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大阪在住の経営コンサルタントのブログです。

快挙!! 井上尚弥が、PFP1位に!

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世界のボクシング関係者を驚愕させた6月7日の試合から数日、井上尚弥が、ついに、PFP(パウンド・フォー・パウンド)1位に選出されました。

PFPで1位になること


PFPとは、体重差がないと仮定して最も強いボクサーは誰か?を示すものです。

ボクシングは体重の影響が大きい競技なので、重量級と軽量級が実際に闘うことはありません。闘えば、重量級が必ず勝つでしょう。が、純粋にボクシングの技量で比較すれば、軽量級の選手の方が優れていると思える場合も多いわけで、それを具現化したのが、PFPです。

世界で多くのボクシングメディアが独自にPFPランキングを発表していますが、最も権威あるといわれているのが、老舗ボクシング雑誌である「リング」のPFPランキングです。

このリング誌PFPランキングで、井上尚弥が1位と認定されたのです。


これ、すごいことです。

サッカーでいえばFIFA最優秀選手、野球でいえばメジャーリーグのMVPに選出されるようなものです。

メジャーリーグの方は、大谷翔平がいち早くMVPに選出されましたが、それと同じぐらいの偉業です。

野球に比べるとマイナーな競技のため、知名度では大谷選手に劣るものの、世界のボクシング関係者のなかで、井上尚弥の名前は轟いています。

マイク・タイソンでさえ、井上尚弥を「とんでもない奴だ」と絶賛しています。

圧倒的な試合内容


日本人史上最高傑作と称される井上尚弥のことを日本人でいる私はよく知っているつもりでいましたが、それでも7日の試合は、想像の遥か上をいくものでした。

試合前、井上が負けることはないだろうと予測されていましたが、相手はボクシング殿堂入り確実だといわれるノニト・ドネアです。3年前の初対戦では、井上の右目を破壊し、判定までもつれこませた実績があります。

ドネアは今回も自信満々で「井上に罠をかける」と不気味なことを言っていました。ボクシング関係者の中にはドネア有利を指摘する声もあり、前評判ほど簡単な試合ではないと思わせたものです。

実際、試合でも絶好調時の動きを見せて、この試合にかける並々ならぬ意欲を見せてくれました。

しかし、井上の能力はそれ以上でした。

ドネアのいう「罠」とは、カウンターをとるための撒き餌のことだったと思われます。例えば、3年前の試合では、撒き餌としてボディを執拗に打ち、意識を下に向けさせておいて、顔面に左フックを叩き込みました。今回も、類似の作戦を描いていたはずです。

が、そんな意図は井上も先刻承知だったはず。圧倒的なスピードで相打ちさえも許さず、あげくは、カウンターをとりにきたドネアに逆にカウンターを叩き込んだのです。

1ラウンド終了間際のクロスカウンター(カウンターに対するカウンター)はあまりにも見事でした。日本の現役ボクサーが「漫画でしか見たことがない」と呆れたように言っていたのが印象的です。

この一撃でドネアは記憶を失ったことを後に述べています。「これまで受けた中で最も強いパンチだった」「気がつくとレフェリーがカウントしていた」「それで自分がダウンしたことを知った」

テンプルを打ち抜いたこのパンチの影響は甚大で、ゴングに救われてKOは逃れたものの、実質ここで勝敗は決したといっていいでしょう。


ここからの井上も完璧でした。

ドネアのパンチがまだ生きているとみたのか、無理に攻めようとせず、絶妙な距離からコンパクトなパンチを着実に当てていき、回復させませんでした。

ダメージの残るドネアとすれば、もはやパンチを振り回して一発逆転を狙うしかありません。それを封じるような攻めをされては、打つ手なしです。

2ラウンドは、殆ど残酷ショーのような様相になってしまいましたが、それは井上の攻め方が、あまりにも緻密で無慈悲だったということでしょう。

この完璧な試合運びを見せられては、PFP1位になるのも時間の問題だとボクシング関係者がコメントしていました。

変革期にあるボクシングビジネス


井上が所属するジムの大橋会長は「まさか自分が生きているうちにFPF1位の日本人選手を見るとは思わなかった」と述べています。

井上尚弥の並外れた能力があればこそですが、背景には日本人選手の海外進出が盛んになったことが指摘できます。

日本に経済力があった頃には、日本国内市場だけでボクシングビジネスが成り立ちましたが、今はそうではありません。日本のボクシング業界全体がグローバルなビジネスに取り込まれつつあります。

今回の試合も地上波放送はなし。アマゾンプライムの独占放送でした。

アメリカ主導のビジネスに取り込まれることに複雑な気持ちが無きにしも非ずですが、市場が広がった分、現場のボクサーの収入は増えています。

井上以外にも海外で活躍するボクサーは出てきていますし、海外のプロモーターも日本人に注目するようになっています。

井上に触発されて、才能ある次世代のボクサーが続々出てくることに期待します。これからのボクサーは海外進出ありきなので、井上以上に稼ぐ人が出てくることでしょう。ボクシングファンとすれば楽しみなことです。

ビジネスの形が変革するとき、いちはやくポジションを確保した者が生き残りやすくなります。いまボクシングビジネスはちょうど変革期にあるわけですから、各自がどう動くのかとても重要な局面だと思います。

ボクシング 井上尚弥にあって、山中慎介になかったもの

井上尚弥が導く異次元のボクシングビジネス

井上尚弥がはじめての苦戦から得たもの

井上尚弥はボクシングの未来を拓くか

コロナで停滞するボクシングビジネスにどのような未来があるのか?

井上尚弥が真のスターになるためには何が必要か?


人口減少問題ってむちゃくちゃ重要ですが、日本人の半分は他人事だと思っています

人口減少問題


日本はいずれ存在しなくなる?


先月はじめ、世界有数の起業家であるイーロン・マスクが、ツイッターでつぶやいたことがニュースになりました。


テレビなどでも採り上げられた話題なので、ご存知の方も多いでしょう。

マスク氏は、つぎのようにつぶやきました。

「当たり前のことだけど、出生率が死亡率を上回るような変化がない限り、日本はいずれ存在しなくなるだろう。これは世界にとって大きな損失になる」

ずいぶん極端なつぶやきですが、言いたいことはわかります。

現在、日本は少子高齢化、人口減少が加速しており、このままの数値が続けば、計算上、日本人はいなくなってしまいます。

もちろん、このままの数値が続くわけがありません。いずれ人口バランスが適正化し、人口減少は止まります。

しかし、人口減少の勢いがあまりにも急激なので、問題は多い。マスク氏は、そうした事態を放置する日本をはじめ先進国政府に警鐘を鳴らし続けています。


世界が人口減少期に入る


総務省の推計によると、日本の人口のピークは2004年の1億2784万人です。

そこから人口減少が始まり、2050年には1億人を、2100年には5000万人を割り込むとしています。

明治維新の頃が3330万人といいますから、200年かけて明治時代の人口に戻るという計算です。


これは日本だけの現象ではありません。世界の先進国ではいずれも少子高齢化が進んでおり、人口減少期を迎えています。

それだけではありません。米ワシントン大学の推計によると、アジア、アフリカを含めた世界全体の人口が2064年をピークに減少に向かうというではないですか。

約200年続いた人口爆発期が、急激な人口減少期に移行するというのは、世界共通のトレンドなのです。


人口が少なくなるメリット


人口が減っていいこともあります。

とりあえず危ぶまれていた世界レベルの食料危機は回避されそうです。昆虫を食べる必要もなくなりそうですよ。

人が少なくなれば、環境問題も軽減されます。持続可能な開発という問題は自然に達成されていくかもしれません。

このまま経済格差もなくなり平和な世の中がくればいいなあとお花畑的な夢想をしたくなりますな。

もしかしたら2100年以降、人口バランスが適正になった時代からは、いい世の中になっていくのかもしれませんね。


経済破綻の末、日本が消滅する?


