わたしは価値を創る

大阪在住の経営コンサルタントのブログです。

丸亀製麺のスタートは柔軟で素早かった

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丸亀製麺を運営するトリドールの記事です。

もともと同社は、焼き鳥チェーンの「とりどーる」を運営していましたが、いまや丸亀製麺が稼ぎ頭です。

記事では、焼き鳥チェーンが成功していたことが書かれています。参考になりました。

身軽で柔軟なトリドールの姿勢


成功していたのに、さぬきうどんの業態を作ったのは「鳥インフルエンザ」の流行により、焼き鳥業界全体が低迷した時期があったからです。

このあたりの事情は、「狂牛病」騒ぎに巻き込まれた吉野家に似ています。

吉野家は過去の栄光を捨て去れるのか

が、吉野家は日本を代表する外食チェーンとして確固たる地位を築いていましたので、新業態を作るにも元が重すぎて難しかったのでしょう。

それに比べてトリドールは、まだ数店舗の段階でしたからやりやすかったということもあります。


しかしもっと大きな理由は、トリドールの経営者は創業社長なので、自分の判断で方向性を決めやすいという事情があったからだと思います。

吉野家の場合、当時の安部社長は「ミスター牛丼」だったとはいえ、創業者ではありません。吉野家はイケイケで破綻した過去があるので、保守的な社風であるということもいえますね。

ともあれ、トリドールは、みごと日本を代表するさぬきうどんチェーンを築き上げました。


柔軟性は、海外進出の際にも表れています。

同社は必ずしも丸亀製麺というコンテンツにこだわっているのではなく、進出する現地にあわせた業態を志向しているようです。

さすが創業社長ですな。

丸亀製麺はまだ出店余地があるはず


ただ国内の丸亀製麺に関しては、ライバルのはなまるうどんのだらしなさに助けられているきらいがありますな。

丸亀製麺は、味にこだわるという理由で、各店舗に製麺機を置いています。それが同店の象徴になっているのですが、場所をとられるというデメリットもあります。

だから丸亀製麺は狭い場所、ショッピングセンター内のフードコートや駅構内などには出店しにくいという制限があります。

ライバル会社はここを突くべきですよ。

セントラルキッチンでつくった麺が必ずしも不味いわけではないはずです。イメージを覆すよなうどんを作って、狭いスペースにどんどん出店していけばいいのです。

逆に丸亀製麺側は狭いスペースでも対応可能な製麺機を開発するなどして、出店範囲を広げていかなければなりません。

どちらが先に対応するかという問題です。が、はなまるうどんの動きは鈍そうですね。

ちなみにはなまるうどんは、吉野家HDです。

牛丼がイマイチなんだから、ここで頑張らないとあきませんよ。






吉野家はいつ根本的な施策を打ち出すのだろうか

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吉野家が新メニューを導入したという記事です。

「小盛」と「超特盛」だとか。いま既にある「並盛」「大盛」「特盛」とあわせて5つになったそうです。

吉野家はビジネスを根本的に変える時期にきている


吉野家については、少し前にメルマガに書かせていただきました。

吉野家は過去の栄光を捨て去れるのか

大赤字になった原因は、労働力の不足とそれに伴う賃金上昇にあると伝えられています。

さらには、ターゲットが狭いこととそれに適応したメニューの幅の狭さもあります。

簡単にいってしまえば、吉野家がターゲットとする男性労働者がたくさん存在しており、創意工夫をもって働く従業員もたくさんいるので、安く大量に販売することで小さな利益を積み上げることができた「高度経済成長期」のビジネスモデルです。

ところが今は、男性労働者は高齢化してしまって数も少なくなり、従業員も不足しており、安く大量に販売することが機能しづらくなりました。

吉野家は、ビジネスを根本的に再編しなければならない時期にきているということです。

今回の施策は時間稼ぎか


ところが今回の施策は、単品のサイズバリエーションを増やすという程度のものであり、なんら根本的なものではありません。

高齢化したターゲットに向けて小盛を導入したとか、理屈はあるようですが、いかにも小手先です。

こんなことで業績が上向くとは吉野家も思っていないでしょう。

今回の施策は、やらないよりはマシだという延命策です。延命になればいいですけどね…

とりあえず時間を稼いで、根本的な解決策を考えようということでしょう。

おそらく、ファミリー層にターゲットを広げた新業態店舗を作る。海外展開に挑む。あるいは牛丼とは別の飲食を手掛ける。といった方向性になるのではないかと思います。

全く違う方向性を打ち出すかもしれませんね。それはそれで楽しみにしております。







少子高齢化と人口減少に直面する日本を破綻させないために我々がすべきこと

少子高齢化
(2019年3月7日メルマガより)



デービッド・アトキンソン氏の著作「日本人の勝算」が話題ですね。


日本人の勝算: 人口減少×高齢化×資本主義
デービッド アトキンソン
東洋経済新報社
2019-01-11


私も読ませていただきましたが、実に多くのヒントにあふれた著作です。

おすすめいたします。


日本人が当たり前だとスルーしていることに気づかせてくれる


デービッド・アトキンソン氏は、1965年生まれのイギリス人です。私より一つ歳下ですね。

投資銀行ゴールドマンサックスの調査室長を務めた後、日本の美術工芸品等を修復する会社に入社し、現在はその社長です。

日本在住30年という日本大好き英国人です。

その独特の立場から日本社会に対して、鋭い切り口で提言をしてくれています。


外国人の日本論は、我々がふだん当たり前だとスルーしているようなことに改めて光を当ててくれて参考になることが多いのですが、この本もそうでした。

少子高齢化と人口減少という誰もが知っていて疑いようのない事実を起点に、日本経済や日本人を論じます。

いま日本が類をみないほどの勢いで少子高齢化と人口減少に向かっていることは、周知の事実です。

ところが、当たり前すぎて事の深刻さに無頓着になっているきらいがないでしょうか。あるいは怖すぎて目をつぶっている人が多いのではないでしょうか。

アトキンソン氏は、反応が鈍い我々に警鐘を鳴らしています。


人口が減れば日本は破綻してしまうかも知れない


日本は現在、世界第3位のGDP規模を持つ経済大国です。

ところが、人口がこのまま減っていくと、当然ながらGDPは下がっていきます。

もし人口が8千万人になると、現在のドイツと同等程度。6千万人に減ると、フランスと同等です。

このまま美しく没落していくのならまだいいのですが、老人ばかりが増えて、若者が増えないこの国が、破綻せずに維持していけるのか甚だ疑問です。

しかも日本はいまものすごい借金を抱えています。その負担は、少ない若者世代への贈り物です。

若い時の苦労は買ってでもしろ。といいますが、さすがにこれは買いたくないでしょう。相続放棄もできない。となれば、親の因果が子に報い。と言うべきか。

冗談ではありませんな。最終的には高齢者の資産を強制的に没収しようとでも考えているのではないか。と疑ってしまいます。


一人当たりGDPは最低レベル


先ほど、ドイツやフランスをひきあいに出しましたが、あちらと日本には大きな差異があります。

それは、一人当たりGDPの大きさです。

フランスの一人当たりGDPは世界12位。ドイツは21位です。(2016年のデータ)

これに対して日本の一人当たりGDPは29位。先進国の中でも最低ランクです。

要するに、日本のGDP規模が大きいのは、単純に人口が多いからです。一人当たりの生産性は、決して高くない。どころか先進国の中では際立って低い。

ということは、人口がドイツやフランスと同等になったら、GDP規模はさらに小さくなってしまうということです。

えらいことですな。


もっとも、そこに望みを見ることもできます。

日本の一人当たりGDPが低いのなら、それを上げる余地があるということです。

目いっぱいの生産性を発揮しているならそこに伸びしろはありませんが、日本は違います。

日本人が欧州の人に比べて劣っているというわけではありません。生産性を上げる工夫をしてこなかっただけです。


ちなみに、日本の人口が少なくなるのなら海外に市場を広げよう、という考えが当然あります。が、諸々のデータによると、生産性が高い企業でないと、輸出に取り組めないという因果関係があるそうです。(「日本の勝算」による)

だとすれば、やはり、1人当たりの生産性を上げる。ということに、日本が生き残るカギがありそうです。


高度経済成長時代の成功体験がぬけ切れていない


それにしても日本人の生産性が低いのには、どういう理由があるのでしょうか。

同書によると、世界の評価機関が認める日本の人材の質は世界第4位です。(フィンランド、ノルウェー、スイスに次ぐ)

人材の質はいいのに、生産性が低いって、それはやり方が悪いってことですよ。


同書の中でアトキンソン氏が指摘するのは、日本企業の経営の在り方が、高度成長期の頃と変わっていないことです。

戦後の奇跡的な経済成長は世界の語り草になっていますが、その主要因は人口増加です。

日本には爆発的な人口増加がありました。終戦時に7000万人超だったものが、2000年には1億2千万人を突破しています。たった55年で5000万人が増えたのです。

それはGDPも拡大しますよ。

その特殊な状況下において、産業界は豊富な人材を前提にした企業運営を行いました。

それが日本式経営といわれる「終身雇用」「年功序列」「企業内労組」であり、低廉な労働力をあてにした「いいものを安く作って売る」ビジネスモデルでした。

バブル崩壊以降、日本式経営は徐々に見直しされていきましたが、「安く作って売る」ビジネスは相変わらず王道と見なされています。

前回のメルマガでとりあげた吉野家も「安く作って売る」ビジネスの典型ですね。



皆が一様に「安く作って売る」ビジネスを続けると、価格競争の消耗戦になり、賃金は据え置かれ、デフレスパイラルに陥ります。

吉野家もすき家もあらゆる飲食店もコンビニも、低廉な労働者頼みのビジネスは、すべて高度経済成長時代のモデルです。

日本全体が未だそういう状態ですから、生産性も上がらないはずですよ。


生産性を上げる3つの要因


ではどうすれば、生産性を上げることができるのか?

「日本人の勝算」には、イギリスでの試みが紹介されています。

実をいうと、イギリスの一人当たりGDPは28位。日本の一つ上に過ぎません。

困ったイギリス政府は、生産性を上げる方法を諸機関に調査させて、3つの要因を導き出しました。

簡単に言いますが、その3つとは

(1)起業家精神

(2)設備投資

(3)人材投資

となります。イギリスはいま、この3つを促進する政策を行って、生産性向上を図っているそうです。


上の3つですが、(2)設備投資(3)人材投資はわかりやすいと思います。設備を増強すれば、一人ができる仕事量が増えますから、生産性は上がります。人材を教育すれば、やはり生産性は上がるでしょう。

ここで大企業の優位性が出てきます。中小企業はどうしても設備投資、人材投資に劣る傾向があります。

日本の場合、中小企業がある程度淘汰されて、規模の大きな企業に集約されなければならないといわれる所以です。


日本人に必要なのは「起業家精神」


では(1)起業家精神とはいかなるものか?

同書の中では「新しい発想を持って、既存の経営資源(人材、技術、資本)を組み直したり、新しい企業体系を作ったり、技術と組織、その他の資源の新しい組み合わせを構築すること」と書かれています。

つまり、新しい需要の発見や、チャネルの現出、技術の革新などチャンスを捉えて、経営資源を柔軟に作り変えることができる能力のことを指すものです。必ずしも起業しなければならないのではなく、既存企業の方でも持つことができます。

ここ重要です。日本人が苦手な部分だからです。


社会が変わってしまったためにビジネスがうまくいかなくなった。というのは、どの産業においてもあり得ることです。

私がお付き合いする中小企業の多くも、常に時代の流れと戦っています。

時代が変わると、顧客の要求も重要な技術も機能するチャネルも変わります。自分が所属する産業そのものがなくなってしまうことすらあります。

そんな時、どのように振舞うかが経営者の腕の見せ所です。

冨士フィルムのように写真フィルムそのものがなくなってしまった例は極端ですかね。しかしそれでもかの企業は生き残っています。

これからは自動車産業がなくなってしまうかも知れません。残ったとしても、相当変質してしまいます。だからトヨタは焦っていますね。

一つのビジネスが永続的に繁栄することはありません。企業の寿命30年説とはよく言ったものですが、今はもっと早い。何も変えないと、5、6年でダメになってしまうでしょう。


社会が変化すればチャンスも無数に生まれる


だけど、社会が変化する時には、チャンスも多く生まれます。

ガソリン自動車がなくなる替わりに、電気自動車が主流になろうとしています。それを狙って、テスラやダイソンなどの組み立てメーカーや、電池の開発メーカーが主役になろうと名乗りを上げています。

自動運転車が主流になれば、今度は、AIの開発企業や、配車システムの運営企業が産業の主役になるとみなされています。グーグルやアップル、マイクロソフト、アマゾン、ウーバーなどITオールスターズが鎬を削る産業になりそうです。

