わたしは価値を創る

大阪在住の経営コンサルタントのブログです。

ビアードパパのすごい展開力

ビアードパパの


(2019年9月5日メルマガより)


空前のタピオカドリンクブームだそうですね。

いや、もう落ち着いたのかな?

大阪のミナミでも、まだ新しいお店の開店があるようですが、さすがに行列ができるというところまではいっていません。

もうそろそろブームも終焉ですかね。


タピオカドリンクビジネスは濡れ手に粟


でも一時期はすごかった。

週刊SPA!(6/11・18合併号)には、タピオカドリンクでひと稼ぎした若い起業家の話が載っています。

タピオカドリンクを作るのに、難しい技術はいりません。キッチンや厨房設備も不要。都心の小さな店舗を出すのに、初期投資が500万円ほどです。

タピオカドリンクを400円で販売したとして原価は約10%だとか。400円のドリンクが売れるごとに360円が儲かる計算です。

ブーム時はいちばん売れる店で月6000杯売れたということなので、単純計算で216万円の儲けです。

家賃21万円。バイト代80万円。光熱費が10万円だとして105万円が残ります。

つまり5か月で初期費用を回収できます。後は利益だけ。

その方は3店舗持っていたので、月300万円を稼いでいたことになります。

まさに濡れ手に粟ではないですか!


発信元の台湾茶チェーンはブームを静観


タピオカドリンク流行の発信元となったのが、「ゴンチャ(貢茶)」などの台湾茶チェーンです。

が、こちらはむしろタピオカドリンクブームに乗らないように注意しています。

ブームはいつか終わりますからね。同じように店が終わったら大変です。なるべく一過性のブームとは距離を置いて、息の長いビジネスを志向しています。



ゴンチャは、2006年に台湾で生まれたカフェチェーンです。台湾茶を中心に豊富な種類のお茶をカスタマイズすることができます。世界で1400店舗を展開しているというから、それなりの規模です。

日本では2015年にスタートし、30店舗ほどを展開しているようです。

日本ではメニューからコーヒーを外して、台湾茶チェーンというコンセプトを鮮明にしています。

気合の入り方が違いますな。


そんな本気度の高い経営陣ですから、ブームで終わる気はさらさらないようです。

敢えて裏通りに店を構え、通りすがり客から背を向けます。

価格は少し高めに設定。若い世代が気軽に入れる店ではないようにしています。

宣伝もほとんどせず。口コミに任せて、ゆっくりと浸透するのを待つ構えです。

つまり、上がるのもゆっくり、下がるのもゆっくりしていこうというやり方ですね。

もちろん現在の売れ筋は、タピオカミルクティのようですが、このドル箱商品を消費しきらないようにしようという実に贅沢な悩みをお持ちのようですよ。

ちなみに、タピオカドリンクは世界中で「バブルティー」と呼ばれ、ブームになっているらしい。(バブルというのはタピオカの形状を指した言葉ですが、日本人の感覚ではバブル崩壊のそれと被りますね^^)

グルーバルに巨大なブームのただ中にあるタピオカドリンクですが、その泡の部分は、あえてすくわずに、他の店に譲ろうというのがゴンチャの戦略です。


需要が確実で供給システムが容易


儲かるところに、多くの起業家が集まるのは自明のことです。ただし、ブームはいつか終わるので、継続を使命とする企業は手を出しません。集まってくるのは、一攫千金を狙う個人事業者や小さな企業です。

そういえば「タピオカがヤクザの資金源になっている」というニュースまで流れたことがありました。それぐらい楽して儲かる、ということなんでしょう。

タピオカドリンクビジネスが楽して儲けられるのは、需要が確実なうえに、供給のシステムが簡単に作れるからです。

各店とも、一過性ながら優れたビジネスシステムを作り上げています。まったくもって、世の個人事業者のきゅう覚と行動力には恐れ入ります。

だけど本当は、息の長いビジネスを作り上げたいところです。

ブームでなくても一定の需要が続き、供給のシステムが作り上げられるビジネスです。他者に真似されないシステムならなおよい。


ビアードパパは、国内200店、海外190店!


その意味で、個人的に感心しているのが、シュークリームのチェーンである「ビアードパパ」です。

大阪に本社がある麦の穂ホールディングスが運営する「ビアードパパの作りたて工房」は、日本国内200店舗、海外14か国190店舗の規模を誇ります。こちらもけっこうな規模ですよね。



ちなみに麦の穂ホールディングスは、お茶漬けの素で有名な「永谷園」が、2013年に約94憶円で買収しました。

永谷園が評価したのは、ビアードパパの海外展開力だと思われます。


麦の穂ホールディングスは、1997年創業。ビアードパパをスタートしたのは、1999年、1号店は福岡でした。

当初、同社はパン事業を展開していたのですが、商品や材料の売れ残りに困っていました。そこで、廃棄ロスがなく、競合が少ないビジネスを考えていて、思いついたのがシュークリームのチェーンだったそうです。

ビアードパパの特徴は、基本的に店舗で生産した作り立てを提供していることです。

シュークリームは、作り立てがいちばん美味しい。

それを実現するための工夫が、店内でのクリーム作りであり、シュー生地を焼き上げる作業です。(生シュー生地は工場で一括生産しています)

しかも注文を受けてから、一個一個、生地にクリームを充填する方式なので、新鮮さが保てます。

シュー生地が固くてサクサクしているのもビアードパパの特徴ですが、これは美味しさを追求するとともに、クリームを充填するのに扱いやすいという面もあることでしょう。


システムが完成されている


と、味のこだわりが様々に凝らされているわけですが、ビジネスとして大事なのは、それらがシステムとして完成していることです。

カスタードクリームを作り、充填機に注入し、シュー生地を焼き、注文を受けるとクリームを充填し、提供する。

作業内容は、タピオカドリンクに次ぐほど単純で簡便だと言えます。

これらの一連の流れがシステムとして完成されており、店員の工夫の余地がそれほどないことが、再現性の高さとなり、早い多店舗展開を可能にしているわけです。

その再現性は、海外展開が容易となるほど完成されています。

シュークリームというのは、ブームではありませんが常に一定の需要がある商品ですから、店舗コストを上回る販売を見込むことができれば、それで成り立ちます。

これほど完成されたシステムがあるのならば、一店舗あたりの売上高を増やす必要もありません。現状維持のまま、店舗だけを立地条件を見極めて徐々に増やしていければそれで十分です。

むしろブームが来て売上が急増なんてしたら、オペレーションのバランスが崩れるので厄介です。それよりは現状維持のまま長く続ける方がいいでしょう。

最近、月替わりで「季節のシュークリーム」などを打ち出しているのは、売上向上が目的ではなく、飽きられることを避け現状維持を狙う施策だと見受けられます。

このままの規模でずっと維持できるなら、理想的なチェーンビジネスの形だと思えます。


コンビニスイーツに勝てるのか?


もっともビジネスというのはそこまで甘くありません。

そんな美味しいビジネスがあることを、他の企業が黙ってみているはずがありませんな。

各社、シュークリーム以外の商品で、ビアードパパのようなシステムを作ってチェーンを展開しようと狙っています。

チーズケーキ、ロールケーキ、エッグタルト。。小さなブームを起こすスイーツは毎年ありますから、どれが残るのか各社とも見据えています。

その中から、数十店舗規模の小さなチェーンは生まれてきていますから、そのうち大きなチェーンに育つ可能性もあります。


が、それ以上に脅威なのがコンビニスイーツの進化です。

なにせコンビニは、その時々の流行に乗って、高品質なスイーツを手を変え品を変え、打ち出してきています。

個人消費需要に関してはコンビニに敵いません。

今のところチェーン店の優位性は、お持ち帰り需要に関してだけだと思えます。

もしコンビニがもう少し貪欲になって、お持ち帰りコーナーなんてのを作ってかわいい持ち帰り用バッグ付きでスイーツを提供するようになると、どうするんでしょうな。打つ手なくなりますよ。


海外では違うビジネスシステムが必要


需要というものは常に移り変わります。

それがビジネスを難しくさせ、また面白くもさせています。

ビアードパパのシステムもまた、需要という観点でとらえると、決して安泰ではありません。多かれ少なかれ、需要が変化する、ということでいえば、タピオカドリンクと変わりません。いつ撤収するかを考えておかなければなりませんな。


そんなこともあって、ビアードパパは海外に活路を求めました。

先ほどは「海外展開も容易なシステム」などと書きましたが、実際にはそれほど簡単なものではないはずです。

海外は気温も違うし、手に入る食材も違います。手作りと新鮮さを売りにするチェーンとしては、コンセプトを維持するために、日本とは違う供給システムが必要となります。

そこは企業として簡単には明かせない苦労とノウハウ構築があったことでしょう。そうじゃないと、簡単にまねされてしまいます。

また市場の状況も違います。記事(下記参照)を読むと、交通事情もお土産需要も違う外国では、日本とは違う戦略をとらなければなりません。



たとえばインドネシアでは空港店舗を重視し、台湾では駅前店舗を中心にするというようなことです。

こういったことは、展開しながら学んでいくことなんでしょうね。

ともあれ、190店舗を展開しているということは、確実に需要を捉えています。

そういえば、洋菓子チェーンのシャトレーゼも東南アジアに進出して「甘すぎないお菓子」として人気を博しているそうですから、日本のスイーツは受け入れられる余地はありそうですね。



将来的には、海外の方が大きくなっていくでしょう。またそうじゃないと、高値で買収した永谷園も浮かばれませんや。

ビアードパパのビジネスシステムが、どこまで通用するのか。

他のスイーツチェーンがそれをみて、今後、追随していくのか。

マイクロソフトはなぜ比類なき復活を遂げたのか?

