戦略がなければ生き残れない

NPOランチェスター関西支部長のブログ

東洋ゴムのニッチ戦略

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■ゴム業界の話です。

この業界、ブリヂストンがダントツのトップです。

国内では下記のような状態。市場独占しております。

1位 ブリヂストン [56.4]
2位 住友ゴム(ダンロップ) [12.3]
3位 横浜ゴム(ヨコハマタイヤ) [9.5]
4位 東洋ゴム(トーヨータイヤ) [5.9]
5位 東海ゴム [5.8]

ちなみに海外でも、ブリヂストンはトップ。ただしこちらは、まだ僅差のトップです。

1位 ブリヂストン [14.6]
2位 ミシュラン [13.7]
3位 グッドイヤー [9.4]
4位 コンチネンタル [6.0]
5位 ピレリ [4.3]


■ブリヂストンは、8割を海外から稼ぐグローバル企業です。

特に北米では強い。

記事でも主流となる18インチタイヤをおさえていることがわかります。

■これに対して、国内4位の東洋ゴムは、いろいろ問題があるようです。

2015年、建物の土台に使う免震ゴムのデータ改ざんをはじめとして、鉄道車両に使う防振ゴムでも不正が発覚しました。

「偽装だらけ」の東洋ゴムは、復活できるのか(東洋経済オンライン)

いまは立て直しの最中です。

■が、記事ではいい話です。

東洋ゴムとしては、北米で普通にやっていたら勝てないので、SUV用タイヤに特化した戦略をとっていました。

SUVが売れるとなれば、大手ブリヂストンやミシュランがミートしてくるので、さらに20インチの大型タイヤに照準を合わせています。

「勝てるところで圧倒的に勝つ」というのは、ランチェスター戦略の教えるところです。

同社は、現地新工場を作って、生産体制を強化し、勝ちを圧倒的なものにしようとしているところのようです。

勝ちが圧倒的になれば、他社はやってこなくなりますからね。

■東洋ゴムの売上は、国内第4位ですが、利益では3位企業を凌駕しているとあります。

1位以外は薄利。ただし4、5位あたりで高利益の企業がある。というのは、業界でよくある話です。

ニッチ戦略というのは、はまればそれだけ儲かるということを示しています。

ただ、これだけニーズが多様化している現在、大手企業もニッチ市場狙いにならざるを得ず、小さな会社がうまみのある市場をやすやすと見つけられる状況ではなくなってきています。

だから高利益を維持するためには「圧倒的に勝って、ライバルを寄せ付けない」という施策が必要になってくるわけです。


キンドルで売れるものって、こういうものなんですかね

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■こういう人もいるんですねー。

対人ストレスを抱えた人が、好きなこと興味のあることを追い続けた結果、生活に困らない程度のビジネスをつくることができた、という記事です。

この方、ストレスの多い日本を離れてカンボジアに渡り、そこでアンダーグラウンドに触れる生活をしていたらしい。違法なことも相当やったのでしょうかね。

いまは、自分が面白いと思うものだけを優先して載せた電子書籍を作って販売しています。

(目次だけを見る限り、コンビニの棚から撤去されたような怪しげな雑誌類が想像されます)

■ビジネスとしては、アマゾンキンドルとアマゾンビデオを使ったコンテンツの販売です。特にキンドルですね。

アマゾンには月定額を支払えば電子書籍の一部が読み放題になるサービスがありますが、こちらの書籍はそこに入っているらしい。(ビデオもプライム会員なら見放題です)

読まれた分だけ購読料が入る仕組みです。

アングラに触れたコアな電子書籍(雑誌)なので、読み放題のコンテンツとしては、食いつきがいいのでしょう。

いまだ普及してない電子書籍というジャンルで、今のところどういうコンテンツが売れるのかが、この事例から分かりますね。

■ただこの事例だけで独立起業のヒントとするのは危険ですな。

一つは、このビジネスに永続性はないということ。アマゾンキンドルが今後どのように方針転換していくのか分かりませんし、何よりこのコンテンツにいつまで客がつくのだろうかと危惧します。

もちろんこの記事の方は、市場環境に合わせてビジネスを転換していくのでしょうし、そのための注意力と根気と計画性は持ち合わせていると読み取れます。

決して楽々と好きなことだけをやる、という話ではありません。むしろ、ビジネスの基盤を作りにくい厳しい道をいかれていると思います。

■本当に計画もなしに好きなことを求める人は、普通はこういうことになるはずです↓


皆さん、今の仕事がやりがいになるように頑張っていきましょうね^^


君は内山高志を見たか

内山高志



(2017年8月10日メルマガより)


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■2017年7月29日。
日本ボクシング史上に残る名ボクサーが引退を発表しました。

内山高志。37歳。

WBA世界スーパーフェザー級王座を6年間に渡って11度防衛。(そのうち9度はKOかTKO)

一時期は"絶対王者"とも称され、WBAからはスーパー王者に認定されました。

※スーパー王者とは、正規王者の上位に位置づけられる存在。他団体の王者を同時に保有していたり、5〜10度以上防衛している王者が認定される。

■スーパーフェザー級は、体重58.97キログラム以下の階級です。

内山高志の身長が171センチなので、およそ日本人の平均身長です。

アジア人中心の軽量級とは違って、世界中の強豪がひしめく激戦階級といえます。

その階級で、内山高志は、対戦相手として避けられるほどの強い王者として君臨しました。

■しかし、内山高志の価値は、そんな記録にみられるだけにあるのではありません。

本当の価値は、彼が成し遂げてきたもののプロセスにあります。

「センスもパンチ力もなかった」

それが内山高志がしばしば口にするボクシングを始めた頃の自己評価でした。

そんな凡庸な選手が、どのようにして世界から畏れられる名王者になっていったというのでしょうか。

■内山高志がボクシングを始めたのは、高校生になってからでした。

辰吉丈一郎に憧れたという内山少年ですが、喧嘩慣れした不良だったわけではなく、それまで野球やサッカーをやっていたごく普通の高校生でした。

体育の成績も普通。特に身体能力が高いわけではなかったようです。

ボクシングの強豪・花咲徳栄高校であったとはいえ、目立つ存在ではありませんでした。

それどころか同級生と比べて「センスがない」と自覚するような存在でした。

そこからさらに強豪の拓殖大学に進学。全国の精鋭が集まる同大学ボクシング部で内山は戦力外の扱いで、試合中には荷物番をさせられていたそうです。

■そもそもボクシングは「才能のスポーツ」だと言われます。

もちろんあらゆるスポーツは才能がない者にとって厳しいものです。趣味として楽しむならいいのですが、プロとして高いレベルでやっていくには飛びぬけた才能が必要になるでしょう。

が、そんな中でも、ボクシングはより才能を求められるものだと言われています。

汗の最後の一滴まで搾り取るような減量を経た後に、技術を極めた選手同士が、狭いリングの中で顔を殴りあう競技です。

動体視力、瞬間の反応、スピード、身体そのものの強さ、スタミナ、パンチ力、闘争心。

いずれも高いレベルで持ちあわせていないと、プロにはなれません。

しかも瞬間で決着がつく競技なので、考えている暇はありません。身体で反応しなければ勝ち目がないどころか、重大な事故につながりかねません。

世界チャンピオン経験者も「早い段階で才能がないと悟ったら辞めるべきだ」と発言しています。

■だからプロボクシングでも、4回戦や6回戦あたりでは、ろくに練習をしないのにやたら強い選手の存在が見られます。

それどころか、海外では、ほとんど練習していないのに世界チャンピオンにまで上り詰めた怪物選手の話がまことしやかに流れています。(ロベルト・デュランとかね...)

強いやつは強い。いくら練習をしても、才能のあるやつには敵わない。

ひところは、それがボクシング界の半ば常識でした。

確かに、世界チャンピオンになる人の成績は、ほとんどが全勝です。悪くても1、2敗。最初の頃から負けているようでは、世界チャンピオンになる才能はないということです。

■ところが、大学入学時に、戦力外扱いされて荷物番だった内山高志選手は、その悔しい思いで反発します。

すなわちレギュラー選手が練習を終えた夜、居残って練習を開始します。

レギュラー陣の3倍練習しなければ追い付けない。というのがその時の危機感だったようです。

夏休み、同級生が帰郷すれば、これ幸いとばかりに練習に明け暮れます。

練習量では負けない。というのが、高校・大学を通じて内山選手が守った意地でした。

才能で勝てないなら量で対抗する。というのはしごく真っ当な競争意識です。しかしそれをやりきる人はごく少数です。

そういう意味では、決めたことをやり通すという闘争心の持続は、内山選手が持っていた最大の才能なのかもしれません。

■レギュラー選手の調整相手(要するに殴られ役)だった内山選手は、いつしか彼らを圧倒する存在になっていきます。

特に練習量に裏打ちされたスタミナは、センスに溢れたレギュラー陣を打ち負かす原動力になっていったようです。

練習すれば勝てる。という成功体験は、内山選手をますます練習の虫にさせていきました。

その結果が、大学4年時の全日本選手権制覇につながっていきました。

その後社会人時代にかけて、全日本3連覇を達成。プロ入りする頃には「世界チャンピオンになれる素材」といわれるようになっていました。

■内山高志選手のこうしたキャリアをみると、「1万時間の法則」を思い出します。

参考:新社会人に贈る「1万時間の法則」
https://www.createvalue.biz/column2/post-418.html

時間は誰にも公平に与えられた資産です。

その資産をどのように使うのかは、それぞれが等しく持つ権利といえるでしょう。

その権利を内山選手のように一つの目標のために使うのか。

あるいはその時々の気晴らしや欲求充足のために使うのか。

各個人がどのように権利を行使するかで、得られる成果は大きく変わってくるという事実を肝に銘じておかなければならないと思う次第です。

■内山高志選手といえば「ノックアウト・ダイナマイト」と称されるKOアーチストでした。

その凄まじいパンチは、世界戦10KOorTKOという脅威的な結果を生むと同時に、内山選手自身の拳や肘を破壊するなどの副作用を起こすほどでした

しかし、もともと内山選手はパンチ力のある方ではなかったと言っています

実はこれも練習の賜物です。

大学時代、リングで練習させてもらえなかった内山選手は、サンドバッグをひたすら思いきり叩くという練習を繰り返していたそうです。

それがパンチ力の基礎となりました。

プロになってからもさらに練習の虫だった内山選手は、スパーリングなどで強いパンチが打てた時、その時の身体の動きを分析・再現し、偶然打てたパンチを意識して打てるように訓練していったといいます。

ということは、パンチ力に限らず、内山選手の技術は、こうした細かな研究と工夫の上に徐々に積み上げられていったということです。

内山選手がチャンピオンになってからさらに強くなっていったというのは、偶然でも何でもなかったことがこの逸話からも分かります。

その行動はまるで、成績のよい営業マンが、成果が出た際の行動を分析し、習慣化することで、業績を上積みしていく自己管理に似ています。

どの分野でも一流の人がやることは似ています。

内山選手なら今後何をやっても成功するのだろうなと思わずにはいられません。

■引退会見において、内山選手は「悔いがない」と言いました。

しかし本心は違うはずです。内山選手ほどの実力があれば、海外の強豪とも互角以上に戦えたはず。本場といわれるラスベガスのリングに上りたかったことでしょう。

現在、日本のジムに所属する世界チャンピオンは13人にのぼります。

しかしそのうち世界的な知名度のある世界チャンピオンはごくわずかです。

今はボクシングの認定団体が増えて、世界チャンピオンが量産されている時代なので、世界チャンピオンというだけでは、世界に認められないという奇妙な状況です。

したがって無名の世界チャンピオンではファイトマネーも上がりません。逆にいうと、ラスベガスで人気を得たボクサー同士の戦いでは、世界タイトルマッチでなくても巨額のファイトマネーが与えられます。

