わたしは価値を創る

大阪在住の経営コンサルタントのブログです。

パーク24が、カーシェア事業を成功させなければ危ない事情

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パーク24のカーシェア会員が100万人を超えたそうです。

同社のカーシェア事業は、現在、国内市場のシェア7割を超えるダントツのナンバーワンです。

その利用から生まれる膨大なデータは、自動車会社も羨むほどの規模であり、次世代ビジネスの主役になれる可能性があると期待されています。

カーシェアとは何か?


ちなみにカーシェアとは、複数人で1台の車を共有することです。

近所同士で、1台の車を購入し、それぞれが必要な時に使用する形態です。

自家用車なんてのは、ほとんどの時間、家に置いてあるだけなので、それぞれが譲り合って使えば、安くつくので合理的です。

もっとも、土日とかお盆とか、使いたい日が被ってしまうことが多いので、近所同士でシェアするという事例は少ないとは思いますが。

ところが、パーク24(タイムズ)のカーシェアは、100万人の会員が、同社が用意する大量の車をシェアする形になります。

需要が重なれば使用できない会員もあるでしょうが、たいていはどこか空いています。

心斎橋界隈にも、置いてある車が何台かあるので、ちょっと使用したい時に予約して乗ることができます。

レンタカーとの違い


似た形態にレンタカーがありますが、そっちはあくまで借りることです。

だからレンタカーは、借りたい時にレンタル契約をして、使用します。保険をかける必要性もありますし、ガソリンも使用した分、補充しておかなければなりません。

比べてカーシェアは、所有することになるので、月額会員料金が必要となります。その分、毎回の契約が不要になりますが。

1回あたりの使用料金は、カーシェアが安くなります。

ですから、月に1回以上使用する場合は、カーシェアがお得になります。

「シェア」の時代に重要なのは、保管場所と移動手段


パーク24が、短期間でカーシェア事業をナンバーワンにしたのは、全国展開している同社の駐車場を利用できたことが大きいです。

もともと同社は駐車場事業でも日本トップです。

全国の小さな空き地に同社のコインパーキングが設置されているので、カーシェア用の車を置く場所には困りません。

車に限らず「シェア」するビジネスが流行ってきています。実際、所有していてもほとんど利用しないものが多いので、シェアする方が合理的です。

ところがその際にネックとなるのが、リアルな置き場所であったり、配送であったりします。

その意味でも、駐車場というシェアのためのインフラを持っていたパーク24が、有利な位置にいたということができますね。


そういえば、日経新聞には、寺田倉庫が個人向けの倉庫を安価で提供する事業を展開しているという記事がありました。

ミニマリスト社長が生んだ大きなシェア市場 

寺田倉庫は、個人の荷物を預かるだけではなく、販売やレンタルをするための支援も行うのだとか。

寺田倉庫は、もともと法人の荷物を預かるビジネスですが、「シェア」時代のインフラを提供できる位置にいることに気づき、いち早く対応したということですね。

カーシェア事業を成功させなければ生きていけない


パーク24に戻りますが、同社の駐車場ビジネスの将来性は必ずしも高くありません。

少子高齢化と自動運転車の普及、というダブルパンチで、駐車場需要はじり貧になっていくでしょう。

同社の売上の7割が駐車場ビジネスだということを考えれば、パーク24が決して安泰な位置にいるわけではないということが分かります。

つまり、カーシェア事業の成功は、同社の命運を握っているということです。

会員100万人ぐらいではとても安心できないでしょう。

同社が、車に関するシェアビジネスのトッププレイヤーとして発展しなければ生きていけないという危機感を抱かなければならない所以です。

この分野ではまだできることがありますから、期待してみております。



「九条ねぎ」を全国区にした営業パワープレイとステップアップ戦略

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「九条ねぎ」の販売で年間10億円を売り上げる「こと京都」のお話しです。

小さな農家の成功事例ですが、他の業界の小さな事業者にとっても参考になります。

狭くても深い需要に特化する


この会社、もとは京都にあった小さな農家です。現社長が引き継いだ頃は、野菜全般に扱う普通の農家でした。収入も少なく、とても専業でやっていけるようなものではなかったらしい。

現社長が引き継いでからは、「九条ねぎ」一本に絞ります。

九条ねぎは京都の郷土野菜で、全国的にみれば特殊性があります。それに1年を通じて収穫できます。必要とする人はいるはずなので、その狭い需要に応えていこうという思い切りのいる決断です。

広く浅い収益を捨てて、一本に絞るのは勇気のいることでしょうが、戦略理論的には正しい選択です。

この決断によって、農家として安定を得ることができました。

需要を広げる決断


ところがそれだけで満足しませんでした。

超ニッチな作物ゆえ、需要は少ないが、供給(ライバル)も少ない。だから、バランスがとれて成立したわけですが、それでは小規模農家から脱却できません。

そこで現社長は、九条ねぎの需要を増やす方策に着手します。

まずはねぎを「カット加工」すること。カットすることで、総菜扱いになり、単価アップを図れます。スーパーなどで一般向けに売ることができれば売上は飛躍的に伸びるはず。

が、いかんせん九条ねぎの知名度が低く、販路開拓が進みません。

そこで「全国のラーメン屋に直接納品すること」に乗り出します。業務用で九条ねぎが使用されれば継続的な売上は見込めるし、知名度も上がるという算段です。

どうやったかというと、東京に行って、一軒一軒、売り込みに回るというパワープレイです。

仲介業者に任せても知名度のないものを販売してくれません。小売店に売り込みにいってもやはり売れないものは置いてくれません。だから、業務用として飲食店に売り込むというのは、正しい方法です。

ただ呆れるほどパワーが必要なので、普通の農家はやらないでしょうね。

このパワープレイができるかどうかが、企業として大きくなれるかならないかの境目なんだと考えます。

営業にパワープレイは必要


たまに、営業というとスマートにやるもんだ、最小の労力で最大の効果を上げるもんだ、と安易に言う人がいますが、間違っています。そんなことをいう人に営業なんてできませんよ。

動かない石を最初に動かす時には、途方もないパワーが要るものです。営業だって同じ。軌道に乗ってからしか営業をしたことがない人にはわからないでしょうが、いつだってパイオニアはパワーをかけています。

そういう意味で、この事例はとてもよく理解できます。

強みをてこに事業をステップアップ


パワープレイ営業の結果、販売経路の確保という「強み」を手に入れた同社は、その後、地域の同業者も巻きこんで、生産の安定化を図ると同時に、京都の郷土野菜全般を流通させるように事業を拡大させていっています。

一つの強みをてこに、事業をステップアップさせていく様は、まるで教科書のようですね。

販路は、こと京都が握っているので、同業者としては、相乗りする方が経済合理性があるわけですが、
傘下に入ることをよしとしない事業者は、自ら販売先を確保すべく営業しなければなりません。

そういう事業者もいるでしょうね。だだ後発だからといって、パワー営業がいらないわけではありません。むしろさらに大きなパワーが必要になるし、得られるパイも少なくなってきます。

フォロワーの方がはるかに楽ですね。ただ、そこに甘んじるかどうかは、それぞれの経営判断です。


ともあれ、スタート時は「狭く深く」を志向し、その後、「広く」を求めていくやり方は、ランチェスター戦略にいう「グー・パー・チョキ戦略」に通じるものがあり、参考になります。









サッカーW杯日本代表はなぜ躍進したのか?



サッカー日本代表
 (2018年7月12日メルマガより)

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サッカーワールドカップロシア大会は、いよいよ佳境を迎えています。

すでに準決勝まで終わって、あとは15日の決勝、フランス対クロアチア戦、14日の3位決定戦、ベルギー対イングランド戦を待つばかりです。

これはちょっと意外でしたね。

てっきり、ベルギー対イングランドが決勝戦をするものと思っていました。

フランスも優勝候補の一つでしたが、王国ブラジルを破り、勢いに乗るベルギーこそ優勝候補筆頭だと思い込んでいました。

それ以上に意外だったのが、人口440万人の小国クロアチアの決勝進出ですよ。

グループリーグを3戦全勝で突破し、ノックアウトステージ(決勝ステージ)ではなんと2試合連続PK戦で勝ち上がると、準決勝のイングランド戦では延長戦の末、撃破しました。

3戦連続延長戦をフルに戦っているわけです。

どんな体力と精神力をしているのでしょうか?

さすがに決勝では、体力的に余裕のあるフランスに分があると思いますが、それでも何が起きるかか分からないのが今大会ですからね。

楽しみにしています。


「おっさんジャパン」はなぜ躍進したのか?


さて日本代表チームは、グループステージを2位で通過し、ノックアウトステージ(決勝ステージ)では、優勝候補といわれていたベルギーと対戦しました。

これは実に凄まじい試合でしたね。

一時は、2−0のリードを得て、ベルギーを「敗退も覚悟した」と言わせるほどでした。

惜しくも後半、3点を返されて、敗退してしまいましたが、そのアグレッシブなサッカースタイルは、世界中のファンを驚かせました。

まさかあの日本代表が?!

と思ったのは、ほかならぬ日本人ファンでしょう。

なにしろ、今大会が始まる前は「おっさんジャパン」と揶揄され、期待感低レベルのチームでしたから。

私も3戦全敗を予想していましたから、グループステージ突破じたいが奇跡のような思いでした。

その上、優勝候補だったベルギーを相手にあれほどの戦いをするとは。

いったいどうなってしまったというのでしょうか。


8年前の南アフリカ大会との共通点


日本代表チームは、1998年のフランス大会からワールドカップに出場しており、ノックアウトステージに進出したのは、2002年の日韓大会、2010年の南アフリカ大会です。

8年ごとに、ノックアウトステージ進出を果たしていることになり、今年は8年ぶりに進出する番だと冗談まじりに言われておりました。

しかも今回、前任のヴァヒド・ハリルホジッチ監督解任を受けて、緊急登板した西野朗監督が率いる日本代表の状況は、8年前に似ていると言えなくもありません。

というのは、8年前も、前任のイビチャ・オシム監督の病気による退任を受けての岡田武史監督が率いる日本代表だったからです。

代表として期待感が低かったのも同じです。

もっとも8年前は、約1年の準備期間がありましたが、今回はたった2か月の準備期間です。

なんだか貧乏くじをつかまされたような西野朗監督が気の毒になるほどで、さすがに今回は期待できないだろうと思うのが普通の考えだったはずです。

しかし、日本代表は躍進しました。8年前と同じです。


ハリルホジッチ前監督の功績


8年前、日本代表は、守備的なサッカーを基本として、グループステージ突破を果たしました。

そこには日本代表そのままの力では、世界の強豪国に太刀打ちできないという現実を冷静に判断した岡田武史監督の決断がありました。

ところが、守備的なだけでは、ノックアウトステージを勝ち切ることはできないことを痛感させられたのも事実でした。

そこで「自分たちのサッカーをする」と言って攻撃的に臨んだ2014年ブラジル大会(アルベルト・ザッケローニ監督)ですが、こちらは1分2敗でグループステージ敗退。

やはりまだ日本代表には、まともに戦って世界に伍していく力はないのだと思わせる結果となりました。

これらの反省を踏まえた今大会、日本代表は、守備と攻撃の切り替えを早くする「守備的でありながら攻撃的な」サッカーで臨みました。

ガチガチに守っていたら攻撃できないので、前線からプレスをかけて、ボールを奪うとすぐに攻撃に移るというカウンターを武器とするサッカーです。

いわば、世界のサッカー中堅国が基本戦術とするサッカーです。今回、日本も世界の流れに倣って採用し、実際に機能しました。

この戦術をものにするために、前任者のハリルホジッチ監督が日本代表に課したのが、一対一のデュエル(決闘)に強い個人技と、縦に早いパスを入れるチームの連携です。

やはりハリルホジッチ前監督の功績なくして、今大会の結果は生まれなかったと認めなければなりません。


サッカー弱小国でも戦う方法があることが見えた


今大会、世界の強豪と堂々渡り合う日本代表をみてわかったことがあります。

まず一つ。日本のトップ選手は、世界レベルでみても、遜色のないテクニックと強さを持っているということ。

いまや日本代表選手のほとんどはヨーロッパで鎬を削り、活躍しています。海外選手の強さを体感しながらテクニックを磨いている選手たちであり、ワールドカップの舞台でも、その実力を発揮していました。

海外移籍を奨励するサッカー協会の方針が効果を上げているということです。

さらに下の世代も育ってきており、将来楽しみになってきます。


もう一つは、海外の強豪といえども弱点を持っているということ。

超人のような海外のスター選手をみているととても対応できないように思えますが、どんなチームにでも穴があります。

ベルギーでさえ、左サイドの守備に弱点を持っており、日本代表はそこを突いて2点を奪いました。

それだけではありません。最大の脅威と目されたルカクなどの超人選手も、その攻撃力をほとんど封じ込みました。

どんな相手でも同じ人間です。戦いようがあることを見事に示してくれました。


もう一つ。組織的に動くチームは強いということ。

日本代表には、突出したスター選手はいませんが、それだけにマークする相手がひとりではありません。組織で連動して動くので、対戦相手は対応に困っていました。

逆に、アルゼンチンやポルトガルなど、個人の能力を全面に押し出して戦うチームは思ったほどの活躍を見せることはできませんでした。

もはやワールドカップは、スター選手の活躍を見せるだけの花試合大会ではなく、戦術を駆使した虚々実々の駆け引きで勝ちにいく場所になりました。

強者として堂々と戦ったブラジルが、ベルギーの戦術に屈したのがいい例です。

思えば、日本代表も、2点リードした時点で、戦術を変えてきたベルギーに対応できなかったことが大きな敗因でした。

この結果を踏まえて、日本代表にはより多彩な戦術を駆使できるチーム作りが求められますし、同時に世界の各国も、クラブチームなみの洗練された戦術オプションを持つことが命題となってくるでしょう。


