戦略がなければ生き残れない

NPOランチェスター関西支部長のブログ

かっぱ寿司の苦肉の企画は実を結ぶか

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■かっぱ寿司が食べ放題企画を始めました。平日の14時から17時の70分限定。男性1580円、女性1380円、65歳以上980円。


全国20店舗を選んで試験的に始めた企画がいまのところ大人気で、一部店舗では11時間待ちの状態になったとか!?

11時間待ち!閉店時間を超えるやん。と思いますが、店側によるとその日のうちには案内しますとのこと。現実的に考えると、長時間待ちといわれたら大方の人たちは諦めて帰るでしょうから、そこそこの時間で案内されるのでしょうね。

■しかしこの企画、そんなに魅力的だろうか。1580円といえば、15皿以上を食べないともとをとれないわけです。(一部の高価なメニューは枠外らしい)ターゲットは誰なのだろうか?

でも、これだけ人気を集めているとのことですから、一時的にも効果はあったということですね。

■回転寿司業界はほぼ飽和状態にあります。かっぱ寿司をはじめとする大手チェーンは、さらなる成長・業績維持のために、客単価を上げるか、客数を増やすかしなければならない。

そこで、最大手のスシローやくら寿司は、単価の高いメニューを増やして、客単価の向上をめざし、一応の成功を収めています。

両社とも、寿司にとらわれないサイドメニュー開発に力を入れて、SNSで話題になるような尖った新製品を投入しています。

いまや回転寿司屋にいって、ラーメンやカレーを食べるなんてことが普通になってきました。要するに、ファミリーレストラン化しているわけです。

この傾向はまだ続くでしょう。スシローやくら寿司は、サイドメニュー開発にまい進していくはずです。


■かっぱ寿司もファミリー需要を取り込もうというのは同じでしょうが、こちらは低価格を維持しながら、客数を増やそうとしました。

そのためレギュラー商品の質が劣化し、逆に客数を減らしたようです。戦略の失敗ですな。

そこで背中に火が付いたかっぱ寿司が起死回生の策として投入したのが今回の食べ放題企画でした。

■記事には「地獄」とありますが、確かに悪手であるように思います。

まず食べ放題企画が利益を圧迫してしまうこと。もともと人件費をぎりぎりまで切り詰めて運営している回転寿司チェーンでの食べ放題企画に経費削減の効果は小さいはずです。

だとすれば、粗利が少なくなるしかありません。

客数が増えたとしてもそれは食べ放題の顧客です。食べ放題を止めた時、どれだけの顧客が残るのかわかりません。

そもそも15皿以上を常に食べるグループは、同社のターゲット顧客なのだろうか?

■まあ、そういうことは分かった上での企画なんでしょう。それぐらい追い詰められていたということですね。

悪手であっても、話題になることは何でもやって、認知度を高め、客数を増やす。その間に新メニューの開発や、レギュラー品の改善を行って、満足度を高め常連客を作る。

こういうことなんでしょうね。

■私もたまにかっぱ寿司にはいきますが、確かに安い以外は魅力に乏しい…

安ければいいやという顧客狙いで失敗したのですから、品質を上げることが求められています。

食べ放題企画の人気もそれほど続かないと想像します。ここはさらなる企画を連発して飽きられないようにしつつ、レギュラー品の魅力を高めなければなりません。

あまり時間はないでしょうが。


小さな会社のM&Aが日本を救う?

M&A



(2017年6月15日メルマガより)


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■先日、このような記事を読みました。

参考:60過ぎたら、退職金で会社を買いなさい 500万円で優良企業の社長になる方法【前編】(現代オンライン)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51636

えらい時代になったもんですねー。

退職金で会社が買えるんですか??

■記事の内容は納得できます。

人生80年時代。会社を定年退職してもあと20年、どのように過ごせばいいのか。

大手企業にてそれなりの経験をした人は、中小企業の経営をすればいい。

いま後継者不足に悩む中小企業はごまんとあり、廃業するぐらいなら、誰かに任せようと思う会社も多くある。

そんな会社を買いとることで、「天下り」してしまえばいいのだ。。。

■でも、ほんまにそんな簡単に買えるものだろうか。会社が500万円?

と疑問に思って、大手M&A仲介会社の人に聞いてみると、あっさりと言われました。

「500万円どころか、0円もありますよ」

って、型遅れのガラケーか!

もっとも、0円には0円なりの理由があり、借金があるとか、市場縮小して売上が立たないとか、維持費がやたらかかるとか、続けるには困難があるようですが。

■まあ、それにしても、こういう記事がでるあたり、日本でもM&A(合併&買収)が一般化してきた証拠ではないでしょうか。

もともと日本企業はM&Aに消極的だったといわれています。

しかしこれだけ市場が成熟してくると、自前で企業を成長どころか維持させることも難しくなってきます。

なにしろ成熟期、衰退期は、業界内の勢力図はトップ数社に集約されていくもので、下位企業には生き残るチャンスさえ少ない。

現場でコツコツやっているだけでは、山崩れが起きていることに気づかずに、なすすべもなく終焉を迎えてしまうやも知れません。まさに「戦略がなければ生き残れない」です。

そんな中、戦略的になろうとすれば、成長や生き残りのためのM&Aを積極的にせざるを得ないわけです。

また、日本電産のようにM&Aをうまく活用して成功している企業が現実に出てきたことも我々のマインドを刺激しています。

ちなみに今年の初めには、こんな記事もありました。

参考:上場企業、純利益25%増 事業再編や合理化テコ(日本経済新聞 有料記事)
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO12960760V10C17A2DTA000/

これは昨年10月〜12月の状況について書いた記事ですが、その時期上場企業の純利益は25%増加したとのこと。

その要因として、事業再構築による利益率の向上とともに、M&Aをてこに業績を伸ばす企業が増えていることがあげられています

■ただ昨今の状況をみてみると、M&Aを活用しようという機運が、大手企業や外資系企業にとどまらず、中小企業にも広がっていることが感ぜられます。

そのひとつが、政府の動きです。

参考:廃業回避へM&A活用 中小企業庁、事業承継指針見直し 厳格ルールなお障壁(日本経済新聞 有料記事)
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO15874910Y7A420C1TCJ000/

これからも日本の産業が勢いを持ち続けるためには、一部の大手企業だけではなく、裾野となる中小企業の力が必要です。

ところが多くの中小企業がいま危機に瀕しています。その大きな理由の一つが後継者不足です。

「子供が会社を継がない」「従業員も経営者にはなりたがらない」そんな理由で、廃業せざるを得ない会社が多くあるというのです。

廃業。という選択は、社長にとっては個人的な決断かもしれませんが、地域社会にとっては雇用の機会を喪失することです。

さらには廃業する会社が多くなってしまうと、産業全体の弱体化を招きます。日本企業の強みである元請け、下請けを含めた集団の技術・生産体制が弱くなることを意味するのです。

そうなっては困るので、日本政府も、M&Aを積極活用して、事業継承がなされることを推奨している次第です。

■というわけで最初の記事に戻ります。

500万円で会社が買える。いや、0円でも買える。

まるで夢のようですが、実際には様々な障壁があります。

そもそも安い価格で買える会社というのは、運営が難しいはずです。

借金があるし、売上も落ちている。訳あり物件じゃないと、安い価格で譲り渡そうと思わないのではないか。と勘繰りたくなります。

いや、それどころか、表に出てこない問題があるやもしれません。隠れ債務というやつで、関係会社や子会社がえらい問題を抱えているかも知れません。←東芝がいま大変な目にあっている原因の一つが、買収した米国のウェスティングハウス社の隠れ債務の存在でしたから。

買ったとして経営者になっても、古参の従業員が素直に言うことを聞かないかも知れません。経営者として、戦略や管理は担当できても実行するのは社員ですから、サボタージュされたらお手上げです。

なんやかんやで問題山積ですよ。

■が、私たちコンサルタントや中小企業診断士は、こういう案件にはなれっこです。

言っちゃなんですが、債務超過(資産よりも借金の方が多い状態)で切羽詰まった会社が普通です。

問題点を探って、生き残りの方向性を見出し、その計画を金融機関に説明して返済計画を練り直す。その上で、生き残りのための営業戦略を実行する。

実行する上では「部外者が何を言ってやがる」と反発する従業員の方に心をつくして説明し、動いてもらう。

私たちが通常業務としてやっていることなんですよね。

債務超過だからもうだめだーなんて諦めていたら、それこそ倒産企業ばかりになってしまって、日本の産業は壊滅状態になりますよ。

だから会社を買おうという人は、そういうギリギリの会社でも何とかしなければならないと覚悟して臨まなければなりません。

たいていの会社は、生き残る道を見つけられるものです。

■もちろんコンサルタントとして関わるのと、自分で経営するのとではリスクも覚悟も違うでしょう。

ですからあくまでも自己責任で決断してください。念のため。

少なくとも買う決断をする前には、対象となる会社のことを十二分に調べる必要があります。

間違えてはいけませんよ。M&A仲介会社が保証してくれるわけではありません。隠れ債務が後から見つかったからといって、誰も責任をとってくれませんよ。

だから、仲介会社の情報を鵜呑みにしてはダメです。自分で調べなければなりません。

ですから調査には、しっかりした専門家チーム(公認会計士、弁護士、中小企業診断士など)を雇って、納得いくまで調べてください。

■買ったとしても、それで終わりではありません。それからが勝負です。

すなわち売上をあげて、維持しなければなりません。

大手企業の管理職までされた方なら、売上をあげる戦略を作り、目標管理を行うことはできないことではないでしょう。

できなければ専門家を雇えばいいのです。それも含めて、実行する経験はあると想像します。

事前調査するにしろ、その後の成長戦略を立てるにしろ、そういう時のために私たち専門家がいるわけですから、どしどし利用をしてくださいね。

■思うに、経営者にも、得意、不得意があります。

事業の立ち上げが得意な人。

事業の維持が得意な人。

自ら先頭に立って陣頭指揮するのが得意な人。

自らは表に出ずに人を動かすのが得意な人。

もし大手企業を退職した人が、事業の維持が得意な管理者タイプなら、一から起業する苦労は大変なストレスになることでしょう。

そういう人が経営者になろうとする場合は、迷わずM&Aを検討すべきです。

■逆から見ると、売る側にも選択肢が広がったといえます。

引退の時期が近付いたと感じる経営者にとって、後継者がいなければ、誰かに売るというのも一つの方法に違いありません。

従業員に暇を出して廃業するよりも、誰かに譲って、いくばくかの売却金をもらう方が合理的です。

いや、なにも引退の時期でなくても構いません。

起業してそれなりの会社組織を育て上げたら、そこで売却して、自分は次の会社を立ち上げればいいのです。

上でも言ったように、事業の立ち上げが得意な人もいます。そういう人は、何度も立ち上げればいい。欧米では、こういう人のことをシリアル・アントレプレナーというそうですよ。

欧米ではM&Aマーケットがしっかり存在するので、起業して数年の会社を売却することも可能です。そこで儲けたお金を使って新たな会社を立ち上げることを繰り返す人のことをシリアル・アントレプレナーというわけです。

日本でも、小さな会社のM&A市場が一般化すれば、それも可能になるはず。今後、そうなっていくと期待します。

■私は、定期的に創業塾の講師を担当していますので、毎年、新たな起業家や起業予備軍と出会います。

そういう方の中には、根っからの起業家という方もおられます。

または、自分で起業するよりも、どこかの会社の経営者になった方がいいんじゃないかと思える人もおられます。

人によって起業の形も経営への関わり方も様々です。

そういう方たちにとっても、小さな会社のM&A市場があれば、救われることも多いはずです。

■ただそのためには、日本でも小さな会社のM&A市場がもっとしっかりと立ち上がらなければなりません。

残念ながら今のところ、日本のM&A市場はそれなりの規模の企業を対象にしています。仲介手数料も、数千万円単位が必要です。

500万円とか0円で売りに出される企業に、手数料が数千万円って、非現実的ですよ。

もしかしたら、小さなM&A案件に対応する仲介会社もあるのかも知れませんが、まだ一般的とはいえないでしょう。

一般人でも気軽に関われるような数百万円のM&A市場が本格的に立ち上がる時、日本の社会や産業全体は変わっていくはずです。

必ずそういう時代は来ると思いますし、来なければなりません。

それに、これって、けっこう大きなビジネスチャンスになるでしょうね。

あの光通信がストック型ビジネスにシフト?!