しかし、そこに至るまでが大変です。

なにしろ一度増えた人口が減る時のマイナスのエネルギーは半端ありません。

少子高齢化が進むということは、高齢者に比べて生産年齢人口が減るということです。

当然、GDPも税収も減ります。

高齢者福祉費は増大するのに税収が減り続けるのだから、その他に回すお金がなくなります。

例えば、地方のインフラを整備する余裕はありませんから、地方都市の多くは廃墟のような状態になってしまいます。

がけ崩れの道もそのまま、電気も水道も安定しない、ごみも回収されない、警備も弱い、ネットもつながらない場所で、いまさら生活できるでしょうか。

そうなると、都心部に人口が集中し、今よりもむしろ人口過密状態になります。住宅費は高騰し、地方から来た人たちは行き場がなく、大規模なスラム街が形成されるかもしれません。

防衛費も減らさざるを得なくなります。

今回のロシアの侵攻は、人口減少による国力低下の危機感が引き金になっているとする分析があります。

それを思うと、日本が経済破綻した末に、どこかの国に併合されてしまう悪夢のシナリオだってないとは言えません。そうなると、本当に、日本が存在しなくなってしまいますね。


少子化を食い止めたフランスの社会改革


人口減少は避けようがありませんから、少しでもその痛みを和らげる対策が必要です。

一般に、人口減少を食い止めるには、移民を受け入れるか、出生率を上げるかです。

しかし、世界中の人口が減ると、移民そのものも減っていきます。短期的には移民受け入れは有効ですが、抜本的な解決策にはなりません。やはり出生率を上げて減少のスピードを遅くすることに取り組むことが肝要です。

日本の場合、合計特殊出生率(一人の女性が一生で産む子供の数)は1.4程度です。

これに対して、20年以上この問題に取り組んできたフランスは、出生率を2程度にまで引き上げることに成功しています。

詳しくは述べませんが、フランスの対策は、結婚や就業に関する男女格差を是正し、女性が出産・育児に向き合っても損をしない制度作りに力点を置いています。

例えば、フランスでも、結婚は神聖なもの、妻は夫に従うもの、家事は女性がするもの、という意識があったようで、キャリア志向の女性にとっては結婚も出産も損なことでしかありませんでした。

それを是正し、結婚しなくていいですから好きな時に子供を産んでください、経済負担はできるだけ国が負います、育児休暇はキャリアのマイナスにさせません、婚外子を差別させません、という制度に変えたことが、現在の出生率につながりました。

フランスのやり方を日本も大いに参考にするべきです。

が、生まれてくる子供の6割が婚外子だというフランスの状況を受け入れるためには、日本人に馴染んだ戸籍制度や家制度の概念を根本から改める必要があります。これを嫌がる人たちが日本には大勢いるのですんなりとはいかないでしょうが。


日本人の半数が逃げ切れる


少子高齢化問題に対しては、一部諦めムードが漂っています。

この問題に真剣に取り組む政治家を見たことはありませんし、選挙の争点にもなりません。そんな遠い未来のことよりも、いま、得になることをしてくれよ、という意見が殆どです。

じたばたしても止めようがないし、なるようにしかならない、日本人は優秀だからいざとなれば何とかするよ、というのがマジョリティの考えなのでしょうね。

でも、気を付けてくださいね。いま、生きている人の半分近くは、この問題が深刻化する前に逃げ切る(あの世に逝く)人たちです。

私もそうです。成長期の恩恵を食いつぶして逃げ切る世代の一人です。

そんな私が言うのだから自己矛盾ですが、老人の余裕を信じてはいけません。

これ、放置していたら、どえらいことになりますよ。


小さくても行動することが大切


思えば、この件、ピーター・ドラッカーが20年前に「すでに起こった未来」として論文に書いていたんですよね。

日本人の半数は逃げ切れると言いましたが、実際には、既に社会のあちこちに影響が出ており、企業は自身が生き残るために対応しています。

ビジネスで起きていること、企業の統廃合も、戦略転換も、新事業の立ち上げも、ほぼすべてが、少子高齢化や人口減少が背景にあると言ってもいいでしょう。

企業は、生き残るのも潰れるのも自己責任ですから必死です。

生活者は自己責任ではない部分もありますが、一人一人同じように真剣に行く末を考え、行動することが必要だと思います。

といってもできることは限られています。

まずは、少子高齢化と人口減少がどえらい重大な問題であることを理解すること。

できるだけ世の中の動きや変化を見て、影響がどの程度出ているかを認識こと。

そして、問題の深刻さを自分なりに発信し、投票行動で政治家を動かすこと。

小さくても行動することがとても大切です。

逃げ切り世代の一人として、罪悪感を少しでもやわらげるために行く末を憂うふりをしているだけかもしれませんが、この問題はしつこくとりあげていきたいと思います。



アフターコロナ あいりん地区は次のウラ難波となる

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あいりん(愛隣)地区、昔の名称でいえば釜ヶ崎は、江戸時代からあったスラム街が明治時代の都市計画で移転した地域のようです。

戦後にはドヤ街として拡大し、全国から日雇労働者が集まる街として定着しました。同地には就労斡旋と福祉を目的とする施設が開設され、安い簡易宿泊所が多くあり、無料の炊き出しも頻繁に行われているので、仕事にあぶれてもここに来れば何とかなるという場所となっています。

日雇い労働者を相手にする商売が多く、街全体が低価格のサービスであふれています。それだけならいいですが、昼間から酔いつぶれて寝ている人もいるし、あちこちでもめ事が起きているし、いささか不穏な雰囲気があります。

私が子供の頃は、足を踏みいれてはいけない場所と言われていたものです。

急速に観光地化


ところが、NHKの朝ドラの舞台となったり、小さな遊園地ができたりして、ここ20年で急速に観光地化していきました。若い女性などが二度漬け禁止の串カツの店に並び、通天閣をバックに写真を撮っている姿を見ると隔世の感があります。

その果てが、星野リゾートの開業です。関西空港とカジノリゾートを結ぶ場所として大阪市が誘致したのでしょうが、受け入れた星野さんも思い切った決断をしたものだと大阪人は誰もが思ったはずです。

若者や外国人が集まっている


記事を読むと、星野リゾートの開業を象徴として、様変わりしていく同地域の姿が書かれています。

同地には、家賃や物価の安さを求めて、若者や外国人などが集まってきているそうです。

コロナ前にも、中国人が集まってきて中華カラオケなるものが商業集積化していると話題になっていました。いっそのこと、この地域に中華街を作ろうという構想まで持ち上がっていたものです。

最近はベトナム人が集まってきているとか。ますますカオスな状況となってきているようです。

地域のポテンシャルは高い


これはコロナ禍で早まった都心部への人口流入を示す事例だと考えます。

この地域は、難波と天王寺の間にあり、実は便利な場所です。それなのに物価が低いので人が集まりやすい。大阪人以外には偏見もないでしょう。

思えば、ウラ難波なる場所も、比較的辺鄙で家賃が安い地域に若者が思い思いの店を出すことで自然発生的に生まれた繁華街です。

あいりん地区から新世界までのあたりが、次の繁華街になっていく可能性は充分にあると考えます。

もちろん今でもこの地域には、都市伝説めいた胡散臭い話がまとわりついています。ただ、そうした猥雑さも、繁華街の魅力の一つですよ。変に統制せず、外国人や若者の思うままにしてもらうことがいいと思います。

あとは地権者が、欲気を出して家賃を高くしないことですね。


個人的には、難波〜日本橋〜新世界のルートはポテンシャルが高いと思っています。コロナが収束しインバウンドが戻ってきた暁には、堺筋を夜間通行止めにして、台湾や香港のような夜市を作ってほしいと思います。

強力な観光資源となると思うのですがねー



亀田製菓 インド出身CEOから伝わる成長意欲

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米菓トップの亀田製菓に関する記事です。

売上高1033億円、営業利益56億円。(2021年3月期)

菓子関連企業で売上高1000億円を超えているのは数社です。

カルビー(2667億円)、ロッテ(2065億円)、森永製菓(1918億円)、江崎グリコ(1625億円)、明治HD(1150億円)、ブルボン(1184億円)※ロッテ、森永、グリコ、明治に関しては部門売上高

コロナ禍で市場そのものは拡大してきましたが、亀田製菓に関しては、売上は横ばいです。ただスーパーなどでの安売りを控えたために利益高は上昇しています。

新潟の農民組合が大企業に


亀田製菓は、1946年、新潟県中蒲原郡亀田町の農家の方々が結成した亀田郷農民組合を祖にしています。

当初は水あめを製造していたようですが、その後米菓子に進出、1966年にはピーナッツ入りの柿の種の製造を開始、1976年にハッピーターンを発売しています。

農民組合を出自にした会社が、ここまで大きくなったというのは珍しい。創業メンバーの強いリーダーシップが効いたのだろうと想像しますが、詳しくはわかりません。

ただ、最近の亀田製菓は、変革意欲にあふれており、異業種から積極的に人材を登用したりして、ローカル企業からの脱却を目指しているようです。マスコミへの露出も多くなっています。

海外進出か、新事業創出か


菓子業界全体にいえることですが、少子高齢化により成長は頭打ちです。今まで通りの事業ではじり貧になってしまうことは確実です。海外進出するか、他の事業分野に進出するかが求められます。

カルビー、グリコは海外進出に意欲的です。カルビーの海外売上高比率は20%、グリコは15%。

これに対して亀田製菓は8%。他の菓子メーカーに比べると、それでも意欲がある方です。

しかし、日本独自の米菓が、海外に受け入れられるかどうかは未知数です。

同社の海外進出がハーバードビジネススクールのケーススタディとして採り上げられているという記事がありましたが、そこでも「諦めない姿勢がいいが、普及には時間がかかるだろう」と言われていました。

ハーバードの教材になった「柿の種」が大激論を巻き起こす理由

成長意欲は伝わる


今回、インド出身のラジュ氏がCEOに就任するのも、同社の変革意欲の表れなんでしょう。

記事でラジュ氏は「入社してから驚いたのは、米菓以外の『成長の種』をいくつも持っていたことだ。グルテンフリー商品や代替肉、乳酸菌、低タンパク米など、隠れた財産がたくさんあった」と発言しています。