一晩で何百億も稼ぐという恐るべき人気ボクサーが存在するのも事実です。

金がすべてではありませんが、そんな別世界に手の届く実力があるのに、行くことができなかった悔しさは推して知るべきです。

もっとも内山選手のように、世界的には無名なのに実力があるというボクサーが最もやっかいです。

有名選手もそんなリスクの高い選手を対戦相手に選びたくはないでしょう。彼らが言う「あんな無名選手相手では稼げない」というのは、手強い相手を避ける時の常套句ですからね。

内山選手の所属ジムが日本国内でのビジネスに固執したきらいもあったことでしょう。そういう意味では、内山選手は不運でした。

■日本のボクシング・ビジネスはいま、岐路を迎えています。

世界チャンピオンの地位が下落する一方、ラスベガスにおいては大金が動く市場があります。

当然、実力のあるボクサーは、大金が稼げるステージを目指すことになります。

奇しくも内山選手と時を同じくして引退表明した三浦隆司選手は、所属ジムの方針もあって早くから海外で試合をすることを志向してきました。

三浦選手の不器用だがKO必至のスタイルは海外でも人気を博し、最後にはラスベガスでメインイベンターに選ばれたほどです。

もし最後の試合に勝っていれば、三浦選手のファイトマネーの桁が一つ上がっていたことでしょう。実に残念です。

三浦選手に続けと、いまは多くの選手がラスベガスで試合をすることを目標にしています。

そして、今年9月9日には「日本ボクシングの最高傑作」といわれるモンスター井上尚弥が、初めて米国進出します。

今は、ユーチューブに試合動画が投稿されるので、国内チャンピオンでも実力者は、海外のボクシングマニアに知られることなります。その中でも、井上尚弥の実力は圧倒的であると話題になっていました。

今回はその人気を買われて海外からのオファーに応える形での進出です。

井上尚弥が海外のステージでどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか、楽しみでなりません。

■その井上尚弥選手も、誰にも負けない練習量を誇ることで知られる存在です。

今や、ボクシングといえどもナチュラルに強いというだけでは、トップランクには行けない世界になっています。

昔のように、調子のいい時はすごい実力を発揮するが、ダメな時はあっさり負ける、というような天才型のボクサーでは、トップランクに居続けることはできません。

(興行主も、そんなボクサーは怖くて使えないでしょう)

特にラスベガスでは、トップ選手同士のスリリングな試合を求められますから、そこで生き残るのは、相当の努力が必要です。

日本でも井上尚弥選手ほどの天才が厳しい練習に自らを追い込み、しばしばオーバーワークで試合ができなくなる怪我を負うほどです。(それでも勝つのですが)

そんな井上選手が、拳を怪我した際に、相談にいったのが、内山選手でした。

有数の実力者であると同時に頭がよくて冷静、さらに人格者として知られる内山選手は、さながら日本ボクシング界の精神的支柱のような存在であったようです。

内山選手ほどの実力者が努力を惜しまないのだから、後に続く者がサボっていいわけがありません。

現在の日本ボクシングの興隆に内山高志選手の存在は重要な影響を持っていたと考えます。

■一方、海外でも引退を惜しまれている三浦選手ですが、彼が初めて世界タイトルに挑戦したのが、内山選手の3回目の防衛戦でした。

この試合で三浦選手は、3ラウンド、得意の左ストレートで、内山チャンピオンからダウンを奪います。

しかし態勢を立て直した内山選手に滅多打ちされた三浦選手は8ラウンド終了時点で試合放棄に追い込まれます。

いつも強気の三浦選手が「あのまま続けていたら死んでいた」とコメントしたほどでした。

しかも、その時の内山選手は右拳を負傷して、ほぼ左手一本で戦っている状態でした。全盛期の内山選手は、それ程の凄みがあったのです。

内山選手は、実力があるのに日本国内から出なかった最後のチャンピオンになるのかもしれません。

悔しい思いはあったでしょうに、引退会見で感謝の言葉だけを述べた内山選手は、最後まで王者の風格に満ちていました。

リング上での闘争心は押し殺し、どんな人にでも丁寧に優しく接していたという内山選手は、記者たちからの人気も抜群だったといいます。

内山選手の第二の人生が素晴らしいものになることを祈らずにはいられません。


参考:記憶に刻まれる有数の王者・内山高志 努力で昇華した遅咲きのボクサー人生
https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201707300003-spnavi

参考:リングを去る心優しき王者・内山高志。笑ってさよなら、涙はいらない
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/othersports/fight/2017/08/02/___split_24/

参考:【ボクシング】荷物番だった内山高志を変身させた「大学1年の夏」
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/othersports/fight/2015/07/30/post_433/

参考:内山高志のパンチは「変化」する。強さ、角度、伸びのバリエーション。
http://number.bunshun.jp/articles/-/822420

参考:スーパーフェザー級で戦うということ──内山と三浦、引退
http://www.sponichi.co.jp/battle/news/2017/08/06/kiji/20170805s00021000122000c.html



成功する社長はみんなケチ

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■これは面白い記事です。ぜひお読みください。

著者は「ひふみ投信」というファンドの代表者(マネージャー)です。多くの経営者と会って投資してきた経験から、成功する社長の特徴を書いています。

その特徴とは

1.ケチで細かい

2.出されたお茶を飲み干す

3.ラーメン店をやると成功しそう

な人だということです。具体的なような抽象的なような。でもよくわかるたとえです。

特に3のラーメン店をやると成功しそうだ、というのは面白いですね。確かに、バイタリティと堅実さと気遣いがミックスされているような人が思い浮かびます。

■ちなみに私が考える成功する社長の条件とは「営業と経理を理解している」ことです。

当たり前すぎますかね。

精通までしていなくて結構ですが、現場担当者や会計士を問いただせるほどの理解は必要です。

お金をどのように入れるのか、そのお金をいかにして会社に残すのか。これが経営の根本だと思う次第です。

■1の成功する経営者はみんな細かくてケチだというのは、全くその通りだと思います。

利益が出る出ないというのは、常に紙一重ですからね。

その紙一重を積み上げられる社長だけが生き残っていると感じます。

本当にアバウトな人が長く続けている例をみたことがありません。


ドウシシャ 弱者の戦略の徹底

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■ドウシシャさん。大阪の会社です。

以前、会社員だった頃、業界がかぶっていたので、何度か営業の方とお話したことがあります。

その時、確かに「うちの経営理念はつぶれないことです」と仰っていました。

面白い会社だなあと思った記憶がありました。

■つぶれない会社を実現するために、部門ごとに独立採算で動いていて、商品開発や販売もそれぞれの部門が独自に運営をしているスタイルをとっているそうです。

経理的には、京セラのアメーバ経営みたいなものですかね。

会社全体の一貫性が出しずらいので、大きな成長は見込めませんが、各部署がそれぞれ黒字化を至上目標としているので、大きな失敗はないやり方です。

まさに理念通りの運営です。

■営業としては、小さな市場を設定して、そこでナンバーワンをとるという弱者の戦略の徹底です。

かき氷器とか、小さな市場でしょうが、それだけに大手企業が参入してこなかったのでしょうね。そういう隙間を集めてビジネスにしているようです。

ステンレス魔法瓶もそうですね。魔法瓶自体、大きな市場ではありませんが、そこにはサーモスや象印がいて手ごわい。そこでドウシシャは、「デザインボトル」というカテゴリーを勝手に設定して、そのマーケットで日本一を目指したというわけです。

おそらく魔法瓶の販売先も、上位企業が主流とする量販店ではなく、ディスカウントストアやドラッグストア、雑貨屋などを狙っているのでしょう。

強いライバルと争うのを避けて、勝ちやすきに勝つ。というのは、単純ですが効き目のある戦略姿勢です。

それを徹底しているドウシシャの経営姿勢は立派だと思います。

逆にいうと、タイガー魔法瓶やピーコックなどは、ドウシシャを狙い撃ちにすれば、いいんですけどね。(足下の敵攻撃の原則による)

ツタヤって、どういう未来を描いているのでしょうか?

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■ツタヤが、小売り向けの店舗企画会社に変貌しつつあるという記事です。

CDやDVDのレンタルが縮小していくのは自明のことです。次のビジネスとして、試行錯誤してきたのが、異業種との提携でした。

スタバと提携して店舗を作ってみたり、図書館の運営をしてみたり。

そうして蓄積してきた店舗づくりのノウハウを家電量販店などに提供していっているようです。

■しかしツタヤが手掛けるべきは、映画などのオンライン配信ビジネスではなかったのか?

ネットフリックスのような存在になれる可能性もあったはずです。

が、増田社長は「加盟店のビジネスを毀損することに遠慮した」とその理由を語る。

要するにレンタルDVD店を運営するFC加盟店の手前、ネット配信事業にはいけなかったということですよ。

既存ビジネスと食い合いになってしまうので新しいことができなかった。というのは、衰退する企業がいつも言うことなので、気になるところですけどね。

だから「ネットで提供できないこと」をとにかく店舗に詰め込むという現在の方針も、消去法で仕方なくやっているのではないの?と思ってしまいます。

■それにしても、小売り店舗の企画事業というのは、こじんまりしたビジネスです。

それでツタヤ自身はどのような未来を描こうというのでしょうか?

祖業である本やDVDのレンタルという中心がなくなれば、本当にただの企画会社になってしまいます。

中核となるビジネスを早く作らなければ、じり貧になってしまうと思うのですが、それが見えてこないんですよね。

金本知憲監督はすべての中間管理職の象徴だ

金本監督



(2017年7月27日メルマガより)


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■獣王無敵我らが阪神タイガースが正念場を迎えています。

2016年7月26日現在、46勝41敗。首位広島から11ゲーム差。

26日のDeNA戦に敗れたために、3位転落です。

春先には首位に立っていたことを考えると、画に描いたような失速です。

このままずるずると後退してしまうのか、あるいは再び盛り返して首位争いに挑んでいくのか、まさに岐路に立っているといっていいでしょう。

■しかし「若手を育てながら優勝争いをする」ことを標榜して臨んだ金本知憲監督2年目の今年、一時は首位に立ったこともあった戦いぶりは十分に評価できると考えます。

それに生え抜きの若手が徐々にでも育ってきていることも評価できます。

なにしろ阪神タイガースといえば、生え抜きの若手が育たないことでは定評がありましたからねー

いまの主力レギュラー選手の中で、生え抜きは、鳥谷ぐらいではないですか?