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■久しぶりに光通信の記事を読みました。


ある意味懐かしい。ITバブル絶頂期には創業者の重田氏は時代の寵児といわれました。最年少上場企業社長にして「光速で稼ぐ男」と囃されましたっけ。

ただ失墜も劇的で、当時の主要ビジネスであった携帯電話販売店が、架空取引で売上の水増しをしていたことが発覚し、株価が急激に下がり、ITバブル崩壊の理由の一つとなりました。

■もっとも光通信は生きていました。どころか好調です。売上高こそ伸びていませんが、営業利益は昨年比10%以上の向上。今期も続伸の予想です。

当時主力だった携帯電話販売店に加えて、オフィス機器販売(コピー機等)事業を育て上げ、さらには、自社光サービス、MVNOなどを手掛けています。

■事業展開への考え方として「ストック型ビジネス」を重視していることが特徴的です。販売時にしか売上がたたないフロー型ビジネスよりも、販売した後に定額売上が見込めるストック型ビジネスは、安定的です。

販売時に大きな売上は見込めませんが、顧客を増やせば増やすだけ定期収入がストックされていくので、成熟期にも業績を急落させることがありません。光通信のような強い営業力を持つ会社がストック型ビジネスに取り組めば、それは威力があるでしょうな。

このあたり、ITバブル崩壊の悪夢を経験した光通信ならではの危機感と経営哲学があるのでしょうね。売上高よりも利益を重視する経営に見事にシフトしているということでした。

■僭越ながら私もストック型ビジネスを重視しておりまして。一発勝負のようなビジネスではなく、蓄積型のビジネスを心がけるようにしています。

創業時、収入がほしい時には狩猟的なことをやっていたのですが、ある時期からストック型に切り替えないとしんどいということに気づき、苦しいながらも続けてきました。

少なくても定期収入があれば、気持ちに余裕ができて、相当楽になりますからね。いろいろ戦略を練ることができるようになります。

まあ私なんぞ小さなビジネスですが、それなりのスケールでやっている光通信は立派です。

■創業者の重田氏は表舞台からは退き、現在は他の方が経営しています。

このあたりも重田氏の後継者育成手腕が確かであったということですね。

やはり若い頃に天才経営者と謳われた実力は大したもんです。


ドムドム・バーガー興亡記

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■ハンバーガーチェーンのドムドムに関する記事です。珍しい。


ダイエー系列で一時期は店舗数もそれなりに多かったハンバーガーチェーンです。

ダイエーの凋落とともに終焉を迎えた(実際は細々と続けていたのですが…)悲運のハンバーガーチェーンの経緯が興味深く読めました。

■記事によると、ドムドムは日本初のハンバーガーチェーンだとか。

当初はマクドナルドを日本で始めたかったダイエー創業者の中内功氏ですが、「銀座のユダヤ小人」と異名をとる藤田田氏に日本展開の権利をとられてしまいます。

激怒した中内氏は、マクドナルドより先に、ドムドムを立ち上げます。ダイエー店舗内で展開するためのものですが、マクドナルド憎しという気持ちも相当強かったらしい。

■米国におけるマクドナルドは、庶民のためのチェーンなのでダイエー内で展開する方がイメージにあっていたでしょう。

しかし、藤田氏は日本流を貫きます。「文明流水理論」とかで、文明は高いところから低いところに流れるという説のもと、銀座の一等地にマクドナルド一号店を構えます。

藤田氏の売り方は、低所得者層のためのチェーンではなく、ハンバーガーという新しい文化を日本に広めるというものでした。

藤田氏の方法によって、日本に馴染みのないハンバーガーという食べ物が新しくお洒落なものとして広がっていきます。その規格外の成功は、レイ・クロックでさえ予想できなかったものだったようです。

■割を食ったのはドムドムで、イメージとしてもマクドナルドの後塵を拝することになります。

全盛期にやっていたのは、マクドナルドと同じが少し安い価格設定をした上で、マクドナルドにない商品をちょこちょこ開発するという現場対応レベルの施策です。

ただダイエーに勢いがあったので、店舗数も増やせて、それなりの利益は出せていたようです。

■もっともマクドナルド憎しの思いが消えない中内氏は、対抗策としてウェンディーズとのフランチャイズ契約を獲得します。

今度はマクドナルドよりも斬新なハンバーガーチェーンで売り出したかったのでしょうが、時期が悪かった。

マクドナルドと同じように銀座の一等地に店を構えるも、バブル経済のあおりで地価の負担が大きく、利益を出すには至らなかったようです。

■その後、ダイエーの凋落、中内氏の失脚とともに、ドムドムもウェンディーズの展開も終焉を迎えます。

現在はどちらも他資本で復活を目指していますが、市場全体が成熟した今から店舗数を増やすことは難しいでしょう。

■様々な要因があったとはいえ、やはり、日本にない新しいものを展開させるための藤田氏の考え方と手腕が光ります。

その後、スターバックスが日本に展開する時も同じ方法論を踏襲していますから、応用のきくやり方であることがわかりますね。

その陰にあって割を食ったドムドムやウェンディーズですが、陰は陰なりの戦略がなかったのも事実です。

バブル崩壊後、ハンバーガーチェーンどころではなくなったということもあるでしょうが、任せられる人が育っていなかったこと、中内氏自身が弱者の戦略を考えながら展開できる人でなかったことが、マクドナルドに対抗できなかった原因であると言われても仕方がないと思います。


ミクシィを校回復させた元社長による事業運営のポイント

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■2013年から2014年までの1年間、ミクシィの社長を務めて、同社の業績を校回復させた朝倉祐介氏の講演です。


ミクシィの事業再生のポイントが簡潔に語られています。

■ミクシィは、日本のSNSの草分けであり、トップ企業でした。ところが、ツイッターやフェイスブック、ラインなどの競合が現れたあたりから業績を落として、苦しんでいました。

そこで社長に就任した朝倉氏が再生を担当しました。1年で回復させたわけですから大したものです。

直接的には、モンストのヒットがあったわけですが、その裏側には相当の苦闘があったと思います。


■事業運営のポイントとして朝倉氏は

1.解くべき課題を間違えない。…つまり、大きくいえば戦略、あるいは目標の設定を間違えないということですね。ここを間違えれば、どんな努力も徒労に終わりますので。

ミクシィの場合、SNSサービスを再生させるのではなく、会社を再生させる(だから、SNSにこだわらずに儲かる事業を立ち上げる)ことだと設定したそうです。

2.人ではなく環境に働きかける。…当時のミクシィは過去の成功体験により保守的になっていたそうです。そんな人たちに理を説いても動かない。そこで、SNS事業を丸ごとアウトソーシングしてしまって、ほかのことをやらざるを得ない状況に追い込んだ、そうです。

これは、孫子のいう「よく士卒の耳目を愚にして、ゆくことなからしむ」(九地篇)の優れた応用例です。すばらしい。

3.大企業病を予防する。…普段から大企業病に陥らないように工夫しておく。一度、保守的になった組織を変えるのは、大変です。実際、朝倉氏は、校回復の功労者であるにも関わらず、1年で謎の退任に至りました。何があったのかは想像するしかありませんが、相当返り血を浴びたのでしょう。。。その苦労がしのばれる発言です。

■それにしても朝倉氏って、実に個性的です。

この人、最初は競馬の騎手になろうとしてオーストラリアに留学したものの背が伸びすぎたので諦め、北海道で競走馬の飼育に携わろうとするもののバイク事故でそれも断念。

大検をとってから受験し、東大法学部!に入学。在学中に起業。卒業後はマッキンゼーに入社。その後、起業した会社に戻り、そこがミクシィに買収されて、同社入社に至ります。

まだ若いのにどんだけ濃い経験をしてんだろう@_@

こういう人もいるんですね。


AbemaTVは年間200億円の赤字から脱却できるのか?

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(2017年6月1日メルマガより)


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■先日(5月7日)、インターネットTVが「亀田興毅に勝ったら1000万」という企画を放送したのをご存じでしょうか。

亀田興毅とは、2年前に引退したプロボクサーです。ただのボクサーではありません。3兄弟全員が世界チャンピオンになったボクシングエリート一家の長男であり、自身はライトフライ級、フライ級、バンタム級の3階級制覇を成し遂げた人です。

その亀田興毅にボクシングで勝ったら1000万円の賞金が手に入るというなんとも無茶な企画です。

挑戦できるのは素人のみ。喧嘩自慢のヤンキーやホストやユーチューバーといった人たちが、挑戦者に選ばれました。

■まあ、結果は見えています。いくら引退したからといって、世界チャンピオンにまでなった人が喧嘩自慢の素人に負けるはずがありません。

試合前は挑戦者が不良ぶりを思いっきり発揮して煽りに煽っていましたが、試合になると亀田興毅のボディ1発でKO...と思いきや、とんでもないことが起こりました。

なんと試合が始まった瞬間に、サーバーがダウンして中継がストップしてしまったのです。

ツイッターには「亀田興毅がサーバーをKO!」というツイートが溢れましたとさ。

(この日、亀田興毅は4人と戦ったのですが、もちろん全勝。最後の一人は疲れてKOできませんでしたが...)

