わたしは価値を創る

大阪在住の経営コンサルタントのブログです。

【大阪開催】2018年1月25日(木)ランチェスター戦略入門セミナーを開催します

2018年1月ランチェスター戦略入門セミナー


衰退市場で経営するということ


2018年も昨年に引き続き、AIの進化や自動化の進展が続くと考えられます。

いまや経済規模の縮小要因は、少子高齢化だけではありません。 

省力化、シェア化、バーチャル化の流れは、長期的にみれば、企業の設備投資や消費支出額を減らすことにつながっていきます。

つまり、日本でビジネスする限り、殆どの業界は、縮小経済の中で稼いでいかなければならないということです。

経済全体が成長している時であれば、企業は世の中の流れに乗っているだけで稼ぐことができました。

が、今はそうではない。

人と違うことを、自らの意思で選択し、独自の稼ぎ方を作り上げていかなければなりません。

不要人材にならないための鍵は「戦略」


これは企業の経営者だけの話ではありません。

従業員にとっても同じ。省力化が進めば、企業の競争力は増すかも知れませんが、その裏で、不要な人材が発生します。

そんな時、会社にとって手放してはならない人材になっていなければなりません。


企業にとっても個人にとっても、生き残るために必要なものは戦略です。

生き残るために、何をすればいいのか。何をしてはいけないのか。

それをお伝えいたします。


ランチェスター戦略とは


ランチェスター戦略は、日本の経営コンサルタント田岡信夫が、アメリカの軍事戦略を参考に、日本の経営環境に考慮して作った戦略です。

1972年の成立以来、松下電器、ブリジストン、キリンビール、ソニー、アサヒビール、ユニ・チャーム、H.I.S、ソフトバンクなど多くの企業にとりいれられ、多大な効果を上げてきました。

ランチェスター戦略はきわめて現実的で、精神論的な要素の入る余地のない戦略理論です。

経営目標達成のために、何をどう積み上げていけばいいのかを具体的に教えてくれます。

経営コンサルタントの立場から、この戦略が本来持つ実践的な側面を正確にお伝えしたいと考えています。

2時間という枠の中で、ランチェスター戦略をどのように活用すればいいのかをご理解いただけるように工夫させていただきます。

この機会にぜひともご参加ください。


日 時:2018年1月25日(木)午後7時〜9時頃

参加費用:5,000円(税込)
※当日、お支払ください。

会 場:大阪産業創造館5階 研修室D


≪参加お申込みはこちら≫


講師:駒井俊雄
NPOランチェスター協会関西支部長
NPOランチェスター協会理事
株式会社クリエート・バリュー 代表取締役
中小企業診断士 1級販売士


「ランチェスター戦略入門セミナー」の内容


●なぜ、戦略が必要なのか?

●戦略と戦術の違い、定義とは?

●イギリス人、F・W・ランチェスターの功績とは?

●ランチェスターの法則とは?

●ランチェスター戦略を作ったのは誰か?

●弱い者が、強い者に勝つ方法はあるのか?

●弱者の戦略とは?強者の戦略とは?

●織田信長が使った弱者の戦略、豊臣秀吉が使った強者の戦略。

●現代企業が使う弱者の戦略、強者の戦略。

●なぜ差別化しなければならないのか?

●差別化してはいけない場面とは?

●具体的に戦略を活用するためには?

●市場シェアとは何か?

●なぜ市場シェア至上主義なのか?

●市場シェアの目標は、どのように決めればよいのか?

●ライバルにどれぐらい差をつけるべきなのか?

●ランチェスター戦略が示す3つの鉄則とは?

●一点集中はリスクはないのか?

●自分より強い者と戦うとどうなるのか?

●なぜ2番ではダメなのか?

●1番になるとどれだけいいことがあるのか?

●理論より行動、は間違っているのか?

●あの一流経営者は、ランチェスター戦略をどう評しているか?


僭越ながら全国の各所で開催し、大変好評をいただいているセミナーです。この機会にぜひ一度、お聞きください!

準備万端整えて、お待ちしております。

ぜひ、セミナー会場でお会いしましょう!


自動車メーカーがプラットフォームを目指すわけ

トヨタ自動車は8日、1台で移動や宅配、小売りなどの多様なサービスに使える自動運転車を発表した。米アマゾン・ドット・コムや中国ライドシェア最大手の滴滴出行など5社と共同で、2020年代前半に米国で実証実験を始める。欧州メーカーは移動サービス事業で先行するが、トヨタはネット通販や外食などのサービス事業者向けに専用システムを提供して対抗する。

トヨタのEVは何にでも化けるらしい


EV開発に消極的だと思われていたトヨタですが、やる時はやりますな。

トヨタが今回発表したEVは、事業者向けの多機能自動運転車とでもいうべきものです。トヨタはフレームを用意して、配送だったり、ピザ配達だったり、移動式ホテルだったり、事業者の要求に応じて車体そのものをカスタマイズできる様式にしています。

一般大衆者ではありませんからトヨタが得意とする大量生産車ではありませんが、それを採算に乗せるノウハウは、マツダが担うのでしょう。

それにしてもトヨタがこのようなコンセプトカーを発表するとは。(企画そのものもマツダかも知れませんが)

自動運転ホテルなんて夢のようです。寝ているうちに目的地についている車なんてSFですよ。一般に売り出してもヒットしそうです。移動式ホテル車があればワンルームマンションとはいりませんからね。出張が多い者にとっては、有難い限りです。

フォードもホンダも、プラットフォーム化を目指す


今回、トヨタの企画の特徴は、プラットフォームになろうとするものだということです。

トヨタは用意するのはフレームです。ビジネスのアイデアや仕組みは、他の事業者が考えることになります。

同じく自動車メーカーのフォードも、EVを新しい都市開発の一部だと捉えています。

「クルマは売らない」 CESで見せたフォードの覚悟(日経新聞・有料記事)

 フォードはコンセプトを実現するため、スマホ向け半導体大手の米クアルコムと提携し、クラウドを活用したプロジェクト「TMC(交通移動体クラウド)」構想を発表した。スマホや自動車、町角に設置された通信機器などを相互にネットワークにつなぎ、高度なサービスを提供しようというもの。地図やナビゲーション、決済システムなどの分野に力を入れる。

要するに町全体をネットワークでつなぎ、車は移動手段の一つとして町のシステムに組み込まれるという構想です。車は移動手段の一つであり、ネットワーク端末の一つとして機能します。

また自動車メーカーのホンダは、ロボット事業のプラットフォーム化を狙っています。

中型の箱形ロボットは中を冷蔵庫に改造して飲食販売に使ったり、移動型のDJブースにしたりできる。小型のロボットはベビーカーやカート、大型は消防や農業向けなどに変身する。利用者の感情や嗜好を学ぶAIが共通で載り、クラウドでデータを集め、異なるロボットにも反映できる。小売りや外食、レジャー、音楽、行政、起業家らがソフトや付属品を自由に設計できる。

ホンダの担当者は、二輪車のスーパーカブが、新興国でとんでもない使い方をされているのを目の当たりにして「使い方はユーザーに考えてもらおう」と発想したといいますが、ロボットかEVかという違いだけで、トヨタのコンセプトと同じです。

IoTの時代、最も影響力のあるポジションを得るのはどこか?


IoTという言葉はいまいち浸透していないのかもしれませんが、全てのものがネットにつながるという状況は確実に進んでいますね。

※IoT(インターネット・オブ・シングス)物のインターネット。すべての物がネットにつながる状況を示す言葉。

特に自動車は、自動運転車の実現が待たれており、ネット技術の粋が集結しています。自動車メーカーは、IoTの最前線にいることになり、ビジネスの革新に立ち会わざるを得ません。

全てのものがつながり、商品というくくりに境目がなくなる時、一メーカーの発想や技術では限度があります。全てがつながるのだから供給側もつながらなければならないということですね。

さらにいうと自動車メーカーは、今までのように自動車産業の中心でいたいという思惑があり、そのためには、プラットフォームの中心を押さえておきたいという事情が見えてきます。

この分野、中国のメーカーがデータ量で圧倒していますし、グーグルやアマゾンやAIを得意とする企業もプラットフォームの中心になることを狙っています。

トヨタやホンダでさえ、ただの自動車組み立て工場として淘汰される恐れがあります。ビジネスの中心どころではありません。

どうすれば淘汰されない企業になるのか、その激烈な戦いが始まっているということですね。




販売減少のアサヒスーパードライ 産業遺産になっていくのでしょう

「スーパードライ」はバブルだったのか(日経新聞・有料記事)

「スーパードライ」が1億ケース割れ。だという記事です。

 アサヒビールの基幹ブランド、「スーパードライ」の2017年の国内販売が節目となる1億ケース(1ケースは大瓶20本換算)を29年ぶりに下回ったことが9日、発表された。1億ケースを突破したのがバブル経済絶頂期の1989年。スーパードライ発売から僅か3年での大台超えというハイスピードだった。ピークは2000年の1億9170万ケース。以降、減少傾向を続けてここ数年は「1億ケース割れはいつか」と関係者の間で言われていた。一昨年までは土俵際で踏ん張ってきたもののついに昨年、土俵を割ってしまった。しかも今年の販売計画でもさらに下回る数字を出している。

1億ケースというのは節目となる象徴的な数字だということですね。日本国内のビール系飲料の販売数減少は続いており、いずれは1億ケース割れが確実だったのですが、節目の数量を割りたくないという意地があったようです。

が、ここで1億ケース割れ。今後は、減少が続いていくのでしょう。

日本の産業史に残る大ヒット商品


スーバードライは、いまでも国内ビール販売量で約半分のシェアを持つ怪物商品です。

発売は1987年。その頃はビールといえばキリンの時代です。キリンラガーの特徴である苦味が、ビールのうまみそのものだと捉えられていましたが、スーパードライは苦味からすっきりした味への転換を図った商品です。その大胆な差別化が功を奏して、1997年には、国内トップブランドとなりました。そこから20年間ずっとトップブランドのままです。

スーパードライが登場したのは、バブル経済に向かう勢いのある時代、日本全体が新しいものを求めている時代でもありました。

また規制緩和の時期でもあり、量販店やコンビニで酒類を扱うようになった頃にあたっていました。

王者キリンが新しいチャネルへの対応に苦慮する中、アサヒの経営陣は、量販店やコンビニへの全面適応を即決、実施しました。

実質的には、チャネルを制し、そのための生産と配送の仕組みを整えたことが、アサヒがビール業界を制することになった決め手だと考えます。

日本の産業史に残る大逆転劇ですね。

アサヒも戦略を見直す契機に


ただ現在日本国内のビール離れ、アルコール離れの流れは止まりそうにありません。

記事にもあるように、アサヒもスーパードライを死守する戦略から、新たなビールやアルコール、あるいはアルコール以外へビジネスの柱を作り直さなければならない時期に来ています。

私としても「ランチェスター戦略入門セミナー」で話すアサヒスーパードライの事例が、賞味期限を迎えつつあるようで寂しい限りですが、時代の流れですから仕方ありません。

歴史的な事例として記憶にとどめておきたいと思います。






阪神タイガースが選手育成改革に取り組んでいる!

