わたしは価値を創る

大阪在住の経営コンサルタントのブログです。

WOWOWをV字回復させたサブスク・ビジネスの本質

wowow


(2019年5月16日メルマガより)


以前、メルマガで「サブスクリプション・ビジネス」のことをとりあげました。


今年の2月ですね。あれからそれほど時間も経っていませんが、今や「サブスクリプション・ビジネス」はすっかりバズワードとなってしまった感があります。

いや2月の時点で、既にバズっていました。「サブスクといえば、とりあえず客が集まる」なんて意見があったぐらいですから。

このようにバズってしまえば終焉も近いというのが世の常です。既に撤退したサブスク・ビジネスも見え始めており、淘汰の時期に入ったのかも知れません。

それにしても、どういうサブスクは生き残り、どういうサブスクは続かないのでしょうか。

なにしろ新しい概念のビジネスなので、生き残りの法則を見つけ出すのは難しいですが、ヒントはあります。

今日は、その「サブスク・ビジネス 生き残りのヒント」について書きたいと思います。


サブスク・ビジネスの本質的価値


そもそもサブスクリプションとは、新聞や雑誌の「定期購読」を示す言葉です。だから定額で長期間の契約をするビジネスのことをサブスクリプション・ビジネスというんだよ。。。と短絡的に考えたら、その本質を見誤ってしまいます。

いまや「サブスク・ビジネス」は、元の意味を超えて、新しいマーケティングの概念を伝えるものとなっています。


近代のマーケティングは「顧客志向」の名のもとに発展してきました。作ったものを売る、という企業の都合を前面に押し出していたら売れないからです。だからマーケティングとは、顧客中心、顧客の都合を起点に発想せられなければなりません。

近年、その流れが加速してきました。人口は減るのに、企業数は減らない状況があるので、競争が激しくなるばかり。ビジネスの力関係は、ますますユーザー寄りになってきています。

モノが溢れかえっているので、我々はそれを欲しいとも思いません。物資が足りない時は所有することそのものがステイタスだったはずです。が、今は、所有していても何の自慢にもなりません。むしろ要らないものまで後生大事に抱えているなんてかっこ悪い。必要な時にだけ利用すればそれでいいのです。

こんな時勢ですから企業側も無理に売ることはできません。使いたい時に使ってもらう形態を整えれることが必要です。

そんな時ですから、定額費用で好きな時に好きなだけ使ってもらうサブスク・ビジネスが必然性を持つわけです。


たとえばCDやDVDが売れないと言われていますが当たり前です。借りて聴いたり観たりすればいいのですし、いまは配信技術が進んでいますから、ネット上で聴いたり、観たりすれば事足ります。

1枚3000円のCDがツタヤで借りれば数百円です。これがネット配信ならさらに安くなります。こんなの商売にならんよ!と業者の悲鳴が聞こえてきそうですが、そういうわけでもありません。

ネットで聴いたり観たりしたデータは蓄積されていきます。企業側は、そのデータをもとに、個人の嗜好や好きなアーティスト情報を手に入れます。そうなれば、個人ごとにぴったりのおすすめ情報を提供することができて、無駄な提案がなくなります。さらには真に必要とされるアーティストや作品を集めることができます。

つまりサブスク・ビジネスの本質的メリットとは、個人との長期的なつながりを前提としたビジネスの高度化、最適化です。

ビジネスに関わる総費用が少なくなりますから、個人もお得ですし、企業も儲かりますし、社会的にも無駄がなくなります。

一時的に売上や利益は減るかも知れませんが、はやくこの変化に対応した方が、生き残れます。


WOWOWのV字回復事例


サブスク・ビジネスは、ネットビジネスのデジタルデータとの相性がいいといえます。が、ネットビジネス以外でも、データをうまく掴んで、ビジネス展開している企業もあります。

その一つが、有料衛星放送のWOWOWです。

WOWOWは、一方的に映像を提供する衛星放送ですから、ネットのデジタル配信のように自動的に顧客情報が集まってくるわけではありません。

そんなWOWOWでも、個客との関係性を強化するリテンション(関係維持)マーケティングに取り組み成果を上げています。

という本に、WOWOWの取り組みが詳しく書かれているので紹介させていただきます。


WOWOWは、1990年に開局した日本で初めての有料衛星放送です。毎月数千円(現在は2300円税別)を支払うことで、映画や音楽ライブやスポーツの試合など全ての番組が見放題になるサブスク・ビジネスです。いまでは280万人以上の加入者数を集め、売上高816億円、経常利益107億円をあげる成功企業の一つといっていいでしょう。

が、そんなWOWOWも、顧客数の減少に苦しみ、存亡の危機に立たされていた頃がありました。

開局当初は、日本初の放送局なので、特長を知ってもらう必要があります。WOWOWのキラーコンテンツといえば、最新映画のいち早い放送、テニスやサッカーなどの有名試合のライブ放送、有名ミュージシャンのライブ放送などですか。ファンには垂涎の番組コンテンツが揃っているのですが、知られないと加入してもらえません。そこで、開局当初の施策は、ひたすら広告宣伝に努めて、新規顧客を獲得することでした。

家電店などに販促費を大量投入して「いま入ると数カ月無料!」なんてキャンペーンを頻発していました。その思い切りのいい施策が功を奏して、加入数を集めることに成功し、早期の黒字化を達成しました。

ところが、徐々に加入者数が減っていき、2005年頃にはじり貧状態に陥っていました。

WOWOW側は、さらなる販促費を投入するものの減少は止まりません。新規加入は一定数いるもののそれ以上の解約者がいたからです。

そんな時「解約抑止専門部署」の責任者に任ぜられたのが、上の本の著者である大坂祐希枝氏でした。

大坂氏は、コールセンターを通じて解約を申し入れる個人を解析し、解約したい理由で62のグループに分類します。そのグループごとに、営業トークのパターンなどを作り込んで、とりあえず解約阻止率の向上に成功します。

が、辞めたいという顧客を営業トークで一時的に引き留めたとしても、これは根本的な解決にはなっていません。

そもそも顧客に「契約解除したい」と思わせた時点で負けです。そう思わないような番組構成や顧客構成にしていかなければなりません。

いかに優良顧客を増やしていくか、がサブスク・ビジネスの本質であり、この本の醍醐味でありました。


優良顧客をいかにして増やすか


解約したいという顧客に特徴があるとすれば、継続する顧客にも特徴があるはずです。

ところが、解約客と違って、契約を続ける顧客は意見をいいません。沈黙しています。

仕方ないので、解約客を分類した62のグループを詳しく見ていくことにしました。

すると、解約客の中でも、比較的解約しやすいグループとしにくいグループがあることを知りました。それをさらに分析すると「クロス視聴」している顧客は解約しにくいことを発見しました。

ここでいうクロス視聴とは、複数のジャンルの番組を見ることです。テニスの試合を観たくて加入したのに、映画も頻繁に観ることをクロス視聴といいます。

WOWOWの場合、テレビごとに契約します。子供がテニスを観たくて契約したら、親が映画を観ている、ということが起こります。その場合、比較的継続しやすいようです。

あるいはこういう場合もあります。スターウォーズシリーズが観たくて加入したが、時代劇を観てみると結構面白かった。この場合も契約を維持しやすくなります。


そこでWOWOWの番組を「感情」で分類しデータベース化することになりました。一つの番組を「冒険」「サスペンス」「ロマンス」というジャンルだけではなく、それを観た時に沸き起こる「楽しい」「ほっこり」「スカッとする」といった感情で分類したのです。

すると、SFを観てスカッとした人に、スカッとするアニメや時代劇をすすめることができます。

WOWOWの強みは、アナログです。直接、加入者に電話して、番組をおすすめするなどの施策をまめに行い徐々に、加入者の行動や考えを理解していきました。


WOWOWにとっての優良顧客とは長期契約客です。沈黙しているので確かに見えにくい長期契約客ですが、アプローチを繰り返すことで徐々に見えてくるものがありました。

WOWOWの場合、「複数の家族が番組を視聴していること」および「加入時に観たかった番組以外の番組を視聴していること」が優良顧客になるための重要なポイントでした。

さらに細かく「何人家族か」「どんな番組を観たかったのか」「いまどんな番組を観ているのか」「どんな感情になる番組を観ているのか」を分析していると、優良顧客モデルが見えてきます。

そうなると打ち手がいろいろ出てきます。

テニスを観たくて加入した人に、サスペンス映画を勧める。

SF映画を観たくて加入した人に、ワクワクする番組を勧める。

あるいは、元来優良顧客になりそうな家族構成の顧客を新規ターゲットにする。

特定のwebサイトに訪れる人を新規ターゲットにする。

など、WOWOWの内部データから得た独自の「勝ちパターン」をマーケティング施策として実行していきました。

こうした地道な取り組みの積み重ねが今の「有料放送はWOWOWの一人勝ち」といわれるような状況を作っていったのです。


完全デジタル企業に対抗できるか?


こうしたWOWOWの取り組みは非常に立派ですし、成功事例だと思います。

ただし、将来を見渡した場合、この会社の存続には疑問符がつきます。

なぜなら、映像配信という分野では、強力なライバルが次々と現れてきているからです。

映画という分野でいえばネットフリックスやアマゾンプライム。

スポーツ中継ではダゾーンがあります。

しかも、彼らは完全デジタル放送なので、個客の嗜好や行動の傾向を自動的に収集・蓄積しています。彼らの持つレコメンドエンジン(個客の好みを分析しおすすめ商品を提案する機能)は強力です。

ネットフリックスなどレコメンドエンジンで世界を制すると意気込んでいるだけに、日本の個客にイギリスのドキュメンタリー番組を勧めたり、トルコの個客に日本のアニメを勧めたり、ワールドワイドなクロス視聴を実現しています。しかもそれが面白いと話題になったりしています。

グローバルに番組を掘り起し、世界各国の個客にクロス視聴を自動で推奨するネットフリックスの機能にWOWOWのアナログな取り組みは対抗できるのでしょうか。

WOWOW側は「デジタルとアナログの融合こそが日本人に合う」と言っているようですが、私には"デジタルなレコメンド機能ではとてもネトフリやアマゾンに太刀打ちできませんわ!"という意味に聞こえます。

このように技術機能的にも市場規模的にもWOWOWが単独で生き残る未来は考えにくいと思います。それこそネトフリに負けた動画配信サービスと合併するなどして、日本国内の映像配信市場を死守していく、という方策しか思い浮かびません。

ビジネスモデルそのものを変えていかなければ生き残れないでしょう。

コクヨがぺんてるの実質筆頭株主に

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メモ。コクヨがぺんてるの実質的な筆頭株主に。人口減少時代に際して、弱点の海外展開を補完しようと意欲を示したかっこうです。

文房具 国内トップメーカー


コクヨは、売上高3151億円(2018年12月期)文房具国内1位のメーカーです。

オフィス家具では国内2位。(1位はオカムラ)ギリギリ√3倍差は開いていないのでいちおうは逆転可能圏内です。

ちなみに文房具国内2位はプラス。こちらも逆転可能圏内です。

オフィス向け通販としてカウネットを展開していますが、こちらはアスクルに相当差をつけられており、逆転不可能圏です。

業績は順調に回復も時価総額は振るわない


コクヨはリーマンショックのあと、売上高利益高とも徐々に回復してきています。が、長いスパンでみてみると、バブル前のあたりから横ばい状態だともみてとれます。利益高もバブル崩壊、リーマンショックの下げを除くと、横ばいです。

現在の時価総額は1742億円。(プラスは非上場)オカムラが1215億円。そんなに悪くはないですね。

しかし筆記具メーカーのパイロットは、売上高1040億円なのに、時価総額は1910億円です。単体メーカーに水をあけられてしまっています。

国内は盤石も、海外展開に弱点


これはなぜかというと、海外売上比率の差です。

総合文具メーカーのコクヨは、文具ならなんでも扱うゆえに、強力な販売チャネル網を構築していました。作れば売れる状態を作っていたわけです。いわば文房具における松下電器ですな。

