をみてみると、金融に強いルクセンブルグ、スイス、あるいは小国ゆえに特定分野へ特化した北欧の国々が並んでいます。

米国なども、GDPを飛躍させたのは、金融とIT、ヘルスケアという強い分野に投資を集中させ、製造業をある程度見限ったからです。

日本はそこまで成長分野に集中するということができていません。

ということは、各企業がそれぞれ、成長分野を見出し集中する、あるいは成熟した産業内でも差別化して強い会社になることが必要になります。

ここは今一度、真剣に「弱者の戦略」を導入し、生産性を上げるための方向性を見出してください。

その確かな戦略のうえに、業務プロセスを組み立て、効率化を図ることが、それぞれの企業に求められていることです。


ある意味、各社が迷っている今がチャンスだといえます。

独自の「働き方改革」を成し遂げて、プロモーションすることで、人材確保の面でも、ブランド構築の面でも、優位性を発揮できるはずです。





フリーランスが生き残るために必要なのは「営業の仕組み」

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アエラの記事です。

フリーランスが継続的な業績を上げ続けるためのポイントについて書かれています。

内容は、ひたすら営業を頑張るのではなく、既存顧客を大切にしてリピートを得られるようにせよ、というしごく真っ当なものでした。

真っ当すぎて、拍子抜けするかも^^;

フリーランスは「営業の仕組み」がなければ維持できない


ただこの記事が指摘する「ひたすら営業を頑張る」というスタイルが、一人で仕事をするフリーランスにとって無理があることはその通りです。

営業ばかりしていたら仕事できません。仕事をしていたら営業できません。結局、行き詰ってしまいます。

私は営業コンサルタントですし、営業の方法を教える立場ですから、自分でも営業はする方だと思います。

ただし闇雲に営業するわけではありません。

ルーティンとしての作業が営業につながる行動をとっていると自負しています。

これを私は「営業の仕組み」と呼んでいます。

その営業の仕組みはどう作るのか、ここでは言いませんが、フリーランスの方の営業支援もしていますので、ご相談ください^^

顧客基盤を作れば10年以上生き残れる


10年以上、フリーランスを続けようとすれば、強固な顧客基盤が必要です。

まあ、10年以上粘っていれば、顧客基盤はある程度できてくるものですが、そんな自然発生的ではない、意識した顧客基盤づくりを心掛けていれば、それは相当楽になるはずです。

どうすれば顧客基盤を確かなものにできるのか?

顧客満足を第一に考えることはもちろんですが、それだけではありません。

集客、見込み客リスト作り、アプローチからクロージングまでの流れ、アフターフォローを適切に行うことが、その秘訣となります。

詳しくは、ご相談ください^^





メルカリが破格の期待を集める5つの理由

メルカリ


(2018年6月28日メルマガより)


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先週6月19日、フリーマーケット・アプリの展開で知られる株式会社メルカリが、東証マザーズに株式上場しました。

株価は、売り出し公募価格3000円をはるかに超える5000円の値をつけ、時価総額は、約7172億円。

これは、マザーズでは最大の時価総額で、2位のミクシィに3倍以上の差となります。

(マザーズは、ベンチャー企業向けの株式取引所です)


ちなみに株式上場とは、証券取引所で株式の売買をできるようにすることです。

一般投資家でもその株を購入できるようになるので、いい加減な会社の株を扱うわけにはいきません。証券取引所による厳しい審査がなされます。

株式上場している会社が、一定の社会的信用を得たとみなされるのは、そのためです。

もちろん未上場なのに大きな会社もあります。

特に、10億ドル以上の価値があると考えられるベンチャー企業のことをユニコーンと呼びます。

メルカリは永らく、日本のユニコーンの雄と呼ばれていました。

実際、上場してみると、10億ドル(約1090億円)どころではない値をつけたのだから大したものです。


海外での人気が高い


それにしても今回の上場に際して、驚くべきは、海外の投資家からの人気が非常に發ったことです。


あまりに人気が高かったために、海外への割り当てを増やさざるを得ず、国内4対海外6の割合になったということです。

メルカリといえば、日本では知名度が抜群に高い企業ですが、海外ではそうでもないはず。それなのに、海外でこれほど求められたのはどうしてでしょう?