西野朗監督の手腕


このたび、ハリルホジッチ前監督が「私が監督なら、ベルギーに逆転されなかった」との発言をしたという報道がありました。

そうかも知れません。老練なヨーロッパの監督なら、2−0になった時点で、逃げ切るための戦い方をオプションとして持っていたことでしょう。

ただ、ハリルホジッチ監督のままなら、そもそもグループリーグを突破できずに、ベルギー戦も実現しなかったのではないかと多くの人が思っているはずです。

今回、多くの報道から、西野監督になってからの日本代表チームの一体感が確かなものであったと聞こえてきました。

大迫勇也、乾貴士、柴崎岳といった新戦力に加えて、本田圭佑、香川真司、長友佑都、岡崎慎司といったベテラン勢が、それぞれの持ち場で、生き生きと活躍したことからも伺い知れます。

約2か月の準備期間しかなかったにも関わらず、不協和音が聞こえていた代表チームをまとめあげた西野監督の手腕は、称賛して余りあるものだといえるでしょう。

いったいどのようにして、日本代表のようなプロ集団をひとつにまとめていったのでしょうか。


選手間に浸透していた西野監督のビジョン


さいわいワールドカップに関する記事や報道は多く、西野監督のマネジメントについても、様々な情報が伝わってきます。

そんな諸々の報道をみていて、西野監督がチームを一体にした要因として、私があげたいのは、下記の3つです。

(1)まず一つ目。目標を明確にしたこと。

具体的には「8強進出」を目標とし、そのためにはすべてを犠牲にするという覚悟をチームに示しました。

リーダーの仕事の最大のものはビジョンを示すことです。スポーツチームは最初から目標達成型の集団ですが、それでも目標がぶれることがあります。

前大会の「日本らしいサッカーをする」というビジョンじたいが、自己満足したいのか、勝ちたいのか、矛盾を含んでいます。

ところが今回は「8強進出」のために、ポーランド戦で1点差負けを受け入れるという非常に難しい決断をしました。

(勝ち点差で並んでいるセネガルがコロンビアに負けていたため、警告数の差で2位通過ができると目されていた)

要するに、1点差負けなら、グループステージ突破が可能になるという状況です。

ポーランド戦では、控え組を中心に戦ったのですが、パフォーマンスが低調で、点をとれるような気配がありませんでした。

それなら、コロンビアがセネガルにこのまま勝ち切る方に賭けようという西野監督の勝負士らしい冷徹な判断です。

ここで「お客さんに変な試合を見せられない」「攻め切るのが日本らしいサッカーだ」などと余計なことを考えると目標と矛盾してしまいます。

「いや、そもそもポーランド戦で勝つためには、主力組を大量に休ませるなど無謀ではなかったのか?」という批判もありました。

が、これも「8強進出」のためです。単にグループステージ突破のためだけなら、主力組で戦えばよかったのです。

しかしノックアウトステージを勝ち上がるためには、主力組を休ませる必要がありました。この措置が、ベルギー戦でのハイパフォーマンスにつながったのだから間違ってはいません。(逆に、ポーランド戦にフル出場した柴崎は、ベルギー戦の後半疲弊して交替を余儀なくされました)

ポーランド戦後、日本国内からもその戦術に賛否巻き起こりましたが、選手からはチーム戦術を批判する声は聞こえてきませんでした。

これは、西野監督のビジョンや目標が、選手間に共有されていたという証拠だと思います。


爆発的だったコミュニケーション解禁


(2)コミュニケーションを重視したこと。

上の「8強進出」という目標は、前大会からの日本代表の命題であり、ハリルホジッチ監督にも課せられていたものでした。

しかし、前監督になかったのは、日本人選手との充分なコミュニケーションでした。

この点、西野監督になってから、爆発的とでもいいたくなるような、チーム内でのコミュニケーションがとられたことが、様々な報道から伺い知れます。

西野監督じたい、選手一人一人と対話することを重視したようですし、選手間同士のミーティングも積極的に奨励したようです。

この点、ハリルホジッチ前監督は、ヨーロッパ人らしい厳格なリーダーシップを志向し、選手間同士のミーティングは禁止していたそうです。

余計なことは考えなくていい。方針はすべておれが決めるというスタイルですね。

ところが西野監督は、自身とぼけたおやじを演じ(天然だったという話も)委縮した選手たちをほぐしました。



ハリルホジッチ時代に冷遇されていた本田圭佑選手の変心も重要です。

大会前、NHKの番組で「プロフェッショナルとは…(長い沈黙の後)…ケイスケ・ホンダ」と発言して、日本中にイタい奴認定されてしまった本田選手ですが、今大会においては、自らイタい奴キャラを認め、若い選手からいじられまくっていたそうです。

ベテランである本田選手が道化役を買ってまでチームのコミュニケーションを活性化させた効果は非常に大きかったと言えるでしょう。


日本の強みは、ベテラン選手のアドリブから生まれた


(3)選手に任せたこと。

西野監督に与えられた準備期間は約2カ月でした。その期間でできることはあまりありません。

そこで西野監督は「お前はどうしたい」「どうすればいいと思う?」と選手に聞いて回ったと言われています。

ハリルホジッチ前監督ならありえなかったことでしょう。

もともとハリルホジッチ前監督に鍛えられた基本戦術があり、そこに選手が自主的にアレンジする権利が与えられたわけです。

何が起こるかわからない本番に対応するためには、現場で臨機応変に動くことが求められます。

特に今大会のように準備期間が短い場合、現場対応の力が必要不可欠です。

ことに今の日本代表は、世界で戦っている選手たちであり、自分独自のサッカー観や戦術眼を持っているはずです。

そんな選手たちですから、ヨーロッパの有名監督であるといえ、箍(たが)をはめられるのは、欲求不満のたまることだったと思います。

そんな箍が外れて、一気に爆発した。その勢いが、今大会の日本代表の躍進の原動力になった側面は大きかったと思います。

逆にいうと、今大会の日本代表は、ベテラン勢の現場におけるアドリブに頼ったチームです。

そのために、選手たちが気持ちよくプレーできる状況を作る。これが西野監督の基本プランだったということです。

準備期間2カ月の中で、割り切って、できることをやりきった見事なマネジメントであったと評価したいと思います。


西野朗監督の失策


しかし、2点リードしたベルギー戦で、逆転を許してしまったのは、準備期間が短すぎて、「守りきる」というオプションを用意できなかったということでもあります。

ベルギーは、2点リードされた時点で、戦術を変更し、高さと強度で圧倒するパワープレイに出ました。

これに対抗する術は今の日本代表にはありません。

いや、今回の敗戦だけではありません。ベルギー戦の後半3失点は、日本攻略法を世界に晒してしまったといえるでしょう。

特に最後の1点。終了間際のカウンターによる1点は、西野監督の失策だといわれても仕方ありません。

守ってもパワープレイは防ぎようがない。だから攻める。という姿勢はわかりますが、終了間際のカウンターによる失点はさすがに防がなければいけません。

ここは「8強進出」という目標にとっても間違った指示であったと思います。


ワールドカップそのものの方向性が決まった


それにしても今大会、クロアチアだけではなく、ロシア、スウェーデン、メキシコといった中堅国の健闘が目立ちました。

弱者は弱者なりに、強豪国を分析して、強みを消し、弱点を突く戦術が相当以上に機能することを示してくれました。

そればかりか、ベルギーのような強国でも、戦術変更を駆使して、局面を打開するオプションを持っていることを示しました。

今大会を受けて、各国は、戦術オプションを複数持ち、状況に応じて使い分ける柔軟性を持つことをスタンダードにしてくるでしょう。

日本代表も、今大会で戦い方や強化の方向性がはっきりしたはずです。

私のようなにわかファンでもそれなりに、戦術というものを意識してみるようになったわけで、4年後にむけたプロセスを、厳しく評価され続けることを覚悟してもらわなければなりません。

ともあれ、今大会は面白かった。(まだ終わっていませんが)

新たな局面に入るワールドカップに向けて、期待していきたいと思います。





「働き方改革改正法」は、構造変化への第一歩

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「70年ぶりの大改革」と安倍首相のいう「働き方改革法」が昨日成立しました。

残業時間の上限規制、有給休暇取得の義務化、勤務間インターバル制度など、長時間労働を頼みとしていた日本企業の方向性を変えさせる大きな改正だと思います。


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(時事ドットコムニュースより)

社会構造の変化を背景にしており、後戻りできない


この法案改正は、大きな社会構造変化の流れを背景にしているので、後戻りはできないものです。

すなわち、日本の少子高齢化の進展による、労働人口不足と企業業績の低迷が背景です。

企業が業績の低迷を現体制のまま挽回しようとすれば、既存社員をさらなる長時間労働に駆り立てざるを得ず、非人間的な会社生活をますます助長してしまいます。

これはまずい、ということで、政府と厚生労働省は、女性の社会参加、子供を産んでも復帰できる会社制度、高齢者の社会参加、転職市場の活性化、短期時間労働者など多様な働き方の促進などを目指して、法改正に臨んでいます。

残業時間を減らすというのは、これから続く働き方改革の第一歩だと捉えられます。

今のままでは残業規制にも対応できないのでは…


たとえば、残業時間の例でいうと、目安は月45時間ですが、上限は100時間と規定されます。

ただし年間720時間上限ですので、月平均にならすと60時間です。

60時間というと、月20日で割ると、3時間です。休日出勤があると、さらに減らさなければなりません。

それは無理だろーと悲鳴を上げている会社は多いのではないでしょうか。

中小企業は、2020年4月からの施行ですが、最初は厳しく取り締まられることが予測されますので、そんなの無理だと開き直らないようにしてくださいね。

ITやAIの導入だけで生産性向上はできない


今回の法案は、社会が変革に追い付いていないことをわかった上で強行するという、確信犯?的なところがありますので、軋轢が起こるのは織り込み済だと思われます。

当然ながら残業を減らしたからといって、業績が上向くわけでも、従業員の満足度がすぐに上がるわけでもないでしょう。

業績については、むしろ下がるはずです。人手が足りなくなるわけですから。

大手企業の中には、業務プロセスの中に、ITやAIを導入するなどして効率性を上げると主張しているところもありますが、それだけではカバーできません。

ただしい「戦略」を導入することが必要


そもそも日本は欧米に比べて生産性が低いといわれていますが、それは国家の戦略に差があるからです。

生産性が高い国をみてみると、金融に強いルクセンブルグ、スイス、あるいは小国ゆえに特定分野へ特化した北欧の国々が並んでいます。

米国なども、GDPを飛躍させたのは、金融とIT、ヘルスケアという強い分野に投資を集中させ、製造業をある程度見限ったからです。

日本はそこまで成長分野に集中するということができていません。

ということは、各企業がそれぞれ、成長分野を見出し集中する、あるいは成熟した産業内でも差別化して強い会社になることが必要になります。

ここは今一度、真剣に「弱者の戦略」を導入し、生産性を上げるための方向性を見出してください。

その確かな戦略のうえに、業務プロセスを組み立て、効率化を図ることが、それぞれの企業に求められていることです。


ある意味、各社が迷っている今がチャンスだといえます。

独自の「働き方改革」を成し遂げて、プロモーションすることで、人材確保の面でも、ブランド構築の面でも、優位性を発揮できるはずです。





フリーランスが生き残るために必要なのは「営業の仕組み」

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アエラの記事です。

フリーランスが継続的な業績を上げ続けるためのポイントについて書かれています。

内容は、ひたすら営業を頑張るのではなく、既存顧客を大切にしてリピートを得られるようにせよ、というしごく真っ当なものでした。

真っ当すぎて、拍子抜けするかも^^;

フリーランスは「営業の仕組み」がなければ維持できない


ただこの記事が指摘する「ひたすら営業を頑張る」というスタイルが、一人で仕事をするフリーランスにとって無理があることはその通りです。

営業ばかりしていたら仕事できません。仕事をしていたら営業できません。結局、行き詰ってしまいます。

私は営業コンサルタントですし、営業の方法を教える立場ですから、自分でも営業はする方だと思います。

ただし闇雲に営業するわけではありません。

ルーティンとしての作業が営業につながる行動をとっていると自負しています。

これを私は「営業の仕組み」と呼んでいます。

その営業の仕組みはどう作るのか、ここでは言いませんが、フリーランスの方の営業支援もしていますので、ご相談ください^^

顧客基盤を作れば10年以上生き残れる


10年以上、フリーランスを続けようとすれば、強固な顧客基盤が必要です。

まあ、10年以上粘っていれば、顧客基盤はある程度できてくるものですが、そんな自然発生的ではない、意識した顧客基盤づくりを心掛けていれば、それは相当楽になるはずです。

どうすれば顧客基盤を確かなものにできるのか?