それがアスクルの台頭を許した理由にもなりましたし、海外展開意欲が薄かった要因です。

これに対して、筆記具単体メーカーは国内で売っても限度がありますので、早くから海外展開を志向してきました。

パイロット、三菱鉛筆、ぺんてる、ゼブラすべて海外販売に積極的です。

日本国内が人口減少に入っていく時代ですから、国内に地盤を持つ企業の分が悪くなってきています。

海外展開への強い意欲


だからドメスティック企業であるコクヨとすれば、海外に展開するのか、オフィス全体のソリューションに取り組むのか、オフィス家具以外に進出するのか、方向性が問われていました。

今回、ぺんてるの40%の株式を手にしたというのは、強い海外展開意欲を示したということです。


なおぺんてるは筆記具メーカーとして国内4位です。

「適時開示で発表された以上の内容は把握していない。今後、どういう対応を取るか検討する」

ととぼけていますが、これからのグローバル展開のための資金を手中にしたいという思惑があったのでしょう。

両社の今後の戦略展開に注目です。





ホンダは「弱者の戦略」ができていない

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記事を読む限り、ホンダの状況は深刻です。数字よりも、意識や姿勢に問題があると思います。

いびつな利益割合


本田技研工業の2019年3月期(速報値)の売上高は15兆8886億円。営業利益は7264億円。前年に比べて、増収減益となっています。

減益の原因は、主力の四輪車が振るわないからです。四輪車の営業利益率が1.9%ということですから寒い。

(トヨタの営業利益は8%以上、日産は4%台です)

ちなみにホンダの二輪事業の売上は四輪事業の5分の1程度。しかし二輪事業は13%以上の営業利益をあげており、営業利益額では四輪をしのいでいます。なんともいびつな利益割合です。

ホンダジェットも評判いいですが、こちらも会社を支えるほどの規模はありません。

四輪事業をなんとかしないとホンダの浮上はなさそうです。

現状の売上を守ることに汲々としている


二輪事業は、世界シェアトップですから、儲かるのは当然だといえます。

ただ四輪事業は世界で7位。弱者も弱者です。それなのに、記事を読んでみると、ホンダがやろうとしているのは、生産効率を上げて利益がでる体質にしようという話です。

生産効率を上げるのは大切ですが、それ以上にどうやって販売拡大していくかの方針がありません。

ホンダは欧州市場での苦戦が続き、昨年、英国とトルコの生産拠点の閉鎖を決めました。現実に対応するというのは大切なことですが、その分、どこに力を入れるというのでもなく、単に利益を上げる体質にするというだけでは、縮小均衡です。

かつてホンダは独自の設計思想を持ち、尖った車を開発することを得意としていたはずです。それが今は、すっかり保守的になり、現状の売上維持を願うあまり当たり障りのない開発姿勢になっているように映ります。

弱者の戦略ができているのか?

要するに、四輪事業は弱者の戦略を採用しなければなりません。

創業者が健在だった頃のホンダは理想の車を追求するという強い意志があり、それが上位メーカーとの差別化となっていました。

いまのホンダ車には、その頃の尖った感がなくなってしまったと思いますね。(その尖った感はホンダジェットに引き継がれたのかな)

製品戦略だけではありません。地域戦略においてはどのような思想を持っているのでしょうか。地域の集中や選択がなされているようには見えません。

販売戦略の内容はよく見えませんが、現地カスタマイズが過ぎて効率が悪くなるというのはいかにも受け身な姿勢に思えます。

単に製品差別化や地域の集中をせよというのではなく、四輪事業全体で一貫した弱者の戦略を立案しなければならないと思います。

ホンダさんにこそ「ランチェスター戦略セミナー」を聞いてもらいたいものですよ。





ランチェスター戦略で令和を生き抜く

ランチェスター戦略で令和
(2019年5月2日メルマガより)


令和の時代が始まりました。

年号が変わって何が変わるというものではないでしょうが、それでも気分的には節目を迎えた気がします。

私も今年に入ったあたりから平成とは何だったのか。ポスト平成はどういう時代になるのかを自分なりに考えてきました。

このメルマガでも何度か書きましたね。




私だけではありません。令和に入ってから、この時代をどうしていくかについては、多くの方が意見を述べています。

たとえば、『「新しい日本」を創ろう』 

これは、日経新聞の編集局長の記事です。(有料記事)


こちらは日経ビジネスの編集長の記事です。

いずれも、平成を「停滞の時代」ととらえて、令和の再浮上を期待する内容になっています。

僭越ながら私も同意見です。


経済停滞と先送りの時代


日本にとって昭和は成長の時代でした。

第二次世界大戦後の奇跡的な復興を高度成長と呼ぶことが多いですが、実際には、明治以来の殖産興業の取り組みの成果として、昭和の成長があったとみるべきでしょう。

(同じ意味で、20世紀(明治34年〜平成12年)に最も成長した国は日本だと報道されることもあります)

ところがいい時ばかり続くわけではありませんでした。昭和の終わり、世界経済に構造的な変化が起きました。一強だったアメリカ経済が相対的に退潮の時期を迎えたのです。たまりかねたアメリカが、ドルの切り下げを世界中に強要したために、各国の通貨は急激な高値をつけることになってしまいました。

特に影響が大きかったのが日本です。それまで1ドル240円程度だったものが、最大80円にもなってしまいました。3倍です。アメリカに100万円で売っていたものを、300万円で売らなければならなくなったのです。

資源のない日本は、原材料を仕入れて、それを日本で加工し、海外に輸出することで経済を成り立たせてきました。それが明治以来の日本の産業構造です。

その最大の得意先がアメリカでした。それがいきなり3倍の値段で売らなければならなくなったのです。いくらなんでも難しい。日本の輸出産業は、生産工場を消費地に移設するなどして対応することになるのですが、それは後の話です。当初はパニックに陥りました。

逆に活気づいたのが輸入産業です。アメリカからの商品が3分の1で買えるのだからお得感があります。海外で稼げないなら国内で稼げ、と多くの企業の矛先は内需拡大に向かいました。その末に、過剰な資金が土地に流入するようになり、実態の価値以上の価格付けがなされたことで、バブル経済とその崩壊につながっていったのです。

バブル経済の崩壊が平成の初めでした。その処理に手間取る間に、日本の本当の問題である人口減少と少子高齢化への対応が後手に回ることになってしまいました。経済停滞と問題の先送りが平成という時代だったということができます。

その間、アメリカはちゃっかりと経済の構造変革を成し遂げ、さらなる経済成長を続けています。あるいは桁外れの内需を持つ中国が急激に台頭しました。

足踏みを続けた日本は、すっかり置いていかれたかっこうです。

このまま日本は「かつての先進国」として美しく衰退していくのか。あるいは、アメリカのように構造変革を成し遂げ、再び成長軌道に乗るのか。令和の時代にその分岐点があることでしょう。


ランチェスター戦略で生き残る


私は自分のコンサルティングのテーマを「生き残る」ことに設定しています。

華々しく成長拡大したい企業さんからすれば物足りないことかも知れませんが、小さな会社でも生き残る方法を考え、ともに戦うことこそが、いま自分のすべきことだと考えています。

それもある意味当然です。平成の日本は停滞を続けていたわけですから、よくて現状維持、何もしなければ衰退していきます。

上場企業はそれでも成長しようとしますから他社のパイを奪いにきます。そんな中、小さな会社が安穏としていたらふるい落とされてしまいます。

経済が成長しないなら、成長しないなりの戦略を立てなければ生き残れません。

大企業が見捨てた小さな需要でも拾わなければなりませんし、面倒なことにも取り組まなければなりません。あるいは、大企業のフォロワーになって生き残ることも立派な戦略です。

ランチェスター戦略や孫子の兵法には、小さな会社がいかに生き残るのか、その方法論やヒントが書かれています。

私はその方法を研究し、実践で使うことに取り組んできました。それが私の役割だと思っています。


令和を「生き抜く」ことこそが責任


かつて田岡信夫先生がランチェスター戦略を作って一世を風靡した頃は、オイルショック後の不況時だとはいえ人口増加が続いている状況であり、各所に成長余地が多くありました。

ですが今は人口減少時代であり、かつての産業は殆ど衰退局面に入っています。

その中で生き残るのは難儀なことですが、どんな経営環境下でも生きていかねばならないのが経営者です。

できないわけではありません。むしろ需要が細分化し、不確実な時代には、小回りの利く小さな会社の方が、生きていく方法が多様にあります。

私はそう実感しています。


令和になって日本が再び成長軌道に乗るかも知れません。それは素晴らしいことです。

もちろんその方がいいに決まっています。

成長期には成長期の戦略があります。ランチェスター戦略にはそれが組み込まれています。

しかしたとえ日本がこのまま衰退していったとしても、我々は生き残っていかなければなりません。

その時にも、やはり生き残るための戦略を駆使していかなければなりません。

どちらに転んでも生き残っていきましょう。

私はいま55歳ですから、あと30年経つと、85歳です。それまで生きているでしょうかね。。わかりませんが、ギリギリ令和を見届けることができるかも知れません。

令和という時代を生き抜くことが、戦略を学んできた私の責任です。

鳥貴族の失速は必然だった?単一業態の壁

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とぶ鳥を落とす勢いだった鳥貴族が失速してしまいました。2017年10月に280円→298円の値上げに踏み切ってからです。たった18円の値上げだったというのに影響は大きく、2019年7月期の決算では、赤字になると予測されています。

ただ、鳥貴族の不振は、値上げだけではない、というのが上の記事です。

居酒屋チェーンは600店が限界?


実際、値上げ後しばらくは客数の落ちもなかったのです。が、2018年1月頃から急に業績悪化しました。これは、鳥貴族の店舗数が600店を超えてからだと記事は指摘しています。

著者は、これまでの経験則から、居酒屋チェーンは600店が限界だと書いています。つぼ八もそうでしたし、ワタミもそうだったとか。あまりにも急激な拡大路線をとってきた鳥貴族も、600店の壁にぶち当たってしまったかっこうです。

もちろん人件費や材料費の上昇に居酒屋チェーン全体が苦しんでいる状況ですから、値上げは必須です。ここでチキンレースをするつもりはないという鳥貴族側の決断は尊重すべきでしょう。

しかし、成長の壁に当たる頃に、値上げに踏み切ってしまったというのは、これはちょっと悪いタイミングだったと言わざるを得ません。

縮小する市場でシェアを奪ってきた鳥貴族


居酒屋・BARの全体売上は、現在1兆円程度ですが、これは2000年当時からみると、2割近く減っています。

これから日本は人口減少時代に入るので、V字回復は考えづらく、ますます縮小していくでしょう。若者のアルコール離れは顕著ですし、歳をとれば酒量も減りますからね。いい要素がありません。

そのなかで各企業はパイを取り合っています。

まさにそんな状況下で成長してきたのが鳥貴族でした。同社は、競争の源泉を「低価格化」に求めました。それを実現するために、メニューを減らしてオペレーションコストを下げる方策に出ました。鳥専門店というやり方です。これなら、低価格路線でも、メニューにある程度「深さ」を出すことができます。

最悪のタイミングで値上げ


総合居酒屋の「広く、浅い」品揃えへのアンチテーゼとして新鮮だった頃はよかったのでしょうが、確かに店舗数が増えてトップチェーンになったら、「狭さ」が気になってしまいます。たまに行く店だからよかったのに、どこにでもある店となったら、行きづらい。要するに飽きられてしまいます。それにマネされやすい業態ですから、似た業態店が続々登場しました。競争の激しいとろこで値上げしたら、シェアを奪われるのは自明のことです。

居酒屋チェーンでいま元気なのは、磯丸水産や串カツ田中だそうです。いずれも専門業態店です。両社とも拡大意欲まんまんですから、しばらくは増収増益が続くのでしょうが、やはり鳥貴族と同じく、ある程度の規模になると失速してしまうのだろうと予測できますね。

他業態展開か、さらなる拡大か


鳥貴族の成長はこのまま∞に続くのか←2017年2月に書いたメルマガの内容です。いまとなっては、そんなもん永遠に続くわけないやろ!ということですが、鳥貴族とすれば図らずも単一業態の限界をみてしまったわけです。

普通に考えれば、鳥貴族はもう少し店舗を減らした状態で維持し、他業態をつくって成長を目指すというのが一般的な考えです。

が、それだと先達飲食店グループのミニ版になってしまって面白みがなくなりますな。

いや勝手を言ったらだめですね。企業は生き残らなければなりません。そのためなら、面白いとかどうとか言っている場合ではありません。どうか現実的な路線を行ってください。

が、大倉社長は、単一業態での成長に並々ならぬ意欲を持っていた方ですからね。諦めていないかも知れませんね。それはそれで注目していきたいと思います。



じり貧のTポイントに復活の道はあるのか?