それはその通りなのでしょうが、ある程度の規模の食品メーカーならどこも同じのはずです。

むしろその後の「ブランドもないし、マーケティングもうまくできていない。いい商材がたくさんあるのにもったいない」というところが問題ですし、伸びしろを感じる部分です。

カルビーは、プロ経営者を招いて社内の意識を変革し、さらに米国ペプシコとの業務提携と出資をまとめ、現在の規模に成長する足掛かりとしました。

亀田製菓がラジュ新CEOに期待するのも、こうした劇的な変革と成長をリードすることでしょう。

ラジュCEOの発言によると、米菓以外の事業を拡大した上で海外進出を目指すようです。いまいち具体的なものは見えませんが、成長意欲は伝わります。

果たして目論見通りに成長するのか。今後の具体的な戦略展開を待ちたいと思います。


沖縄は少子化対策の先進地域になってほしい

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沖縄復帰50年の節目ですから、日経新聞も特集記事を組んでいます。上は、4回シリーズの1回目です。

沖縄は日本で唯一の人口増加県ですが、いずれ人口減少期に入ることが予想されており、問題が先延ばしになっているだけだという指摘です。

フランスの少子化三原則


沖縄県が他県と違って人口減少期に入るのが遅れているのは、なぜなのか。

少子化を止めたといわれるフランスのシラク三原則は、

(1)子供を持つことにより新たな経済的負担が発生しないようにする。

(2)無料の保育所を完備する。

(3)育児休暇から職場復帰するときは、ずっと勤務していたと見做して受け入れる。

というものです。裏を返せば、工業化都市化が進んだ先進国では、出産・育児負担が多大で、子供を見てくれる家族がおらず、出産育児休暇がキャリアに不利になるということ。この不利を解消しようというのがフランスの意図で、一定の効果をあげています。

沖縄では、古い日本が持っていた親戚同士が助け合う大家族文化が残っており、子育てや生活面において、ある程度、負担が軽減される素地があるようです。

しかし、こうした文化は徐々に薄れていくものですから、やはり沖縄も都市化が進み、家族の単位が小さくなっていきます。沖縄でも、少子化対策が必要になってくるだろうという所以です。

少子化対策の先駆けとなれる


沖縄の場合、他県ほど工業化社会に順応していないため、その部分の既得権益者が少なく対策も打ちやすいと考えます。

記事では外国人の受け入れについて書かれていますが、これも他県では対応できていない部分です。

が、それ以上に、フランスのような出生率を上げるための施策をとるべきです。

残念ながら他県では、高齢者対策を優先するためか、少子化対策は先送りになり続けています。私以上の世代は、本当に悲惨な日本の状況を見ることなく逝くという余裕があるからか、切迫感を持っていません。有権者がこうですから政治家も動きませんわね。

ここは沖縄県だけでも少子化対策をばっちり行って、日本全体の先駆けにしてほしいと思います。深刻化していない今だからこそ効果も高いでしょうから。

補助金の内容は適切か


沖縄には基地負担を強いているため、その代わりというのか大きな補助金が費やされています。その補助金の内容が沖縄の成長に本当に役立っているのかを見直すべきです。

沖縄は地理的に大きなポテンシャルを持っているので、成長産業のタネはいっぱいあります。

観光地としての沖縄のポテンシャルはハワイ以上

脱観光業を目指すバリ島 もっとポテンシャルが高いのが沖縄だ

観光業だけではありません。日本が遅れに遅れている産業のデジタル化も、既存産業が小さい沖縄なら、いますぐ取り組むことができます。

いつまでもインフラ整備に費用を使うだけでは成長につながりませんからね。

産業振興に加えて、少子化対策の先進地域になることができれば、日本だけではなく世界中から注目され、人材を集めることができるでしょう。

成長する地域として、衰退する日本の希望の星となってほしいものです。



シン・和菓子を生み出せるか

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最近、和菓子中堅企業の廃業や破産が相次いでおり、その背景について書かれている記事です。

直接の影響はコロナ禍ですが、それ以前に、ここ30年和菓子の消費額は減り続けており、構造的な問題であるといえます。

一番の要因は人口減少ということになるのでしょうが、洋菓子がコロナ禍で持ち直していることを考えれば、和菓子側にも特有の問題があります。

洋菓子に日用食の地位を奪われた


記事が指摘するのは、和菓子が日本人の日常に広がり切れなかった状況です。

当然、戦後すぐの頃は、洋菓子よりも和菓子が日常的だったはずです。希少価値のあった洋菓子は、むしろ非日常な特別なものだったと想像します。

しかし、その後、経済成長とともに洋風な食事が日本人の生活に広がっていきました。洋菓子もコンビニやスーパーの棚で売られる日用食になっていきました。

洋菓子メーカーの努力の賜物ですが、洋菓子という範囲の広い多様性が、開発の創造性にプラスに働いたのだと考えます。

今では日用食としての広がりが、洋菓子職人の差別化意欲を生み、それがさらにコンビニスイーツなどにも還元されるという相乗効果を生んでいます。

市場規模の格差は広がるばかり


ところが和菓子の方は、そうはならなかった。

日本人の生活や文化が急速に西洋化していったという向かい風があったことが大きな要因ですが、和菓子メーカーの創造性や努力の不足もあります。

和菓子は歴史的に日本人の生活に入り込んでいるので、和菓子メーカーは新たな開発をしなくても何とかなったということもありますし、伝統に縛られて開発の創造性が洋菓子ほど働かなかったということもあるでしょう。

そもそも和菓子は砂糖そのものが貴重だった時代の気分を引きずっています。甘さに多様な要素を加味していった現代の洋菓子に対抗するのは無理がありました。

いつしか日用食としての地位を洋菓子に譲り、特別な時に添える伝統食になっていきました。

市場のパイが小さければ、当然、そこに投資できる額も小さくなります。雇える職人の数も差が出てきますし、いきおい意欲のある新規参入者の数も洋菓子側に集中していくことになってしまいます。

これでは洋菓子と和菓子の差は開いていくばかりです。

シン・和菓子を生み出せ


人口減少期に入り、地域の伝統需要をあてにする小さな和菓子店にはますます厳しい状況です。廃業は増えることはあっても減ることはありませんよ。

構造的な問題なので、この流れを止めるのは難しいでしょうね。

意欲のあるメーカーの中には、フルーツ大福をヒットさせたり、洋菓子風の和菓子を開発したりしてパイを広げようとするところもあります。が、洋菓子の多様さに比べるべくもありません。

むしろ洋菓子メーカーの方が、和菓子の素材を採り入れようとしています。和菓子メーカーに必要なのは、この貪欲さではないですか。

市場全体の成長はトップ企業の責任だと思うので、和菓子大手メーカーには頑張っていただきたいものですが、有望な話は聞こえてきませんね。

とまあ、他人任せにしても仕方がありません。イノベーションなんて所詮は、他業種のマネや組み合わせから生まれるものです。タネはどこにでも転がっていますから、各プレーヤーがそれぞれ工夫をすれば、何か有望なものもできるはずです。

それ以上に、皆がイノベーションに取り組むことで、業界全体が活気づきます。

シン・和菓子を業界あげて生み出していただきたいと思います。そうじゃないと、じり貧傾向は止まりません。


Zoomは、アフターコロナの成長戦略を示すことができるのか

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zoom、ネットフリックス、ショピファイ、ペロトンなどコロナ禍で大きく業績を伸ばした企業が成長を鈍化させて、株価がコロナ前の水準にまで戻っているというニュースです。

まさにコロナバブルだったのですな。

ネットフリックスについて→ネットフリックスがリアルイベントに事業を拡大

ペロトンについて→「最強のビジネスモデル」はいまも現役バリバリです

コロナ禍で6倍超の成長


ビデオ会議システムのzoomは、いうまでもなくコロナ禍のリモートワークの必要性を追い風に業績を伸ばしました。

zoomの2022年1月期の売上高は、40億9900万ドル(1ドル125円として5123億7500万円)。最終利益は13億7500万ドル(同1718億7500万円)。利益率も高いですね。

これは私の個人的な感想ですが、2年前頃、ビデオ会議システムの中でzoomの通信品質は突出していたと感じます。

グーグルもマイクロソフトも同様のサービスを提供していますが、当時は仕事でつかえるようなレベルではありませんでした。

有名企業を差し置いて名前が挙がるのには理由があると感じたものです。

ちなみに、3年前、2019年1月期の売上高は、6億2200万ドルですから、実に6.6倍ですよ。バブルの桁が大きすぎます。

コロナ収束が見えてきた今期は成長鈍化が著しいとはいえ、これだけ成長した中、株価が元通りというのは厳しい評価です。

成長戦略が見えない


今回の株価急落が、期待が大きすぎたゆえの調整という側面はあるでしょう。が、それ以上に、バブル期に得た利益や資金を有効に使えていないという評価もあるのだと思います。