まさにメルカリが、世界で注目され、期待される理由について、考えてみたいと思います。


期待される理由(1)CtoCビジネス


メルカリは、スマートフォン上のアプリで、ユーザー同士が売買するための機能を提供しています。

いわば、フリーマーケットのスマホ版です。

フリマのような取引のことを、CtoC(Consumer to Consumer)と呼びます。

※Consumerとは、一般消費者のこと。CtoCとは、消費者同士のビジネス。

CtoCビジネスというのは、BtoCビジネス、BtoBビジネスに比べて、まだ一般的ではなく、特殊性があります。

BtoB=Business to Business(企業同士のビジネス)

BtoC=Business to Consumer(企業から消費者へ向けてのビジネス)

既存企業があまり手をつけていないCtoCビジネスは、珍しいというよりも、伸びしろがあると考えられます。

そんな中、月間利用者1054万人、月間流通額324億円の規模を持つメルカリは、際立った存在だと期待されています。


期待される理由(2)スマホ対応


もちろん、ヤフーオークションなど、ヒットしたCtoCビジネスはこれまでも存在しました。(オークションはBtoB、BtoCを含みますが…)

が、メルカリの特徴は、スマホに特化していることです。

ヤフオクは、パソコン時代の大ヒットビジネスです。今でも年間9000億円前後の取扱高があるというものの、スマホ対応に遅れて、成長を鈍化させてしまいました。

確かに、パソコンを立ち上げなければならないとイメージされ、ヤフープレミアム会員になることを条件づけられるヤフオクは、今となっては、面倒です。

それに対してメルカリは、スマホにアプリをダウンロードするだけですぐに利用できます。

出品も、スマホで写真を撮って、すぐに登録すれば簡単です。

この敷居の低さが、多くの利用者を呼び込む要因であり、これからも拡大していくと期待されているところです。


「どろぼう市」ゆえの課題


ただし、間口の広さゆえの課題もあります。

フリーマーケットの元祖ともいうべきフランスの「蚤の市」は、別名、どろぼう市と呼ばれています。

文字どおり、盗んできたものを売るような輩が多くいたとか。

メルカリのような間口の広いフリーマーケットには、同じような輩が紛れこむことが容易に想像できます。

盗品であったり、違法な品であったり、そういったものでも販売できてしまうのが、ネットの匿名性です。

実際、メルカリの上場審査に時間がかかったのは、そういう反社会的な取引の温床になるのではないかという懸念からでした。

(現金そのものを販売するなどといういかがわしい取引が相次いだことは記憶に新しいのではないでしょうか)

メルカリ側は、出品物の見回りを強化したり、出品者の身元確認を厳格化したりするなど対策をとっていますが、あまり厳しくすると、フリーマーケットの良さが失われるので痛しかゆしです。

なにせ、トイレットペーパーの芯が売買されるような自由さが、メルカリの良さですからね。

自由さと規律をいかに両立させていくかが、メルカリの課題です。


期待される理由(3)技術面での挑戦


メルカリというと、スマホでのフリマアプリというアイデアで一発当てて、大量のテレビCMによって一気にブレイクした会社だと思われるかも知れません。

確かにそういう側面はあるでしょう。

フリマアプリというのは、特段珍しいアイデアでもないですし、大量CMの効果も絶大でした。

ただメルカリの山田進太郎会長は、プロダクト志向の強い人らしく、メルカリの使い勝手やグラフィックを細かく改善し続けてきました。

こうした小さな差別化の積み重ねが、メルカリの大きな強みであり、競合他社の追随を許さない部分でした。

山田会長は「これからは技術で差別化する」と発言しており、フェイスブックのように独自のAI技術を開発・導入することで、さらなる技術バリアをつくることを目指すとしています。