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Tポイントが危機的状況に陥っているようです。

確かに最近、Tポイントの使いづらさが目立つようになってきました。ドトールコーヒーでも終了するようですし、ファミマでは他のポイントも使えるようになってきました。

だいぶ前、古本チェーンのブックオフがTポイントを終了した時もショックでしたが、あの時はまだブックオフの判断は間違っているのでは?と思えるぐらいTポイントに勢いがありました。ブックオフじたいがその後、不振に陥りましたし。

ただここ最近のTポイント離れは、深刻です。競合ポイントの勢いが凄まじいからですね。

先行弱者になってしまったTポイント


Tポイントといえば、ショッピングポイントの草分け存在です。ユーザーにとっては買い物ごとにポイントが溜まって割引になりますし、店側にとっては業態業種横断的な買い物データを取得できるので、マーケティング施策に役立てることができます。

一業種に一社しかTポイント陣営に参加できない。という縛りも、データを戦略に役立てる上での優位性になると思えます。実際に、そのデータを活かした企業も多くいたことでしょう。

ところが、本腰を入れる競合が出現してきたことでユーザー側のメリット、店側のメリットともに見劣りするようになってきました。メリットが同等程度なら切り替えることはないでしょうが、明らかに見劣りするのだから問題です。

まず楽天ポイントは、楽天市場を背景に持つので、多くのユーザーにとって使い手があります。また店側にとってはネット購買データも参照できるのでメリット大です。

dポイントは、いわずと知れたドコモの携帯電話ユーザーにポイントをばらまいているので、こちらも使う動機があります。使うユーザーが増えれば、扱い店も増えるはずです。私はドコモユーザーではありませんが、最近、店でdポイント対応のところが増えているので、dポイント登録しようかなと思うぐらいです。

ところがTポイント陣営は、基幹会社であるツタヤが勢いを失っているので、ポイントが溜まりにくいし、使う場所も限られてしまうという事態になりつつあります。

非常にまずい状態ですね。いわゆる先行弱者となってしまいました。

※先行弱者というのは、パイオニアとして市場開拓したものの、参入障壁を築けなかったために資本力のある後発企業にまくられてしまう存在です。この場合、各企業には「ポイントサービスはマーケティングデータとして使える!」という情報が浸透してしまったために、資本力のある強者企業の進出を容易にしてしまいました。

ツタヤがネットフリックスなみに勢いのあるサブスク企業に転身していたら展開も変わったのかも知れませんが、そうはならなかったのだから仕方ありませんわな。

じり貧になっていくのは避けられないと思います。

ソフトバンクグループの不気味な沈黙


Tポイントに出資しているソフトバンクやヤフーが沈黙しているのが不気味ですが、恐らく運営方針などを巡って何か意見の違いがあったのでしょうね。

ソフトバンクグループが全面協力すれば、携帯電話もネット通販もペイペイも参加することになるので強力ですが、その気配がありません。

うがった見方をすれば、ソフトバンクはいま兵糧攻めの最中でTポイント側が音を上げるのを待っているのかも知れませんよ。

音を上げたら、ソフトバンクかヤフーがTポイント運営会社を買収して自分のものとし、そこから大反攻に移るのでしょう。そうなれば、Tポイントも復活の目が出てきます。

近い将来、そういうことになるかも知れませんな。





コーヒーチェーンはいち早く脱デフレに向かっている

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メモ。外食産業全体の客単価が回復してきているようです。

利用客1人が飲食店で支払う客単価は1998年を100としたとき、2018年は全体が96.5とデフレの状況から抜け出せていない。だがカフェは125.8まで上昇した。

ということですが、一時期は80を下回るほどデフレ傾向にあったことを思うと、ずいぶん回復してきています。

その中でも、カフェは125.8ということですから、脱デフレを牽引しています。

ドトールコーヒーの不振


そういえば、ドトールの不振がニュースになっていました。

ドトール、2年連続“客数減” 客離れ深刻化

記事によると、2018年2月期、2019年2月期ともに、客数を減らしています。ドトールといえば、低価格コーヒーチェーンの草分けですが、競合のベローチェとの競争激化、コンビニコーヒーの台頭などにより苦戦を強いられているようです。

逆に、スターバックスやコメダ珈琲、タリーズなど価格帯が少し高いコーヒーチェーンは、店舗数を拡大しており、元気です。

ちなみにドトールグループは、傘下に星乃珈琲を持っており、こちらは好調だということです。

同じものを安く売る。というビジネスの期限切れ

要するに、コーヒーチェーンの成長を牽引し、客単価を向上させているのは、単価が高く居心地のいい空間を提供しているチェーンです。コーヒーや食事とともに、空間や時間にお金を払うような店ですね。

私も、長時間粘っても白い目で見られないコメダ珈琲はよく利用しますね。コーヒーの味はお世辞にも美味しいとは言えませんが、時間と空間には価値があります。

思えばドトールは町の喫茶店の半額以下の値段でそこそこ美味しいコーヒーが飲めるという衝撃とともに登場したチェーンでした。それが今は、いちばん安いわけでもなく、価格も味もそれなりです。

同じように「すげー安い!」と思っていた均一価格の居酒屋も、以前ほどの驚きがないばかりか、ちょっと値上げすると「宅飲みしようぜ」と言われる始末です。

同等の価値を思い切った低価格で提供する。というのはフォロワービジネスの王道ですが、真似されやすいし、期限切れも来ますので、仕方ないことです。

ドトールはずいぶん長く生き残っていると思います。いや、ドトールの店舗全部がダメになるとは言いませんが、普通なら賞味期限はもっと短いはず。

次の価値提供に向けて各社頑張っていただきたいと思います。





日高屋が苦戦、幸楽苑が復活って、どうなっているのか?

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日高屋と幸楽苑、いずれも関東に多い中華チェーンです。大阪人には馴染みが薄いですが、関東では日常的なお店です。

日高屋が苦境にあることは先日のブログでも書きましたが、上の記事では幸楽苑の好調さと比較する形で書かれています。

もっとも、この2社、ほんの1年前までは、好調の日高屋と不振の幸楽苑と伝えられていました。

ラーメンチェーン国内トップの幸楽苑はなぜ不振に陥っているのか

いま、全く逆の記事が書かれていることに飲食業界の激動ぶりがわかります。

日高屋 不振の理由


記事によると、日高屋の不振は、(1)値上げと(2)市場の飽和であるとのこと。

(1)値上げに関しては、またか!と言いたくなるほどお馴染みの理由です。低価格を売りにしたチェーンが、原材料費や人件費の高騰により値上げをする→客数が想定以上減り売上減、というパターンは、ここ最近のトレンドとなっています。

日高屋も業績が下振れ 「デフレの勝ち組」はどうなった?

要するに、原材料費、人件費コスト増が先にきて、脱デフレが追い付いていない状態です。これが一時的な現象なのか、あるいは低価格チェーンという業態そのものが限界を迎えているかはわかりませんが、軒並み厳しい状況に陥っているチェーンが増えていることは事実です。

(2)市場の飽和というのは、日高屋の特徴である関東の駅前立地に、同じ日高屋が増えすぎて、食い合いになっているということですから、作りすぎたわけです。

高度成長期のビジネスなら、関東以外にも一気に拡大していくところですが、ビジネスモデルが危ういと思われている現在、手を広げていくのは躊躇するところです。

幸楽苑 なりふり構わぬ生き残り施策


一方、業績が底を打った幸楽苑は、逆に好調だとみられています。

幸楽苑は、郊外ロードサイドに店が多いというこちらもファミリー層狙いの高度成長期に流行ったビジネスモデルです。

こちらもラーメンチェーンとしては、日本一の店舗数を誇りますが、ファミリー層そのものが元気のない時代に合わなくなってしまいました。ロードサイド店なので、日高屋のようなちょい飲み需要にも対応できません。

そこで、自社店舗を「いきなり!ステーキ」のフランチャイズ店にするというなりふり構わぬ施策に出て、あっと驚かせました。

あるいは280円ラーメンの復活や、チョコレートラーメンを作ったということですから、メニューや値段でもなりふり構わなさが出ています。生き残るためには、これぐらいしなければなりません。結果としてこの姿勢が奏功したようです。

人口動態的には、都心回帰が有利では


しかし、この流れがいつまでも続くとは思えませんな。

そもそも郊外のロードサイド店は、需要を失いつつあります。車の販売台数も減っています。ここが根本的に解決されていません。

一時的な復活はいいのですが、今後、長年にわたって生き残っていくためには、需要を捉えなければなりません。

2040年には、人口の4分の1が75歳以上になるといわれる日本ですから、やはり都心への人口集中が加速すると考える方が普通です。だとすれば日高屋の方が、有利な位置にいると考えます。

幸楽苑がそこをどう考えるのか、これからの施策をみていかなければなりません。






豊臣秀吉に学ぶ「人を動かす」秘訣

豊臣秀吉に学ぶ

(2019年4月18日メルマガより)




人を動かす。

というのは企業経営者や管理者にとって永遠の課題です。多くの方が、最も頭を悩ませているのではないでしょうか。

私だって同じです。正直にいって、戦略を立てたり、行動管理をしたり、といったことはある程度、システムが出来上がっています。たぶん、勉強した人がやれば同じような内容のものが出てくるはずです。

ところが難しいのは、立案した戦略を実行することです。正確には、その会社の皆さまに実行してもらうことです。実行してもらえなければ、戦略など画に描いた餅です。全くの無用な長物になってしまいます。

これが難しい。「戦略は作ったのだから実行はそちらの責任!」と開き直れたら楽なんでしょうが、そうもいきません。戦略は実行されて意味がある。そこに責任を持つのは、コンサルとしての良心の核心部分です。

かくして、私が最も頭を悩ませるのも、いかに人に動いてもらうか、その方法論です。

今回は、有名な戦国武将の分かりやすいエピソードを中心に、人を動かすヒントを考えていきたいと思っています。


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日本の戦国時代を代表する3人の天下人、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康は、性格もそれぞれ個性があって、何かと比較される存在です。

いずれも優れた人たちですが、人の扱い方にも特徴があって面白いと思います。


織田信長の「実力主義」


組織デザインやリーダーシップの研修などでよく語られるエピソードですが、豊臣秀吉が若い頃、清洲城の修復を任された話があります。


織田信長がまだ天下を窺う前、隣国美濃の攻略に手間取っている頃の話です。居城の清洲城の石垣が台風によって崩れるということがありました。

戦国時代のことですから、すぐに修復せよと信長は命じますが、いっこうにその気配がありません。訝しんだ信長が担当奉行に事情を聞いても、言い訳をするばかりで埒があきませんでした。

そこで信長は、担当奉行を更迭し、後任に木下藤吉郎をあてました。後の豊臣秀吉です。


ここに織田信長の人事の特徴があります。彼は、能力主義を貫き、身分の低い若手であっても大胆に抜擢する人事を行っていました。足軽出身の秀吉が、異例のスピードで出世することができたのは、秀吉の能力の高さがあるのはもちろんですが、それを引き上げた信長の慧眼があればこそです。

信長の人事の考え方は適材適所です。能力がある者を力が発揮できるところで働かせる。年功や家柄などは序列としない。今となっては当たり前のこの方針が、信長軍団を驚異の高生産性集団に変えていきました。

ただし信長には、合理的すぎて、人の気持ちを慮ることができない、しようとしない、という側面がありました。

功績のあった古参の家臣であろうと、働きが鈍くなってくると、降格させてしまう。極端なときは、追放してしまうこともありました。

どれだけ身を粉にして頑張っても最後には切り捨てられるのではないかという疑念を家臣に抱かせたことが、最終的には信長の命取りとなってしまうのですが。


天性の人たらし


いっぽうの秀吉は、天性の人たらしとして知られていました。上司であろうと、部下であろうと、関係先であろうと、あるいは敵であろうと、秀吉の人柄に魅了されなかった者はいないと言われています。