コロナが収束すれば、事業環境が変化するのは当然で、zoom側も準備していたはずです。

ところが記事によると「解約率の低い企業顧客との結びつきを強くする」というしょぼい施策しか見えてきません。

当面の出血を避けるには当たり前の施策であることは承知していますが、これは成長戦略ではありません。

いまzoomに必要なのは、これだけ拡大した規模を基にしたさらなる飛躍を確実にするための戦略です。

そのためには、zoomの今のポジションでしか生み出せない価値があるはずで、それを明確にすることが必須です。

わくわくするようなビジョンを示してほしい


私もzoomの有料会員ですが、今のzoomには使い勝手の慣れや通信品質以外のメリットを感じません。

グーグルやマイクロソフトの品質が上がってくれば乗り換えることもありえます。

というか大企業を重視するというのですから、私のような泡沫ユーザーは乗り換えざるを得なくなるのでしょうね。

それはともかく、zoomがこれからも生き残るためには、ビデオ会議システムを進化させることで、どのような未来を切り開こうとしているのかを示さなければなりません。

わくわくするようなビジョンを早晩示せるかどうかが、今のzoomに必要なことだと思う次第です。



成長市場で急拡大した日医工が私的整理に至った理由

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後発薬大手の日医工が、私的整理を申請したというニュースです。

後発薬とは、特許の切れた薬のこと。ジェネリック薬です。

2022年3月期の売上高は1790億円。最終赤字は1048億円です。


ちなみに後発薬トップは沢井製薬(サワイグループ)、同じく2022年3月期の売上高は1938億円。最終赤字282億円です。

業界大手2社が揃って赤字決算ということになりました。

ただ、3位の東和薬品は、2022年3月期の売上高1656億円。最終利益159億円で持ちこたえています。

急拡大路線のひずみ


日医工に関しては、昨年発覚した不適切な製造工程による業務停止命令が少なからず影響しています。

同社の戦略は、とにかく薬品数を揃えて品数で勝負するというもの。まるで、ジェネリック薬品のアマゾンです。

扱い薬品数は約1220で、沢井製薬の約780、東和薬品の約770を大きく引き離しています。

現在、政府は医療費削減のため、安価なジェネリック薬の普及を促進しています。業界にとっては、追い風が吹いている状況であり、大手3社はここぞとばかりに拡大策をとっています。

日医工も、他の後発薬企業の買収を繰り返して、売上規模を3倍に伸ばしてきました。

品数を重視するあまり、他社で試験に通らなかった薬を独自の基準で通すという危ない橋を渡ってきたようです。

今回、厚労省にそれが不適切であると指摘され、業務停止および医薬品の大規模な自主回収をするに至りました。

品数を増やすという戦略をとった同社は、採算性の低い商品も扱わざるをえず、もともと利益を出しにくい体質でした。そのため、赤字幅が大きくなったようです。

海外事業の結果が影響


ジェネリック薬に追い風がきているといっても、長期的な成長が続くわけではありません。人口減少していくわけですから早晩、国内市場は成熟、衰退期に移ります。

それが見えているので、日医工も沢井製薬も東和薬品も海外進出を図っています。

実は、日医工も沢井製薬も、海外展開がうまくいっていないので、赤字に転落しました。

これに対して、東和薬品は、海外事業が利益を出したので黒字にとどまったということです。

なんだ、結局は海外事業頼みか、ギャンブルみたいなもんじゃないか、と言われるかも知れませんね。確かに、今回は東和薬品がよかったものの、数年後には違う結果になっている可能性だってあります。

ジェネリックメーカーの米国進出は失敗だったのか―サワイと日医工、減損で最終赤字

「弱者の戦略」を貫けるか


ただ、東和薬品は、扱い商品や進出する分野を絞り、いわゆる「弱者の戦略」で事業展開をしているふしが見えます。

これに対して、沢井製薬はもう少しラフな市場選択に見えますし、日医工に至っては、なんでもありに見えます。

このあたりの戦略への意識が、業績に反映していると、ランチェスター戦略を信奉する私は、考えたくなりますね。

とくに新しい市場に進出するうえでは「弱者」ポジションをとる必要があります。

どの業界でもそうですが、こうした単純な戦略への意識が重要だと思います。

日医工、主力工場で品質おざなり 業務停止で社長減俸





日本でヘルスケア産業が盛り上がらない理由

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アメリカの産業成長を牽引するのはIT・デジタルとともに、ヘルスケア分野だといわれています。

ヘルスケアにもIT・デジタル化が絡んでいて、例によってGAFAMが力を入れています。

突出しているのはアルファベット(グーグル)ですが、その他の企業もこぞって注力しています。

もちろんGAFAMだけではなく、この分野にユニコーン企業(評価額が10億ドルを超える、設立10年以内の未上場のベンチャー企業)は多い。

国別の内訳をみると、アメリカ企業が半分以上、次いで中国、EU、インドなど。日本にはユニコーン企業はなし。この分野で非常に遅れていると言わざるをえません。

日本でも切実な医療費の削減


言うまでもなく、少子高齢化、人口減少が進む日本では、医療費の削減が大きなテーマとなっています。

日本の一般会計支出の3割が社会保障費です。このうち3割強が医療費。諸外国に比べて、優先順位が低いということはありません。

それなのに、この分野に有望な新興企業が少なく、改革も進まない、つまりコストダウンが進まないことは、日本の大きな問題です。

高齢者層へのマーケティングに真剣に取り組む時期がきている

予防、デジタル、個人対応


アメリカの状況をみてみると、ヘルスケア分野の改革は、(1)健康管理・予防の強化、(2)診療やカルテなどのオンライン化、デジタル化、(3)スマホなどによる診療や管理の個人対応、という方向になっています。

大雑把にいうと、スマホで個人ごとに最適な健康管理・予防ができて、必要な時は、やはりスマホでオンライン診療をしてもらえて、データを自分で管理できるというものです。

例えば、健康診断の結果がスマホに送られてくると、医療機関監修の専用アプリやオンライン診療などで内容の分析や治療方法などについてアドバイスを受けます。

必要ならば、治療を受けるなり、ドラッグストアで薬を買うなりを自分で選択し、その後の経過もスマホアプリで観察します。自分で健康管理をするわけで、意識を高めていかなければなりません。

健康管理・予防が強化されれば、病気そのものが減り、国の負担も減ります。その分、医療機関は、必要な患者に集中することができるようになり、充実した治療ができるようになるという算段です。

既得権益層の強い日本


日本でこうした改革が進まないのは、アメリカにはない国民皆保険制度というものが素晴らし過ぎて、付け入る隙がないからだと思われます。

保険制度があるおかげで我々は、安価で医療を受診することができます。

日本の場合、医は仁術という考えがあるのか、診療報酬が細かく点数が決められており、医者の収入を抑える方向になっています。

保険内治療である限り、ブラックジャックのようにすごく腕がいいので報酬も高いというわけにはいかないようです。

我々患者にとっては有難いのですが、お医者さん側とすれば、収入を増やすには、患者数を増やすか、医療行為を増やすかが課題になります。

そんな不埒な医者は少ないと怒られるかも知れませんが、経済合理性とはそういうものです。結果として、患者の診療回数が増えるし、投薬も増えるというものです。

この他、医療従事者、薬剤師、製薬会社、保険会社などガチガチの制度の内に、多くの利害関係者が存在するため、少しの変化でも、割を食う人が出てきます。

要するに既得権益層が多く複雑なので、抵抗が強く、改革が進まないということですな。


改革が必要だと誰もが認めていても、個別の利害調整が難しいので先送りになるというのは、どの組織でもあることですね。

この話、日本の全体に関わることなので重大なのですが、それでも先送りにしようという勢力が強いので仕方ありません。

いよいよ切羽詰まって、どうしようもないところまでいくのだろうなと思う次第です。





高齢者層へのマーケティングに真剣に取り組む時期がきている

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上の記事は、マーケティングの対象から外されがちな高齢者層への考えを変えてはどうかという指摘です。

日本の個人金融資産は2000兆円を超えていると報道されていますが、そのうち1300兆円以上が60歳以上の資産となっています。

この宝のような市場を放置してどうするんだ、というしごくもっともな指摘です。

ちなみに日本では60歳以上の平均貯蓄額は約1300万円です。欧米では、貯金を使い切って死ぬのが幸せな人生だというそうですが、心配性な日本人は、充分すぎる資金を持ってあの世に旅立つのが大方です。