■この番組を企画放送したのが、サイバーエージェントとテレビ朝日が共同運営するAbemaTVです。

昨年から放送を開始し、週400万アクセスを集めるメディアでしたが、この日だけで1300万アクセスがあったのだとか。

想定外のアクセス数だったのでしょうね。しばらくは、停止した画面を眺めながら茫然としていたものですが、そのうちユーチューブでも放送していることを知り、そちらで視聴いたしました。

それにしてもこの番組。日曜日の18時から始まって、試合開始が20時頃。全部終わるのが、23時ですよ。

なんとも贅沢な時間の使い方です。今どき正規の世界タイトルマッチでも1時間枠でしか放映されないというのに、素人参加企画に5時間かけて、しかもサーバーダウンするほど注目を集めたのだから大したものです。

亀田興毅の知名度恐るべきというべきか、企画力の勝利というべきか。

■ちなみにこのAbemaTV、視聴は無料です。パソコンでも観ることができますし、スマホに専用アプリをダウンロードして観ることもできます。

常時、様々な番組を配信しており、ニュース、バラエティ、音楽、アニメ、ドラマ、ゴルフ、釣り、サッカー、格闘技、将棋、麻雀などのチャンネルがあります。CS放送のコンセプトに似ていますかね。

無料なので、収益は広告配信でまかなうモデルです。だから週400万アクセスでは赤字です。

黒字化の目安は、週1000万アクセス。つまり、毎週、亀田興毅企画クラスを放送しなければスポンサーが十分につかないということです。

それがかなわない現状、サイバーエージェント側は年間200億円の赤字を見込んでいると言われています。

■要するにAbemaTVは、スマホで観るテレビというコンセプトなんですね。

立ち上げの背景には、地上波テレビの衰退があります。

スマホに接することが生活の一部になった今日、テレビを見る時間が減り、相対的にスマホでできるゲームやラインに費やす時間が増えています。

特に若者のテレビ離れは顕著です。

テレビを見ているのは中高年層ばかり、ということになれば、テレビに広告を出稿するスポンサーが減るのも自然な流れです。

スマホゲームを提供するサイバーエージェントとテレビ朝日が、地上波テレビから離れようとしている層を何とか取り込もうとして立ち上げたのがAbemaTVだというわけです。

■今のところ番組はテレビやその他のメディアの焼き直しです。

仕方ないですね。いきなり独自性を出せと言われても難しい。今は実験段階でしょう。CS放送や他の動画配信サービスで人気のコンテンツに似たものを集めています。

ただし今の自主規制だらけの面白くない地上波テレビではなく、一昔前のなんでもありのテレビ番組を志向しているように思えます

そういえば「亀田興毅に勝ったら1000万」企画も、ガチンコファイトクラブ(テレビ朝日系)そっくりのテイストでしたしね。

ここは「矢追純一のUFO」とか「川口浩探検隊」とか「たけしのウルトラクイズ」とか、モニタリングみたいに生ぬるくない「ドッキリカメラ」とか、復活させてほしいものですな。

■これに対して、テレビの映画枠、ドラマ枠を取り込もうというのが、ネットフリックスなどの動画配信メディアです。

ネットフリックスやアマゾンプライムビデオ、huluなどは月額課金のビジネスモデルです。

月1000円弱の会費を払えば、多くの映画やドラマが見放題という分かりやすさです。

映画配信に関しては、これらのサービスには敵わないでしょう。AbemaTVとは別ジャンルと考えた方がよさそうです。

■一方、AbemaTVと比較されることが多いのは、2006年からドワンゴがサービスを提供しているニコニコです。

老舗だけに、早くからテレビに飽き足りないと考えていた層を多く取り込んできました。

ビジネスモデルは、月額課金と広告モデルの二本立て。今は、課金の方が大きいようですが。

ニコニコの特徴は双方向性です。生放送の画面にコメントを書き込める機能が人気です。場合によっては、タレントがコメントに反応する即時性があります。

動画を配信するタレントも、地上波テレビには出てこないような芸人やアングラな文化人など。

ニッチな分野を得意とするタレントとコアなファンが双方向で濃いコミュニティを形成する場を提供するのが、ニコニコのビジネスです。

個人的には、ニコニコには近寄りがたい雰囲気を感じます。ユーザーがコア過ぎるんですよね。安易に近づくと火傷しそうな気がします。

逆にいうとそれだけ結束の固いコミュニティが形成されているということですし、AbemaTVが狙う顧客層とはずれているといえるでしょう。

■ニコニコは2006年末にサービスの提供を開始して、黒字化したのは2010年だといわれています。

約3年。その間に蓄積した放送インフラ関連のノウハウが参入障壁となっています。

そうなんですね。要するに、動画配信サービスは、装置産業です。黒字化するまでの投資はそれなりにかかりますが、一度黒字化すれば儲かるビジネスです。

AbemaTVも同じです。亀田興毅企画でサーバーダウンしたことも、ノウハウとして蓄積されているはずです。

何年後かにAbemaTVが黒字化した折、他社が追随しようとしても、その期間のノウハウの蓄積が大きな参入障壁となっているでしょう

年200億円の赤字にもサイバーエージェントの藤田社長が強気なのは、ユーザーの視聴習慣もインフラへの投資も蓄積だという考えがあるからでしょう。

■結論をいうと、私は、AbemaTVの黒字化は達成できるだろうと考えています。

コンテンツがテレビ番組の焼き直しだなんて安易すぎるという意見もありますが、ニコニコやユーチューブほど素人っぽくないコンテンツはむしろ魅力です。

CS放送なみに趣味に特化したチャンネルが無料視聴できるというのは、ファンにとっては有難いことですよ。

AbemaTVそのものの知名度が上げるためのイベント企画を定期的に打ちながら、レギュラー番組の質を上げていけば、週1000万アクセスは達成できるでしょう。

なにしろ視聴習慣は蓄積ですから、藤田社長が腰を引かない限り、達成できないはずがありません。

さてもう一つの動画配信サービスであるユーチューブについても触れておきます。

世界最大の動画配信メディアにして、既に儲かるビジネスになっているユーチューブです。

今やユーチューバーなる存在まで生み出しており、彼らはインフルエンサー(その他の消費者への影響が大きい人)としてスポンサー企業の広告費用の行先になっています。

数年前までは素人動画があだ花のように持て囃されているだけなんて思うふしもありましたが、今は相当洗練されてきています。

それに、地上波テレビができないしやらないことも素人の強さでやってしまっています。

(縁日のくじびきに大当たりはあるのか?なんて言いながら数十万円使ってくじ引きをしまくる動画がありました。テキヤの怖いおじさんが出てきたりして面白かったなあ)

なにしろ中学生の間では、テレビタレントよりもユーチューバーの人気が高いぐらいです。

そんな売れっ子ユーチューバーを企業が放っておくはずがありません。超売れっ子になると、億を超える収入があるといいますから。

ユーチューブには視聴回数に応じて広告費が配分される仕組みがありますが、それは大した収入にはなりません。実際にはスポンサー企業からの収入がないとプロにはなれないでしょう。

だから、超売れっ子は別枠として、普通のユーチューバーは、専門家、ニッチ化していって、コアなファンをつかもうとしています。

ニコニコと同じような動きに思えますが、ユーチューバーの場合は広告スポンサーを意識せざるを得ないので、選ぶ分野も趣味的なものではありません。

メイクの専門家←化粧品会社がスポンサー

旅行の専門家←旅行会社がスポンサー

手作り弁当の専門家←食品会社がスポンサー

株主優待の専門家←証券会社がスポンサー

なんて感じですか。

メダカ育成の専門家がいてもいいですが、まさかペットショップがスポンサーにはならないでしょうね。だからそれはあくまで趣味としてのユーチューブ投稿です。

プロとしてのユーチューバーは、スポンサーがつく分野を見極めながら、しかし太鼓持ちにならないようなタレント性を持たなければなりません。それができる人がプロとして成立するということなんでしょう。

■というわけで、地上波テレビの衰退という地殻変動から始まった新しいビジネスの争奪戦は、三者三様です。

AbemaTVは、スマホで観るテレビというコンセプトで、スマホに移行した若い世代を取り込み、スポンサー企業を獲得しようとしています。

ニコニコは、もともとテレビに飽き足りないコアなファンを中心に強固なコミュニティを作り、ファンからの課金でビジネスを回しています。

ユーチューバーは、インフルエンサーを必要とする企業スポンサーを獲得すべく専門特化しようとしています。

企業側とすれば、専門特化したユーチューバーは確かに有難い存在なのでしょうが、使い途が限られてきます。

これに比べて「若者に人気のAbemaTV」なんて冠があれば、とりあえず広告費を割くことができますから、それはそれで便利でしょうね。

大成功するかどうかはわかりませんが、そこそこやるんじゃないかと思う次第です。

参考:亀田興毅企画ヒットさせたAbemaTVの豪胆 ネット放送局が地上波テレビに勝る武器
http://toyokeizai.net/articles/-/170875

参考:「200億円の赤字」でもAbemaTVから撤退しない理由と決意を、藤田晋社長が明かす
http://www.sbbit.jp/article/cont1/33607

参考:AbemaTVはニコニコといかに差別化するか? 将棋チャンネルから見るそれぞれの戦略
https://www.buzzfeed.com/jp/harunayamazaki/abematv-niconico?utm_term=.hyMXAEGwR#.uvKYE1Dx2

参考:YouTubeの「売れっ子」に大企業が群がる理由 若者への「狭いけど深い影響力」に期待集まる
http://toyokeizai.net/articles/-/166847

小さな旅行会社は成長戦略をつくりにくい…

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■旅行会社がいかに厳しいかを書いた記事です。お勤めの方は大変です。お身体にお気を付けください。

ただ厳しいのも自明です。記事には下記のようにあります。

「旅行会社は代理店業。高額な旅行代金をお客様から預かるのが仕事ですが、そのほとんどがホテルや航空会社の取り分なので、旅行会社に入る利益はほんの数千円なんです。当然、社員に満足な給料が払えるわけもありません。てるみくらぶのように新聞広告をデカデカと掲載していたら、コストオーバーするのは目に見えています」

要するに旅行会社は仲介業です。交通機関や宿泊施設から仕入れたサービスを旅行というパッケージにして売っているわけですが、そのパッケージ作成費がマージンとなるわけです。

が、パックツアーが定型化した現在、企画力にそうそう付加価値を乗せられるわけではありません。

結局、そのしわ寄せがいくのは、人件費ということになるのですね。

■参入しやすい事業のようにも思えますが、差別化がしにくい商品ですから、結局は薄利多売に耐えうる体力のある大手が絶対有利です。

小さな旅行会社は、さらに厳しい状態になり、社員にしわ寄せをせざるを得ないということになります。

格安旅行が世の中になかった頃はともかく、これだけ競合が増えると、小さな旅行会社が浮上する道筋は見つけにくいですね。

ニッチで珍しい企画旅行を作って、細々とやっていくぐらいしか思いつきません。

こういう事例をみると、邱永漢氏の言った「儲ける秘訣は、儲かる事業を選ぶこと」という言葉を思い出します。

 


「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語

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デリバリーピザは再び成長産業になるのか

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■宅配ピザ業界のことが書かれており、興味深い記事でした。

日本KFC(ケンタッキー・フライド・チキン)が、ピザハットを売却するとか。今年、フランチャイズ契約の更新にあたり、契約料、更新料が跳ね上がるかららしい。

現在、ピザハットは日本で370店舗です。

■ちなみに日本における宅配ピザは、ピザーラ、ドミノピザ、ピザハットの3社が大手です。

最大手のピザーラでも、店舗数は547店、売上高は370億円程度です。

ここ数年、売上の減少が続いており、飽和状態かな…と思われていた折り、米国KFC本社が契約料を上げようとするのですから、それはたまりませんな。手放すのも仕方ありません。

■が、米国本部とすれば、370店舗程度で飽和状態といっているのが生ぬるいと感じているようです。

なにしろピザハットは世界で約15000店舗を展開しています。日本は2.4%程度。世界第3位の経済大国がこの割合では怠慢していると言いたくもなるでしょう。

■もっとも、日本でデリバリーピザが伸びないのは、価格が高いことが大きな要因です。

ピザって1枚2000円近くしますが、小麦粉とチーズの塊だから原価200円もしないはずです。

価格が高い理由の殆どが人件費です。注文のあるなしに関わらずドライバーを待機させておかなければならないですからね。

これに対して、世界のデリバリーピザは総じて安い。アメリカなど日本の半分以下です。(確かそうだと…出展さがしたけど見つからず><)

つまり価格を安くすればもっと売れる。かもしれません。

■ドミノピザがここにきて店舗数を増やしているのは、低価格政策がうまくいっているからだということです。

価格を下げれば、今まで出店できなかった地域にも需要をつかむことができたので、市場規模は拡大することになりました。

しかし他のピザチェーンはなぜ追随しないのか?