マイクロソフトは


(2019年8月22日メルマガより)


マイクロソフトの好業績が続いています。

2019年6月期、売上高は1258億4300万ドル(約13兆5300億円)、純利益は、392億4000万ドル。ともに過去最高です。

マイクロソフトといえば、ちょっと前までは落ちぶれてしまって栄枯盛衰の残酷さを体現する存在でした。なにしろアメリカを代表する超巨大IT企業のことをGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)というのですが、そこにマイクロソフトの名前はありません。すっかり過去の会社扱いです。

ところが、最近の好業績で、株式市場の評価はうなぎのぼりです。株式時価総額はGAFA(特にアマゾン、アップル)と激しいトップ争いを演じるところまで回復しています。

ウィンドウズで一世を風靡してから二十数年、これほどの巨大企業がいったん凋落しながら、復活した例は聞いたことがありません。

いったい何があったというのでしょうか。


スマホの登場とともに落ち目に


マイクロソフトといえば、パソコン上のオペレーティングソフト「ウィンドウズ」を開発し、市場を独占した企業です。

同社は、ウィンドウズとともに、ワープロソフトの「ワード」や表計算ソフトの「エクセル」などを併せ販売することで、パソコン全盛時代には、莫大な収益を上げました。

われわれ消費者からすると、ウィンドウズやワードやエクセルって、パソコンに無料でついていたものじゃね?という気がしますが、実際には、パソコンメーカーがライセンスを購入して商品に付属していたものです。

パソコンの組み立てメーカーはいっぱいあるので競争が激しく利益を上げることはできませんでしたが、ウィンドウズは唯一無二でしたから、それを購入するしかありません。メーカーが儲からないのに、ソフトの会社だけが儲かるという構図が、その頃は出来上がっていました。

我が世の春を謳歌していたマイクロソフトを奈落の底に突き落としたのは、アップルやグーグルが主導するスマートフォンの登場です。

手のひらの上のパソコンのようなスマホが普及することで、パソコンの時代は終わり、同時に、ウィンドウズやワード、エクセルは、使われる機会が少なくなっていきました。

スマホ対応に遅れたマイクロソフトは、やることなすこと後手後手に迷走し、一気に業績を悪化させて、株価も落ち込み、2010年頃には、もう終わった企業感を漂わせる程になってしまいました。


3代目CEOサティア・ナデラによる方向転換


そんなマイクロソフトがV字回復していくのは、3代目CEOサティア・ナデラが就任してからです。

ナデラは、インド出身。1992年にマイクロソフトに入社し、CEOに就任したのは2014年です。

ナデラはそれまで、マイクロソフトの中では傍流に位置する企業部門やクラウド部門を担当していました。

そんな彼が3代目CEOに選ばれたというのは、その能力が評価されたことに加えて、社内での経歴が今後の同社の方向性に合致するものだと期待されたからでしょう。

期待通り、ナデラは、企業向けビジネスとクラウドビジネスに注力していきます。

まずは、ウィンドウズの販売をやめて、基本無償にしました。ワードやエクセルなどの基本ソフトも無料です。

その代わり、ビジネスで使用するような高機能なソフトは月定額料金で使用できるようにしました。この有料版は、常に最新機能に更新されます。

基本ソフトを無料提供し、高機能版を有料にするビジネスモデルを「フリーミアム」といい、月定額で使い放題にする方式を「サブスクリプション」といいます。

つまりナデラCEOがやったことは、フリーミアムとサブスクという時代に即したビジネスモデルへの転換です。


先行企業の成功例を採り入れ


実のところ、マイクロソフトの試みが最先端だったわけではありません。

月定額のソフト使用ビジネスについてはアドビシステムズが既に成功していました。

アドビは、PDFという文書ファイル形式を作った企業として有名です。同社は、PDFファイルを閲覧するソフトを無償提供し、それを作成するソフトを有料で販売して成功しました。

同社は、フォトショップなどの画像編集ソフトや、動画編集ソフトも取り扱っています。それらプロ仕様のソフトについては、より機能の最適化、高度化が求められるため、パッケージで購入するよりも、月定額で最新版を使用できるサブスク・モデルの方が使い勝手がいいとその道のプロたちに受け入れられたわけです。

一般ユーザー向けに一般ソフトを広く販売するより、プロ向けのソフトを狭く深く販売することで、収益を大きくしたアドビの事例は大いに参考になったはずです。


さらにマイクロソフトは、クラウドコンピューティング(ネットワーク上でコンピュータの様々な機能が使えるサービス)も提供し、成功しています。

こちらは、世界トップ企業であるアマゾンという成功例があります。

ことにアマゾンというインターネット通販の会社が、必要性から始めたクラウドコンピューティングの機能を自社の商品として販売し、世界1位にまで育て上げた実行力と柔軟性は、大いに参考にしたことでしょう。


つまりナデラCEOの功績は、全く新しいビジネスを立ち上げ市場を切り開いたのではなく、すでにあるビジネスを取り入れて、確実に自社のものにしたというところに尽きます。

そんなのただの真似やん。と言うのは簡単ですが、実際には、マイクロソフトほどの超巨大企業が、ビジネスモデルを180°転換させるなど、並大抵のことでできるものではありません。

なにしろマイクロソフトは、ウィンドウズという商品で天下をとった会社なのです。創業者のビル・ゲイツは歴史に名を残す偉大なカリスマであり、その彼が精魂込めたのが、ウィンドウズを中心としたビジネスの構築でした。その会社が、ウィンドウズを手放すなど、魂を捨てるような衝撃だったはず。

ビル・ゲイツを慕う社員も多くいる中、超巨大企業を一つの方向へ導いたナデラCEOの手腕は驚嘆すべきものです。


自社以外すべて敵という傲慢


創業者のビル・ゲイツは、ライバル企業を容赦なく叩き潰していく苛烈さで知られていました。その極端な覇権主義は、各国の政府と対立するに至り、あげくは独占禁止法や競争法違反の適用を受けてしまったほどです。

これに対して、雇われCEOのサティア・ナデラは「みんな仲良く」タイプのようです。社内でも社外でも、敵を作らず、協力できるところはしていく姿勢を取り続けています。

例えていうと、ビル・ゲイツは織田信長であり、サティア・ナデラは豊臣秀吉ですな。

ビル・ゲイツや2代目スティーブ・バルマーが、長年目の敵にしていたのが、無料プログラムの「リナックス」です。ウィンドウズを売り物にしている同社としては、無料でプログラムを開放しているリナックスは、ビジネスモデルを破壊しかねない邪魔な存在でしたから。

しかし、そのリナックスでさえ、ナデラCEOは取り込みました。自社のシステムにリナックスを採用し、今やクラウド上で動く半数のプログラムに採り入れられているといいます。

「危機においては、味方ではなく、敵と組め」とは、ティリオン・ラニスターの言葉ですが、ナデラCEOの信条はさながら「敵なんていない。皆と組め」というものでしょう。

アマゾンやアドビのビジネスを参考にしたのはその一環ですし、その他、小さなベンチャーのやることでも、気に入れば採り入れるということを繰り返しています。

いうなれば、この「顧客のためになるなら誰とでも組もう」という姿勢が、マイクロソフト復活の最大のポイントだったと私は考えます。

それまでのマイクロソフトというと、他者を寄せ付けない傲岸不遜な会社というイメージで見られていました。一代で帝国を築き上げる創業企業には、そんな独善性も必要な要素だったのかも知れません。

しかし落ち目の大企業に、傲慢な姿勢は百害あって一利なしです。

ビル・ゲイツ時代のマイクロソフトの功績は、パソコンでインターネットを利用する際の利便性を、とことん高めたということです。ウィンドウズがなければ、これほどインターネットが一般的に普及することはなかったでしょう。それは認めなければばりません。

が、同社の他社を叩き潰すという姿勢が、一般ユーザーから他の選択肢を奪っていたのも事実です。ウィンドウズの常識外れの成功は、他社の可能性をつぶした上でなりたっていたのです。

この自社のサービスだけしか使わせないという姿勢が、ここでいう傲慢さです。

それでも人々はウィンドウズを使用していました。それしかないのだから比較のしようがありません。

ところが、スマホがあっという間に普及してパソコンを使わなくても困らない人が多くなると、マイクロソフトの傲慢さはマイナスに働いてしまいました。

スマホはアップルもアンドロイドもあるし、そのほかいろいろ格安のものもあって競い合っているけど、パソコンはウィンドウズしかなかったよね。と気づかれてしまったのですな。