消費意欲の高い時に資金がない、資金がある時には消費意欲がないという状況では、経済が回りません。

そういう意味でも、企業には高齢層へのマーケティングを頑張っていただきたいと思います。


消費意欲の低い高齢者層にいかに訴求するか


マーケティングの対象から外されるのは、そのノウハウがないからでしょう。

これまで企業は消費意欲旺盛な40代までの層をターゲットにしてきました。それ以上になると50代以上とまとめられてしまっていました。

消費意欲が減退する高齢者層をターゲットにしても効率的ではないのでアメリカのような人口が増加している社会においては合理的です。

が、いまや少子高齢化に向かって爆速している日本においては、必ずしも合理的だとはいえなくなってきてきます。

消費意欲の薄い人たちにどのような訴求をするのかは、これから試しつつノウハウを蓄積していかなければなりません。

予防ヘルスケアと資産運用

端的にいいますが、高齢者に対するビジネスの一丁目一番地は、ヘルスケアと資産運用です。

すなわち、

(1)記事でも指摘していますが、高齢者層で最も強い「元気で過ごしたい」という需要。

身体さえ元気ならば、今まで通りの食事もできますし、レジャーもできます。もちろん仕事も続けられます。

つまり身体のケアが基本です。

かといってじじくさい健康茶とか変な体操とかはごめんです。気持ちは40歳代の60歳以上に向けたヘルスケアがまず求められます。

そこが確立したうえで、グルメやレジャー関連の需要が増すというものです。


もうひとつ、

(2)持っている資金を減らさない、できれば増やしたいという需要。

高齢者が資産を持っているといっても、なくなってしまうのは不安です。

心配性は日本人の特性ですな。

ですから、高齢者を富裕層だと考えればうまくいきません。資金の殆どは保険に持っておく必要があるので、使える資金は何割程度かです。

ということは、低価格設定にしなければ、需要を刺激しません。

さらに持っている資金をいかに運用し、減らさないようにするかも重要ですから、資金運用、投資、個人事業に関するサポートサービスも必要となってきます。


要するに、高齢者向けのビジネスとして、まず必要なのが、予防に関するヘルスケアと、資産運用サポートです。

それぞれサービス展開している企業は多いものの、個別展開なので全体像がわかりにくい。

そんななか、和田氏のような識者の提供する情報は貴重だと思います。

これから増えてくるでしょうが、高齢者向けの総合的なノウハウ本に期待したいと思います。




いまどきの部活が優秀すぎる件

いまどきの部活

先月の「戦略勉強会」で、「いまどきの部活」という話をとり上げました。

私には、それがけっこう衝撃でした。


日経新聞のシリーズ記事の第1回です。

記事にあるのは東大サッカー部の事例です。

東大の運動部というと、弱いイメージがあります。確かに弱いのでしょうが、彼らが部活動から得ているのは、目の前の勝敗だけではありません。

彼らは、試合内容をデータにとり、分析し、自軍の弱点をつかみ、修正する作業を繰り返しています。

部に所属するデータアナリストは20人。Jリーグのチームよりも多い。さすが東大です。

それだけならまだわかりますが、彼らは、その能力を使って、海外プロチームの分析を受託しているというから驚きです。

そうした活動も含めて、東大サッカー部は、年間予算の2割強を自前で稼ぐそうです。

これって東大だけが特別なのでしょうか。

記事によると、他の大学でも、こうした部活動の動きは広がっているといいます。

プレーだけではなく、組織運営全体を経験する


スポーツにおいて、データを活用し、科学的に強化する方法論が浸透してきています。

今やトッププロだけではなく、アマチュアや中高生にも、科学的なトレーニングの必要性が認識され、とりいれられています。

その際、圧倒的に足りないのが、データアナリストです。優秀なアナリストは引く手あまたの状態です。

東大に関わらず、部活動で身に着けたアナリストとしての手腕は、必ず役に立つものとなるはずです。

かつて部活動の経験は、集団的規律への適正や精神的な強さを担保するものだといわれ、就職活動で有利になるとされたものですが、今は、その程度ではありません。現実的なノウハウや経験を持つ者として評価されるべきです。

データ分析を例として挙げましたが、それだけではありません。東大サッカー部では、プレーだけではなく、様々な役割があるようです。

「試合運営、強化、選手獲得、広報……。同部には19のユニットがある。部員は希望のユニットに加入し、部の運営を担う。(中略)中には地域連携や国際貢献を行うものまである。幅の広さはプロサッカークラブに近い」

つまり、彼らは、部活動を通じて、スポーツ全般、あるいは組織運営全体の経験を積んでいるのです。

授業では学べない実践経験


以前、経営コンサルタントの大前研一氏が「日本は、学校で教えない分野は世界で通用する」と皮肉な発言をしていたことがあります。

確かに日本人が世界で活躍している分野は、ゲーム、アニメ、スポーツ、音楽、料理など。一般の学校では教えない分野です。

好きなことだとしても、自律的に考え、創意工夫し、試す、この繰り返しの経験は、どんなことをするにせよ社会でそのまま役に立ちます。

学校教育から得られる知識や教養は重要ですし必要なものですが、それとは別の実践経験を部活動で得るというのは、理想的な学校教育の姿ではないですか。

こういう話を聞くと、日本の若者も捨てたものではないなと思いますね。

いや、自分もまだまだ好きなことをして、もう一花咲かせてやろうかとモチベーションを高めました。

ネットフリックスがリアルイベントに事業を拡大

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ネットフリックス続報です。会員獲得に悩む同社が、リアルなイベント開催に乗り出しているというニュースです。

コロナ禍に、リアルからバーチャルへの移行が一般の会社のテーマでしたが、ネトフリの場合は、コロナが収束した後に、バーチャルからリアルへの移行がテーマとなっています。

映画やドラマの定額オンデマンド配信というサービスが珍しかったからか会員獲得に困らなかった時期が過ぎてしまったのですから、自ら仕掛けて顧客創造しなければならないのは必然です。

前ブログでもいいましたが、ネットフリックスはそろそろ収益の複合化を意識しなければならない時期です。これは、映画からテレビ、イベント、テーマパークへと事業を拡大していったディズニーも辿った道です。

ネットフリックスは「弱者」ポジションを変える時期に来ているのか

バーチャルのコンテンツをリアルに展開する


バーチャルのコンテンツをリアルに拡大するというのは、これまでも行われてきました。多くは、テレビなどでキャラクターにストーリー性を持たせておき、リアルなキャラクターグッズの販売や、あるいはイベントを開催することで、身近に感じたい、あるいは同化したいという欲求を満たすものです。

テレビや映画のキャラクターグッズを販売することや、キャラクターショーはよく行われていることですし、少し凝ったものだと、芸能人のオーディションや育成の様子をテレビで放送し、デビュー後のライブなどに顧客を呼び込む方法などがあります。

記事によるとネットフリックスは、コメディに力を入れているのでコメディイベントを開催しているようですね。

日本でもお笑いは強力なコンテンツなので、吉本興業などと提携して、育成リアリティショーなどを放送すれば面白いと思います。

が、お笑い関連については、アマゾンプライムもABEMAも狙っています。芸人自身のユーチューブチャンネルもあります。競争は激しいですよ。

スポーツイベントにストーリーを付加する


リアルとバーチャルの融合ということに関しては、スポーツ関連が最も適していると思います。

残念ながら、ネットフリックスの事業領域ではありませんが、アマゾンプライムやABEMAはここに力を注いでいます。

ただスポーツイベントの動画配信だけでは道半ばです。イベントに至るまでのストーリーをコンテンツにしなければなりません。

アメリカではユーチューバーのボクシングの試合が、正規の世界タイトルマッチよりも大きなイベントとして開催されているようですが、それこそスポーツイベントにストーリー性が重要であることを示しており、スポーツ関係者は学ばなければなりません。

いまのところ、アマゾンプライムもABEMAも、ビッグイベントの放映権獲得に手いっぱいの感があり、背景のストーリーをみせることには神経がいっていないようです。

いや、ABEMAは、格闘技系のコンテンツに、意欲的なものがありますから、いつかそれが育つのかもしれません。期待して見ております。

サイバーエージェント 業績好調ですが、あの部門は赤字脱却が見えません


ネットフリックスはスポーツ関連の番組は弱いようですが、それ以外にもリアルにつなげる方策はいくらでもあります。

いったいどの業界と提携して事業展開していくのかと考えると、むしろ今までよりも楽しみです。

大いに興味をもって見ております。






リモートワーカーのためのセカンドハウスビジネスは成立するのか

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暮らす場所はサブスクで…と聞いて、それ普通の賃貸のことやないかと思いましたが、そうではありません。毎月定額で、いろんな場所の家に住めるサービスを指すようです。

家には、家具や家電が備え付けられており、電気やガスも込みとなっています。ウィークリーマンションを転々とするように、住処を変えることができます。

気の向くままに、いろんな地域で過ごせるというのは、寅さんになったようで気分いいでしょうな。羨ましいと思う人も多いのではないでしょうか。

リモートワークでいいと皆が気づいた


背景には、コロナ禍でリモートワークが進んだことがあります。つい3年ほど前までは、会社員が、会社に出ないで勤務するなんてありえないと思われていましたが、リモートワークにしてみれば、案外いけるやんということがわかってしまいました。

むしろ、通勤時間や移動時間のロスがないので効率がいい。朝の満員電車に乗らなくていいのでストレスが軽減されます。

毎日のように、アホな上司や生意気な部下と会わなくていいので、そのストレスからの解放は、半端ない。しょうもない会議にも出なくて済みます。アホな上司と飲みに行く機会も激減します。