低価格化、低粗利化を吸収するビジネスモデルが作れないということなんでしょう。要するに人件費をカバーするモデルなのかオペレーションが作れていない。

ドミノピザはいち早く作ったということなんでしょうね。中身までは調べていないのでわかりませんが。

が、一社が低価格モデルを実現すれば、他のチェーンもいずれ追随するのは目に見えています。

今回の業界再編を機に、成長産業になるかも知れません。

 


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大阪・堺の超優良企業シマノは、これからも盤石なのか?

シマノ

(2017年5月18日メルマガより)


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■売上高3300億円。営業利益660億円(営業利益率20%!)。無借金経営の超優良メーカーが、大阪・堺にあることをご存知ですか?

高級自転車の部品分野で世界トップのシェアを誇り、「自転車界のインテル」の異名をとる株式会社シマノのことです。

参考:自転車界のインテル、「シマノ」高収益の秘密(東洋経済オンライン)
http://toyokeizai.net/articles/-/162292

株式時価総額は、なんと1兆6200億円(3月10日時点)三菱重工業やイオンよりも高くなっています。

■シマノの強さはなんといっても、自転車部品における存在感です。

記事によると、スポーツ自転車向け部品で85%のシェア。

世界最大の自転車レース「ツール・ド・フランス」2016年でも参加22チーム中17チームがシマノの部品を採用したといいます。

レース用だけではありません。欧米では、変速機付き自転車のほとんどにシマノの部品が使われているといわれています。

「自転車界のインテル」とはよくいったものです。

ちなみに、インテルとは、パソコンのCPU:中央処理装置の主要メーカーです。インテル製のCPUが入っていることが売れるパソコンの条件となっていた時期がありました。

もっともスマホ時代になって、インテルの存在感が薄れている今日、インテルの方が「パソコン界のシマノ」と言われるようになるかも知れませんな。

■シマノは、1921年、大阪堺で創業した島野鉄工所を基にしています。その頃は普通の町工場です。

創業当初から自転車部品の製造に注力し、その分野での存在感を高めていきました。

シマノの自転車部品が重宝されたのは、安いのに品質が高かったからです。

安くていいもの。というヒット商品の永遠の条件を実現することができたのは、同社が得意とする精密冷間鍛造という技術があったからでした。

普通、鍛造といえば金属を熱してから加工するものです。が、冷間鍛造は、常温のまま圧力をかけて加工します。その分、工程や切り屑が少なくて済むので正確で低コストです。

他の自転車部品メーカーより優れていたのはこの点でした。

■もっとも私は冷間鍛造というものに詳しくありません。

製造業の方に聞いてみたら「むちゃくちゃすごい技術ではないが、習得しようと思えば10年はかかる」と評価していました。

要するに、経験則が生きるローテクの分野で経験を積み上げているのがシマノの強みであるということです。

ちなみにその製造業の方は「今さらシマノの技術に追い付こうとするよりも、自分の技術で戦った方がいいと、皆が考えているのではないか」と仰っていました。

そりゃそうですね。今さら自転車部品の分野に切り込んでいってシマノ勝てるイメージがある会社は少ないでしょう。

シマノが競合もなく、ダントツのトップ企業でいられる理由の一つがここにあります。

つまり、シマノが優位性は、まさに自転車部品という分野に一点集中したという「戦略」にあったわけです。

■当時から冷間鍛造の技術を持つ工場は、ほかにもあったはずです。

いってもローテクですからね。

ただし、その技術を便利な下請け会社として使われるか、あるいは尖った特殊技術として選ばれるのかは、その会社の「戦略」によるものです。

当時のシマノの経営陣が優れていたのは、自転車部品分野という範囲に限ると、冷間鍛造の技術は、選ばれる要因になると判断したことでしょう。

様々な産業の下請けとして過ごしていく道もあったでしょうが、そうしなかった戦略をとったことが、今日のシマノを作ったということです。

日本の自転車部品製造で力を蓄えたシマノは1965年にはアメリカに販売会社を設立しています。

早くも日本の自転車需要の減退を予測したからです。

ここからのシマノの行動は、実にランチェスター戦略的です。

すなわち、キャラバン隊を組んで、3年に渡って、アメリカの自転車販売店を調査して回ったのです。

この全数訪問調査というのは、ランチェスター戦略の特徴の一つであり、この戦略が非常に高い確率で成果を上げることができる根拠となっています。

シマノの米国での成功は、このローラー調査にあったと私は考えます。

果たして、シマノの調査部隊は、ここから「マウンテンバイクのブームが来る」という結論を出して、その部品の量産体制をいち早く整えます。

ライバル会社が、そのブームを予見できずに出遅れたのと対照的に、シマノが飛躍するきっかけとなりました。

■その後の展開も見事です。

1972年には欧州に販売会社を設立。

部品を「コンポーネント」としてセットした上で商品化する手法を開発、これが安くて性能が高いので、ヨーロッパの自転車メーカーに軒並み採用されます。

それどころか「シマノの部品を使っていないと自転車が売れない」というまさにインテル状態になっていきます。

これも自転車好きな人に聞きますと「ヨーロッパの部品メーカーもあるにはあるが、やたら高い」そうです。

特殊なこだわりがない限り、安くて性能のいいシマノ製を採用した自転車の方を買う方が合理的ですよね。

シマノが圧倒的な市場シェアを持つに至った所以です。

ちなみにシマノの売上の約9割が海外からのものです。

■まさに盤石ともいえるシマノなのですが、今後も成長していけるのでしょうか。

株価が好調なのは喜ばしい限りですね。

ただこれは、今年のヨーロッパの需要回復を見込んでのことであり、中長期的な展望ではないと思われます。

常識的に考えれば、ヨーロッパ市場の需要が劇的に伸びることは難しいでしょう。

では成長する中国やアジアでの販売はどうなのか。

ところが、こちらは地場メーカーの乱暴な販売方法(どかーんと作って安売りする)に苦戦しているようですな。

が、そんなことは想定内のはず。

かつてアメリカ市場を開拓したバイタリティはどこへ行ったのでしょうか?

中国市場で成功しているこういう会社もあるのですから↓

参考:中国巨大市場でシェア4割! “自転車”産業で成功した日系企業、その驚くべき「先行戦略」(現代ビジネス)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49077

そう思うと、シマノの予定調和的は動きは、少々寂しく感じます。

そういう意味でも、私の感想としては、シマノの将来は決して華々しいものではないと思えます。

■なおシマノの売上高の80%が自転車分野。20%が釣り具他となっています。

そうなんですね。シマノのもう一つの課題が、自転車分野以外で柱となる事業を育て切れていないところです。

ゴルフ用品を手掛けたり、スノーボードをやったりしましたが、いずれも撤退しています。

自転車が成熟していく中、次の柱を育てることは急務のはずです。

こちらもいい傾向が見えないグズグズした動きに思えますね。

日本電産とか富士フィルムのように、とまではいいませんが、このあたりで潤沢な内部留保を使う方向性を示してほしいものです

■いずれにしろ、シマノは、私にとって地元大阪・堺の超優良企業ですから、これからも頑張っていただきたいと考えています。

私が押しかけてシマノの戦略方向性を考えたいぐらいですよ。

もう一段ギアを上げて、超々優良なグローバル企業になっていってもらいたいと思っております。


 


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大阪ミナミはもっと観光地にできる

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■私の今の事務所は心斎橋にありますが、心斎橋商店街は外国人観光客で埋め尽くされています。


一駅南の難波はさらに観光客でいっぱいの状況なんだなーと想像できます。

■確かに関空から1本の電車で行くことができて、道頓堀と黒門市場を持つ難波エリアは、ほとんどテーマパークみたいな感じですよね。

自然発生的なテーマパークです。

やりようによってはまだまだ発展するのではないかと思います。

■難波を観光都市としてみた場合、中途半端感がぬぐえません。

道頓堀あたりは観光地らしさがあるものの、すこし筋を入れば、観光客に優しいとはいいがたい。

心斎橋商店街も、ドラッグストアやアパレル店など観光客が喜ぶ店が増えてきましたが、まだ日本人狙いなのかどうかはっきりしません。

ここは沖縄の国際通りを参考にして、思いっきり観光地仕様の店舗を増やしてほしい、

■道頓堀ドン・キホーテの観覧車はまだ生きているのかな?

あれだけでは寂しいので、遊園地のような施設をもっと増やしてほしい。

以前、絶叫マシーンみたいなやつが御堂筋沿いにあったはず。あれの復活を望みます。

■黒門市場も中途半端ですよね。

もっと拡張して品ぞろえを増やすこと、および鮮魚を買えばその場で調理できるような施設にできないだろうか。

こちらも沖縄の公設市場を参考にしてください。

■飲食店は気軽に外国人が入れるようになっているのでしょうか。

これは難波から心斎橋エリア全体で、外国人受け入れに取り組んでいくべきです。

専用の大きなバルとかあってもいいですが、あるのかな。

■ついでにビーチがほしい。

沖縄の国際通りに欠けているのはビーチです。あれだけ海がきれいなところなのに、海と商業施設が遠い。そこがハワイとの違いだと認識する次第です。

だから大阪にビーチを、なんていうと無茶ですが、以前堺屋太一氏が道頓堀川全体をプールにする構想を披露していたような。

プールにするか、あるいは軽い水遊びができるようにするかは別として、大阪の運河を観光客用にリニューアルすることは可能ではないでしょうか。

■勝手なことを言っておりますが、最近、大阪ミナミの可能性をひしひしと感じる今日この頃ですから、ここはさらに発展してほしいと願っています。


介護事業は国がオーナーのフランチャイズビジネスのようなもの

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■大手家電メーカーがこぞって介護事業の拡大を目指すという記事です。


高齢化社会という社会トレンドは、どのビジネスともからめることができますから、上場企業としては、狙わざるを得ないわけですが。

■それにしても、パナソニックの社長はこんなことを言っているそうです。

介護事業は入居者さえ集まれば収益予測が容易だ。介護保険制度の下で運営しているため、両社の他事業と比較すると収益管理もしやすい。「国がオーナーのフランチャイズビジネスのようなもの。大きく利益が出るわけではないが、失敗しようのないビジネス」(和久社長)という。

■この発言を、既存の介護事業者はよく聞いておかなければなりませんよ。

ちょっと介護報酬が改定されれば赤字になる事業者が多くいるはずです。

介護のプロだとか現場を知っているだとか、その程度で維持できる業界ではなくなっていることを知っておかなければなりません。

まさに戦略がなければ生き残れない。ということで。

 


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知られざる成長産業 コインランドリー業界はどうなっているのか?