慌てたマイクロソフトは、ウィンドウズフォンなんてのを出しますが、遅きに失したのか、鳴かず飛ばずで終わってしまいました。

こうなると、傲慢さが裏目に出て、誰も助けてくれません。ざまーみろと思われるぐらいです。

そんな時に登場したナデラCEOの「謙虚に顧客のためになることをしよう」という姿勢は、本当に凋落してしまう一歩手前で同社を踏みとどまらせました。


現代のビジネスのルールに従った


ナデラCEOが取り組んだ「フリーミアム」や「サブスク」の本質は、顧客と接触する場面を多くして、顧客をより深く理解しようというものです。

顧客を安易に囲いこもうとすると失敗します。むしろ出入りは自由です。選択肢も多くあります。その中で顧客に選ばれるために、顧客を理解しようとする試みです。

かつてマイクロソフトが持っていた独善性(パソコンを使いたければウィンドウズを使えやーって感じ)とは一線を画したものだと思えます。

そもそも今の時代、顧客は囲い込まれることを嫌います。変に囲い込もうとすると、顧客は逃げてしまいます。逃げるだけならまだしも騒がれて炎上案件になってしまう恐れすらあります。

顧客は自由です。選択権を常に持っています。それが今のビジネスの絶対のルールです。

今のマイクロソフト=ナデラCEOが顧客から高く評価されているのは、そのルールを遵守した上で顧客満足を実現し、他社と無用な軋轢を生まずにビジネス展開ができているからです。

いわば、ナデラCEOの方向性は、時代に則したものであり、ウィンドウズを後生大事にしようというビジネスからの脱皮は、必然だったといえます。


膨大な既存顧客群が最大の資産だった


社内にも社外にも敵を作らず、協力者にしていこうとするナデラCEOのマネジメントスタイルは、もしかすると時間がかかるものかも知れません。いや、そうでもないかな。豊臣秀吉の天下統一のスピードはやたら速かったですからね。余計な敵を作らないスタイルの方が、実は時間がかからないのですかね。


ともかく一方を向いた企業のパワーはすさまじいものがあります。特にマイクロソフトの場合、企業規模が大きく、ビジネスも多岐にわたっているので、その効果も大きい。

既存の顧客、ファンが多いものですから、新規顧客を開拓する必要さえありません。既存顧客を「フリーミアム」「サブスク」に巻き込んでいけば、それだけでビジネスが成立します。

マイクロソフトが短期間に業績を回復させたのは、その最大の特長である膨大な既存顧客群を味方につけることができたということが大きいといえます。


マイクロソフトの業績がまだまだ伸びるだろうと予測されているのは、そのビジネス展開がいまだ既存顧客枠を出ていないからです。これから新規顧客に向けて「フリーミアム」「サブスク」を展開していけば、さらに大きな収益を見込むことができます。

他の企業も黙っていないでしょう。マイクロソフトが示した「フリーミアム」「サブスク」の展開方法は、他の分野でも再現できそうです。アップルもグーグルも、取り組んでくるはずです。

そうなると競争は次の段階に入っていきます。これからも各企業のダイナミックな動きは続いていくことでしょうね。

《参考》




大阪・新世界の「中華街構想」

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この話、噂には聞いておりました。

新世界の通天閣から日本橋につながる商店街に中国系のお店が増えており、なにげに活況を呈しています。

低価格のカラオケ居酒屋、カラオケ中華という業態が多い。かつてはシャッターの多い寂しい通りだったことを思えば、それ自体はいいことです。

が、中国の事業家の方々は、この一帯を中華街にしたいという構想を持っているそうで、地元の人々が困惑しているという話です。

インバウンド需要で復活した労働者の町


現在、大阪全体の景気がよく、不動産価格も上がっています。が、新世界界隈は、上昇の程度が激しく、3年前の3倍になっているというから凄まじい。もっとも、もとの価格が低かったということであり、全体の地価上昇に合わせて、この地区も適正化していったということでしょう。

もともと新世界は、あいりん地区が近いこともあり、日雇い労働者が多くいる町でした。今は、日雇い労働も昔ほど需要がなくなったため、この地区の労働者は全体に高齢化しています。界隈には、労働者向けの簡易宿泊所が多くありましたが、現在は、外国人観光客向けの安いホテルに切り替えて盛り返しています。

それにつれて、界隈の飲食店も観光客でにぎわうようになりました。今回の中国人によるカラオケ中華の話は、その流れに乗るものです。

立地としての価値は高いが


確かに、新世界という立地そのものは良いと思います。難波と天王寺の間にあり、どちらにも近い。この2つの都市がつながれば、それは大きな価値を持つようになるでしょう。だから中間地点の新世界が盛り上がることは、非常に意味があります。

難波から新世界にかけて、日本橋の電気屋街の裏筋あたりに夜市でもやれば、ものすごい観光資源になるだろうなあと妄想したりするのですがね。

しかしわれわれ大阪人には、新世界が都会になるなんてとても考えられないことでした。なにしろ実態を知っています。西成のあいりん地区は、東京でいう山谷のようなところです。日雇い労働者が集まってくるので、街には仕事にあぶれた人たちが昼間から酔っ払って管を巻いていたりします。昔は暴力沙汰なんて日常茶飯事で、物騒でした。日本最後の大きな暴動が起きたところでもあり、今でも西成警察は要塞のようです。

NHKの朝ドラの舞台になったりして、観光地化が進んできていますが、それでも筋を一つ入れば、怪しげな雰囲気に満ちています。なにせ、少し足を延ばせば、日本最大の遊郭がそのまま残っていて、ここは異世界か!と混乱すること請け合いです。

星野リゾートが、この界隈に高級ホテルの建設を行うと発表した時は、大阪人はみなひっくり返ったものですよ。

星野さんは、東京の人だから、新世界の猥雑さをご存じないのでしょうね。

華僑の進出方法


同じように中国から来た人たちにも偏見がありませんから、新世界あたりは、地価が安くビジネスチャンスがいっぱいの場所に映ったのでしょう。

知らないので怖いもの知らずです。以前、大阪の不動産屋さんに、新世界あたりの土地のことを聞いた時は、安くてお買い得だけど、じゃりン子チエの鉄のような一筋縄でいかない人たちが多くいるからやめときなはれと諭されたこともあります。

中国の方は、じゃりン子チエをおそらく知らないのでしょう。それなら仕方ない。

それにしても、ビジネスチャンスがあるとわかると、同胞を集結させて一大勢力になっていこうとする華僑の姿勢は、やはりパワーがあります。

以前聞いた話ですが、華僑が展開していく方法とは

1.一人の成功者が出現する

2.真似して成功しようとする者が集まってくる

3.最初の成功者グループが、ノウハウや資金を提供し、追随者をサポートする

4.成功者を多く出し、その地域で大きな勢力となっていく

というものだそうです。特に3は、個人の善意ではなく、華僑ネットワークの伝統というか掟のようなものとして行われるのだと聞いたことがあります。それが、この事例でも生かされていたようです。

この騒動をきっかけに地元が動き出すのか


もっとも記事にあるように、今の時点での中華街構想は壮大過ぎて、現実性がないと思われても仕方ないでしょう。なし崩し的に巻き込まれたくないという地元の方々の困惑もわかります。

いずれにしろ、星野リゾートの建設が進み、観光客が増えてくるとなると、新世界の商店街も何らかの開発が必要です。そうじゃないともったいない。

中華系パワーに乗っていくのか、あるいは、それに巻き込まれないように、独自のコンセプトで開発を進めていくのか。

これをきっかけに地元の方々が一丸となって動きだすことができれば、いいんでしょうがね。




「裏の需要」を捉えて校回復した地方空港の話

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これ面白い記事です。閑古鳥が鳴いていたスペインの地方空港が、意外なアイデアで大繁盛となったという話です。

無責任な航空行政の果てに


人口3万5千人の地方都市にある空港がその舞台です。飛行機が発達したEUといえども、3万5千人の都市で空港を維持するのは難しいようです。

スペインでは、空港建設ブームの時期があり、各自治体が採算性も鑑みずに地方空港を作りまくったのだとか。現在、スペインには52の空港があるが、採算がとれているのは8つのみだということです。

どこの国の行政も同じようなことをやっているのですなあ。

案の定、この空港に関しては、航空会社が関心を示さず、全く機能していなかったらしい。つまり乗客ゼロです。

バックヤード機能に特化する


この空港を人工衛星の発着場にしたいと考えたのが、宇宙関連のベンチャーを経営する若者2人です。

といってもいきなり発着基地を建設するわけにもいきませんので、とりあえず空港を維持するためのアイデアを考え出しました。

それが「飛行機の駐機場」というものです。

暇な空港だからこそできるアイデアです。通常の6割程度の駐機料金を設定したために、EU近隣から空いている飛行機が集まってきました。他の空港に停めておくよりも割安なので、経済合理性を重んじる航空会社の需要をとらえたわけです。

この記事が書かれている時点で、80機の駐機があるということです。

裏の需要をとらえた


さて、80機もの駐機があるのなら、さらなる需要が生まれます。それを逃さないのが、ビジネスを展開させるコツですね。

当然ながら航空機のメンテナンスという仕事が生まれます。せっかく停めているのだからついでに、エンジンや電子関連のメンテをしておかない手はありません。

さらには、老朽化した飛行機の解体という仕事も発生しました。この需要が大きいらしい。記事によると、今後数年で15000機の解体が必要になると予測されており、需要はますます拡大すると考えられています。

だから、空港側は、さらなる敷地の拡張に向けて、投資を決定したということです。

いまやスペインどころか、ヨーロッパ最大の空港になったといわれるほどですから、大したものですよ。

「乗客のいない空港」がまだまだ成長を続けている理由とは?