顧客満足を第一に考えることはもちろんですが、それだけではありません。

集客、見込み客リスト作り、アプローチからクロージングまでの流れ、アフターフォローを適切に行うことが、その秘訣となります。

詳しくは、ご相談ください^^





メルカリが破格の期待を集める5つの理由

メルカリ


(2018年6月28日メルマガより)


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先週6月19日、フリーマーケット・アプリの展開で知られる株式会社メルカリが、東証マザーズに株式上場しました。

株価は、売り出し公募価格3000円をはるかに超える5000円の値をつけ、時価総額は、約7172億円。

これは、マザーズでは最大の時価総額で、2位のミクシィに3倍以上の差となります。

(マザーズは、ベンチャー企業向けの株式取引所です)


ちなみに株式上場とは、証券取引所で株式の売買をできるようにすることです。

一般投資家でもその株を購入できるようになるので、いい加減な会社の株を扱うわけにはいきません。証券取引所による厳しい審査がなされます。

株式上場している会社が、一定の社会的信用を得たとみなされるのは、そのためです。

もちろん未上場なのに大きな会社もあります。

特に、10億ドル以上の価値があると考えられるベンチャー企業のことをユニコーンと呼びます。

メルカリは永らく、日本のユニコーンの雄と呼ばれていました。

実際、上場してみると、10億ドル(約1090億円)どころではない値をつけたのだから大したものです。


海外での人気が高い


それにしても今回の上場に際して、驚くべきは、海外の投資家からの人気が非常に發ったことです。


あまりに人気が高かったために、海外への割り当てを増やさざるを得ず、国内4対海外6の割合になったということです。

メルカリといえば、日本では知名度が抜群に高い企業ですが、海外ではそうでもないはず。それなのに、海外でこれほど求められたのはどうしてでしょう?

まさにメルカリが、世界で注目され、期待される理由について、考えてみたいと思います。


期待される理由(1)CtoCビジネス


メルカリは、スマートフォン上のアプリで、ユーザー同士が売買するための機能を提供しています。

いわば、フリーマーケットのスマホ版です。

フリマのような取引のことを、CtoC(Consumer to Consumer)と呼びます。

※Consumerとは、一般消費者のこと。CtoCとは、消費者同士のビジネス。

CtoCビジネスというのは、BtoCビジネス、BtoBビジネスに比べて、まだ一般的ではなく、特殊性があります。

BtoB=Business to Business(企業同士のビジネス)

BtoC=Business to Consumer(企業から消費者へ向けてのビジネス)

既存企業があまり手をつけていないCtoCビジネスは、珍しいというよりも、伸びしろがあると考えられます。

そんな中、月間利用者1054万人、月間流通額324億円の規模を持つメルカリは、際立った存在だと期待されています。


期待される理由(2)スマホ対応


もちろん、ヤフーオークションなど、ヒットしたCtoCビジネスはこれまでも存在しました。(オークションはBtoB、BtoCを含みますが…)

が、メルカリの特徴は、スマホに特化していることです。

ヤフオクは、パソコン時代の大ヒットビジネスです。今でも年間9000億円前後の取扱高があるというものの、スマホ対応に遅れて、成長を鈍化させてしまいました。

確かに、パソコンを立ち上げなければならないとイメージされ、ヤフープレミアム会員になることを条件づけられるヤフオクは、今となっては、面倒です。

それに対してメルカリは、スマホにアプリをダウンロードするだけですぐに利用できます。

出品も、スマホで写真を撮って、すぐに登録すれば簡単です。

この敷居の低さが、多くの利用者を呼び込む要因であり、これからも拡大していくと期待されているところです。


「どろぼう市」ゆえの課題


ただし、間口の広さゆえの課題もあります。

フリーマーケットの元祖ともいうべきフランスの「蚤の市」は、別名、どろぼう市と呼ばれています。

文字どおり、盗んできたものを売るような輩が多くいたとか。

メルカリのような間口の広いフリーマーケットには、同じような輩が紛れこむことが容易に想像できます。

盗品であったり、違法な品であったり、そういったものでも販売できてしまうのが、ネットの匿名性です。

実際、メルカリの上場審査に時間がかかったのは、そういう反社会的な取引の温床になるのではないかという懸念からでした。

(現金そのものを販売するなどといういかがわしい取引が相次いだことは記憶に新しいのではないでしょうか)

メルカリ側は、出品物の見回りを強化したり、出品者の身元確認を厳格化したりするなど対策をとっていますが、あまり厳しくすると、フリーマーケットの良さが失われるので痛しかゆしです。

なにせ、トイレットペーパーの芯が売買されるような自由さが、メルカリの良さですからね。

自由さと規律をいかに両立させていくかが、メルカリの課題です。


期待される理由(3)技術面での挑戦


メルカリというと、スマホでのフリマアプリというアイデアで一発当てて、大量のテレビCMによって一気にブレイクした会社だと思われるかも知れません。

確かにそういう側面はあるでしょう。

フリマアプリというのは、特段珍しいアイデアでもないですし、大量CMの効果も絶大でした。

ただメルカリの山田進太郎会長は、プロダクト志向の強い人らしく、メルカリの使い勝手やグラフィックを細かく改善し続けてきました。

こうした小さな差別化の積み重ねが、メルカリの大きな強みであり、競合他社の追随を許さない部分でした。

山田会長は「これからは技術で差別化する」と発言しており、フェイスブックのように独自のAI技術を開発・導入することで、さらなる技術バリアをつくることを目指すとしています。

そして「R4D」なる研究開発機関を立ち上げて、先進的な研究開発に取り組むことを志向しています。


いまでもメルカリにはAIが導入されていて、消費者が商品写真をあげると、商品名や推定価格が提示されるようなサービスがあります。

が、「R4D」は、単にメルカリのサービスを高度化するだけではなく、メルカリグループ全体や、その他将来的な先進技術の開発・実現を目指すそうです。

この技術面での「目線の高さ」と現実的な投資が、メルカリを単なるフリマアプリの会社に止めておかない期待感を抱かせる理由です。


期待される理由(4)本気のグローバル展開


メルカリ創業者の山田進太郎会長は、最初に立ち上げた会社(ネットゲームの会社)を売却した後、世界一周の旅に出たそうです。

その時感じた新興国の状況が、メルカリ創業の大きなきっかけになったといいます。


すなわち「生まれる国が違うだけで、海外旅行することすら難しかったりなど、教育も十分に受けられない新興国がある」

そんな中、スマホが爆発的に普及することが予想されました。

このスマホを利用して「個人同士が物がやりとりできるサービスを作れば、今は貧しい人たちも先進国水準の生活ができるようになるかもしれない」

それが創業時の大きな動機です。

つまり、メルカリは当初から世界中の人に使われることを目指して創業されたのです。

ですから創業間もない頃からの北米進出は、必然だったようです。

日本で知名度を上げて、地理的に近いアジア進出する。という方法もあったはずですが、山田会長は、その道をとりませんでした。

なぜならグーグルしかり、フェイスブックしかり「米国は様々な言語を話し文化を持つ人の集合体で、この国で受け入れられるサービスや技術は世界中で受け入れられる」という考えがあったからです。


もっとも米国市場は一筋縄ではいきません。今はうまくいっているとは言えない状況です。

そこで山田会長が米国に常駐して、陣頭指揮に当たるようです。

このグローバル展開にかける本気度が、世界の投資家の期待を集める理由になっています。


期待される理由(5)人材の豊富さ


メルカリには、業界でも有数の人材が集まってきていることで知られています。


上の記事を読むと、IT系企業の立ち上げに関わり実績を上げた人たちが、総集合といった趣です。

ベンチャー起業家というのは得難い存在です。ましてや起業してそれなりの経験を積んだ人が再出発するならば、出資してやろうという投資家は多いはずです。

そんな世界だから、IT起業家オールスターズのようなメルカリが、投資家の注目を集めるのは必然です。

なぜメルカリには、優秀な人材が集まるのか?

記事には、山田会長の人材獲得にかける情熱が書かれています。

人材マネジメントの神髄とは、つまるところ、能力のある人たちを集めてきて、彼らがチームとして実力を発揮できるようにすることです。

山田会長のこれぞと思った人材を1年以上かけて追いかけ、旅行先にまでついていって口説き落とした逸話が書かれていますが、まさにこれが優れた経営者の仕事の大きな要素です。

さらには山田会長の「目線の高さ」が指摘されています。

目線の高さとは、前項にあった、世界企業を作ろうという志の高いビジョンのことでしょう。

投資家から注目されるビジョンが、業界の優秀な人材を惹きつけ、さらに人材の豊富さが、新たな人材を呼び込む動機になり、かつ投資家の注目を集めるというプラスのスパイラルが起こっていると思えます。


起業家養成所の役割も


メルカリは、他のCtoCビジネスに投資していることでも知られています。


記事によると、いずれもCtoCビジネスを手掛けるベンチャー企業7社に出資したとあります。

記事には「メルカリ経済圏」を強化しようとしているようなことが書かれていましたが、買収するのではなく、少額出資に止まっているのは、自社の補完ではないように思います。

どちらかというと、起業家支援をして、日本のCtoCビジネスを全体として盛り上げようという意図を感じます。

投資を主導するのは、山田会長ではなく、松本龍祐執行役員です。

松本氏も御多分に漏れず、自らベンチャー企業を立ち上げ、ヤフーに売却した経験を持つ人です。

そんな松本氏ですから、立ち上げ期のベンチャーの難しさをよく理解しているのでしょう。資本を入れて、集客を支援したりしています。

いわばメルカリ起業支援所、起業家養成所みたいなものですか。

こういう我田引水さが薄いところにも、メルカリの「目線の高さ」が現れていると感じます。

メルカリのような起業経験者が多くいればいるほど、日本経済は活性化するはず。その意味でも、同社の行為は、社会的に歓迎すべきものでしょう。

メルカリの他でしたら、DMMが、若い人材に新事業開発を任せて、経営者人材の輩出に一役買っています。

ライザップもそうですね。持ち込まれた小さな企業を次々買収し、結果的に経営者育成をなそうとしています。

こうした企業によるスピード感あふれる起業支援が増えてくるのは実に素晴らしいことだと思います。


期待が高いだけに、裏切られた時が恐ろしい


しかし、気をつけなければならないのは、メルカリはまだその目標の第一歩しか達成していないということです。

アメリカ進出が成功するという保証はどこにもありません。むしろ非常に厳しいという予測が大勢でしょう。

少なくとも、これから数年は正念場が続きます。

メルカリが大成するもしないも、まだ何も決まっていないというのが現状なのです。


山田会長は言っています。

「日本のインターネット業界で海外で成功した事例はまだないし、成功できると思っている人は少ないかと思います。どこか1社が成功すれば、「うちも」と後に続く企業は出てくると思う」

この目線の高い姿勢は、やはり魅力です。応援したくなる気持ちにもうなずけます。


ただ、どこかで山田会長が「やっぱアメリカは無理。日本ローカルで稼ごう」なんて目線を下げた途端に人材の流出が起こります。そうなると没落も早いものです。

要するに、内外から期待されているメルカリだけに、期待が裏切られた時の急降下が恐ろしいと言えます。


メルカリは志半ばで倒れたが、多くの優秀な人材を残した。

なんて物語のような終わり方は望みません。

16歳の天才起業家にみるスタートアップの世界

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高校3年生の起業家が話題になっています。

16歳の天才プログラマー


6歳でプログラムを始めた天才プログラマーで、中学生時代から5つのベンチャービジネスを立ち上げてきた人です。カード決済アプリの開発においては、1億円の資金調達を果たしたということでニュースになりました。

1億調達した16歳天才プログラマーは日本復活をかけて東京で戦う

もっとも、そのカード決済アプリはモノにならず。次に手掛けたのが、レシート画像を買い取るサービスでした。

レシート画像を買い取るビジネス


ユーザーが、専用スマホアプリ「ONE」をダウンロードして、レシート画像を撮影すると、10円がもらえます。

ただし1日10枚まで限定、つまり月3000円程度です。

【検証】レシートを撮影するだけで、1枚につき10円で買い取るアプリ「ONE」登場! 早速バンバン撮影してみた結果ッ!!