コインランドリー


(2017年5月4日メルマガより)


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■コインランドリーが増えているそうですよ。

2015年時点で1万8000店舗。

新規出店数だけをみると、コンビニを超える勢いで増えています。

知らないうちに、世の中はいろいろな動きをするものなんですねー

■それにしても、なぜ今、コインランドリーが増えているのでしょうか。

私の古いイメージでは、コインランドリーなんてのは、銭湯の隣にある狭くて暗いじめじめした場所です。

風呂も洗濯場もない神田川沿いのアパートに住む独身男が、仕方なしに使うものだと思っておりました。

ところが住宅事情が変わった今は、そのようなアパートは激減しているはず。

部屋に風呂と洗濯機置き場ぐらいはあるでしょうし、洗濯機も高性能化していますから、わざわざクリーニング屋を利用することも減っていると思っておりました。

実際、一世帯がクリーニングに使用する金額は年々減少しています。

それなのに、コインランドリーが増えているのはなぜなのか?

■私は、コインランドリーを使うという習慣がないので、イメージが古くてダメですな。

実は、今のコインランドリーは、明るくて清潔な場所になっているそうです。

参考:"進化系コインランドリー"が増殖中、「メインユーザーは主婦」のワケ
http://trendy.nikkeibp.co.jp/atcl/pickup/15/1008498/120700081/?rt=nocnt

記事によると、今は、洗濯機を持つ家庭の主婦がコインランドリーのメインユーザーだとか。

共働きで、時間がない家庭が、大量に洗濯したい場合。

あるいは、家庭用洗濯機で洗えないような布団やカーテンなどを洗濯したい場合。

などに、コインランドリーを利用するようです。

それに合わせて、コインランドリー内の洗濯機、乾燥機などは、大型化、強力化、高機能化していっています。

またメインユーザーが女性になったのだから、店内の雰囲気も変えざるを得ません。

清潔で明るい店内は当たり前。

キッズスペースが併設されていたり、無料WIFIの設置、カフェスペースを設けるなど、女性が長居できるような場所になっているわけです。

そうそう。布団など大きなものを扱う店は駐車場は必須です。

■コインランドリーがいいのは、ながら消費が見込めることですね。

洗濯が終わる時間を待つ間、カフェでお茶したり、ヘアカットしたり。

あるいは、本屋に行ってもいいし、買い物をしてもいい。

だからオーナー側とすれば、いろんなお店と併設することで相乗効果が見込め、ビジネスとして広がりがあります。

あるいは、商店街やショッピングセンターなどに出店すると近隣の店からも有難がられる存在です。

■コインランドリー業界の最大手は、昨年東証マザーズに上場したWASHハウスです。

参考:目指すは「コインランドリー業界のセブンイレブン」? 九州発の直近IPO銘柄
http://shikiho.jp/tk/news/articles/0/162397

九州を中心に店舗数約400。フランチャイズ形式で、東京、大阪に勢力拡大を図っています。

WASHハウスの特徴は、完全データ化、システム化により、無人店舗としての効率をとことん追求していること。

こちらのPER(株価収益率)は約135倍。現実の利益に比べて135倍の株価をつけているということですから、市場の期待のほどがわかるというものです。

二番手は、横浜市のエムアイエスが運営するマンマチャオ。同じく無人店舗をフランチャイズ形式で展開しています。

現在、約270店舗ほど。

このほか、有人店舗にこだわるコインランドリーデポや、直営形式のホワイトビア、地場に強い企業などがあり、勢力拡大とサービスの洗練を競っています。

■しかし、コンビニよりも新規店が多いという状況は、いかがなものでしょうかね。

いくら共働きが増えたといっても、それほど需要があるものなのでしょうか。

これも、事情通の方に聞いてみると、供給側の都合があるらしい。

一般家庭がクリーニングに使用する金額が減っているという話を先ほどしましたが、そうなると当然、町のクリーニング屋さんは、苦境に陥ります。

クリーニング店は、いまや白洋舎の一人勝ちで、他のチェーンは軒並み業績を落としています。

こういう一人勝ちが起きるのは衰退市場の特徴です。

需要がなくなれば、店舗数が減るのは自然の理なのですが、そこで生活している人たちとすれば、死活問題です。

町のクリーニング屋さんは、どうして生きていけばいいのか。

さらにいうと、クリーニング屋さんに、業務用洗濯機や乾燥機を供給していたメーカー側も、死活問題です。機械の提供先を確保しておきたい。

そこで、両者の思惑が一致するところとして、コインランドリー経営に乗り出そう(乗り出してもらおう)というケースが増えているようです。

クリーニング屋さんとすれば、勝手知ったる業界なので、フランチャイズ組織に所属する必要もありません。

自前店舗の隣にでもコインランドリーを設置すれば、相乗効果を見込むことができます。

■それに対して、上記のWASHハウスやエムアイエスは、機械の設置から運営ノウハウまでパッケージで提供するスタイルです。

こちらなら、クリーニング業界に精通していない一般の人でも参加することができます。

なにしろコインランドリーといえば、基本無人なので楽そうです。

コンビニ経営などに乗り出そうとすれば、初期費用が膨大な上に、本部の様々な取り決めに従わなければなりません。

そのうえ、従業員が集まらない。深夜のバイトがいなければ、オーナーが店に立たざるを得ず、相当きつい仕事になります。

そこまでして、コンビニオーナーになるべきか?と多くの人が実態を知りはじめています。

それに比べると、コインランドリーは、自動販売機のように設置しているだけで、月々のキャッシュが手に入るかも知れないという期待を抱かせます

要するに、マンション投資感覚ですな。

一般の人が副業で取り組めそうな気がします。

実際、コインランドリーのフランチャイザー(フランチャイズ本部)は、副業感覚の一般人をフランチャイジー(加盟者・オーナー)にしようと働きかけています。

■というのも、コインランドリー市場は、現在、成長期ですから、フランチャイザーとすれば、今のうちに勢力を拡大しておきたいわけです。

成長が一段落して、成熟期に入った時、ものをいうのは、市場シェアの高さです。店舗数の多い方が、コストでも信用力でも競争上有利です。

だから成長余力のある今、多少無理をしても、店舗数を増やしておきたいと考えるのは企業として当然のことなのです。

いま、コインランドリー企業は、店舗拡大余地を求めて、血眼になっているはずです。

クリーニング店からの鞍替えを図る事業者。

各地域で土地の運用を考えている地主さん。

独立開業したいと考えている起業予備軍。

マンション投資感覚で副業したい一般の会社員など。

自社勢力拡大のためにはここが勝負どころと、フランチャイズ各社は、オーナーを自陣に取り込むべくしのぎを削っている状況です。

(さらにいうと、いつものようにフランチャイズ化をそそのかすコンサルが暗躍しているわけですな)

■しかし、オーナー側にとって、実態はそこまで甘いものではありません。

確かにコンビニなどと比べると初期費用は安くつくでしょう。(1000万円程度かな)

ところが無人店舗といっても、本当に無人でいいわけではありません。

清掃は毎日しなければなりませんし、故障対応、トラブル対応など、オーナーがいなければならない事情は必ずあります。

トラブルには、フランチャイズ本部が責任をもって対応します!と最初の説明では言われるでしょうが、そう簡単に対応してくれるものでもないというオーナーの愚痴をネット上では見かけますしね。

副業で考えているとすればあてが外れるはずですよ。

そして、ここが最も重要ですが、需要がいつまで続くのかという問題があります。

フランチャイザー側は「順調な店であれば5年から7年で投資回収できる」と言っています。

もしそうだとしても、5年後に今と同じ需要があるとは限りません。

これだけオーナーを募集している現状では、早晩飽和状態になるはずです。

いまはうまくいっている店も、近隣に最新設備を備えた新規店ができた時、売上をそのまま維持できるのでしょうか。

■今は成長期ですから、そこそこの機械やサービスでも客が入るかも知れません。

しかし、成熟期になると、サービスの質が問われるようになります。

・他に置いていない機械が置いてある。

・他よりも仕上がりが早い。

・他よりもやたら安い。

・乾燥機に入れておけば、たたんで取り置きしてくれる。

・家まで配達してくれる。

下の2つは、無人店舗には不可能です。こちらはクリーニング店併設の店が得意とするサービスですね。

だとすれば無人店舗は、新しい機械を入れるか、今の機械のまま料金を安くするか。

という話になります。

要するに、追加投資が必要であったり、利益を減らすようにしていかなければならないということです。

決して、ほったらかしにしていてもお金が入るよーという楽ちんなビジネスではないでしょう。

■もっというと、一般の投資家を食い物にする悪徳フランチャイザーが現れないとも限りません。

成長市場にはお金が集まりますからね。そうしたお金を狙う悪いやつらです。

いかにも「儲かりますよ」「まだまだ成長しますよ」と煽り、一般の投資家にコインランドリー店を無理やりつくらせて、あとは知らん顔。

つまり、初期投資費用を狙うだけのいかがわしいビジネスです。

初期費用がやたら安かったり、需要予測がバラ色だったりする業者には気をつけなければなりませんよ。当然のことながら。

■このご時世に、成長余地がある市場があるというのは実に喜ばしいことです。

ただ、そこには、様々なプレイヤーの思惑があることを忘れてはなりませんね。

飽和するまでに市場シェアを得て有利なポジションをとりたいフランチャイザー。

供給先を確保しておきたい機械メーカー。

その裏で一儲けを企むフランチャイズ化コンサル。

副業なのか起業なのか鞍替えなのかわかりませんが、チャンスに賭けたいフランチャイジー。

この中で、最も弱いのは、最後のフランチャイジー(オーナー)ですからね。

儲かるのも損をするのも自己責任であることは重々承知でしょうが、そのあたりのことを今一度考えて判断してくださいね。

新社会人に贈る「1万時間の法則」

1万時間の法則


(2017年4月20日メルマガより)