視点を変えるというのは、このように大きなビジネス展開につながることがありますね。

この事例の場合、飛行機本来の機能である乗客や貨物の運搬から、その飛行機の保守や解体に視点を変えたわけです。

いわば、表の需要から、裏の需要への転換です。

けっこういろんな産業に応用できる事例ではないですかね。





空前絶後の幸運に見舞われながらも、それゆえに破滅した男の話。

空前絶後の幸運に
(2019年8月8日メルマガより)



開拓史時代のアメリカで成功し、大農場主となった男が、自分の敷地内に巨大な金鉱脈を見つけるという幸運に見舞われながら、それゆえに破滅したという話がネットの記事にありました。

とても面白かったので紹介させていただきます。



大農場主 サッターの悲劇


内容については、上の記事を読んでもらうのが一番ですが、それではメルマガにならないので、簡単に説明させていただきます。

本編の主人公は、ジョン・アウグスト・サッター。ドイツからの移民で、信じられないような苦難の末に、カリフォルニアにたどり着き、広大な農場経営をするに至った人物です。

時は1850年頃。カリフォルニアが、メキシコからアメリカに移譲された頃の話です。西部劇の時代ですから、アメリカの治安は最低レベルです。カリフォルニアなんてのは、無法地帯だったと言っていいのでしょう。

たどり着くのさえ難しかった最果ての地に、サッターは農場を作ります。カリフォルニアが農業や畜産に適した肥沃な土地であることを知ったからです。

そこで大成功を収めたサッターは、広大な農場に道路や運河、橋などを建設し、さながら町を築いていくようでした。


そんな折、所有する敷地内に「砂金」の鉱脈が発見されました。これがきっかけになってアメリカの「黄金狂時代」が始まったといわれるほどの大きな鉱脈です。空前絶後。金は、金のあるところに集まる、という言葉を地でいくような幸運です。

とりあえず砂金のことは秘密にしておこうと考えたサッターですが、噂は広がってしまいます。

まずは農場の労働者たちが、職務を放棄して砂金を掘り始めました。労働の給金よりも遥かに多くの報酬が得られると考えたからです。

このことによって、サッターの農場は管理不能となり、荒れ果てていきました。

さらには、アメリカの大統領が「カリフォルニアで膨大な埋蔵量の金鉱脈が見つかった」などと発表してしまったのです。

ゴールドラッシュが始まった瞬間です。

一攫千金を夢見る者たちが、サッターの農場に集まりだしました。


もとから無法地帯だったカリフォルニアに、山師のような男たちが集まったのだから、管理ができようはずもありません。

サッターの所有権を無視して、荒くれ男たちは農場を蹂躙し、建物を破壊し、自分たちの仮家を建て始めました。その数、1万人以上というからスケールが大きい話です。


不法占拠に対してサッターは、立ち退きと賠償金を求めて裁判を起こします。当然、法的にはサッターの言い分が通りますが、強制執行する権力が、当時のカリフォルニア州にはありませんでした。

それどころか、裁判の結果に怒った不法占拠の者たちが暴徒化し、サッター一家は、殺害されたり、自殺に追い込まれたりして、崩壊してしまいます。

サッター自身は生き残りますが、全財産を不当に略奪された者として、その後の人生を惨めに過ごすことになったということです。


現実を受け入れられなかった者の末路


国家に実行権力がある今なら、これほど酷いことにはなっていなかったかも知れません。なにしろ無法時代です。自分の家族を守るためには、自分でパワーを持たなければなかったのですね。なんともやるせない話です。

サッターは何を間違えたのでしょうか。

私の考えるところ、サッターは、あまりにも現実を見ていませんでした。

法的根拠がどうあれ、実効支配されてしまっているのです。「法的には私の土地」「立ち退くべきだ」と言っても、何の威力もありません。

取り戻すには、私設軍隊でも作って、強制力を発揮しなければなりませんでした。

いやいや、麻薬カルテルのボスじゃあるまいし、そこまでしたら逆に歴史に悪名を残すことになるやないか。と言われそうですね。確かにそうですな。


それでも現実的な方法で支配力を取り戻すことが必要です。

「危機においては、味方ではなく、敵と組め」とは、ティリオン・ラニスターの言葉です。

不法占拠する者の中から、リーダー格、あるいはリーダー的資質を持った者を選んで、こちらの陣営に引き入れてしまう。という方法をまず試してみることです。

敵の主流派に、権限と利益を約束して、不法占拠者たちの取りまとめを委託するのです。

かつて、ホンダ車の違法コピー品が出回った時、ホンダがやったことは、それを排除することではなく、その製造企業と提携して、正規品工場として取り込んでしまうことでした。

本来の利益が少なくなるなんて言っていたら、現実的な解決は見込めません。その時のホンダの柔軟性は見習うべきものです。


烏合の衆と言えども暴徒化すれば、恐ろしいパワーとなります。そうしないためには、階層を作り、組織としての安定化を図るのがよいという意味もあります。

孫子のいう「戦わずして勝つ」という方法の一つです。


「オープン戦略」ならば収益を拡大できた


もう一つ。オープン化してしまうというのも現実的な方法です。



こちらは上の記事に書かれいるので、読んでいただければいいのですが、それだとメルマガにならないので、またもや書かせていただきます。

「オープン戦略」とは、砂金の権益を独り占めせずに、広く一般に公開するという方法です。今回の事例のような埋蔵量を超えた期待値を集めた件に関しては、オープン化したうえで、周辺需要を取り込んだ方が、利益が拡大します。

実際、ゴールドラッシュによって莫大な収益を上げたのは、金を掘り当てた者ではなく、金を掘るための道具を販売した会社だったという有名な教訓があります。

道具だけではありません。住居も衣服も日用品も入り用になりますから需要が確実にあるのです。その販売取扱権を独占的に扱うことは、砂金を独り占めするよりも、はるかに容易で、はるかに大きな収益を生んだはずです。

リーバイスというジーンズは、まさに金採掘時の作業着として発達したブランドだったということですしね。


近年、オープン戦略によって莫大な収益を上げる企業の事例があちこちにあります。

有名なのは、半導体のインテルです。半導体の製造特許を開放したために、世界中で半導体メーカーが生まれました。ただしインテルは、半導体の中心部分だけの特許は開放していません。つまり、周辺の技術を開放することで需要を拡大し、中心部分で稼ぐという戦略です。

グーグルのスマホに関する戦略も似ています。彼らもスマホのOS規格(アンドロイド)を広く開放しています。アンドロイドを使用したスマホが増えることで、グーグルの検索エンジンが使用されるという戦略です。

スケールは小さくなりますが、おたふくソースも一種のオープン戦略をとっています。彼らは広島風お好み焼きのレシピや、お好み焼き屋の経営ノウハウを広く公開することで、世間に広島風お好み焼きを浸透させることに尽力しました。広島風お好み焼きが広がれば、おたふくソースの需要も広がるという戦略です。

サッターにとって、農場に1万人以上の人間が滞在するという状況は、それだけ大きな需要がそこにあるということにほかなりません。「彼らはそこにいるべきでない」などと詮無い正論を主張するだけに終わらず、ビジネスチャンスだととらえることができていたならば、今頃、サッター印の工具なんてブランドに名を残す人物になっていたかも知れません。

なんて言っても後の祭りですね。

我々は、サッターの悲劇を教訓として、あくまで現実に即した賢い立ち居振る舞いをしていきましょう。

オリオンビールのお粗末な身売り騒動

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オリオンビールの身売り騒動の裏事情を書いた記事です。

なんのことはない。創業家と現経営陣との関係がこじれたあげくの身売り騒動です。

酷い話ですねーと言いたくなりますが、実のところ、老舗企業にはよくある話です。

確か、ぺんてるとかもそうでしたね。

参考:ぺんてるとコクヨ またかよ!?と言いたくなるお家騒動がらみの揉め事

お粗末な「お家騒動」


創業家と現経営陣というものはとかく揉めるものです。

創業家からすれば、自分たちが作って育てた会社という自負があるから口を出してくるでしょうし、現経営陣とすれば、現場も知らないのにいらぬ口出しをしてくる姑のような存在です。