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おお、これは。

阪神タイガースも考えているんだなーと感動しました^^

 「成長には『考える力』が必要ではないかと。ドラフトで獲得した選手が、しっかりとした成長曲線を描くためにどうすればいいのか。考える力の構築に重きを置き、フロントとしても支えていく。そう思って育成プログラムを作っています」

本格的に始めたのは2012年以降とのこと。

選手自身の練習内容や未来像などを記入させて、その成長度や思いを球団が把握し、成長をバックアップしています。

また練習後には座学も行っているとのことです。

余談ですが…


私は経験上、「書く」ことが、成長においては大変効果的であることを知っています。

話を聞いただけで「わかった」「聞いたことがある」「言われなくても知ってる」という感想を述べる者は、たいていの場合、何もわかっていません。

試しに「何が分かったのか書いてみろ」と命じてください。ほとんど書けませんから。

感覚的に分かった気になることと、それを客観的に理解し、他人に説明できるまでになることは、相当の開きがあります。

感覚はすぐに消えてしまいますからね。次の日には、もう覚えてないでしょう。

そういう意味では、日誌を書かせて、それをフィードバックするという手法は、泥臭いですが、効果は必ずあると思います。

育成システムの完成を目指して頑張っていただきたい


育成上手といわれる北海道日本ハムファイターズは、こうした育成方法をとっているのですかね。

阪神タイガースも真面目に取り組んでいるんだなあと誇らしい気持ちになりました。

ぜひ続けていただき、育成のタイガースと呼ばれるようになっていただきたいものです。


しかし、藤浪選手はこの教育を受けているんですよね。

言うこと聞かないとか、頑固だとか漏れ聞こえてきますが、実際のところどうなっているのでしょうか。

どうやら育成システムも道半ば。まだまだ改善しなければならないようですが、頑張ってください。





2018年 君たちはどう生きるか(吉野源三郎や宮崎駿とは関係ありません)

君たちはどう生きるか

(2018年1月11日メルマガより)

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世界の株式時価総額ランキングを見てみますと、やはりアメリカの企業が強いことがわかります。(2017年12月時点)

1位:アップル

2位:アルファベット(グーグル)

3位:マイクロソフト

4位:アマゾン・ドットコム

5位:フェイスブック


1位から5位まですべてアメリカのIT系企業ではないですか。

ちなみに株式時価総額とは、市場株価に株式の発行総数を掛けたものです。

市場株価は、その株式を買いたいという人が多ければ上がり、売りたいという人が多ければ下がります。一種、人気投票のような側面もあります。

しかし理論的には、その企業の将来にわたる価値を表しており、時価総額の高い企業とは、多くの人々が、その将来的な価値は大きいと考えている企業といえます。

そういう意味では、これからもアメリカのIT企業が、世界の経済をリードしていくと多くの人が予想しており、またその予想は大外れすることはないのだろうと考えます。


世界を牽引しているのは、アメリカと中国の企業


その下のランキングを見てみます。

6位:テンセント・ホールディングス(中国のSNS企業)

7位:バークシャー・ハサウェイ(アメリカの投資会社)

8位:アリババ・グループ・ホールディングス(中国のEC企業)

9位:ジョンソン・エンド・ジョンソン(アメリカの医療・ヘルスケア企業)

10位:JPモルガン・チェース(アメリカの金融企業)

ランキング10位までをみてみると、

アメリカのIT系企業が5社。

アメリカの金融関連企業が2社。

アメリカの医療・ヘルスケア企業が1社。

中国のIT系企業が2社。

という内訳になります。

ここから分かるのは、アメリカの経済を牽引しているのは、ITと金融とヘルスケアだということ。

さらに、世界経済をリードしているのが、いまやアメリカと中国だということです。

13位にようやく韓国のサムスン電子。

日本企業でいえば、42位にトヨタ自動車が入っているぐらいです。

日本企業の凋落という現実を見せられたような気になり、寂しい限りですが。


世界の中心から身を引こうとしているアメリカ


2017年のトピックといえば、その世界経済の盟主たるアメリカが、国際協調をやめて孤立化にひた走ったことでした。

TPPやパリ協定からの離脱を表明し、世界からひんしゅくを買ったのは記憶に新しいところです。

もっとも、アメリカのこの動きは、ITや金融産業の興隆が行きすぎたためだったというから皮肉なことです。

アメリカのITや金融産業は、一部のエリート層や技術力を持った移民層に支えられています。

それに対して、過去のアメリカを支えていた製造業はローカルに留まり世界で戦える状態ではありません。

置いてきぼりにされた製造業従事者(白人労働者層)の不満をすくい取った大統領が誕生し「グローバル化くそくらえ。国際協調しるもんか。アメリカファーストだ!」とやっているわけです。

止まらないグローバル化と現地ローカルとのあつれきや対立は、世界中で起きていることですが、まさかグローバル化推進の本家本元であるアメリカで、このような事態が起こるとは…

最近でたトランプ大統領に関する暴露本(未読)の内容を漏れ聞くと、トランプ大統領自身「大統領選に出て有名になれたらいいや」という考えのお騒がせ候補だったそうじゃないですか。

そんな人物がアメリカの大統領をやっているというのですから、民主主義おそるべしです。


中国の壮大な国家戦略「一帯一路」


一方、そんなアメリカの独歩をよそに、存在感を強めているのが中国です。

中国は「保護経済政策に反対する」などとうそぶきながら、「一帯一路」というスケールの大きな経済政策を進めています。

ここでいう一帯とは、中国と欧州を結ぶ大陸横断地帯のこと。

一路とは、南シナ海、インド洋を通って同じく欧州に向かう海上の道のこと。

中国、中央アジア、南アジア、西アジア、地中海沿岸、欧州を含めてユーラシア大陸の大部分を中華経済圏に組み入れてしまおうという壮大な計画です。

実際、中国はこれらの諸国に大規模な投資を行うと表明しており、各国がその効果への期待に沸き立っています。

もっとも、その実態は今のところ、過剰気味の生産力を吐き出す需要地の確保と、中国14億人の国民のための資源の確保が中心です。投資の内容も、中国系企業進出のためになされることが多く、経済的な植民地支配を拡大しようとする動きに見えます。

欧州各国は警戒感を強めていますが、もともと貧しい中央アジアの国々などは、中華経済圏に組み入れられることを受け入れているようです。このままだと中国の思惑通りになりそうです。


中国の多様性が世界的企業を生んだ


そんなスケールの大きな国家戦略を推し進める中国ですが、世界時価総額ランキングに出てくる企業は、国策企業ではありません。

テンセントもアリババも、北京の政府と距離を置く企業であると知られています。

テンセントは、中国版フェイスブックといった企業。

アリババは、中国版アマゾンです。

ありていに言えば、アメリカで成功した企業を中国で真似して始めたものです。中国にはそういう真似した企業が多く存在します。

中国は、他国のグローバル企業を国内に入れさせない保護主義的な側面が強いので、フェイスブックもアマゾンも、他の国のようにサービスを大々的に展開することができません。

その隙に、真似をした企業が勢力を拡大するわけです。

が、真似したといっても、中国には14億の人口がありますので、その勢力は強大です。場合によっては、本家をしのぐほどの規模になることもあります。

中国政府の預かり知らぬところで、「真似でもなんでもいいから起業してしまえ」という若者が多くいて、そして実際に世界規模の企業が多く育っているというところに、いまの中国の凄まじい活力と懐の深さを感じます。


残念なアメリカのTPP離脱


TPP(環太平洋パートナーシップ協定)は、そんな中国に対抗するものと期待されていました。

14億の人口を抱えている巨大経済圏と伍するためには、その他の国が一つの経済圏としてまとまらなければならない。という考えがあります。

そこに世界一の経済大国アメリカと三位の日本が加われば、その勢力は無視できない強大なものとなるはずでした。

が、アメリカが離脱表明した今、目減りしてしまうことは避けられません。

それならアメリカ抜きで協定を結ぼうという動きもありますが、各国は「トランプが辞めたら、アメリカが戻ってくるんじゃないか」と思っているのか、あるいはアメリカがいないとリーダーシップがとれないのか、何気にグズグズしておりますね。

個人的には、人口減が確実な日本とすれば、経済圏を拡大するこのような機会を逃してはならないと考えています。

多少、日本の既存産業がTPPによって危機に陥ったとしても、新たなビジネスのチャンスを増やす方が将来的なメリットが大きい。

やる気のある若者が、アジアを舞台に起業することが普通になるような未来であってほしいと思います。


税制改革によってアメリカの経済は短期的に盛り上がる


そんなアメリカのトランプ政権ですが、起死回生の一策として、税制改革法案を成立させました。

これは、法人税の減税と、海外の所得や配当金課税の減税や撤廃などを主とするものです。

法人税の減税はともかくとして、海外の所得をアメリカに還流しやすくする制度は、相当のインパクトがあると考えられます。

なにしろアメリカをリードするのはグローバルに活動する企業群です。今までの制度では、その海外資金の多くが、現地に留められていました。

ところがそれがアメリカ本社に集められたとすると、財務戦略の幅が大きく広がります。

M&Aもしやすくなるでしょうし、自社株買いで株価を押し上げることもあるでしょう。

もちろん国内従業員の報酬上昇にもつながるかもしれません。

短期的なアメリカ経済の興隆は間違いないと考えます。


IT企業の発展がリアル経済を棄損している


短期的。といいました。そうなんですね。

アメリカが得意とするIT企業の発展は、リアル経済を棄損するというジレンマを抱えています。

2017年を代表するキーワードだったAI、自動化、シェア、クラウドなどは、グーグルやアマゾンが先導したものでした。

これらにより省力化が進むと、企業側の設備投資は減少していきます。

さらにはモノの価格が下がり、消費金額も減っていきます。

ここにアップルやグーグルが提供するスマホの普及が加わります。

スマホを手にした人々は、スマホ内で完結する範囲の生活に慣れてしまいさらに消費が刺激されないようになってしまいました。

だからいくらアメリカにお金を集めても、消費が刺激されないようでは、実質的な経済は大きくなりません。

金余りが進んで、バブルになるだけです。


長期的に衰退していく日本


アメリカは、移民も多く、多様性のある国なので、まだましかも知れません。お金を持てば、その分消費するという国民性だと聞こえてきます。

しかし日本はそうではありません。お金があっても使うあてがなければ使いません。老後のために貯めて、そのまま死んでいくという人たちが多い国です。

ある意味、日本ほど純粋な先進国はないのかも知れない。

坂の上の雲を目指しても、行きつく先にそれほど驚きはないと知ってしまっているので、活力がわきません。

日本は社会が安定しているので、安全だし、人間の尊厳が踏みにじられるほどの理不尽もありません。

GDPが減ったとか、人口が減ったとか言っても、危機感を抱くいわれがない。

人口はこのまま減り続けて、2050年には1億人を割り込むと予測されています。

そうなるとGDPも縮小し、世界経済への影響力も極小化します。

それで何が悪い?と思う人が多いので、避けようがありませんな。

おそらくポルトガルのように、かつての先進国として、ゆっくりと快適さを失わないままに衰えていくのが、最善解なのだろうと思います。


もはや質で勝負することはできない


いや、そうはならない。という意見もあるでしょう。

いくら人口が減ったとしても、一人当たりの生産性は上げることはできる。これからは、質で勝負する!