鳥谷といえば、2003年のドラフトで入った選手ですよ。13年目のベテランです。

今までの監督は何をしてきたんだって思ってしまいますね。

それに比べると今年の阪神タイガースは楽しみな若手がいっぱいいます。

昨年の新人王、高山俊。

久々の長距離打者、中谷将大。

育成上がりの強打者、原口文人。

怪我してしまいましたが今年の新人、糸原健斗。

そして早くも本塁打を放ったドラフト1位の大山祐輔。

投手でも、今年の新人、小野泰己。

変則右腕の青柳晃洋。

本格左腕の岩貞裕太。

ようやく開花した大型右腕、秋山拓巳。

などなど。

■もちろんチームが強くなるためには、金本監督一人の力ではままなりません。

フロントの戦略方向性。

現場選手の個々の力。

そしてその中間にいる現場首脳陣が役割を果たさなければなりません。

従来、阪神タイガースは、フロントの戦略方向性が定まらず、どのようなチームづくりをしたいのかが見えてこないと批判を浴びてきました。

このあたり「優勝は3年に1度でいい。そのために若手を育てる」という北海道日本ハムファイターズの戦略性を見習ってほしいと常々考えておりました。

ところが、昨年、金本監督を招聘するにおいてフロントは「勝利はいいから、若手を育ててくれ」と依頼したと言われています。

そのフロントの発言は、目先の利益を追求する姿勢が目立つ阪神フロントとしては、画期的なものではありませんか。

■ところが金本監督はフロントの考えをきっぱりと否定し「優勝争いをしながら、若手を育てる」という方針を打ち出しました。

何と潔い宣言でしょうか!

金本監督のいう「超変革」とは、まさに甘えを断ち、勝ちながら育てるという困難な道を進むものだったのです。

■が、考えてみれば、この「勝ちながら育てる」というのは、何も金本監督だけが特別にしていることではありません。

会社組織においても、それぞれの組織が目標を達成するために戦っています。

同時に、中間管理職にある方は、自分が預かったチームメンバーの成長をサポートする役割を担っています。

「チーム目標を達成しながら、メンバーを成長させる」というのは、多くの会社の管理者が役割としていることなのです。

いうなれば、金本監督は、中間管理職が普遍的にやらなければいけないことを、阪神タイガースの監督という立場で、やっている人なのです。

すべての中間管理職は、金本監督に共感し、応援しようじゃありませんか!

■念のためにいうと、会社組織は基本的に、経営陣、中間管理職、現場担当者の三層で成り立っています。

経営陣が戦略方向性を決め、中間管理職がそれをかみ砕いて管理し、現場担当者が実行する。

これがスムーズな姿です。どの層が抜けても、会社としての力を発揮することができません。

■その中で、ある意味、最も難しいのが中間管理職の立場におられる方です。

中間管理職は、経営陣と現場担当者の橋渡し役であり、パイプ役です。

ということは、経営陣が打ち立てる経営戦略を理解しておかなければならず、同時に、現場担当者がどのように動いているかを把握していなければなりません。

中間管理者は、双方に通じていなければならない。いわば、会社の全体を掴んでいなければならない立場の人たちなのです。

■ところが、実際には、いろいろと齟齬が生じます。

たとえば営業の場合、現場で優秀な成績を収めた者が、中間管理職に抜擢されることが多いはずです。

しかし、現場担当者としてやるべきことと、中間管理職としてやるべきことには違いがあります。

はっきりいうと、優秀な現場担当者が、優秀な管理者になれるとは限りません。

野球でいう「名選手、名監督にあらず」というやつです。

もちろん管理者になった者が、その役割と職責をよく理解し、新しい仕事だと認識した上で職務に励むならいいのですが、しばしば勘違いが起こります。

現場営業時代と同じような仕事をしてしまう人の存在です。部下の成績には目もくれず、自分の成績を上げることに躍起になってしまうのです。

こうなれば、彼が預かる組織は機能しなくなります。

■今は、こういう理屈がある程度浸透しているので、表立った大きな問題は少なくなったのかも知れません。

しかし、私が会社員だった十数年前はひどいものでしたよ。

私の知っているある上司は「おれはバカな部下は相手にしない」と平気で言ってましたからね。

その人は自分の成績を上げるのに一所懸命で、部下ができないのはバカだからだ。おれのチームにバカを回すな!と平然と仰っていました。

私もその頃は「それが会社のルールなんだ。バカと言われないように頑張ろう」って健気に思っておりましたが、今思うと、一番バカはその上司です。

その人は管理者としての業務を一切放棄すると堂々と宣言していたわけですからね。そんな人を管理者にしている会社もバカです。

■それに比べて金本知憲監督のなんと思慮深く、なんと努力家であることか。

その就任にあたっては、コーチ経験のないキャリアに疑問を持つ向きもありました。

人気選手をそのまま監督にして、客寄せにしようとしているだけじゃないかとうがった見方もあったようです。

ところが、金本監督はそんな浅はかな気持ちで阪神タイガースの監督になったわけではありませんでした。

彼は相当の覚悟を持って、監督要請を受諾しました。それは、この2年の戦いぶりをみていて、十分に伝わってきます。

■繰り返しますが、中間管理職に期待される役割とは、預かったチームの目標を達成すること、および、預かったチームメンバーを成長させることです。

要するに「優勝を目指しながら、若手を育てる」という金本監督の姿勢です。

管理者は、当然ながら自分の成績など二の次で、メンバーの目標達成をサポートしなければなりません。

同時に、メンバーが業務に必要な知識や経験を得られるように、工夫しなければなりません。

「ベンチがアホやから野球できへん!」とはギリギリ言ってもいいかも知れませんが、「選手がアホやから野球できへん!」と言うのはアウトです。

管理者の能力がないって告白ですから。

■金本監督が一般の中間管理職と違うのは、彼が既にプレーヤーではないことです。

幸か不幸か、多くの会社の中間管理職は、自ら現場担当者でもあります。営業でいえば、自分の売上目標を持っています。

チーム全体の売上目標に加えて、自分の売上目標を持っているわけですから、ダブルで大変な責任を持たされています。

あまりにも大変なんで、自分の売上目標だけでも達成しよう!できれば、チーム全体の目標も自分で達成してしまおう!と怠慢なことを考えてしまう気持ちもわからないではありません。

おそらく金本監督も「おれが代打で出た方がマシだ」と何度も思ったことでしょうね。

だけどそれでは、若手が育ちません。

これまでに何度、大事な場面でベテランを使いたかったことか。あるいは何度、ベンチから細かい指示を出したかったことか。

しかし金本監督は、期待した若手に修羅場の経験を積ませ、自分で考えて切り抜けることを優先してきました。

それが現時点で3位という成績につながっているとすれば、決して悪い結果ではないと信じます。

■最近では「名選手は必ずしも名監督ではない」という理屈が浸透してきたようで、新任管理者の方々も、現場担当者だった時の実績に関わらず、管理とは何たるかを学び、工夫されようとしています。

いいことですよ。

現場担当者と管理者の役割は違うものだし、それに要求される能力も異なるものです。

だとすれば、わざわざ管理者にならなくてもずっと現場で活躍する人がいてもいいでしょうし、現場実績がいまいちでも、管理者として能力を発揮する人がいてもいい。

野球でいうと先頃亡くなられた上田利治氏など、選手時代の成績はパッとしませんでしたが、監督になってからは存分にその能力を発揮されました。

あるいはサッカーの世界では、プロ選手経験のない人が、トップチームの監督をされる例もあります。

役割と機能が違うという理屈に従えば、それも在りうることでしょう。

■ところが、そのために新たな問題が起きています。

そもそも我々はなぜ上司の言うことを聞かなければならないのか?

職責上の上長だから?

確かに「おれは課長なんだから命令に従うのは当然だ」と居丈高に言う人もいますが、そんなやつの言うことを素直に聞くほど我々は初心ではありません

逆らえば罰則を与えられる?あるいは従えば得をする?

それもあるでしょうが、人事権などを振りかざして迫る上司など侮蔑の対象になりこそすれ本気で従う気になれません。

やはり上司たるもの自分より知識もスキルもあり、自分が現場で困った時に導いてくれる存在であってほしい。

そう思う人は多いでしょうね。

■ところが今は、市場の変化が激しく、現場のことを正確に深く理解することは、現場担当者にしかできないことです。

現場一筋何十年という人もいるのですから、そんな人のスキルや経験に太刀打ちできないことも多々あるでしょう。

今は年下の上司、年上の部下など普通にあります。

現場経験もありスキルもあり、少なくとも自分は上司よりも仕事ができると信じ込んでいる年上の部下に対してどう接すればいいのか?

これはシリアスな問題ですよ。

中日ドラゴンズを4度のリーグ優勝に導いた名将落合博満監督は、言うことを聞かない生意気な選手がいたら「文句あるなら、おれの現役時代の成績を抜いてから言え」と言ったそうです。

なんとズルい言い方か!そんなの三冠王3度、史上最高の右打者の成績を抜けるわけがない!

こんなの指導者としての怠慢だと思うので参考にしないでください

ところが金本監督も生意気な選手の指導に苦しんでいます。

誰もが阪神タイガースのエースとしての未来を疑わない最速160キロ右腕、藤浪晋太郎です。

この規格外の大器を誰もが持て余しているようです。

なにしろこの選手、誰のアドバイスも聞かないらしい。

そらそうですね。藤浪ほどの才能を指導できるコーチはなかなかいないでしょう。阪神でいえば、村山實か江夏豊クラスの大才ですよ。

それに加えて、藤浪自身そうとう頑固な性格らしく、聞く耳を持たないものですから、周りは腫物に触るように接していると聞きます。

金本監督も困り果てたのでしょうかね。昨年の7月8日の広島戦で、序盤ふがいない投球をした藤浪をそのまま161球も投げさせるという懲罰とも思われる登板を強いました。

チーム内では喝采を受けたかも知れないこの措置も、さすがに間違いだったと私は思っています。

結果として、藤浪が心を入れ替えて、コーチの助言を聞くようになったという話を聞きませんからね。

今年、危険球まがいのボールを連発した藤浪は、無期限2軍調整中の状態です。

藤浪という才能をいかに開花させるのか?

これは金本監督に課せられた最も大きな課題であり、試練だといっていいでしょうね。

■金本監督ほどではないとしても、多かれ少なかれ管理者は「藤浪問題」を抱えているはずです。

個人的にいうと、コンサル現場では、どこも藤浪だらけですよ^^

「なんで現場をロクに知らないお前に従わなければならない?」とみんな思っています。

そんな状態でいかに人を動かすのか?

マニュアル的な解答はありません。日々、新たな答えを探し続けております。。。

■ただ現時点でのヒントをいうとすれば、

人は「この人のいうことなら従おう」と人格に従う場合と、

「この人に従っていれば成長できる」と専門性に従う場合があるようです。

すなわち、管理者たるもの公正で誠実で思いやりと節度のある人格を持ち、かつ、部下を感銘させる専門性が必要です。

人格のことはともかくとして、専門性とは何か?