会社によっては、その関係が一定の緊張感を生み、ガバナンスの健全化につながっている場合もあります。

しかし、オリオンビールの場合は、ちょっと下世話な口出しになっていたようです。

「この人(自分に近い人)を社員にしてやってくれ」「この保険を買いなさい」といった“天の声”が降りてくれば、経営陣は無下にはできない。「とくに苦しかったのが、創業家の人間をオリオン役員に迎え入れなさいというプレッシャーだった」と役員経験者の1人は述懐する。

あくまで記事に書いてあることですよ。

お互いがうとましく思うあまり、創業家は持ち株をオリオンに売却しようとしますが、金額に折り合いがつきませんでした。(オリオン側も相当な安値を提示したようです)

そこで創業家が頼ったのが、外資系ファンドのカーライルです。創業家は、カーライルの力を借りて、オリオンビールそのものを買収しようと試みました。

驚いたオリオン現経営陣は、野村証券に助けを求めます。両陣営、話し合いの末に、野村とカーライルが共同でファンドを作って買収する、というスキームが出来上がったということです。

まあ、ありていに言って、お粗末な話ですよ。

この騒動の中、筆頭株主のアサヒビールが、知らん顔を決め込むのも無理はありません。

最高のポジショニングだが、残念な経営力


カーライルが、この話に乗ってきたのは、オリオンビール自体の最高のポジショニングを評価したからだと思われます。

なにしろ、沖縄に特化したローカルビールメーカーとして、抜群の知名度と独占的な市場シェアを誇っているのです。これで儲からないわけがない。てこ入れすれば、もっと儲かるようになる!という算段があったはずです。

実際のオリオンビールは、政府の酒税減免措置に守られて利益を出している企業です。いま、普通の酒税徴収に戻せば傾くかも知れないというレベルらしい。

保護主義政策は、しばしば産業の力を削ぐことがありますが、オリオンビールの場合も、保護政策に甘えて、減免措置という薬なしには自立できない会社になっていたわけです。そういわれても仕方ありません。

参考:オリオンビールの危機的状況

もしかすると、カーライルのドラスティックな改革によって、業績を校回復するかも知れません。その場合、経営陣は総入れ替え、従業員も安穏とはしていられないでしょうが。

それぐらい痛みをともなった改革をしたほうが、いいんでしょうね。

なにせ、最高のポジショニングを持つ企業です。普通に経営すれば、相当儲かります。今の状況はかなり情けないということを自覚しなければなりませんな。






ディズニーはこのまま映画ビジネスを制覇するのか?

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ヤフーニュースに配信されていた記事です。そのうちリンク切れになります…

米映画産業はディズニー一人勝ち


世界の映画産業を牛耳るハリウッドに異変が起きています。

ここ十数年、M&Aを重ねて巨大化したディズニーが、ハリウッドを制覇したといってもいい状況ができつつあります。

ディズニーといえばアニメ映画の老舗ですが、ライバルの「ピクサー」を買収したのを皮切りに、ヒーロー映画の「マーベルスタジオ」、スターウォーズシリーズの「ルーカスフィルム」、そして名作映画が多い老舗映画会社の「20世紀フォックス」までも傘下に収めました。

特に近年、ディズニー傘下の「アベンジャーズ」シリーズや「スターウォーズ」シリーズが大ヒットしており、一人勝ち状態です。

他の映画会社は「弱者の戦略」を取らざるを得ない


これだけヒット映画シリーズを抱えているとどうなるか?

映画館も当然、ヒットの見込めるディズニー映画を優遇しますから、夏休みやクリスマス前などいい時期に上映スケジュールを組むことができます。

他の映画会社は、同日上映は避けたいですから、自然とイマイチな上映スケジュールとなってしまいます。

今のディズニー系列映画は、上映スケジュールの面からも、優位性を持っているということです。


内容に関しても同じことが起こります。

他の映画会社が、同じようなヒーローものやスペースオペラを作っても、二番煎じ感は拭えません。

こちらも狙うのは、ディズニーが作れないような映画です。

ディズニーは伝統的に、家族全員で観ることができる健全な内容の映画を志向しています。

子供にもわかりやすく納得できる楽しい映画、端的にいうと、ディズニーワールドでアトラクションを作れるような内容の映画です。

だとしたら、他の映画会社は、大人向けの少しひねった内容のもの、暴力やエロや複雑な社会問題にも切り込んだ過激な内容にしていかなければなりません。

そういう映画って、通には受けるかも知れませんが、大ヒットは見込めないでしょう。

でも、大受けを狙った超大作がコケたら屋台骨が揺らいでしまいますから、生き残るためには仕方ありません。

ディズニー以外の映画会社(ユニバーサル、ワーナー、パラマウント、ソニー)は、小ヒット狙いにシフトしていかざるを得ないということです。

ネット配信動画サービスでも主役に


いま映像系エンターテイメントの主戦場は、映画館からネット動画配信に移っていっています。

コンテンツを爆集めしたディズニーは満を持して「ディズニー+」という動画配信サービスを立ち上げました。

過去映画をネット配信でみせて、新作映画をヒットに導く流れを作ろうとする盤石の戦略です。



ついに、ディズニー一強時代の到来か!と言いたくなりますよね。

「アナと雪の女王」「トイストーリー」「アベンジャーズ」「Xメン」「スターウォーズ」など世界中でヒットが見込めるシリーズを多く抱えるディズニーが、動画配信サービスでも優位な位置にいることは間違いありません。

なにしろ「アナ雪」を観るためには、DVDを買うか、レンタルするか、あるいはディズニー+に入るしかないわけです。

ネットフリックスに入っていても、ディズニーの作品は観れないのですからね。

ディズニーvs非ディズニー


ネットフリックスは、仕方ないので、単打狙いの戦略です。同社は、製作費に莫大な費用をかけていることで有名ですが、決して一発ホームランを狙っているわけではありません。各国の製作者を採用して、ローカル色豊かで多様な映像作品を生み出そうとしています。

いわゆるニッチ狙いですね。

これは非ディズニーの映画会社も同じです。グローバルヒットではなく、通やマニアに受ける作品を扱わざるを得ません。

おそらく非ディズニーの映画会社は、今後、ネットフリックスなどの動画配信専業会社と提携して、映画でのスマッシュヒット+動画配信でのロングテールという二毛作で収益を確定していこうとするでしょう。

ネットフリックス自身は、映画会社が作れないような連続ドラマやドキュメンタリーの制作を増やしていくはずです。

映像系エンターテイメント業界は、今後、ディズニーvs非ディズニーの戦いに収れんしていきそうです。


二兎を追うディズニーか、それとも…


この戦い、どちらに分があるのでしょうか。

映画館ビジネスでも、動画配信でも、両方で勝とうとするディズニーが、このまま天下をとるかも知れません。

あるいは、動画配信が映画館とは違うことを知り尽くしたネットフリックス陣営が、専業会社の強みで打ち勝つかも知れません。

敢えて個人的な意見をいうと、映画館ビジネスを引きずりすぎているディズニーの戦略は、ちょっと安易ではないかと思っています。でも、ディズニーもいろいろ修正してくるでしょうし、今の時点では何とも言えませんわね。

かつてメガネ業界に起きたパラダイムシフト

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メガネ店チェーンのビジネスモデルの変遷を書いていて、興味深い記事です。


低価格化と嗜好品化を同時に実現


メガネ業界に地殻変動を起こしたのは、「OWNDAYS」「JINS」「ZOFF」ら低価格チェーンです。2000年頃に登場し、一気に価格破壊を起こしました。

彼らは、自社で製造を行うことで原価を下げ、その他の経費も徹底削減することで、低価格でも利益が出る構造を実現しました。

一般的な価格帯が浸透しているところに低価格で売れば、売れるのはある意味当然です。

しかも、彼らは、眼鏡を機能性商品ではなく、ファッションとして打ち出しました。そのため、TPOに従って複数のメガネを持つというスタイルを普及させました。

安い商品を売っているようで、複数売るので、売上利益は上がるという仕組みです。

時計業界に起きたできごとと似ている


高価格から低価格へ。機能性から嗜好性へ。という流れは、腕時計に似ています。

もともとそれなりの価格で販売していた腕時計の世界に価格破壊を起こしたのは日本メーカーです。

クオーツ技術により、機能性は高いのに値段は極端に安い商品を実現しました。これにより老舗のスイスメーカーは壊滅的な打撃を受けることになってしまいました。

スイスのメーカーの逆襲は、腕時計を機能性から嗜好性で捉えなおすことです。「スウォッチ」で低価格品をカバーし、その他では極端な高級化を進めることで、日本の時計をダサいものに変えてしまいました。

この価値観の転換に日本のメーカーはいまだ対応しきれていません。

メガネの場合、低価格化と嗜好品化を同時に進めたというところが、少し違う部分ですが。

高価格から低価格へ。機能性から嗜好性へ。


この流れは、多くの分野に当てはまります。

 言葉にすると簡単ですが、低価格化においても嗜好品化においても、ビジネスモデルが全く違うことがほとんどです。

創業塾などで「一般的な価格の10分の1で売る方法を考えよ」という思考実験をするのですが、そのためには、製造方法も、人材の配置も、販売方法も変えなければなりません。

既存の老舗企業が簡単に追随できないようになっています。

一種のブルーオーシャン状態になってしまうのはそのためです。

次のパラダイムシフト、イノベーションは起きるのか?