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■4月は、スタートの時期です。

多くの会社で新入社があり、新社会人が誕生しています。

私も、この時期は、新入社員の前でお話しなどすることが多くなります。

■何を隠そう、私はこの仕事がけっこう好きでしてね。

なにしろ、新社会人になる。というのは一生に一度しかないことです。

しかも、これから社会人生活を送ろうという人にとって、この一年は、何よりも重要な一年になるはずです。

そんな重要な局面にある人たちに、お話しするというのは、非常に責任を感じる仕事であると同時に、大きな栄誉であると感じています。

気合いが入る仕事です。

■新社会人にとって、今が、一番大切な時である。というのは本心から思うことです。

なぜなら、最初に関わった仕事が、その後の社会人生活に最も大きな影響を及ぼすから。

好きで選んだ職種でなかったとしても、否応なしに、その仕事を起点にこれからの社会人生活が始まるからです。

■新社会人にいちばん言いたいこと。

それは「どんな部署に配属されたとしても、早く覚悟を決めて、その道を究めること」です。

意に沿わない配属になるかも知れません。

思ってもみない地域になるかも知れません。

それでも、その職種、地域がこれからの人生の起点になるのです。

早く覚悟を決めて、一つのことに集中してください。

■などと偉そうに言っていますが、私が新社会人になった時は、どうにもうじうじ悩んでおりました。

私の場合、産業用ガス会社の中のステンレス魔法瓶を製造販売する事業部に営業として配属されました。

想像もしなかったことです。

そもそも営業がしたかったわけではありません。

営業なんて、エラそうにする客にとりあえず頭を下げて買ってもらう仕事だ、なんて思っていたぐらいですから。

なんで魔法瓶をチマチマ売って、人生を過ごさなければならないんだ、と貧乏くじを引いたつもりでいました。

■まったくもって、ダメ社員の典型です。

今の仕事が気に入らない。やる気にならない。マイナスオーラを出す。周りも呆れて放置する。不満分子だけで固まって傷をなめ合う。

そんなに嫌ならさっさと辞めて別の生き方を探ればいいのに、そこまで踏み切れない。

会社員としての時間は、多くても35年程度なのに、何を無駄に過ごしているというのでしょうか。

まあ、実際はそこまでネガティブなわけではありませんでしたが、受け身のまま過ごしていたのは確かだったと思います。

■しかし、ある時から、営業に本格的に取り組まなければならないと覚悟を決めました。

覚悟を決めた。なんて言うと大げさですね。

なんとなく背中に火がついて、真剣にやらなければならない状況に追い込まれました。

所属する事業部が危機的状況にあったという事情もありますし、自分自身も後がないという緊迫した気持ちがあったからです。

その時の詳しい状況についてはこちらをご参照ください。→「『廃業寸前』が世界トップ企業になった奇跡の物語」
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4827209693/lanchesterkan-22/ref=nosim

↑このことがあってからは、営業が面白くなりました。自分なりに勉強もしましたし、営業に真剣に取り組んだと思っています。

その真剣に取り組んだと思える時間が、いまの私を支えています。

■しかし、遅まきながらも気づいてよかった。

もし「営業なんて向いてない」「おれには他にふさわしい仕事がある」なんて逃げてばかりいたら、どうしようもない五十代になっていたことでしょう。

実際に、そうやって過ごしてきたとしか思えない人を何人か知っていますからね…

そう思うとぞっとします。

■いま思うと、本当にアホでしたね。

私はいま、営業ほど総合的な能力を必要とする職種はないと考えています。

営業をある程度真剣にやった人ならば、他のどんな仕事をしても成功します。

それだけではありません。

営業は、ビジネスの根幹を担う仕事です。

営業が弱ければ、会社は弱い。強い会社とは、営業が強い会社のことです。

技術部が開発部が製造部が企画部が財務部が総務部が何と言おうと、会社を動かしているのは営業です。

営業は人間が一生を賭けるべき仕事です。

それが人生の半分以上、営業に関わってきた私が心から思うことです。

営業なんて、嫌なやつにとりあえず頭を下げる仕事だと思っていた者とは思えないでしょうが^^;

■「1万時間の法則」をご存知ですか?

このメルマガでも何度かとりあげましたが、再度紹介させていただきます。この法則を、ぜひ新社会人に知ってほしいと思うからです。

1万時間の法則は、アメリカのビジネス書作家マルコム・グラッドウェルが提唱したもの。

参考:天才! 成功する人々の法則
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4062153920/lanchesterkan-22/ref=nosim

簡単にいうと、ビジネスやスポーツや芸術やあらゆる分野で卓越した業績を残した人には、1万時間の下積み時間がある、というもの。

グラッドウェル氏は多くの事例を調査した結果、例外なく、1万時間というマジックナンバーがあることを発見した。と主張しています。

どんな成功者もきっかり1万時間の下積み期間を経た頃に、覚醒したのだということです。

■まあ、はっきり言って、科学的な根拠のある法則ではありません。いわゆる俗説ですね。

ただ、この分かりやすい法則が、多くの人々の心を捉えました。

実際、各界で業績を上げた人たちが、この法則を支持しているのを目にしています。つまり経験則的に多くの支持を集めたわけです。

確かに、誰しも最初から天才的な能力を持っていたわけではない。誰にだって下積み時代があるはずです。

天才と凡人を分ける境界が、1万時間努力したか、しなかったか、ということであれば、誰しも希望があるというものです。

私は、1万時間の法則を知った時、直観的に「正しい正しくない。ではなく、この法則を信じた方が、人生は豊かになる」と感じました。

それ以来、この法則の信奉者です。

■1万時間とはどういう時間か。

もし1日1時間休まず努力するとして、約27年かかる計算です。

1日3時間なら約9年。

だけど、365日休みなしで3時間なにかに打ち込むって、不可能でしょうね。

だから、会社を終えたあと、趣味の何かを努力したとしても、モノになるのは、引退間際です。

普通はそれまでにくじけるでしょうね。

■しかし、その人が覚悟を決めて、いまの仕事に打ち込むならばどうなるのか。

たとえば1日8時間。それが週5日で40時間。年間で約2000時間。

これならば、かっきり5年で1万時間です。

社会人生活を豊かに過ごすには、何を打ち込めばいいのかは、一目瞭然ですよね。

■5年。というのは、経験的にいって絶妙の時間であると感じます。

私が何らかの成功者であるとは言いませんが、たとえ私レベルだとしても、営業に真剣に取り組む気になって、5年ぐらいで、それなりの自信がついたのは確かです。

私だけではありません。どの会社であっても、優秀だといわれる人が頭角を現すのは、5年〜10年の間のはず。

私の場合、覚悟を決めるスタートが遅かったので、時間がかかりましたが、それでも10年目ぐらいには、営業とは何ぞや、なんて自分なりの意見を持つことができました。

1万時間がマジックナンバーである。というのはあながち間違いではないなと思う所以です。

■だから、覚悟を決めるなら早い方がいい。

早ければ早いほどいいわけです。

私はたまたま営業に配属されたから、営業の専門家になりましたが、製造でも開発でも総務でも財務でも、その仕事を究めると、次のキャリアを開くことができます。

先ほど、営業ができる人間は何でもできる。と言いましたが、それは他の職種でも同じかも知れません。

製造のプロ、開発のプロ、総務のプロ、財務のプロは、それぞれの立場から、ビジネス全体を見ることができるはずです。

その立場からの視点が独自性となり、会社や社会にとって、有用な存在になります。

■もっとも、1万時間を過ごしたからといって、成功するとは限りません。

そこは勘違いしないようにしてくださいね。

確かにそうです。スポーツや芸術の分野のように、埋めがたい才能の差があるかも知れません。

あるいは、力があったとしても運、不運の差で成功に至らない場合もあるでしょう。

ビジネスも同じです。素晴らしい能力を持った経営者がみな大成功するとは限りません。

必要条件であって、十分条件ではない。という言い方が正しいのかな。

要するに、この法則は、成功を約束するものではないが、成功するに至る“準備”が何であったかを示したものです。

■1万時間の法則は、様々な人にとりいれられて、いろんなバリエーションがあるようです。

面白いことを言っている人がいます。

元リクルート社フェローであり、現在は民間人校長として教育改革を実践する藤原和博氏です。彼の言っていることを、キングコングの西野氏が面白い!と紹介していたので、私も知りました。

参考:西野亮廣「僕はこれで100万人に1人を目指す」 「3つの分野」の掛け合わせで、天才に勝つ!
http://toyokeizai.net/articles/-/156341

藤原氏は「どんな人でも何かひとつのことに1万時間をかければ、必ず「100人に1人」になることができます」と言っています。

藤原氏独特の解釈ですね。ただその後が面白い。

ある分野で1万時間。別の分野で1万時間。これなら、100×100で、1万人に1人の人材になる。

さらに1万時間を過ごすと、1万×100で、100万人に1人の人材である。

100万人に1人!

これはもう日本代表クラスですな。

要するに、誰でもできる努力を戦略的に積み上げることによって、誰でも日本代表クラスの人材になれる、と藤原氏は言っているのです。

■ランチェスター戦略にしろ、孫子の兵法にしろ、競争戦略は、ライバルや顧客との関係性の中から、自らが生き残るために、どのようなポジションをとるのか、というところから始まります。

そのポジションを決める際に大きな手がかりになるのが、自らの強みというリソースです。

もし、自分が何らかの分野でそれなりの時間を蓄積していたというのなら、それは大きな強みとなり、アドバンテージとなります。

たとえば、私は創業者の支援をすることもありますが、創業時に大切になるのは、その人独自の強みにビジネスを組み立てることです。

強みとは要するに、その人がこれまで過ごしてきた時間を指します。

その人がどのような1万時間を過ごしてきたのか。

その強みを中心にビジネスを形作ることが、成功する創業の秘訣です。

逆にいうと、1万時間の積み上げのない人が、いきなり創業するといった場合、強みを何とするかに苦労します。

結局、アイデア勝負でスカスカの事業計画になってしまいます。

■思えば、新社会人の皆様は、これから何にだってなれる存在です。

100人に1人の人間にだって、1万人に1人の人間にだって、100万人に1人の人間にだってなれます。

本当にうらやましい。可能性だけなら、世界トップですよ。

ただし、会社内にいて何かを成し遂げるにしろ、創業して何かを目指すにしろ、それは皆様がこれからどういう時間を過ごしていくかです。

時間が1年過ぎることに、可能性は小さくなっていきます。

1万人に1人だと認められる人材と、10人並みの人材とでは、できる仕事が大きく異なってくるのは必然です。

皆様の人生を豊かで実り多くするために、どうかこれからの時間を大切にしてください。

幸運を祈ります。

 
 


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量の勝負に持ち込めば、凡人でも勝てる。

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■これはもう、全くもってその通りだと思います。


能力がないやつは数で稼げ。

量の勝負に持ち込めば、凡人でも勝てる。これは私の信条でもあります。

■記事は、マレーシアで巨大企業グループを作り上げた小西氏と、エステーの鈴木氏の対談形式です。

エステーは、成熟したニッチ市場である生活消費財の分野でのトップ企業。

市場が成熟して「もうこれ以上はプレーヤーは参入できない」と思われている市場が一番面白いし、美味しいのですな。こういう市場では、「勝つ」よりも「負けない」ことの方が重要で、ちょとした仕掛けで周辺の競争相手を叩きつぶすこともできるんです。