合戦の時でさえも、味方ではない陣営に"単身"で乗り込んで交渉を取りまとめてしまうようなウルトラCの離れ技をやってのける人です。その人たらしの能力は、大きな武器として活用されました。


信長に石垣の修復を命ぜられた藤吉郎は、石垣職人たちのもとへ酒を土産に訪れ、そのまま職人たちと酒盛りを始めてしまいました。

これが人たらしとして知られる秀吉のやり方です。仕事が進んでいないところに新しい上司がやってくるとなれば、叱られると思うのが普通でしょう。しかし秀吉は叱るそぶりもなく、明るい調子で酒盛りを始めてしまったのです。面食らった職人たちも次第に心を許し始めました。

酒が入った職人たちは猛然と前の上司への不満を言い始めました。人使いが荒い。横暴だ。叱るばかりでろくな指示がない。職人の腕を評価しないで全部自分の手柄にしようとする。

その不満をじっと聞いていた秀吉は状況を理解しました。要するに、彼らは、目標も手順も示されず、ただ働けと言われただけだった。しかも職人としての誇りも認められない。誰のために、何のために働かされているのか、わからないのに追い立てられていたのです。

情報もろくに与えられず、目の前のノルマだけ示されても、やる気にならないのは仕方ないことです。百歩譲ってそんな頼りない上司でも人柄がいいなら、この人のために頑張ろうと思えるかも知れませんが、それもない。ダメ上司の典型ですな。


ビジョンを共有する


職人の不満や愚痴を一通り聞き終えた秀吉は、雑談のような形で自分の経歴や境遇を語り始めました。

今でこそ織田家の普請奉行に抜擢された自分であるが、ほんの少し前までは貧しい足軽の身分で流浪の身であった。その先々では、サルのような容貌ゆえにひどく軽んじられ、虐められたこともあった。それなのに、織田家は実力主義で、自分のような者でも重用してくれた。誰にだってチャンスがあるのが織田家だ。それは当主である信長様の考え方なのだ。能力のある者が上に立つ織田家の権勢はこれからも揺るぎないだろう。

秀吉は、織田信長の偉大さや織田家の未来の隆盛を語りながら、誰にだって出世のチャンスがあることをそれとなく職人たちに伝えたのです。

「そこでだよ。お前たちの言い分も分かるがな…」今は戦国時代。しかも美濃と争いのさ中です。いつ攻められるかわかない状況で、石垣を崩れたままにしておくのがいかに危険なことか。

石垣修復という仕事が、信長にとって、織田家にとって、さらには織田家に属する自分たちにとっていかに重要なことであるかを語ったのです。

ここで秀吉がやったのは、働く目的を明確にする。という作業です。言い換えれば、皆で納得する目標を立てる。皆が共通のビジョンを持つ。ということです。何のための働くのか、誰のために働くのか、ということが切実であればあるほど、人はやる気になります。

まさに人間心理のツボを捉えた秀吉のやり方です。


絶妙な組織デザインとマネジメント


さらに秀吉は、職人を10個の小グループに分けることを指示しました。訝しがる職人たちに秀吉はこう言いました。

「気の合う者とグループを組め。気持ちよく仕事をすればいいぞ」

大集団で作業する場合、どうしても派閥ができやすくなります。あるいは集団にまぎれて楽をする者が現れます。そうした小さな積み重ねが全体の生産性を損ねていきます。しかし、気の合う仲間同士の小グループならば、それも起きにくい。責任の所在も明確です。今でいうアメーバ経営のようなことを提案したわけです。


秀吉は事前に石垣の状態を見て回り、作業場を修復の度合いが均等になるように10個の現場に分けていました。そのうえで、各グループにくじをひかせて、割り当てました。

「さあ、どの現場も作業量は同じだ。明日から、各グループで競争すればよい。トップのグループには、信長様から特別に褒美が出るぞ」

職人たちのプライドと功名心をくすぐるなんとも絶妙な仕掛けです。人心を知り尽くした秀吉の面目躍如といったところですか。

実をいうと、信長の褒美というのは秀吉の独断でした。しかし秀吉には勝算がありました。信長は、こういう新しい仕掛けを面白がる人なので、こころよく褒美にも応じてくれるだろう。

秀吉はその足で信長のもとを訪れました。果たして、秀吉の話を聞いた信長はその機知に大いに感心し、褒美など安いものだと了承しました。

やる気に火がついた職人たちの中には、その夜のうちから作業に入る者もいたほどです。かくして、遅々として進まなかった石垣修復は、わずかな期間に成し遂げられたということです。


叱るよりも効果的な態度


華やかで才気あふれる豊臣秀吉のエピソードに比べて、徳川家康はいくぶん地味な気がします。

三河の小大名として辛酸をなめた家康は、ことのほか家臣を大切にしました。というよりも、頼りにせざるを得なかった。一癖も二癖もある家臣たちを粘り強く味方にしていく様は涙ぐましいと思えるほどです。

当時の武士といえば、まだ農家の一形態です。自分の土地を守るために武装している人たちですから、何よりも我が土地が第一です。だから主人筋が頼りないなら、敵方に寝返ることも辞さずというものでした。

そんな我の強い家臣たちの信頼を勝ち得るためには、地道に粘り強くかかわっていかなければなりません。


家康がまだ若い頃、夜、ねぎらってやろうと酒と肴をもって宿直室を訪れました。ところが、本来3人いるはずの宿直がひとりしかいません。

ちなみに徳川家では、秀吉の小集団活動を参考にしたのか、すべての役職を複数人が務めるんが通例でした。だから宿直も3人です。3人いればとっさの時にも対応がしやすいでしょう。

そんな家康の考えを知らずか、宿直など1人いれば充分だと示し合わせて、あとの2人は遊びに行ってしまったのです。

さぞかし呆れたことでしょうが、頭ごなしに叱ることはしないのが家康です。それどころか、残った1人に対して「おまえも遊びに行け」とけしかけたのです。

「武士は戦場でも仲間同士助け合わねばならない。仲間割れがいちばんダメだ。だからサボって遊びに行くなら皆で行け」言っていることはむちゃくちゃですが、殿様が行けというのだから、行かなくてはなりません。

1人残った宿直は大慌てで遊郭に行って、残りの2人に事情を説明しました。みな、泡を食って戻ってきたのは言うまでもありません。

3人が帰ってくると、家康は宿直室でひとり酒を飲んでいました。平服する3人を見て家康はニヤリと笑い「では後は頼むぞ」と言って出ていきました。

厳罰を覚悟していた3人には何の咎めもありませんでした。彼らは、家康の懐の深さに大いに感じ入り、忠誠心を強くしたということです。


さすが「鳴かぬなら鳴くまで待とう時鳥」とうたわれた徳川家康です。一時の感情で短気を起こしたりしないものです。

もっとも家康は晩年、豊臣家の殲滅を急いでなりふり構わぬ理不尽な所業に出て、後世の評判を致命的に落としてしまいました。

おかげで徳川幕府は300年も続いたのですが、やはりこれは焦った家康のミスだったと思います。

1人宿直室で飲んでいた頃の家康の我慢は、人生の最後には発揮されなかったようです。全く残念なことですな。



※上記2つのエピソードは、童門冬二の「『人望力』の条件」を参考にしました。少し脚色していますが、よしなにお願いいたします。

餃子の王将の課題は日本の飲食チェーン全体の課題

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王将の記事は久しぶりですね。

王将といえば、2013年に現役社長が本社の前で射殺されるという前代未聞の事件に襲われ、そのショックからかしばらく業績が低迷しておりました。

昨年あたりから徐々に回復してきており、久々の明るい記事です。

王将の業績回復の理由


記事によると、業績回復の理由は主に3つ。

(1)主要原材料を国産に変えた。

(2)餃子の皮つつみをセントラルキッチンでするようにした。

(3)「王将調理道場」を開設した。

国産原材料の使用


原材料を国産に変えたというのは、安心安全を重視するファミリー層にアピールするものです。

王将じたい学生や労働者をメインターゲットにして成長してきた企業ですが、少子高齢化の時代に適していません。女性やファミリー層を開拓する必要があり、その施策の一環です。

このほかにも、ニンニク抜き餃子をメニュー化したり、女性向けの別業態店を作ったりと工夫をしています。

餃子の皮包みをセントラルキッチンに移管


餃子の皮を店で包まない、というのは、人材対策です。王将はこれまで各店舗で調理することにこだわっており、餃子も皮つつみもその一つです。

ところが店内作業が増えると、従業員の負担が増します。従業員に負担をかけると店の雰囲気は悪くなるし、辞める人も多くなります。労働力不足の現代には厳しい事態です。

王将調理道場


王将調理道場というのは、従業員に料理のコツを教える研修場です。

王将は、良くも悪くも、ラフな運営をしてきており、調理についても現場で覚えろという姿勢を持っていました。だから店によって味がバラバラということもありました。

その分、店側に裁量があり、メニュー開発も自由で、活気を生んでいるという側面もありました。

さすがに、味のバラつきがひどすぎるということで、研修センターを強化したのでしょう。いい部分を残しながら、基本メニューの味は統一しようというわけですね。

日本の飲食チェーン全体に通じる課題


と、こうしてみてみると、王将の課題は、日本の多くの飲食チェーンの課題であることがわかります。

記事には、王将創業者の言葉として

『オレは庶民に、お腹いっぱい食べてもらいたい。そんな店をつくるんや』

と書かれています。しごくシンプルでわかりやすい理念です。実際、学生や労働者が多くいたので、その理念は多くの人の心を捉えたのでしょう。

が、今は違います。人口減少時代であり、労働力不足の時代です。顧客ターゲットも変えなければなりませんし、労働環境や教育制度も変えていかなければなりません。

典型的な問題だけに、その解決方法も、お手本のようですな。

創業以来のこだわりが聖域化しているが…


餃子の皮を店で包む、というのは、創業以来のこだわりだったのでしょうね。しかし、そのこだわりは、どこまで顧客に伝わっているのでしょうか。

これを考えるに、鳥貴族の串うち(鶏肉を串に刺す作業)や、丸亀製麺の店内製麺も、考え直した方がいいのではないか?

鳥貴族の串うちは労働コストを押し上げているし、丸亀製麺の店内製麺は場所の制約となっています。

なんとなく、手作業でする方が美味しい、店内製麺は美味しいと思わされているが、本当にそうなのだろうか。

こういう聖域にメスを入れることも必要なのではないかと思う次第です。









タクシー業界が危機感MAX 生き残れるのか?