ただし、需要の大きなところには新規参入業者が現れるので、いつまでもオイシイ市場ではありません。

OWNDAYSも一時は破綻しかけましたしね。

市場が煮詰まると、また新しいプレーヤーが登場します。

「さらに安値にする」→5000円のメガネを1000円にして利益を出せるのか?

「極端に高くする」→50万円、100万円のメガネを売るにはどうすればいいのか?

「一部機能に特化する」→老眼鏡、サングラス、カメラ機能付きなどに特化する?

こうしたパラダイムシフトやイノベーションが起こるたびに市場は活性化します。

ビジネスって面白いなあと思いますね。





実現間近の「空飛ぶタクシー」だが、日本はビジネスにできるのか?

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「空飛ぶタクシー」の話題です。

米モルガン・スタンレーは、2040年までに空飛ぶクルマの全世界の市場規模が1兆5000億ドル(約170兆円)に成長し、世界全体の国内総生産(GDP)の1.2%を占める有望市場になると予測する。

170兆円というのは、現在の自動車メーカー上位10社の売上高合計に匹敵します。

これほど急速に巨大市場が出来上がるというのは、ドローン関連技術が相当進んでいるということでしょう。

というか、自動車ほど難しい技術課題はないということなんですね。聞くところによると、完成品はすでに完成していて、実証実験の段階なのだとか。

電気自動車の普及よりも早いかも知れませんし、自動運転車に関しては確実にこっちの方が早いでしょう。

各自動車関連企業も、既存自動車の台数減少を補わなければならないので、参入を窺っているところだと思います。

技術的課題よりも、ビジネスとして成り立つかどうか


ただし技術的に問題がなかったとしても、それですべて大丈夫というわけではありません。

法的整備。インフラ整備。オペレーション(運航・運用システム)の確立。などクリアすべきものがいっぱいあります。

特にオペレーションが整わないと、ビジネスモデルが作れません。

この課題については、ウーバーをはじめ配車システムの会社が業界標準になるべくしのぎを削っているようです。

参考:「空飛ぶ車」 日本勢は相乗り待ち

日本の製造業者は、とりあえず需要の方向性を見極めようという構えですね。

過疎地の運送とか、後でもいいじゃね?


記事には

日本では「空の移動」を人手不足や都市と地方の格差といった構造問題の解決につなげようとする動きも広がり始めた。ドローンや空飛ぶクルマが山間部や過疎地、離島などにヒトやモノを自在に運べるようになれば、人手不足でもより便利な生活を送れるようになる

ってありますが、そんな使い方は、いくらでもできることです。ビジネスとして考えるなら、もっと大きな需要を取り込んでいかなければなりません。

せめて地方都市で特区を作り、「空飛ぶタクシー」を前提とした都市設計をするぐらいはやってほしい。

個別企業は、生き残るという命題のためには無茶はできないので、とりあえず様子見という態度も理解できます。

が、全体としては、もう少し、需要を作り出そう、業界基準やモデルを作っていこうという動きがあってもいいのになぁと思いますね。

こういうときこそ経済産業省や業界団体が存在意義を示してほしいものです。









ネットフリックスが早くも苦境に?

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ネットフリックスの勢いに陰りが見えてきているようです。

記事によると、
2019年4〜6月期の有料会員数の伸びは270万人と会社予想の半分程度にとどまり、米国では8年ぶりの減少に転じた。
とのこと。

その大きな要因は、値上げです。

業界のパイオニアだが、追い上げられている


同社のサービスは、映画やドラマなどの動画をストリーミング配信形式で提供するものです。
※ストリーミングとは、ネット上にある動画をダウンロードすることなく見ていく視聴方法のこと。

定額料金さえ払えば、ネットフリックスが提供するすべての作品が見放題です。観たい映画やドラマを都合のいいタイミングで好きなだけ視聴できるサービスは、利便性が高いこともあり、爆発的な人気を博しています。

定額制だから、毎月一定の売上が見込める仕組みは、ビジネスとしてのうまみが大きい。だから、多くの追随企業が生まれています。が、やはり業界のパイオニアであるネットフリックスが強い状態が続いています。

ところが最近、ディズニー、ワーナーなど、作品を多く抱えた映画製作会社が、動画配信ビジネスへの参入を表明し、話題になりました。

なにしろ、このビジネスは人気のある作品を持っているものが強い。その意味では、ディズニーなんて最強です。

ネットフリックスも危ういのではないか。と思われています。

参考:ネットフリックスは、本気のディズニーに勝てるのか?

コンテンツとコストの最適解は見つかるのか


ディズニーやワーナーは、映画会社ですから、歴史的に多くの作品をすでに持っています。ネットフリックスにはそれがありません。他社から権利を買ったり、借りたりしないと配信する作品がない。

その弱点を克服すべく、ネットフリックスはオリジナル作品の制作に莫大な予算を投入しています。

月会費の値上げは、それをカバーするためのものです。

定額サービスにとって、値上げという手段は、一番やりたくない方策です。会員数というビジネスの基礎部分に大きな影響を及ぼしてしまいますから。

いわば、作品ラインアップという満足度が顧客にとって優先されるのか、月料金の支払いという不満足度が優先されるのか、という危ういシーソーをやっているようなもので、これが崩れるとビジネスが破綻してしまいます。難しいかじ取りをしていかなければなりません。


今回、アメリカの会員数が減少したということは、アメリカ国内ではバランスが崩れてしまったということを表しています。

この事態を受けて、同社がどういう最適解を見つけ出すのか。

アマゾンのように「利益なんか出さないぞ!」と開き直って突っ走ればいいのですが、同社は株主対応にも真面目ですから、何等かの方向転換があるかも知れません。

同社がどのような最適解を見出すのか、注目してまいりましょう。







ケンタッキーが校回復した理由

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これ、いい記事ですね。

ケンタッキーの校回復がどのようにしてなされたのか?を書いています。

1000店超えのファストフードチェーン


ケンタッキー・フライド・チキンは、日本を代表するファストフード店です。1970年に日本1号店を出店し、日本の成長期とともに店舗数を拡大していきました。

現在は、1153店(四季報業界地図より)

マクドナルド(2898店)、モスバーガー(1341店)に次ぐ規模です。

いまの経済状況では1000店舗規模の飲食チェーンを新たに作ることは厳しいですから、1000店舗超えのチェーンを持っていること自体が大きな価値ですな。

クリスマス需要以外を取り込む施策


ケンタッキーの特徴は、クリスマスというハレの日需要に強いこと。

クリスマス→鳥→ケンタッキーという発想も安易ですが、歴史の中でそのように認識されてきたのでしょうな。

こればかりはマクドナルドといえども崩すことができていない特殊需要です。


しかし、それ以外が弱いというのも特徴だったので、そこをてこ入れした、というのが校回復の要因となっています。

具体的には、比較的安価な日常商品として500円ランチセットを投入しました。

もともと季節限定メニューを頻発して「おいしいけど高い」というイメージがついていただけに、注文しやすい低価格商品の投入は、客数増につながったようです。

もちろん高価格帯の季節限定メニューは継続しています。

マクドナルドをお手本に


同社の場合、マクドナルドというお手本があるので、やりやすかったはずです。

マクドは、低価格路線を走りすぎて赤字転落した苦い歴史もありましたが、現在は、高い価格帯から安い価格帯まで取り揃えて、全方位をカバーしています。

客数増と客単価向上を両方とりにいく施策に取り組んでいて、ちぐはぐな時期もありましたが、いまはバランスのとれた状態です。

SNSを使った販促や、クーポンの活用などリピーター対策も実施しています。

これらを参考にすることである程度の業績向上策は作れるでしょう。

フォロワーとして生き残るのが現実的


ただフォロワーというのは、ある程度のところまでしか業績を上げることができません。すぐに限界がきて、成長が止まります。

ここからさらに業績向上を目指すならば、マクドにない価値を訴求していかなければなりません。何らかのイノベーションを起こすことができれば、素晴らしいですが、そこまでの事例ではないようです。

1000店舗もあるんだから、そこそこ儲かればいいやん。という考えもあります。生き残るという命題から言えば、無理な競争戦略を仕掛けるよりも、フォロワーでいる方が正しいという判断は間違いではありません。

そこはケンタッキー本部とフランチャイジーさんの考えることですね。




吉本が、これほどマネジメント能力がないとは驚いた

吉本がこれほど

(2019年7月25日メルマガより)


ここ数日間、テレビを独占しているのが、吉本興業に関する話題です。

参議院選挙もあったし、京都アニメにおける放火大量殺人事件もありました。本来なら、そちらの方が重要なはずですが、世間の関心は、吉本興業の内部事情に向けられています。