と勢いのある人は言っていますね。

しかし、日本だけが生産性を向上させていくわけではありません。

AIやロボットによって世界中が高度化していきます。

その時、ものをいうのは、質ではなく、量です。

ランチェスター第二法則がそう示していることを忘れないようにしてください。

※ランチェスター第二法則は、武器が高度化した戦いにおいては、量の差が二乗倍に増幅されると示しています。

つまり量に劣る日本が、生産性で勝負しても、勝ち目はないのです。


生き残るのも滅びるのも選択次第


だとすると、日本がとるべきは「弱者の戦略」です。

アメリカや中国が手を出していない、あるいは苦手とする分野に国をあげて方向性を定めることができればベストです。

しかし既得権益者の強い日本でそれは望めそうにもありません。

日本の政府ができることは、国力を弱めるプロセスの中で、できるだけ痛みを伴わないように注意を払うぐらいでしょう。

我々は、個人として選択しなければなりません。

(1)流れに任せる。

スマホの範囲内の生活は、適度な孤立とゆるいつながりを与えてくれるので実に快適ですよ。みな同じように貧しくなっていくので、それ程悲惨ではないはずです。もし悲惨な事態になったとしても皆同じだから我慢しましょう。

(2)海外に行く。

アジアをはじめ世界を見渡せば、まだまだ成長市場はあるはずです。成長市場では、人並みに頑張れば、成果を得ることができます。挑戦する意欲のある人は迷わず海外を目指すべきです。

(3)ニッチ市場で勝つ。

日本国内にいても一様に衰退していくわけではありません。成長市場は存在します。あるいは成長しないとしても、他者が目をつけないニッチな市場は存在します。勝てる場所で戦う。というのが、兵法の極意です。国内にいても戦いようはあるということです。

流れに任せるにしろ、違う道を探すにしろ、自己責任です。

予測は予測ですから、生き残るのも滅びるのも、自ら選んだ結果だと思わなければなりません。

生き残るのも滅びるのも選択次第。

選択とは、戦略そのものです。

「人づくり革命」にほど遠い現状ですね…

社員再教育 日本は最下位  「勤務先が費用負担」4割 民間調査、男女格差も目立つ (日本経済新聞・有料記事)

本日の夕刊です。

人口減の日本は、労働者人口も減少しており、一人ひとりの生産性を上げなければならない状況です。

政府も「人づくり革命」を重要施策に掲げています。

既存社員の生産性を向上させなければどうしようもない


求められているのは、既存社員の教育です。時代の変化に即して新たに学んでいかなければ、使えない社員が増えていくだけです。これでは生産性向上は望めません。

が、記事によると働き方支援で日本は世界33位の結果が出ています。

 調査は週24時間以上勤務する18〜65歳の労働者1万3千人以上を対象に、2017年7〜8月に実施。調査対象国・地域の平均では、66.0%の労働者が勤務先が費用を負担したセミナーへの出席やオンライン講座の受講といった支援を受けていた。最も高かったのはインド(85%)で、中国(82%)が続いた。しかし日本では41.2%しか支援を受けていない。

 日本の労働者がスキルアップが必要と回答した割合は8割を超え、世界平均の7割より高い。また、日本では男女の格差が大きい。勤務先から支援を受けていない割合は男性が53.6%なのに対して女性は65.9%に上った。回答の男女差は世界平均は4.4ポイントだが日本では12.3ポイントだった。

日本の場合、成長期の記憶が未だに残っていて、社員のスキルアップは経験でなんとかなる。それ以上を求めるなら自分で学べ。という意識が強いのでしょうか。

あるいは業績が伴わず、社員教育にあてる費用が見込めない。ということでしょうか。

この部分に関する限り、日本企業の意識は相当遅れていると言わざるを得ない


しかし今バリバリの成長期であるインドやアジアの諸外国がスキルアップ支援に費用をかけていることを思えば、日本企業の感覚は遅れていると言わざるを得ません。

こういう記事が出るのはいいことです。

少なくとも生産性を上げなければ、日本はどうしようもない状況ですから、政府も施策を打ってくるでしょうし、各企業が本気になって取り組んでもらいたいものです。

あ。営業教育なら、私にお任せくださいね。




2018年も「アマゾン化」は続く

「アマゾン効果」国際物流にも データが迫る変革  ネット企業が握る主導権(日本経済新聞・有料記事)

アマゾンのようなグローバルなECが発達することで、物流機能も高度化せざるを得ない。という記事です。

国際物流にもスピードと正確さ、効率が求められるので、自動化、AIの活用、衛星データの活用などが必要となります。

対応できない古い物流センターや港湾などは淘汰されるだろうということです。

その通りでしょうし、新興企業にとっては逆転のチャンスがあるということですな。

アマゾンの影響はこれからも拡大し続ける


2017年は、アマゾンの影響がとてつもなく大きくなった年でした。この勢いは2018年も続きそうです。

アマゾンは進化と膨張を続けており、グローバル化、バーチャル化、だけではなく、自動化、クラウド化、キャッシュレス化、バーチャルとリアルの融合まで広がりました。

極端な顧客ファースト原理主義なので、低価格、低マージンを崩さず、競合企業の追随を許しません。

ただし、アマゾンが本当の顧客ファースト主義なのか、あるいは覇権主義なのかは、まだ判別つかない部分もあります。

環境問題や労働者問題を抱えており、あまり行儀のいい企業ではないという話が聞こえてきますしね。

経済規模は縮小し、格差は拡大する


もしアマゾンがなかったとしても、AIの進化、自動化、バーチャル化などの流れは止まらないでしょう。

だとすると、経済全体の規模縮小は避けられません。企業の設備投資額は抑えられますし、商品単価も安くなるからです。

いままで購買力がなかった低所得層に購買機会が広がるという話もありますが、それも一部の企業に集中するでしょう。それがアマゾンみたいに平気で得意先の類似商品をPBにして販売し、しかも儲けないことを信条にしている企業だったら、悪夢です。他企業に恩恵はありません。

アマゾン社内でも、技術者と単純労働者の間には、相当の格差があるようですが、アマゾン化した経済社会では、やはりビジネスを創造しマネジメントする側と、それに乗っかって作業する者の間の格差はさらに拡大していきます。

ただしアマゾンが安い価格で生活に必要な物資や娯楽は提供してくれるでしょうから、それほど困らないはず。なんだか社会全体がアマゾンの福祉ビジネス圏内に入るかのようで、釈然としない気持ちは残るかも知れませんが。

アマゾンのおかげで、挑戦のハードルは下がっている


我々とすれば、新しい社会に対応したビジネスを作って運営するか、あるいは低賃金でも工夫をして楽しく過ごすかを選択していかなければなりませんね。

幸いアマゾンが、起業者のために、安いクラウドシステムや販売機会を提供してくれていますので、挑戦のハードルも下がっています。

失敗してもダメージはありませんから、やらない手はないですよ。

いい社会になったのか、そうでないのか、分からない状況ですが。






日出る国中国と、日沈む国日本

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世界的にAIブームですが、その技術者が不足しています。

 そもそもこれだけ注目されているAIだが、世界でリードできる人材は1000人に満たないと言われている。  現在、全世界にAIに関わる人材は約30万人。内訳は、専門科を持つ367大学に約10万人、産業界には約20万人いる。

産業界の20万人を米国と中国が奪い合っている状況です。

これをみても、世界は、米国と中国の2強状態にあることがわかります。

中国は、AIの技術者に約40万円の月給を払っています。さらに高度な技術者には80万円を出すところもあるとか。

多様性が中国の強み


中国に関していえば、高度な技能を持ち、先進国以上に高い報酬を得る者がいるかと思えば、農村地帯にははるかに低賃金で働く単純工もいます。その多様性が国の活力となっています。

日本は、世界で最も成功した社会主義国家と揶揄されるほど格差を嫌う国なので、いくら貴重な技術者だからといって極端な報酬を払う例は少ないようです。

中国やアジアにいけば、はるかに高い報酬を得られるとなれば、世界の技術者は日本には来ないでしょうし、日本国内の技術者も国外へ逃げていくでしょう。

日本で最先端の技術が育たない一因となっています。

ひずみが顕在化したアメリカ


 アメリカも多様性のある国です。今のアメリカを支えているのは、金融とITの成功です。それらを担っているのが、一部のエリート層と移民層です。

ところが、格差をつけられてしまった内陸部の白人層が不満を募らせたことが、トランプ大統領を生む要因となってしまいました。

内政問題に足をすくわれて、アメリカは足踏みをしている状態です。

パクリでも一大産業化


それに対して、中国は、アメリカのIT産業をパクって、一大産業を育て上げました。

パクリだといっても、中国には13億人の需要があるので、成立してしまうのです。

しかも最近の中国は、かつて政府が無理やり育てた国策企業ではなく、どちらかというと政府から距離を置く純粋な民間企業が産業をリードしています。

どこが社会主義国家だーって話です。

矛盾だらけ、格差だらけの社会は、内政問題の火種となりますが、イノベーションを起こすにはいい環境だったようです。

それら新興企業の多くは貪欲で、なりふり構わず勝ちにきます。ルールなど無視してひたすら成功を追い求める彼らのバイタリティが、いまの中国の強さとなっている次第です。

世界の盟主としての中国といかに付き合うか


中国は国内に矛盾を多く抱える国なので、このまま順風満帆に行くとは限りません。どこかでひずみが大きなひび割れになるかも知れません。崩壊のシナリオもあります。

しかし、このままうまく着陸して、世界の盟主になるシナリオもあります。そうなれば、彼らの思惑通り、中国と米国で太平洋を半分に分けて支配するようになるのでしょうね。

日本としては厄介な隣人ですが、彼らに対抗できるような活力のある国ではないので、仕方ありません。

大前研一氏は、日本はポルトガルのように美しく没落していくのが最も現実的で幸せだろうと言っていますし。

現実は現実として受け止めて、我々ひとりひとりは、どのように振る舞っていくのかを考えていかなければなりません。






2018年1月25日(木)ランチェスター戦略入門セミナーを開催します

2018年1月ランチェスター戦略入門セミナー

世界大学ランキングで、日本の大学が急落


先ごろ、「世界大学ランキング」なるものが発表されました。

こういうランキングは、主に英米の研究誌や機関などが毎年発表しているもので、有名なものはイギリスの機関が担っています。

だからトップにはイギリスの大学が選択されることが恒例です^^

が、一応、といいますか、厳格な評価基準なども設定されていますので、いい加減なものではありません。

日本政府も、トップ100に主要大学10校をランクインさせる目標を立てています。

しかし、今のところ、その目標には近づいていません。

というか、逆に、ランキング下落が著しい結果となっています。


1位はオックスフォード大学(英)、2位はケンブリッジ大学(英)、3位はカルフォルニア工科大学(米)とスタンフォード大学(米)。10位のチューリッヒ工科大学(スイス)を除き、トップ20をイギリスとアメリカの大学が独占した。