あるいは、宇宙開発しかり、生命科学しかり、次世代農業しかり、それぞれの分野で革新的な技術が生まれ、新しい需要が育ってきます。

そんな大きな変化だけではありません。無人コンビニが流行りそうだ、となれば、そこに関わる業者ががらりと変わるかも知れません。

働き方改革を進める上では、事務作業をAIに任せる必要があり、その移管のための専門業者が出てくるかも知れません。

それこそチャンスは無数にあります。誰だってわかるでしょう。


チャンスをものにする能力


ところが、このチャンスに対して日本企業の動きは非常に鈍いと言われています。

当然ながら、チャンスを見つけた、革新的な技術を開発した、というだけは業績になりません。

チャンスを見つけたら、それを成果にすべくビジネスを作らなければならない。そのために、経営資源(人材、技術、資本)を組みなおし、相応しい体制を作らなければならないのです。

どうも日本企業はこれが苦手です。現状の会社組織のままで新しいビジネスに対応しようとします。せいぜい少人数の新規事業部門を作るぐらいです。

これをアトキンソン氏は「組織を変えることを面倒がる」と表現しています。そうなんですね、日本人は現状を変えることを極端に嫌います。改善はしても、再編、組みなおしには抵抗します。

私はコンサルとして、現状維持圧力の強さを嫌というほど見てきました。まったくもって、みなさん頑固ですよ。

せっかく新規事業部門を作っても、兼任者数名と事務員のみという陣容で、既存部門と連携も協力も得られない、ではテストにもなりませんわな。

せっかくのチャンスをものにしようという意識が致命的に低いのです。


そこをいくと、欧米の会社は、チャンスの大きいところに大胆にシフトチェンジしようという姿勢があります。

既存の組織がやりたがなければ、会社を飛び出して自分でベンチャーを立ち上げようとします。

そしてそのベンチャーが育つと、既存組織がM&Aで回収する、ということを繰り返しています。

このダイナミックな動きこそが(1)起業家精神です。この繰り返しが、新しい成長産業を生み出し、社会全体の生産性を向上させていくことにつながっています。

確かに、新しいビジネスは欧米から来ることが多いですよね。。

翻って日本は、開業率の低さがしばしば嘆かれる事態となっています。


小さな会社は、万年ベンチャーみたいなもの


アトキンソン氏は「日本人は動きは鈍いが、一度取り組めば、驚くほどの完璧さでやってしまう」とも書いています。

お褒めいただき嬉しい限りですが、それって変化の激しい時代にはあまり活躍できない能力ですよね。

少なくとも、中小企業、零細企業は、小回りが利くことが強みです。万年ベンチャーのようなものではないですか。そんな小さな会社が、チャンスにアジャストするスピードと回転数で勝負しないでどうするんだって話ですよ。

私がそんなことを言っていると、知り合いの中小企業の創業会長さんは「(中小企業の経営者は)みんな歳とったからなあ。気力もないし、勉強もしとらん。たぶん7割は潰れるで」と仰っていました。(その会社は事業承継もうまくいって、成長を続けています)

まるで、元中日監督の落合博満氏が「阪神タイガースは今年もダメだよ。あいつら練習してないもん」と言うような口調でした。

なんとも情けない。小さな会社こそ戦略を身に着けて、瞬時に動く身構えをしておかなければなりません。足りないのは戦略です。

「戦略がなければ生き残れない」

と、伝えきれない私への自戒も込めて、そう言っておきます。


ちなみに「日本人の勝算」の中で、アトキンソン氏は「最低賃金をもっと上げよ」としきりに提言しています。

最低賃金の上昇は日本の全ての事業に影響を及ぼします。頑固極まりない日本の経営者も、法律で最低賃金を上げられてしまえば、今まで通りの「安く作って売る」やり方ができなくなります。

尻に火が付けば、さすがに「どうすれば儲かるか」新しい戦略を考えるようになるだろう。

というわけですね。

なんだか棒切れで羊を追いやるようなやり方ですが、そうしなければ日本企業は変わらない。というアトキンソン氏の見解です。真摯に受け止めようではないですか。

ホンダの英国工場閉鎖で取り沙汰される病状の深刻さ

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ホンダよ、お前もか!?

と叫びたくなる記事です。

英国工場の閉鎖は、EU離脱問題とは無関係


先日、ホンダが英国工場を2022年までに閉鎖すると発表しました。

時期が時期だけに、英国のEU離脱を理由にしたものとして報道されてしまい、英国メイ首相から「深く失望している」と言われる始末です。

ホンダ側は、工場閉鎖と英国のEU離脱は無関係と表明しており、事情通からも「販売不振の結果だ」と言われておりました。

上の記事は、その実情について書いております。


 すでに多くのメディアが報じているように、ホンダの欧州ビジネスは最悪の状況に陥っている。2018年のホンダのEU、英国での販売台数は13万6000台にすぎない。SUVを主体とし、ホンダより平均売価がずっと高い三菱自動車にも販売台数で負けた。シェアは1%にも満たず、ヨーロッパ大陸ではもはやカルトカー(珍品)レベルだ。

なんとも、ひどい言いようですな。

欧州といえば、ホンダは昔からF1参戦で実績を残し、それなりに知名度もあったはずです。それが、1%のシェアにも満たないというのは、お粗末な限りです。いったいどういう戦略で臨んだのかと言いたくなりますが、その部分は記事には書かれていません。

こうなった以上、勝つ見込みのない場所でだらだら続けるのはもっとダメですから、撤退の判断は経営陣としては、当然だったことだと思います。

ホンダも社内政治の会社になってしまったのか?


しかし、それ以上に気になるのが、この記事に書かれたホンダの官僚化ともいえる組織の状況です。

真偽不明と敢えて言いますが、「トップに明確なビジョンがない」「誰のために車を作っているのかわからない」「過剰な忖度で政策が決まる」など、腐った組織あるあるです。

これって、日本の家電メーカーやかつての日産が軒並み罹患した大企業病そのものではないですか。


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2016-04-21

シャープ崩壊 ―名門企業を壊したのは誰か
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日本経済新聞出版社
2016-02-18

ソニー 失われた20年 内側から見た無能と希望
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原田 節雄
さくら舎
2012-09-04



工場閉鎖の発表をもう少しずらしておけば、これほど波紋を呼ばなかったでしょうに、タイミングを測ることすらできないほど、ホンダの経営陣は切羽詰まっていたのか、あるいは外部の反応など頭になかったのでしょうか。

記事では「EU離脱と重なって、閉鎖の口実ができたので、逆に運がよかった」などとまで言われていますね。

この作者、よほど恨みがあるのか、逆に好きで憂いてるのかどちらかですな。

ちなみに私も、ホンダのファンで、マイカーはいつもホンダです。ホンダの独自性や個性が好きだったからですが、最近はその個性が薄れている気がしていました。ただホンダもトヨタも日本市場を重視していないので、日本で販売する車にも力が入っていないのは仕方ないのかなと思っていました。

その上、欧州でもパッとしないとなるとどこで勝つのでしょうか?

本田宗一郎というバケモノを支えた藤沢武夫。二人の「最強伝説」

↑ この頃を思い出せーと言いたくなりますよ。

もっとも強烈なカリスマ創業者だったからこそ、その後が官僚化していったとも言えるわけで、組織をイキイキと維持させることのむつかしさを痛感させます。





カルロス・ゴーンが日産をV字回復させた7つの施策

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雑誌のFLASHが、上記のような記事を掲載していましので、メモしておきます。

ちなみにカルロス・ゴーン氏は、1999年にルノーから日産に送り込まれてきました。当時、日産はいつ倒産してもおかしくないような状態でした。頼みの金融機関も不良債権問題で余裕がなく、ルノーに支援をお願いするしかなかった状況でした。

ゴーン氏は、ミシュランやルノーでコストカットの手腕を発揮した再建屋とみられていました。彼が日産でまずやったことは、若手を中心とした組織横断的なチームを作って、日産の再建策をまとめさせること。これが、日産リバイバルプランです。

その内容は、1兆円のコストカット、負債の50%削減、2002年までの黒字化など相当大胆なものでした。

日産リバイバルプランによる7つの施策


1.購買コストの20%削減、サプライヤー数の50%削減。それに伴う系列の解体。

2.国内5工場の閉鎖。労働組合とも折り合い。

3.販売組織の再編。ディーラー網を解体し、統合を進めた。

4.グローバル組織を再編し、グローバル展開を強化。

5.商品開発力の強化。

6.人事制度の改革。成果主義を導入し、若手でも実力のある者を抜擢できる体制に。

7.ルノーとの提携強化。グローバル展開の強化、および部品共有によるコスト削減策の強化。


単に出血を止めるだけではなく、V字回復の道筋をつけるための計画であり、それを短期間でやりとげた手腕は、期待以上のものがあったといえます。当時は、この上なく賞賛されたと記憶しています。


日産リバイバルプランが前倒しで達成されたのが、2001年のこと。その功績を買われて、2005年には、ルノーのCEOも兼任するようになります。

ゴーン氏に権力が集中し、それが今の事態につながったことはまた後の話です。

ともあれ、瀕死の日産を再建させた手腕は鮮やかでした。覚えておきたいと思います。


参考:カルロス・ゴーン事件が教える組織の腐り方





東京一極集中が止まらないようです

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なかなかショックな記事です。

転入者数から転出者数を引いた「転入超過数」でどの道府県から東京圏に流出が多いのかをみると、最多は大阪府で1万1599人。東京圏の転入超過数の約1割を占めた。愛知、兵庫が続き、1千人以上の流出が36道府県に及んだ。

大阪に至っては、5年連続で1万人超が流出しているということですから深刻です。

最近にぎわいを取り戻している大阪がいちばん東京圏のへ人材供給地域となっているわけですな。

ただ流出の大半は若者で、学校を出て首都圏に本社のある会社に就職するために出ていくということです。ならば、近隣の県から大阪の大学に集まってきた大学生たちが、ワンタッチして流出している図式が見えます。

大阪も魅力がないというべきですが、もっと深刻なのは、やはり都心以外の地域であるといえそうです。

人口減少に伴う都心集中は必然だが…


人口が減ると、機能的に便利な都心に人が集まるのは必然です。だから、この流れは今後も止まらないでしょう。

逆に人の減った地方は、土地の権利関係を単純にしたうえで、広い場所でなければできないことをやることになります。

大規模な農業法人や、工場などの立地になります。

相対的に地価の安い場所ですから、一般人でも広い邸宅に住むことができるかも知れません。

そうなると、地方もそこそこ楽しい場所になってきますね。


ただし、大阪や名古屋、福岡など地方の都心は、もう少しがんばってもらわなければ、本当に東京圏一極集中になってしまいます。農地にするにしろ、工場を作るにしろ、都心から離れすぎていたら、成立しません。

私は個人的には、地方で生き残りを図る小さな企業や事業者に戦略を持ってもらいたいと考えて、活動しています。

ただ本当の過疎地でビジネスを作っていくのはハードルが高いです。やはり、国の方針として、地方都市の政策の自由度を上げてもらわなければなりません。

端的にいうと道州制の導入ですね。地方ごとに特色のある施策が打てるようになると、生き残る選択肢が増えて、ハードルが下がります。

切に望む次第です。





吉野家は過去の栄光を捨て去れるのか

吉野家


(2019年2月21日メルマガより)



牛丼の吉野家の業績が振るいません。2018年3月〜11月までの連結営業損益は5億円の赤字です。(昨年同時期は25億円の黒字)

今年2月期の最終損益でも11億円の赤字が見込まれています。


赤字転落の主要因は「ステーキどん」などを展開する子会社の不調だということですが、本業である牛丼チェーンの実績も危ういです。

売上高は伸びているものの営業利益は前年に比べて落ち込んでいます。

競合の「すき家」が営業増益だったことに比べると、明暗が際立つ格好になってしまいました。(松屋は営業減益)


山あり谷あり 吉野家の歴史


それにしても吉野家というのは、毀誉褒貶の激しい会社ですな。

吉野家は、1899年(明治32年)東京日本橋の魚市場で設立されました。関東大震災により、築地市場に移転したのが1926年(大正15年)です。

1968年(昭和43年)に、チェーン化を開始。「うまい はやい 安い」という名コピーとともに、全国展開。10年後の1978年(昭和53年)には、200店舗を達成しています。

私が初めて吉野家の牛丼を食べたのも、この頃だったと思います。

牛肉といえば高級なものというイメージが残っていた時代です。それがファストフードで食べられるというのは衝撃でした。

牛丼チェーンのパイオニアとして、牛丼といえば吉野家、吉野家といえば牛丼。まさに牛丼の代名詞となっていきます。

ところが、1980年(昭和55年)に倒産の憂き目を見ます。急激な全国展開により、組織のたがが緩んでしまったことや、効率化を急ぐあまりの味の悪化が客離れを招いたことが原因であるとされています。

吉野家は会社更生法を申請。不採算店舗のリストラを図るなどしてスケールダウンを進め、黒字化します。およそ100億円の債務を返済し終わったのが1987年(昭和62年)でした。