もちろん、皆が一同に会することによるメリットはあるのでしょうが、それ以上のデメリットがあったと皆気づいてしまったらしい。

リモートワークならば、会社の通勤圏に居る必要もないわけです。事情が許す人は、あちこち旅しながら働けばいいのですよ。

リモートワーカーのためのビジネス


記事によると、セカンドハウスの定額貸出をするサービスが活況で、既に2000人待ちの状況だとか。

これは、ビジネスになるかもしれません。

各地域では空き家が増えて社会問題となっていますが、それを活用し、リモートワーカーを吸引することができれば、町おこしになります。

もちろん空き家そのままというわけにはいきません。短期居住者が住めるように改装し、家具や家電、WIFIなどの設備も必要になります。

眺望のいいリゾートマンションとか、高台の戸建てとか、訴求ポイントのある物件が空いていそうじゃないですか。

採算がとれる範囲の投資で済むならば、地元の起業家や自治体が協力して、やってみるのもいいでしょうね。

ビジネスにできるほどの市場か


ただ、投資する側とすれば、この流れが一過性のブームではないと確信が持てるまでは、動きにくいものです。

そもそも、居住地を転々とできるのは、子供の学校や親の介護という事情がない時期です。若い時期、あるいは、引退後の期間です。

引退した後は、どちらかというと一か所に落ち着きたくなるのではないかな。だとすれば若い一時期です。

日本人全員が寅さんになるわけじゃありません。普通は旅行することで、漂白の思いを発散させているものです。

海外旅行が制限されている今だからこそのブームだと考えることもできますね。

そのうち、コロナが収まれば、居住地を転々としたい気持ちは収まるのかもしれませんよ。

リモートワークは普及するのか


あるいは、リモートワークそのものがこのまま普及するかどうかもわかりません。

アフターコロナも、リモートワークを続けると決めた会社もあるようですが、多くは、元通りになるのでしょう。

が、記事にあるように、今の学生は、オンライン勤務を日常だと捉えているといいます。「多様な居住スタイルを許容できない会社は優秀な人材を採れない時代がくる」というのが本当であれば、それは一過性のブームではありません。

リモートワークに対応するためには、企業側は、仕事をタスク化し、評価指標をつくり直して、それを前提とした人事制度を設計しなければなりません。

人事制度設計ができる専門家やコンサル会社の動向を注視していきましょう。


時代がもう少し進んで、自動運転車が普及すれば、家という概念そのものが変わります。そうなれば、リモートワークはもっと普及するはずです。

コネクティッドハウスが普及しつつあるというが、すぐに次のものに移る

それまであと10年か15年はかかるのかな。

徐々に変化していくのか、あるいは一気に進むのか。

見極めが難しいところですが、ビジネスをする者は準備しておかなければなりません。

アンテナを張っておきましょうか。




ネットフリックスは「弱者」ポジションを変える時期に来ているのか

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動画配信サービスのネットフリックスの株価が急落しています。一週間で約7兆円が吹き飛んだというから凄まじい。4年前の水準に戻ってしまったかっこうです。

きっかけは、2022年度第一四半期決算が悪かったことです。利益も会員数も大幅に落ちたため、成長が鈍化した、あるいは壁に当たったとみられました。

ネットフリックスといえば、コロナ禍の巣ごもり需要の恩恵を受けた企業のひとつです。大幅に成長したため、コロナの期間中、ずっと株価が上昇し続けていました。が、コロナが収束気味になった途端に、株価急落とはわかりやすい銘柄ですな。

もっとも、ネットフリックス株が評価され過ぎだという指摘は以前からありました。動画視聴者の会費収入だけという収益モデルは潔くていいですが、会員の増加が止まれば、すぐに成長も止まります。

会員数を増加させるためには、動画コンテンツの魅力を高めるための投資をしなければなりません。だから現金が会社に残りません。利益を投資に回し続ける様は「ハムスターの回し車にいるようなものだ」とまで言われていました。

いつか成長も止まります。が、今回の株価急落をみれば、市場は「ネトフリはまだ伸びる」と考えていたのでしょうね。それだけにショック売りとなってしまいました。

ネットフリックスは、本気のディズニーに勝てるのか?

弱者の戦略から切り替える時期か


ネットフリックスのビジネスは、動画配信のみです。収入は会費のみ。だからやるべきことは単純で、ひたすら動画コンテンツの魅力を高めることです。

やるべきことがシンプルだということは、新興企業にとっての武器となります。あれこれブレることがなく、組織が一丸となって取り組みやすい。弱者の戦略である一点集中です。

成長期にはメリットが大きい戦略ですが、成長が止まると、脆弱さが露呈します。弱者の戦略は、守りに弱い。

今回、アマゾンもディズニーも巣ごもり需要の恩恵がなくなったのは同じですが、彼らは収益モデルが複数ありますから、動画配信ビジネスの落ち込み分を他でカバーする道があります。

大企業は攻めには一歩二歩遅れるが、守りには強い。そのことをネットフリックスは思い知ったでしょう。

今回、同社CEOは、ゲームに進出するとか、広告モデルをとりいれるとか錯乱気味に発言していますが、そりゃ、CEOとしては何か言わなければならなかったのでしょうな。

ただ、ここは複数の収益モデルを組み込む時期に来ていると考えてもいいでしょう。ランチェスター戦略にいう「グー・パー・チョキ戦略」よろしく、成長が一段落した頃には手を広げ(パー)ることが定石です。ダメなものは後から切れ(チョキ)ばいいのですから、複数の収益の線を持つべきです。

ただ、複線化することで、単純明快なネットフリックスの良さがなくなってしまうのは、避けられません。ここは、次の段階に進むという信念をもって取り組まなければなりません。経営者の手腕が試されるところです。

世界的な動画配信メディアとして存続してほしい


ネットフリックスは、動画配信ビジネスのパイオニアとして、いち早く世界展開しています。それが同社の強みとなっています。

ネトフリは、世界各国の制作会社と提携し、地方色豊かなコンテンツの制作を行っています。動画には各国の字幕がつくので、ヒットすれば世界で視聴されます。

世界に通用するコンテンツ作りノウハウを持っている韓国ドラマは、まさに世界的ヒットを連発しています。

日本の制作会社も、遅ればせながら、世界を意識したコンテンツ作りに取り組んでいますが、これはネトフリのような世界的メディアがなければ叶わなかったことです。

日本のテレビ局、狙うは海外 Netflix・Amazonと連携

こういう役割は無くしてほしくないですね。世界からヒット作が生まれるようになれば、ユーザーは喜ぶし、ネットフリックスも潤うし、世界のコンテンツ制作者も恩恵を受けます。

グローバルな動画配信メディアとして、これからも存続し続けてほしいと思います。




コネクティッドハウスが普及しつつあるというが、すぐに次のものに移る

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コネクティッドハウスがそろそろ普及し始めているようです。

コネクティッドハウスというのは、家のあらゆる部分がネットでつながっていて、スマホで簡単に管理できる仕組みです。

家の施錠、家電の管理、防災機能。

もう少し技術が進めば、家族の健康状態も一元管理できるようになります。

記事によると、積水ハウスの新築戸建ての4割が導入しているそうです。

積水ハウスだけではなく、大和ハウスもサービスを始めていますし、ヤマダデンキが狙うのもこの分野でしょう。成長市場だと考えられるので、参入する業者は多いはず。グーグルも既に参入済ですし、個人的にはアマゾンが狙ってくるのではないかと考えています。

トヨタは町全体を再構想


コネクティッドハウスのコンセプト自体は、古くからあるものです。パナソニックなど20年以上前から盛んに提唱していたものです。

が、当のパナソニックは、パナホームをトヨタホームと合併して、このコンセプトからは一歩引いた印象です。

トヨタとパナソニック、住宅事業を統合

トヨタは、自動運転車やEVとともに、町全体を設計しなおそうと構想しており、家の設計はその一部となります。

今のパナソニックには、新産業を引っ張っていく力はないのでしょうね。トヨタの構想に追随する姿勢です。

家そのものが巨大な車となり、スマホになる


情報端末といえばスマホが代表ですが、近い将来には、家や車が、さらに巨大な情報端末になると考えられています。

完全自動運転になれば、部屋と車を分ける必要もなくなります。自分の部屋でくつろいでいるうちに目的地に着くようになります。

つまり、将来の家は、車と部屋が混然一体となったものになりそうです。

トレーナーハウスやキャンピングカーのように家全体が移動するかもしれませんし、あるいはリビングダイニングバスルームだけは固定しておいて、個人の各部屋が分離して移動する形になるかもしれません。

何年先になるかわかりませんが、今ある住宅に無理やりネットをつなげるという形ではなくなります。つながることや移動することを前提とした形となるでしょう。

コネクティッドハウス自身、すぐに次の段階に進むわけで、技術も機能も全然別のものが求められるようになります。おそらくプレーヤーの顔ぶれががらりと変わるでしょう。

成長市場といえども、進化著しい分野ですから、各企業とも生き残るために相当の投資が必要になります。各企業の舵取りが重要な局面が続くでしょうね。



素人目線で怪しい業界はサブスクに取り組め

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「マンション高く買います」「このマンションを探しているお客様がおられます」うちのマンションでも、こういうチラシよく見ます。

売る気がないのでスルーしていましたが、記事によると、ほとんどがウソ情報だとか。不動産屋の店頭にある釣り物件と同じで、部屋を売りたい人を見つけるのが目的だそうです。

「高く買います」の文言に騙された顧客には、後で理由をつけて結局相場で売らせるらしい。相場ならば仕方ないと大きな問題にはなっていないようですが、騙しには違いありません。こんなことをしていると、業界全体の信頼性を疑わせますな。