というのはいいとしても、

アジアで最もランクが高いのは、22位のシンガポール国立大学。中国の名門である北京大学(27位)と清華大学(30位)も上位にラインクインした。

ということで、アジアの中でも、東京大学は、7位にとどまっています。



大学ランキングだけではない。周回遅れになる日本


英語圏にない日本の大学がランキング下位であることはある程度、仕方ないという意見もあります。

シンガポールや香港の大学がいつも上位に入るのは、それが理由だとも。

しかし、中国の大学にも普通に負けている事実には、現実を見せられた気がします。

大学のランキングだけではありません。最近、中国の勢いが、日本をはるかに凌いでいる情報が多く寄せられています。



一気に立ち上がった中国には、大学にも産業界にもしがらみや既得権益が少なく、最先端のものが普及しやすい状況にあるようです。

電気自動車も、リニアモーターも、電子マネーも、AIも、起業家育成も、既に日本が周回遅れになっていることを認識しなければならないところに来ていると感じます。


これは要するに、われわれが、停滞した社会に住んでいる、あるいは動きの遅いエスカレーターに乗っているようなものだということです。

社会全体が成長しているときは、流れに身を任せ、みなと同じようなスピードで歩いているだけで、よりよい未来に行きつくことができました。

しかし、いまの日本の社会で、まわりと同じ動きや努力をしていても、世界から取り残されていくだけです。

平均年収300万円社会が煽りではなく現実になろうとしています。

われわれが生き残るためにできることは何か


ここでわれわれに必要なことは、現実を認識した上で、

「年収300万円でも満足できる低燃費の生活を組み立てる」か、

「アジアの成長スピードに負けないように自ら努力をする」か、

「流れとは別のところ=人とは違うことをして生き残りを図る」か、だと考えます。


わたしはもちろん、第三の道を選びます。

その意味では「戦って勝つよりも、戦わずに生き残る」ことを至上命題とする孫子の兵法や、

「どんなに小さな弱者でも、生き残る道を見出す」ランチェスター戦略を学んできたことが役立っています。

これからも、ますます学んでいきたいと思います。


★2018年新春 1月25日(木)19時〜



まわりと同じでは生き残れない時代、われわれはどのような方向へ進めばいいのか?

企業としても、個人としても、どのようにすれば、生き残っていけるのか?

その大いなるヒントをランチェスター戦略は教えてくれます。

2018年の初め。

ランチェスター戦略の神髄をお聞きください。

AIの時代に、どのような営業が生き残れるのか?

AIの時代に

(2017年12月28日メルマガより)

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私が学生時代、就職活動をしている時に聞いた噂ですが、さる洋酒メーカーは、採用の条件として容姿を重視しているとか。

夜の町のお姐さんを相手に営業させるので、イケメンでなければならないそうです。

まあ、都市伝説の類ですな。

しかし、妙にリアリティのある話なので、私なぞビビッてしまって、間違っても洋酒メーカーには近づかないでおこうと考えておりました。

だって嫌ですよね。採用されなかったら、おれは容姿が残念だったのか…と落ち込むし、採用されたらされたで何を評価されたのだろうと考え込んでしまう。

それ以上に、洋酒メーカーの営業って、どれだけえげつないことをさせるんだーって戦慄しました。


そこまで営業は安直な仕事ではない…のか?


そんなことはあり得ないんですけどね。

営業って、イケメンだからうまくいくなんて安直な仕事ではありませんし、逆にそんなことで優位になると考えるような会社など危険です。

ただ、そんな噂が流れる背景がわからないでもありません。

商品や販売チャネルや営業手法で差別化が効かず手詰まり感のある業界では、現場営業に頼りたくなってきます。

接触回数を増やせ。という会社の指示は間違っていませんが、前線にいてままならない顧客の相手をする営業からすれば「おれがもう少しイケメンだったら楽なのかなあ」という愚痴の一つも出てくるでしょうね。

私も同じでした。顧客を自在に操れる心理テクニックってないだろうか。とか、妄想したり、探したりしましたもの。

そんな他愛もない(?)冗談をOB社員から聞かされた就活生から広まった噂なんだろうなと想像します。

って言っておきながら、いまになって、そうだろうか?と思う部分もあります。

本当に営業って、そんなに複雑な仕事だろうか?


AIの進化は、知的労働をなくしてしまう


最近、10年後に消える仕事、残る仕事、なんて話題をよく見るようになりました。

背景には、自動化、省力化の技術が加速度的に進んでいる事実があります。

ロボット技術やAI技術が進めば、多くの仕事が失われてしまうと考えられています。

だとしたら残る仕事は、ロボットにできない創造性を発揮できる仕事か、対人接触を求められる仕事か。

その意味では、芸術家などとともに、営業はなくならない仕事だと評価する予測が多いようです。

なにしろ営業は、対人関係能力が求められる仕事ですからね。これはさすがにロボットやAIには置き換えられないでしょう…

しかし本当にそうだろうか?

上の本を読んでみると、むしろ知的労働は早晩AIに置き換えられてしまい、単純労働が残ると指摘されています。

なぜなら、ロボット技術の進化よりも、AI能力の進化の方がはるかに早いから。

細かな手作業ができるロボットを開発するよりも、絵を描いたり、小説を書いたりするAIの方が、実現が早いと考えられています。


AIの時代に営業は生き残れるのか?


では営業という仕事はどうか。

確かに営業は人と接する仕事です。

我々は、それなりに思い切りのいるものを買う時、信頼できる人から購入したいという気持ちがあります。

その信頼とは何か。

人柄がよさそう。熱心。情報が正確。嘘がない。失礼がない。しつこくない。気持ちを分かってくれる。こちらの立場で考えてくれる。的確なものを提案してくれる。買った後も同じように接してくれる。

といったことが、信頼感を育みます。

が、よく考えてみれば、これらの要素の殆どは、AIで代替できることばかり。というか、AIの方が得意なことばかりです。

情報が正確で嘘がないのはAIの真骨頂です。商品知識、技術知識などは、どんな人間よりも深く正確のはず。だから提案も的確ですし、買った後も変わらずフォローしてくれるでしょう。

気持ちを分かってくれるというのはいかにも人間的ですが、それは相当優秀な営業の話で、並みの営業に任すならばAIに分析してもらった方が、より的確なニーズを引き出してくれそうです。

結局、人間でないとダメなことは、人柄だとか笑顔だとか共感だとか、言葉にしずらいものです。

容姿端麗であれ。とは言いませんが、誠実そうで、朗らかで、清潔感があって、親切で、クセがない人でさえあれば、後の能力はAIが補完してくれそうですよ。


AIが人間のサポートをするのではなく、人間がAIの補完をする


さらに営業をプロセスに分解してみます。

営業の仕事は、リストアップ、アプローチ、ヒアリング、プレゼンテーション、クロージング、アフターフォローに分解できます。

リストアップとは、自分の扱う商品を必要とする顧客を見つけて、リスト化する作業です。いわば戦略の部分であり、こちらの市場リサーチと分析は、AIの得意分野です。

アプローチとは、リスト化した顧客に接触する計画を立てて、接触した上で信頼関係を作る作業です。効率のいい計画作成はAIの得意分野です。信頼関係づくりは、人間が工夫すべき分野になるかも知れません。

ヒアリングとは、接触した顧客からニーズを聞き出す作業です。本音で聞き出すのは、人間でないと難しい気がしますが、実際にはAIが導き出す質問項目や雑談記録などからニーズを分析する方が正確でしょう。

プレゼンテーションとは、ニーズに基づき的確なものを提案する作業です。迫真感をもってプレゼンするのは人間かも知れませんが、その中身はAIが作った方が的確のはずです。

クロージングは、購入の後押しをする作業です。こちらは人間が得意かも知れませんが、ここでもたもたするのは、そもそもプレゼンが失敗しているからだと考えられるので、押し売りになっては困るところです。

アフターフォローは、購入した後、顧客の不安や不満を聞きだし解消しさらなる信頼関係を作る作業です。成績に直結しない作業なので人間はやりたがりません。AIが示すタイミングや内容で取り組むのがいいでしょうね。

こうしてみると、AIが営業のサポートをするというよりも、人間がAIの補完をする感覚で臨んだ方がいいような内容です。

これからの営業は、ニコニコしてAIの命ずるままに動いていればいいやん。と言いたくなりますな。


AIがなければ営業が成立しない時代になる


少なくとも、これからの営業は、AIをうまく取り入れていかないと立ちいかなくなるでしょう。

AIの進化がどこまで早いかによりますが、近い将来、5年か10年の間には、必ずそうなります。

その時、自社だけ昔のままやっている。ということになれば、競争にもなりません。

その時には、AIを営業マネージャーにして、若い素直な人を営業担当にした方がいいですね。

冗談ではなく、本気でそう思います。

特に営業という仕事を経験でしか把握せず、AIをどう活用すればいいのか理解しようとしない人は、適応するのが難しい。むしろ軋轢ばかりで面倒くさい。

それなら、経験のない若い人にやってもらう方がいいというものです。


それでも営業が会社の強みになる


あるいは、営業部なんてなくしてしまって、AIで営業に代わる仕組みを作った方がいいという話にもなりそうです。

いま営業部のない小さな製造業などは、あるいはそうする方が賢明かも知れませんね。

もっとも、だからといって営業なんていらない。消えてしまう仕事だ。とは思いません。

すべてがAIになってしまうと、その能力は平均化されてしまいます。営業の部分で差別化できないというのは、武器が一つなくなってしまうことです。

それは避けた方がいいと思います。

そもそも企業競争において、多くの差別化策は模倣され無力化されてしまう運命にあります。

企業の努力とは、自社の強みを模倣から防御し、アップデートし続けることです。

ところがそのアップデートにも限界がある。企業とすれば、なるべく模倣されないような強みを持ちたい。

模倣されない強み。。。その最大のものは、人間です。

例えば、営業の能力が高い。やる気がある。行動力がある。ということが他社より優れている場合、ただちに模倣されることはありません。

なぜなら人間の能力は蓄積が必要で、一朝一夕に模倣されることはないからです。

その意味でも強い営業力は、企業にとって模倣されない強みの最たるものであると言えます。


AIの時代に、営業はどう振舞えばいいのか


これから数年、営業にAIを取り入れる企業が増えてくるでしょう。

過渡期です。だからこそ、うまく取り入れた企業が、営業を強みにすることができます。その強みは数年間のアドバンテージとなるはずです。

その場合、営業担当者側はどうすればいいのか。

(1)まずは、営業のプロセスを理解して、どの部分にAIを取り入れるのかを理解することです。

上に書いた営業プロセスをもう一度、見直してみてください。

AIが得意なこと。不得意なことがあったはずです。

もちろん業界、業種、企業によって少しずつ違うかも知れません。その時はカスタマイズしてください。

いきなり全部AIに置き換えるとはいかないでしょうから、優先順位も意識しなければなりません。

それも含めて、自社の営業プロセスを理解し、どの部分にAIを取り入れたのか、それこそが営業の強みとなります。

(2)次に、AIに置き換えられない部分を意識して鍛えることです。

いまだロボットやAIがインターフェイスを擬人化するのは、やはり人間は人間と接していたいという本質的な欲求があるからでしょう。

対面することで与えられる安心感、信頼感、臨場感、緊張感は、まだしばらくはAIやロボットに置き換えられないものだと考えます。

どうすれば、顧客に安心感を与えることができるのか。信頼関係を結ぶことができるのか。臨場感や緊張感を作ることができるのか。

今回は書きませんが、それぞれやりようがありますので、それを意識して鍛えることです。


営業は脱ブラックボックス化するが、格差も生まれる


気を付けなければならないのは、これから営業は、個人としての格差が付きやすくなると考えられることです。これは、AIを使う側と、使われる側に分かれていくというだけではありません。