だからといって大企業が参入を狙うほど大きな市場にはしない。私のニッチ戦略は、「大企業を刺激せずに小さな企業を刺激する。弱きを挫き、強きを助ける」なんです(笑)。


鈴木氏のいう生き残る秘訣は、ランチェスター戦略にいう「ナンバーワン主義」であり「足下の敵攻撃の原則」です。

また「孫子」の精神そのままです。

■小西氏は、マレーシアに後発事業者として参入した時、どぶ板営業をやったのだと言っています。

私もマレーシアでは染料の営業から始めましたが、とにかくマレーシア中を回り尽くしました。高速道路がない時代に毎月5000キロは走り、田舎の小さな問屋や工場へも何度でも顔を出しました。「売ってやる」の上目線だった欧米のライバルメーカーは、そんなドブ板営業はしません。当然ながら首位になりました。欧米メーカーのいじめは厳しかったけれど、お客さまからは圧倒的な支持がある。これが、その後の商売でも大きな力になりました。

こちらもランチェスター戦略の特徴である「接近戦」「全数訪問」の徹底です。

それができる者は必ず勝ちます。

■記事では、凡人は数で稼げ、といっていますが、私の知る限り、コンスタントに成績を上げることができる人のほとんどは、量の勝負に長けています。

差がつくとすれば、行動量が成果に結びつくような仕組みが意識できているか、作れているか、というところだと思います。

少なくとも、私の営業コンサルは、量の勝負ができるような仕組みや環境を作ることに主眼を置いています。

「最小の労力で最大の効果を」って安易に言う人が効果を上げるところを見たことがないですが、量勝負している人は結果的に、そうなっていくんだと思います。

 
 


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塚田農場が、業務用弁当事業に力を入れているようです

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■居酒屋「塚田農場」のエー・ピーカンパニーが運営する弁当が好調だという記事です。


エー・ピーカンパニーは、売上高260億円程度予測。本業の塚田農場がいまひとつ伸び悩んでいる折、弁当事業をもう一つの柱にしようという算段です。

こちらの記事では、来期30億円を目指すと強気ですね。

記事では弁当事業の展開について書かれています。

■弁当事業そのものは、新規事業立ち上げのお手本のような運営をしてきたようです。

立ち上げ当初、ターゲットをMR(製薬会社の営業マン)に絞ったことが秀逸です。

MRの方々は、お医者さんを訪問する際に、高級弁当を手土産に持っていくという習慣があるらしい。

MR専用の弁当通販サイトがあるそうですが、それなりにマージンをとって運営していた模様です。

そこに目を付けた塚田農場側は、直接、製薬会社に売り込むことで、中間マージンを省き、コストパフォーマンスのいい弁当を提供することで、開拓していったということです。

■よくこういうスキマを見つけたもんだと思いますが、立ち上げ当初に、規模の小さなニッチ市場をターゲットにするというのは、弱者の戦略の定石です。

市場を小さく絞れば、直接営業という手段を使うことができます。直接営業するから顧客ニーズをつかむことができて、適正な商品開発をすることができます。

こちらの記事では、弁当の新作が出た際に試食会を開いて説明するなど、まるで医薬品の営業のような手法をとりいれているようです。

■MRへの弁当販売で工場を稼働させて、その余剰生産力をもって、会議用弁当やテレビ局のロケ弁に進出したとあります。

いずれも直接営業できる分野として共通しています。

さらにエキナカにリアル店舗を構えたのは、会議用弁当の認知度向上のためだということです。

実際の営業手法が書かれていないので、詳しいことはわかりませんが、それだけコストをかけるのだから、細かくセグメント分けして、直接営業をガンガンやっていっているのでしょうね。

こうした記事が出てくるというのは本格的にシェアをとりにきているのだと思いますが、当然、ライバル会社も黙っていないでしょうし、儲かるならば新規参入企業も出てくるでしょう。

ここは、リアル営業の頑張りどころでしょうね。

 


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野村克也を超一流のプロ野球人にした3つの力

野村克也を


(2017年4月6日メルマガより)


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■「BEST TIMES」というサイトが、3月中、野村克也氏の人生を振り返るという企画をやっていました。

参考:【3月毎日更新!】一流の秘密、30問30答 野村克也さん
http://best-times.jp/category/bt-nomura

3月中、毎日ですよ。

野村克也氏といえば、南海ホークスの名捕手として、またヤクルトスワローズ、阪神タイガース、楽天イーグルスの名監督として、一時代を築いたプロ野球の歴史に残る人物です。

何を隠そう、私は大ファンでして。

野村氏のことは、このメルマガでも何度か題材にさせていただきました。

参考:戦略がなければ生き残れない(ブログ)"野村克也"タグの記事
https://goo.gl/p0evNf

だから正直にいって、今回の連載に書いてあることはほとんど知っていることでした。

それでも面白いので、毎日、楽しみに読みました^^

■それにしても、今回の連載とともに野村克也氏の人生を振り返ってみて、あらためて思ったのですが、野村さんって本当に偉大な人ですよね。

何度も読んだ内容なのに、また感動してしまいました。

だから今回は、ぜひ上記の連載を読んでいただきたいとお勧めすると同時に、このメルマガで、なぜ野村氏が偉大なのかを考えてみたいと思います。

■野村克也。京都府竹野郡網野町出身。

元プロ野球選手(南海ホークス、ロッテオリオンズ、西武ライオンズ)

元プロ野球監督(南海ホークス、ヤクルトスワローズ、阪神タイガース、楽天イーグルス)

選手として3017試合出場。首位打者1回。本塁打王9回。打点王7回。最多安打1回。(三冠王1回)

監督として3204試合出場(選手兼任含む)。リーグ優勝5回。日本一3回。(wikipediaによる)

まさに選手としても、監督としても超一流です。

ただその記録以上に、野村克也氏は偉大です。なぜなら、その人生は困難の連続を乗り越えてきた結果だからです。

■かいつまんで言うと

〇貧しい母子家庭で育ち、野球することさえも難しかった。→兄が母親を説得してくれた。

〇高校野球部が廃部寸前だった。→顧問の先生の子供を抱き込み、存続させた。

田舎の高校で活躍したけれどとてもプロ野球にスカウトされるような環境ではなかった。→キャッチャーが手薄なチームを探してテストを受けた。

〇プロ入り1年目でクビを宣告された。→南海電車に飛び込んで死ぬと脅迫し、撤回させた。

〇肩が弱く、1軍選手として通用しなかった。→当時、禁じられていた筋トレに励み、肩を強化した。

〇打撃、守備ともに、レギュラーの力がなかった。→相手を観察し、データを分析し、予測することで一線級の選手たちと対峙した。

〇若くしてプレーイングマネージャーになった。→メジャーリーガーをヘッドコーチに招き、考える野球を突き詰めた。

〇南海をクビになり、評論家になった。→投手の次の球を予測する「野村スコープ」を考えだし、人気に。

〇ヤクルトスワローズに招かれて監督復帰。→「野村の考え」を徹底し、チームで考える野球に取り組むことで、常勝軍団を作り上げた。

簡単に書きましたが、その人生は驚異的な困難克服の連続です。

どうやら野村氏は、最初から特別な才能に恵まれた人ではなかったらしい。少なくとも、相当の努力の上に、才能を開花させた人です。

そんなプロ野球人としては決して恵まれていたとはいえないスタートを切って、最後には歴史に残るような活躍を見せたのです。

いったいどうすれば、このような強い人になれるのでしょうか。

■野村氏の折々のふるまいをみて、まず学ばないといけないと思うのは、その粘り強さです。

何か困難に当たった時、逃げたり諦めたりするのではなく、克服しようと考える。

それって、言葉でいうのは簡単ですが、実際には相当難しく勇気がいることです。

たとえば、プロ入りして1年目のオフ。南海ホークスのフロントから「おまえはプロでやっていける才能がない。今ならやり直せるから、辞めろ」と宣告されました。

これはフロント側の本音であり、親心であったことでしょう。

ところが野村氏にしてみれば「やり直せる」とは思いませんでした。なぜなら、自分には野球しかないと思っていたからです。

ここに野村氏の強さの秘密があると考えます。

つまり選択肢を持っていない者の強みです。いわゆる背水の陣の強み。

もし野村氏の実家がそこそこ裕福で、辞めても何とかなる状況だったら「南海電車に飛び込む」とは言えなかったでしょう。

あるいは野村氏が多彩な能力の持ち主なら、野球選手は諦めて、ビジネスマンになろうと考えたかも知れません。

野村氏は後に「生涯一捕手」を名乗りますが、その一点集中の力が、困難を打ち破る原動力になっていたのだと思います。

野村氏もこう言っています。

「器用な人は、もう一工夫、地道な努力が足りないことが多いので、長期戦になれば最後は必ず不器用が勝つんです」

不器用で、逃げ道を作れない者の粘りがそこにあります。

■さて壁に当たった野村氏は、どうふるまったのか。

冷静に自分の状況を分析して、どうすればいいのかを考えて見つけ出しています。

先ほど、野村氏が、特別な才能に恵まれたわけではない、といいましたが、かといってまるでダメだったわけではありませんでした。

野村氏は、当時としては大柄でパワーもあり、打撃はよかったようです。

プロ野球界全体が、パワー化、大型化を志向していた当時の状況で、それが有利に働いたのは間違いないでしょう。

ただし、捕手としては肩が弱い、打者としてはカーブを打つのが下手、という致命的な欠点がありました。

そこで野村氏が取り組んだのが、筋肉を強化して肩を強くすることと、投手がカーブを投げてくるクセを知り、配球を読む訓練でした。

つまり野村氏が困難に当たった時にしたことは、

(1)1軍に定着する。という短期目標を設定する。

(2)現状を分析し、目標に足りない課題(肩が弱い、カーブが打てない)を見つけ出す。

(3)筋肉トレーニング、配球を予測するという「努力の方向性」を決める。

という3つで、あとは努力をすればいい状態を作ったわけです。

これって、そのままビジネスや人生で使える問題解決のテクニックそのものですよね。

■凡庸な選手は、この簡単なことができないはずです。

まず(1)目標設定ができていない。

何となく、うまくなりたい、頑張りたい、と思うばかりで、短期目標を明確に決めていません。

そのために必要な(2)強み、弱みが、自己分析できていない。

だから(3)努力の方向性が正しく導きだせない。

結果として、努力をしても成果が出せない空回りになってしまいます。

野村氏は、監督になってから「野村再生工場」といわれるぐらい1軍半の選手を1軍選手として活躍させる手腕に長けていましたが、それは、この問題解決のテクニックを使ったからだと推測します。

プロ野球に入った選手はいずれも特別な才能の持ち主です。特にドラフト上位で指名された選手はすべからくそうでしょう。

しかし才能に頼った選手は限界も早い。ライバルたちに分析され弱点を暴かれ、そこを徹底して突かれて、壁に当たると対応できなくなります。

多くの人は、自分のことを客観的にみることができません。持って生まれた才能をどのように使うとプロ野球界で生き残れるか、という努力の方向性を自ら導き出せる人は多くありません。