でもレシートを撮影するだけで月3000円ももらえるなら、いい小遣い稼ぎになると思う人もいるでしょう。

そんな内職感覚の人が多かったのか、利用者が殺到してしまいました。1万人程度の予想が、初日から7万人の利用があったとか。

不正防止のために導入した本人認証サービスのコストなども含めると、初日だけで数百万円のコストがかかる計算になった。「1カ月続ければ数億円」(山内氏)として、その日のうちに一時停止を決めた。

せっかくのヒットサービスも1日で終了です。


ちなみに山内氏が思い描いていたビジネスモデルは、利用者の個人情報とレシート情報を蓄積して、欲しがる企業等に販売するというものです。

もっとも発案から3週間でサービスを始めたとあって、買い手企業も決まっていない状態でした。

失敗しても山内氏の価値は下がらない


この事例を聞いて、ある起業家が語っていた言葉を思い出しました。(誰だったか思い出せませんが…)

クラスで中ぐらいの成績があれば起業して成功するのは簡単。公務員になる方が全然難しい。

公務員をけなしているわけではありませんよ。念のため。

起業というのはやるかやらないかの世界であり、アイデアがあれば風呂敷をしまうことも考えずに、とりあえずやるというのが正しい。だから思いついてすぐにサービスを立ち上げた山内氏は、起業家の鏡です。

要は、コンセプトをすぐに実現させようとする行動力とプロトタイプを立ち上げる技術力、そして必要な人材を集めてくる能力があれば一応は成立するのがスタートアップです。

たとえ失敗に終わったとしても、これだけのユーザーを集めることができた山内氏の価値はうなぎのぼりです。

今回も、DMMが、助け舟を出すことになりました。

広告モデルで再出発


DMMと提携して再スタートしたのは、ガソリンスタンドのレシートを登録すると、100円程度のキャッシュバックがあるというサービスです。

そのかわりユーザーには、DMMの広告が提示されます。

何のことない。広告モデルのビジネスに転換です。

助け舟を出したDMMの思惑


これが本当にビジネスとして成立するのかは疑問ですが、DMMとすれば、山内氏と関係を作りたい、できればグループに取り込みたい、という思惑が見えますので、ビジネスにならなくてもいいのでしょう。

何しろ16歳でこれだけ多くのサービスを立ち上げてきた山内氏の経験値は、得難いものがあります。

高校生の天才プログラマーというバス要素もあって、一種のスターですからね。

DMMならずとも、欲しい人材だと思います。

次回の戦略勉強会のテーマとします(6月28日木曜日)


それはそうと、レシート買い取りサービスというのは、コンセプトとしては面白いと思います。

やりようによっては、ビジネスとして成立させることができたでしょうし、様々なバリエーションも作ることができそうです。

というわけで、次回の戦略勉強会(6月28日木曜日)で、取り上げてみたいと思います。

どうすればレシート買い取りサービスは成り立つのか?

このコンセプトを使って他のサービスは立ち上げられないか?

など、話し合ってみたいと思います。




スマホ(QR)決済は超便利

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スマホアプリ決済が一般化した中国の状況をレポートした記事です。興味深い。

効率、安全、信用 スマホ(QR)決済は超便利


中国では想像以上に、脱現金が進んでいるようです。

たとえば、深センのレストランでは、QRコードを読み込むと、メニュー選択から決済までスマホ内で完結してしまい、あとは料理が出てくるのを待つだけという状況だそうです。

店とすれば、キャッシュレジスターもいらなければ、警備会社による現金の送迎もありません。電子マネーの読み取り機も必要ありません。固定費が省かれるわけで、合理的です。

またスマホ決済が、自動販売機の普及を促しました。

日本に比べて海外で自動販売機が普及しないのは、現金盗難のリスクが高いからだと言われています。小銭を貯めこむ自動販売機は、治安の悪い地域では、強盗の貯金箱扱いにされそうです。

しかしスマホ決済なら現金を扱わないので、現金狙いの盗難はありません。

もう一つ。スマホ決済は、個人情報と結びついています。いわば個人信用と紐づいていますから、それを使って勝手なことはできません。だからレンタル傘などのサービスを展開しても、持ち逃げされる恐れが少なくなるというものです。

深センには、無人コンビニの実験店もあるようです。

支払い20秒 続々登場する深センの無人コンビニ体験

スマホ決済の普及が、いかに社会の在り方を変えるのかを垣間見させてくれる事例です。

日本でもようやく統一規格作成の機運が


日本の場合、現金信仰が強いと言われていますし、クレジットカード会社が強いのでスマホ(QR)決済の普及を嫌がっているという説もあります。何せクレジットカードの手数料は高いですからね。スマホ決済なんてされてしまうと、クレジットカードが成り立ちません。

日本では、ドコモや楽天など携帯電話を扱う企業が、QR決済に積極的です。LINEなども狙っていますね。ようやく統一規格を作ろうという機運が盛り上がってきました。

QR決済の規格統一、年内にも行動指針 経産省

QR決済って、ホントに便利?

社会的には、スマホ(QR)決済が普及した方が、全体的なコストは下がりますから、その方向へいくのは自然な流れです。

どうやら、この分野でも様々なビジネスが生まれてきそうです。

プラットフォームを握る企業はもちろん大きなうまみがありますし、そうでなくても、新規サービスやビジネス開発がいくらでもできそうですよ。

起業のチャンスです。








カラオケの新潮流が生まれている?

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かつて業界1位だったシダックスが撤退(シダックス側は否定)したことで話題になったカラオケビジネスですが、相当様変わりしてきているようです。

シダックスがカラオケ事業の撤退に遅れた理由

部屋だけを貸す低価格路線が伸長


シダックスのカラオケ事業が立ちいかなくなった理由は、市場の変化についていけなかったことです。

大箱のカラオケルームを抱え、充実した料理込みでビジネス展開していたシダックスですが、市場はひとりカラオケや、持ち込みOKの低価格カラオケを評価しています。

低価格路線爆走中のコシダカホールディングス(まねきねこ)の好調ぶりが、それを表しています。

明暗わかれたカラオケチェーンの状況

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シダックスは、店舗賃貸の長期契約に縛られて機動的な統廃合ができなかったと言われていますが、市場の変化にあわせて新たなプレーヤーが登場しているようです。

「歌わない」カラオケルームの利用需要を開拓


記事で紹介されているのは、紳士服を主力とするAOKIホールディングス傘下のコート・ダジュールです。

こちらは、シアタールームや女子会ルームなど、「歌わない」カラオケ店の利用需要を取り込もとしています。

確かに防音設備の充実したカラオケルームは、仲間内で話したり、あるいは交渉事をするのに適しています。

かといって通常のカラオケルームで商談するのは、若干みすぼらしいものがありますので、そこに適した部屋があればそれは有難いといえるかも知れません。

13万室以上のカラオケルームをどう使っていくか


カラオケ白書によると、2015年のカラオケ店数は9555店。ルーム数は134200ルームだということです。

これだけの数があるということは、ちょっとしたインフラ設備だといってもいいかも知れない。

仮眠、自習、楽器の練習といった一人需要から、同窓会、雑談、商談、勉強会、会議といった大勢での需要まで、使いようによっては使えます。ライブビデオを使えば、講演だってできるかも知れません。

しかも、ホテルの貸会議室を利用するよりははるかに低価格ですむはずです。

いまはカラオケルームといえば、何でも勝手に使ってくれ、というまねきねこスタイルの低価格路線が勝ち組となっていますが、それとは別に、コンセプトを明確に打ち出して需要の喚起を狙うコート・ダジュールの取り組みは面白いですし、評価できると思います。




楽天が携帯電話事業にいまさら参入する理由

楽天


(2018年6月14日メルマガより)


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少し古い話になりますが、インターネット通販モール大手の楽天が、携帯電話事業への参入を表明しました。

昨年末のことです。

えー?なんでー?と関係者がいっせいに驚いた表明でした。


というのも現在、日本の携帯電話市場は、飽和状態です。成長余地はあまりありません。

その市場をドコモ、au、ソフトバンクが分け合っています。

大手3社による顧客の奪い合い競争はすでに一区切りついており、各社の思惑は自社顧客の囲い込みに向かっています。

そんな安定した市場にいまさら切り込んでいって、どうするというのでしょうか。

そもそも携帯電話事業には、莫大な投資が必要です。少なくとも兆単位の投資が必要になります。

既に基地局を持っている大手3社でさえ、年間3000億円から6000億円の設備投資を必要としています。

そんなところへ、一から基地局を作らなければならない新規業者が参入して戦っていけるのでしょうか。


携帯大手3社は無風の市場でらくらく儲けている


もっとも典型的な装置産業である携帯電話事業は、一度設備を作ってしまえば、後はユーザーを集めれば集めるほど儲かるビジネスです。

実際、ドコモ、au、ソフトバンクの大手3社は、いずれも営業利益20%前後を安定して稼ぎ出しています。

かつての新規参入業者であり、業界の暴れん坊だったソフトバンクも、いまではすっかりエスタブリッシュメント(支配階層)になってしまって「金持ち喧嘩せず」という姿勢を決め込んでいます。

要するに、寡占をいいことに、大手3社は競争もせずぬくぬくと儲けているわけですな。

いまいち通販事業が突き抜けない楽天にとって、携帯事業から得られる安定利益と現金は魅力的に映るはずです。

なにしろ天下取りの野望が人一倍強いといわれる三木谷氏ですからね。ローカルなネット通販事業の運営だけで終わる気持ちはさらさらないでしょう。

孫正義氏の背中を追うためにも、世界に打って出るためにも、携帯大手の地位は欲しいところではないでしょうか。

一方、総務省は、携帯電話料金を下げさせたいと考えているので、楽天のような勇気ある新規参入業者の登場は歓迎しています。もちろん我々ユーザーにとっても朗報です。

楽天の参入によって、携帯電話料金全体が下がることを期待しましょう。


インターネット複合企業


楽天は、1997年、インターネット通販モール「楽天市場」の運営会社としてスタートしました。

創業経営者である三木谷浩史氏は、神戸生まれ、日本興業銀行を経た後に楽天を設立しました。

日本のインターネット黎明期に、いち早くネット通販モールを開設した先見性は、さすがです。

が、三木谷氏によれば、楽天の本当の強みは「血みどろ営業」なのだとか。

実際、楽天より早い時期に同じコンセプトの事業を立ち上げた会社はあったのですが、楽天の泥臭い営業実行力により蹴散らされてしまいました。

そのため楽天は、早い時期から日本のネット通販最大手としての地位を確かなものにすることができました。

このことから、三木谷氏の経営手腕が、理念やスローガン先行の青臭いものではなく、現実的な構築力を備えたものであることがわかります。

その後、楽天は、インターネット通販モールを中核に、様々な企業を買収して急成長を遂げます。

現在の楽天の姿は、インターネットサービス全般、金融、通信、プロスポーツなどを手掛ける複合企業です。

2017年12月期の売上高は、9445億円。営業利益は1493億円。営業利益率15.8%。

ちなみに、売上高の約6割をインターネット通販やインターネットサービス関連事業が占めており、約3割が金融関連(カード、銀行、証券など)です。

儲け(営業利益)をみると、金融関連の収益性が高く、利益額では通販事業に迫る勢いを見せています。

楽天は金融事業が稼いでいる。といわれる所以です。


「楽天経済圏」の強化がねらい


楽天グループの特徴は「楽天経済圏」といわれるほど多様で包括的な事業群を持っていることです。

インターネット関連では、ネット通販の楽天市場を中心に、書籍販売サイト、電子書籍リーダー、旅行情報サイト、ゴルフ場予約サイト、グルメ情報サイト、マーケティングサービス、なんでもあり。

金融関連でいえば、銀行、証券、クレジットカード、生命保険、電子マネー、ポイントなどを手掛けています。

さらにいえば、プロ野球チーム、プロサッカーチームも運営しています。

三木谷氏は、これを「エコシステム」と呼んでおり、ひとりのユーザーのニーズを根こそぎ取り込もうという構えです。


そうそう。楽天モバイルという携帯電話事業も既に持っています。

ただし、これまでの携帯電話事業は、MVNO(仮想移動体通信事業者)といわれるものでした。

このMVNOとは、大手3社の通信設備を借りて運営される携帯電話事業のことで、設備投資がいらないので、低価格を実現することができます。

楽天モバイルは、ドコモの回線を借りて運営されていました。

しかし、他社から借りて運営するというのは、仕入れ値が決まっているので、事業としてのうまみが少ない。つまり儲けが少ない。

いや、儲けが少ないとしても、携帯電話事業を持っていれば、ユーザーを楽天経済圏の中に囲いこむことに有利に働くのでいいじゃないか。と思えるかもしれません。

携帯電話料金と一緒に、他のサービスの代金も徴収することができます。クレジットカードや銀行にもつなげやすい。今、話題のQRコード決済にも、即対応できます。

携帯電話を使えば使うほど、楽天ポイントが溜まるので、他のサービスに誘致しやすい。ネット通販するにも、ポイントを利用できます。

楽天にとって、人々が肌身離さず持っている携帯電話を押さえることは、戦略上非常に重要な事項であるといえます。


ドコモとの衝突


しかし他の携帯電話会社にとっても、ユーザーの囲い込みは重要事項です。

ソフトバンクは、Tポイントに資本参加しているので、携帯料金とTポイントがリンクしています。

その上で、ヤフーの諸サービス(通販、オークション、旅行予約サイトなど)につなげることができます。

auは、ウォレットポイントなるものを運営しています。また銀行も持っています。その他通販サイトもあります。(auの囲い込みはまだ中途半端ですが…)