どうもこの時の経験が、吉野家を保守的な会社にしたのではないかと感じます。


ともあれ、吉野家は、その後、セゾングループの支援を受け、1990年(平成2年)には株式を店頭公開するに至ります。

その2年後の1992年(平成4年)に社長就任したのが、後に「ミスター牛丼」と呼ばれるようになる安部修二氏です。

安部氏は、ミュージシャンを目指していた頃にアルバイトとして吉野家に関わったという経緯の人です。

倒産の危機にも会社を離れなかった生え抜きの実力者である安部氏は、牛丼の味を魅力あるものに高めると同時に、店舗のローコスト運営を徹底していきました。

安全経営かつ拡大成長の最適バランスを見出した吉野家は、再び全国展開を推し進めていきました。

牛丼一杯を280円で販売しながら営業利益10%を叩き出すという驚異の効率経営をなしとげた安部社長は、一躍時代の寵児ともてはやされたものです。

吉野家の経済学 (日経ビジネス人文庫)
安部 修仁
日本経済新聞社
2002-01-01




BSE騒動時における安部社長の決断


ところが、その吉野家に前代未聞の試練が訪れます。

2004年(平成16年)BSE問題(いわゆる狂牛病問題)により米国産の牛肉が輸入できなくなってしまったのです。

米国産の牛肉にあわせて牛丼の味を作っていた吉野家とすれば、他国の肉に変えることは、テイストが変わってしまうことを意味しています。

この危機に際して、安部社長は牛丼の提供停止を決断します。

まさに牛丼の代名詞であった吉野家が、牛丼を提供しないということになったのです。(代わりに、豚丼や鳥丼を提供)

吉野家の牛丼の味を変えてはならないという思いからの施策としては賛否両論あるでしょうが、決断そのものは安部社長の強いリーダーシップと実行力を表すものだと評価すべきでしょう。

しかし、2006年(平成18年)に輸入解禁されるまで、牛丼という主力商品を封じられた吉野家は、売上の低迷に苦しむことになりました。

(安部社長は2014年に退任)


すき家の躍進


BSE騒動の際にも拡大路線を維持し、牛丼業界のトップに躍り出たのがゼンショーグループの「すき家」です。

いやむしろBSE騒動で吉野家が委縮している今こそ攻め時だと店舗拡大を加速させていきました。

ゼンショーグループの創業者小川賢太郎氏は、元吉野家の従業員でしたが、倒産の危機時に独立しました。

当初は弁当屋としての創業でしたが、後に牛丼のすき家を立ち上げ、主力チェーンに育て上げます。

牛丼一筋、主要客が男性の吉野家に対して、すき家はファミリー客を志向しており、チーズ牛丼やらキムチ牛丼やら、バラエティ豊かなメニューを持っています。

BSE騒動に際しては、いちはやくオーストラリア産牛肉への変更を決断し、販売を再開しました。

これはこれで素晴らしい判断だったと思います。

松屋も出店を控える中、すき家は、出店拡大路線を爆走していきました。


2017年度の実績では、すき家の店舗数は2798店。吉野家が1200店、松屋が1127店ですから群を抜いています。

ちなみに売上高は、すき家が2036億円、吉野家が1000億円、松屋が930億円です。

すなわち、店舗数においても売上高においても2位の吉野家にダブルスコアの差をつけていることになり、牛丼業界の中では勝負がついた状態です。

いわばスパートするタイミングを間違えなかったすき家の勝利だといえるでしょう。


急拡大のひずみ


ところが、すき家も急拡大のひずみに苦しんでいます。

牛丼という商品は、伝統的に低価格での提供が固定化しています。昨今の原材料の高騰を売価に転嫁しにくい業態です。

その上、BSE騒動を契機に1店舗あたりの売上高が下げ止まりしていますから、利益を上げるためには人件費を削らざるをえません。

急拡大を推し進めたすき家はなおさらです。

ワンオペ(一人で店を取り仕切ること)が常態化しているブラック企業だと批判を浴びるハメになってしまいました。

2014年頃から、その傾向は顕著になり、休業する店舗が増えてきました。これは、人材が確保できないためだと考えられるので、急拡大路線のツケが回ってきたと言っていいでしょう。


とはいえ、すき家の売上高は、ゼンショーグループ全体の40%以下です。

同グループは物凄い勢いでM&Aを繰り返し、日本で最大の外食チェーングループとなっています。

グループ内には、牛丼チェーンだけではなく、回転寿司、ステーキ、ラーメン、パスタ、和食、ファミレスなど何でもありの状態です。

今のところ、イマイチな牛丼チェーンの替わりに、回転寿司の浜寿司が稼いでくれているようなので、ポートフォリオがうまく機能しているといえます。(とはいいながら、手を広げすぎているので整理すべきだと思いますが)


吉野家グループは弱者連合


実は、吉野家もBSE騒動以来、多角化を進めてきました。

はなまるうどんやステーキのどん、京樽を傘下に持っています。

しかしゼンショーほど多角化路線に積極的ではなかった吉野家グループの場合、牛丼の割合は依然として50%を超えています。

つまり牛丼の業績によってグループが左右される状況であるということです。

いや、それが悪いとは一概には言えません。

やみくもな多角化がしばしば経営危機につながることはよくあることです。事業を集中させる方が運営しやすいという側面もあります。

それよりも問題は、吉野家グループが、業界下位の弱者たちの集合体であるということです。

しかもそれらの企業群がそれぞれ弱者の戦略を的確に実行しているかというと甚だ疑問です。

弱者が、さしたる差別化もなく、日々の業務をこなしているだけだと、じり貧になるのは当然です。そうなると存在そのものがリスクです。

今回は、その一つ、ステーキどんが業績の足をひっぱったということですから、ポートフォリオが悪い方に機能した形になってしまいました。

この際、弱者の戦略を実行できるあてがないならば、整理してしまうべきでしょう。


過去の成功モデルを捨て去ること


吉野家は、牛丼業界の中の弱者です。

弱者なら弱者らしく、思い切った施策を打たなければなりません。

が、ここに保守的なかつてのトップ企業の老舗体質が足かせとなっています。


そもそも吉野家が作り上げたシステムじたいが時代遅れになっています。

牛丼というジャンルを創造したパイオニアとしての功績は称賛されるべきです。

しかし、それも過去のこと。

男性労働者をターゲットに、商品を牛丼ひとつに絞り、経験豊かな従業員が少人数で回し、ぎりぎりの利益を積み上げていく昭和感満載のビジネスモデルは実質破綻しています。

原材料の高騰と為替リスク。客数の減少、労働者の不足。。。ことに労働力不足の今日、経験豊かな従業員を確保することがきわめて困難な状況です。

調理ロボットを導入してさらなるコスト減を図る。というのもありかもしれませんが、どこまで効率化できるのか未知数です。

現実的なのは、単価を上げることですが、そこが吉野家はできていません。

一時、高単価メニュー「牛すき鍋」で話題をさらいましたが、結局、吉野家に来る客は、牛丼を求めるようです。

この部分では、もとからメニューが多く、単価を上げやすいすき家や松屋に優位性があります。

それでもギリギリの薄利多売ビジネスなので、少し風向きが変われば途端に赤字になってしまいます。

ましてや吉野家をや。

遅ればせながら、同社は、女性をターゲットにした新業態店(セルフサービスで、テーブル席中心のゆったりできる店)を試しているようです。

これが機能すれば、単価の高い新メニューを投入しやすくなるでしょう。

だけど今の店舗形態は、昭和のビジネスモデルに適合しすぎていて、どうしようもありません。

かつてすかいらーくが全店をガストに業態転換したように、いささか強引なスクラップ・アンド・ビルドがあってもいいでしょう。

そのためにも、実験店を多くつくって、次世代のビジネスを早く見つけなければなりません。

過去に成功した栄光のビジネスモデルにしがみついている場合ではないと思う次第です。


参考




中国はバブル崩壊前夜なのか

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最近、いい話のない中国経済に関してですが、こういう記事をみるとほとんどバブル崩壊前夜ではないかと思えます。

記事によると中国企業の発行するドル建て社債の金利が平均7%を超えたとのこと。10%を超える企業も多くなっています。

(ちなみにアメリカの政策金利は2%程度です)

中国のバブル崩壊は世界経済を壊滅的にする


金利が高くなるのは、発行する中国企業に問題があり、リスクを勘案すれば金利を高くせざるを得ないからです。

中国企業の業績が全体として悪くなっている上、債務不履行を起こす企業も多いらしい。

社債発行の理由も「借り換え、返済、償還」が過半に達しているということなので、借金のための借金を重ねるうち、金利だけが増えていくという悪循環に陥っています。

社債を購入しているのは中国内の銀行が多いということですが、返せるあてのない貸付金が積みあがっている状況は、かつての日本のバブル崩壊を想起させます。


中国がバブル崩壊すれば世界経済そのものが壊滅的な影響を被ることになります。

南海トラフ地震がいつ起きるかはわかりませんが、中国経済という爆弾はもっと早く来そうなので、よほどの注意が必要です。




ZOZO離れはなぜ止まらないのか

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「『雉も鳴かずば撃たれまい』というが、この人は雉どころか孔雀が羽を広げているようなものですからね」by大前研一氏

もっともZOZOTOWNの前澤社長とすれば、充分な計算の上に鳴いていたのでしょうが。

前澤社長けんめいの話題づくり


月旅行計画をぶち上げたり、ツイッターで100万円を配ったり、キャッチーな話題に事欠かなかった最近の前澤氏ですが、今度は本業の方での不振が伝えられるようになりました。

おかげでツイッター休止宣言をするはめに。

前澤氏とすれば、自分自身が話題になることでZOZOTOWNへのアクセスを伸ばそうという意図があったことでしょう。

量販店化していったZOZOTOWN


ZOZOTOWNはアパレルECの大手です。売上そのものはそこそこですが、利益率が高く、株式市場でも大いに注目されています。

利益率が高いのは、ZOZOTOWNがいわばセレクトショップのEC版だったからです。ファッション感性の高い人向けに、厳選した商品を販売するスタイルです。EC(電子商取引:ネット通販)なのに、購入も配送も返品もスムーズにストレスないように設計されていたので、支持を集めました。

しかし、注目を集めすぎたようです。ECといえばアパレル業界の中でも唯一といっていいぐらいの成長分野です。ZOZOTOWNはその端っこに店と作ったつもりが、いつの間にか一丁目一番地になっていました。

会社は急成長し、地味に堅実に売っていく、というだけでは株主の期待にこたえられなくなりました。だからここ最近は、扱いブランドも多種多様になり、急速に量販店化していったように思います。

前澤社長の涙ぐましい話題づくりも、いかにも量販店のイメージに拍車をかけていると感じます。

各社、自社ECサイトを立ち上げる時期に


最近、ブランドのZOZO離れが話題になっています。直接の理由は、会員向けに常時値引き販売を始めたことが、ブランド価値を棄損する、と判断されたことだそうです。

が、実際のところは、ZOZOTOWNに商品を提供するよりは、自社でECサイトを立ち上げたらいいや、と力のあるブランドが考え始めたということでしょう。

実際、アパレルECサイト黎明期と違って、力のあるブランドメーカーは自社サイトの運営に乗り出しています。

ZOZOTOWNに残すのは、安売りイメージがあってもいいブランドか、シリーズだけということになり、アマゾンのサイトと変わらなくなっていきそうです。

顧客との関係性づくりは失敗したのか?