関西ローカルで話題になるのはわかります。関西人にとって、吉本というのは特別なブランドですから。

ただそんな私の考えは古いものだったようです。よきにつけ悪しきにつけ、吉本の存在感は、日本全国でこれほど大きなものだったということを認識しました。


関西人のソウル「吉本」


関西人の特徴とされる「話にオチがないと納得しない」「会話が自然にボケとツッコミになる」「笑いがとれないとダメなやつだと認定する」気質は、吉本の番組によって醸成されたものだと言っても過言ではありません。

小さい頃、土曜日のお昼から放送される吉本新喜劇がどれだけ楽しみだったことか。

花紀京、岡八郎、木村進、船場太郎、間寛平。。その頃の小学生たちのヒーローでした。特に花紀京が出演する回は、見逃すまいとして必死で帰ったものでした。

この感覚、当時を知る関西人にしかわからないでしょうなぁ。花紀京のボケやスカシ芸の強烈さは、鮮明に覚えています。今に至るまで、あれほどのボケを聞くことはありませんから。

そんな関西のソウルを体現する吉本に何があったというのでしょうか。


最大の問題は「反社勢力との接触」


発端は、今年5月末頃、吉本興業所属の人気芸人による反社会的グループが主催するイベントへの参加が明るみになったことです。

写真週刊誌フライデーの取材によって明らかになったものですが、これ、2014年12月の出来事です。

5年前のイベントをタレコミする人物の意図がどこにあったのかは想像の範囲外ですが、このこと一つをとっても、反社会的グループとの接触が百害あって一利なしだということはわかりますね。

かといって、芸人側を擁護することはできません。たまたま囲まれて写真をとられたということならまだしも、イベントで何らかの芸を披露して、少なからぬギャラをもらっているのだから、責任は重大です。

現在のコンプライアンス基準でいえば、知らなかったは言い訳にはなりません。知らずに接触してしまうことをも想定して、行動していかなければなりません。

仮に知らずに接触したとすれば、事後策としても、関係機関に相談するなりして、対応していかなければなりませんでした。

それなのに「ギャラはもらっていない」とウソの説明をしてごまかそうとしたというのだから、最悪の対応です。

一方で会社側も、所属芸人が反社会的グループと知らずに接触することを阻止する対策をとらなければなりません。

ことに吉本興業は、政府が推し進める事業にかかわり、多くの公的資金を管理運営する立場にある大企業です。

政府側から「ちゃんと説明しろ」という声が出るのは当然です。

ここが最大の問題点であることは忘れてはなりません。


会見によって逆転した世論


ともあれ起こってしまったことは仕方ありません。が、その後の対応がさらに混乱を引き起こします。

当事者の芸人である「雨上がり決死隊」の宮迫博之、「ロンドンブーツ1号2号」の田村亮が、謝罪会見を開いたのが7月19日です。

ずいぶん遅い会見でしたが、その前日には、宮迫博之との契約解除が吉本興業側から発表されていました。

このころまで世論は「宮迫憎し」が大勢でした。「悪いことをしてもごまかそうとして逃げるやつ」「記者会見も開かずに引退逃げ切りを図っている」などと言われていたものです。

ところがこの謝罪会見で世論は一変します。

涙ながらに自らの行動を悔い、真摯に謝罪する二人の姿は、人々の胸を打ちました。

会見を見る限り、宮迫と田村が、またウソを言ってごまかそうとしているようには思えませんでした。

これだけ正直に告白し、反省しているならば、再チャンスがあってもいいんじゃないかと思える内容でした。さすが、力のある芸人です。


その代わり注目されたのが、吉本興業側のずさんな対応です。

なんと、当事者である芸人が正直に謝りたいと言っているのに「静観しよう」などといって、阻止したのが会社側だというではないですか。

しかもその中で、あろうことか代表取締役社長から「会見をするなら、連帯責任で全員クビにするぞ。おれにはそれだけの力がある」なんてとんでもない暴言を浴びせられたことが告発されました。

こうなると世論は一気に「吉本憎し」に傾きました。

同じ芸人仲間からも宮迫、田村擁護の声が次々と上がり、会社側を告発非難する者が現れるようになりました。

弱い立場の芸人を安い報酬でこき使いながら、いざとなれば恫喝して切り捨てる横暴な組織としてイメージが流布されていったのです。


天才・松本人志の登場


ここで大物芸人である「ダウンタウン」松本人志が仲裁に乗り出します。

ダウンタウンといえば、私の世代にとって特別な存在です。(私は一つ年下にあたります)

1980年頃の漫才ブームによって登場した紳助竜介のテンポの速い爆発的な笑いも十分に衝撃的でしたが、それから7、8年後に登場したダウンタウンのスローテンポでウダウダ話のような笑いは、さらに衝撃でした。

漫才ブームの時の笑いは、基本的にギャグの笑いです。それぞれが決めギャグを持って、ここぞという時に連呼するので笑いどころが分かりやすい。このスタイルが、芸を味わうよりも、手っ取り早く笑いたいという人々の支持を受けて、大きなブームとなりました。

ところが、関西ローカルとして登場したダウンタウンは、一見、仲間内の打ち明け話のようなトーンで、ギャグを挟むことなく、シュールな笑いを展開しました。

決めギャグがないというのは、笑いどころが分かりにくいといえるかも知れません。当時も、ダウンタウンの何が面白いのか分からないという人たちはけっこういましたから。

しかし「笑いが分からない」というオヤジたちがいることは、むしろ分かる若者にとっての特別感を作ることになります。当時の私たちにとって、ダウンタウンの笑いが理解できることが、世代の連帯意識をさえ形成するものでした。

今でも、私たちにとって「ダウンタウン世代だ」というのは、誇らしい気持ちとともに語られるフレーズです。

もっとも、その後、東京進出して、当然のように日本の笑いの中心を担うようになったダウンタウンが、数十年後に時代のパラダイムシフト(価値観の逆転)まで起こしてしまうとは、さすがに思っていませんでした。

彼らの姿勢は常に「お笑いこそ至高」というものでした。笑いをとれる者が偉い、という関西人なら当たり前の価値観を全国に広めようとしました。

この点が、古いタイプの芸人がいう「芸人なんてどうせ半端者だ」という卑屈な立場だから許される笑いとは決定的に違う部分です。

楽屋内は見せないというのがかつてのプロの矜持だったかも知れませんが、むしろダウンタウンは、積極的にお笑いの技術論を語ります。今では、一般人も普通に「ボケ」「ツッコミ」「ノリツッコミ」「スカシ」「かぶせ」などという技術を語れるようになりましたが、いわば、われわれは教育されていったわけです。

だからダウンタウンの笑いは、どんなアホなことをやっていても「こんな笑いもある」「この視点から笑いを作る」といった技術、スタイルとして捉えられました。

ミュージシャンやスポーツ選手や政治家を前にして一歩も引かない彼らの姿勢も一貫していました。今では、彼らがダウンタウンに媚びる姿が当たり前となりました。

今やお笑い芸人の地位は、かつてとは比べられないほど高いものとなっています。お笑い芸人が、司会や俳優やコメンテーターにも進出しているのは「アホな奴がアホなことをする」のがお笑いではないことを世間が認識したからです。その地位向上に、ダウンタウンの功績は計り知れないものがあったと思います。