以前もブログに書きましたが、不動産屋関連の営業には、こうした騙しが日常化しているきらいがあります。

素人目線でおかしい業界は衰退する

以前、関係者に話を聞くと「それぐらい愛嬌だ。顧客側もわかっているはず」などと言われましたが、それこそが業界の体質を表した発言です。「うちの業界を信用する顧客はバカだ」と言っているわけですよ。

ウソを許容する業界


業界全体がウソを許容するのは、そこに合理性があるからです。

つまり、取引案件一つの規模が大きく、取引数が少ない業界は、確実な顧客を見つけることが最大のポイントとなります。しかも、継続取引にならないので、信頼関係を持続する必要もない。

ウソも方便で、とにかく取引を成立させよ、という営業活動が業績向上の最短の道となります。

既存業者の多くは、それがおかしいことだとは思っていないのでしょう。

不動産だけではなく、建築、保険、冠婚葬祭なども同じような特徴を持つ業界ですから、注意が必要です。

増える「ぼったくり」お葬式 コロナのデマで25万円上乗せ……現役葬儀社社長が明かす業界事情

以前のブログに書いた通り、こういう業界は、素人目線でビジネスを組み立て直すだけで、勝ち組となれます。

起業家にとってはチャンスの多い業界ですよ。


サブスクに取り組み、体質を改善する


私が言うまでもなく、各業界で、明朗会計や取引の透明化をする新興企業が現れてきています。明朗会計をうたうだけで成り立つのだからいかに怪しい業界だったかということですよ。

変わる葬儀、費用に幅 家族葬は平均137万円

あるいは、ビジネスにサブスクを取り入れるところも出てきています。メンテナンスやアフターサービスを取り入れると、顧客との継続的なつきあいができるので、信頼関係を裏切れないという縛りが出てきます。

単に継続的な収益を得たいだけのサブスクは顧客に見透かされて失敗しますが、顧客の利益を継続的に高めたいというなら話は別です。しかも、これを為すには、企業の体制も体質も考え方も変えなければならないので、自身のイノベーションにもつながります。

素人目線からみておかしいと思われるような業界は、サブスクに取り組み、成立させることで、企業の在り方を変えることをお勧めいたします。





サイバーエージェント 業績好調ですが、あの部門は赤字脱却が見えません

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ネット広告代理店大手のサイバーエージェントに関する特集記事です。参考になります。

ネット広告のフロントランナー


2021年9月期の売上高は6664億円。営業利益1043億円。オンラインゲーム「ウマ娘」のヒットもあり、過去最高を更新しました。

今期は、利益こそ減るものの売上高はさらに更新する予測を立てています。

ちなみに、広告代理店トップの電通グループの売上高は4兆4982億円。2位の博報堂DYHDの売上高は1兆2979億円。

上位2社は規模が違うので、成長の軸を海外に移そうとしています。が、国内でも黙っているわけにはいかず、ネット広告代理店を買収するなどして、サイバーエージェントをミートしています。

そのため、サイバーエージェントは、ネット広告においても、1位の座を電通グループに奪われる結果となりましたが、こちらは成長市場であるためまだ深刻な影響は出ていません。

メディア育成に乗り出す


サーバーエージェントは、1998年、現在の代表である藤田晋氏が立ち上げた会社です。ベンチャー起業ブームに乗った会社の一つだったのでしょう。当初は営業代行などをやっていたようですが、そのうちネット広告に着目、持ち前の営業力を活かして業績拡大、早くも2000年には東証マザーズに上場、その後もトップランナーとしてネット広告を牽引する存在になっていきました。

広告代理店として成長した企業が、仲介業だけでは満足せず、自らメディアを持とうとするのは、他の大手広告代理店も辿った道です。

サーバーエージェントも、AmebaブログやABEMAを立ち上げ運営し、メディアを盛り上げるためのさまざまなコンテンツ作成にも手を広げています。

オンラインゲームも手掛けており、昨今の好業績は、ゲームのヒットによるものです。

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サイバーは「赤字のアベマ」なぜ撤退せず済むのか

現在の売上構成は、ネット広告45%、ゲーム39%、メディア12%というもの。

ゲームはヒット作頼みですから先が読みにくいですが、ネット広告に関しては、まだまだ成長市場です。先行者のノウハウもあるでしょうし、好調が続きそうです。

ABEMAの未来が見えない


しかし、問題は、代表自らが采配を振るうABEMA(AbemaTV)が、年間200億円規模の赤字を続けていることです。

ABEMAは、2016年にテレビ朝日と共に立ち上げたインターネットTVです。基本無料で誰でも見れますが、一部、有料放送もあります。

内容は、スポーツ、報道、ドラマ、アニメ、バラエティと多岐にわたります。多チャンネルで24時間放送。釣り、麻雀、競輪、格闘技などコアなファンがいそうなチャンネルがあるのも特徴です。

亀田興毅や朝倉未来が、喧嘩自慢の素人と闘う特番も人気を集めています。

(ネットなりの過激な番組があるのかといえばそうではなく、広告モデルゆえに、地上波テレビに準じた内容となっています)

特にスポーツには力を入れていて、メジャーリーグや、次のサッカーワールドカップの放映権を取得するなど大きな投資をしています。

週間アクティブユーザーは1000万人に達したといいますが、未だ黒字化の予測は立っていません。

本来、サイバーエージェントは、テレビに代わる広告メディアを作りたかったのでしょうが、テレビは1番組で1000万人近い視聴者を集めます。それだけに達するには、まだ遠い道です。

そこで、有料会員やペイパービューなどを組み合わせた収益モデルを模索しています。最近では、競輪の番組から直接、車券が購入できる仕組みを導入し、手数料収入を得るようになっています。

コンテンツメディアビジネスの可能性を広げる方策として面白いとは思いますが、収益を多線化すればするほど、本来の広告メディアから離れていきます。

広告代理店事業とシナジーが効くように広告メディアとして成立させるのが本来なのでしょうが、そうもいっていられないので、会員制とペイパービューと広告のハイブリッドでいくということなのでしょうね。

もっとも、広告に頼らない動画ビジネスは、ネットフリックスやディズニーやDAZNや、それこそ投資規模が違う競合がいますから、これもまた茨の道です。

広告もあり、有料会員もあり、ってビジネスとして中途半端に思えます。有料会員になると広告がなくなるメディアって、広告の好感度を悪化させると思うのですが、大丈夫なのかな。広告モデルは、諦めざるを得ないのでしょうか。

今は1000億円を超える利益があるからいいですが、さすがに毎年200億円の赤字は、株主も黙っていないでしょう。

しかし、ABEMAをどのように黒字化していくのか。具体的な道筋はどうもまだ見えてないようですね。



地方の買い物弱者を救う成長ビジネス

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話題になっている移動スーパーの記事です。

昨日は、都心の買い物難民をターゲットにしたスーパーの話でしたが、これは地方の買い物困難者をターゲットにしたビジネスです。

都心のニッチ商圏を奪い合う小売り業

地方の買い物弱者をターゲットにしたビジネス


移動スーパーとくし丸は、2012年徳島県でスタートしたビジネスです。地方で、高齢のため遠出できないような買い物弱者のために、玄関先までスーパー自身が出向くというサービスを展開しています。

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地域の高齢者にとっては有難い社会事業ですが、人口減少の時代になり、地方には買い物弱者がこれからも増えることが予測され、ビジネスとして有望です。2016年からは、食品宅配のオイシックス・ラ・大地の子会社となり、全国に展開しています。

成長を前提とした優れたビジネスモデル


ビジネスとしては、フランチャイズ形式です。

このビジネスをしたい事業者が、フランチャイズ本部であるとくし丸に、契約金50万円と月々5万円のロイヤリティを支払います。初期費用は、契約金も含めて約400万円。上の写真の軽自動車の購入費用もここに含まれます。

そのうえで、地域のスーパーと契約し、商品を揃えます。委託販売なので在庫負担はありません。店頭価格に10円上乗せしたものが販売価格となります。売上高の17〜18%が事業者、12〜13%がスーパーの取り分となるようです。

とくし丸本部によると、事業者の平均年収は500万〜550万円とか。事業者側が、顧客とコミュニケーションをとり、品揃えを工夫したり、常連さんを増やしたりすれば、売上を上積みできる余地があります。努力によっては、1,2年で初期費用を回収できそうです。

このビジネス、都心にも進出しています。昨日のブログにあった通り、都心でも買い物難民は存在していますから、移動スーパーの需要はあります。

いや、都心は人口が多いだけに、需要も大きい。集合住宅の敷地に停めるだけで、それなりの売上が見込めるはずです。おそらくビジネスとして利益が大きいのは、都心への展開でしょう。コンビニやミニスーパーの競合になりますね。

人口減少によりいずれは縮小する


現在、約950台の移動スーパーが稼働しているそうですが、とくし丸本部は、4,5千台までは増やせると踏んでいます。コロナ禍で職を失った方もおられるでしょうから、受け皿となりえます。