そして最近特に動きが激しいのがドコモです。

同社は、2015年から開始したdポイントの運営に力を入れています。

何しろ7400万人の携帯電話契約者を持っているので、携帯使用料金に応じて、年間1500億円相当のポイントを付与しているといわれます。

そのポイントは、ドコモ自身が持つショッピングサイト、電子書籍、雑誌見放題サイト、カーシェア、動画サイト、ヘルスケアサイトなど諸サービスに利用可能です。

ドコモは、諸サービスの開発を急いでおり「ドコモ経済圏」の拡大を進めています。


つまり、2014年に楽天ポイントを始め、楽天経済圏への囲い込みを強化しようとしてきた楽天と、ドコモの近年の動きがぶつかってしまっているのです。

これでは、ドコモの回線を借りて運営する楽天とすれば、いつはしごを外されるかも知れないと安心できません。

楽天が、無謀だと言われながらも、携帯電話事業への参加を表明したのは、このあたりにも原因がありそうです。


アマゾンには敗色濃厚


いっぽう本業である楽天市場は、アマゾンに対して不利な戦いを強いられています。

これまで物流体制に莫大な投資を積み重ねてきたアマゾンは、即日配送、無料配送など考えられないようなサービスを展開しています。

これにはショッピングモール型の楽天市場は太刀打ちできません。

ショッピングモールというのは、各店舗の集合体ですから、物流は各店任せ。ホームページも各店任せです。

楽天は各店舗に対して細やかな指導をしているそうですが、それでも限界があります。

いうなれば、アマゾンに対していかに生き残っていくのかを考えるのは、店の責任だと突き放した状態です。

ショッピングモールなのでそれは当然といえば当然なのですが、有効な知恵を持たない楽天を店側が不満に思うのも仕方ありません。

楽天に出店している店側が楽天を捨てられないのは、楽天側に常連客の情報などを握られているからだという後ろ向きな理由も聞こえてくる有様です。

ここが現在の楽天の最大の泣き所です。


海外展開の失敗が契機


海外展開に失敗したことも、楽天を苦境に陥れています。

もともと楽天という名称は、織田信長の「楽市楽座」からとったといわれています。

それだけスケールの大きなことを考える三木谷氏ですから、海外への進出は、悲願、という大げさなものではなく、当然の方向性だったことでしょう。

しかし、社内公用語を英語にしてまで目指した海外展開は、はかばかしい成果を得られていません。というか、全滅したといってもいい状態です。

理由は明白です。

今さらネット通販モールなんて珍しくもないですから、何らかの実利がなければ、出店者が集まりません。

それなのに、金融関連事業を準備できなかったために、日本で機能している顧客の囲い込み体制を海外ではうまく作ることができませんでした。

これでは得意の「血みどろ営業」も機能しません。

こうした事情があるから、まずは日本の事業を強化しよう、そのためには携帯電話事業をものにして顧客基盤を盤石なものにしよう、と考えるのは、合理的で適切な方向性だと思います。


武器は「儲けない」価格戦略


携帯電話事業において、楽天は新参者ですが、顧客囲い込み戦略については一日の長があります。

携帯電話のユーザーを囲い込み、逃がさない体制は、大手3社よりも完成しています。

だとすると、いかに新規ユーザーを獲得するかが課題になりますが、これは間違いなく、低価格路線でいくはずです。

大手3社は充分利益をとって運営していますが、楽天は、利益なしでもユーザーを獲得する、という姿勢でやってくるでしょう。

かつてソフトバンクが参入して価格競争を仕掛けたとき、ドコモもauも妙に大人の対応で静観して、ソフトバンクの台頭を許してしまった苦い過去があります。

だから、今度は、ドコモもauもソフトバンクも黙っていないでしょう。

特にMVNOのパートナーであったドコモは「裏切られた!」と憤っているそうなので、容赦はしないはず。

かつてない激烈な価格競争が巻き起こることが予想されます。

われわれユーザーにとっては、楽しみなことですね。


ドコモをなんとか懐柔しなければ


ドコモが憤るもう一つの理由が、楽天が通信回線設備を準備できないと思われることです。

楽天の携帯電話事業参入は、来年の10月からということですが、それまでに自前の回線設備を全国に備えることなど不可能です。

いや、それ以降も、楽天は都市圏の設備に投資を集中せざるを得ず、地方に関しては後回しにせざるを得ません。

そうなると、ドコモや他の回線設備を借りて運営することになります。

ドコモからすれば「ひとの回線を使って、安売りして、顧客を囲い込みやがって!」と憎さ百倍にもなるでしょう。

ドコモのあまりの剣幕に、総務省も、認可にあたっては「携帯電話事業者は自らネットワークを構築して事業展開を図るという原則に留意すること」という文言を入れる事態となりました。

それでも現実には、設備を全国津々浦々に整えることなどできません。都市圏への対応が精いっぱいでしょう。ドコモの怒りはもっともですが、致し方ない。

三木谷氏のもう一つの得意技である「じじ殺し」といわれる政財界の重鎮に可愛がられる特性を活かして、なんとか大手3社と折り合いをつけて乗り切っていくことでしょう。


本質は中核事業の強化のはずだが


それより心配なのは、楽天の打つ手が、中核事業から離れていっていることです。

顧客囲い込みを強化するのは合理的な戦略であると言いましたが、それは、グループ内に魅力があるという前提があってのことです。

楽天の場合、中核事業はあくまでインターネット通販です。

そこでアマゾンに勝てないから、囲い込み手法を強化する。というのは、本質から逃げているといわれても仕方ありません。

それなのに、最近の三木谷氏のやることは、海外のプロスポーツチームのスポンサーになったり、海外の著名選手を32億円の年俸で神戸のサッカーチームに連れてきたり、といささか浮世離れしてきています。

海外事業の基盤がないのに、海外の知名度を上げてどうするのでしょうか?

そんなところにお金を使うのではなく、本当にしなければならないのは、インターネット通販でアマゾンに負けない差別化や、顧客体験の高度化を図ることです。

ゾゾタウンがこれほど持て囃されているのは、アパレルという狭い世界ながら、アマゾンに負けない購買体験を顧客に提供しようとしているからです。

ゾゾスーツなんてとんでもないものを配布したりしています。

楽天が知恵を絞るべきは、この部分のはず。アマゾンのスムースでストレスのない購買に慣れた顧客を楽天市場に引き込むにはどうすればいいのか。その答えを見つけなければなりません。

「そんなことはわかっとる!黙れ小童!」といわれそうですが、答えが見つけられれば生き残れるし、できなければ枯れていく世界です。

それなのに、最近の楽天の動きはどうにも、周辺分野や小手先の販促策に止まっているように思えてきます。

日本のインターネット通販の雄が将来にわたって強い企業であるためにも、もう一度、自らの中核を見直して、われわれを驚かせるサービスや仕組みを開発していただけることを期待しております。


【参考】







「空飛ぶ車」 日本勢は相乗り待ち

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先日、「空飛ぶタクシー」が実現間近。巨大産業になるはず。という記事を書きましたが、その技術的側面を書いた記事がありましたので、紹介します。(有料会員限定記事です。すみません)

ドローン技術の進展が「空飛ぶ車」を現実に


「空飛ぶタクシー」「空飛ぶ車」といえばSFのような話ですが、技術的にはほぼ完成しているといわれます。

その前提となるのが、モーターやインバーター、電池といったパワーエレクトロニクスの急激な発展です。

ドローンというと空飛ぶ玩具ぐらいにしか思っていなかった私ですが、まさにドローンの技術が、空飛ぶ車を現実にしようとしているわけです。

いわば有人のドローンです。これはすぐにでも出来そうですね。

ウーバー社が「空飛ぶタクシー」ビジネスを設計


記事によれば、有人ドローンが実現するのは2020年前半だとか。軽飛行機のエンジンを利用した空飛ぶ車も実現間近だそうですが、そちらより有人ドローンの方が、経済効果が大きい。

なにしろビルの屋上のような場所があれば発着可能です。機体の開発費用も比較的小さい。ウーバー社は、これを使って「空飛ぶタクシー」や「空飛ぶライドシェア」を狙っており、それなら運賃も安くできます。いずれは通常の飛行機や車よりも安くできるのではないかと考えているようです。

日本勢は確実に「実」を得る構え


残念ながら日本では、ウーバーのように都市計画からビジネスモデル全般を設計しようという動きは見られません。

が、トヨタ自動車をはじめ、各メーカーは、いつでも現実化できるように技術開発を進めているようです。

要するに、ウーバー社などがビジネスとしての形を整え、儲かる方法が明確になるのを待っている状態です。

それから市場化しても遅くはありません。というか、その方が失敗がない。

それもいいでしょう。なにしろ裾野が広い巨大産業になりそうですからね。後追い上等、相乗り上等で確実に「実」を得ていきたいものです。





RIZAPグループが松本晃カルビー前CEOを招聘 化学変化は起きるのか?

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このニュースには驚きました。

カルビーの松本晃会長兼CEOが、RIZAPグループのCOOに就任したとか。現場のトップです。

人材を集めることにかけては定評のあるPIZAP瀬戸社長の「人たらし」ぶりがあらためてうかがいしれますな。

名うてのプロ経営者を招聘


松本氏といえば、ジョンソンエンドジョンソン日本法人社長を経て、カルビーに招かれました。オーナー同族企業だったカルビーにコーポレートガバナンスを持ち込み、経営を近代化させただけではなく、8期続けて増収増益させ、プロ経営者としての評価を高めました。

今年、いささか唐突にカルビーを辞めたのは、創業家とひと悶着あったのかも知れません。

が、まだまだ若い松本氏ですから、その去就が注目されていました。

それがよりによってRIZAPグループのCOOになるとは。

松本氏ならば、引く手あまただっただろうにと余計なお世話ながら思ってしまいます。

驚異的な急成長だが中身は薄い


RIZAPグループは言わずと知れた「結果にコミットする」フィットネスジムを中核とする企業グループです。

2017年3月期の売上高は、953億円。前年比172%。

4年前と比べると、実に5倍以上の売上アップとなっています。

その急成長の原動力になっているのが、フィットネスジムの成長と、超積極的なM&Aの実施です。

フィットネスジムに関しては、積極的な広告宣伝効果もあり、好調をキープしているようです。私はいまだに「リバウンド必至やろ」と疑っていますが、一瞬でも理想の体型になれるのなら、それも良しなのかも知れません。

M&Aに関しては「ダボハゼ投資」と揶揄されるような無軌道ぶりです。

ボロ企業を買い続けるライザップの危うさ

この記事によると、株を安値で買って「割安購入益」を計上することで、利益を上げているとか。

2017年3月期から同社が採用したIFRS(国際財務報告基準)では、企業を正味の価額より安く買収できる場合、“割安購入益”が計上される。それが利益を押し上げた。例えば、純資産価額が10億円の企業があるとする。この企業を3億円で買収した場合、買収企業には7億円の割安購入益が発生する。

現状の収益構造を見ると、フィットネス事業よりも割安購入益のほうが大きい。

このような形で株価を押し上げる経営手法は、なんだかITバブル期の企業群を彷彿とさせますな。。

人材を集めることが急務


RIZAP側とすれば「必要だから買ってるんだ」と言うでしょうが、グループ構成をみてみると、アパレル、ネットビジネス、出版、サッカーチームと何がなんだかわけが分からない状態です。

松本氏は「おもちゃ箱」に例えましたが、その通りで、瀬戸社長の個人的な夢や思いがこめられたグループ拡大だったのでしょう。

正直にいって今のRIZAPグループは実体に乏しいと言わざるを得ません。

中核事業のフィットネスジムは確かに好調ですが、これはトレーナーの属人的な能力に頼らなければならないビジネスです。

瀬戸社長は「結果にコミットする」手法には汎用性があると主張していますが、他の事業が大成功したという話も聞きません。規模は膨らんでいますが、その成果は、いまだ未知数です。

瀬戸社長とすればそれも充分承知で、優秀な人材集めに余念がありません。松本氏のような大物経営者の招へいは、大金星だったと言えるのではないでしょうか。

ダイヤモンドができるか、灰になるか


もっとも松本氏の合理的な経営手法が、ベンチャー然としたRIZAPにどこまで馴染むのでしょうか。

今は瀬戸社長の人柄を絶賛し「瀬戸社長を一流の経営者にする」と抱負を述べている松本氏ですが、カルビーの時とは違ってトップマネジメントではありません。

どれほど力を発揮できるのでしょうか。

化学変化を起こして純金が精製されるのかも知れません。あるいはかつてのソフトバンクのように尻切れトンボのようになってしまうのかも知れません。

何年か経ってみないとわかりませんね。








ローソンの取り組みは生ぬるい

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今さら感の強いローソンの施策に関する記事です。

2014年に買収した高級スーパー成城石井のコーナーをローソンの店舗に設置しようという試みです。

成城石井を買収した時点で織り込み済の施策であったはずですが、ここまで遅れたのは、成城石井が好調すぎてブランドを棄損するのが怖かったからなのか?