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「白タク」を一部認める


日本版ライドシェアとは、国土交通省が打ち出した「自家用有償運送制度」拡充のことです。

「自家用有償」とはバスやタクシーなど公共交通不在の地域に限って、白ナンバーの自家用車であっても、有償で旅客を運べる制度だ。

いわゆる白タク行為を、一部認めるという制度です。

公共交通不在の地域に限って、というところが、相変わらず既存のタクシー会社等に配慮した内容となっていますが、一部でも認められたというのはいいことです。

なにしろ地方の過疎地では、高齢者が増えているわりに交通手段が不足しています。既存のタクシーでは採算がとれません。だから地元の人がマイカーで運賃をとって運ぶ制度があれば、ある程度の需要の受け皿になるはずです。

(外国人観光客も自家用有償制度の対象にすべきだと思いますが、これも後々規制緩和されてくるのでしょう)

「事前確定運賃」の導入


タクシーに関しては、「事前確定運賃」の導入を解禁する、という報道もありました。

タクシー運賃、事前に確定 乗客の不安解消  国交省 全国で解禁、年内にも

「事前確定運賃」は、配車アプリありきの制度となるでしょう。

ユーザーが配車アプリ上で、現在地と目的地を設定すれば、運賃を計算し確定してくれるようになります。妙な回り道をされて高値請求されることもありませんから安心です。

逆にタクシー側とすれば、渋滞の時とか、時間がかかるわりには上乗せ運賃をとることができず、一時的には損をすることもあるでしょう。

しかし、全体的には生産性の向上につながるはずです。なにしろ現在のタクシーは空車で流したり、客待ちをしたりする時間が多い。そんな無駄をなくすためには、配車アプリによるマッチングが欠かせません。

既存のタクシー会社は、配車アプリを認めると、白タクや相乗りが横行してタクシーの需要がなくなってしまうと危機感を持っているのでしょうが、ユーザーの利便性からいっても、流れは止められません。

時代に抵抗するよりはタクシー会社自らが革新的なビジネスに取り組んで、存在意義を作っていかなければなりません。

自動運転車が普及しても生き残れるのか


ちなみに業界最大手の第一交通は、事前運賃制度の導入をいちはやく表明しています。

第一交通、事前確定運賃や相乗り参入 19年度にも 

同社は最大手にもかかわらず、配車アプリの導入、ウーバーや滴々との提携などを積極的に行っており、業界の行く末に対する危機感が伝わります。

自動運転車と自家用有償が普及すれば、基本的にタクシーは不要になりますからね。

そうならないために、生き残りに必死にならざるを得ません。






令和のランチェスター戦略

令和のランチェスター戦略

(2019年4月4日メルマガより)



新元号「令和」が発表されました。

元号なんて何でもいいやろ、と冷めた目で見ていた私ですが、いざ発表されるとなると気になるものでした。

しかも新元号が万葉集の一節から引用したものであるという説明を聞けば、いい言葉だなあと思えてきます。

世間的にも概ね好意的に捉えられているのではないでしょうか。

せっかくなので、これを契機に、社会の在り方を推し進めるような本当に新しい時代が始まってほしいものです。


■先日の「戦略勉強会」では、前回のメルマガをとりあげました。

勉強会で自分のメルマガを題材にすることはあまりないのですが、今回は敢えてとりあげました。


ここには「フォロワー」という概念が書かれています。

フォロワーというのは「1位になる気のない2位以下の事業者」のことです。

1位になる気がないというのは、たいして儲けようとは思っていないということです。

その代わり楽です。フォロワーは、儲かっていそうな会社の二番煎じをしたり、おこぼれをもらったり、お手伝いをしたりしながら、せこく儲けることを是としています。

なんていうとネガティブな言い方になりますが、多くの中小零細企業がフォロワーの立場をとっています。

私だって同じです。生き残るためにはなりふり構っていられません。

誰もがナンバーワン企業になろうと志向するのは当然ですが、みながうまくとんとん拍子に進むわけではありません。

時には生き残るために、二番煎じをしたり、おこぼれをもらったり、親分会社の機嫌取りをしなければならないこともあります。

サバイバルは永遠に続きます。フォロワーとして小さな需要を拾い、生き延びながら、それだけで安穏とすることなく、トップ企業になれる大きなチャンスを虎視眈々と狙う。

これが小さな会社のサバイバル術です。


■私は「創業塾」も担当していますので、独立志望者を多く見てきています。

「戦略勉強会」に来られる方も、独立者や志望者が増えてきています。

そんな時、あまり綺麗な戦略理論ばかりお伝えするのは危険だと感じることがあります。

実際の経営は想定外の連続ですし、例外だと思いたくなるようなことばかり起こります。その中で生きていくには、相当のしたたかさや創意工夫や行動力が必要となります。

戦略理論にないこともトライすることで展望が拓けることがあるのです。

そんな思いをこめて書いたメルマガですし、勉強会でも強調しました。


やはり時代が変わると、社会の雰囲気も変わるのでしょうか。

最近、私の周りでも、独立しようと考えたり、実行したりする人が増えてきているように思います。

停滞状況が続いた平成時代が終わることで、多くの人に新しい挑戦をしようという機運が作られてきているのでしょうか。

今日のメルマガは、そんな新しい時代への期待をこめて書いております。

ぜひ最後まで読んでくださいね。


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新元号「令和」が発表されたので、平成の終わりが一気に近づいた気がします。

元号が変わったからといって、何が変わるわけでもないんですが、やはりここ数日のお祭り騒ぎをみていると、終わりと始まりという節目があるのかなと感じてきました。

区切りをつけて一定期間を振り返るのは、悪いことではありません。

そういう意味では、30年単位の振り返りの契機となる今回の改元は、多くの人にとっていい機会となるのではないでしょうか。


平成くん、さようなら


私の場合、今年初めのメルマガで既に平成をふり返りました。


平成という時代は、端的にいうと日本が停滞した時代です。

バブル経済崩壊後、日本はこれといった構造改革をせずに過ごしてきました。

その間、アメリカは引き続き、中国は新たに、凄まじい勢いで経済規模を拡大していきました。

マラソンの競技中に、1位と2位が猛然とスパートをかけたのに、3位は変わらぬペースで悠々と走っている状況です。

なぜ日本はスパートをかけないのか?

既得権益者の力が強くて動けないという側面もありますし、一般の人自身が今まで通りのやり方、在り方を好むという側面もあります。両方でしょう。

ただ順位が下がるだけならそれほど問題ではありません。国際的地位が多少低下するぐらいです。

が、日本は類のないスピードで少子高齢化に進んでいる国です。

少数の若者が大勢の老人を支えなければならないいびつな国が、破綻せずに続けることができるのでしょうか。

国際的なランキングよりも、内部崩壊しかねない危険性を孕んでいることが問題です。

破綻を避けるためには、国の在り方を根本的に変える必要があるのです。


日本人の勝算」を書いたデービッド・アトキンソン氏は「日本人は初動は鈍いが、一度動き出すと驚くほど完璧にやってしまう」と言っています。

そうなればいいのですがね。

そういう意味では、元号が変わるのはいい機会になるかも知れません。

多くの人が気持ちを新たにして、挑戦しよう、変えようと思うことで、初動の鈍い日本人が動くきっかけになるのかも知れません。


起業する人が増えている気がする


そういえば。というと、出来過ぎな話に聞こえるかも知れませんが、最近、私のまわりで独立する方が増えてきています。

「戦略勉強会」に来られる方々も、いつの間にか、大半が独立を志向するようになってきました。

若い方もおられますし、定年で独立する方もおられます。

何かそういう時代的な気分というものがあるのでしょうか。

私は必ずしも、独立することが素晴らしいという価値観は持ち合わせていません。独立者であっても会社員であっても生き抜くことが大切だと思うからです。

でもせっかく独立したのならば、一定の成功は収めて、それを維持していただきたいと思います。

おまえのアドバイスなんていらん!と言われるかも知れませんが、そういうお節介が私の仕事です。

まあ平成時代をサバイバルした者の意見も聞いてください。


最も重要なポイントは「勝てる局面で戦う」こと


私の考え方のベースには、ランチェスター戦略があります。

サーモスが世界トップ企業になる過程でその威力を知り、その後のコンサルティング活動の中で、活用方法を学んだ戦略です。

よく知られた戦略なので、弱者の戦略とか差別化とか集中とか、一部分を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

ただその体系を学んだ人はあまりおられません。

だから、単に差別化すればいいとか、集中すればいいとかいうものではないことをご理解していただきたいと思います。


ランチェスター戦略の重要ポイントは、何よりもまず「勝てる局面で戦う」という考えです。

精神論や勢いだけで戦いに身を追いやってはいけません。ギャンブル的な挑戦も否です。戦うからには勝たなければならないのです。確実に勝てる時のみ戦う。これがランチェスター戦略の教えです。

そんな後ろ向きなことを言うな。挑戦こそが大切だろう!と反発される方がおられるかも知れませんね。

そう思う方は、どうぞ挑戦してください。運がよければ成功するかも知れませんよ。しかし、私や、私の支援企業には、運任せの挑戦などありえません。

戦いが始まった時点で勝負がついていることが殆どなのです。

これは「孫子の兵法」の考え方でもあります。


局面を見つけるためには、有効なデータが必要


あるいは「勝てる時に戦うって、当たり前の話やん」と言う人もいるでしょうが、これがなかなか簡単ではありません。

「勝てる局面で戦う」ためには、自分の能力、敵の能力や思惑、市場の状況をよく理解しておかなければなりません。

市場=顧客のことは、特に詳細に知っておく必要があります。

今の顧客は複雑です。年齢や性別だけの属性で分類してもニーズは一律ではありません。日によって、時間帯によって、気分が変わり、求めるものが違ってきます。それを把握することが「局面」を知ることです。


いま、私が支援している会社にも、顧客データを収集することを徹底してもらっています。

最初は「そんなことより、ランチェスター戦略としてのアドバイスをくれ」などと言われましたが、その発言は全くの誤解です。

ランチェスター戦略は、そもそも、戦う前のデータを徹底して収集することを教えています。

最初は意味のないデータを収集していると思えても、データをもとに作戦を立てて試行し、さらにデータを集める、この繰り返しで有用なデータは集まってきます。

いや、こうした繰り返しでしか、戦略に有効なデータは集まってきません。


トライアル・チャレンジ


「データばかり集めてたら行動できんやないか!」と怒る人がいるかも知れません。

それはそうです。行動しなければ何も始まりませんよ。

そのために、トライアル・チャレンジがあります。これは私の造語ですが、要するに、大怪我しないような規模でテスト的に挑戦してみることです。

最初は思いつきでも構いません。あそこに新たな需要がある。大手企業の手薄な場面がある。競合不在の市場がある。と気づいたならば、とりあえずビジネス展開してみないと始まりません。

机上の計算ではわからないことがビジネスには多いものです。

自動運転車の公道実験をするようなものです。自動運転車の開発で何より重要なのは、誰も想定できないような万が一の事故の可能性をいかに把握しておくかです。

それは他のビジネスでも同じです。やってみないと新規ビジネス開発の遡上にも乗らないのです。


この部分は中小零細企業に優位性があるはずです。大手企業ならある程度の規模や採算性がとれる算段がなければテスト的な挑戦もできません。稟議を通すのに時間もかかります。

が、小さな会社なら、思いついたら即日、やってみることができるはずです。いや、それぐらいのスピード感がなければ、生き残れませんから。


トライアルでは成功も失敗もない


トライアルで成果がでなくても仕方がありません。逆に成果を上げることができても慢心してはいけません。

その挑戦はあくまでトライアルです。有効なデータをとり、本格的な新事業開発をするための準備であることを忘れてはだめです。

戦略には資源配分を伴います。人を割り振って、予算を割り振って、お金をかけて、事業展開していきます。

資源を割り振るには、勝てるという算段がなければだめです。その算段をつけるためのトライアルであることを忘れてはなりません。

それなのにちょっとうまくいけば慢心してデータをとることもせずに、通常運転化してしまう人がいます。

あるいは、よく考えることもなく、一発勝負に出る人もいます。

そういう方は経営に向いていないと思います。気を付けてください。


実行はクレイジーに


さて勝てる局面であることを確信し、本格的に取り組む際はどうするのか。

その場合は、とことんやり抜かなければなりません。

戦略が決まって、実際の行動フェーズに入ったならば、あれこれ迷っていてはだめです。そんなことでは何も達成できません。

行動時には、手段を目的化するぐらいのクレイジーさが必要です。

つまり「これをする!」と決めたならば「そもそもこの行動にどういう意味があるのか?」など考えずに、やりきらなければなりません。

1日10件訪問する!と決めたならば、その10件に意味があろうとなかろうと、時間があろうとなかろうと、顧客が不在であろうとなかろうと、10件は訪問しなければならないのです。

決めたことは全部やる。絶対にやる。というのがランチェスター戦略の流儀です。

だから、絶対に勝てる局面でなければならないのですし、それを見つけるために詳細なデータを持っておかなければならないのです。


勝てる局面が見つからなければ、戦ってはいけない


もし、本格的な戦略方向性とするような「勝てる局面」が見つからなければどうするのか?