先ほど、現場のことは担当者の方が詳しいと言ったばかりですね。

ただ管理者の専門性とは、現場行動に関することだけではありません。

目標達成するための目標管理の知識とスキル。PDCAを回すスキル。問題解決のスキル。戦略立案のスキル。

さらには成長するための知識や経験を得るための方法論など。

つまり管理者として持っていなければならない専門性をできるだけ高いレベルで持っていること。

これが上長としての権威となり、円滑な組織運営につながっていくはずです。

少なくとも私はそう考えて、コンサルティングに臨んでいます。

■これが野村克也監督なら。

もしかしたらもっとうまくチームを考える集団に変えて、強いチームにしていったのかもしれません。

江夏をその気にさせたように、藤浪をエースに育て上げるのかもしれません。

あるいは落合博満監督なら、チームの基礎体力を鍛え上げた上で、抜群の勝負勘をもって勝たせながら育てる状況を作っていったのかもしれません。

それに比べて金本知憲監督は、不器用なのかも知れない。若いコーチ陣とともに、試行錯誤を重ねながら、与えられた課題に取り組んでいるようです。

参考:金本監督は恩師に「よう似とる」。高代コーチが思い出す、ある逸話。
http://number.bunshun.jp/articles/-/828548

だからこそ、私は、金本知憲監督を応援します。

金本監督こそ管理者としての職務に真摯に向き合い自ら成長しようとしている人だから。

その悩みも失敗も逡巡も含めて、すべての中間管理職を代表する存在であり、象徴であると思うから。

皆さん。

金本監督を見守り、応援していこうではないですか。

これからもずっと、永遠に。


ポップアップストアとは

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■ポップアップストアとは、空き店舗などに突然開店し、短期間で消えてしまう店舗のこと。イベント的な開店や、テストマーケテイングなどに活用されることが多いようです。

こういう形態の店舗は、SNSなどで話題になることが多く、拡散力があります。したがって、尖ったコンセプトで、都心一等地に出店すると効果が大きくなります。

記事では、売上よりもPRの場としてポップアップ店を利用する企業の事例が紹介されています。

■記事には、不動産業者もポップアップ店舗に対して協力的になりつつあるというようなことが書かれていました。

が、これは米国の事例です。

日本はどうかな?と探してみると…ありましたね。


こちらは「軒先ビジネス」という名称の不動産仲介会社のようですね。

やっぱりあるんだーと感心いたしました。


エイベックスのグーパーチョキ戦略

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■エイベックスのビジネスの変遷を書いた記事です。

1.エイベックスはもともとレコードの輸入卸売業者だったらしい。

2.trfのデビューを機にコンテンツのマネジメントを始めます。

3.CDが売れない時代になるとライブ事業を強化。所属タレント以外のライブも手掛けるようになります。

4.ライブ事業のノウハウをいかして、花火大会などのイベントも手掛けるように。

■顧客の変化や自社の成長に合わせてビジネスを展開していく様子がわかって興味深い。

要するに蓄積したノウハウや経験の周辺に新たなビジネスを立ち上げながら、成長を続けているわけです。

こういう顧客ずらしや変わり身は、小さな企業こそ見習わなければなりませんな。

■ちなみにランチェスター戦略では、グーパーチョキ戦略といって、最初は一点集中(グー)、次に周辺事業に展開(パー)、のち取捨選択(チョキ)で、成長するというモデルがあります。

そうすることで、顧客が変化しても生き残ることができるわけです。

今回のエイベックスの話は、グーパーチョキ戦略の一部分の事例だと読むことができます。


自然界のランチェスター戦略

自然界のランチェスター



(2017年7月13日メルマガより)


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■今回はある書籍を紹介いたします。


参考:「弱者の戦略」稲垣栄洋著(新潮選書)
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4106037521/lanchesterkan-22/ref=nosim

この本は、自然界の動植物が生き残るためにとっている「戦略」について書かれたものです。

自然界は、最も強い者しか最終的には生き残れない厳しい競争の世界です。

ですから、いま現在生き残っている生物はすべからく凄まじい生存競争に生き残ってきたものたちなのです。

弱者にしか見えない彼らが、生きるためにどのような能力を身に着け、どのような工夫をこらしているのか。

抜群に面白い本ですのでおすすめいたします。

■そういえば、数年前、インターネットの掲示板に

自然界は弱肉強食が当たり前なのに人間の社会は生きる力のない者を税金で守っている。これは自然の摂理に反しているのではないか」

という意見が載って話題になったことをご存知でしょうか。

一見もっともらしく聞こえる意見ですが、実際には的外れです。

なぜ的外れなのか?ということをこの「弱者の戦略」という本が教えてくれます。

私なりの見解を本文に載せていますので、ぜひ最後までお読みください。

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■唐突ですが、ナマケモノという動物をご存じでしょうか。

中南米のジャングルで木の枝にぶらさがって一生を過ごす奇妙な生き物です。

聞くところによると一日のほとんどを寝て過ごし、群れをつくることもありません。動きはすこぶる鈍い。餌はぶら下がっている木の葉やコケなど。

なんでこんな生き物が絶滅もせずに生き残っているのでしょうか。

■これって、自然淘汰をとなえた進化論に反しているんじゃないか。などと常々思っていたのですが、先ごろ、ある本に書いてあることをみて納得しました。

ナマケモノというのは、毒性のある種類の木の葉を消化できる能力を持っているのだそうです。そんな毒葉を好んで食べる生物は他にいませんので、他の動物と競合しません。したがって、ぶら下がった木は、自分ひとりの縄張りとなります。

しかも、ナマケモノはあまり動かないのでエネルギーを使いません。だから小食で、自分がぶら下がっている木を食べつくしません。

本当にエコな生き物です。

■こんな生き物、外敵に弱いだろうと思うのですが、そうでもないらしい。

南米にはピューマやジャガーという肉食動物がいますが、彼らは泳ぎもできるし、木登りもできる厄介な外敵です。

ところが動体視力に優れた彼らも、静止しているものを見分けるのは得意ではありません。

すなわち木の枝でじっとしているナマケモノを獲物として認識する能力に若干欠けているきらいがあります。

そのため、外敵に食い尽くされてしまいそうなナマケモノが見逃されて生き残っているといいうのです。

■要するに、ナマケモノというのは、特殊なものを餌とし、燃費がすこぶるよく、外敵に見つけられにくいという特徴を持ったために自然淘汰されずに生き残っているのです。

これもまさに進化論が正しいことを示す例なのだということでした

このナマケモノのことを読んだのは、下記の書籍です。

参考:「弱者の戦略」稲垣栄洋著(新潮選書)
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4106037521/lanchesterkan-22/ref=nosim

「戦略」とありますが、企業戦略について書いた本ではなく、生き物(動植物)が生き残るために持った特徴について書かれています。

個人的には抜群に面白い本だと思いますので、おすすめさせていただきます。

■生き物は厳しい競争の世界に生きています。

生き物の種は、同じものを餌とする限り、同時には存在できない。と考えられています。

餌が充分豊富にある場合でも、一方の種が、他方の種を駆逐してしまうまで競争を止めないそうです。

つまり、強者である1つの種しか生き残れない。

■これって、1位だけが強者、その他はすべて弱者。

競争においては強者が圧倒的に有利であり、弱者は競争を避けるための何らかの手を打たなければ生き残ることもできない。

というランチェスター戦略の考え方に合致するものです。

この本の中には、ランチェスター戦略についての記述があり、ナンバーワンしか生き残れないというルールは、「自然界のしくみともよく合っている」と評価されています。

実際、この本に書かれている動植物の生き残るための工夫は、企業経営にも大いに参考になるものだと考えます。

それにしても同じ条件下では1種類の生物しか生き残れないとは何と厳しい条件でしょうか。

しかし、です。

実際のところ、我々の周りをみても、生物というのは多様多彩です。

ジャングルにいけば、さらに多くの種類の動植物が生きているはずです。一種類しか生きていないというのは極端な話ではないのでしょうか

と思いがちですが、実際には同じ条件で共存しているのではないらしい。

例えば、アフリカなどのサバンナを想像してください。(上記の本の中に書かれている事例です)

そこには、シマウマもキリンもウシもシカもいっぱいいそうな気がします。同じ植物を食べる草食動物なのに、うまく共存しているやんか。

と思えますが、詳細に観てみると彼らは棲み分けています。

シマウマは地面に生えた草を食べます。それに対してキリンは高い木の上にある葉を食べます。

これは分かりやすい。

もっと詳細にみると、シマウマは草の先端の柔らかい部分を食べます。ウシの仲間のヌーは草の茎や葉を食べます。シカの仲間のトムソンガゼルは地面に近い背丈の低い部分を食べているらしい。

さらに言うと、サイの仲間であるシロサイは地面に近い背の低い草を食べ、クロサイは背の高い草を食べているそうです。

もっと言うと、昼間に出てくる動物と夜に活動する動物は違いますし、地中にいる種類もいます。

こうして同じ場所にいる草食動物たちは少しずつ餌をずらすことで、競合しないようにして共存しているというのです。

■これは経営戦略におけるニッチ戦略と同じ考え方です。

ニッチとはくぼみや隙間という意味です。

そこから派生して、経営においては、小さいが独自の条件を持つ市場を狙うことをニッチ戦略と呼んでいます。

例えば、同じ都会には無数の飲食店がありますが、長く続いている店をみると独自の市場を持っていることがわかります。

ある店はランチだけ。ある店は深夜営業。ある店は女性向け。ある店は高齢者向け。ある店は健康志向の人向け。ある店は配達専門。

同じ地域で開業する飲食店でも、少しづつ対象客をずらすことで、競合を避けて生き残りを図っているわけです。

逆にいうと、儲かっている先行店を安易に真似してしまうと、価格競争にならざるを得ません。

そうなるとどちらかが音を上げて閉店してしまうまで消耗戦になってしまう恐れがありますから、お互いにとって賢いやり方ではありません。

生物も同じ。現在生きている動植物は競合して種を危機に晒すのではなく、餌や時間や空間や季節や様々な条件をずらすことで、独自のニッチ市場を獲得して、しぶとく生き残っているのです。

■植物を例にあげます。

家の庭や公園や道路の端っこなどに気が付いたら生えている草があります。

我々がいう雑草です。

どんなところにも芽を出す雑草をみるといかにもたくましく、植物の生命力を感じますが、生物学的にいうと、あれらは決して強い草ではないそうです。

むしろ植物の種の中では弱者とでもいいたくなるような種類なのだそうです。

なぜなら、森の中やジャングルや植物が生きていく上で理想的な環境下では、いわゆる雑草は生えていません。

そこには巨木になる種の木が生えており、地面に光が届きません。巨木以外は、光のいらない植物か、巨木に寄生するような植物しか生きていけない。

だから小さくて力のない植物は、道路の端のような水もない土も堅いような過酷な環境下で生きていかざるを得ないというわけです。

■雑草といわれる植物は、環境の変化が大好きです。

いや、いうなれば、環境が変化し、他の植物がすぐには適応できないような環境でしか生きていけないのが雑草です。

彼らの武器は、新たなニッチを見つける探索力、いち早く根をおろすスピード、それにどんな環境でも生きていけるエコな体質です。

その武器をフルに活用して、一番乗りした隙間に根を下ろすのが、雑草の生きる道です。

これって、経営における起業者やベンチャー企業、小さな企業に必要な要素にそのままあてはまるのではないでしょうか。

ビジネスに適した儲かりそうな環境は、実績と資金力のある大手企業がかっさらってしまうはずです。

だとすれば、起業者や小さな企業に勝ち目があるのは、ビジネスに適しようもない儲からなさそうな環境下か、大手企業が進出する前の新たに立ち上がった市場です。

いまなら人工知能か自動運転かドローンか新エネルギーか。大手企業がまだリスクが高いと尻込みするような分野のビジネス。

あるいは、運送など儲からないと言われる産業。

前回のメルマガで書いた零細企業のM&A仲介など、成長分野の周辺サービスもねらい目です。

とにかく起業者や小さな会社は、たいしたお金がなくても生きていけるエコな体質を活用して、世間の常識に挑戦し続けることです。

「大手企業がやらないというのは儲からないってことだよ」なんていう呆けた意見に耳を貸してはダメですよ。

■現在、地球上の動植物は、それぞれが長い時間をかけて突然変異と自然淘汰を繰り返した上で、あらゆる環境下にニッチ市場を見出して、そこに最適の進化を遂げて棲みついています。