しかし本体ローソンの業績アップが最大の課題であり、待ったなしの状態です。

いまのローソンに残された施策として、成城石井との連携が最大唯一といってもいいものなので、やらないという選択肢はなかったでしょう。

ファミリーマートは、ドン・キホーテと連携


一方、ファミリーマートは、ドン・キホーテと提携して、ドン・キホーテ風のコンビニ運営に乗り出しています。

最近、ファミマは、新施策を連発しており、動きが慌ただしい。それが功を奏したのか、株価が急上昇しています。

 
と思ったのですが、記事によると、株価が急上昇した理由を、筆頭株主である伊藤忠商事がユニー・ファミリーマートHDを子会社化するのではないかという思惑からであると書いています。

確かに、ファミマやユニーが打ち出す新施策の効果はまだ結論が出ていません。

依然としてセブンの背中は遠い


ちなみに、2017年度のコンビニの店舗あたりの日販は、下記の通り。

セブンイレブン 65.3万円

ファミリーマート 52万円

ローソン 53.6万円

セブンイレブンとはかなり差があり、その背中は相当遠い。

しかもネット通販やドラッグストアの台頭など、経営環境も急激に変化しており、コンビニという業態そのものの落日も囁かれています。

セブンイレブンでさえ危機感を抱かなければならない状況です。

ローソンの今回の取り組みは秘策といえるほどのものでしょうか。

ファミマと合併するとか、ドラッグストアと連携するとか、アマゾンやアリババに身売りするとか、もっと抜本的な取り組みをしなければ、この差は埋まらないと思います。





シダックスがカラオケ事業の撤退に遅れた理由

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シダックスがついにカラオケ事業から撤退です。

かつてレストランカラオケという業態で一世を風靡しました。ひと昔前までは、カラオケは飲み会の主役だったんですね。一次会の食事から対応できる大箱のカラオケルーム全盛の頃は、シダックスがトップ企業でした。

ところが今は、ひとりカラオケや持ち込みOKの低価格カラオケが中心となっています。

給食事業を手掛け、レストラン込みの店舗を得意とするシダックスには分が悪い市場環境となってしまいました。

明暗わかれたカラオケチェーンの状況

かつての花形事業もいまはお荷物に


カラオケ事業への進出は、シダックスを飛躍させるきっかけとなるホームラン事業でした。

一時期は、シダックスの収益を引っ張る事業であったことは間違いありません。

が、ここ数年、業績は急激に落ち込んでおり、2016年3月期、2017年3月期の2年に至っては、最終利益で赤字を計上してしまいました。

直近の2017年3月期に関しては、売上高1484億円(前年比92.3%)、営業利益13億円ですが、巨額投資損失を計上しているために、経常損失が約30億円となっています。(前年損失は約11億円)

「一部の報道で、シダックスグループがカラオケから撤退するという記事が出たが、それを撤回させて欲しい。われわれはカラオケ事業からの撤退は考えていない」

シダックスの志太勤一・会長兼社長は投資家向けの説明会で、そう主張した。

とありますが、むしろ撤退しなければヤバイ状況です。

給食受託事業は好調 選択と集中は合理的


シダックスグループは、給食受託事業の大手であり、そちらは好調です。

セグメント売上高をみていても、レストランカラオケ事業のインパクトは減っていました。


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利益貢献度でみても、エスロジック事業35.6%、コントラクトフード21.5%、メディカルフード19.9%、コンビニエンス中食3.8%、トータルアウトソーシング26.7%です。(レストランカラオケは赤字)

得意分野に集中するのは、合理的な判断であり、復調の兆しが見えないレストランカラオケを見切るのは当然です。


市場は変化することを前提としなければならない


記事によると、シダックスは建物の賃貸契約を長期間結んでいたため、撤退の足かせになったとあります。

店舗戦略の失敗がシダックスの手足を縛った。自社が店舗を建てた時の土地賃貸契約が15〜20年と長期に及ぶものが多く、解約には高額の違約金が発生するため、抜本的な対策が遅れた。

市場は変化することを前提としていなかったシダックス側の失敗だとわれても仕方ないでしょうね。

もっともこの期に及んでの志太会長の発言にも一抹の不安を感じます。
東洋経済の取材に、志太会長は「寂しさはあるが、カラオケ館と組むことで今までにないカラオケの新しい業態ができればうれしい」と答えている。

まだカラオケ事業のホームランが忘れられないのか。あるいは、撤退に至った事実を取り繕うというのか。

カラオケ事業を引き取ってくれるところがあって幸いです。

余計なことを考えずに事業の立て直しにまい進してほしいと思います。





スタジオアリスがさらに成長するための方法

スタジオアリス


(2018年5月31日メルマガより)


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スタジオアリスの記事を久しぶりにみました。



スタジオアリス様 ずいぶんご無沙汰して申し訳ございません。

それもそのはず。うちも子供が大きくなりましたからね。子供専用写真館のスタジオアリスと縁遠くなるのは仕方ありません。

子供が小さい頃は大変お世話になりました。

お宮参り、七五三、入園入学と、折々のハレの日によく撮影していただいたものです。


記事によると、2019年2月期の売上高見通しは、411億円の過去最高の見込みであるそうです。

店舗数は全国に510店舗。その殆どが直営店です。

子供用写真館のシェアは約6割。

最近は子会社への投資がかさんで利益は伸び悩んでいるとのことですが、2016年12月期の決算では、経常利益14%でした。

しかも無借金経営です。

これを優良企業と言わずして、何と呼ぶのでしょうか。


「子供写真館」というブルーオーシャンを開拓


スタジオアリスの前身は、大阪にあったDPE店(写真現像所)のチェーンでした。

デジカメの普及により、先行き不安だった同社は、1992年、新規事業として「子供専用写真館」を立ち上げます。

当時の社長は「新入社員の女の子二人に勝手にやらせたら、こんな店を作りよったんや」ととぼけた言い方をしておりましたが、それほど業界の常識に囚われない斬新な新規事業であったということでしょう。

なにしろ写真館という業態そのものが斜陽産業の最たるものです。デジカメ普及の前に、コンパクトカメラの普及が、写真館を追い込みました。DPEチェーン店の興隆は、写真館の没落の上に立つものだったはずです。

そこにわざわざ「子供専用」などと顧客を狭く絞る写真館なんて狂気の沙汰だといわれても仕方なかったでしょう。

しかし、これが当たりました。

子供専用にしたことで、子供写真に必要な技術やサービスを先鋭化できたからです。

あふれるばかりの貸衣装や撮影小道具はすべて無料。

メルヘンチックな店内の雰囲気は、子供だけでなく、大人もワクワクさせるものです。

それになんといっても、気難しい子供の機嫌をとって最高の一枚を撮影させる店員の技術は他に代えがたいものがありました。

スタジオアリスの最大のノウハウは、写真撮影の技術ではなく、子供をあやす技術だったのです。


子供写真館という業態の可能性に着目した同社は、おもちゃ小売りチェーンのトイザらスと提携し、本格的にチェーン展開していきました。

当初はトイザらス店内に併設する形で展開。後には、イオンなどのショッピングセンターのテナントとして店舗数を拡大していきました。

現在、店舗数の63%がショッピングセンター内のテナントとなっています。

同社が、直営店を中心に展開しながら、無借金経営ができる理由がここにありそうです。


同社の成功を受けて、多くの競合他社が子供専用写真館を立ち上げましたが、スピード出店の賜物か、市場の約6割をスタジオアリスが占めています。

市場シェア6割というと、ほぼ完全独占状態です。

この状態になると、競合他社がいっぱい現れて頑張ってくれるほど、トップ企業に脚光が当たり、ますます儲かります。

このへんのメカニズムは、ぜひランチェスター戦略を学んで知っておいてください。


スタジオアリスの成功要因


スタジオアリスがなぜこれほどの成功を収めたのか。

一つは、少子化ゆえの消費行動があります。

少子化の時代だからこそ、一人の子供にかける費用が上がっています。特に子供の写真は、親だけではなく祖父母の需要があります。

スタジオアリスの平均客単価は約3万円だということですが、1枚5千円の写真を2カット撮るだけでは1万円にしかなりません。

が、ここに両方の祖父母のために写真を焼き増しするとなると一気に3万円となります。

おそらく負担しているのは祖父母側なんでしょうね。孫需要です。


二つ目は、子供にはハレの日需要があるということです。

お宮参り。お食い初め。七五三。入園入学。と、子供には写真を撮りたくなるポイントが多数あります。

そのうち撮ろうという程度では誘引されませんが、ハレの日の縁起物であれば、高い撮影費を払う動機となります。


三つ目は、先ほども挙げた子供撮影なりの仕掛けやノウハウが必要なことです。

撮影用の衣装や小道具は、子供専用だからこそ揃えられるものです。店内のメルヘンチックな雰囲気づくりもしかりです。

撮影のために子供あやす行為も、子供専用だからこそ。隣りで見合い写真を撮影していたら、子供をあやしてなどいられませんわね。

だからスタジオアリスの従業員の殆どは女性です。女性の生来の子供を扱う能力を活用したビジネスです。

しかも業界のパイオニアであり、店舗数が多いので、日々新たなノウハウが蓄積されていっていることでしょう。


そして四つ目は、横展開しやすいことです。

同社にノウハウがあるといっても、それは特殊な訓練が必要なものではないはずです。

特に撮影に関して、熟練のカメラマンでなければ撮れないものではありません。

プロ写真ぽく見えるのは、照明と背景のおかげです。デジカメだから大量に撮影しても費用はかかりません。

スタジオの背景と照明の中、何十枚、何百枚も撮れば、いい写真も撮れるというものですよ。

しかも何十枚の中から選択するのはユーザーです。自分で選んだのだから文句は言えません。そこもノウハウですな。

熟練の技術を必要としないビジネスモデルなので、横展開しやすくなります。


写真館は、いわゆる装置産業です。

設備にそれなりの投資が必要ですが、一度作ってしまえば、利益率は高くなります。

顧客さえ確保できれば儲かるビジネスであり、子供のハレの日需要というブルーオーシャンを掴んだスタジオアリスが、我が世の春を謳歌できたのも自明だったのです。


市場は既に飽和している?


しかし、いくら孫にお金を出すといっても、少子化なのですから、市場規模には限界があります。

いつ飽和状態になっても不思議ではありません。

いや、すでに飽和しているのではないか?


今回の過去最高売上高見込みの発表にしても、来年2月期の売上高ですよ。なぜ今の時期に10カ月先の売上高見込みを高らかと発表する意味があるんだろう?と勘繰りたくなります。

スタジオアリスは、決算期を変更したので、昨期は、2017年1月から2018年2月という変則決算となっています。

その売上高は430億円でした。

ただしこれは14カ月の変則決算です。もしこれを単純に12カ月に縮小すると368億円となり、前年割れとなります。

もちろん季節要素があるので単純に×12÷14で計算するのは無理があります。

が、スタジオアリス自体、ここ数年、店舗数や売上高の伸びが鈍化している状況を鑑みると、10カ月後の過去最高売上高予測を疑いたくなる気持ちになってきます。


実際、2016年12月期の1店舗あたり年間売上高は75.5百万円ですが、5年前の2011年12月期の1店舗あたり年間売上高は79.8百万円となっており、430万円減少していることがわかります。

店舗売上高の落ち込みを店舗数拡大でカバーしている状態だったということですが、それも維持できないとすれば深刻です。


ニッチビジネスが乱立する写真館事業


要するにスタジオアリスが切り開いた「子供専用写真館」というブルーオーシャン市場は、早晩、飽和する運命にあり、同社は次の新規事業をものにしなければ成長できないということです。

それは同社も充分承知のはず。上の記事にもありますが、新規事業として、出張撮影やアプリでの写真注文、海外展開などにも取り組んでいます。

そのほか、ペット用写真館、ブライダルやマタニティ写真、ベビー写真などにも手を出しています。

まあ、正直言って、どれもイマイチです。上場企業が手掛けるような大きなビジネスにはなりそうもありません。


他の写真館はどうしているのでしょうか?

ネットなどを見ていて目立つのは、就活、婚活、終活、の3大活動写真ですね。

就活:就職活動の履歴書に貼る写真を撮影するサービス。ヘアメイク、メイク、姿勢、表情なども指導してくれます。1枚1万円超と証明写真としては高いですが、就職活動者にとっては、必須アイテムだそうです。

婚活:言わずと知れた婚活です。プロフィール写真を盛ることは当然ですね。こちらはさらに高額なサービスになるでしょうが、そんなところをケチっていたら結婚などできません。

終活:遺影に使う写真を撮るサービス。老人ホームなどに出張して撮影するサービスもあり。

その他、地元の写真屋さんなどは、学校と契約して、運動会や遠足などの行事に随行し、写真を撮影するサービスなど地道に行っているところもあります。

いずれも規模が小さいビジネスなので、町の写真屋さんが手掛けるにはちょうどいいのでしょうが、スタジオアリスの次の成長を担うようなスケールはありません。


敢えて言うなら、スタジオアリスのブランド力を利用して、町の写真屋さんや市井のカメラマンのプラットフォームを作り、出張撮影の窓口になる、という方法はあるかも知れません。

出張撮影は範囲が広いので、イベント撮影、ペット撮影、就活、婚活、終活、すべてに対応できます。思わぬニーズを発見する可能性もあります。

仲介業務だけなので利益はそれほど高くないでしょうが、顧客データを収集することはできます。


スタジオアリスの新規事業が成立する3つの条件


スタジオアリスが手掛けるならば、以下の3つの要件にあてはまることが望ましいといえます。

(1)需要があること。相応の規模があること。さらにいうと、写真を撮るきっかけが強いものがいい。子供写真におけるハレの日需要です。

(2)リソースが使えること。現在同社が持っている設備や人材、ブランド力が使えることが望ましい。

同社の人材にはプロカメラマンは少ないでしょう。だから出張撮影などには向かないと思います。

(3)横展開しやすいこと。仕組みさえ出来上がれば、多店舗展開できるビジネスが望ましい。そうじゃないと、大きなビジネスになりませんので。


そう考えてみると、規模もあり、ハレの日需要があり、プロの技術がいらず、多店舗展開できた子供専用写真館というのは優れたビジネスなんですね。そうそう二匹目のどじょうはいないのかも知れません。


なぜ海外進出に失敗したのか?


常識的に考えて、日本国内のトップ企業が飽和した後、さらなる成長を求めるのは海外市場です。

スタジオアリスもそれは同じなのですが、どうにもうまくいっていません。

記事によると、20年ほど前から韓国や台湾に進出してきた同社ですが、鳴かず飛ばすで、今は韓国に3店舗という状況だそうです。

「七五三に該当するような行事がなく、正直に言えば圧倒的な差別化もできていない」と自己分析していますが、それでいいのでしょうか?