そういう場合もあるでしょう。

その場合は、前回のメルマガの通り、フォロワーとしてサバイバルしていってください。

市場をよく見て、理解して、小さなチャンスを拾いながら生きていくフォロワーの戦い方も、覚悟を決めれば、立派な生き方です。

流れるまま受け身にサバイバルしているのでは、危ういことこの上ありませんが、意識してフォロワーの立場にいるならば、それは戦略です。

その中で、勝てる局面を見つけることを常に忘れず、データをとって、市場の動きと自社の強みと競合の能力と思惑を把握するようにしてください。

くれぐれも無謀な勝負だけはしないように。


令和のランチェスター戦略 3つのポイント


ランチェスター戦略の体系はもっと広く深いものですが、今日はこれだけ言っておきます。

(1)なによりも「勝てる局面で戦う」こと。勝てる局面が見つからなければ戦うのは禁物です。フォロワーとしてサバイバルするのが身のためです。

(2)勝てる局面を見つけるためには、トライアル・チャレンジを行って、有益なデータを収集すること。

(3)戦略が決まれば、あれこれ考えずに、とことん実行すること。途中で投げ出すのは、禁止です。絶対にやりきってください。


前々回のメルマガで、日本企業の致命的な欠陥は生産性が低いことであるという話をしましたが、それは要するに、儲からないビジネスを我慢して続けているということです。

それぞれの企業が自社の強みをいかして「勝てる局面」で戦うことができれば、儲かるようになり、生産性は上がります。

政府の政策にも期待したいところですが、それ以上に各企業の取り組みや姿勢が重要です。

ランチェスター戦略によって、日本企業の国際的な問題が解決されるなら、専門家としてこれ以上の誉れはありません。


令和は、中小零細企業の時代


令和の時代、日本は人口減少と少子高齢化が本格化していきます。

かつての王道であった「いいものを安く大量に作って売る」というビジネスモデルは通用しなくなっていきます。

あるいは、一定の成果を出したからといって、それを一律に全国展開していく国内拡大路線は成功しにくくなっていきます。

ビジネスごとに適切な規模、適切な消費期限を把握しなければ、ちょっとした油断で破綻する危険性を孕んでいます。

そういう意味では、大きな需要規模を必要とせず、動きの早い中小零細企業の方が、むしろ動きの鈍い大企業よりも優位性を持つことができるではないかと考えます。

そのためにも、小さな会社は戦略を持たなければなりません。ナンバーワン企業を狙うにしろ、フォロワーとしてサバイバルするにしろ、です。

戦略がなければ生き残れません。

ジョブズの魔法は消えかけている アップル

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アップルの前期(2018年6月期)の業績は、売上高約2656億ドル(約29兆円)、営業利益約709億円(約7.8兆円)です。

近年、iPhoneの販売低迷が言われているとはいえ、30兆円もの現金資産を保有している超優良企業であり、株式時価総額でも常に世界トップクラスにあります。

そんなアップルも、かつては業績低迷して、身売り寸前までいったことがありました。

校回復したのは、一度、追放されたスティーブ・ジョブズが復活してからです。稀代のイノベーターであるジョブズは、iMac、iPod、iPhone、iPadと革新的な商品を次々と上梓し、今日の礎を築きました。

ジョブズが亡くなったのが、2011年。

そのあとを継いだティム・クックCEOのもと、アップルは世界トップ企業に駆け上がっていきました。


記事では、根っからのイノベーターであったジョブズと、オペレーションのプロであるクックという図式で書いています。

開発力にかけては他の追随を許さないジョブズも、製造や在庫、物流の管理等が得意ではなく、せっかく売上をあげても、多大なコストを垂れ流していた。が、オペレーションが得意なクックが、その部分を締めたために、アップルは莫大な現金を積み上げるに至った、というわけです。


アップルの業績は、クックの功績か


アップルの業績推移をみてみると、確かにジョブズが亡くなる前後あたりから急激に売上高が伸びています。

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しかし、それ以前から、売上高も利益高も利益率も急激に伸びています。これは、それまでのジョブズの取り組みが功を奏したということで、功績はやはりジョブズにあると考えた方がいいでしょう。

彼がオペレーションを苦手にしていたというのはその通りでしょう。しかし、それは自身も理解していたはずです。だから、クックを後継者に選んだのです。

記事の著者がいうキャッシュ・コンバージョン・サイクルも、ジョブズ時代の後半から急速に好転しており、クックは、その流れを加速させていったというわけです。

iPhoneが代表ですが、ジョブズの残した商品は、それだけ革新的で強かったということです。逆に余計なことをせず、現存の製品を販売することに専念してきたからこそ、現金を積み上げられたという側面もあるはずです。

もしジョブズが生きていれば、次のイノベーションのために社内をひっかきまわすので、これほどの業績を上げられなかったかも知れませんし、二度目の追放を受けていたかも知れませんよ。

ジョブズの遺産がいつまでもあるわけではない


ただジョブズなきあと、アップルが革新的な商品を生み出せなくなったというのは、散々指摘されてきたことです。

ジョブズが生きていて、クックと二人三脚でやっていればなおよかったのでしょうが、亡くなったのだから、仕方ありません。

iPhoneも2007年の発売から10年以上が経ち、革新性は薄れてしまいました。そろそろアップルも脱iPhoneを果たし、次の戦略を立てなければ、まずい段階に入ってきたと思います。


関係ないですが、量産オペレーションに苦しんでいるテスラは、クックのようなプロを雇いたくて仕方ないでしょうね。

テスラの新車は340年待ち?量産能力がなさすぎる

イーロン・マスクも、商品の開発に関しては天才ですが、そのあとの地道なことに苦しんでいるようで、このあたりスティーブ・ジョブズとそっくりなので面白いものです。





日高屋も業績が下振れ 「デフレの勝ち組」はどうなった?

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安くて、美味しいは鉄板のはずだったのに


最近、飲食チェーンの業績悪化がよく伝えられますね。

このブログに書いただけでも

吉野家はいつ根本的な施策を打ち出すのだろうか

東京チカラめしの衰退が必然であった理由

いきなり!ステーキも人口減少の局面には贖えないのか

そのほかにも、

なぜサイゼリヤの客離れが止まらないのか

鳥貴族の今期、上場来初の最終赤字 客数低迷、中計も取り下げ 

いずれも、デフレの勝ち組といわれた「安くて美味しい」を提供するチェーンです。

デフレ時代のビジネスモデルは通用しなくなったのか?と思いたくなりますが、日本がデフレを脱却したかというとそうではない。

実質賃金はむしろ下がっていて、さらに安いものを消費者は求めているはずです。


低迷の理由も様々です。

人件費の上昇に、ビジネスモデルそのものが耐えられなくなっていると思われる吉野家の例。

急速な規模拡大にオペレーションがついていかなくなったのではないかと思えるいきなり!ステーキや鳥貴族、東京チカラめし。

サイゼリヤはよくわかりません。

が、いずれも、人口減少による大きな社会環境の変化が背景にあることは間違いありません。

日高屋、おまえもか!


で、今回は日高屋です。

やはりデフレ時代の勝ち組といわれていたチェーンですよ。

屋台のような感覚で駅前マーケットを開拓 ハイデイ日高

大阪には馴染みのない日高屋ですが、関東にはけっこうあります。

同社は、駅前屋台のように安くてちょっと飲める店をコンセプトに店舗拡大していきました。屋台なので、ラーメン屋さん、中華やさんです。

駅前立地であること、およびちょい飲みに対応していることが、人気の要因です。

ターゲットをファミリーにしたお酒を出せないロードサイドの店が低迷している中、日高屋は収益を上げていたはずでした。

が、今回、業績予測を下回る収益となったようです。(増収増益は維持)

その要因として挙げられているのが、従業員の賃金上昇、人手不足による新店出店抑制、働き方改革によるちょい飲み需要の低下、ですね。

抜本的な戦略の立て直しが必要

こうしてみると、飲食チェーンについては、経営環境の地殻変動がそうとう進んでおり、従来の成功モデルが効かなくなっている様子が読み取れます。

つまり、外国人留学生を雇うとか、食材コストを減らすとかという対処療法では、業績を維持できないということですよ。

顧客が減ったというのは、顧客側に来店する理由がなくなったということです。来る理由のない顧客に「安いですよ、美味しいですよ」と言っても、響きません。それならば、来店する意味を読み取り、対応していかなければなりません。

変化してしまった消費者の行動を先読みし、そこに向けて価値を提供する、要するに、戦略を作り直すことが求められるわけです。

ニーズは移ろいやすい。というのは世の常とはいえ、そこにビジネスを組みなおしアジャストしていかなければならないチェーン各社はこれから大変です。

こういう時、姿を変えやすい小さなビジネスでよかったと思う次第です。






攘夷で団結した国内企業連合(自動車産業)

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MaaSが自動車産業の主役になる


MaaSとは、モビリティー・アズ・ア・サービス(Mobility as a Service)の略で、自動車などの移動手段を保有せず、必要なときだけ料金を払い利用するサービスの総称です。

海外ではウーバーテクノロジーズが、個人の車の「相乗り」を仲介するビジネスを行っています(日本では白タク行為として禁止されています)が、それが現状、MaaSの典型例です。

他人の車に相乗りさせてもらうのは気乗りしないという人も、無人の自動運転車などが普及してくれば、気兼ねなく利用するようになるでしょう。

そうなると、自動車の社会的な台数じたい大幅に減少しますから、自動車メーカーとすれば存亡の危機です。

だから将来的には、使用料を受け取るMaaSを運営する会社が、自動車産業の主役になってくると考えられています。

すなわち、ウーバーや滴滴やリフトなど。あるいはグーグルやアップルやアマゾンなどのIT企業が自動車産業を牛耳るようになるかも知れません。

黒船の襲来に、国内企業が団結


トヨタとソフトバンクが組んで、MaaSを運営する会社、モネテクノロジーを設立しましたが、その会社にライバルであるはずのホンダも出資するというのは、海外勢にビジネスのおいしいところを持っていかれるのではないかという国内勢の危機感の現れです。

自動車会社だけではありません。小売や物流や不動産会社など90社が連携をすると発表されています。

これは、自動運転車が普及するようになると、タクシーやバスなど交通機関だけでなはく、宅配や移動販売車、あるいは駐車場の設計などにも影響を及ぼすからです。

なにしろ自動車は主要産業であるだけではなく、社会インフラの根幹ですから、影響は多大です。記事では、世界で150兆円以上の市場規模になると試算されています。

公道での実証実験が進まなければ…


ソフトバンクはウーバーにも滴滴にも出資しており、グローバルなMaaS対策には抜かりなかったようですが、今回はトヨタの危機感に応えて、立ち上げに参加した形です。

もっとも先行するアメリカ勢や中国勢は、国をあげて実証実験に取り組んでおり、相当先に進んでいます。

日本は、公道での自動運転の実験を認めない自治体が多いので、実験場所に困っています。

自動運転の安全性を高めるには、実証実験が欠かせません。机上の計算でできる部分は、各国ともやり尽くしており、後は実際の道路における万が一のケースをいかに拾い上げ、対応していくかです。

せっかく日本勢が団結したのだから、早晩、実証実験の規模拡大をする必要があります。

永らく日本の自動車企業に煮え湯を飲まされてきたアメリカや中国は、いまこそ主役になる時だ!と息巻いています。

日本が、今までどおり自動車産業の中心であるためには、ここが正念場であるというのは確かでしょう。





いきなり!ステーキも人口減少の局面には贖えないのか

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「いきなり!ステーキ」の不振については、「いきなり〇〇!」みたく大喜利のようなタイトルが目立ちますな。

内容も辛辣なものが目立ちます。

いきなり!脅威の急成長


「いきなり!ステーキ」は、ペッパーランチの創業経営者一瀬邦夫氏が、「俺のフレンチ」などの立ち食い飲食店からヒントを得てはじめた低価格ステーキ店です。

シリアルアントレプレナー「ブックオフ」「俺の」創業者の成功パターン

肉は量り売り。基本立ち食いで、回転数を高めて、低利益を客数でカバーするビジネスモデルです。

これが当たりました。「俺の…」と同じですが、高級肉のステーキが相当の低価格で食べれるとなれば、肉好きの人は放っておきません。

しかもフレンチと違って、ステーキには一流シェフは不要ですから、フランチャイズ展開に向いています。

2013年にスタートして、2018年には386店を達成。特に昨年からは、ブームといってもいい様相でした。

拡大を急ぎ過ぎたか?悪材料が噴出


ところが、今年になって失速が伝えられるようになりました。既存店売上高は11カ月連続マイナス。出店の増加によって売上の拡大を続けている状態です。これは早くも、成長のピークを過ぎたのではないかというわけです。

運営側は強気で、昨年がブームで良過ぎただけだ、まだ成長余地はある!と主張しています。

昨年が良過ぎたというのは事実でしょうが、だからといって、ピークアウトしないとは言えないと考えます。

常識的に考えて、人口減少に舵を切った日本で、高度成長期のような拡大路線が維持できるはずがありません。

それに運営が難しいシステムではないので、競合他社がすぐに現れました。これからも続々出てくるでしょう。

それがわかっているこそ、調子のいい時に一気に拡大してシェアをとれ!という姿勢があるのでしょうが、急拡大すぎるきらいがあります。

出店を急ぎ過ぎて、既存店舗同士が食い合いを起こしているという記事もあります。だとすれば、フランチャイジーにすればたまったもんじゃありません。いきなりコンビニ状態か!ってなもんです。

成長余地を求めて海外進出しましたが、アメリカでは、立ち食いという業態そのものが受け入れられにくく、苦戦を強いられています。

立ち食いなのに、たいして安くない


いきなり!ステーキの不振として、もうひとつ指摘されているのが、値段が高くなったということです。

スタート時からグラム2円は値上げしており、300グラムのステーキでいうと、600円分の値上げとなります。

600円というとランチが食べれますよ。大して安くないやん!といっせいに突っ込まれています。

これは人件費の高騰に応じた値上げなのでしょうが、スタートから5年程度で値上げに走るとは、そもそも最初の値段設定が間違っていただろうと言いたくなります。

システマティックな大規模チェーンはもう限界?