もし火山の噴火や地震や洪水やあるいは人間の手による工事などが行われて環境が変わったとしても、数か月から数年で新たな動植物がそこに棲みつきます。

噴火で島の形が全く変わってしまった西之島でも数年で植物が生えて、鳥が戻ってきているそうですから。

まさに生命の力おそるべしです。

人間の力も同じはずです。我々は、社会の様々なところにニッチを見つけて、そこで多様なビジネスを作る能力を持っています。

いまだチャンスはいたるところにあり、日々誰かがそれを見つけていることでしょう。

■あとは、そのチャンスをビジネスとして形作るスキルがあればいい。

そうして一度、実を結んでしまえば、そこで継続する仕組みを作って、サイクルを回す作業に入ります。

雑草が、過酷な環境下でしか生きられず、常にニッチ市場を探し続けないと生きていけないことに比べて、人間のビジネスは、ニッチ市場を守り続けて百年もつ場合もあるし、そのまま大企業に成長していく可能性も大いにあります。

アマゾンもアップルもグーグルもマイクロソフトも、そうやって捉えたニッチ市場をてこに巨大になっていった企業です

そう考えると、まだビジネスには夢がありますね。

■ただし自然には本能として生きる力が備わっているのに対して、ビジネスは本能ではありませんので、最低限の知識とスキルが必要になることも確かです。

決して難しいことではなく最低限の知識で結構です。

それを知っている知っていないでは、成功確率が格段に変わっていきます。

ビジネスをしている、あるいはこれから始めるという方は、少しでも成功に近づくように、経営や戦略の勉強を軽視しないように努めていただきたいと思います。

■さて、ここから先は余談として、このメルマガの前文に書いたものの続きです。

繰り返しになりますが、以前、インターネットの掲示板に「自然界は弱肉強食が当たり前なのに人間の社会は生きる力のない者を税金で守っているのは、自然の摂理に反しているのではないか」という意見が載って話題になりました。

一見、もっともらしく聞こえますが、この「弱者の戦略という本を読むと、的外れな意見だということがよくわかります。

まず自然界は「弱肉強食」ではありません。

おそらく「ライオンがシマウマを食べる」といった食物連鎖の一部分だけをとりあげて言っているのでしょうが、絶滅しかけているのはライオンの方で、シマウマは維持しています。いったいどちらが弱者でどちらが強者と呼べばいいのでしょうか。

種としてみるなら最も繁栄しているのは蟻などの昆虫です。

彼らは、強固な組織力を身に着けて、ちょっとやそっとの環境の変化にもぐらつかない驚異的な繁栄力を持っています。

実は人間も同じです。

食物連鎖ではウサギとオオカミの間ぐらいだった人間も、組織力を身に着けることで、オオカミを狩り、農耕する能力を手に入れました。

社会性は人間という種が繁栄するための武器なのです。

弱い個体を守るという社会性は、オオカミやサルの群れなどでもみられる行動であり、ましてや人間が同じ種を守るのは必然です。

多様な組織ほど環境の変化に強く、適合しやすい柔軟性を持っています。だとすれば、子供やお年寄りやその他、弱い個体を守り、組織の構成員とすることは、強固な組織を作る条件となります。(蟻の組織内でも一定の割合で働かない蟻が存在するそうですよ)

弱者を助ける社会というのは、むしろ人間組織の懐の深さ、柔軟性、強さにつながっていると考えた方がよさそうです。

以上、余談でした。


小さな用具メーカーの生き残り策

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■小さな会社の生き残り策について、いろいろ参考になる記事です。

こちらは、野球用具メーカーの「ベルガードファクトリージャパン」

特に防具に強く、有名メジャーリーガーも使っているとか。

この会社じたいは、少人数運営です。(社長+職人3名)

■もともとOEMを中心とした下請け工場の色合いが濃かった会社ですが、元請会社が生産先を海外に変えてしまったので、倒産の憂き目にあいました。

そこで「OEMは製造側の取り分が2割程度と薄利で、相当量を生産しないと割に合わない」ことから、OEMを最小限に絞り込み、利益率の高い自社商品を中心にビジネスを組み立てます。

それが、防具(レガース)だったというわけです。

■もともと同社の防具は、イチローが使用していたおかげで、メジャーリーガーの何人かに使用されていました。

最初はイチローのチームメイトだけだったのが、チーム移転にあわせて徐々に広がっていったものらしい。

ここはラッキーですが、同社の商品の性能品質が他社に比べて良かったということが前提です。

■少人数経営なので商品を絞り込み、受注生産対応のビジネスが身の丈に合っていました。

いまはSNSがあるので、メジャーリーガーから直接連絡が入ることもあるそうです。

インスタグラムで写真をみせて「こういう形の防具がほしい」とか。

小さな会社にとってSNSは大きな武器となるという事例ですよね。

■ただ同社の製品は日本では浸透していないのだとか。

日本の場合、選手が野球用品メーカーと一括契約してしまうことが多いので、防具だけを同社のものにするわけにはいかないようです。

このあたり、日本の用具メーカーのやり口を批判しておられます。

用具メーカーは日本のプロ野球に対して、1軍、2軍ともに用具を無償提供しているそうです。選手を囲い込み、試合で使ってもらって宣伝してほしいとの思惑ですが、その分が本来の商品単価に上乗せされるわけです。

数年前、若年層の野球人口がサッカーに抜かれましたが、この主な原因は用具が高額なことにある。硬式野球のグローブの平均的な小売価格は5〜6万円。これは莫大な宣伝費が跳ね返っている結果です。メーカーがプロ野球選手への無尽蔵な提供をやめれば、もしかしたら1万円くらいに抑えられるかもしれませんし、野球人口の減少を食い止める一助になるはずです。

これが本当だとすると(本当なんでしょうが)日本の用具メーカーのやり方は成長期のもので、少子化に向かう現在には合わないものです。

泥臭い業界なんでしょうね。しかし今のままでは立ちいかなくなるのは目に見えています。そういう構造が分かったということでも参考になる記事でした。


竹虎 インターネットを使った接近戦

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■ネット通販の世界ではよく名前を聞く「竹虎」さんの記事です。

高知県で、竹を使った生活雑貨やインテリアなどを制作し、インターネットで販売しています。

売上高は2.5億円。社員20人。

地域にある小さな会社にとっては、非常に羨ましい状況ではないでしょうかね。

■ネット通販に取り組む前は、売上が減って倒産寸前だったそうです。

そこで、自社商品の魅力を見直し、ネットで丹念に発信することで、盛り返しました。

戦略的にいうと、インターネット通じて、「接近戦」を実現させたわけです。

■ヒット商品もなく、広告宣伝に多大な費用をかけられない小さな会社は、顧客に直接会って商品の魅力を伝えなければ、遡上にも乗らないでしょう。

地域に密着して近所の人に直接伝えるというのがその手段の一つですが、地理的にそれも難しいという会社は多くあるでしょう。

竹虎の場合、それをインターネットに求めました。

ネットなら、字数制限、時間制限なしに存分に伝えることができます。商品も無限大に陳列可能です。

■が、言うは易し。実際には、ネット販売に取り組んでも実績が上がらずに、放置しているところが殆どです。

竹虎のホームページをみると、典型的なネット通販サイトの作り方ではありますが、情報の出し方も、画像も、そうとう考えられて打ち出していることがわかります。

おそらく毎日、試行錯誤で作りこみと修正を繰り返して、現在のスタイルを確立したんでしょうね。

簡単に真似できないことは、皆が竹虎のようになれないことが証明してしまっていますが、それでも成功例があることは励みになります。

これからはスマホ対応、あるいは次世代メディア対応していかなければなりませので大変でしょう。

が、その分、他の会社にもチャンスがあるというものです。


回転寿司は群雄割拠の戦国時代に入った

回転寿司


■私の家の近所に「大起水産」という回転寿司屋さんがあります。

堺の中央環状線沿いにある店です。

そのお店の混み具合が半端じゃありません@_@

週末にもなるとお昼1時間待ちはざら。夕食時なんて2時間待ちなんて時もあります。

それでも、時々、利用したくなるのは、やはり美味しいからです。

大起水産というのはもともと水産物の仲卸(卸売市場内で、卸売業者と小売業者を仲介する業者のこと)をしている会社です。

だから活きのいいネタを仕入れることには長けているのでしょうね

普通の回転寿司店よりは高めの設定ですが、それだけの値打ちがあると感じます。

■大起水産ってすごいなーと思っていたら、さらにすごい店を発見しました。

何がすごいかというと、その待ち時間です。

なんと最高11時間!

ありえんだろーーと思えるような待ち時間を記録したのは、大手回転寿司チェーンのかっぱ寿司です。

同社が最近実験的に始めた「食べ放題」企画の待ち時間が、ありえない状態になっているとのこと。

参考:食べ放題「10時間以上待ち」続出 「予想以上の反響」とかっぱ寿司
https://www.j-cast.com/2017/06/14300641.html?p=all

■かっぱ寿司の食べ放題企画といえば、平日14時から16時限定です。

それが11時間待ちって。限定時間をはるかに過ぎてるやんか。

仮に16時に予約したとして、27時に入店できる計算です。午前3時。さすがに閉店時間を過ぎているでしょう。

それでも店側は強気で、閉店までには案内すると主張しておられます。

ま、予約だけして、来ない人もいるでしょうから、待ち続ける人は入店できるのでしょう。

それにしても、昼過ぎに予約して、入店が夜になるって、待つ方の執念もすごいもんですよ。

■このかっぱ寿司の食べ放題企画、賛否両論です。

特に経営面からは否定する論調が多い。

参考:かっぱ寿司が食べ放題という「地獄」を選んだ本当の事情(現代ビジネス)
https://news.infoseek.co.jp/feature/kaitensushi/

私も、この企画は上策とは思いません。いわゆる悪手だと思います。

まずは、ただでさえ薄利の回転寿司において、利益を下げる企画です。

通常、外食産業の原価率は30%程度だといわれていますが、回転寿司のそれは約50%です。

もとより利益(人件費除く)は半分しかないのに、食べられたら食べられるだけ利益がなくなっていきます。

その上、回転寿司という業態は、人件費をぎりぎりに絞って成り立っているので、いまさら食べ放題にしたからといって削減できる人件費などありません。

この企画、男性1580円、女性1380円(税抜)です。

つまり男性は16皿以上食べたら得。女性は14皿以上。顧客側に、損得がガラス張りになってしまっています。

合理的に考えると、この企画にやってくるのは、16皿以上食べる人たちです。

かっぱ寿司は、そういう大食いの顧客層をターゲットにしようというのでしょうか

何かずれた企画ではないかと思う次第です。

■回転寿司が登場したのは1958年。大阪の元禄寿司が元祖です。

元禄寿司は、職人不足に困って、寿司がコンベアで流れる仕掛けを開発したと言われています。

寿司がくるくる回るという世にも珍しい仕掛けが大うけしたのは、1970年大阪万博で披露されてからだったそうです。

1978年。元禄寿司の特許が切れてから、回転寿司チェーンが登場してきます。

もともと寿司が回るという意外性、エンタメ性に加えて、大量仕入れで低価格化を実現した回転寿司チェーンは、大衆に受け入れられます。(それに対して一般の寿司店は高級化していきました)

■あらゆるビジネスは市場シェア(市場占拠率)が重要ですが、回転寿司チェーンにおいても同じです。

なにしろ薄利多売ビジネスですから、スケールメリットが効きます。

各社とも成長期に店舗数を拡大しておかなければならないと躍起になって出店していきました。

そうすると、当然ながら、チェーン同士の競争が激化していきます。

ある程度淘汰されながら、トップ企業となったのが、かっぱ寿司でした。

■かっぱ寿司は、いち早く「特急レーン」を設置したことで知られています。

流れてくる寿司を拾えばいい。店主に注文しなくていい。という手軽さは回転寿司の良さの一つです。偏屈な寿司職人のおやじと相対して食べる気まずさがありません。(←大げさなと言われるかも知れませんが、うざいおやじは本当にうざいですからねーー)