一人っ子政策が続いた中国では、日本以上に子供にお金をかけると言われていますから、需要がないとは思えません。

もし七五三のようなハレの日需要がないなら、作ればいいのです。

バレンタインデーを国民的イベントにしたお菓子会社のマーケティングを見習えってことです。


そもそも台湾や中国には写真館というビジネスは皆無なのでしょうか?

そんなことはありません。中国にも台湾にも「変身写真館」なるものが多く見受けられます。

観光客相手に、中国の民族衣装やその他様々なキャラクターに扮することができる写真をスタジオで撮影してくれるサービスです。(衣装貸出やメイク込み)

あるいは中国の人たちも、変身写真を楽しむ習慣があるのかも知れません。

子供専用か、観光客相手かでターゲットは分かれるもののスタジオアリスのリソースを活用できるビジネスなのではないかと想像します。

勝手がわからなければ現地の写真館を買収するなど手があるはずです。

つまり、海外進出に失敗したのは、需要がなかったのではなく、現地の需要をつかみ切れなかったということです。

インバウンドを狙え


日本には現在、月間260万人の訪日客があります。年間だと3000万人を超えるでしょう。

私の事務所がある心斎橋も、中国系の観光客であふれていて、まともに歩けないほどです。

この勢いを逃す手はありません。

心斎橋商店街の中心に訪日客専用のスタジオアリスを作れば、確実に流行るだろうなーと思います。

日本版変身写真です。侍や忍者、お姫様。あるいは、ポケモンやエヴァや日本のアニメのキャラクターに変身できる写真を撮影するサービスです。

何なら忍者の姿のまま心斎橋商店街を歩いてもらってもいいじゃないですか。

このビジネスはすぐに横展開できます。東京、大阪、京都など訪日客が集まりそうなところに10数店舗はできそうです。

さらにいいのは、訪日客にとって、日本滞在の毎日がハレの日であるということです。せっかく日本に来たのだから忍者のコスプレをして記念写真をとろうという気持ちにもなろうというものです。

まさに規模、ハレの日、リソース、横展開と、新規事業の要件に合致しています。


悲願の海外進出を成功させよ


そのまま訪日客の動きにあわせて全国展開を狙うのもいいでしょう。

しかし、本線は、訪日客相手のビジネスから得たニーズ、ノウハウ、知名度をもとに、再度海外展開を目指すことです。

ニーズによっては、中国にいきなり出店することもあるでしょう。あるいはインドネシアやベトナムや他のアジア諸国に展開する方がいいかも知れません。

場合によっては、現地の写真館チェーンを買収する。

その上でイケると思えば、多店舗展開していけばいいのです。

いずれにしろ、海外展開をこのまま諦める手はありません。

上場企業として成長を目指すならば、なんとしても海外進出を成功させていただきたいと思います。


というわけで、スタジオアリス様。

まずは、日本版変身写真館に進出することをお勧めいたします。

その先には、悲願の海外進出の成功が待っています。

ブックオフはもう断末魔なのか

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ブックオフの業績悪化が止まりません。

 同社が5月10日に発表した2018年3月期の連結決算は、最終損益が8.8億円の赤字だった。17年3月期は11.5億円の最終赤字、16年3月期は5.2億円の最終赤字を計上していた。

 同社の展開する中古本・中古家電販売店「ブックオフ」は、店舗数が激減している。10年3月期には1100店以上を展開していたが、18年3月末時点では825店となった。8年で約300店が減ったかたちだ。18年3月期も18店純減しており、店舗数減少の流れが止まらない状況にある。

 18年3月期は、不採算店の店舗閉鎖損失や早期の黒字化が見込めない大型複合店の減損損失などで12.5億円の特別損失を計上した。店舗数が減少したこともあって、売上高は前年比1.6%減の800億円だった。

これはもう断末魔と言いたくなるような状況です。

本が売れないのだから、中古本も売れない


要因は明確で、本が売れなくなっているからです。

新刊本が売れなければ、中古本が売れるはずがありません。

特に、漫画本がかつてほど売れなくなっていることが、大きく響いているでしょう。

無料で読めるwebサイトが話題となりましたが、それは一端です。時間消費の主体がスマホやゲームに移ってしまって、漫画も読まれなくなってしまいました。

大手書店も苦境に陥っていますから、新古本の扱いを主流とするブックオフが厳しくなるのは自明です。

直近の問題としては、買い取りが思うように進まないということも言えます。

記事にあるように、メルカリやヤフオクで売った方が高いという事情もありますが、それは微々たるものでしょう。

根本的には、新刊が売れないのだから、中古本の買い取りも進まないということです。

社内は相当荒んでいるのではないか


ブックオフをみていて感じるのは、従業員のモチベーションが低いと思えることです。

私の事務所のすぐそばにブックオフの店舗がありますが、いつも気になります。

本屋さんはもともと激務な上に、業績も悪いので、社内が荒んでいるのだろうなと思えます。

業績が悪い→社内の士気が上がらない→さらに業績が悪くなる。

という負のスパイラルに陥っているとすれば、相当危険な状態です。

「後出しじゃんけん」ビジネスの限界


もっともブックオフは、需要があることを前提にした「後出しじゃんけん」的なビジネスです。従業員の能力や蓄積したノウハウを恃みにしないポジショニング戦略色の強い事業だといえます。

シリアルアントレプレナー「ブックオフ」「俺の」創業者の成功パターン

出版全盛の頃は需要は無限に思えたことでしょうね。

ただ需要が減退してしまったら、ポジショニング戦略は脆い。潮目が変わったら、仕掛けの場所を変えないといけないようなもので、ポジションを変化させなければ、生き残ることは難しくなります。


「空飛ぶタクシー」が実現間近。巨大産業になるはず。

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「空飛ぶ車」「空飛ぶタクシー」が現実のものになろうとしています。

SFのような話ですが、技術的には実現可能な状態にあるそうです。

いわゆる人が乗ることができるドローンみたいなもので、eVTOLと呼んでいます。

どのようにビジネス化していくのか


じゃあ、何がネックになっているかというと、機体開発、インフラ設備、運行システムを開発する費用を含めて、ビジネス化するための全体の設計です。

ここを得意としているのが、配車システムのウーバーで、いま最も現実的な構想を持っているのだそうです。

記事を読むと、ウーバーの構想が壮大であることがわかります。

それによると、15秒から30秒おきに「空飛ぶタクシー」を飛ばし、大量輸送を実現することで、今のタクシーよりも低価格化を実現しようとしています。

そのためには、AIを駆使した運行システムの開発が必要ですが、ウーバーはこの分野で最先端にいこうとしています。

さすがソフトバンクが巨額の融資を実行した会社ですね。

政府が全面バックアップしなければ進まない案件かも


日本では残念ながら取り組みが遅れています。

技術的にはクリアできそうだそうですが、ビジネス化する上で問題があるようです。

1)地下鉄などが十分に整備された日本の都市で、eVTOLが参入できる市場はあるのか。逆に、過疎地(離島交通など)での利活用では、十分なコストとオペレーションが可能か
2)政府にeVTOLのような次世代航空機を機体認証する前例がなく、認可がとれないのではないか(米国で機体認証すると膨大なコストが掛かる)
3)日本は内燃機関に強いメーカーが多く、eVTOLに対して企業トップが理解を示さない
4)航空機のパイロットや整備要員などが、米国やドイツに比べて圧倒的に少ない
5)既存交通機関と共存し、相乗効果を生み出す日本型モデルが必要

つまり日本国内で完結させるとビジネスとして成り立たないという懸念です。

交通機関やタクシー会社などは既得権益があるのでやりたくないでしょうし、ベンチャーがこれだけ大掛かりなことに取り組むのは難しい。というか妨害されて大変でしょう。

ここは政府が全面バックアップの上で、ソフトバンクあたりが主導して強引に取り組まないと進みませんね。

あるいは、東南アジアやインドなどで実証実験を行い日本以外でビジネス化を構想するような、今までにないスケールが求められます。

そんなことができるのはソフトバンクぐらいじゃないの?と思ったりします。

なにしろ、実現すればばかでかいビジネスです。機体を作るだけでも一大産業が出来上がりますし、本来、日本企業の得意分野のはずです。

ここは何としても取りこぼしのないようにしてほしいものです。






日本の携帯端末メーカーが負けた理由

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長い記事ですが興味深い。著者は中国在住で、中国でのビジネス経験も豊富な方のようです。

中国で日本の携帯端末が売れなかった理由


日本の携帯端末が中国市場で売れなかったのは、中国の顧客を無視した製品投入をしていて無策だったから、ということです。

当時、まだ日本の携帯端末メーカーに勢いがあった頃、日本製品は高性能高機能を誇っていました。それをそのまま中国市場に持ってきても、中国のユーザーが使いこなせるわけではありませんでした。

単純な話、中国語が使えない携帯端末が中国で売れるのか?って話です。

そんな当たり前のことを日本のメーカーはクリアしなかったらしい。そもそも中国で売る気はなかったのでしょうね。

ただこういう話は他でも聞きます。日本の家電メーカーがアジアで販売するのに、日本仕様のものをそのまま持って行っているだけだからさっぱり売れないという事例です。

日本の電機メーカーができない理由

いったいどうなってしまったのか?

ユーザーへの接近を忘れたメーカー


日本では携帯キャリアの力が強い。特にNTTドコモの力は絶大で、端末メーカーはドコモのいう仕様の通り製造していれば、割り当て販売してくれるという構図がありました。

いわば商売の基本であるユーザーに接近することを忘れて、キャリア対応ばかりしていたわけですから、それは事業体として弱くなっていきます。

中国市場を攻略できなかったのは、市場を理解する能力に欠けていたからだと記事にはありますが、その通りだと思います。


現在、中国のスマホのシェアは、中国系4メーカーとアップルで分け合っている状態です。

結果だけみると、日本メーカーが頑張っても席はなかったんじゃないか、と言われるかも知れませんが、逆に中国市場でそれなりの地位を持っていたら、日本でも売れなくなって軒並み撤退という事態は避けられたかも知れません。

せめて1社ぐらいは、本気で中国市場をとりにいく挑戦心を持てなかったのだろうか?

中国が外資規制でややこしいというなら、インドでもインドネシアでもいいから、シェアをとろうという選択肢はなかったのだろうかと思います。

自動車メーカーがいまだアグレッシブさを失っていないので、家電メーカーの状況が残念でなりませんよ。

ソフトバンクでさえ長老化?


記事では、中国携帯端末大手のOPPOが、日本市場進出を目指すがその閉鎖性に苦戦している様子が書かれています。

記事には、自由市場である中国と、既得権益者が支配する日本というように、少々面白おかしく対比して描かれています。

実際には中国には政府という壁が存在しますので、必ずしもこの図式通りではないでしょうが、中国の活力という意味では、一面の真実があると感じます。

なにしろソフトバンクでさえ儲かるようになれば既得権益者の一つとして、業界を守る側に回っていますからね。

ビジネス市場としての活力もなくなっていくというものです。





私が出会った優秀なコンサルタント

優秀なコンサルタント


(2018年5月17日メルマガより)

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私事ですが、経営コンサルタントとして独立してから今年で14年です。

法人を設立してからは、12年になります。

気づいたら、けっこう長くやってきたんだなと思います。


経営コンサルタントとしてなんらかの形で関わった会社や事業者は、300社ぐらいだと思います。

そのすべてがコンサルとして大成功を収めたとは言いませんが、その都度、その都度、誠実に、一所懸命に取り組んできました。

自分がベテランだとか、それなりの地位があるとか言うつもりは毛頭ありませんが、自分なりのコンサルティングのスタイルや方法論は持ちつつあるのかなと考えています。

自信を持って始めた仕事ですが、やはり10年以上現場を経験しないとわからないこと、身につかないこともあるのだなと感じています。


「あなたは幸せになりたいですか?」


14年前、あるベテランのコンサルタントの助手を務めさせていただいたことがあります。(管理体制構築のコンサルタント)

とても穏やかで性格のいい方で、独立したばかりだから勉強したいという私を快く受けてくださったのです。

コンサルティングにおいても、上から目線で自分の考えを押し付けることは一切なく、皆を粘り強く巻き込むスタイルでした。

特徴的なのは、いちばん最初、社員の方が集まった時に「あなたは幸せになりたいですか?」「どのように幸せになりたいですか?」と質問して回ったことです。

およそ2時間。「会社活動における自分の幸せとは何か?」について、考える時間をもったのです。

それどころか、次の回も、その話題を繰り返しました。

「この会社で働いて、どのように幸せになれるのだろう?」と徹底して考える機会を作りました。

その会社の社長の顔には「貴重なコンサル時間を使って何をやっているんだ」と若干イラつく感じがありましたが、お構いなしでした。


対症療法では会社はよくならない


正直に言って、私も多少、引いてしまいました。

失礼な言い方ですが、そのやり方がなんとも“かったるい”ものに思えたのです。

経営理念やミッションの重要性はわかりますが、もっとシャープに、スマートにできるのではないだろうか?