最近、低価格チェーンの不振が目立ちます。鳥貴族も値上げをきっかけに、不振が伝えられるようになりました。

サイゼリアも前年割れを起こしています。

吉野家も盛大な赤字を出しましたし、他の店もいつ赤字になるかわかりませんよ。

要するに、メニューを絞って人件費も削ってギリギリの収益で運営するデフレ時代の優等生だった大型チェーンの不振が目立つわけですな。

値上げはいや、メニューが変わり映えしないのもいや、というのも困ったものですが、顧客とはそういうものです。応えていかなければ、生き残れません。

変化の激しい局面では、水も漏らさないようなシステムは弱点になります。少々、隙があっても、変化に柔軟に対応できる姿勢がいまは必要なのでしょうね。

「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である」

と言ったのは、進化論を唱えたダーウィンでしたね。

ビジネスでも、システマティックな大規模チェーンではなく、創意工夫ができる余地のある小規模店が、優位なご時世なのだと思います。

参考

いきなり!ステーキ、いきなり業績不振へ。値上げしたら負ける国内デフレの深い闇=今市太郎

「高くなった」いきなり!ステーキ、1年で店舗数倍増→“客の共食い”で深刻な客離れの懸念






東京チカラめしの衰退が必然であった理由

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一時期100店舗あった東京チカラめしが現在は8店舗になったそうです。これはほぼ壊滅的な状況ですよ。

赤字続きで惨憺たる状況


東京チカラめしというのは、焼き牛丼を主力メニューとする飲食チェーンです。牛丼屋さんですね。牛丼大手3社(すき家、吉野家、松屋)は煮て味付けした牛肉を使用していますが、焼肉を丼にしたというのは珍しい、ということで人気を博しました。

運営する三光マーケティングフーズは、東京チカラめしを収益の柱に育て上げようと力を入れてきましたが、失敗してしまった形になりました。

ちなみに三光マーケティングフーズは、「金の蔵」や「月の雫」といった業態店を運営していますが
ここ数年赤字続きで惨憺たる状況です。

同社にとって東京チカラめしは期待の新業態だったでしょうに、それだけに拡大展開を焦ったのかも知れません。

人手不足は前提条件


記事では「人手不足を言い訳にしている」的なことが書かれていて、面白いと思いました。

店舗を拡大すれば、それだけ人材が必要になりますが、この人手不足の現状で優秀な人材を確保するのは困難です。初心者でも対応できるような完璧なオペレーションシステムや設備があればマシなのでしょうが、後発の三光フーズにはそれがありません。苦しい展開を強いられたことでしょう。

人手不足は、牛丼大手3社も同じです。すき家にしても吉野家にしても、人材確保ができずに、深夜営業を見直したり、オペレーションを改革したりしています。

かつてミスター牛丼といわれた吉野家の安部修二元会長は、元ミュージシャン志望で、アルバイトとして入った人だったそうです。これが象徴しているように、かつて成長期の日本には、優秀なアルバイトを確保できる余地があり、そうした人材を前提に労働集約的なビジネスを組み立てることができました。

すき家の急拡大時期は、2005年頃からです。すき家も後に、人材確保や育成が追い付かずに、急拡大の歪が指摘されるようになりましたから、このあたりが岐路だったのでしょう。

東京チカラめしがスタートした2011年には、既に大手3社の寡占ができあがっていたこともあり、人材確保はできないわ、教育は追い付かないわ、オペレーションシステムが未熟なのでコストはかかるわという状況なのに、大手の一角を占めるべく急拡大路線に走りました。いわば弱者が強者のビジネスを模倣しようとしたわけで、フォロワーの戦略です。

それでも生き残る!小さな会社のサバイバル術

市場縮小局面において、フォロワーがはじきだされるのは自明のことです。

「安く、大量に」からの脱却


ということで人材不足は東京チカラめしだけではありません。牛丼大手3社もギリギリの収益でやっているので、何かのはずみですぐに赤字になってしまいます。特に賃金上昇は収益に直結します。

「安く、大量に」ではビジネスが成立しにくくなっているご時世ですから、体力のない後発チェーンが押し出されるのは自明のことです。

吉野家は過去の栄光を捨て去れるのか


むしろ東京チカラめしは、撤退の決断が早かったのかなと思います。

大手チェーンはこれまでの収益をもとに、自動化なり価格上昇施策なり業態転換なりをして生き残りを図っていくでしょう。

しかし小さい会社はその真似をするわけにはいきません。というよりは、今の経営環境にあわせたビジネスを組み立てることができるわけで、自由度は高くなります。

「安く、大量に」では成り立たないことを前提としたビジネスでなければなりません。

これを機に、新しい時代のビジネスを作っていってほしいものです。





それでも生き残る!小さな会社のサバイバル術

サバイバル術

(2019年3月21日メルマガより)



■前回のメルマガには過分な反響をいただきありがとうございました。


簡単に振り返ります。

世界でも類を見ないほどの人口減少に見舞われる日本が大変な危機に瀕していることは、疑いようのない事実です。

だからこそ我々は、危機を正視し、適切な振る舞いをしなければなりません。

現在の日本の経済は、1億人を超える人口に支えられています。この人口が減少すれば、経済規模が縮小し、税収も減るので、莫大な借金を返済することができなくなりますし、高齢者の福祉に回すお金もなくなります。

いま我々がしなければならないのは、一人一人の生産性を上げることです。なぜなら、日本の一人当たりGDPは、世界29位に過ぎません。これは先進国最低レベルです。

人材の質は世界4位とランクされているのに、一人当たりGDPが低いというのは、やり方が悪いということです。

やり方=戦略だと私は捉えています。

収益カツカツの事業を苦労して続けていても、劇的な売上向上は望みにくい。従業員を苦労させるだけです。

それよりも、それぞれ企業規模に応じて、成長性のある市場、競争の少ない市場を見つけて、いちはやくアジャストし、儲ける仕組みを作る。みながこのような戦略行動をとるようになれば、一人当たりの収益は上がります。

収益が上がれば、設備投資や人材投資も行えるようになります。そうなれば生産性向上の上昇スパイラルに乗ることができるでしょう。

といったことを前回のメルマガで書かせていただきました。


■前回のメルマガには、前向きな反響を多くいただき、本当に有難い限りです。

ただ「言っていることは分かるが、小さい会社には、新しい市場に乗り換えるなんて真似は怖くてできない」という意見もいただきました。

確かにそうでしょう。多くの経営者がそう思っているはずです。普通は、致命的なダメージを負わない程度に新規事業を始めます。

守備を意識した運営は、経営者として当然のことです。ただ、守備意識が強くなりすぎると、チャレンジしないのが一番安全だ、という結論になりますので、注意が必要です。度が過ぎた安全策は、短期的な延命にしかならないことを知っておかなければなりません。


そうは言っても、なんとかしのいで生きていくのが経営の命題です。

私がお付き合いした企業の中には、むしろ「うちの得意はシノギや」とばかりに開き直って、短期的延命策を繰り返す企業もありました。それはそれで清々しかった。

孫子も「戦って勝つのはベストではない。戦わずに勝つのがベストだ」と言っています。大きなリスクを背負うことなく、生き残っていくことができれば、それは最高の経営手法となるでしょう。

そこで今回は、小さな会社のリアルな生き残り策について書いてみたいと思います。

ぜひ最後まで読んでくださいね。

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あらゆる事業者は、ナンバーワンを目指せ。

というのが、ランチェスター戦略の考え方です。ナンバーワンになれば、市場からの信頼が厚くなり、流通段階で優遇され、プライスリーダーになり、人材確保も優位となります。

まさにいいことづくめ。それが、ナンバーワンという地位なのです。

(ナンバーワンとは、同戦略の用語で、市場シェアにおいて、2位に√3倍以上の差をつけたトップ企業のことを指します)


「そんな無茶言うなよ。うちは小さな会社だから、ナンバーワンなんてとても無理」という声が聞こえてきそうですが、必ずしも超巨大市場でナンバーワンを目指せといっているわけではありません。

どんな小さな企業にも「勝てる市場」があるはずです。地域、顧客層、技術分野、業界、業態、時間帯。。。細かく見ていくと、上位企業が見逃している手薄な局面があり、つけ入る隙はあります。

その「勝てる市場」を見つけ、集中していくことが、戦略の第一歩となります。


ところが現実はそうではないんですな。小さな会社の多くがフォロワーに甘んじており、収益ギリギリのところで、日々を戦っておられます。

そんな消耗戦に自らを追い込むことが、日本の生産性を下げているというのは前回のメルマガに書いた内容でした。



小さな会社がフォロワーになる理由


フォロワーというのは「トップになる気がない下位企業」のことです。

特別なことをするのではなく、儲かっている企業の真似やおこぼれをもらうことで収益を上げようとします。

かつての松下電機(現パナソニック)のような販売力のある大企業が他社の真似をするのならば、それは立派な「強者の戦略」です。

しかし、小さな会社が儲かっている大企業の真似をしたところで、収益を上げられるはずがない。。。と思うところですが、けっこう多くの事業者がフォロワーの立場にいます。

実際、収益は低いし、市場が縮小する局面においては、赤字になってしまって成立しません。

それでもフォロワーでいるというのは、なにげに楽だからでしょう。

既に儲かっている企業の真似をして少しでもおこぼれがあるとすれば、後出しじゃんけんで賞品が貰えるようなものです。

たとえ儲けは少なくとも、生きていけるならそうすればいい。儲からなくなれば、また真似できる企業を探せばいい。と割り切れれば、これは立派な生き方です。

意識してフォロワーの立場を貫く企業は、実は、相当したたかなのかも知れませんよ。


二番煎じ


二番煎じというのは、ちょっと嫌な言い方ですね。でも実際のところ、二番煎じは世の中に数多あります。

書籍なんて、二番煎じだらけです。ちょっと売れた本があれば、似たテーマやテイストを持った書籍が次々登場し、本屋を埋め尽くしてしまいます。

しょせん二番煎じですから本家よりも売れることはない。賞味期限も短い。それでもなくならないのは、安易に稼げるからでしょう。


私の知っているある会社は、ひたすら百貨店やブランド店を回って売れている商品を集めてきて、類似品を安く作っては、ディスカウントストアや100円ショップに納入することを繰り返していました。それでけっこうな収益を上げていましたからしたたかです。


二番煎じ戦略が機能するのは、模倣できる技術力、生産力(あるいは協力会社)があることとに加え、大手企業が持たない独自の販売チャネルを持っていることが重要です。

例えば、ディスカウントストアや100円ショップなどは、大手企業があまり手を出しにくい販売チャネルです。

ネットやスマホ上の店など比較的新しい販売チャネルといち早くパイプを作ることができれば優位性となります。

もちろんかつての松下電機(現パナソニック)のように独自の販売チャネル(ナショナル・ショップ)を持っているならばなおよい。

販売チャネルが違えば、類似した商品を納入しても文句は言われません。むしろ喜ばれます。そんな独自の販売チャネルを持つことが、二番煎じ戦略を成立させやすくする条件となります。