そして「R4D」なる研究開発機関を立ち上げて、先進的な研究開発に取り組むことを志向しています。


いまでもメルカリにはAIが導入されていて、消費者が商品写真をあげると、商品名や推定価格が提示されるようなサービスがあります。

が、「R4D」は、単にメルカリのサービスを高度化するだけではなく、メルカリグループ全体や、その他将来的な先進技術の開発・実現を目指すそうです。

この技術面での「目線の高さ」と現実的な投資が、メルカリを単なるフリマアプリの会社に止めておかない期待感を抱かせる理由です。


期待される理由(4)本気のグローバル展開


メルカリ創業者の山田進太郎会長は、最初に立ち上げた会社(ネットゲームの会社)を売却した後、世界一周の旅に出たそうです。

その時感じた新興国の状況が、メルカリ創業の大きなきっかけになったといいます。


すなわち「生まれる国が違うだけで、海外旅行することすら難しかったりなど、教育も十分に受けられない新興国がある」

そんな中、スマホが爆発的に普及することが予想されました。

このスマホを利用して「個人同士が物がやりとりできるサービスを作れば、今は貧しい人たちも先進国水準の生活ができるようになるかもしれない」

それが創業時の大きな動機です。

つまり、メルカリは当初から世界中の人に使われることを目指して創業されたのです。

ですから創業間もない頃からの北米進出は、必然だったようです。

日本で知名度を上げて、地理的に近いアジア進出する。という方法もあったはずですが、山田会長は、その道をとりませんでした。

なぜならグーグルしかり、フェイスブックしかり「米国は様々な言語を話し文化を持つ人の集合体で、この国で受け入れられるサービスや技術は世界中で受け入れられる」という考えがあったからです。


もっとも米国市場は一筋縄ではいきません。今はうまくいっているとは言えない状況です。

そこで山田会長が米国に常駐して、陣頭指揮に当たるようです。

このグローバル展開にかける本気度が、世界の投資家の期待を集める理由になっています。


期待される理由(5)人材の豊富さ


メルカリには、業界でも有数の人材が集まってきていることで知られています。


上の記事を読むと、IT系企業の立ち上げに関わり実績を上げた人たちが、総集合といった趣です。

ベンチャー起業家というのは得難い存在です。ましてや起業してそれなりの経験を積んだ人が再出発するならば、出資してやろうという投資家は多いはずです。

そんな世界だから、IT起業家オールスターズのようなメルカリが、投資家の注目を集めるのは必然です。

なぜメルカリには、優秀な人材が集まるのか?

記事には、山田会長の人材獲得にかける情熱が書かれています。

人材マネジメントの神髄とは、つまるところ、能力のある人たちを集めてきて、彼らがチームとして実力を発揮できるようにすることです。

山田会長のこれぞと思った人材を1年以上かけて追いかけ、旅行先にまでついていって口説き落とした逸話が書かれていますが、まさにこれが優れた経営者の仕事の大きな要素です。

さらには山田会長の「目線の高さ」が指摘されています。

目線の高さとは、前項にあった、世界企業を作ろうという志の高いビジョンのことでしょう。

投資家から注目されるビジョンが、業界の優秀な人材を惹きつけ、さらに人材の豊富さが、新たな人材を呼び込む動機になり、かつ投資家の注目を集めるというプラスのスパイラルが起こっていると思えます。


起業家養成所の役割も


メルカリは、他のCtoCビジネスに投資していることでも知られています。


記事によると、いずれもCtoCビジネスを手掛けるベンチャー企業7社に出資したとあります。

記事には「メルカリ経済圏」を強化しようとしているようなことが書かれていましたが、買収するのではなく、少額出資に止まっているのは、自社の補完ではないように思います。