もう一つ、大きかったのは、ゾゾスーツなるものの失敗だと私は考えています。

自社PB商品を販売するためという名目で、ユーザーの身体のサイズを正確に測定するために、特殊スーツを配布するなんてアイデア、他のECショップは思いつかなかったでしょう。

そこまでユーザーとの密接な関係性を築こうとするZOZOTOWNには、各ブランドメーカーも畏怖したはずです。

ところが、なんだかよくわからないうちにとん挫してしまって、スーツがなくても採寸はできる、なんて言い出しました。

各メーカーも「なんだその程度だったのか」と見くびる気持ちになったとしても仕方ないですね。


まあ、ZOZOは、これからPBを充実させて、製造小売りとして展開していこうというのですから、出ていくブランドがあっても仕方ないことです。

イマイチなPBの販売策を充実させてさらなる発展を期待したいと思います。





アマゾンが成長鈍化 GAFA同士の競合激化へ

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最近、何かとネガティブな話題が多いアマゾンです。自動運転車に参入するということですから、前向きな話なのですが、記事は、成長鈍化と結びつけています。

アマゾン側は、配送業務等における生産性向上のため、と説明しているようですが、この分野はグーグルやアップルやその他のIT企業らとガチでぶつかります。

棲み分けよりも、競合する方向へ向かっていくようです。

過去最高の業績でも、成長性は鈍化


とはいっても、アマゾンの業績は絶好調です。

アマゾン「最高で最悪」の四半期 10-12月期決算、減速の兆しにおびえる株主

休暇シーズンを含む10-12月期の売上高は前年同期比20%増の724億5000万ドル、営業利益は78%増の約38億ドルだった。通期の営業利益は前年の3倍を上回った。
ということですから文句のつけようがない。と思えますが、

10-12月期の増収率20%は、2015年前半以来の最低だ。成長著しいアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の増収率45%でさえ、わずか2四半期前の49%に比べると低い。

と、成長率が下がってきていることが問題となっています。


永らく無敵企業の名をほしいままにしてきたアマゾンのアイデンティティは、その成長性にあります。成長を前提とするので、利益がなくても儲けなくても配当がなくても株主は満足していたわけです。

が、その成長が鈍化したということであれば、潮目が変わった、と見る向きが多いのも仕方ないでしょうな。


GAFA全体が曲がり角にある


アマゾンだけではなく、GAFA全体が苦労しています。

GAFA、「稼ぐ力」鈍る 利益率20%割れ目前

税引き前利益率が20%切れ目前って…アンタ。

普通に考えれば儲かって儲かって仕方のないレベルですよ。しかし、世界経済を牽引してきたGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)のことですから、やはりネガティブに捉えなければなりません。

記事にもあるように、これらの企業の成長鈍化の要因は

1.既存企業との競争激化→GAFAは、既存の業界をITによって侵食破壊することで成長してきました。当初は泡を食っているだけだった既存業界の企業群も、最近では態勢を立て直して逆襲に転じています。

2.ローカル化の困難→グローバル市場では無双状態のGAFAですが、各地域の細かな事情に対応するのは苦手にしています。グローバル市場が成熟してくれば地域での戦いになるはずですが、そこでは苦戦しています。

3.社会的責任への対応→スマホやSNSや過去にない商品やサービスを展開してきましたので、過去にない社会問題が引き起こされています。個人情報をどう扱うか、情報漏洩をどう防ぐかなど、コストのかかる問題が目白押しです。

あとは、トランプ米大統領の無茶な要求にどう応えるかなども問題です。

アマゾンに関しては、ベゾスCEOの離婚問題もバカにできない問題ですよ。

そんなわけで、成長エネルギーの行き場を失ったGAFAは、新たな成長機会を求めて、各業界の食指を伸ばし始めています。日本企業との提携話も増えてくるでしょうね。

GAFAがお互いに競合する場面も増えてきますので、業界がどのように動いていくのか混沌としてきました。




「サブスク」ビジネスの衝撃

サブスクビジネス

(2019年2月7日メルマガより)



トヨタ自動車が、高級車レクサスの定額利用サービスを始めるそうです。



ユーザーは、トヨタの高級車6車種から好きな車を選択できて、半年で新車に乗り換えることも可能です。

契約は3年間、月額19万4400円。(3年で約700万円)

レクサスのセダン新車が600万円ぐらいから購入できるそうですから、この金額をどう捉えるかは、意見の分かれるところでしょうね。


新車売り切りビジネスの否定


それにしても、トヨタまでもが定額利用サービスを始めるとは、時代も変わったものです。

自動車といえば、新車売り切りビジネスの最たるものです。

レンタカーやカーリースという形態があるとはいえ、ビジネスの中心となるのは、自動車メーカーごとに系列化されたディーラーによる新車販売です。

ところが、トップメーカーであるトヨタが、定額利用サービスを始めたわけです。これまでのビジネスモデルを否定する行為です。

そうですね。トヨタは、このまま新車販売ビジネスに頼っていたら成長できないと判断したのです。

自動運転車が普及すれば、カーシェアが当たり前になり、ユーザーにとって車を所有するメリットが小さくなると考えられます。

したがって自動車の絶対数が減ってしまいます。(社会的には適正数になります)

そんな時、いままでと同じように新車販売に頼るのは誰が見ても戦略ミスです。相当ブラックな販売会社でも売上を維持するのは困難でしょう。

だからトヨタの試みはしごく当然の方向性によるものです。


サブスクリプション(サブスク)とは


自動車だけではありません。いま、あらゆる業界で「所有から使用へ」移る動きが始まっています。

家も、家具も、家電製品も、衣類も、宝飾品も。これまで所有することが当たり前で、所有することこそステイタスだった品々が「必要な時だけ使えばいい」ものと認識されだしました。

ユーザーが負担するのは月々の使用料で、普通は購入するよりも小さな額で済みます。所有することをやめただけで、相当のコスト減になるはずです。

いっぽうのメーカー側は、当初の売上こそ減るものの、継続的に使用してくれるユーザーを確保さえできれば、ビジネスを組み立てやすくなります。新規顧客獲得のためのコスト負担もありませんから収益率は上がります。

こうした継続的なビジネスの形態をサブスクリプション(サブスク)といいます。

サブスクリプションとは、もともとは新聞や雑誌の定期購読や予約購読を示す言葉です。

しかし今は、その概念が拡大しています。


マイクロソフトを復活させたサブスクビジネス


サブスクの有効性を世に知らしめたのは、マイクロソフトの復活でした。

パソコン全盛時代、ウィンドウズというOSを擁していたマイクロソフトは我が世の春を謳歌しました。

ところが、検索システムのグーグルや、スマホ時代を到来させたアップルの登場によって優位性を喪失したマイクロソフトは勢いを失い、過去の企業になってしまった感すらありました。

そのマイクロソフトがいま俄かに復活し、株式時価総額では世界トップに踊り出しています。

その原動力となったのが、3代目サティア・ナデラCEOによるビジネスモデルの転換です。

それまでマイクロソフトのビジネスは、ウィンドウズという無料OSを入り口に、エクセルやワードやパワーポイントといった業務用ソフトを販売するというものでした。

ユーザーが、これらのソフトを購入すれば、永久に使うことができます。が、実際にはソフトは次々最新版が発売されるので、いつの間にか旧式化してしまって、買い替えが必要となります。買い替えには、もちろん新たな費用が発生します。

(パソコンにワードやエクセルが付属していることもありましたが、それはパソコン代金の中に含まれているというだけで無料ではありません)


これに対して、いまのマイクロソフトの主力商品は、月々(あるいは年間)の費用が発生します。

ただし最新版の追加購入はいりません。ソフトの中身はクラウド上(ネットの向こう側)にあり、それを使用する方式ですから、勝手にアップデートしてくれるので、いつも最新版を使うことができます。

エクセルやワード、パワーポイントなどを含むマイクロソフトオフィスには、無料版も用意されていますが、機能制限のない有料版は月1000円程度です。

ユーザーとすれば年間12000円程度で常に最新の業務ソフトが使用できてお得です。

マイクロソフト側としても、一定の継続収益が見込めます。それにクラウドにあるソフトを遠隔で使用してもらう方式なので、顧客が増えてもコストはそれほど増えません。

つまり利益率がいいのです。

顧客数が一定数を超えるまでは我慢が必要ですが、臨界点を超えると、とんでもなく儲かるビジネスであることをマイクロソフトが世に知らしめました。


既存ビジネスと競合してしまうサブスク


そんなにいいものなら、みなサブスクをやればいいやん。と思いますね。

その通り、日本企業もサブスクの可能性に気づいて、続々と参入しています。

しかもマイクロソフトのようなソフトウェア会社だけではなく、物理的な商品を扱うメーカーが参入しています。


トヨタの高級車使用サービスは上に書いた通りです。

パナソニックは、月額7500円で最新のテレビを3年ごとに使用できるサービスを開始しました。

ソニーは、プレステのユーザー向けに定額で追加機能を付加するサービスを行っています。

三菱商事は良品計画と組んで、家具の定額使用サービスを検討しています。


ただ悩ましいのは、売り切りビジネスから定額サービスに切り替える際に、一時的な売上減に見舞われることです。

顧客数が一定以上になるまでは、収益の低下に耐えなければなりません。

メーカーはそれでもいいかも知れませんが、販売会社にとっては、売り切りビジネスが無くなることは死活問題です。

パナソニックのテレビ定額サービスは、販売店の不興を買って、サービスの拡大もままなりません。

家電製品のダイソンが行っている家電品(ヘアドライヤー)の定額使用サービスは、家電小売店からの猛反発を受けて、宣伝できない状態だそうです。

トヨタの定額サービスが高額すぎてイマイチやる気が感じられないのは、既存の販売ディーラーの手前、わざとお得感をなくしたのではないかと思えます。

もともとの既存ビジネスをしっかり行っている企業にとって、サブスクビジネスへの取り組みはけっこうハードルが高いようですな。


ベンチャー企業の方が取り組みやすい


これに比べて、新興企業やベンチャーは、何のしがらみもなく取り組むことが可能です。

例えば、洋服の定額サービスの「エアークローゼット」という会社があります。

6800円で月3点まで交換可、9800円で無制限交換で洋服を使用することができます。

どんな服が送られてくるかは非公開ですが、個人アンケートをみたプロのコーディネーターが、それぞれに合う服を選んでくれます。

対象は、会社勤めの女性で、普段会社に来ていく服がコンセプトです。


あるいは、高級バッグの定額サービス「ラクサス」

こちらは月6800円で、高級バッグを持つことができます。

高級バッグを揃えるのが大変だろうなと思うのですが、実はこれ、ユーザーからの借り物も含んでいます。

高級バッグの持ち主から借り受けて、それを誰かに貸し出せば、元の持ち主にマージンを支払う仕組みとなっています。


ベンチャー企業には既存ビジネスがないので、それを侵食することがありません。だから思いついたらやり放題です。

洋服でいえば、スーツ、ネクタイ、礼服、ドレス、コスプレ用なんてのもアリかも知れません。

持ち物でいえば、高級時計、宝飾品、ビジネスバッグ、眼鏡、帽子など。既にあるかも知れませんが。

月8600円でラーメン食べ放題というサービスまであります。実際にサービスを受けてみると、苦行か!というぐらい食べ続けないと元はとれないそうですが^^;

いまは定額借り放題といえばキャッチーなので、ユーザーが集まりやすいという追い風もあるようです。


ただし参入障壁の低いビジネスですから、競合が多くなる傾向にあります。

だから同種のビジネスを維持させるためには、最初からギリギリの価格設定をしておくこと。および、ユーザーデータの収集蓄積分析に力を入れて、既存顧客の満足度を高めることがキモとなります。

安いんだからこの程度のサービスでいいだろうなんて考えていると、速攻、後発のメーカーに乗り換えられてしまいます。


単なる継続課金ではない


お分りかも知れませんが、サブスクを単なる継続課金ビジネスだと考えると、失敗します。

サブスクの最大の特徴は、顧客との距離が近いということです。

何しろ自社のサービスを継続して利用してくれる方と直接コンタクトが取り放題のビジネスです。

ユーザーの行動データを収集分析し、意見を直接聞くことで、ユーザー個々人にぴったりのサービスを提供できる可能性があります。

動画配信大手のネットフリックスは、顧客の行動データを大量に蓄積し、分析したうえで、オリジナル番組の製作配信に巨額の投資を行っています。誰を主演に、誰を監督にして、どのようなストーリーの番組を作れば、ユーザーが満足するかがわかるので、迷いがありません。

多様なニーズには多様な番組を揃えることで対応し、個々人ごとにおススメ番組を紹介しています。

最近では世界各国スタッフによる番組作りにも力を入れて、ボーダレスなニーズの取り込みにも挑戦しようとしています。

だからネットフリックスは、月定額の値上げを実施しても、ユーザーが増え続ける満足度を実現しているのです。

これはデジタルなビジネスだけに特有の特徴ではありません。物理的な商品のあるリアルなビジネスでも同じです。

IoTの技術を商品に組み込むとより効果的ですが、そうじゃなくても個客データの収集は可能です。

自社のサービスは顧客に合わせて改革改善できるし、顧客ありきのビジネスなので、無駄な在庫も発生しません。

結果としてより安く上質なサービスを提供できるというものです。


サブスクが提供するのは「こだわり」ではない


さらに踏み込むと、それは物理的な商品ですらありません。

サブスクが提供するのは、ユーザーが感じるところの便益や満足感でなければなりません。

家具の定額使用サービスを利用するユーザーは、家具が好きで好きでたまらない人なのでしょうか?