たとえば上記の(1)は、AIを使って自社営業のルールや勝ちパターンを作る者に必要なスキルです。

それに対して(2)は、ルールができた後の枠内で努力する者のやるべきことです。

パソコンを動かすプログラムを組む仕事と、それを使って何かをする仕事。というぐらいのイメージですかね。

そのうちAIからは、新たな勝ちパターンが抽出できるようになるでしょうから、それをさらに取り入れていくのも(1)ができる者の仕事となります。

たとえばAIが「容姿端麗の方が成績がよい」というデータを抽出すれば、それを採用するマネージャーも出てくるでしょう。冒頭の冗談が本当になるってことですよ。

普通にいえば、営業マネージャーといわれる人が(1)の担い手となります。

ただし今のように歳をとれば皆マネージャーになるという話ではありません。AIを使えば、マネージできる人数も大幅に増えますから、そのポストも減ることになります。

人数が少ないということは、当然ながら報酬も高くなるということですね。


もうひとつ。(2)の側の中でも格差が生まれやすくなります。AIが戦略を立てるので、そこは条件がみな同じです。だとすれば、個人スキルの部分で成績の差が出ているということが明白になってしまいます。

個人スキルが成績の差となるなら、報酬にも差をつけなければなりません。世知辛い話ですが。

営業担当者にとってはしんどい時代になっていくと思われるかも知れませんね。

しかし私は各自努力の方向性が明確になるのだから、これからの若い営業担当者にとっては、やりがいのある仕事になっていくのだと考えています。

もう「わが社の営業はブラックボックスだ」っていう会社がなくなっていくことを願っています。

AIによって営業という仕事が健全化する。と前向きにとらえていきましょう。





週刊少年ジャンプは50年で社会的な役割を終えたのか?

「少年ジャンプ」50歳、老いない二大原則(日経MJ) (日本経済新聞・有料記事)

週刊少年ジャンプが、来年50周年を迎えるそうです。そんなになるんですね。

漫画雑誌は衰退産業


同誌の発行部数は、現在184万833部。

2位の少年マガジンが88万3804部ですから、倍以上。ダントツトップです。

もっとも、ジャンプの全盛期は、653万部だったのですから、それから比べれば、3分の1以下です。これはもう間違いなく衰退産業ですよ。

徹底した読者至上主義が強み


そんな少年ジャンプも、漫画雑誌としては後発でした。

後発なので、人気漫画家に描いてもらえないという弱点を抱えていました。

そこでジャンプがとった策が、無名の新人に描かせること。および、読者アンケートを絶対視して、人気のない漫画は打ち切ること。

これが、記事にいう二大原則です。

この徹底した読者至上主義が、ジャンプの強みになり、トップ雑誌の原動力になりました。

「ドリルを買う顧客は、ドリルが欲しいわけではない」


しかし50周年を迎えた少年ジャンプが、今後、どのような戦略方向性を持っているのか?については、この記事では分かりません。

現状、ジャンプが危機感を抱くべきは、スマホにあるコンテンツに漫画雑誌が負けてしまっていることです。

漫画読むなんてかったるいという人が増えているわけで、そこには読者アンケートは届きません。

まさに「ドリルを買う顧客は、ドリルが欲しかったのではなく、穴を開けたかっただけ」という状況に陥っており、こちらの方が危機的です。

※電車の乗客は、移動したかっただけで、電車に乗ることそのものが目的ではない。すなわち、電車の乗客の意見をいくら聞いても、乗らなくなった顧客のニーズを知ることはできない。

漫画雑誌はすでに役割を終えたのか?


全盛期に編集長だった人の話として

「いつの時代も少年の心を持った大人はいる。ネット時代で新人作家はデビューしやすくなったが、編集者と二人三脚でつくりあげる漫画の完成度はまねできない」

なんて能天気なコメントが載せられていますが、これって、ジャンプの強みである無名新人の大胆起用と読者至上主義を否定し、編集者のノウハウで勝負していこうという宣言ですかね?

漫画雑誌そのものは、すでに社会的な役割を終えて、伝統芸能の舞台みたいに生き残っていけばいいやということでしょうか。

あるいは記事が切り込み不足なのでしょうか。

このあたりもう少し詳しい戦略などを聞きたいものです。





なぜ介護福祉ビジネスは成長市場なのに儲からないのか?

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介護ビジネスの話です。

メモ。介護福祉関連ビジネスの市場規模は約10兆円。2025年には、20兆円になると予想される。

間違いなく成長市場です。

介護保険からの収入をあてにでき、利益が読みやすいビジネスなので、新規参入が相次ぎました。しかも、国が地元企業の参入を促してきた経緯があるものですから、中小企業が多くなったというわけです。

が、介護関連ビジネスで大儲けしているという話をあまり聞きません。

国家予算を財源にしたフランチャイズビジネスみたいなもの


その大きな理由が、介護福祉ビジネスのビジネスモデルが、介護保険からの収入に頼っていることです。

いわば、国家予算を財源としたフランチャイズビジネスをしているようなものです。固いビジネスだという見方もできますが、生殺与奪権を国に渡しているようなものです。

高齢化が進む中、財源がひっ迫していくのは目に見えていますから、かなり危ない状況です。

介護福祉ビジネスは、地域性が高いという特徴があります。国とすれば、地域の事業者に担ってほしいので、当初は介護保険からの収入を厚くしていました。言い方は悪いですが、誰がやっても儲かるようにしていたのです。

その中で経験を積み、徐々に生産性を上げていってほしいという目論見だったのでしょうが、財源のひっ迫に現場の生産性向上が追い付いていません。

国とすれば介護保険からの収入を下げざるを得ず、多くの事業者が悲鳴を上げることとなっています。

多くの事業者が、低廉な賃金を前提にしている


記事に、

政府の調査でも、介護サービスごとに利益率が異なっており、利益率が高いのは通所リハビリテーションや通所介護(デイサービス)、在宅介護。一方、利益率が低いのは、特定施設入居者生活介護(有料老人ホームやサービス付高齢者住宅など)だという。

とあり、それなら儲かることを増やせばいいじゃないか、という意見があるでしょうが、ことはそれほど単純ではありません。

それぞれを担う人材のスキルが異なります。例えば訪問介護などはパフォーマンスの割には収入を得られない仕事なので、人材が確保しにくい事業となっています。

ありていにいれば、多くの介護福祉ビジネスが、低廉な賃金を前提にして成り立っています。このままでは長続きしません。

生産性向上が急務だが


これを打破するためには、既存事業の業務効率を向上させるなり、利益率の高い保険外事業を立ち上げるなりして、生産性を向上させていかなければならないはずですが、そのためには相応の投資が必要です。

現状の中小事業者が多い状況では、それもままなりません。

記事は、上場企業が手掛ける介護ビジネスは利益を上げているのだから、ある程度の寡占化は必要じゃないか、と言っています。

それはその通りで、国も同じように思っているでしょう。

地元企業に参入を促した責任はどうするんだ!

と言われるかも知れませんが、最終的にはM&Aを促す政策を実施して、寡占化を進めていくことになるのだと思います。

今後、中小事業者が生き残るためには、生産性向上のためのある程度の投資と経営スキル向上が必須となるでしょう。

と、言葉にするのは簡単ですが、実際のところ「今まではこのままでも儲かってたのに」という意識を払しょくできるのは、一握りの事業者になるのでしょうね。





ナイキもアシックスも「SHOE DOG」だ!

ナイキも

(2017年12月14日メルマガより)

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最近のマイブームといえば「陸王」です。

日曜日の午後9時からTBS系で放送されているテレビドラマのことです。

この枠で放送される池井戸潤原作のドラマは、ストーリーや演出にけれんみがあって面白い。

主に、ビジネスにおいて、主人公やその仲間たちが、困難を乗り越えて目標達成を成し遂げていく姿を描いています。

余計な恋愛模様が出てこないところもいいですね。

「半沢直樹」「ルーズベルト・ゲーム」「下町ロケット」ぜんぶ観ておりますが、今回の「陸王」も変わらず面白いです。

ちなみに「陸王」というのは、小さな足袋メーカーが始めたジョギングシューズのブランド名です。

資金繰りにも困る小さな足袋屋さんが、スポーツシューズを開発したものの、毎回のように資金難や大手企業からの妨害や幾多の試練にさらされます。

それを一つひとつ乗り越えていく様が感動的です。

まだ放映中ですから、原作を読んで結末を知っている人は、どうかネタバレしないようにお願いいたします。


ナイキの創業者フィル・ナイトの自伝「SHOE DOG」


そんな私にとって実に旬な本を読みました。


SHOE DOG(シュードッグ)
フィル・ナイト
東洋経済新報社
2017-10-27



世界最大のスポーツ用品メーカー、ナイキの創業者フィル・ナイトの自伝です。

「SHOE DOG」とは「靴の製造、販売、購入、デザインなどにすべてを捧げる人間」のことだと書かれています。

意訳すれば「靴オタク」「靴キチガイ」といったところでしょうか。

学生時代に陸上選手だったフィル・ナイトが陸上用の靴を愛するあまり、1962年日本製の靴を輸入販売する会社を立ち上げるところから、メーカーとして自社製品を作るようになり、1980年株式公開するところまでが書かれています。

常に革新性を失わず、新たな挑戦を止めないナイキらしく、この本の中のフィル・ナイトもベンチャースピリットの塊です。

常に困難に立ち向かい、常に動き回っている。止まったら死んでしまうサメのようです。


ビジネス書というよりも、冒険小説


1962年、フィル・ナイトが、日本の鬼塚(現アシックス)を訪問して、製品の販売代理店になることを取り付けたところから行き当たりばったりです。

思い付きだけで訪問したものだから、受け入れる会社もない。そこで存在しない会社をでっちあげて、代理店の権利を勝ち取ります。

幸運にも、成長市場に網を張ることができたナイトの会社(ブルーリボン社、現ナイキ)は、倍々ゲームのように売上を伸ばしていきます。

ところが実際には困難の連続です。

鬼塚からの製品は遅れるわ、注文通り来ないわ。

他の販売代理店から商圏規約違反を主張されるわ。

銀行からは目の敵にされるわ。

FBIからは詐欺の疑いで調査されるわ。

鬼塚からは、買収されそうになるわ。

関税局からは巨額の関税を請求されるわ。

常に資金不足で資金繰りに追われるわ。

後発だったナイキがいかにして世界トップ企業に上り詰めたのか、戦略面のことは殆ど書かれていません。

一貫して描かれるのは、迫りくる危機をベンチャー企業がギリギリでさばく様です。

そういう意味では、ビジネス書というよりも、冒険小説に近いものがあります。

常に困難が押し寄せる展開は、読みだしたらやめられない面白さです。


サークルノリの経営


ベンチャー企業側としては、理路整然と戦略を練る姿よりも、行き当たりばったりで右往左往する方が、実感に近いものなのでしょうね。

そこに伝説の創業者たるフィル・ナイトの虚栄心が全く見られないのがさすがです。普通、人間は「あの時はこうだったから、こう決断した」という後付けの判断根拠を書きたくなるものですからね。