どちらかというと、起業家支援をして、日本のCtoCビジネスを全体として盛り上げようという意図を感じます。

投資を主導するのは、山田会長ではなく、松本龍祐執行役員です。

松本氏も御多分に漏れず、自らベンチャー企業を立ち上げ、ヤフーに売却した経験を持つ人です。

そんな松本氏ですから、立ち上げ期のベンチャーの難しさをよく理解しているのでしょう。資本を入れて、集客を支援したりしています。

いわばメルカリ起業支援所、起業家養成所みたいなものですか。

こういう我田引水さが薄いところにも、メルカリの「目線の高さ」が現れていると感じます。

メルカリのような起業経験者が多くいればいるほど、日本経済は活性化するはず。その意味でも、同社の行為は、社会的に歓迎すべきものでしょう。

メルカリの他でしたら、DMMが、若い人材に新事業開発を任せて、経営者人材の輩出に一役買っています。

ライザップもそうですね。持ち込まれた小さな企業を次々買収し、結果的に経営者育成をなそうとしています。

こうした企業によるスピード感あふれる起業支援が増えてくるのは実に素晴らしいことだと思います。


期待が高いだけに、裏切られた時が恐ろしい


しかし、気をつけなければならないのは、メルカリはまだその目標の第一歩しか達成していないということです。

アメリカ進出が成功するという保証はどこにもありません。むしろ非常に厳しいという予測が大勢でしょう。

少なくとも、これから数年は正念場が続きます。

メルカリが大成するもしないも、まだ何も決まっていないというのが現状なのです。


山田会長は言っています。

「日本のインターネット業界で海外で成功した事例はまだないし、成功できると思っている人は少ないかと思います。どこか1社が成功すれば、「うちも」と後に続く企業は出てくると思う」

この目線の高い姿勢は、やはり魅力です。応援したくなる気持ちにもうなずけます。


ただ、どこかで山田会長が「やっぱアメリカは無理。日本ローカルで稼ごう」なんて目線を下げた途端に人材の流出が起こります。そうなると没落も早いものです。

要するに、内外から期待されているメルカリだけに、期待が裏切られた時の急降下が恐ろしいと言えます。


メルカリは志半ばで倒れたが、多くの優秀な人材を残した。

なんて物語のような終わり方は望みません。

16歳の天才起業家にみるスタートアップの世界

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高校3年生の起業家が話題になっています。

16歳の天才プログラマー


6歳でプログラムを始めた天才プログラマーで、中学生時代から5つのベンチャービジネスを立ち上げてきた人です。カード決済アプリの開発においては、1億円の資金調達を果たしたということでニュースになりました。

1億調達した16歳天才プログラマーは日本復活をかけて東京で戦う

もっとも、そのカード決済アプリはモノにならず。次に手掛けたのが、レシート画像を買い取るサービスでした。

レシート画像を買い取るビジネス


ユーザーが、専用スマホアプリ「ONE」をダウンロードして、レシート画像を撮影すると、10円がもらえます。

ただし1日10枚まで限定、つまり月3000円程度です。

【検証】レシートを撮影するだけで、1枚につき10円で買い取るアプリ「ONE」登場! 早速バンバン撮影してみた結果ッ!!

でもレシートを撮影するだけで月3000円ももらえるなら、いい小遣い稼ぎになると思う人もいるでしょう。

そんな内職感覚の人が多かったのか、利用者が殺到してしまいました。1万人程度の予想が、初日から7万人の利用があったとか。

不正防止のために導入した本人認証サービスのコストなども含めると、初日だけで数百万円のコストがかかる計算になった。「1カ月続ければ数億円」(山内氏)として、その日のうちに一時停止を決めた。

せっかくのヒットサービスも1日で終了です。


ちなみに山内氏が思い描いていたビジネスモデルは、利用者の個人情報とレシート情報を蓄積して、欲しがる企業等に販売するというものです。

もっとも発案から3週間でサービスを始めたとあって、買い手企業も決まっていない状態でした。

失敗しても山内氏の価値は下がらない


この事例を聞いて、ある起業家が語っていた言葉を思い出しました。(誰だったか思い出せませんが…)