いや、そうではないはずです。

むしろ、自分で家具を選ばなくても不自由なく生活できる便益を求める人でしょう。

服も同じです。

服に強いこだわりを持つ人は、定額サービスを利用せずに、自分で商品を選ぶはずです。

定額サービスを利用するというのは、自分で選ぶ労力を省いても、周りの人たちからセンスがあると思われる程度の服を着ていたいと思う人でしょう。

だからサブスクを成功させるためには、低価格であるとか、品質がいいとか、デザインがいいとか、使い勝手がいいという前に、顧客の本来のニーズを満たし、便益に資するものでなければならないのです。

「1/3インチのドリルを買った顧客は、1/3インチの穴を買ったのである」とは、マーケティングの本質を示す言葉として有名ですが、まさにその本質に真正面から取り組むのが、サブスクというビジネスです。


日本企業の取り組みは中途半端


そう考えると、日本企業の取り組みはまだまだ中途半端だと言わなければなりません。

パナソニックのテレビ定額サービスは、新型テレビが3年ごとに使えるというサービスでしかありません。

本来のサブスクビジネスならば、ユーザーの視聴傾向を自動で分析して(目の動きや表情から関心度を解析して)お勧めの番組を録画するテレビを用意してほしいものです。

ユーザーごとに相応しいテレビも違います。スポーツ番組をよく観る人には迫力のある大画面と音響が必要ですし、ドラマが中心の人には全てのドラマを自動で録画してくれるテレビがいいでしょう。報道番組が中心の人には文字放送による解説が欲しいですし、ネット番組をよく観る人にはリモコンの中央にネットボタンのあるテレビを選び、外出が多い人にはスマホ連動テレビが便利です。

もっと言うと、テレビにこだわる必要もありません。スポーツが好きな人にはスポーツイベントを紹介し、映画が好きな人には最新映画のチケットを購入できるようにしてほしい。

釣りが趣味の人には釣り情報と必要な道具の提供。旅行好きな人には旅行番組とセットで実際のツアーの紹介もしてほしい。

せっかくサブスクビジネスに取り組むのなら、そこまでしないと価値を創ることができませんよ。

いやいや、天下のパナソニックのことですから、今はユーザーとの接点を作ることに注力し、布石を打っている段階です。3年後には、ちゃんと本質的なサブスクビジネスに取り組んでいるはずですよ。

と思いたいものですが。


アマゾンは究極のサブスクビジネスに取り組むのか


そう考えると、サブスクビジネスの最先端にいるのはアマゾンだと私は思います。

アマゾンは、家電品から家具から衣類から生鮮品からネット関連サービスから、あらゆるものを扱っています。

そして個人の膨大なデータを蓄積しています。

もしアマゾンが、家や部屋を扱うようになれば、生活に必要なものは殆どを揃えることができます。

部屋と、家具と、家電品と、水道光熱と、基本的な食糧と、衣服と、ネット環境と、スマホと、丸ごと定額で提供してくれればこの上なく便利です。

例えば最低限生活できる環境を10万円、15万円という定額で提供してくれれば、一般の人は生活を組み立てやすくなります。

もちろん中間層や富裕層にはもっと高いレベルの定額サービスを提供するわけです。

生活する中で、その人の好みが理解されてくれば、アマゾンの豊富なサービスの中から徐々にカスタマイズしていけばいい。

アマゾンプライムの動画や音楽、ゲームなども提供できるので、退屈することがありません。

なんていうと、貧困層を呆けさせて搾取する悪徳ビジネスに近づいていきそうですから、そうならないように注意することは必要ですよ。だから収入すべてを定額サービスに投じることは禁止です。

しかし、最低限の生活を保障されるということは人間の尊厳を守る上で大切なことです。

その上で、自分がやりたいこと、こだわりたいことに、計画的に投資して取り組んでいけばいいのです。

そこは定額ではなく、自分で慎重に選んで取り組んでください。

ともあれ、アマゾンは、究極のサブスクビジネスができる位置にある企業です。

とはいいながら、最近なにやらネガティブな話題が多いアマゾンですから、実現できるかどうかはわからなくなってきましたが。


後戻りできない大きなムーブメント


そんなわけで、サブスクがマーケティングの本質を実現するためのビジネスであることをご理解いただけたでしょうか。

いままでは理想としてわかっていても、実際には取り組めなかったことです。

それが近年のIoTおよびAI技術の進歩によって、可能となりつつあります。

本質的なことなので、後戻りはしないと考えます。

多くの企業が注目し、参入しようと考えるだけの大きなムーブメントです。

これからも注目していきましょう。


【参考】







オリオンビールの危機的状況

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沖縄好きの人たちからすると由々しき事態です。

沖縄のビール会社オリオンビールが、アメリカのファンド会社に買収されます。

ファンド側は、近年低迷するオリオンの県内売上シェアを5ポイント伸ばす、としています。その後は、どこかに転売するのでしょう。

どこの国の企業が買収するか知れず、いつまでも「オジー自慢のオリオンビール」と言っていられなくなるかも知れません。

オリオンビールが高収益な理由


オリオンビールは、1957年アメリカの統治下に作られた会社です。沖縄復興のためにと官民揃っての願いが込められていたと聞きます。

1972年の本土復帰の折には、酒税を減免する特別措置がとられました。元は5年の時限法でしたが、今でも続いています。

オリオンビールの利益率が高いのは、そういう事情もあります。それが同社を育てたともいえますし、逆に競争力を弱めているのではないかと思えます。

税優遇をそろそろ終わらせねばならないと政府は考えているようですが、いま終わらせてしまえば、オリオンビールが経営難に陥る懸念があります。

アサヒビールとの提携は正しかったのか


2002年、オリオンビールは、アサヒビールと資本提携します。唐突の感がありましたが、記事を読むと、政府による「オリオンに競争力をつけさせよう」という意図があったようです。

が、政府が思ったようには競争力強化につながっていません。

沖縄県外での販売拡大も進んでいませんし、最近は沖縄県内でのシェアも落ちているようです。記事によると「アサヒが抜けたらオリオンは商品を作れなくなる」からアサヒは資本を引き揚げないんだそうです。

ひどい言い方ですね。誰だこんなこと言ったのは。

上の記事を読めばわかりますが、アサヒ側にまったくやる気が感じられません。もともとやる気がなかったのか、あるいは提携する中でやる気を失っていったのかはわかりませんが、馬鹿にしているのではないかと疑いたくなります。

どうもオリオンは、提携すべき相手を間違えたようですな。

真の意味で競争力を持つことができるのか


もっともアサヒ側をやる気にさせることができなかった(あるいは呆れさせた?)オリオン側にも問題があります。

企業イメージはむちゃくちゃいいのに、中身が伴っていないことを自覚しなければなりません。

本来、狭い範囲で圧倒的なシェアと知名度を誇る企業です。特別措置法がなくても、圧倒的に儲かっていなければおかしいのです。

ポジショニングは完璧なのに、競争力がないとすれば、開発力か営業力か組織の生産性が悪いということです。

オリオンビールの位置づけからすれば絶対に強い会社になることができます。

自社で立て直す力がなければ、ファンドの力を借りるのも仕方ありません。むしろ長年たまった澱を綺麗にするためにはファンドのようなドラスティックな手法で改革するのが相応しいでしょう。

数年後には競争力のある会社になり、また県内企業の星として輝くようになることを願っております。




ミニ保険はベンチャー企業にうってつけのビジネス

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ミニ保険(少額短期保険)は、2006年の保険業改正により生まれた保険です。

保険金額が1000万円以内、1〜2年の期間に限定した保険をいいます。

伝統的な生損保の商品と比べ、補償内容がシンプルで保険料も安いのが特徴だ。死亡時の保障を葬儀費用にあてる数十万〜100万円程度に抑えたものや、家財が壊れたり、ペットが病気になったりするといった特定のトラブルに備える。

ということで、ちょっとした補償を取り扱います。

例えば、運動会一日の怪我の補償とか、家電製品の補償、イベントのキャンセル補償、痴漢冤罪の弁護士保険など。

保険料も少額なので、スマホで契約するのに適しています。というか、スマホがなければ、売ることは難しい商品です。

スマホというチャネルができたからこそのビジネスであるといえます。

ベンチャー企業にうってつけのビジネス


取り扱うのは、専門の少額短期保険会社です。従来の保険会社も別会社を設立する必要があります。

ただ最低資本金が1000万円なので、比較的簡単に設立できます。

ミニ保険は、需要と事故発生率の計算さえできれば、アイデア一つで開発できます。まさにベンチャー企業にうってつけのビジネスです。

参入するなら今ですよ。(競合が増えて似たような保険が増えると、厳しくなりますので)

ミニ保険、「百社」繚乱 少額で日常トラブルに備え

もうひとつ言えば、需要と事故率と保険料の計算をする専門AI扱いビジネスが成立するかも知れません。あとは、いざという時の補償料を肩代わりする会社ですね。





完全自動運転車になると産業構造が変わる

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CES(Consumer Electric Show)とは、アメリカで開催される電子機器の見本市のことです。

毎年、最先端の電子機器が出展されるので、技術進化の状況や発展の方向性を知るのにいい機会となります。


記事では、自動車について書かれています。

自動車は電子機器か?と思うかも知れませんが、疑いなく最先端の電子機器です。

特に電気自動車は、そのものですね。

自動運転車は動く〇〇になる


記事にあるのは、各社が出展した自動運転車の様子です。

自動運転車が実現すると、自動車の自由度が上がります。

運転がいらない完全自動になれば、車は、動くリビングであり、ベッドルームであり、オフィスであり、会議室であり、キッチンになるのかも知れません。

座席は前を向く必要がなく、自由な配列となります。

いや、そもそも前という概念がありません。だからタイヤは360°回転し、動けるようになります。



自動運転システムや安全性は、基本性能です。

車が差別化し、特徴を出すなら、内部の設計や設備のコンセプトによるものとなります。

記事が、「部品メーカーの野望」と書いているのは、車の「売り」を作るのが、自動車メーカーから離れて、多くの部品メーカーになるという意味ですね。

この場合、従来の部品メーカーばかりではなく、家電、家具、キッチン、ソフトウェアなど多くの産業が関わってきます。

記事には、アバターや二次元キャラクターが同乗者になってくれる車が紹介されています。いかにもクールジャパンにかこつけた安易な発想です。実際の市販車は、もっと多様なものになっていくでしょう。

既存自動車メーカーが狙うプラットフォーマーの地位


車の台数が減っていくと予想される中、現状の自動車メーカー各社は、プラットフォーマーになろうと躍起になっていることでしょうね。

つまり携帯電話キャリアのように、自社規格に部品メーカーが合わせるスタイルです。

もしかすると、自動車本体は無料で、月々使用料を自動車メーカーに払うビジネスモデルになるかも知れません。

そうなると、部品メーカー各社は、料金徴収の主体である自動車メーカーの言うことを聞かざるを得なくなり、自動車メーカーの規格に合わせた内部設計をすることになります。

グローバル市場では、SIMフリー車が主流になるのでは?


これに対して、SIMフリーのような自動車も現れるでしょう。つまり自動車メーカーが基本ユニットだけを提供し、そこに部品メーカーが内部を付加したものです。

この方が尖ったコンセプトの変な車が出来上がるかも知れません。

この場合、ユーザーは所有権を買い取るか、あるいは、使用した際にだけ料金を支払うスタイルになります。

こちらの方が、グローバル市場で戦える自動車やビジネスモデルになるかもしれません。


おろらく日本では、力のある既存自動車メーカーが業界規格を作っていくこととなるのでしょうが、ユーザーとしては、より便利で面白いものを提供してほしいと願うのみです。

政府が産業保護政策をとって、ユーザーとしても、グローバル競争からも、つまらないものにならないことを願うのみです。





日本電産の業績下方修正を甘く見てはいけない

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日本電産が、今期の純利益予想を大幅に下方修正しました。

いつも控えめな予想を立てて、それを超える実績を出すのが通例の日本電産だっただけに、株式市場には「日本電産ショック」が広がりました。

要因は、中国経済の不振


ちなみに日本電産の2018年3月期の売上高は1兆4881億円、営業利益は1676億円でした。

当初は増収増益を見込んでいたのですが、今回、売上高1兆4500億円、営業利益1400億円の減収減益予測です。

永守会長は、「尋常ではない変化が起きた。46年経営を行ってきたが、月単位で受注がこんなに落ち込んだのは初めて」とまで発言しています。

その要因として中国の輸出企業の販売不振と在庫過剰感があり、「場合によっては19年4〜6月期まで在庫がはけない可能性がある」と仰っています。



一過性の問題ではないかも知れない


中国の輸出に停滞感があることは、以前から囁かれてきましたが、ここまで突発的に不振に陥るとは、さすがの日本電産でも予測できなかったのでしょう。

きっかけはアメリカのトランプ大統領による対中貿易赤字の理不尽な問題化ですが、それはきっかけに過ぎず、構造的な不振に陥るのではないかとも考えられます。

そもそもアメリカが中国から輸入するのは、コストの安い中国の工場で製造するのが合理的だからです。

しかし、中国も賃金が上がってきていますし、中国企業によるパクリ問題もありますから、考えもなしに中国で製造するのが全面的に良いとは言えなくなってきています。

その上、製造業の自動化技術が進むと、アメリカ国内で製造してもコスト面で合う場合も増えてくるでしょう。

中国が世界の工場だった時代が終わりを迎えているのかも知れません。

安易な楽観ムードは危険


株式市場は、「いちばん慎重な日本電産の予測よりも悪くなることはない」といって、妙に楽観論が広がっているようです。

日本電産、下方修正でも「楽観ムード」のわけ

が、中国の停滞が、構造的なものだとしたら、長引きます。内需拡大を目指すのでしょうが、うまくいっていないという報道もあります。

中国、28年ぶり低成長 貿易戦争が打撃

日本電産なら難局に対応してくるでしょうが、他の電子部品メーカーは日本電産ほど素早く根本的な対応ができるでしょうか。

永守氏の鳴らす警鐘を甘く見ない方がいいと思います。





 

島田紳助や大前研一が提唱する成功理論・成功術

島田紳助や大前研一が提唱する
(2019年1月24日メルマガより)