下請け


一時期、大企業による下請け切りが社会問題となったために、中小製造業にとっては脱下請けこそが経営のテーマになりました。

もちろんそれは間違いではありません。元請け企業の言いなりになって生産設備を増強したのに、方針が変わったとか言って受注を減らされたら往生してしまいます。

ただ安定して仕事がある限り、大企業の下請けという立場がオイシイことは間違いがありません。

私が知っている製造業の多くは、大企業の下請け仕事を受注したことで経営基盤が固まり、次のステージに入っていきました。いま、脱下請けがテーマになっているとはいえ、下請け受注をやめたわけではありません。その収益をもとに新規事業に挑戦しておられます。

今でも、地方でえらい羽振りのいい企業があるなあと思っていたら、鴻海の下請け仕事をしている。とかいう話は時々聞きますね。

世の中から下請け仕事がなくなるわけではありません。必要性は増しています。

アップルやサムスンの製品が、日本の下請け企業なしには成り立たないのは周知の事実です。

これからも、電気自動車であったり、ドローンであったり、ロケットであったり、新しい製品分野が生まれると、日本の下請け製造業に対する期待と要望は高まっていくでしょう。

もちろん何も考えないで元請け企業の言いなりになっているのは危険です。自ら、どのような技術が必要で、どのような製品分野に需要があるのかは見極めていかなければなりません。

そのためにも営業機能が必要です。下請け企業こそ営業を強化しなければなりません。営業の仕事は、自社製品を売り込むだけではありません。顧客の本音を聞き出し、悩みを知り、本当に必要とされていることは何かを推し量るための情報を得ることの方が重要です。強い営業がよりよい製品や技術を作っていくのです。

もちろん高い技術力、生産力は必要ですが、それに加えて営業機能を強化することが下請け企業としての寿命を延ばします。


周辺需要


儲かっている企業の周辺需要を探して、それを満たすことも、フォロワーの生き方の一つです。

一つの産業が興ると、その周辺需要も含めて経済効果が波及していきます。

例えば電気自動車が普及する過程には、充電のための設備が不可欠です。家庭用のコンセントで充電できるとしても、屋外使用可能な延長コードや場合によっては電気工事が必要になってきます。

コインパーキングには充電設備を備えたところがでてくるでしょうし、コンビニやスーパーの駐車場でも充電設備を設置してくるでしょう。

過疎地などでは充電施設が不足してくるかも知れませんので、簡易発電装置の車内搭載が必要になってきます。

そうなれば、充電機器、変電機、発電機の製造販売需要、電気自動車用充電設備の設置工事需要、スーパーやコインパーキングへの販売営業需要などが発生します。

ついでにいうと、ガソリンスタンドのオーナーに向けて、跡地を利用した新規ビジネス需要も現れます。

何も時代の二歩も三歩も進む必要はありません。半歩先ぐらい。普及が本格化しそうだな。ぐらいのタイミングで、参入すれば大丈夫です。

その時に必要なのが、新規ビジネスにすばやくアジャストする組織の柔軟性です。


サポーター


勢いのある企業や産業に従事する人たちのお手伝いをする仕事です。

有名な小話ですが、ゴールドラッシュ(金山で金鉱脈を見つける宝探しのようなことがブームになった時代のこと)で儲けたのは、穴を掘るためのツルハシや、作業用ズボンを販売する業者だったと言われます。

ジーンズのリーバイスなどは、その頃に成功した企業だそうですよ。

そこまで大成功するのは稀でしょうが、儲けている企業のサポーターとなれば、儲け口はいろいろありそうです。

我々のようなコンサルタントは常にサポーターの立場で仕事をしています。

大企業の周りには多種多様なサポーターが存在します。人事、財務、税務、法務、生産、物流、それぞれに専門家が存在しており、有益なサポートを行うことで、企業に利益をもたらします。

私は営業関連のコンサルタントですが、少し前までは製造業の脱下請けが大きなテーマでした。いまは、下請け企業として大手企業とどうかかわっていくかも、主要テーマになっています。

もう少し経てば、営業組織にいかにAIを取り込んでいくのかがテーマになっていくのだと思います。

勢いのある会社ほど組織のバランスがいびつですから、サポートするネタはいっぱいあります。


ニッチトップ


フォロワーに飽き足らず、自らトップを目指す小さな会社もあるでしょう。その際、現実的なのが、ニッチ市場でトップになるという方法です。

ニッチとはくぼみのこと。ニッチ市場とはくぼみに発生したような小さな市場をいいます。

それこそ離島とか、先端技術分野であるとか、特定の職業向けビジネスであるとか、早朝だけの需要を取り込むとか。

そんな小さな市場ですから、大手企業は本気になって取り組んでいません。優先順位が低くほったらかしです。

そこでいちはやく地盤を作って、市場を制覇してしまえば、安定的な収益を上げることができます。

しょせんはニッチ市場ですから、大儲けはできませんが、小さくとも安定的な収益が上がるビジネスを作ることができれば、経営は楽になります。


ニッチトップ企業になるためにはいくつかの条件があります。まずは、ニッチな需要をキャッチする感性があることです。世の中の流れをよく見ておくことも必要ですし、やはり営業が得意先の情報などから、兆しを見つけることが大切です。つまり、強い営業力がここでも必要です。

技術分野のニッチトップになるためには、高度技術に対応できる力が必要です。特定の分野を磨き上げることで、それは可能なはずです。

さらに大切なのは、新需要を捉えてビジネスとして成立させる構成力です。ありていにいうと、儲ける仕組みを作る能力です。

そのためには組織を柔軟に再編する体制が必要です。


籠城


どうしても稼ぐネタが思いつかない。という場合は、余計なコストの流出を避けて閉じこもるのが身のためです。

穴熊のように身を丸めてじっとしれいれば、とりあえずは延命できます。

孫子も「堅牢な城がいちばん攻めにくい」と言っています。

経営における籠城とは、いまの顧客をとことん守り抜くということです。既存顧客とのつながりを密にし、顧客対応力を高め、アフターフォローに努め、ファンの固定化を徹底する。

これは私の考える「営業の仕組み」をまわす。という作業です。

既存顧客だけでビジネスが回れば、新規獲得コストが掛からならいので、収益率が高くなります。

もちろん既存顧客だけのビジネスは先細りしていきますので、新規顧客開拓は必須なのですが、とりあえず寿命を延ばすことはできますね。

生き残ることこそが経営のテーマ


いくつか小さな会社の生き残り策を書かせていただきましたが、たいていの場合、全部取り組んでいると思います。

普段は下請け仕事をして、二番煎じも辞さず、周辺需要を取り込む。籠城するように顧客基盤を固めて、チャンスがあればニッチトップを目指す。

生き残るためには、したたかに柔軟にならなければなりません。

総じて言えることは、フォロワーといえども安穏としていたら生きのこれないということです。

フォロワーの戦略なんてしょせん延命策だと言いましたが、考えてみれば経営なんてすべて延命策の繰り返しです。トップ企業だからといって永遠に安定しているなんてありません。

それならば、変化を見逃さずに、小さなチャンスを捉えながら、柔軟に生きる小さな会社の方法も立派な経営です。

二番煎じだとか延命策だとかネガティブワードを書いておいてなんですが、そんなものに惑わされないでください。

誰だって生き残ることに必死です。

丸亀製麺のスタートは柔軟で素早かった

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丸亀製麺を運営するトリドールの記事です。

もともと同社は、焼き鳥チェーンの「とりどーる」を運営していましたが、いまや丸亀製麺が稼ぎ頭です。

記事では、焼き鳥チェーンが成功していたことが書かれています。参考になりました。

身軽で柔軟なトリドールの姿勢


成功していたのに、さぬきうどんの業態を作ったのは「鳥インフルエンザ」の流行により、焼き鳥業界全体が低迷した時期があったからです。

このあたりの事情は、「狂牛病」騒ぎに巻き込まれた吉野家に似ています。

吉野家は過去の栄光を捨て去れるのか

が、吉野家は日本を代表する外食チェーンとして確固たる地位を築いていましたので、新業態を作るにも元が重すぎて難しかったのでしょう。

それに比べてトリドールは、まだ数店舗の段階でしたからやりやすかったということもあります。


しかしもっと大きな理由は、トリドールの経営者は創業社長なので、自分の判断で方向性を決めやすいという事情があったからだと思います。

吉野家の場合、当時の安部社長は「ミスター牛丼」だったとはいえ、創業者ではありません。吉野家はイケイケで破綻した過去があるので、保守的な社風であるということもいえますね。

ともあれ、トリドールは、みごと日本を代表するさぬきうどんチェーンを築き上げました。


柔軟性は、海外進出の際にも表れています。

同社は必ずしも丸亀製麺というコンテンツにこだわっているのではなく、進出する現地にあわせた業態を志向しているようです。

さすが創業社長ですな。

丸亀製麺はまだ出店余地があるはず


ただ国内の丸亀製麺に関しては、ライバルのはなまるうどんのだらしなさに助けられているきらいがありますな。

丸亀製麺は、味にこだわるという理由で、各店舗に製麺機を置いています。それが同店の象徴になっているのですが、場所をとられるというデメリットもあります。

だから丸亀製麺は狭い場所、ショッピングセンター内のフードコートや駅構内などには出店しにくいという制限があります。

ライバル会社はここを突くべきですよ。

セントラルキッチンでつくった麺が必ずしも不味いわけではないはずです。イメージを覆すよなうどんを作って、狭いスペースにどんどん出店していけばいいのです。

逆に丸亀製麺側は狭いスペースでも対応可能な製麺機を開発するなどして、出店範囲を広げていかなければなりません。

どちらが先に対応するかという問題です。が、はなまるうどんの動きは鈍そうですね。

ちなみにはなまるうどんは、吉野家HDです。

牛丼がイマイチなんだから、ここで頑張らないとあきませんよ。






吉野家はいつ根本的な施策を打ち出すのだろうか

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吉野家が新メニューを導入したという記事です。

「小盛」と「超特盛」だとか。いま既にある「並盛」「大盛」「特盛」とあわせて5つになったそうです。

吉野家はビジネスを根本的に変える時期にきている


吉野家については、少し前にメルマガに書かせていただきました。

吉野家は過去の栄光を捨て去れるのか

大赤字になった原因は、労働力の不足とそれに伴う賃金上昇にあると伝えられています。

さらには、ターゲットが狭いこととそれに適応したメニューの幅の狭さもあります。

簡単にいってしまえば、吉野家がターゲットとする男性労働者がたくさん存在しており、創意工夫をもって働く従業員もたくさんいるので、安く大量に販売することで小さな利益を積み上げることができた「高度経済成長期」のビジネスモデルです。

ところが今は、男性労働者は高齢化してしまって数も少なくなり、従業員も不足しており、安く大量に販売することが機能しづらくなりました。

吉野家は、ビジネスを根本的に再編しなければならない時期にきているということです。

今回の施策は時間稼ぎか


ところが今回の施策は、単品のサイズバリエーションを増やすという程度のものであり、なんら根本的なものではありません。

高齢化したターゲットに向けて小盛を導入したとか、理屈はあるようですが、いかにも小手先です。

こんなことで業績が上向くとは吉野家も思っていないでしょう。

今回の施策は、やらないよりはマシだという延命策です。延命になればいいですけどね…

とりあえず時間を稼いで、根本的な解決策を考えようということでしょう。

おそらく、ファミリー層にターゲットを広げた新業態店舗を作る。海外展開に挑む。あるいは牛丼とは別の飲食を手掛ける。といった方向性になるのではないかと思います。

全く違う方向性を打ち出すかもしれませんね。それはそれで楽しみにしております。







プロフィール
komai 小

営業関連のコンサルティングをしています。
製造業や卸売業などの営業組織を強化する仕事を得意としております。

株式会社クリエート・バリュー代表取締役
NPOランチェスター協会理事
NPOランチェスター協会関西支部
NPOランチェスター協会認定インストラクター
中小企業診断士   販売士1級

コンサルタントになる前は、日本酸素株式会社魔法瓶事業部(現在のサーモス株式会社)で14年、営業担当をしておりました。
その時、廃業寸前の赤字だった事業部がわずかの期間で世界トップ企業になった経緯を体験したことが、経営コンサルタントになったきっかけとなりました。
当時、経験したことや見聞したことを物語風にアレンジしたのが、拙著『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』です。
面白い本なので、ぜひ読んでください(^^)

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