だからこそ野村氏のような気づかせ屋の価値があるわけです。

■もうひとつ。野村氏について思うのは、「言葉」の力を持っているということです。

本人は、評論家になった時、必要に迫られて、言葉を学んだと言っています。

が、いまとなっては、言葉を巧みに使う力は、野村氏の特長のひとつです。

野村氏の人生が、困難とその克服の歴史だったと書きましたが、それが我々に伝わるのも、野村氏がストーリーとして構成して語っているからです。

もしかしたら、野村氏のように幾多の困難を乗り越えて活躍した人は、ほかにもいたのかも知れない。

ただ、野村氏が特異なのは、その苦労や工夫を自ら言葉で再現できることです。だから、他人に伝え、指導することができるのです。

もしこれほど言葉を操ることができなければ、指導者としての野村克也はなかったでしょうし、我々の興味をひくこともなかったことでしょう。

■まとめます。

野村氏をこれほど偉大なプロ野球人にしたのは、

(1)退路を断ち、一点集中した者の粘る力

(2)困難に至った時に「努力の方向性」を導き出す力

(3)それらを言葉として再現できる力

という3つの力だと、私は読み取りました。

私なら、困難に陥った時に、これほど粘って、問題解決の方向性を導くことができるだろうか。

器用貧乏になってはいないだろうか。

そう自らを省みずにはいられません。

まだまだ学ぶところが多い人です。

■いま、野村克也氏は、御年81歳。

もう監督復帰することはなさそうですかね。

阪神タイガースの監督時代、成績は悪かったですけど、野球そのものは意図がみえて面白かったと記憶しています。

できれば、一度はWBCで日本代表の監督をやってほしかったなー

そのあたりクセのある性格が災いしたんでしょうかね。

その部分は残念です。

 


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トリックスターの図式

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■へー。こういうのがあるんですねー。


「暇な女子大生」というキャラクターが話題だとか。

実在するのかどうかは謎ですが、この人、慶應大学の女子大生で、エリートの男性をとかえひっかえ喰いまくっているという設定です。

記事では、そのキャラクターをマルクスの「階級闘争」に重ねていて、壮大なネタにしています。

■私もこの暇な女子大生のツイッターをみてみましたが、確かに面白い。

何が面白いかというと

(1)キャラクターが確立されていてぶれない。

エリート限定でナンパしまくるという肉食女子大生キャラクターが確立されていて、そこにある疑問や自省が全くありません。そういう普通の人間とつながりがありそうな要素が皆無なので、テレビやアニメのキャラクターのようにみることができます。

(2)言葉遣いが独特

ここには書きませんが、独自のルールで言葉を使っています。そこがやはり我々とは違う規範で動いている感を出しています。けっこうこの独特の言葉遣いに訴求力があります。

(3)リアル

言葉遣いが独特なので生々しさはありませんが、書いてあることは時系列も含めてリアルです。

■要するに、肉食系の女子というキャラクターを、我々とは違う地平に存在させているわけです。

逆説的ですが、だから余計な感情なしに、自分たちと結びつけて考えやすくなっています。

記事にもありましたが、これってトリックスターの図式そのものですね。

自分たちと比べて極端に優れている、あるいは、極端に劣っている、あるいは、優れた部分と劣った部分を両方持っている存在が、自分たちの共同体を危機に陥れたり、逆に危機から救ったりするというのは、民話やおとぎ話でたびたび出てくるパターンです。

この暇は女子大生は、みごとにトリックスターの図式をとらえており、完成度が高いと感じます。

意識して作ったとすれば大したものです。し、こういうやり方がサンプルとして提示されたのですから、今後、様々なトリックスターを模したキャラクターが現れると予感させますね。

■ただし、このキャラクターをもって、我々の価値観を根底から揺るがすような破壊力があるとは思いません。

わりと普通にいる人たちではないですかね。このように発信力がある人は珍しいですが。

 


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日本人は、ランキングビジネスと、アーカイブビジネスと、オークションビジネスが下手

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■スマホ時代に有望なショートフィルム。誰もがその可能性に気付いているはずですが、まだその方法論は確率されていないのかな。


現在、youtubeなどにあるのは、ほとんどが素人が適当にアップした動画か、テレビ番組をキャプチャーしたものばかり。映像のプロが真剣に作った動画コンテンツはまだみませんね。

でもスマホが映像視聴のメインメディアになるわけだから、それに合わせたコンテンツが出てくるはずです。

ビジネスモデルはもちろん、映像作品のパターンがまだ出てきていないということなんでしょう。

一人、パターンを確立する人が出てくれば、その模倣や差別化で、いろんな作品が出てくるのでしょうけど。

■その意味では、ショートフィルムフェスティバルというのはいいですね。

まだビジネスにはなりきっていない分野のコンテンツを集めて、パターンを探ることができます。

ここで上映された作家や、作品を観た人達の中から、黎明期の天才みたいな人が出てくるのでしょう。

■その会になぜか別所哲也氏が関わっているということなんですね。

その経緯はよくわかりませんが、別所氏はプロデューサーとしての活動もされている人なんでしょうか。

その別所氏の言葉として面白いのがこちら

私がアメリカで言われ、強く印象に残った言葉があるんです。「日本人はモノづくりは上手だけど、ランキングビジネスと、アーカイブビジネスと、オークションビジネスが下手だね」と言うのです。そして、今後の日本の映像業界では、この3つのビジネスが伸びていくはずなんです。

■要するに、黎明期に様々な動画がアップされた中、どれが面白いかというランキング、検索できるアーカイブ、コンテンツを売買するオークションが立ち上がれば、その分野は発展するというわけです。

日本人がそれを苦手にしている、ということであれば、やる人が少ないのでしょうから、そこにはビジネスとしてのうまみがるということです。

これは、動画に限らず、どの分野でも応用できることなのではないでしょうか。

■たとえば、小説でも同じ。スマホで小説を読むとすれば、長編よりも短編やショートショートが適しているはず。

あるいは朗読作品化したものが中心になるかも知れない。

だとすれば、コンテンツの作り方が変わってくるでしょう。

既存の有名作家ではなく、スマホ小説作家が出れくれば、その分野はもっと盛り上がってきます。

またそこに、ランキング、アーカイブ、オークションをセットで立ち上げることで、ビジネスとしても成立させる方法が広がります。

短いインタビュー記事でしたが、刺激になりました。

 


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中国人からみた日本企業の欠点

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■中国人の作家・ジャーナリスト莫邦富氏による記事です。


いわゆる反日ではなく、冷静な目線で日本企業の欠点を指摘しており、耳が痛いですな。

■見出しだけ抜き出すと

1. 第一の問題点は、技術に対しては、日本企業は病的な完璧主義者で、度の過ぎたイノベーションを求めすぎる。

2. ユーザーの立場に立って物事を考える意識や販売を促進しようとする意欲も薄い。

3. 終身雇用制が日本企業にとって耐えがたい負担となりつつある。

4. 対中国戦略の失敗。

5. 創業を奨励する文化は日本では国家的に形成されていない。

6. 日本企業が長年保ってきたイメージが近年、崩れている。

7. 現状に甘んじて進歩を求めず、戦略的な選択と投資を怠った傾向が強い。

8. 長期的な低価格競争に耐えられない。

9. 上層部が無能で、部下は無原則に従う。


ということで、いちいちごもっともです。

■私なりにまとめると

1.全体が内向きで、チャンレンジ精神がない。

2.ユーザー目線が薄い。

3.長期的な戦略がない。

ということになりますかね。

■1については、その通りです。

シャープにしろ、パナソニックにしろ、ソニーにしろ、近年発売された内幕本を読めば、経営不振の原因は、内向きでお互い足を引っ張り合う経営陣にあると思えてきます。

(私が知る限りでも企業の人たちのマインドの内向きさには辟易する場面が多い…)

中国市場に限らず、アフリカでも中東でも、日本企業が果敢に開拓しているという話をあまり聞きません。

既存市場を守る、というのは一つの選択ではありますが、かつてのチャレンジ精神がなくなったのでは?と思われても仕方ありません。

■2,3についても同意します。

が、日本企業は伝統的に、ポジションを明確に選択するよりも、現在やっていることを続けて、ノウハウや経験を蓄積するという方が得意な部分があります。

欧米側にいわせると、それは無策となるのかも知れませんが、だからこそ品質の高さや信頼性につながることもあります。

日本企業にしかできないことも多いわけです。だから一概に、ポジションチェンジを好まないことを戦略がないということはないでしょう。

ここは日本企業独自の戦略方向性をみてもいいと思います。

■しかし、記事にあるように、ユーザー目線を持つこと、販売促進に意識を向けること、提携戦略をうまくすること、などが欠けているというのは心当たりがあるところは多いと思います。

ここは素直に反省したいですね。

 


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野村克也氏の人生から気づくことは多いとつくづく思う

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■野村克也氏の人生を振り返るBESTTIMESの連載が完結しました。3月中、毎日やっていたんですね。けっこう楽しみにしていましたし、全部読みました。

でも野村本のファンである私としては、全部、知っている話なんですけどね^^;

それでも、面白かったです。

■プロ野球でクビにされないための苦労。1軍に定着するための工夫。さらに一流になるための思考。監督になって組織を強くするための挑戦。

まさにプロ野球人として、フルコースで経験した人です。

しかも、選手としても、評論家としても、監督としても超一流ですからね。

その言葉には重みと説得力がありますよ。

■野村氏の特徴は、もともとテスト生上がりで、決して恵まれた立場にいたわけではなかったこと。

才能はあったのかも知れませんが、それを開花させる基礎訓練なく、プロ野球に入ってきた人です。

実際、一年目のオフには「おまえはモノにならんから辞めろ」と言われたそうですからね。

■そんな状態で生き残るためには、どうすればいいのか「思考」し、実際の現場での状態を「感性」で知り、自分を変えるために挑戦する「勇気」を持たなければならなかった。

実際に、壁に当たるたびに、そうやって、突破してきた人なのだから、頭が下がります。

対人関係におけるちょっとしたクセは、そういう出立なんだから仕方ないですよ。

■思えば私も、三十代半ばまでは身体を使うことしか考えてなかったような気がする。

営業の仕事だったので、行動量と負けん気でどうにかなりましたからね。

ただある時期から、ありていにいうとマネージャーに近い立場になると、それでは全く通用しません。

そこで曲がりなりにもこれではダメだと気づいて、変わろうと思ったから、今がある。とつくづく思います。

野村氏と比ぶべくもないちっちゃな話なんですが。

■当時、上司とか先輩にあたる人でも、現場営業の能力のままマネージャーになっている人もいました。

その部下や後輩は悲惨でしたよ。

「出来ない部下は相手にしない」とかうそぶいて、さらにあろうことか、その部下の悪口を言いまくっている人もいましたからね。

当時の組織はそんな人でも容認していたのだから寛容だったんですねえ。

■自分の状況を気づく「感性」と、その状況を打破するための「思考」力と、ベテランになっても自分を変える「勇気」

これを持つことは重要です。プロ野球界だけではなく、どの業界でも当てはまることだと思います。

 


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