以前、このメルマガで、島田紳助の成功法則について書いたことがあります。


いまから12年前。2007年のことです。

その後、島田紳助は芸能界を引退しましたが、その成功理論の切れ味は失われてはいません。

ご興味のある方はDVDを購入して聞いてみてください。



島田紳助の成功理論とは


かいつまんでいうと「自分ができること・人に勝てること」と「時代の流れ」をクロスさせる。というものです。

紳助のような芸人を例にすると、全員が本音では売れることを目指しています。

そしてそのために、自分の芸を磨き、世間から受け入れられる態勢を整えているのです。

ところが全員が売れるわけではありません。名人級の芸を持ちながらも、たいして売れることなく終わる人もいるでしょう。

これはどの分野でも同じですね。企業でもそう。どこよりも高い技術力を持ちながら、鳴かず飛ばずの会社もあります。

紳助に言わせると、それは運ではありません。単に成功理論を実践していないだけです。逆にいうと、芸の力だけで売れることの方が、幸運だったといわなければなりません。

だから紳助は、漫才というジャンルの流れを読もうとしました。過去に売れた漫才。いま売れている漫才。これらを徹底的に研究し、そのうえで、将来、どのような漫才が売れるかを見極めようとしました。

これが「時代の流れ」です。

「勝負の場は、寄席ではなく、テレビだ」「その際に必要なのは、じっくり聞かせる話芸ではなく、テンポのいいギャグや等身大のキャラクターだ」と読んだ紳助は「ヤンキー漫才」を作り上げました。それが、紳助竜介として一世を風靡したのは、衆知のとおりです。

自分が持っている武器をよく理解し、時代の流れに合わせる。

というのは、すべてのジャンルに応用できる成功理論ではないでしょうか。


大前研一の成功術とは


いまさら、なぜこんな話をするのかというと、この正月、著名な経営コンサルタントである大前研一氏がCS放送で「大前流成功術」というものを紹介していたのですが、その内容が、紳助の成功理論に似ていたからです。

まさか大前研一氏が紳助の成功理論を見たわけではないでしょうし、紳助が大前研一氏の成功術を意識したわけではありますまい。

だけど、紳助も大前研一氏も、論理的思考の権化といった人たちです。彼らが提唱する成功理論や成功術が似通っているというのももっともなことなのかも知れません。


大前氏の成功術は「5年後の世界を予測して、そこから逆算して成功する方法を考える」というものです。

5年後の世界が見えていれば、どうなるのか。

その世界の中で、どのような立ち位置をとれば成功できるのか(有利であるか)を考えることができます。

また五年後に力を発揮するためには、どのようなスキルや知識を身につけなければならないかを知ることができます。

成功への道筋が見えれば、あとはブレずに、コツコツと努力を積み上げていくのです。

5年後、というのが少し具体的ではあるものの基本的には紳助の成功理論と同じだということがわかっていただけるでしょう。


5年後を予測する


この5年後というのが絶妙です。

10年後だと遠すぎて予測しづらい上に、成果が出るまで時間がかかり過ぎます。

3年後だと近すぎてとるべき立ち位置に必要なスキルが間に合わないかも知れない。予測が外れた時の修正も困難です。

そんなわけで5年後に照準を合わせるのがいい。

常に5年後を意識して、毎年、チューニングしていけばいいのです。

とんでもなく予測が外れたら往生しますが、徐々にずれてくる分には修正が効きます。

予測とは、その都度、直していけばいいことなのです。


そんなもん、半年後どうなるかもわからないのに、5年後の世界なんて予測できるか!

と怒る人がいるかも知れません。

本当にそうでしょうか?

実際には、今すでに分かっていることも多々あります。

そうした当たり前にわかっていること、既に見えていることを集めていけば、5年後の予測はとんでもなく難しいものではありません。


ちなみに紳助は、過去流行った漫才といま流行っている漫才を紙に書き写し、過去にくらべて今の漫才は文字数が多いことを知りました。

そこから紳助は「話の間がどんどん無くなっている」ことに気づき、将来の漫才はさらに間がなくなるギャグの連打のようなものになると予測したのだそうです。


第3次産業革命の行方


今から5年後といえば、2024年です。

東京オリンピックの4年後であり、大阪万博の前年です。

その頃になると、世界はどのように変化しているでしょうか。


大きなくくりでいうと、第3次産業革命は、ますます進んでいきます。

(第3次産業革命とは、インターネット技術の進化と再生可能エネルギーへの代替を軸にした産業の変化を示す言葉です)

あらゆる産業においてネットワーク化とデジタル化が進み、産業分野の融合が進みます。

例えば、自動車は自動車メーカーだけが作るものではなくなります。

2020年にも自動運転車が市販されると言われていますが、それが普及すると自動車はコンピュータであり、家電製品であり、AIロボットであり、快適なリビングであり、ベッドルームになります。

トヨタとグーグルが自動車ユニットだけを販売し、それを使ってヤマダ電機やニトリが完成車を作って販売するようになるかも知れません。

あるいはアマゾンで組み立てキットを買って、各人が思い思いの自動車を造って使うようになるのかも知れません。

もちろん自動車だけではありません。

農業も、食品も、飲食業も、金融も、あらゆるメーカーも、サービス業も、卸も、ネットワークでつながり、融合していきます。

既にあらゆる分野のIT化が進んでいますが、これからはネットでつながることを前提とした産業の融合が進みます。

農業と製造業、サービス業と金融、飲食業と建設業といった具合に。

それがミスマッチな組み合わせであればあるだけ、新規ビジネスの爆発力が大きくなるかも知れませんね。


ネットワーク化が進むと、情報が適正化されるので無駄がなくなります。工場や問屋に在庫が積みあがるということもなくなり、全体的なコストが下がります。

大規模な工場や設備も一部企業だけのものとなり、投資コストが大幅に小さくなります。

起業に大掛かりな資本は不要となるので、起業アイデアとマネジメント力を持つ者にとって、チャンスの多い社会になっていくはずです。

楽しみにしていましょう。




世界経済の流れはどうなるか


短期的な世界経済の流れでいえば、減速傾向にあることは間違いありません。

世界銀行の見通しによれば、2019年の経済成長率は2.9%、2020年は2.8%で、ゆるやかに減速していきます。

今年は、ロシアやブラジルなどの新興国の減速がはっきりしています。

中国の動向も危ういです。

中国は、アメリカとの貿易摩擦で追い詰められていますが、内需拡大を急いでおり、現状6.2%の成長を継続できそうです。

ただ輸出が制限されたために内需拡大に走ったのは、かつての日本と同じです。日本の場合、それがバブル経済とその崩壊を招いたわけですが、中国はどうなるのか。

日本の失敗を見ているので、中国政府も同じ轍は踏まないと考えているでしょうが、13億人の国のバブルとその崩壊は、想像すらできないほどの破壊力を持つはずです。

だから隣国のわれわれもよほど注意していなければなりません。

その中国に貿易戦争を仕掛けるアメリカも無事では済みません。

2020年には成長率を大幅に下げる予測となっており、こちらの影響も甚大です。

早くまともな大統領に交替してもらいたいものです。




日本の状況は


日本も世界経済の影響を受けますから、決していい傾向とはいえません。

東京オリンピックが終わるまでは景気拡大は続くと楽観的なムードの強い日本ですが、ブラックマンデー並みのショックがアメリカから来ないという保証はありません。

もしオリンピックまでもったとしても、その後に調整局面が来ることは、大方の予想の一致するところです。

不動産の価格もいったん下がるはずです。

特に首都圏は、オリンピック景気で嵩上げしているだけに、落差の大きな谷が来るでしょう。


大阪はどうでしょうか。

2025年に万博が決まったこともありますが、それ以前から、大阪の経済は好調が続いています。

一つは長い年月続いていた大阪府と大阪市の二重行政の無駄が削がれて、一方向へ進むことができていることです。

万博の誘致もその成果ということができるでしょう。

万博の後、会場の夢洲あたりには、カジノを含む統合型リゾート施設ができると期待されています。

カジノの解禁は、アジアからの観光客を誘致するのに大いに資することでしょう。

いま日本には3000万人を超える訪日客が来ていますが、その恩恵を最も受けるのが大阪です。

大阪といえば永らく地盤沈下著しい地域として有名でしたが、ついに底を打ち復活の道を歩み始めたのだとみることができます。


このまま府と市の一体運営が続き、アジアからの訪日客を取り込むことができれば、大阪はさらに伸びていくはずです。

直近の世界的な経済の減速からは逃れることができないでしょうが、その影響は少なく済んで、2025年に向けて回復していく途上にあると予測します。


私のビジネスの範疇でいえば


もっと大きな視点でいえば、先進各国は、少子高齢化に突き進んでいます。その最先端をいくのが日本です。

私の仕事の範囲でいえば、労働人口が不足するので、人手不足が深刻化します。

それを補うためにはどうすればいいのか。

一つは、女性や高齢者の社会参加です。そのために環境を整備することが必要です。

あるいは、外国人労働者の受け入れです。

いずれにしろ、今と違う人たちを職場に迎え入れるわけですから、様々な労働問題が発生します。

その解決や調整を担うのは、われわれ士業やコンサルタントの役目です。


人を受け入れるだけではなく、効率化し、生産性を上げることも必要です。

仕事の中に、ITやAIを取り込むことで、一人が担当できる量を増やすことです。

営業の仕事ひとつとっても、AIを採り入れることで、作業を効率化させることは可能です。

そのための仕組み作りは、営業の専門家が担うべき仕事です。


人手不足となれば、小さな会社は廃業の危機に晒されます。

総務省の調査によれば、2025年に70歳以上となる中小企業・小規模企業の経営者は245万人になります。

そのうち約半数が後継者不在の事態に陥ると予測されています。

いくら中小企業・小規模企業といえども122万社が一気に廃業すれば、日本経済は壊滅的な被害を被ります。

そうなってはえらいことですから、政府は事業承継の促進を重要課題として進めていきます。

特に小規模企業のM&Aは、これから増加してくるはずです。

会社を定年してもまだ体力気力のある人が、退職金で会社を買って経営者になる、という話は半ば夢物語として語られていますが、これは現実になってきます。

あるいは官民ファンドがいったん買い取って、経験豊富な専門家を経営者として派遣し、道筋をつけた後、従業員ややる気のある若者に引き継ぐ、といったスキームを作らなければなりません。

もちろんその際に経営の役割を担うのが、中小企業診断士を中心とする経営の専門家であるべきです。




それぞれのビジネスに落とし込む


このように5年後の社会予測をそれぞれのビジネスに落とし込めば、どこに役割があるのかを類推することができます。

もちろん全部をカバーするわけにはいかないので、そのうち一つか二つに絞ることが大切です。

私も絞っていますが、いまは秘密です^^

絞った上で、その5年後の立ち位置に向けて、自分のスキルや知識を磨いていくことです。

やはり、5年後のことなんかわからない!

と言う方もいるでしょうが、心配しないようにしてください。

真剣に考えると、いろいろ見えてくるものがあります。

情報も集まってきます。(意識して情報を集めるようになります)

流されて受け身に生きる者と、自分から時代にクロスしていこうとする者とどちらが成功に近づくのか。

それは明白です。


さすが島田紳助であり、大前研一ですね。

今回、「戦略勉強会」でこの成功術を試してみたのですが、その有効性を確信しました。

5年後の世界を予測しながら、いま何をすべきかを考え続けることは、非常に有用です。私はこれを続けていこうと思います。

平成が終わっても、人生は終わらない

平成が終わっても
(2019年1月10日メルマガより)



平成も今年の4月で終わってしまうのですね。

なんだかアッと言う間でした。

小渕恵三官房長官(当時)が紙に書いた「平成」という文字を掲げたテレビの画面を昨日のことのように思い出します。

私なぞ、まだ昭和の気分を引きずっている者ですから、こんなに早く平成が終わってしまって、いったいどう考えればいいというのでしょうか。

これから4月にかけて、マスコミではいっせいに「平成の総括」を特集するでしょうが、それに先立ち、私もやってしまいます。

超個人的な平成の総括です。


平成30年で躍進したのはアメリカ企業


テレビの特集番組をみていると、平成元年の株式時価総額ランキングが並べられていて印象的です。

平成元年の世界の株式時価総額ランキングをみると、なんとトップ10のうち、8社が日本企業です。残り2社がアメリカ企業。

1位:NTT、2位:住友銀行、3位:日本興業銀行、以下金融機関が続く。

ところが、平成30年の時価総額ランキングは、トップ10のうち8社がアメリカ企業、残り2社が中国企業です。

1位:マイクロソフト、2位:アップル、3位:アマゾン、4位:アルファベット(グーグル)、5位:バークシャー・ハサウェイ(投資会社)

ちなみに株式時価総額とは、株式市場で取引される株価の総額です。買いたいと思う人が多ければ多いほど株価は上昇します。いわば株価は、その企業に対する期待値であり、将来性を示しているとみることができます。