いや、むしろ、そういう立派に見える部分を意図して省いているかのようです。

頼りない創業者を助けたのが、これもまた癖のあるメンバーたち。

闘争心むき出しの陸上コーチ。

承認欲求がやたら強い社員第一号。

ブルドーザーマニアの元会計事務所の上司。

巨漢の弁護士。

SHEO DOG」であること以外、共通点のない彼らが、創業者たるナイトの言うことをまるで聞かず、勝手なことを言い合いながら、経営を進めていくのです。

その様は、ほとんどサークル運営のノリのよう。ナイトは、自分を含めたメンバーをバットフェイス(負け犬)と呼んでいますが、実際には、弁護士や会計士や、優秀な人物揃いです。

そもそもフィル・ナイト自身が、スタンフォード大学でMBAを取得し、会計学の講師もできるほどのエリートです。

まさかただのサークルノリでナイキができたわけではないでしょう。


理想的なチームとは


しかし、この本に書かれている経営チームが、理想的な組織であることは認めなければなりません。

デコボコでまとまりのないメンバーほど一体となった時にパワーを発揮します。

手前味噌ですが、拙著『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』でも、あえてデコボコのメンバーを描きました。(実際にあった話ですが、メンバーは創作です。モデルはいません。念のため)

それはコンサル経験上、デコボコチームの威力を知っていたからです。

私が考えるチームが一体化して威力を発揮する条件とは、

(1)明確な目標がある。

(2)風通しが良い。コミュニケーションがとれている。

(3)できる限り権限移譲されている。

ことです。

SHOE DOG」でも、その様子はイキイキと描かれています。サークルノリだから、必要以上にコミュニケーションはとれているし、権限移譲の割合も高い。というか、社長がアップアップで殆ど丸投げです^^;

ただし(1)の目標は、ナイキにおいては、世界トップなどではありません。

フィル・ナイトやそのメンバーは、まるで「仕事に追い立てられる」ことを目的にしているかのように描かれています。

つまりナイキのメンバーとして靴に関わり続けること。それが彼らの大きな動機となっているのです。


日本のトップ企業、アシックス


いま、ナイキの売上高は、約3兆8千億円超。世界トップ企業です。

2位がアディダスの約2兆4千億円超。

この2社が、2強を形成しています。

その下に、アンダーアーマー(約5300億円)、プーマ(約4500億円)、ニューバランス(業績非公開)などが続きます。

日本のトップ企業は、アシックス。売上高は、約4千億円弱。世界でいえば5位。(ニューバランスは業績非公開なので省く)

昨年、今年と売り上げを落としていることが気がかりですが。

この「SHOE DOG」で気になるのは、鬼塚(現アシックス)を、理不尽な要求を突きつける悪役企業に仕立てていることでしょうか。

私は、アシックスの創業者、鬼塚喜八郎氏を知っています。少なくとも、私が知る鬼塚氏は、公共意識、利他意識が強い高潔な人格をお持ちの方でした。

およそ「SHOE DOG」に書かれるような、姑息な策略を弄してベンチャー企業を陥れるような人ではありません。

もちろんビジネス上のことですから、一方から見れば理不尽な仕業にみえる部分があったのかも知れません。

が、それはあまりにも一面的な見方であると言っておきます。


アシックスの創業者 鬼塚喜八郎


私は以前、このメルマガで何度かアシックスについて書いたことがあります。




詳しくは上記を読んでいただくとして、簡単に再掲いたします。

鬼塚喜八郎氏は、もとは坂口喜八郎という名前でしたが、軍隊にいた時、戦地に赴く戦友から「自分が死んだら、代わりに近所の老夫婦の面倒を見てほしい」と頼まれ、それを実行するために老夫婦の養子になり、鬼塚姓となりました。

このことからも鬼塚氏が「約束は絶対に守る」人だったことがわかっていただけるのではないでしょうか。

養子になったものの、一家を食べさせていかなければならない。どうすればいいのだろうかと学校の先生に相談すると、戦後すぐのこと「いまの子供たちは履く靴もない。彼らが健康に育つように運動用の靴を作ったらどうか」と勧められ、靴メーカーになることを決意します。

ところが、靴を製造する技術もない。そこで、鬼塚氏は、神戸長田の靴工場に働きに出て、靴の作り方を一から学んだそうです。

そこまでやったのです。まるでリアル「陸王」のようではないですか。

鬼塚氏もベンチャー精神にあふれた人でした。


オニツカ錐もみ商法


ここからが圧巻です。

靴を作る技術を習得し、需要を捉えたものの、鬼塚氏はこう考えます。

「いまは戦後で物資の少ない時期だから、何を作っても売れる。しかし、物が充分に供給されるようになると、小さな会社は淘汰されるのではないか?」

そこで、鬼塚氏は「今のうちに大手企業が手掛けないような分野に旗を立てよう」と決断します。

選んだのがバスケットシューズです。

動いたり止まったりの激しいバスケットシューズは作るのが難しい。だから、大手もやりたくないはずだ。そう考えたからです。

狙いは的確でした。しかし、バスケットシューズの制作は想像以上に困難だったようです。

バスケットの強い地元の中学に靴を無償提供し、何度も「こんなもの履けるか!」と突き返されながら、少しずつ機能と品質を向上させていきました。

やがて地元の中学が全国大会で優勝。

話題になったバスケットシューズを会場で展示販売し、徐々に知名度を高めていきました。

ついに最初の目論見通り、狭いながらもバスケットボール競技者の世界で知らぬ者のない存在となっていきます。

この機を逃さず、各地の販売店に展開していき、国内ナンバーワンシューズの地位を確立していきました。

そしてバスケットシューズの世界でトップになった鬼塚タイガー(ブランド名)は、ジョギングシューズ、テニスシューズ…というように、一競技ずつ同じように攻略していきました。

これを鬼塚喜八郎氏は「オニツカ錐もみ商法」と呼んでいます。


貴社のやってきたことはランチェスター戦略です


競技靴の世界を制した鬼塚は、アシックスとなり、総合スポーツ用品メーカーとなっていきます。

後に、ランチェスター戦略を知った鬼塚喜八郎氏は「これは自分のやってきた戦略ではないか!」と感じます。

創立者の田岡信夫先生にその旨を尋ねると「その通りです。貴社のやってきたことはまさにランチェスター戦略です」と言われました。

有名な戦略の創立者に認められた。その時の感激を鬼塚氏は生涯忘れなかったようです。

それ以来、鬼塚氏はランチェスター協会の会員として、この戦略の普及に協力されました。

このエピソードからもわかるように、鬼塚氏は、純粋でまっすぐで好奇心に満ちた方でした。

決して相手が若造だからとか、小さな会社だからとか言って、軽く見たり、知ったかぶりをしたり、理不尽な要求をするような人ではありませんでした。

お亡くなりになる数年前に知己を得た私は本当に幸運だったと思います。


アシックスの飛躍を信じています


一時期、総合スポーツ用品メーカーとして業績が低迷していましたが、復活したのは、原点である靴に経営資源を集中させる戦略が功を奏したからです。

いまやアシックスは、70%以上を海外で稼ぐ完全なグローバル企業です。

いま少々業績を落としているようですが、必ずやV字回復すると信じています。

きっとランチェスター戦略を学びなおして、各国でシェア向上に取り組んでいることでしょう。

ランチェスター戦略の緻密なシェア向上策をもってすれば、決して難しいことではないと思います。

AbemaTVのリスクは高いが、リターンも大きい

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「スマホで観るテレビ」AbemaTVが話題ですね。最近は、地上波TVにはできない独自番組が増えてきているようですし、先ごろは元スマップの3名を使った72時間テレビも成功させたみたいです。

もっとも実態はいまだ年間200億円の赤字を計上する大赤字の事業です。

AbemaTVは年間200億円の赤字から脱却できるのか?


しかし聞こえてくるのは、サイバーエージェント藤田社長の同事業への傾斜ぶりです。

ここのところ藤田社長はAbemaTVのスタジオに出ずっぱりで、マークシティ(本社が入る渋谷のビル)で姿を見かけなくなりました。

と社員が証言するぐらいです。

200億円の赤字でも「儲かる」という藤田社長


ちなみにAbemaTVは、企画編集はサイバーエージェント側スタッフが行い、現場はテレビ朝日のスタッフが回しているそうです。

テレビ朝日は共同出資者ですが、赤字を被るのはサイバーエージェント1社のみという体制です。利益の薄いテレビ局側とすれば、とても100億円近い赤字は耐えられないでしょうからね。

それにしてもこれだけの事業リスクを一手に引き受けるサイバーエージェントは、どういうつもりなのか?と疑いたくなりますが、当の藤田社長は「儲かる」と踏んでいるようです。

要するに、サイバーエージェントの主力事業である広告を出稿するためのメディアを作ろうという構想です。

通常のマーケティングでいえば「PLACE」の部分。これを自ら作ってしまおうというのだから成功すれば、それは儲かるでしょう。

「PLACE」を制する者がビジネスを制す


ランチェスター戦略入門セミナー」などでもいつも取り上げる部分ですが、ビジネスにおいて最も破壊力を持つのが「PLACE」です。

※PLACEとは、売る場所のこと。言い換えれば、販売チャネルや販売ルートに近い概念です。

いくらいい商品、画期的な商品を作っても、それを売る場所がなければ、顧客の目に触れることすらありません。

が、販売する場所を多く持っていれば、それだけ多くの顧客の目にとまります。極端な話、いまいち性能が落ちる商品であっても、より顧客の目に触れる方が、販売実績は大きくなります。市場シェアとは、それだけの力を持つものです。

販売する場所をいち早く押さえた者が、そのビジネスを制するといっても過言ではありません。

だから、新たな「PLACE」が生まれる時に、しばしばトップ企業が入れ替わります。

パソコン時代最強のヤフオクから、スマホ時代のメルカリに入れ替わったように。

テレビゲームの任天堂から、携帯ゲーム時代のグリーやDeNA、スマホ時代のガンホーへ入れ替わっていったように。

企業は、新しい「PLACE」が生まれる時、なにを置いてもシェアを押さえなければなりません。一度、決まってしまったシェアは、そう簡単には覆らないからです。

今回のAbemaTVの場合、その「PLACE」を自ら作ろうということですから、成功すれば巨大な利益を生むことになるのは間違いありません。

勝つか、負けるかは、まだ見えませんが、挑戦しがいのある事業だということは確かです。

もっとも、いつまでも赤字続きでは耐えられるはずがありません。

ただちに会社が傾くような赤字ではありませんが、それでも限度がありますからね。

しばらくは我慢比べのような状況が続くでしょうが、どこかで臨界点が来ます。

それまでに逆転なるかどうか。という状況です。




「勝てる場所で戦う」ことを選んで年商9億円になった小さな酒屋

ビール販売なし、営業活動一切なしの酒屋 「どこにでもある酒屋」から業態転換し成功(日経ビジネス)