それなのに消費者は贅沢ですね。回転寿司なのに回転している寿司は食べたくない、わざわざ自分のために作った寿司を食べたいと思い始めています。

そこでかっぱ寿司は回転レーンとは別に、個別注文用のレーンを作って消費者のわがままなニーズに応えました。いまでは注文用タッチパネルも設置されています。このあたりまでは、かっぱ寿司もクールでしたねー

ところが各社とも、それに対応してきます。かっぱ寿司の優位性はすでにありません。

■2010年代になり、そろそろ回転寿司市場も成長が鈍化したかな。と言われ出した頃、日本は円安に見舞われます。

チェーン各社は輸入食材に頼っているので、原価が上がって対応に苦慮します。

かっぱ寿司も原価増に悩んだ末に、低価格を維持するために、寿司ネタの質を下げる施策に走ってしまいます。

それに対して、スシローやくら寿司は、単価を上げてでもネタの質を維持または向上させる対応をしました

そんなことをすればてきめんです。悪評はすぐに広まりますからね。結果として、かっぱ寿司は「安いけどネタが悪い」と評判になり、消費者離れを招いてしまいました。

結局、トップの座から落ちて、現在は3位です。

■かわりにトップに立ったのが、スシローです。

参考:飽和迎える回転すし市場、スシローの戦い方(日経ビジネスオンライン)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/278209/062100135/

同社が変わるきっかけは、ゼンショーという外圧の存在でした。

ゼンショーというのは、牛丼チェーンの「すき家」や「なか卯」を中心とする外食チェーンの大手です。

なんでも欲しがるゼンショー(全勝ですから)は、成長産業である回転寿司になみなみならぬ興味を持っていて、かっぱ寿司やスシローの買収を試みたこともありました。

特にスシローに対しては、一時、筆頭株主になったこともあります。が、スシローの経営陣は傘下に入ることをよしとせずに、ファンドの協力を得て、2009年、上場廃止してしまいます。

そこから2017年に再上場するまで、スシローとファンドは、ITを駆使した顧客分析・出店分析・業務効率改善・鮮度管理向上、メニュー開発、調達の強化に取り組みます。

特に単価を上げてでもこだわった鮮度管理が徐々に評価されて「味のスシロー」のイメージを作ります。

売上日本一を達成したのは2011年、多分に敵失によるものが多かったかも知れませんが、現在に至るまでトップ企業の地位を守り続けているのは立派です。

再上場したいま、出店攻勢をかけてトップの地位を盤石にせんと構えている状態です

■スシローとともに業績好調なのが、くら寿司です。(両社とも大阪出自)

参考:くら寿司、異様な光景の秘密 快進撃を支える驚異の異端経営 平日午後でもなぜ満席?(ビジネスジャーナル)
http://biz-journal.jp/2015/03/post_9406.html

くら寿司もスシローと同じくITを駆使した業務オペレーションの効率化に取り組んでいます。いや、むしろスシローより早く着手していたと思われます。

今では、レーンに何の皿が並んでいるかを瞬時に把握できるようになっており、いま何を投入すればいいのかをリアルタイムデータで判断できるようになっています。

くら寿司をみていて、感心するのは、そのアイデアです。「びっくらポン」なるシステムをご存じでしょうか。

これは、食べた皿を専用口に流すと枚数をカウントしてくれるシステムです。しかも5枚カウントするごとにスロットが回って、当たりが出ると粗品がもらえます。粗品そのものはつまらないものですが、子供が大喜びするので、つい5枚に達するように消費してしまいます。なんと巧妙な。

近年ではラーメン、カレー、牛丼、カレーパン、コーラと、およそ寿司店とは思えないサイドメニュー開発にひた走り、それが評判です。

要するに、くら寿司は急速にファミリーレストラン化していっています。あるいはファミリーレストランの顧客を奪っていこうとしています

もともと回転寿司は、エンタメ性を持った業態です。家族で楽しめる。そこそこ安く、美味しい。

そう考えれば、ファミリーレストラン化は、回転寿司進化の本道であり、その中心にいるのがくら寿司であると思えます。

■こうして上位2社が、低価格の中でも高品質化を追求して好調を維持しているのに比べて、かっぱ寿司は「安いけど不味い」イメージをつけられて、ひとり負けに陥りました。

困ったかっぱ寿司が、上位2社の高付加価値路線を参考にしながら、ネタの高品質化、サイドメニューの開発を模索していたところ、同社のお株を奪うように低価格路線をひた走ったのが、はま寿司でした。

参考:「はま寿司」が急成長! 「かっぱ寿司」を追い越せた理由
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1706/27/news024.html

はま寿司は、かっぱ寿司やスシローの買収に失敗したゼンショーが手掛ける回転寿司チェーンです。

同社は、何の躊躇もなく低価格戦略を突き進め、迷いのみえるかっぱ寿司を抜き去ってしまいました。

はま寿司の強みは、ゼンショーの総合力を利用できるところです。なにしろ、肉を中心に、和食、うどん、ラーメン、パスタ、カフェまで手掛けるグループですから、仕入れのスケールが違います。

はま寿司が、業界随一の低価格を貫きながら、そこそこの質や多様なメニューを実現できているのは、グループによるバックアップ体制の賜物だといえるでしょう。

はま寿司にお株を奪われたかっぱ寿司は慌てて低価格路線に回帰します。

平日1皿90円という企画は、まさにはま寿司の二番煎じです。このあたりの迷走ぶりは消費者の失笑を買うほどでした。

いったいどうしたんだ、かっぱ寿司!というわけです。

現在、かっぱ寿司の親会社はコロワイドです。

参考:なぜコロワイドは「かっぱ寿司」を買ってしまったのか
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1704/18/news006.html

コロワイドといえば、居酒屋を祖業にして、焼肉屋の牛角などを傘下に持つ総合外食産業です。

M&A(合併&買収)戦略が実に巧みで、十数回M&Aを繰り返しながらグループを大きくしてきました。

コロワイドがかっぱ寿司を買収したのが、2014年のこと。同社にとっても社運をかけた大型買収案件だったようです。

もっとも今回の案件はさすがのコロワイドも簡単にV字回復させるには至りませんでした。

後手後手を踏み続けて、困り果てたかっぱ寿司が今回、苦肉の策として取り組んだのが、「食べ放題」という企画だったわけです。

悪手だろうが何だろうが、話題になることをやって、マスコミに取り上げてもらう。

その間に、これまで取り組んできたネタの品質向上や多様化したメニューを再評価してもらい「安いけど不味い」というイメージを払拭する。

それがかっぱ寿司の狙いだということなんでしょう。

■実をいうと、私はけっこうなかっぱ寿司ユーザーです。

まあ、一番近所にある回転寿司屋がかっぱ寿司だったという理由なのですが。

正直に言いまして、一時は食べるものがないと思えるほど、ネタがしょぼかった(><)

いつも食べるのはうどんと海老天巻き。それ以外は食べる気がしませんでした。

ところが最近はちょっと変化してきていて、そこそこ食べれるようなレギュラーメニューになってきています。

確かに良くなってきているとは思います。

しかし、大起水産と比べると全然です。2倍3倍の値段がしたとしても大起水産の方が値打ちがあると感じます。

業界的にいうと、回転寿司市場は、スシロー、くら、はま、かっぱの大手4社が寡占状態を作っていて、その他の中小チェーンは、地域密着で独自性を打ち出すか、大起水産のような高価格化をしていっています。

特に回転寿司なのにそこそこいい値段のする高級店が、各地域で一つの勢力となってきています。

■上の記事(飽和迎える回転すし市場、スシローの戦い方)から各社のデータを拾ってみますと

【売上高−営業利益(利益率)】2016年。※はまは経常利益
スシロー1477億円−75億円(5.1%)
くら      1136億円−65億円(5.7%)
はま      1010億円−42億円(4.2%)
かっぱ      803億円−25億円(3.1%)

【店舗数−1店舗あたり売上高−1店舗あたり利益】
スシロー460店−3.2億円−1630万円
くら      393店−2.9億円−1654万円
はま      465店−2.2億円− 903万円
かっぱ     351店−2.3億円− 712万円

【市場シェア】※市場全体を6300億円として
スシロー23.4%
くら  18.0%
はま      16.0%
かっぱ     12.7%

やはりデータをみても、かっぱ寿司の苦境が目立ちます。

■回転寿司は、いわゆる装置産業です。

回転寿司のコンベアや寿司を作る機械などを最初に整備しなければなりません。ですから、資本力のある大手企業が有利な産業です。

その上、薄利多売ビジネスですから、店舗数の多さが競争力に反映します。

ということは、今さら新たなチェーンが台頭するとは考えにくい。回転寿司ビジネスのプレーヤーは既に出そろったと考えていいでしょう。

今後、上記4社で生き残りを賭けた戦いになっていくものと考えます。

生き残る道として、スシローは出店攻勢に出て、市場シェアの拡大に臨むはずです。

くらは、独自路線を貫きながらファミリーレストラン化に走っていくことでしょう。

ゼンショーグループのはまは「低価格路線こそ回転寿司の王道」という気持ちを持っているでしょう。そんなはまが、3位で満足しているはずがありませんから、近い将来、かっぱの買収を再度持ち掛けていくのではないでしょうか。

コロワイド(かっぱ)とすれば、高値で買って安値で買いたたかれるのは避けたいところでしょうから、何とかかっぱを立て直して、ある程度の価値をつけた上で、売却するのが落とし所となるのでしょうかね。

■今回、かっぱの食べ放題企画は、20店舗限定という及び腰だったにも関わらず、マスコミに大いに取り上げられたのですから、大成功だったといっていいでしょう。

この流れを萎ませてはならない。私なら、さらになりふり構わぬイベントを連発していきます。

当たり付き皿の導入とか。

ダーツで割引率を決めるとか。

5000円以上半額とか。

90点以上のテスト答案を持ってきたら一人半額とか。

ロシアンルーレットで激甘寿司を仕込むとか。

やれることは何でもやって、エンタメ性を高めていき、マスコミの注目を浴び続け、集客に励みます。

そして集客ができているうちに、品質向上やサイドメニュー開発に取り組むのです。

■はまは、かっぱの価値を上げたくないでしょうから、変なイベントをいちいち真似して、その独自性を希釈していきます。

チキンレース上等!という気持ちで、やってくるでしょうね。ゼンショー(全勝)ですから。

スシローは財務的に難があるのでやりにくいですし、くらは独自路線なのでやらないでしょう。

だとすれば、はまとかっぱの我慢比べの末、合併する。というのが業界再編としてありそうなシナリオだと思いますね。

つまりこの戦いの覇者ははま寿司になるのではないかという予想です。

まあ、その通りいくかどうかはわかりませんが、群雄割拠の面白い業界であることは確かです。

回転寿司は、マスコミにとりあげられる件数も多いですし、その動きが一般人にもわかりやすい。

当事者は大変でしょうが、これからの各社の戦略展開をみるのを楽しみにしております。


米アマゾンが高級スーパーを買収。地域物流拠点に。

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■またアマゾンの話題です。

米アマゾンが、高級スーパー大手のホールフーズマーケットを1兆5000億円で買収したとのことです。

これによりアマゾンは、オーガニック生鮮品のブランドを手に入れたことになります。

また全米460店の店舗網をも手に入れました。

これは、生鮮品の物流拠点となり、近隣家庭に短時間で配達するサービスの実現を強化することになるでしょう。

■日本ではアマゾンは、ヤマト運輸との契約を解消。かわりに小さな運送会社を集めて、独自の配達網を作ろうとしています。

通販ビジネスにおいて最大のネックであり、また競争力の源泉となるのが物流機能であるということをアマゾンは創業以来抱き続けてきました。

アマゾンの物流にかける執念は半端ではなく、アメリカでは一般個人が配達するような取り組みをスタートしています。(白タクならぬ、白運送ですね)

あるいはドローンで配達する仕組みも本気で検討しているらしい。

それに比べて、スーパーの店舗を使った近隣への配達は、かなり現実的です。

アマゾンの事業展開意欲に驚くとともに、日本でも近い将来、全国的スーパーの買収があるのではないかと思ってしまいます。


かっぱ寿司の苦肉の企画は実を結ぶか

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■かっぱ寿司が食べ放題企画を始めました。平日の14時から17時の70分限定。男性1580円、女性1380円、65歳以上980円。


全国20店舗を選んで試験的に始めた企画がいまのところ大人気で、一部店舗では11時間待ちの状態になったとか!?