クラスで中ぐらいの成績があれば起業して成功するのは簡単。公務員になる方が全然難しい。

公務員をけなしているわけではありませんよ。念のため。

起業というのはやるかやらないかの世界であり、アイデアがあれば風呂敷をしまうことも考えずに、とりあえずやるというのが正しい。だから思いついてすぐにサービスを立ち上げた山内氏は、起業家の鏡です。

要は、コンセプトをすぐに実現させようとする行動力とプロトタイプを立ち上げる技術力、そして必要な人材を集めてくる能力があれば一応は成立するのがスタートアップです。

たとえ失敗に終わったとしても、これだけのユーザーを集めることができた山内氏の価値はうなぎのぼりです。

今回も、DMMが、助け舟を出すことになりました。

広告モデルで再出発


DMMと提携して再スタートしたのは、ガソリンスタンドのレシートを登録すると、100円程度のキャッシュバックがあるというサービスです。

そのかわりユーザーには、DMMの広告が提示されます。

何のことない。広告モデルのビジネスに転換です。

助け舟を出したDMMの思惑


これが本当にビジネスとして成立するのかは疑問ですが、DMMとすれば、山内氏と関係を作りたい、できればグループに取り込みたい、という思惑が見えますので、ビジネスにならなくてもいいのでしょう。

何しろ16歳でこれだけ多くのサービスを立ち上げてきた山内氏の経験値は、得難いものがあります。

高校生の天才プログラマーというバス要素もあって、一種のスターですからね。

DMMならずとも、欲しい人材だと思います。

次回の戦略勉強会のテーマとします(6月28日木曜日)


それはそうと、レシート買い取りサービスというのは、コンセプトとしては面白いと思います。

やりようによっては、ビジネスとして成立させることができたでしょうし、様々なバリエーションも作ることができそうです。

というわけで、次回の戦略勉強会(6月28日木曜日)で、取り上げてみたいと思います。

どうすればレシート買い取りサービスは成り立つのか?

このコンセプトを使って他のサービスは立ち上げられないか?

など、話し合ってみたいと思います。




スマホ(QR)決済は超便利

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スマホアプリ決済が一般化した中国の状況をレポートした記事です。興味深い。

効率、安全、信用 スマホ(QR)決済は超便利


中国では想像以上に、脱現金が進んでいるようです。

たとえば、深センのレストランでは、QRコードを読み込むと、メニュー選択から決済までスマホ内で完結してしまい、あとは料理が出てくるのを待つだけという状況だそうです。

店とすれば、キャッシュレジスターもいらなければ、警備会社による現金の送迎もありません。電子マネーの読み取り機も必要ありません。固定費が省かれるわけで、合理的です。

またスマホ決済が、自動販売機の普及を促しました。

日本に比べて海外で自動販売機が普及しないのは、現金盗難のリスクが高いからだと言われています。小銭を貯めこむ自動販売機は、治安の悪い地域では、強盗の貯金箱扱いにされそうです。

しかしスマホ決済なら現金を扱わないので、現金狙いの盗難はありません。

もう一つ。スマホ決済は、個人情報と結びついています。いわば個人信用と紐づいていますから、それを使って勝手なことはできません。だからレンタル傘などのサービスを展開しても、持ち逃げされる恐れが少なくなるというものです。

深センには、無人コンビニの実験店もあるようです。

支払い20秒 続々登場する深センの無人コンビニ体験

スマホ決済の普及が、いかに社会の在り方を変えるのかを垣間見させてくれる事例です。

日本でもようやく統一規格作成の機運が


日本の場合、現金信仰が強いと言われていますし、クレジットカード会社が強いのでスマホ(QR)決済の普及を嫌がっているという説もあります。何せクレジットカードの手数料は高いですからね。スマホ決済なんてされてしまうと、クレジットカードが成り立ちません。

日本では、ドコモや楽天など携帯電話を扱う企業が、QR決済に積極的です。LINEなども狙っていますね。ようやく統一規格を作ろうという機運が盛り上がってきました。

QR決済の規格統一、年内にも行動指針 経産省

QR決済って、ホントに便利?