またアメリカ企業全体の株式時価総額も9倍以上に巨額化しました。この30年でアメリカ企業がいかに成長したかを示しています。

これに対して、日本企業全体の株式時価総額は、半分近くに目減りしています。

アメリカや中国企業の急成長に比べて、日本企業の凋落ぶりを表しています。


アメリカと中国に挟まれた日本


思えば平成元年は、バブル経済まっさかりの時期です。東京23区の土地価格でアメリカ全土が買えるといわれた時代です。それは、株価も高いというものですよ。

しかし、それだけではありません。バブル崩壊のショックから充分に立ち直ったとはいえない日本に比べて、アメリカは、製造業の構造的な衰退、特に自動車産業の弱体化、あるいはリーマンショックのような金融危機に見舞われながらも、着実に経済規模を拡大してきました。

そこには、アメリカという国の底力が現れています。

平成が始まる頃「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という著作がベストセラーになるほど日本の台頭に危機感を抱いたアメリカは、アメリカ車をもっと買えとか、カリフォルニア米を買えとか、理不尽な要求を突き付けて、日本を困らせました。

それだけならただのわがまま国家ですが、その裏では、日本企業が得意とする製造業に見切りをつけて、IT、金融、ヘルスケアの分野に投資を集中させるという実に適切な選択と集中をやってのけたのです。

その結果が、時価総額9倍という今につながっています。アメリカの逆襲は見事というほかありません。

いっぽう中国は、13億人という巨大な内需を背景に、急成長をしてきました。普通に考えれば、それだけの人口を擁する国ですから、近いうちに世界一のGDPに到達することでしょう。

またもや危機感を抱いたアメリカは、中国IT企業を同盟国から締め出させたり、難癖をつけて貿易戦争を仕掛けたり、なりふり構わぬ封じ込め策に出ています。

今度、アメリカはどのような戦略をもって中国と対峙するのか、それはそれで見ものです。

が、大切なのは、その巨大国の間に挟まれているわが日本は、どのような方向性を以て生き残っていくのかということです。


バブル崩壊のツケを支払わないままの30年


かつて日本は、官民一体になって、ひとつの方向を目指していました。

資源のない日本では、海外から原材料を輸入し、それを加工して付加価値をつけて海外に売る、というビジネスモデルを志向しました。

当初、日本製といえば猿真似ばかりで粗悪品だと揶揄されていたのですが、ひとつのことにコツコツと取り組み、品質を高め、技術を蓄積するという方法は、日本人の気質に合っていたのかも知れません、いつしか技術力が世界を席巻するようになりました。

昭和の60年間、途中に敗戦経験があったものの、日本は「極東の奇跡」と称賛されるようになり、世界第2位の経済大国にまで上り詰めました。

安くて品質のいい日本製品はアメリカ企業の脅威となりました。業を煮やしたアメリカが「安売りばかりしやがって!」と怒り出し、強引にドル安に誘導していったのは、仕方なのないことでした。

円高になって、輸出がやりにくくなった日本企業は、アメリカなど現地に生産工場を作って、為替問題とアメリカとの経済摩擦問題を解決しようと図りました。

それはそれで効果を上げたのですが、このあたりから、日本得意の官民一体型の経済政策にほころびが出てきたように思います。

輸出ができなくなった日本企業は、1億人の日本国民に売ることに活路を見出し、お金が日本国内で回るようになっていきました。

余ったお金が土地に投資されて地価上昇を招くと、お金を余分に持っている人たち、あるいは山師っけのある人たちはさらなる価格上昇を見越して土地を買い漁りました。

土地ほんらいの価値などそっちのけで、値上がり転売目的の過剰な投機が日本中で行われたのです。

(土地だけではなく、美術品やゴルフ会員権などにも過剰な投資が行われました)

これがバブル経済でした。

あまりにも実体とかけ離れた価値が独り歩きしてしまったので、どこかで調整しなければならなかったのは必然です。

だから、平成のはじめに起きたバブル経済の崩壊は、昭和時代のツケを払ったということで、ある意味、そのツケを払い終わらないまま今に至っています。


極私的な平成ふり返り


実をいうと私は、平成元年(1989年)に社会人となりました。

私自身、昭和の気分を引きづったまま生きてきた人間ですが、考えてみれば、平成のスタートとともに社会人生活を送ってきたのですね。

入った会社はそれなりに大きな化学メーカーでしたが、配属されたのはステンレス魔法瓶を製造販売する傍流の弱小事業部でした。

赤字続きで売却か廃業かを検討されるようなポンコツ事業部だったことに身の不幸を嘆いたものですが、ポンコツ社員なりに集まって知恵を出し合って、生き残る道を探ってきました。

その甲斐あったというべきか、小さな事業部は奇跡的なV字回復を果たして、魔法瓶の世界トップ企業サーモスとなりました。今や、グループ内でも有数の高収益企業です。

そのあたりの経緯は、拙著『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』をお読みください。



平成16年、私は会社を辞めて独立しました。

そのままサーモスにいたらよかったのに、と未だに言われますが、独立したかったのだから仕方ありませんな。

そこから先はサバイバルの世界です。

なにしろ平成の30年は、経済成長なき30年です。まわりと同じことをしていたら、同じように鳴かず飛ばずになってしまいます。ことに私は一家四人を養っていかなければならない立場ですので、鳴かず飛ばずどころか、立ち枯れてしまいます。

その意味では「いかに生き残るか」をテーマとするランチェスター戦略や孫子の兵法を学んできたのは幸運でした。

ランチェスター戦略を知らなければ、サーモスの奇跡的な成長もなかったでしょうし、独立して15年間も生き残ることはなかったでしょう。



というわけで、私にとって平成の30年は、前半の「サーモスが世界トップ企業になるプロセスに伴走した」15年と、後半の「ひとりでビジネスを立ち上げ生き抜いていく」15年でした。

これからもサバイバルは続いていくのでしょうが、これまでと同じく、なんとか生き抜いていかなければなりません。

デジタル化革命がビジネスを普遍化した


アメリカ企業の躍進にみられるように、平成30年は、IT化、デジタル化の時代でもありました。

平成元年にはパソコンが普及しつつありましたが、平成19年には初代iPhoneが発売されて、一人一台ネットにつながる時代が本格化しました。

基本的にはすべての人間が世界中とつながることができますから、その影響は甚大です。その気になれば誰もが知りたい情報にアクセスすることができて、判断するための材料を得ることができます。

もうすぐ言語の壁もなくなるでしょう。自動翻訳機の進化もすさまじいですから。

同時に、デジタル化の進展は、コストの壁も低くしています。誰もが安価で質の良いインフラサービスを受けることができるようになってきました。

つまり、かつては大きな資本を持つ者しかできなかったビジネスの立ち上げを、はるかに小さな初期費用でできるようになってきました。

まさにやる気とアイデアと仕組みと勤勉さによって、誰もがビジネスを成功に導くことができる時代になってきたのです。


グローバル化時代にこそ必要な選択と集中


デジタル化はグローバル化につながります。

情報の壁が取り払われれば、世界は心理的に身近な場所になってきます。

大阪にいながら世界の辺境について知ることができますし、世界の辺境にいて大阪の状況を知ることができます。

情報を得ることができる場所は、気持ち的にはご近所です。私にとってアゼルバイジャンは、三重県の尾鷲よりも近いかも知れない。

ビジネスにおいても、尾鷲の方々を顧客にするよりも、世界の特定の人たちを相手にした方が、いい場合だってでてきます。


だからといって、世界中の人が顧客なんだから無限に売れるぞー。と能天気なことを言う人はあまりいないでしょうね^^;

皆に売る。とは、誰にも売っていないのと同じです。ターゲットを絞らないと、販売などできません。

対象顧客が世界に広がったからといって、自然に売れたりするなど妄想の類です。


先ほども言いましたが、アメリカの今日の繁栄は、的確な選択と集中によってなされたものです。

選択と集中と簡単に言いますが、実際、それをやりきるのは並大抵ではありません。

選択から漏れた産業や業界にも、既得権益を持つ人たちが大勢いるわけですから、それらの抵抗を無視して政策を進めるのは、かなり思い切った覚悟が必要です。

伝統的に欧米の企業は選択と集中(ポジショニング戦略)が得意だと言われますが、国家ぐるみの大掛かりな施策には、さすがに驚きます。


グローバル時代にこそローカル化していく


では、今の日本が、それほどドラスティックな割り切りができるものでしょうか。

できないでしょう。

日本には日本の良さがありますが、戦略的な選択や、それに伴う切り捨てや割り切りは、日本人が苦手とするものです。

歴史があって、1億人以上も国民がいて、既得権益者がこれだけ各業界に存在する日本において、今さら国全体が一つの方向に進むということは考えにくいです。

だとすればどうすればいいのか?

一つの方法は、国という大きな単位ではなく、地方単位で意思決定できるような制度に改めることです。

例えば、大阪府の人口は886万人です。

これは、香港(805万人)やスイス(766万人)やオーストリア(839万人)に近い規模です。

この規模の国は、国内で経済を回すには小さすぎるので、グローバルに展開しなければやっていけません。

だから彼らはそれぞれ特長を磨き、世界で勝てる分野に方向を定めています。

(例に挙げた国は、たまたま金融に特長がありますが)

すなわち、規模が数百万人というグループは、ポジショニング戦略をとらざるを得ない状況なのです。

日本もその規模に分かれて、各グループが独自の戦略で生き残る方法を考えていけばいいのです。

その場合、国にいちいちお伺いを立てていたらスピードが鈍るし、小姑が介入してきて面倒なので、地方だけで政策を決められるようにすればいい。

何より、自分たちで自分の命運を決めることができます。政治にも関心が出てくるでしょうし、選挙にも真剣に取り組むというものですよ。

道州制構想は、この考えのもとに考えられています。

いま日本政府国家に期待するのは、道州制構想のように、地方への権限移譲をしてくれること、その一点です。

そうじゃないと地方だけではなく、日本全体がじり貧になってしまうと思うからです。


国に頼れないなら自分で生き残っていくしかない


いや、それでも日本は割り切れない。という意見もあります。

なにより既得権を持つ中央省庁が、地方に権限を渡すわけがないじゃないか。

そうかも知れませんね。

だとしたら、国や行政に期待するのはやめましょう。

我々個人個人が、自分で生き残るための方向性を見定めて、サバイバルをしていかなければなりません。

そういう覚悟も必要ですよね。


私は、今まで通りサバイバルの日々を続けてまいります。

 

トランプ大統領の時代はこのまま続くのか?

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新年、いきなり株が暴落して往生しております(*_*)

その大きな要因がアメリカ大統領にあるというのだから、まいったもんです。

5つの深刻な危機とは


記事のいう5つの深刻な危機とは

1.トランプ大統領の頭を占拠する政治的危機

2.アメリカの株式市場の先行き不透明感

3.アメリカ国内外の安全保障政策の危機

4.ジェームズ・マティス国防長官の辞任

5.トランプ氏の大統領としての法的地位の危機

ということですが、詳細は記事をお読みください。

アメリカファーストではなく、選挙勝利ファースト


トランプ氏の行動原理は自分の一族の利益を優先することであり、政権運営に真面目に取り組んでいるとは思えません。

気に入らない報道には「フェイクニュースだ」の一言で片づけるので、さすがのマスコミもあっけにとられてどう対処していいかわからない状態です。

閣僚や政府高官は、イエスマンばかり。意見が異なる人物はどんどん辞めさせており、いま2回転目に入っています。

いわば中小企業のワンマン経営者が、アメリカという世界一の国家の運営主体になっているのだから悪夢以外の何物でもありません。

トランプ大統領の拠り所は、熱狂的な支持者である貧困白人層で、彼らが喜ぶようなことを言い続けていると選挙で勝てると踏んでいるらしい。

選挙で勝つことだけを目的に行動しているのだから、民主主義の良識もなにもあったものじゃない。

こういうことは、トランプ氏登場の頃からわかっていたのですが、多くの人は、まさか大統領になってまでそのまま無茶苦茶を貫くとは思っていませんでした。

選挙を乗り切れば、一定の良識を持った振る舞いをすると考えていたものですが、甘かった。

グローバル時代の覇権を自ら放棄


21世紀、グローバリズムを先導してきたのはアメリカです。ITと金融の分野で世界制覇を果たし、自国に利益を還流する仕組みを作ってきました。

トランプ大統領は、それを自ら破壊し、自国主義に回帰しようとしています。どうやらトランプ氏には、アメリカが国外で金を使い過ぎており、使わなくなると得になる、と考えているらしい。というか、国内の支持層が喜ぶと考えたのでしょう。

グローバリズムの恩恵を最も受けているはずの国が、国内ローカル層によって反旗を翻されたわけですから皮肉なものです。

トランプ大統領は、中東をはじめ世界中から軍を撤退させる動きを見せています。目先の軍事費は削減できますが、そのために世界中で絶大だった影響力を失うことになり、結局は国力を弱体化させることにつながります。