11時間待ち!閉店時間を超えるやん。と思いますが、店側によるとその日のうちには案内しますとのこと。現実的に考えると、長時間待ちといわれたら大方の人たちは諦めて帰るでしょうから、そこそこの時間で案内されるのでしょうね。

■しかしこの企画、そんなに魅力的だろうか。1580円といえば、15皿以上を食べないともとをとれないわけです。(一部の高価なメニューは枠外らしい)ターゲットは誰なのだろうか?

でも、これだけ人気を集めているとのことですから、一時的にも効果はあったということですね。

■回転寿司業界はほぼ飽和状態にあります。かっぱ寿司をはじめとする大手チェーンは、さらなる成長・業績維持のために、客単価を上げるか、客数を増やすかしなければならない。

そこで、最大手のスシローやくら寿司は、単価の高いメニューを増やして、客単価の向上をめざし、一応の成功を収めています。

両社とも、寿司にとらわれないサイドメニュー開発に力を入れて、SNSで話題になるような尖った新製品を投入しています。

いまや回転寿司屋にいって、ラーメンやカレーを食べるなんてことが普通になってきました。要するに、ファミリーレストラン化しているわけです。

この傾向はまだ続くでしょう。スシローやくら寿司は、サイドメニュー開発にまい進していくはずです。


■かっぱ寿司もファミリー需要を取り込もうというのは同じでしょうが、こちらは低価格を維持しながら、客数を増やそうとしました。

そのためレギュラー商品の質が劣化し、逆に客数を減らしたようです。戦略の失敗ですな。

そこで背中に火が付いたかっぱ寿司が起死回生の策として投入したのが今回の食べ放題企画でした。

■記事には「地獄」とありますが、確かに悪手であるように思います。

まず食べ放題企画が利益を圧迫してしまうこと。もともと人件費をぎりぎりまで切り詰めて運営している回転寿司チェーンでの食べ放題企画に経費削減の効果は小さいはずです。

だとすれば、粗利が少なくなるしかありません。

客数が増えたとしてもそれは食べ放題の顧客です。食べ放題を止めた時、どれだけの顧客が残るのかわかりません。

そもそも15皿以上を常に食べるグループは、同社のターゲット顧客なのだろうか?

■まあ、そういうことは分かった上での企画なんでしょう。それぐらい追い詰められていたということですね。

悪手であっても、話題になることは何でもやって、認知度を高め、客数を増やす。その間に新メニューの開発や、レギュラー品の改善を行って、満足度を高め常連客を作る。

こういうことなんでしょうね。

■私もたまにかっぱ寿司にはいきますが、確かに安い以外は魅力に乏しい…

安ければいいやという顧客狙いで失敗したのですから、品質を上げることが求められています。

食べ放題企画の人気もそれほど続かないと想像します。ここはさらなる企画を連発して飽きられないようにしつつ、レギュラー品の魅力を高めなければなりません。

あまり時間はないでしょうが。


ミスタードーナツはなぜズレたことをやろうとするのか?

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■ミスタードーナツの売上減が続いているようです。

記事によると直近の5年間で、店舗数、店舗売上高ともに減少しており、コンビニドーナツが本格化してからは、500万円/1店の売上減だとか。

コンビニの影響甚大だったというわけです。

■この事態を受けて、ミスタードーナツ側は、コスト削減策を発表しました。

店内調理をやめて喫茶店形式への変更、持ち帰り専門店への切り替えを進める方針だという。店内で調理した“できたて”のドーナツが売りだったが、それを放棄して業態転換とコスト削減を優先するわけだ。

今後は、ドーナツにこだわらない喫茶店形式の店を模索していくとのことです。

コメダ珈琲をイメージしているのでしょうかね。

この措置は、素人目にみても、ずれているんじゃないかと思ってしまいます。

■記事にもありますが、ミスタードーナツはあくまでドーナツ店です。店内調理で美味しいドーナツが提供できなくなったら、どこでコンビニと戦っていくというのでしょうか?

最近、回転寿司がサイドメニューを増やして急速にファミレス化していっていますが、これは回転寿司という業態がある程度飽和しつつあるからです。

ドーナツ店って、飽和もなにも。浸透すらしていない。

これはずっとトップ企業であったミスタードーナツの努力不足によるものです。

それなのに、中途半端な食べ物屋に転換して、生き残っていけるというのでしょうか?

■私には、これはコンビニに塩を送るような施策に思えます。

ミスドが店内調理を捨てるなら、コンビニは「できたてホットドーナツ」とかいって店内でドーナツを揚げて、そのまま提供すればいい。

サーターアンダギーのような単純なものでさえできたては美味しいですからね。素人が作っても美味しくないはずがない。

店舗数、味、質、さらにイートイン施設、コーヒーと、すべての面でミスドを凌駕するようになりますよ。

■ミスタードーナツは、戦略を考え直す必要があるでしょう。

同社はもうすでに弱者なのですから、中途半端にマスを追うような施策はしてはダメです。

消えるには惜しいチェーンですから、頑張っていただきたいと思っています。


小さな会社のM&Aが日本を救う?

M&A



(2017年6月15日メルマガより)


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■先日、このような記事を読みました。

参考:60過ぎたら、退職金で会社を買いなさい 500万円で優良企業の社長になる方法【前編】(現代オンライン)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51636

えらい時代になったもんですねー。

退職金で会社が買えるんですか??

■記事の内容は納得できます。

人生80年時代。会社を定年退職してもあと20年、どのように過ごせばいいのか。

大手企業にてそれなりの経験をした人は、中小企業の経営をすればいい。

いま後継者不足に悩む中小企業はごまんとあり、廃業するぐらいなら、誰かに任せようと思う会社も多くある。

そんな会社を買いとることで、「天下り」してしまえばいいのだ。。。

■でも、ほんまにそんな簡単に買えるものだろうか。会社が500万円?

と疑問に思って、大手M&A仲介会社の人に聞いてみると、あっさりと言われました。

「500万円どころか、0円もありますよ」

って、型遅れのガラケーか!

もっとも、0円には0円なりの理由があり、借金があるとか、市場縮小して売上が立たないとか、維持費がやたらかかるとか、続けるには困難があるようですが。

■まあ、それにしても、こういう記事がでるあたり、日本でもM&A(合併&買収)が一般化してきた証拠ではないでしょうか。

もともと日本企業はM&Aに消極的だったといわれています。

しかしこれだけ市場が成熟してくると、自前で企業を成長どころか維持させることも難しくなってきます。

なにしろ成熟期、衰退期は、業界内の勢力図はトップ数社に集約されていくもので、下位企業には生き残るチャンスさえ少ない。

現場でコツコツやっているだけでは、山崩れが起きていることに気づかずに、なすすべもなく終焉を迎えてしまうやも知れません。まさに「戦略がなければ生き残れない」です。

そんな中、戦略的になろうとすれば、成長や生き残りのためのM&Aを積極的にせざるを得ないわけです。

また、日本電産のようにM&Aをうまく活用して成功している企業が現実に出てきたことも我々のマインドを刺激しています。

ちなみに今年の初めには、こんな記事もありました。

参考:上場企業、純利益25%増 事業再編や合理化テコ(日本経済新聞 有料記事)
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO12960760V10C17A2DTA000/

これは昨年10月〜12月の状況について書いた記事ですが、その時期上場企業の純利益は25%増加したとのこと。

その要因として、事業再構築による利益率の向上とともに、M&Aをてこに業績を伸ばす企業が増えていることがあげられています

■ただ昨今の状況をみてみると、M&Aを活用しようという機運が、大手企業や外資系企業にとどまらず、中小企業にも広がっていることが感ぜられます。

そのひとつが、政府の動きです。

参考:廃業回避へM&A活用 中小企業庁、事業承継指針見直し 厳格ルールなお障壁(日本経済新聞 有料記事)
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO15874910Y7A420C1TCJ000/

これからも日本の産業が勢いを持ち続けるためには、一部の大手企業だけではなく、裾野となる中小企業の力が必要です。

ところが多くの中小企業がいま危機に瀕しています。その大きな理由の一つが後継者不足です。

「子供が会社を継がない」「従業員も経営者にはなりたがらない」そんな理由で、廃業せざるを得ない会社が多くあるというのです。

廃業。という選択は、社長にとっては個人的な決断かもしれませんが、地域社会にとっては雇用の機会を喪失することです。

さらには廃業する会社が多くなってしまうと、産業全体の弱体化を招きます。日本企業の強みである元請け、下請けを含めた集団の技術・生産体制が弱くなることを意味するのです。

そうなっては困るので、日本政府も、M&Aを積極活用して、事業継承がなされることを推奨している次第です。

■というわけで最初の記事に戻ります。

500万円で会社が買える。いや、0円でも買える。

まるで夢のようですが、実際には様々な障壁があります。

そもそも安い価格で買える会社というのは、運営が難しいはずです。

借金があるし、売上も落ちている。訳あり物件じゃないと、安い価格で譲り渡そうと思わないのではないか。と勘繰りたくなります。

いや、それどころか、表に出てこない問題があるやもしれません。隠れ債務というやつで、関係会社や子会社がえらい問題を抱えているかも知れません。←東芝がいま大変な目にあっている原因の一つが、買収した米国のウェスティングハウス社の隠れ債務の存在でしたから。

買ったとして経営者になっても、古参の従業員が素直に言うことを聞かないかも知れません。経営者として、戦略や管理は担当できても実行するのは社員ですから、サボタージュされたらお手上げです。