社会的には、スマホ(QR)決済が普及した方が、全体的なコストは下がりますから、その方向へいくのは自然な流れです。

どうやら、この分野でも様々なビジネスが生まれてきそうです。

プラットフォームを握る企業はもちろん大きなうまみがありますし、そうでなくても、新規サービスやビジネス開発がいくらでもできそうですよ。

起業のチャンスです。








カラオケの新潮流が生まれている?

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かつて業界1位だったシダックスが撤退(シダックス側は否定)したことで話題になったカラオケビジネスですが、相当様変わりしてきているようです。

シダックスがカラオケ事業の撤退に遅れた理由

部屋だけを貸す低価格路線が伸長


シダックスのカラオケ事業が立ちいかなくなった理由は、市場の変化についていけなかったことです。

大箱のカラオケルームを抱え、充実した料理込みでビジネス展開していたシダックスですが、市場はひとりカラオケや、持ち込みOKの低価格カラオケを評価しています。

低価格路線爆走中のコシダカホールディングス(まねきねこ)の好調ぶりが、それを表しています。

明暗わかれたカラオケチェーンの状況

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シダックスは、店舗賃貸の長期契約に縛られて機動的な統廃合ができなかったと言われていますが、市場の変化にあわせて新たなプレーヤーが登場しているようです。

「歌わない」カラオケルームの利用需要を開拓


記事で紹介されているのは、紳士服を主力とするAOKIホールディングス傘下のコート・ダジュールです。

こちらは、シアタールームや女子会ルームなど、「歌わない」カラオケ店の利用需要を取り込もとしています。

確かに防音設備の充実したカラオケルームは、仲間内で話したり、あるいは交渉事をするのに適しています。

かといって通常のカラオケルームで商談するのは、若干みすぼらしいものがありますので、そこに適した部屋があればそれは有難いといえるかも知れません。

13万室以上のカラオケルームをどう使っていくか


カラオケ白書によると、2015年のカラオケ店数は9555店。ルーム数は134200ルームだということです。

これだけの数があるということは、ちょっとしたインフラ設備だといってもいいかも知れない。

仮眠、自習、楽器の練習といった一人需要から、同窓会、雑談、商談、勉強会、会議といった大勢での需要まで、使いようによっては使えます。ライブビデオを使えば、講演だってできるかも知れません。

しかも、ホテルの貸会議室を利用するよりははるかに低価格ですむはずです。

いまはカラオケルームといえば、何でも勝手に使ってくれ、というまねきねこスタイルの低価格路線が勝ち組となっていますが、それとは別に、コンセプトを明確に打ち出して需要の喚起を狙うコート・ダジュールの取り組みは面白いですし、評価できると思います。




プロフィール
komai 小

営業関連のコンサルティングをしています。
製造業や卸売業などの営業組織を強化する仕事を得意としております。

株式会社クリエート・バリュー代表取締役
NPOランチェスター協会理事
NPOランチェスター協会関西支部
NPOランチェスター協会認定インストラクター
中小企業診断士   販売士1級

コンサルタントになる前は、日本酸素株式会社魔法瓶事業部(現在のサーモス株式会社)で14年、営業担当をしておりました。
その時、廃業寸前の赤字だった事業部がわずかの期間で世界トップ企業になった経緯を体験したことが、経営コンサルタントになったきっかけとなりました。
当時、経験したことや見聞したことを物語風にアレンジしたのが、拙著『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』です。
面白い本なので、ぜひ読んでください(^^)

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