ひそかに喜んでいるのは、ロシアやヨーロッパ諸国でしょうね。

中国の頭を叩くことには一定の成果


トランプ大統領に使い道があると目されているのは、中国との関係でしょうね。

今世紀中に世界一になると宣言している中国は、アメリカにとって脅威ですが、そこにトランプ大統領は噛みついています。

良識のある大統領にはとてもできない言いがかりレベルの理由で貿易戦争を仕掛けており、中国の封じ込めに成功しつつあります。

これはトランプ大統領にしかできないことだったでしょう。


しかし、このままマイナス部分が大きくなってくると、本当に取り返しのつかないことになるので、近いうちに大統領の弾劾があることでしょう。

ニクソン大統領に続いて、任期中に辞めざるを得ない大統領になるのかも知れませんね。

いや、それよりも、世界的に調整局面にある経済状況が気になります。

経済の実体と貨幣の流通量があまりにも乖離していると何年も前からいわれており、いつか世界中がバブル崩壊に見舞われると考えらえています。

どうせ恐慌がくるならトランプ大統領の時代に来ればいいやと、アメリカの議会は考えているのかも知れません。

もしこのままトランプ政権が続くならば、我々はいよいよその時に備えていなければならないということですね。





サーモス(THERMOS)V字回復の鍵は「接近戦」にあり

サーモスV字回復


(2018年12月27日メルマガより)



業績が伸びない、売上や利益が落ちてきた、という会社の話を聞いてみると、その原因は、(1)努力が不足しているか、(2)努力はしているが空回りしているか、に集約されます。

たいていはその両方です。

と言えば怒る会社もあるでしょうね。もちろんコンサルタントに相談に来るのだから、自分たちなりに努力していると自負されています。が、努力が足りていないことが多いのが実感です。

ですから(1)については、一人一人が努力できるような環境を整えていきます。簡単にいうと、売るための仕組みを作って、それを回すためのマネジメント体制を整えます。


生き残るためには「勝てる局面」を見つける


(2)については、そもそも努力が成果に結びつくような流れができていないということです。

これは悲惨です。どんなに頑張っても、努力しても、成果に結びつかない。空回りだから徒労感はあるわ、成果が出ないので報酬にも結び付かない。いわゆるブラック企業になってしまいます。

社員を努力させるからには、成果が上がるような態勢を作らなければなりません。それが会社の役割です。

成果が上がるような態勢を作ることこそが、戦略を立てることであり、私の言い方では「勝てる局面で戦う」ことです。


私が入社した頃のサーモスも同じでした。

自分たちなりに努力していると思い込んでいましたが、努力の仕方もまだまだ未熟でしたし、何より努力の方向性が間違っていました。

働けど働けど我が暮らし楽にならざり。

こういう場合、愚痴言ってないでさっさと働き方や内容を見直さなければなりません。

特に、自分たちが「勝てる局面」を捉えているのか、が重要です。

まずは「勝てる局面」を見つけること。そうじゃないと、生き残る道筋さえ見つけることができません。


「弱者の戦略」「差別化」「5大戦略」


ランチェスター戦略には「弱者の戦略」という概念があります。

数が多い側、よく売れている側のことを「強者」といい、逆に数が少ない側、売れていない側のことを「弱者」といいます。

強者と弱者が同じ戦い方をしていたら、もともと数が多い側である強者が、必ず有利です。

だから、弱者は、強者とは違う戦い方を選びます。

これを「弱者の戦略」と呼びます。


弱者の戦略の基本となるのが「差別化」です。

商品、チャネル、価格、プロモーション、営業、すべてにおいて強者とは違うやり方を選び、土俵を変えて戦います。



さらに弱者の戦略には「5大戦略」と呼ばれるものがあります。

こちらも以前、簡単にですが、メルマガに書いたことがありました。



今回は、その中のひとつである「接近戦」をとりあげてみます。


業績低迷時には「接近戦」ができていなかった


「接近戦」とは、対象に接近して戦うことを示したものです。

たとえば敵の顔前に接近して戦えば、1対1の戦いに持ち込むことができて、数的劣勢を無効化できます。

戦いにおいての対象は敵ですが、ビジネスにおいてはおよそ(1)最終顧客、(2)流通業者、(3)ライバル会社で考えることができます。


サーモス時代、ランチェスター戦略に触れた我々が、まず気づいたのが「差別化」と「接近戦」ができていない。ということでした。

商品も売り方もチャネルも、強者であるライバル会社の受け売りばかり。

営業は、代理店(問屋さん)の機嫌取りに走っていました。

あまりにもセオリーに反したやり方だったので、逆に「まともにやれば売れるかも」と光が見えた気がしたぐらいです。


そこで我々が取り組んだのが、徹底した接近戦の展開です。

これが、結果的には「勝てる局面で戦う」ことにつながっていきました。


(1)最終顧客に接近する


強者は売れる商品を持っているので、仲介業者を活用することで販売機会を増やすことができます。

しかし、弱者は知名度もブランド力も販売チャネル支配力にも劣るため、販売機会は作れないし、作ったとしても売り負けてしまいます。そこを突破するためには、最終顧客に直接売るか、なるべく近いところでビジネスする必要があります。

そもそも、最終顧客に近づかなければ、最終顧客の情報が得られません。それでは、商品開発のヒントさえ得ることができません。

サーモスの場合、営業人員が少ないという事情があったので、代理店に頼り切りになっていました。

しかしそれではいつまで経っても、強いライバル企業の支配力に風穴を開けることなできないでしょう。

メーカーは、代理店に任せきりになるのではなく、自分で最終顧客のことを理解しなければならなかったのです。

そこでサーモスは、消費者調査を徹底する施策をとりました。

調査会社を使った消費者アンケート。

賞品つきキャンペーンを利用した利用状況調査。

消費者からのアイデア募集。

商品の箱に消費者あてのハガキを入れて回収。

社員が町に出て使用者にインタビュー(これはどちらかというと社員の士気高揚のため)

当時としては、相当のことをやっていたと思います。

最初は「予算をいっぱい使って有益なことがわかるのか?」と批判もありましたが、そんな調査のおかげで、今まで盲点になっていたあっと驚く事実に気づくことになりました。

(それが何かは、著書をお読みください^^)

消費者をよく理解することで、弱者であるサーモスでも「勝てる局面」を見つけることにつながったのです。


(2)小売店に接近する


それまでサーモスは、仲介業者である代理店にばかり営業をかけていました。

いや、営業とは名ばかりで、単に代理店の機嫌をとっていただけです。

代理店の倉庫を掃除して、ご褒美に魔法瓶を納品させてもらったりしていました。ほんとあほですね。

弱者は、最終顧客に近いところでビジネスしなければなりません。できれば最終顧客に直接販売するのが望ましい。

今ならネット販売も発達しているので、それもアリですね。ただ当時も今も、魔法瓶の販売チャネルの主要売り場は、量販店です。

つまり量販店チャネルを攻略しなければ、大きな販売需要を取り込むことはできないのです。

人数が少ないからとかへったくれだとか言っていられません。

サーモスの営業部は、代理店営業の方針を転換して、小売店への直接営業に切り替えました。

それまで行かなかった店やバイヤーに営業することは、それはそれはハードルが高い作業でした。

しかし、そんなハードルなど何物でもなかったぐらいの恩恵を得ることとなりました。

小売店のバイヤーには厳しい人が多かったですが、いくら叱られようとドヤされようと、企画が決定する場面に自ら立ち会えることは、営業としてやる気の出ることでした。

それ以上に驚いたのが、直接小売店に行くことによって得られる情報の質と量でした。

やはり代理店を通じて、得られる情報は、量も少なく、バイアスがかかっていました。

小売店の意思決定の場に立ち会うことで、営業としての必要な情報が何かということを否応なしに知ることになったのです。


収集した情報を基に、どの小売店なら勝ち目があるのかを見極め、営業力を集中させていきました。

ここでも「勝てる局面」を見つけていったのです。

その時、大いに参考にしたのが、ランチェスター「流通戦略」です。

市場シェアを緻密に、段階的に上げていく方法論は、サーモスの市場シェアを確実に向上させていきました。

理論を学びながら実践に落とし込む作業は大変でしたが、その甲斐あって、サーモスは、営業の方法論を実践的知識として獲得し、会社としての営業スタイルを作り上げていきました。

なお、その頃、実践を繰り返しながら覚えた方法論が、私の今の仕事の基盤にもなっています。


(3)ライバル会社に接近する


ライバル会社がたくさんいる市場では、差別化が効きにくくなります。差別化しても、どこかと被ることが多くなってしまうからです。

それぞれが差別化して何がなんだかわからなくなると、消費者は単純に「いちばん売れているもの」を選ぶようになります。

これを確率戦の市場といって、強者に有利な市場です。

弱者は、そうなっては勝ち目がありません。そこで、どこか一社に絞って接近し、1対1の状況を作ることになります。

1対1なら、差別化が有効に働くからです。


サーモスは、上位2社と同時に戦うことは得策ではないと考えて、一社だけに照準を絞りました。

あえて1位企業とは考えを合わせて、2位企業と対立するようにしました。

1位企業と協同して、2位企業を追い落とす行為です。

汚いやないか、と言われそうですが、それが戦いの世界です。我々はなんとしても「勝てる局面」を見出さなければならなかったのです。

もし1位企業がそのことに気付いていたら、我々と歩調を合わせることはしなかったでしょうが、その当時は有効でした。

こういうところにも、戦略を理解している、していない会社の差が出たのだと思います。


接近戦の徹底が、勝てる局面を見つけ出す


こうしてサーモスは、接近戦を徹底することにより「勝てる局面」を見つけていきました。

どんな強者にも、気づいていない局面、とるに足りないからと見逃している局面があります。

そういう死角や盲点こそが、弱者にとって「勝てる局面」です。

全体を俯瞰していても見えない、そんな隙間を見つけるためには、顧客や流通や競合他社に接近すればいい。

接近することでしか見えない局面は必ずあります。

それを見つけられるかどうかが、まさに会社生き残りの鍵となります。

アパホテルが活用しているランチェスター地域戦略の中身

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アパホテルの元谷代表が、ランチェスター戦略について言及されています。

アパホテルは、ランチェスター戦略を大いに役立てて、成果を上げてきたということです。

「西側拠点説」


記事に書かれているのは、ホテルの立地に関する地域戦略です。

一つは「西側拠点説」

ある地域を攻略するためにまず西側を押さえる、という考え方です。

田岡信夫氏は、この説を「ジンクス」とも称しており、明確な科学的根拠があるわけではないようですが、日本の天候は西から変わることが多いので、開拓するにおいても西側から見ていくのがいい、と一応説明されています。

アパホテルは、この説に従って、立地戦略を組み立てていたとのことです。

「3点攻略法」


もう一つは「3点攻略法」

やはりある地域を攻略したい場合、いきなりその地域に攻めかかるのではなく、A地点、B地点、C地点と、その地域を取り囲む拠点を攻略した後に、真ん中を攻めるという方法です。

こちらは、多くの企業が立地戦略をたてる上で参考にしています。セブンイレブンなどのコンビニや飲食チェーンなどが知られていますが、アパホテルもその一つだったようです。

3点攻略法は、ランチェスター「地域戦略編」のハイライトでもあり、実践的な方法論です。

ここでは省きますが、最初にどの拠点を狙うのか?2番目は?3番目は?真ん中はどのように攻めるのか?と細かく規定されています。


そのほか、一点集中主義や市場シェア目標値などにも言及されており、アパホテルが、この戦略をかなり活用していることがわかります。

さすがリアルの塊のような企業です。使う戦略もリアルです。

日本流マーケティングの正体


私は、ランチェスター戦略の専門家ですし、普段から活用することが多いので、実感していますが、ほんとうに実践的な戦略理論だと思います。

特に、市場シェアを段階的に着実に積み上げていく方法論は、ほかの戦略理論にない緻密さと迫力を持っています。

マーケティング学者のフィリップ・コトラーは、販売領域を絞り込み、どう攻めるかを慎重に判断する販売方法を日本流マーケティングと呼びましたが、その内容はランチェスター戦略を想定していると考えます。

(アンドリュー・キャンベルは、ランチェスター戦略のことを「レーザービーム式マーケティング戦略」と呼んでいます)

販売力の強化を目指す企業は、ランチェスター戦略に取り組むべきです。





プロフィール
komai 小

営業関連のコンサルティングをしています。
製造業や卸売業などの営業組織を強化する仕事を得意としております。

株式会社クリエート・バリュー代表取締役
NPOランチェスター協会理事
NPOランチェスター協会関西支部
NPOランチェスター協会認定インストラクター
中小企業診断士   販売士1級

コンサルタントになる前は、日本酸素株式会社魔法瓶事業部(現在のサーモス株式会社)で14年、営業担当をしておりました。
その時、廃業寸前の赤字だった事業部がわずかの期間で世界トップ企業になった経緯を体験したことが、経営コンサルタントになったきっかけとなりました。
当時、経験したことや見聞したことを物語風にアレンジしたのが、拙著『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』です。
面白い本なので、ぜひ読んでください(^^)

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