弱者が生き残るための極意は「勝てる場所で戦う」ことです。

それを示す好事例だと思います。

日本酒と焼酎だけで売上高9億円の酒屋さん


記事に登場するのは、広島県の酒商山田。4店舗で売上高9億円の堂々たる企業です。

ビールは取り扱わない日本酒・焼酎の酒屋さんです。

今では珍しくない形態の店ですが、同店が業態転換した1990年代はビール全盛の頃ですから、相当思い切った決断だったことでしょう。

競争しないことを選んだ


業態転換を断行したのが、いまの山田社長です。

「人と争うことが嫌い」だった山田社長は、ビールの需要を取りあう営業に嫌気がさして、「競争しない。広告宣伝もしない」店を目指します。

当時、酒屋の未来像として、ディスカウント店化、コンビニ化がいわれていましたが、そのどちらにも当てはまらない店として、品数を絞った日本酒特化の店を思いつきました。

日本酒は売上低迷していたので、力を入れている店も少なく、競争にならないと踏んだからです。

まさに「勝てる場所で戦う」ことでした。

分野を絞ると、こだわりを貫ける


私の知り合いにも、日本酒に特化した酒店を運営している人がいます。

その方は、売れている酒、美味しいだけの酒には興味を示さず、蔵元の考え方、信念、人柄をみてから扱う銘柄を決めています。

面倒くさいですよね^^;

でもその店で扱っている銘柄は、単に美味しい酒ではありません。酒に対する考え方、米や水や地域に対する考え方がしっかりしたものばかりです。

購入する方も、その店が扱っているのだから問題ないと、絶大の信頼を得ています。

酒商山田が、そこまでしているかは、記事には書かれていませんが、ジャンルを絞ったからこそできる濃いサービスや工夫がいっぱいあったはずです。

大切なのは小さな分野でもトップになること


もし日本酒や焼酎のブームがこなければ、酒商山田は一店舗の地味な存在だったことでしょう。

たまたまブームがきたのは幸運だったといえますが、来なかったとしても、同店としてはよかったはずです。

小さな店が生き残るとは、店を拡大することではありません。自らが選んだ市場の規模で生きていくということです。

重要なのはその市場でトップをとること。すると、市場が続く限り、生きていくことができますし、市場が成長すると、同じように拡大することができます。

いい事例ですね。






アマゾンとグーグルが子供のけんか アマゾンはただの利己的な企業なのか?

グーグル、アマゾン外し  ユーチューブ閲覧を遮断、AIスピーカー販売拒否に対抗(日本経済新聞・有料記事)

グーグルが、アマゾン製品ではyoutubeを見られなくする措置をとったそうです。これは、アマゾンのECサイトでグーグルの製品を販売していないことへの対抗措置だとか。

最近アマゾンの横暴ぶりが目立ってきましたね。LINEのAIスピーカーもアマゾンは扱っていません。グーグルホームもしかり。アマゾンエコーと競合するためです。

これまでアマゾンが供給元や従業員に厳しく当たっていたのも、すべて「顧客のため」という大義名分があったからだと思っていました。

顧客のためだから、余分なマージンはとらないし、得意先にもとらせない。売れている他社製品の類似品をPBにして販売するのも、顧客のため。それがアマゾンの信念だったはず。

ところが、ライバル社の製品を売らせない、というのは、企業側の都合です。なんら顧客のためではない。

この状態を推し進めると、アマゾンはただの利己的な企業だったということになりますよ。

ジェフ・ベゾスはどのように考えているのでしょうか。その言い分を聞いてみたいものです。





ラーメンチェーン国内トップの幸楽苑はなぜ不振に陥っているのか

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中華そば幸楽苑の不振の原因について書いた佐藤昌司氏の記事です。いつもながら参考になります。

ちなみに、幸楽苑については、BBT757の大前研一ライブでもとりあげられておりました。私はそちらを観ておりましたので、より興味深かったです。

ラーメンチェーン国内トップが、なぜステーキ店に業態転換するのか


幸楽苑というと、関西ではあまり馴染みがありませんが、ラーメンチェーンとして国内トップの売上高と店舗数を誇ります。

380円ラーメンが目玉だった時期があり、関東東北を中心に、売上店舗数を伸ばしました。

ところが、現在、不振に陥っており、店舗の閉鎖、および「いきなりステーキ」への一部業態転換が話題になっています。

ラーメン店がステーキ屋?というと違和感があるかも知れませんが、どちらも一人客を狙う回転数重視のビジネスですから、親和性があります。

理にかなった施策です。

業界トップの幸楽苑が不振に陥った理由


記事では、好調の日高屋との比較がなされています。

日高屋も関西では馴染みが薄いですね。こちらは「駅前の屋台の再現」をコンセプトに、駅前狭小立地に、ちょいのみできる中華そば屋さんを展開しています。

屋台のような感覚で駅前マーケットを開拓 ハイデイ日高

駅前なので人通りがあり、回転数が見込めます。幸楽苑と同じようなビジネスだと思えますが、こちらは駅前立地なのでアルコール販売が可能です。

これに対して、ロードサイドに多く展開している幸楽苑は、アルコール需要が見込めません。

日高屋の社長は「アルコール販売できること」が好調の理由だと述べており、回転数に加えて、顧客単価の向上がなされています。

ロードサイド店が時代から取り残された


ロードサイド店は、車社会全盛の時代に機能した店舗形態です。ファミリーで出かける人たちの需要を取り込んで成長することができました。

しかし、いまやその店舗立地が足かせになっています。

本来、一人で食べることが多いラーメン店なのに、ファミリー席を中心にしたロードサイド店は、非効率です。

そのちぐはぐさというか、時代からずれたことが、日高屋との差になっています。

経費をみても、人件費と地代家賃、諸経費などが、日高屋に比べて割高となっており、社内の業務体制が非効率であることが見受けられます。

低価格ラーメン店と低価格うどん店の違い


もうひとつ、低価格のラーメンを目玉にしていたので、顧客単価が上がらないという弱点があります。単価の高いステーキに業態転換するのは、そういう意味でも理にかなっています。

大前研一ライブでは、丸亀製麺との比較もなされており、トッピング(天ぷらなど)で単価向上を図る丸亀製麺に対して、上乗せのしにくいラーメンの弱点が指摘されていました。


こうしたことから幸楽苑が今後業績を浮上させるには、

(1)店内オペレーションの効率化

(2)ロードサイド店からの撤退、回転数重視への回帰

(3)トッピングやサイドメニューの開発

などが必要だと考えます。








岐阜の納屋から発見されたフェラーリが2億円以上で落札

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岐阜県の納屋から発見された古いフェラーリに、2億円以上で落札されたというニュースがありましたが、その舞台裏を語った記事です。

ヤフーニュースなので、そのうちリンク切れになると思いますが。

記事の趣旨としては、日本の納屋で偶然発見されたかのように思わせたフェラーリですが、実は知る人ぞ知る一台であり、ある意味やらせであったとのこと。

古い車が高値で取引されることによって、ブランドの価値を高めようとする自動車供給側の思惑が強く働いたのだということです。

高級ブランドの価値には、アフターマーケットが必要


今回、この車が出品されたのは、フェラーリ70周年のイベント内のオークションでした。そこでの目玉商品だったようです。

希少車であったのは確かですが、埃まみれの車体といい、納屋の写真といい、凝った演出がなされていました。

そんな廃屋のようなところで眠っていた古車が超高値で取引されたのですから、フェラーリ神話が強化されたことは間違いありません。

高級車のブランド価値を維持するためには、アフターマーケットも機能している必要があるということを改めて知らせる記事でした。




ABBAの解散後ビジネスは、日本でもすぐに応用できそう

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たしかにすごい。

スウェーデンが誇る世界的ポップグループ「ABBA」のコンテンツが、解散して35年経った今も、一大産業として成立しています。

レストランで食事を出しながらABBAのヒット曲を盛り込んだショーをみせ、その後、全員参加のディスコタイムとなる仕掛けです。

食べる、聴く、歌う、踊る、という参加型のイベントですから、青春時代にABBAを聴いた人からすれば、大満足となるでしょう。

値段はサービス料込みで1人1340スウェーデン・クローネ(日本円で約1万8000円)。テーブル席は全部で450席。満席として単純計算すると1日約800万円の売り上げになる。毎月最
低15回の公演が組まれており、年間にすると約16億円もの売り上げになる。

ただし、懐かしいというだけでは、これほどヒットさせることはできません。

やはりABBAの曲が、現代でも世界的に通用するものだったということでしょう。

ABBA 解散後のビジネス化


ABBAは、1970年代後半に人気を博したグループです。多くの曲は英語で歌われており、主にディスコミュージックとして世界中でヒットしました。

日本でいえば、団塊の世代から団塊ジュニアの間ぐらいの人が青春期を過ごした頃です。ディスコブームに乗って一世を風靡した感がありますので、懐かしいと思う人は多いのではないでしょうか。

ABBAが面白いのは、解散した後も、ビジネスが拡大していることです。

解散後、10年後(1992年)に出たベスト盤が大ヒットし、ブームが再燃。←これはよくあることですね。

さらにその7年後(1999年)、ABBAのヒット曲を盛り込んだミュージカル「マンマ・ミーア!」がヒット。日本では劇団四季が公演しています。

さらに9年後(2008年)には、「マンマ・ミーア!」が映画化されてこれも大ヒット。

10年後となる来年(2018年)には、映画の続編も公開される予定です。

もはや産業!「アバの解散後ビジネス」の秘密

日本でもすぐに応用できそうです


記事がいうように、ABBAに関するビジネスの成功は、多くのショービジネスの参考になるものでしょう。

コンサートとディナーショーとディスコを組み合わせたようなショーに、世界に通用するアイコンをぶつけるとこれだけの多くの観客を集められたわけです。

プレスリー、ビートルズ、マイケル・ジャクソンあたりはそのまま成立するのではないでしょうか。USJとかで公演すれば、外国人観光客も集まるでしょうし、面白そうです。

日本ではどうか。

小ぶりな劇場でしたら、世代に響くアイコン(グループサウンズとか)でも通用しそうです。

外国人観光客のことを考えると、アニメソングとか、ジブリとかをアレンジした方がいいかも知れませんね。

個人的には、サザン・オールスターズでやってほしいところです。曲も多彩だし、活動が長いので多くの世代に響くはずです。

まあ、私が言わなくても、既に企画しているものがあるでしょう。楽しみにしたいと思います。











TSUTAYAやDMMはしたたかに生き残っていくだろうが限界もある

tsutaya
(2017年11月30日メルマガより)

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TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が事業転換を急いでいます。

CCCは、日本最大のレンタルDVD・CD店と日本最大の書店チェーンを持つ売上高2500億円超の企業です。

しかし、収益頭のDVDレンタルも、書店も、今や斜陽産業の最たるものです。

事業転換を急がなければならない所以です。


文化を発信する企業


CCCは、1985年、大阪府吹田市において設立されました。

創業者の増田宗昭社長は、婦人服大手の鈴屋に勤めていた人ですが「もうデザインの時代じゃない。顧客はスタイルを完成させるための情報を求めている」と感じて脱サラし、大阪府枚方市で、レンタルレコード店や蔦屋書店を開設しました。CCCはそれをフランチャイズ展開するためのものでした。

ビデオをレンタルするようになった1994年頃から、TSUTAYAの出店が加速していき、2013年には1468店に達しています。

現在、DVD・CDのレンタルにおいては、売上高国内トップ。(2位はゲオ)