スーパー側にしても、店に来れないような顧客に対応でき、売上の拡大が見込めます。宅配を強化する店もありますが、配送コストを考えると、殆ど赤字です。少しでも利益が出るとくし丸との提携は、渡りに船といったところでしょう。

今のところ、FC本部、事業者、スーパー、買い物困難者、それぞれが得をするいいビジネスです。

ただ、人口減少は続くので、いずれは地域の需要も縮小していきます。その際、規模が大きくなったビジネスをどのように維持するのか、あるいは安全に縮小していくのか、そのあたりの見極めと舵取りが重要になってきます。

永遠に続くビジネスなどありませんので、個人事業主の方はお気をつけください。



都心のニッチ商圏を奪い合う小売り業

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コンビニを持たないイオングループが、ミニスーパー「まいばすけっと」を1000店に拡大したというニュースです。

都心の買い物すき間需要を捉えて急拡大


イオングループの総売上は8兆6039億円。このうち、スーパー部門は3兆2488億円。マルエツ、カスミ、マックスバリュが主な店舗です。

まいばすけっとは、首都圏を中心に展開するミニスーパーです。コンビニより少し大きな店舗に、生鮮品や冷凍食品、総菜、弁当など、スーパー未満、コンビニ以上といった品揃えです。

量販店や大型スーパーは、車社会、成長社会に適した業態でしたが、社会の前提が変化しており、大量まとめ買いを頼みにしたビジネスは徐々に成立しにくくなっています。

ですから量販店、大型スーパーは、買い物をレジャー化、エンタメ化する方向にもっていくなど苦心していますが、うまくいっているのは、ドンキかコストコぐらいです。

それに対して、日用のちょい買い需要を捉えて躍進したのがコンビニでした。ここ二十年ほどは、スーパーの苦境とコンビニの拡大をずっと見てきたわけです。

が、コンビニは、あくまでちょい買いです。がっつり買う、ことに生鮮品を買うにはスーパーに行かなければなりません。

それなのに、都心では、車も自転車も持たない層が多く、スーパーまで行くのに難儀します。なんでもあるようで、スーパーがないのが都心なんですね。

その需要を捉えようというのがまいばすけっとです。

イオンはコンビニを持たないので、食い合いを心配する必要はありません。フランチャイズでもないので、展開のスピードが速いです。

都心にはこれからも人口集中すると考えられるので、需要はまだ拡大しそうです。個人的には、心斎橋にも作ってほしいと思いますがね。

さらに小さな商圏を見出すコンビニ

コンビニ側も、品揃えに生鮮品を増やしたり、宅配を強化したりと対策していますが、限界があります。

それよりも、コンビニが取り組むのが、さらに小さな需要をとらえることです。

ポプラ、1坪から出店可能 超小型の無人コンビニ120店

こちらは、会社内などに設置する無人店舗です。品揃えは、自動販売機の延長といった感がありますが、外出しなくてもちょい買いぐらいはできます。会社によっては、コンビニまで遠い場所があるので、重宝するでしょう。談話室にこれが設置されていれば、ちょっとした憩いの場になっていいですね。

商圏を小さく区切ることで成長してきたコンビニですから、さらに小さくするのは、成長の方向としては理に適っています。

自動販売機側がどう対応するのか見てみたいものです。

いずれにしろ、人口流入が考えられる都心では、新たな需要がこれからも生まれてきます。

新たなビジネスの登場を楽しみにしております。






日本電産の後継者問題は収まりません

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日本電産の後継者問題が混沌としてきています。さすがに株式市場も呆れたのか、株価が急落しています。

業績好調 売上高10兆円を視野に


日本電産は、世界最大のモーター製造メーカーです。

業績は好調です。2021年3月期の売上高1兆6180億円。純利益1219億円。売上高はずっと右肩上がり、利益高もほぼ右肩上がりを続けています。

2025年度には売上高4兆円。2030年には10兆円の目標を掲げています。かなり高い目標ですが、実現不可能だとは思えないのが、これまでの同社の実績によるものです。

日本電産は、1973年、創業者の永守重信氏が、4人で立ち上げた会社です。それから50年、一代で売上高1兆円超の世界トップ企業を作り上げた永守氏の手腕は驚くべきものです。

急拡大を支えたのが、度重なるM&Aの成功です。とにかく同社は、M&A巧者として知られ、ほぼ全勝といってもいい成果を残しています。

難しいといわれるM&Aをいかにして成功に導くのか?その秘訣を知るのは難しいのですが、聞くところ、永守重信氏の個人的な能力に負うところが大きいらしい。初期の小さなM&Aで運営のコツを習得した永守氏は、いまでも買収した会社に腹心の部下を送り込む際に微に入り細に入り実に細かい指示をするといいます。

永守氏は、0円単位まで経費チェックすることを公言しており、会社の隅々まで知り尽くすことを自らに課しています。つまり、組織を自分の思うまま動かすことを求め、それができているのでしょう。

そんな永守氏の経営手腕を疑う者は誰もいません。今では、日本電産の業績が悪ければ、他の企業が悪くても仕方ないねと言われるぐらいの評価を得ています。

ただし、あまりにも高い評価は、ポスト永守を混沌とさせる要因となっています。

それはともかく、モーターは、半導体のようにあらゆる産業分野で活用されるものです。今後、EV需要、および省電力需要の高まりにより、需要は膨大です。売上高10兆円の目標達成は、決して絵空事ではないと思います。

後継体制を本当に作りたいのか?


永守氏は世襲を否定しており、後継者選びが課題になっていました。10年前から、外部の優秀な人材を後継者候補として招いては、失望して取りやめるということを繰り返しています。

今回も、日産自動車出身の関氏をCEOにしたのはいいものの、辛辣な評価を下して、3年で降格させる結果となりました。

もっとも今回ばかりは株価急落を受けて「関氏が後継候補であることは変わりない」と取り繕っていますが。

永守氏は「いつまでも私がやっている会社ではない。私がいなくてもしっかり問題を処理してくれる体制づくりが大切だ」と発言しているようですが、それが一向に進まないのは当の永守氏の存在によるものです。

そもそも日本電産生え抜きの人材が後継でない理由は何でしょうか。要するに、ワンマン体制の組織からは、後継者は育たなかったのです。少なくとも、永守氏はそう感じているのでしょう。

それなのに、後継候補が行うワンマン体制からの脱却を目指した組織改革は、一時的にせよ、業績が落ちるという理由で否定されています。

突き詰めれば、永守氏のクローンのような人物に、ワンマン体制をそのまま受け継いでもらうしかないわけで、結局、自分が未来永劫続けたいという本音を示しているとしか思えません。

永守氏が割り切れない


引退する経営者ができることは、組織がおかしな方向に暴走しないように、守りを固める体制にすることでしょう。

例えば、GEは、後継者争いに敗れた者は退社する、前経営者は完全引退するという暗黙のルールがあるようで、事業承継は比較的スムーズです。

あるいは、トヨタのように世襲を基本線にして、つなぎの経営者が力を持ち過ぎないようにする会社もあります。世襲が必ずしも悪いわけではありません。ちなみに子息の永守貴樹氏は、家庭用品メーカー、レックの社長です。

京セラの事業承継もスムーズでしたね。かの会社は、組織を細かく分けていたため、経営手腕を磨き、経営者適正を見分けやすい体制がありました。生え抜きから後継者を探しやすい組織となっていました。

それに京セラの稲盛氏は「会社は個人のものではない。たまたま自分が社長という役割を担っただけだ」と言っていました。創業社長が、これほど割り切っていれば、後継者もやりやすいはずです。

しかし、永守氏は、自分ならば日本電産を10兆円に育てることができる、という意識が強いのでしょうね。守りを固めて、成長を阻害させるなんて許せない、後継者は自分と同じことをしなければならない、という意識が強いようで。

だからこそ「一番実績のある人が次のCEOだ」という発言になるわけです。

外部から来た人間が、いくら優秀だからといって、強烈なカリスマ創業者のあとを受け継いで、さらに成長させるというのは並大抵ではありません。ましてや、当の創業者が批判的な目を光らせているところで経営するなど、怪物的なメンタルがなければ務まりません。

いま名前が挙がっている方々は、その怪物的なメンタルの持ち主なのでしょうかね。

永守氏の眼鏡に叶う人材が見つかればいいなと思いますが、望みは薄いでしょう。この問題、永守氏の方が、割り切らなければ、終わりませんね。



プロフィール
komai 小

営業関連のコンサルティングをしています。
製造業や卸売業などの営業組織を強化する仕事を得意としております。

株式会社クリエート・バリュー代表取締役
NPOランチェスター協会理事
NPOランチェスター協会関西支部
NPOランチェスター協会認定インストラクター
中小企業診断士   販売士1級

コンサルタントになる前は、日本酸素株式会社魔法瓶事業部(現在のサーモス株式会社)で14年、営業担当をしておりました。
その時、廃業寸前の赤字だった事業部がわずかの期間で世界トップ企業になった経緯を体験したことが、経営コンサルタントになったきっかけとなりました。
当時、経験したことや見聞したことを物語風にアレンジしたのが、拙著『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』です。
面白い本なので、ぜひ読んでください(^^)

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