なんやかんやで問題山積ですよ。

■が、私たちコンサルタントや中小企業診断士は、こういう案件にはなれっこです。

言っちゃなんですが、債務超過(資産よりも借金の方が多い状態)で切羽詰まった会社が普通です。

問題点を探って、生き残りの方向性を見出し、その計画を金融機関に説明して返済計画を練り直す。その上で、生き残りのための営業戦略を実行する。

実行する上では「部外者が何を言ってやがる」と反発する従業員の方に心をつくして説明し、動いてもらう。

私たちが通常業務としてやっていることなんですよね。

債務超過だからもうだめだーなんて諦めていたら、それこそ倒産企業ばかりになってしまって、日本の産業は壊滅状態になりますよ。

だから会社を買おうという人は、そういうギリギリの会社でも何とかしなければならないと覚悟して臨まなければなりません。

たいていの会社は、生き残る道を見つけられるものです。

■もちろんコンサルタントとして関わるのと、自分で経営するのとではリスクも覚悟も違うでしょう。

ですからあくまでも自己責任で決断してください。念のため。

少なくとも買う決断をする前には、対象となる会社のことを十二分に調べる必要があります。

間違えてはいけませんよ。M&A仲介会社が保証してくれるわけではありません。隠れ債務が後から見つかったからといって、誰も責任をとってくれませんよ。

だから、仲介会社の情報を鵜呑みにしてはダメです。自分で調べなければなりません。

ですから調査には、しっかりした専門家チーム(公認会計士、弁護士、中小企業診断士など)を雇って、納得いくまで調べてください。

■買ったとしても、それで終わりではありません。それからが勝負です。

すなわち売上をあげて、維持しなければなりません。

大手企業の管理職までされた方なら、売上をあげる戦略を作り、目標管理を行うことはできないことではないでしょう。

できなければ専門家を雇えばいいのです。それも含めて、実行する経験はあると想像します。

事前調査するにしろ、その後の成長戦略を立てるにしろ、そういう時のために私たち専門家がいるわけですから、どしどし利用をしてくださいね。

■思うに、経営者にも、得意、不得意があります。

事業の立ち上げが得意な人。

事業の維持が得意な人。

自ら先頭に立って陣頭指揮するのが得意な人。

自らは表に出ずに人を動かすのが得意な人。

もし大手企業を退職した人が、事業の維持が得意な管理者タイプなら、一から起業する苦労は大変なストレスになることでしょう。

そういう人が経営者になろうとする場合は、迷わずM&Aを検討すべきです。

■逆から見ると、売る側にも選択肢が広がったといえます。

引退の時期が近付いたと感じる経営者にとって、後継者がいなければ、誰かに売るというのも一つの方法に違いありません。

従業員に暇を出して廃業するよりも、誰かに譲って、いくばくかの売却金をもらう方が合理的です。

いや、なにも引退の時期でなくても構いません。

起業してそれなりの会社組織を育て上げたら、そこで売却して、自分は次の会社を立ち上げればいいのです。

上でも言ったように、事業の立ち上げが得意な人もいます。そういう人は、何度も立ち上げればいい。欧米では、こういう人のことをシリアル・アントレプレナーというそうですよ。

欧米ではM&Aマーケットがしっかり存在するので、起業して数年の会社を売却することも可能です。そこで儲けたお金を使って新たな会社を立ち上げることを繰り返す人のことをシリアル・アントレプレナーというわけです。

日本でも、小さな会社のM&A市場が一般化すれば、それも可能になるはず。今後、そうなっていくと期待します。

■私は、定期的に創業塾の講師を担当していますので、毎年、新たな起業家や起業予備軍と出会います。

そういう方の中には、根っからの起業家という方もおられます。

または、自分で起業するよりも、どこかの会社の経営者になった方がいいんじゃないかと思える人もおられます。

人によって起業の形も経営への関わり方も様々です。

そういう方たちにとっても、小さな会社のM&A市場があれば、救われることも多いはずです。

■ただそのためには、日本でも小さな会社のM&A市場がもっとしっかりと立ち上がらなければなりません。

残念ながら今のところ、日本のM&A市場はそれなりの規模の企業を対象にしています。仲介手数料も、数千万円単位が必要です。

500万円とか0円で売りに出される企業に、手数料が数千万円って、非現実的ですよ。

もしかしたら、小さなM&A案件に対応する仲介会社もあるのかも知れませんが、まだ一般的とはいえないでしょう。

一般人でも気軽に関われるような数百万円のM&A市場が本格的に立ち上がる時、日本の社会や産業全体は変わっていくはずです。

必ずそういう時代は来ると思いますし、来なければなりません。

それに、これって、けっこう大きなビジネスチャンスになるでしょうね。

あの光通信がストック型ビジネスにシフト?!

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■久しぶりに光通信の記事を読みました。


ある意味懐かしい。ITバブル絶頂期には創業者の重田氏は時代の寵児といわれました。最年少上場企業社長にして「光速で稼ぐ男」と囃されましたっけ。

ただ失墜も劇的で、当時の主要ビジネスであった携帯電話販売店が、架空取引で売上の水増しをしていたことが発覚し、株価が急激に下がり、ITバブル崩壊の理由の一つとなりました。

■もっとも光通信は生きていました。どころか好調です。売上高こそ伸びていませんが、営業利益は昨年比10%以上の向上。今期も続伸の予想です。

当時主力だった携帯電話販売店に加えて、オフィス機器販売(コピー機等)事業を育て上げ、さらには、自社光サービス、MVNOなどを手掛けています。

■事業展開への考え方として「ストック型ビジネス」を重視していることが特徴的です。販売時にしか売上がたたないフロー型ビジネスよりも、販売した後に定額売上が見込めるストック型ビジネスは、安定的です。

販売時に大きな売上は見込めませんが、顧客を増やせば増やすだけ定期収入がストックされていくので、成熟期にも業績を急落させることがありません。光通信のような強い営業力を持つ会社がストック型ビジネスに取り組めば、それは威力があるでしょうな。

このあたり、ITバブル崩壊の悪夢を経験した光通信ならではの危機感と経営哲学があるのでしょうね。売上高よりも利益を重視する経営に見事にシフトしているということでした。

■僭越ながら私もストック型ビジネスを重視しておりまして。一発勝負のようなビジネスではなく、蓄積型のビジネスを心がけるようにしています。

創業時、収入がほしい時には狩猟的なことをやっていたのですが、ある時期からストック型に切り替えないとしんどいということに気づき、苦しいながらも続けてきました。

少なくても定期収入があれば、気持ちに余裕ができて、相当楽になりますからね。いろいろ戦略を練ることができるようになります。

まあ私なんぞ小さなビジネスですが、それなりのスケールでやっている光通信は立派です。

■創業者の重田氏は表舞台からは退き、現在は他の方が経営しています。

このあたりも重田氏の後継者育成手腕が確かであったということですね。

やはり若い頃に天才経営者と謳われた実力は大したもんです。


ドムドム・バーガー興亡記

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■ハンバーガーチェーンのドムドムに関する記事です。珍しい。


ダイエー系列で一時期は店舗数もそれなりに多かったハンバーガーチェーンです。

ダイエーの凋落とともに終焉を迎えた(実際は細々と続けていたのですが…)悲運のハンバーガーチェーンの経緯が興味深く読めました。

■記事によると、ドムドムは日本初のハンバーガーチェーンだとか。

当初はマクドナルドを日本で始めたかったダイエー創業者の中内功氏ですが、「銀座のユダヤ小人」と異名をとる藤田田氏に日本展開の権利をとられてしまいます。

激怒した中内氏は、マクドナルドより先に、ドムドムを立ち上げます。ダイエー店舗内で展開するためのものですが、マクドナルド憎しという気持ちも相当強かったらしい。

■米国におけるマクドナルドは、庶民のためのチェーンなのでダイエー内で展開する方がイメージにあっていたでしょう。

しかし、藤田氏は日本流を貫きます。「文明流水理論」とかで、文明は高いところから低いところに流れるという説のもと、銀座の一等地にマクドナルド一号店を構えます。

藤田氏の売り方は、低所得者層のためのチェーンではなく、ハンバーガーという新しい文化を日本に広めるというものでした。

藤田氏の方法によって、日本に馴染みのないハンバーガーという食べ物が新しくお洒落なものとして広がっていきます。その規格外の成功は、レイ・クロックでさえ予想できなかったものだったようです。

■割を食ったのはドムドムで、イメージとしてもマクドナルドの後塵を拝することになります。

全盛期にやっていたのは、マクドナルドと同じが少し安い価格設定をした上で、マクドナルドにない商品をちょこちょこ開発するという現場対応レベルの施策です。

ただダイエーに勢いがあったので、店舗数も増やせて、それなりの利益は出せていたようです。

■もっともマクドナルド憎しの思いが消えない中内氏は、対抗策としてウェンディーズとのフランチャイズ契約を獲得します。

今度はマクドナルドよりも斬新なハンバーガーチェーンで売り出したかったのでしょうが、時期が悪かった。

マクドナルドと同じように銀座の一等地に店を構えるも、バブル経済のあおりで地価の負担が大きく、利益を出すには至らなかったようです。

■その後、ダイエーの凋落、中内氏の失脚とともに、ドムドムもウェンディーズの展開も終焉を迎えます。

現在はどちらも他資本で復活を目指していますが、市場全体が成熟した今から店舗数を増やすことは難しいでしょう。

■様々な要因があったとはいえ、やはり、日本にない新しいものを展開させるための藤田氏の考え方と手腕が光ります。

その後、スターバックスが日本に展開する時も同じ方法論を踏襲していますから、応用のきくやり方であることがわかりますね。

その陰にあって割を食ったドムドムやウェンディーズですが、陰は陰なりの戦略がなかったのも事実です。

バブル崩壊後、ハンバーガーチェーンどころではなくなったということもあるでしょうが、任せられる人が育っていなかったこと、中内氏自身が弱者の戦略を考えながら展開できる人でなかったことが、マクドナルドに対抗できなかった原因であると言われても仕方がないと思います。


ミクシィを校回復させた元社長による事業運営のポイント

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■2013年から2014年までの1年間、ミクシィの社長を務めて、同社の業績を校回復させた朝倉祐介氏の講演です。


ミクシィの事業再生のポイントが簡潔に語られています。

■ミクシィは、日本のSNSの草分けであり、トップ企業でした。ところが、ツイッターやフェイスブック、ラインなどの競合が現れたあたりから業績を落として、苦しんでいました。

そこで社長に就任した朝倉氏が再生を担当しました。1年で回復させたわけですから大したものです。

直接的には、モンストのヒットがあったわけですが、その裏側には相当の苦闘があったと思います。


■事業運営のポイントとして朝倉氏は

1.解くべき課題を間違えない。…つまり、大きくいえば戦略、あるいは目標の設定を間違えないということですね。ここを間違えれば、どんな努力も徒労に終わりますので。

ミクシィの場合、SNSサービスを再生させるのではなく、会社を再生させる(だから、SNSにこだわらずに儲かる事業を立ち上げる)ことだと設定したそうです。

2.人ではなく環境に働きかける。…当時のミクシィは過去の成功体験により保守的になっていたそうです。そんな人たちに理を説いても動かない。そこで、SNS事業を丸ごとアウトソーシングしてしまって、ほかのことをやらざるを得ない状況に追い込んだ、そうです。

これは、孫子のいう「よく士卒の耳目を愚にして、ゆくことなからしむ」(九地篇)の優れた応用例です。すばらしい。

3.大企業病を予防する。…普段から大企業病に陥らないように工夫しておく。一度、保守的になった組織を変えるのは、大変です。実際、朝倉氏は、校回復の功労者であるにも関わらず、1年で謎の退任に至りました。何があったのかは想像するしかありませんが、相当返り血を浴びたのでしょう。。。その苦労がしのばれる発言です。

■それにしても朝倉氏って、実に個性的です。

この人、最初は競馬の騎手になろうとしてオーストラリアに留学したものの背が伸びすぎたので諦め、北海道で競走馬の飼育に携わろうとするもののバイク事故でそれも断念。

大検をとってから受験し、東大法学部!に入学。在学中に起業。卒業後はマッキンゼーに入社。その後、起業した会社に戻り、そこがミクシィに買収されて、同社入社に至ります。

まだ若いのにどんだけ濃い経験をしてんだろう@_@

こういう人もいるんですね。


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