書店チェーンとしても売上高国内トップ(2位は紀伊国屋書店)です。

増田社長は、TSUTAYAのことを単なる書店やレンタルビデオ店ではなく「文化を発信する場」だと規定しています。

なぜなら人は本や映像の情報に触れている時、自ら生きるスタイルを選択するための情報を得ているのだから。

本を売るのではなく、スタイルを提案している。それが増田社長によるTSUTAYAの自己認識です。

ちなみに蔦屋とは、増田氏の祖父が運営していた置屋の屋号だったということですが、TSUTAYAを「文化発信の場所」だと位置付ける今日は、江戸時代の文化人・蔦屋重三郎にあやかった説を主張しています。

ところが周知の通り、DVD・CDのレンタル事業も、書店も、市場規模そのものが急減している絶滅危惧種です。

いわば沈没する船に乗っているようなものですから、なんとかしなければならない。ということで、2000年に株式上場したものを2011年には上場廃止。フリーハンドでの事業転換を進めてきました。


小売業再生の救世主


CCCの業態転換の皮切りになったのが、2011年の「代官山T−SITE」です。

こちらは蔦屋書店を中核テナントとする新感覚の商業施設で、同社がプロデュースを担い、人気を博しています。

T−SITEは、代官山の成功を受けて、函館、湘南、枚方などに展開を進めています。

あるいは、公共施設である図書館の運営を手掛け、こちらも地方の観光スポットになるほど話題になったところもあります。

こうした商業施設運営の前提となるのが、Tポイントから集まる膨大なデータです。

現在、CCCグループは、

(1)商業施設の企画設計を手掛けるCCCデザインカンパニー

を中心に、

(2)TSUTAYAの運営会社

(3)出版・映像・音楽などの制作会社

(4)Tポイントの運営。および収集したデータを基にしたマーケティング会社

から成り立っています。

これまでは、消費者を相手にした(2)(3)が事業の中心でしたが、今後は、事業者を相手にした(1)(4)を中心にしていこうとしています。

同社の商業施設運営の手腕に対する評価は高く、地方の小売業からの提携依頼が多く寄せられていると聞きます。

その手腕が、増田宗昭氏自身の個人的能力に依存しているといわれているのが、若干心配ではありますが、まずは順調に事業転換の船出をしたというところです。



TSUTAYAは賞味期限切れではないのか


しかし、…です。

現在のCCCが、TSUTAYAの収益に依存しているのは事実です。

そのTSUTAYAが、ビデオレンタル店としても書店としても寿命を迎えつつあります。

そんな店を中核にした商業施設がいつまで消費者に受け入れられるというのでしょうか。

確かにCCCは、書店やレンタル店を既存のままにせず、ライフスタイル提案の場としてリニューアルしていっており、それなりの成果も上げているようです。

が、それが延命処置にとどまらないと言えるのでしょうか。

TSUTAYAや蔦屋書店をさらに魅力的な中核店舗として蘇らせることができるのか、あるいは全く違う魅力的な商業集積を生み出すことができるのか。

それがCCCに与えられた短い期限の課題だと言えます。

ネット動画配信ビジネスの台頭


ビデオレンタル店や書店を追い込んでいるのが、ネットの存在です。

書店においては、電子書籍やネットニュースが、紙の書籍や雑誌の存在意義を薄れさせています。

ビデオレンタル店においては、ネットフリックスを代表とする動画配信サービスがやはりその存在意義を無くそうとしています。

例えばネットフリックスは、国内では最低月650円で映画やドラマが見放題です。(観られる映画やドラマには限りがありますが)

それは、わざわざレンタルビデオ店に行く理由がなくなるというものですよ。


ネットフリックスを中心に競争激化


ネットフリックスが生まれたのは、1997年アメリカです。

レンタルビデオを返し忘れて延滞料金をしこたまとられたオヤジが憤って始めた宅配DVDレンタル会社をもとにしています。

ネットで借りて家まで届く。月定額で借り放題。延滞料金もかからない。というサービスが当たって急成長します。

ネットでの動画配信を始めたのが2007年。高速通信とスマホの時代に、これが当たってさらに発展を加速させます。

今では、売上高約2800億円。全世界で1億人近い会員を持つトップ企業です。

ディズニーが、ネットフリックスへの配信を停止するというニュースが先頃流れましたが、ディズニーが脅威に思うほどの存在になったということです。

もっとも技術的な参入障壁が低い事業なので、多くの企業が新規参入し、競争激化するのは必然です。

日本でも、NTTドコモ系のdTV、日本テレビ系のhulu、USENが運営するU−NEXT、アマゾンプライムビデオなどがしのぎを削っています。

なにしろ会員規模が勝負を決める世界ですから、初動の今が大事です。消耗戦であろうとどうであろうと、戦い抜かなければなりません。

え?TSUTAYAは?

と思うでしょうが、そうなんですね。あまり本気を出していません。


なぜネットフリックスを目指さなかったのか


ネットフリックスが宅配DVDサービスを開始したのが1998年。ネット配信が2007年からです。

CCCは、2002年に宅配DVDサービス(TSUTAYA DISCAS)を開始。さらに2008年にはTSUTAYA−TVを開始しています。

いちおう形としては追尾しているんですな。

ところが、それほど本気にはならなかった。

その理由を増田社長は「加盟店のビジネスを毀損することに遠慮した」と言っています。

そうなんですね。もともとネットフリックスは、店舗型のビデオレンタル店への対抗として起業し、宅配レンタルを始めた企業です。

既存店などというしがらみがありません。

それに対してCCCにはTSUTAYAのフランチャイズ網が既にありました。

そのフランチャイズオーナーを敵に回してまで新しい事業に飛びつけないというのは正論ですが、まったくもって、イノベーションのジレンマにはまってしまった事例ともいえます。

※イノベーションのジレンマとは、先行企業が、既存事業の強みゆえに、新たな事業(破壊的イノベーション)に対応できない事象を言います。

フランチャイズビジネスに徹する


だけど、ジレンマを破れないのだから仕方がありません。

増田社長は、はっきりとCCCはフランチャイズビジネスだと宣言し「アマゾンにできないことをする」という方向に舵を切りました。

それはそれで潔い決断だと思います。

増田社長は、自分たちがやっているのは、

(1)リアルなプラットフォームの提供:TSUTAYAや蔦屋書店のこと。

(2)データベースマーケティング:Tポイントカードから得られる情報を基にしたマーケティング施策

(3)コンテンツ作り:音楽、映像、出版物などのコンテンツ制作

と規定し、あくまでフランチャイズ加盟店が儲かるようにするんだと語っています。



アダルト関連事業を中心とした異色の企業グループ


一方、ネットフリックスと同じく宅配DVDレンタル事業で急成長したのが、DMMです。

同社がオンラインレンタル事業を開始したのが2000年。TSUTAYA DISCASより先に始めています。

同社の特徴は、アダルト関連の国内トップ企業であり、その収益をもとに多様な事業展開をしていることです。

創業者の亀山敬司氏は、根っからの商売人のようです。もとは石川県のビデオ店でしたが、このままではTSUTAYAに勝てないからと、アダルトビデオの制作や販売を始めて、それが当たりました。

アダルト関連事業は、大手企業が参入しない分野です。そこで成功したことが、DMMの考え方の根底にあるようです。

現在では、アダルト関連以外にも、オンラインゲーム、システム開発、FX、オンライン英会話などに進出しており、それは多様であるというより、無軌道というべきものです。

ただ、その事業の選び方には、やはり大手企業が手掛けないようなニッチな分野で勝負する。という考えが見えます。

亀山氏自身「小さい領域で世界一をとった方が生き残れる」とランチェスター戦略通のような発言しており、全くもって正しい見解であると思う次第です。

現在、DMMグループの売上高は1700億円に達するほどで、堂々の大企業です。



面白いこと、新しいことをやりたい集団


亀山氏がいま力を入れているのが、新しい才能の発掘です。

若くてやる気のある人間を見出しては、彼に新規事業を任せて、ビジネス化するための支援を行っています。

DMM自身がベンチャーキャピタルの役割を担っているかのようで、そこから新たなビジネスが続々と生まれてきています。

ただ通常のベンチャーキャピタルは、最終的に株式上場させた上、保有株式の売却益で稼ぐビジネスモデルですが、DMMは上場させずにグループの一員としてしまいます。(というかアダルト関連会社なので、上場させられないわけですが)

だから事業規模も得られるキャッシュも小粒なまま、多様性が広がっていくばかりです。

亀山氏も「最後はどこかに会社ごと買ってもらってもいい」「僕が死んだ後は、僕の言ったことは忘れて仕事をやってもらいたい」と、欲がないのか、諦めているのか分からない発言をしています。

要するに、こんな社会ニーズを満たしたい。社会問題を解決したい。という明確なビジョンがなく、ただ面白いこと、新しいことをやりたいという集団です。


現実的で柔軟な経営スタイル


これはある意味、CCCの増田社長にもいえる特徴です。

増田社長もかっきりしたビジョンを持たずに、現場を重視し、柔軟に対応するというスタイルです。

敢えて言えば「加盟店が儲かり、生き残っていけるようにする」ことが方針です。

さらには「何が正しいか分からない世の中。方向性は、現場にいる加盟店に教えてもらうことが多い」と、フランチャイズ加盟店と共に成長してく意味のことを語っています。


社会の流れに逆らわず、現実的、柔軟に形を変えて生きていく。これは「孫子」のいう「兵の形は水に象る」に通じるものであり、生き残るための最大の秘訣だと言えるでしょう。

私も同意見であり、同じ考えでコンサルティングを行います。

多くの日本企業が、こうした経営スタイルを否定するものでないでしょう。


社会の流れを作る企業ではない


ただ同時に、グーグルやアップルなど自ら社会の流れを作るような企業は、このような経営の仕方はしていないと感じます。

彼らは、あるべき社会の姿という大きなビジョンを見定めて、それに向けて突き進んでいく経営スタイルです。

もちろんリスクも高い。ビジョンが大きすぎて、中途で斃れてしまう企業も多くあるでしょう。

しかし、だからこそ大きな変革を社会にもたらすことができるのではないか。

そしてこれが日本にはグーグルやアップルのような企業が生まれにくい理由なのではないかと思います。

もちろんグーグルとか、アップルとか、社会の流れを作るとか、CCCやDMMにとっては知ったことではないでしょう。

私も自分が問われれば「知ったこっちゃない」と答えます。

私は「生き残る」ことを最上位の目的とする「孫子」の信奉者ですからね。

プロフィール
komai 小

営業関連のコンサルティングをしています。
製造業や卸売業などの営業組織を強化する仕事を得意としております。

株式会社クリエート・バリュー代表取締役
NPOランチェスター協会理事
NPOランチェスター協会関西支部
NPOランチェスター協会認定インストラクター
中小企業診断士   販売士1級

コンサルタントになる前は、日本酸素株式会社魔法瓶事業部(現在のサーモス株式会社)で14年、営業担当をしておりました。
その時、廃業寸前の赤字だった事業部がわずかの期間で世界トップ企業になった経緯を体験したことが、経営コンサルタントになったきっかけとなりました。
当時、経験したことや見聞したことを物語風にアレンジしたのが、拙著『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』です。
面白い本なので、ぜひ読んでください(^^)

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