案の定、その方のコンサルティングは、遅れに遅れ、予定の期間を倍以上もかけて行うことになったようでした。(最後までは参加しませんでした)


私も若かったです…

というのは、今では、その方の方法論に共感する部分が多いからです。


私の場合、営業に関するコンサルティングが多いですから、実践的なことを要求されます。

売上を上げたい、利益を上げたい、営業目標を達成させたい、営業マンの能力を向上させたい、そのための処方箋を求められます。

求められたことに逸脱せずに応える。というのは自然なことです。


しかし、実際のところ、処方箋は対症療法に過ぎません。求められることに表面的に答えているだけでは、先方からのクレームはないでしょうが、根本的な解決には至りません。

例えば「地獄の特訓」的な取り組みで一時的に行動量を増やして売上高を上げても、それはドーピングを打ったようなもので継続性がありません。

それは経営について学んだ者がすべて理解していることのはずです。真因は常に見えないところ、深いところにあり、そこを治療しなければなりません。

だからコンサルタントになりたての頃は、顧客の要求から逸脱しないように工夫しつつ、いかにして根本原因を突き止めて治療を施すか、そのせめぎ合いに苦労しました。


なかには「言われたことだけ応えていれば、根本的な原因は残ったままだから、仕事がなくならなくて好都合だ。しめしめ」と開き直るコンサルタントがいるかも知れません。実際いるでしょう。

そんなふうに開き直れたら楽でしょうね。

そんな職業的良心のないコンサルタントに比べて、社長の意向を無視してでも、根本的な取り組みをしようという先のベテランコンサルタントの姿勢は真摯です。

その方のコンサルティングは、いつも時間がかかることで知られていました。時間がかかり過ぎると途中で契約を打ち切られることもあったそうです。

しかし、というべきか、だから、というべきか、出来上がりの満足度は高いものとなります。

私が助手をさせていただいた会社のコンサルも、最後の満足度、社員の一体感は、相当のものがあったと聞きます。(最後までは関われませんでしたが)

あれから10数年が経ち、いまでは、そんな方から学ぶ機会を得られた私は本当に幸運だったと思っています。


人生の目標と会社目標をリンクさせる


その方が「幸せ論」などという抽象的な討議を繰り返す意図は明確です。

経営の方向性と個人の人生の方向性をリンクしてもらおうという取り組みです。

組織のメンバーが一致団結した時のエネルギーは凄まじいものがあります。

そのためには、会社の発展と個人の幸福が一致していることが望ましい。

強制したり洗脳したりして一方を向かせるのは、まさにブラック企業で個人の幸せを摘み取ってしまいます。だからその方は自然に皆が納得して目標を見定めるように、幸福論を討議するわけです。


そういうやり方を“かったるい”と感じるのは私だけではないでしょう。メンバーの多くが、なんで道徳の時間みたいなことに付き合わされるんだ、という顔をしています。

ただここでブレてはいけません。コンサルタントが本気で幸福論を語り続ければ、それが真摯であることが伝われば、やがてメンバーは巻き込まれていきます。

社員の方々が本気で自分の人生と会社を結びつけて考えるようになれば、それでコンサルティング目標の半分は達成したようなものです。

逆に、会社の在り方に共感を覚えないメンバーが多くいると、組織はパワーを発揮できません。1+1=2どころか、0.5とか0.3になってしまう場合があります。

まずは会社と人生を結びつけて考えることが出発点です。


「動きたくない」人を動かす


私は営業に関するコンサルティングを主に生業としている者です。

売上向上、利益向上、営業目標達成、営業力強化、こうした内容に取り組んでいます。

ランチェスター戦略や孫子の兵法は、営業支援に役立ちます。孫子の兵法は、根本的な思想や姿勢を教えてくれますし、ランチェスター戦略はより具体的に市場を攻略する方法を示してくれます。

しかし、それが機能するためには、営業担当者をはじめとするメンバーが、会社の方向性を理解し、貢献しようとしていることが前提となります。

そもそも営業担当者には経験主義者が多く、自分が現場で経験したことしか信じようとしません。それが良い時もありますが、悪い時もあります。

これまで経験したことがない戦略や営業方法を試そうとしても、まずは反発します。外部のコンサルの言うことなど信じていません。

それがいい意味での「現場主義」の現れなら議論の余地もありますが、今さら新しいことをするのは面倒臭い、会社の発展よりも個人の楽を優先させるという考えに結びついているならば聞く耳を持っていないので、厄介です。

ランチェスター戦略がどんなに優れていたとしても、それを受け取る者が現状維持派であれば「なんか珍しい手法らしいけどうちの会社には合わないね。今まで通りやればいいやん」で終わってしまいます。

もっと悪い時には「このコンサルがいる間はやるふりをしておこう。いなくなれば元に戻せばいいや」というメンバーもいます。

コンサルというのは常にそういう「動きたくない」人とのぶつかり合いです。


コンサルタントは、どのように人を動かしているのか?

基本的には2つの方法があります。

一つは、コンサルタントが得意な手法をまず導入し、実績が上がるのを見せ、メンバーの信頼を獲得したうえで、根本的な戦略や仕組みの構築に取り組む方法。いわゆる対症療法から入って根本治療に至る、入り口は易しいが奥に進むのが難しい方法です。

もう一つは、最初から社員が混乱するのもお構いなしに「幸福論」や「人生論」など人間の本質的なところに踏み込み、充分に巻き込んだうえで、根本的な経営改革に進む方法。入り口は抵抗されますが、一度受け入れられると、後は易しい方法です。

どちらに取り組むかは、それぞれのコンサルのやり方です。私もコンサル機会によって使い分けています。

いずれにしろ、困難な部分に踏み込んでいかなければ会社はよくなりません。そして最も困難な部分は、表面からは見えない部分にあるので、一筋縄ではいかないことを知っておかなければなりません。


見えない強みを理解する


どんな小さな会社にも強みがあります。

強みが機能しているから、今まで生きてきたわけです。

中小企業は、その強みを磨き、強みが活きる市場を見つけて、そこに一点集中することが基本戦略です。

そしてその集中した市場においてトップ企業になることができれば、生き残る可能性が格段に高まります。


そこで重要なのが、強みは表面に見えているだけのものではないということです。

例えば商品開発力がある。という会社があるとします。

開発力があるのは素晴らしいことですが、その開発力はどこからきているのか?

おそらく、開発する人材、その人材の採用教育育成がうまくいっているという背景があるはずです。

あるいは研究開発する設備や予算。

開発を後押しする社内の風土やチャンレンジ精神。

社内に蓄積された開発ノウハウや知的財産権。

社内社外のネットワークも重要でしょう。

こうした背後のつながりや結びつき、蓄積が重なって、今現在の開発力に結実していると考えられます。

もし、今の開発力が、特殊な天才の力によるものだとすれば危険です。その人がいなくなれば、開発力という強みが霧散してしまいます。

もし強みが消えたり劣化したりすれば、基本戦略そのものの前提が崩れます。

そんなことのないように、今の強みを支える背後のつながりや構造を理解し、補強しておかなければなりません。

コンサルタントに依頼したくなるような状態の時は、たいていこの見えない背後の部分が弱体化しています。

ここに到達し、明らかにできるか否かが、コンサルタントの優劣を分けることになるでしょう。

そのためには、深いところまで開示できるように社員を巻き込むことが必要になるのは自明のことです。


地味で目立たない人の中にこそ優秀なコンサルタントがいる


先にあげたベテランコンサルタントの方ですが、実はいまも元気に働いておられます。

地味で目立たないこういう人たちの中にこそ、本当に優秀なコンサルタントがいるのだと思います。

むしろ派手なパフォーマンスや実績を誇示する人の仕事内容をみて首をかしげることが多くありました。


私が関わった多くの中小企業の人たちは、真面目で誠実な方々でした。

社長だからと言って、わがまま放題で勝手なことばかりしている、というドラマに出てくるような土俗的な人はいません。(いや一部いますが)

多くの社長は、顧客のこと、得意先のこと、社員のこと、その家族のことを真剣に考える人たちです。

引退したくてもできないのは、そうした関係者のことを考えると、後継者に任せるのに不安があるからです。

そうじゃないと、退職金だけもらってさっさと引退して悠々自適の生活を送ればいいわけです。

いま日本の経済社会を支えているのは、そうした多くの善良な中小企業の人たちです。

そうした方々に関わる私たちコンサルタントも、善良で誠実で粘り強く取り組む者でなければなりません。

そうした方々が心安らかに過ごせるように支援することが、コンサルタントの存在意義だと考えています。

北海道日本ハムファイターズなくしては大谷翔平の二刀流はなかった

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これは栗山監督というよりは、日本ハムに入っていなかったら…というべきでしょうね。

プロ野球ドラフトで強行指名


もともと大谷翔平はメジャーリーグ志望で、プロ野球には入る気がないので、ドラフト指名しないでほしいと申し入れをしていました。

他球団は素直にその申し入れに従い指名回避しましたが、北海道日本ハムファイターズだけが強行指名に踏み切りました。

かつては巨人にしか入る気がないと明言していた菅野を指名してクジを引き当て、1年間の浪人生活を余儀なくさせた日本ハムですから、それもありかなと思わせたものです。

翻意させるウルトラQが二刀流挑戦


さてプロ野球に入る気がないと言っていたにも関わらず指名されて迷惑に思ったであろう大谷を翻意させるために日本ハムが用意したプランが二刀流挑戦でした。

確かに投打に高い能力を持つ大谷だからこその提案ですが、果たして普通のドラフト入団選手だったなら、こんなプランを提示するだろうか?

大谷は、二刀流という前代未聞の挑戦と、プロ野球を経てからメジャーリーグに挑戦した方が活躍できるというデータを見せられて、日本ハム入団を決意しました。

星野仙一氏などは、そんな手があるならうちも指名したのにと悔しがりましたが、後の祭りです。というか、日ハム以外では、そんな提案を思いつかないでしょうし、日ハムも普通のドラフト選手には提案しなかっただろうと思います。(日ハムは否定するでしょうがね)

だから素直にメジャーリーグに行っていたら、二刀流はなかったはずです。今頃投手で活躍していたでしょう。

日ハムフロントと栗山監督の功績


今を時めく二刀流の大谷翔平は、日本ハムなくしては生まれなかったでしょう。

日ハムは、選手を育てて、年棒が高くなれば他球団に譲るという効率的な球団経営姿勢を持っています。

ダルビッシュも糸井もあっさりと放出しました。

その分、若手選手を一人前にするのに高い育成能力を発揮しています。

それは栗山監督の手腕というよりも、フロントの方針であり、構造的に選手を育成する能力を有しているということでしょう。

もちろん現場責任者としての栗山監督がその役割を充分に果たしていることは疑いようがありません。

特に大谷翔平ほどの才能を預かるというのは、信じられないほどのプレッシャーだったでしょう。多くのプロ野球OBからは二刀流挑戦に猛反発を食らいましたが、それをこれ以上ないぐらいにやり遂げさせたわけです。

この一事だけでも、プロ野球の歴史に多大な貢献をしたと言えるでしょうね。

栗山監督は、いい意味であくがなく、分を超えるということがありません。それは日本ハムという球団の在り様と自分が置かれた立場を的確に理解し、どう振る舞えばいいのかを完璧に知っているということでもあります。

いわば栗山監督は、中間管理職としてのプロ野球監督を理想的に体現しています。

また北海道日本ハムファイターズには、効率的な球団運営の極意をみることができます。

わが阪神タイガースは(~_~;


これに比べて阪神タイガース球団と金本監督は、まだ監督が全権を持つという古い時代の運営スタイルを引きずっています。

金本監督は広島カープの育成方針を参考にしようとしているようですが、それは、金本監督がフロント入りしてから取り掛かるべき仕事でしょうね。

私は、むしろ金本監督は、フロントに向いていると感じています。

あの怖い顔で毎日ベンチにいられたら、若い選手は委縮してしまいますわな。

高いステージが潜在能力を開花させた


それにしても大谷翔平のメジャーリーグでの活躍には目を見張るものがありますね。

一流のプロ野球選手でも、高いレベルのステージに行った時、潜在能力をさらに開花させる者と、逆に持てる能力を充分に発揮できない者に分かれます。

イチローや野茂英雄は前者でしたね。

大谷翔平も持てる能力を日本時代よりも発揮していると思えます。

ただ、大谷が日本ハムに入団して、二刀流に挑戦して、やり遂げたことの成長度合いに比べると、今の成長はまだ驚くべきものではないでしょう。

大谷は、まだまだ伸びしろがあると思えます。ワクワクしますね。


それに比べて、大谷と同じドラフトで阪神が引き当てた藤浪晋太郎は、どうなってしまったのでしょうか。

大谷にひけをとらない才能の持ち主だけに今のていたらくは情けない。

これは藤浪晋太郎の問題であると同時に、阪神タイガースや金本監督の問題です。

もう阪神はこれからドラフトで有望選手を狙うのは遠慮した方がいいんじゃないでしょうか。






プロフィール
komai 小

営業関連のコンサルティングをしています。
製造業や卸売業などの営業組織を強化する仕事を得意としております。

株式会社クリエート・バリュー代表取締役
NPOランチェスター協会理事
NPOランチェスター協会関西支部
NPOランチェスター協会認定インストラクター
中小企業診断士   販売士1級

コンサルタントになる前は、日本酸素株式会社魔法瓶事業部(現在のサーモス株式会社)で14年、営業担当をしておりました。
その時、廃業寸前の赤字だった事業部がわずかの期間で世界トップ企業になった経緯を体験したことが、経営コンサルタントになったきっかけとなりました。
当時、経験したことや見聞したことを物語風にアレンジしたのが、拙著『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』です。
面白い本なので、ぜひ読んでください(^^)

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