松本らしくない大甘な仲裁案


吉本興業もここ30年で全国区の総合エンターテイメント企業へと変貌を遂げました。

かつての吉本興業は、大阪ローカルのお笑い専門芸能事務所で、典型的な「アホなやつがアホなことをする」ことを見せるお笑いを提供していました。

大阪らしいがめつい社風で、運営もそうとうラフだったようです。

儲かるならなんでもやるというのがネタ交じりに語られる吉本の姿でしたが、そういう理念のなさは、組織のタガを緩めてしまうものです。

案の定、暴力団との親密な交際を噂される芸人や社員もいたようで、きな臭い事件もたびたび起きていました。

そういう反社会的勢力との決別と現代的なエンターテイメント企業への脱皮を担ったのが、現在の大会長だったということです。

大氏は、決して吉本興業の本流にいた人ではなかったようです。だから異端児だったダウンタウンに着目したのでしょうか。

大阪時代からダウンタウンを育て、東京進出を後押ししたのが、大氏でした。だから、お笑い芸人の地位向上の一翼を担った人であるともいえます。

ダウンタウンの成功とともに大氏の社内での地位も向上し、社長になったのが2009年、会長になったのが2019年です。

その間、吉本興業は、映画製作、動画配信、アイドルプロデュースをはじめ、教育事業やクールジャパン構想など国の事業への参画なども進めています。

大会長のビジョン通りの発展が進んでいるわけで、ここで改革の手を止めるわけにはいかないという気持ちがわからないでもありません。


さて、ダウンタウンの松本は、宮迫、田村の会見を受けてすぐに仲裁に乗り出すことを表明しました。

ちょっと驚いたのは、松本の吉本における地位の高さです。なにしろ、大会長はかつて二人三脚で成長した仲ですし、岡本社長はかつてのマネージャーだとか。

いわばツーカーの仲で、吉本興業のトップとため口で会話できる立場なんですね。

お笑い純潔種のような松本が、いつの間にか、笑福亭仁鶴のような重鎮になっていたとは、この時、初めて知りました。

だからでしょうか。松本の仲裁は「みんな仲良くやっていこうよ」式のもので、応急処置もいいところの甘いものでした。

松本自身は「芸人ファーストでないと意味がない」と言っていますし、それは純粋な気持ちなんでしょう。

しかし「問題の隠蔽疑惑」「ひどいパワハラ」「反社との関わり疑惑」がぬぐえない時点で「乳首相撲すればすべて収まる」というのは、松本らしくない大甘なまとめ方です。

これでは、所属芸人の一人である「極楽トンボ」の加藤浩次から「会長、社長が辞めるのが当たり前だろ」という声が上がるのは仕方ないことでした。


マイナスでしかなかった社長会見


それでも問題収束の方向性をつけたのは、さすが松本というべきです。

しかし、それを受けて行われた岡本社長の会見はあまりにもお粗末なもので、松本の努力を水泡に帰すものでした。

もし、あの会見で、理路整然と、はっきりと自分の非を認め、潔く辞任することを表明していたならば、世間の非難も収まっていたかも知れません。

それなら大会長が社長も兼任する緊急案が、通ったかもしれません。

しかし、会見では要領の得ない答弁に終始し、言い訳やごまかしが目立つものでした。

あの会見で浮かび上がったのは、人前で話すのが下手な内弁慶な経営者の姿です。しかも時代感覚の欠如した前時代的な経営者です。

衰退期を迎えた中小企業ならまだしも、これから世界に飛躍しようという企業の社長の器だとはとても思えません。

もしこの会見の絵図を描いたのが大会長だとしたら、こちらも甘すぎると言わざるを得ません。目論見を大きく外しています。

その前から怒りの声を上げていた加藤浩次も、再び「会長と社長が辞めなければ、自分が吉本を出る」と表明しました。

所属芸人の中には、加藤に賛同する声も多く、図らずも松本が芸人の声を代弁するものではないことを露呈してしまいました。

つまり既に売れた人気芸人と、その下の食えない芸人の層には、相当のギャップがあるということです。

この状況を見る限り、ここ数十年で巨大化多様化した吉本のマネジメントがうまくいっているとはとても思えません。

この組織の問題は、対症療法で何とかなるような表層的なものではないでしょう。


普通の会社なら経営者は交代


問題を整理します。

1.反社会勢力との決別を進めてきたのに、所属の人気芸人がつながってしまったという問題。

2.吉本興業のイベントのスポンサーにも反社会勢力がいたという問題。

3.6000人もいる所属芸人に十分なマネジメントができていない問題。

4.何かあった時に恫喝するなど未熟極まりないマネジメントの問題。

これらは奥でつながっています。マネジメントが未熟で行き届かないから、反社とつながる隙を作ってしまうわけで、中小企業的なファミリー体制のまま巨大化複雑化して統治能力を失った企業の姿を浮かび上がらせています。


これだけ問題が噴出すれば、なあなあで済ますわけにはいきません。吉本興業ほどの社会的影響力のある会社なら猶更です。非上場だからといって、このままうやむやにするのは得策ではありません。

普通の会社なら、まずは問題点を洗い出します。第三者委員会を立ち上げ、徹底的に調査してもらうべきでしょう。

その上で対応策を考えなければなりません。コンプライアンスの問題は待ったなしですから、早急にすべきです。

経営陣も今のまま続けるのは問題です。調査が一段落ついた時点で、取締役は一層すべきです。

大会長がカリスマだというのはわかりますが、客観的にみて、あの社長会見を容認した時点でこれからの時代の人ではないと判断されても仕方ありません。社長には実績のあるプロ経営者を連れてくるのがいいと思います。特に組織構築に実績のある人がいいでしょう。


ただ今の吉本興業の体制がすべて悪いかというとそうではありません。

日本で一番大きな芸能事務所であり、多くの有能なお笑い芸人を生み出してきた実績は、認めないわけにはいきません。

いわば吉本の緩いマネジメント体制、規則で締め付けず、個人の裁量で動くことを認め、問題が起こればそれから考えればいいやというスタイルが、いいように回る場面もあっただろうということです。

そうじゃなければダウンタウンのような異端の才能が花開くことはなかったかも知れませんし、これから出てくる大木の芽を摘み取ってしまうことになりかねません。

だからがちがちに締め付ければいいというわけではありません。柔軟に考えることができる人を経営者に迎えなければなりませんね。


マネジメント会社を複数化すればどうか


そういえば、「雨上がり決死隊」の宮迫は、明石家さんまの個人事務所への移籍を希望しているというではないですか。

いい考えですね。

どんどん分社化してマネジメント会社を作り、独立採算制にすれば、一人のマネージャーが面倒をみる芸人の数が適正化されていくでしょう。

マネジメント会社が多数できれば、そこは競争ですから工夫するようになります。漫才に強い会社、コントに強い会社、女性芸人ばかりの会社。あるいは薄利多売の会社、じっくり育てる会社など。

今後、吉本は芸人のマネジメントからは手を引き、イベント運営、劇場経営、番組制作、映画製作などアウトプットに特化していけばいいんです。タレントのマネジメントが別会社になれば、緊張関係も生まれて、公正さが増すはずです。

養成所を卒業した芸人の卵は、とりあえず分社化した複数のマネジメント会社に所属し、切磋琢磨させる。もちろん新陳代謝も激しくなりますから、厳しいですが、それは仕方ありません。もともとそういう世界ですからね。

一つの案ですが、落としどころとしてはいい筋かも知れませんな。


マネジメント会社を分社化すると、もう一ついいことがあります。

テレビ局への売り込みも各社切磋琢磨することになりますから、一つの会社への妙な忖度がなくなります。

5.大手芸能プロダクションによるテレビ局側への圧力問題。

が中和されることになります。

そうじゃないと、テレビごと日本のエンターテイメントはつぶれてしまいますよ。


ともあれ、吉本の問題は、まだまだ二転三転しそうな気配がありますね。

どうなることかわかりませんが、早く収束してほしいものです。


《参考》





吉野家は、赤字脱却したといって喜べるのか?

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吉野家の「超特盛」が想定外のヒットだそうですよ。

ご同慶の至りです。

が、この手のヒットでは、抜本的な経営改善にはならないでしょう。


牛丼屋さんビジネスは、もともと薄利多売のギリギリを狙ったものです。

しかも国内市場は飽和状態で競争が激しいですから、価格を上げるのも難しい。

ちょっとした風が吹けば赤字になったり黒字になったりすることが続いています。


新メニューを出して単価を上げようにも、複雑なメニューは従業員の負担になります。

従業員の給与を上げると途端に赤字になりますから、いまの賃金でやりくりするしかない。ということは、従業員の負担を増やすことも難しい。

できることといえば、量を増やしたり、トッピングを変えたり。その程度のことになります。


今回、超特盛がヒットして赤字脱却したということですが、なんか抜本的な改革が先送りになっただけのような気がします。

厳しい状況は続きますね。

吉野家はいつ根本的な施策を打ち出すのだろうか

吉野家は過去の栄光を捨て去れるのか





ネットフリックスは、本気のディズニーに勝てるのか?

ネットフリックスは本気のディズニーに


(2019年7月11日メルマガより)


動画ストリーミングサービスを提供するネットフリックスの勢いが止まりません。

全世界で1憶5千万人近くの有料会員をかかえ、150億ドル(約1兆6千億円)の売上を誇っています。

無店舗型レンタルビデオの店が、いつの間にか、全世界にその名を知られるようになり、大手映画会社を戦々恐々とさせています。

昨年は、米映画の最高権威であるアカデミー賞にオリジナル作品を送り込み、話題を集めましたが、同時に業界のエスタブリッシュメントたちから露骨な拒否反応をも引き出しました。

それだけ大きな存在になったということです。


DVDの宅配レンタルから始まった


ネットフリックスの創業は、1997年。ネットで注文を受けて宅配する形のレンタルDVDの店でした。

パソコンやスマホで注文をすると、自宅にDVDが送られてきます。DVDを観た後は、返却用封筒でポストに投函すると返却完了です。

料金は月定額のサブスクリプションモデルです。返却期限がありませんから、延滞料もありません。

(創業者が、レンタルDVDを返し忘れて高額の延滞料を払わされた経験に基づいて発想されたといわれています)

このシステムが当たり、爆発的な人気を博します。宅配DVDのビジネスは、日本では、ツタヤディスカスや、DMMが、真似して成功していますね。

ネットフリックスが優れていたのは、ネットで注文を得る仕組みなので、顧客データが収集しやすいということでした。

どんなDVDが人気があるのか。どのような顧客層は、どんなDVDを好む傾向にあるのか。

アマゾンと同じく、自動で顧客に好みのDVDをタイミングよく提示することができますし、さらには、こうしたビッグデータを蓄積し、武器にすることができました。


動画ストリーミングサービスで進撃


ネットフリックスは、2002年に株式上場して資金を得ると、2007年、動画のストリーミングサービスに乗り出します。

DVDを配送したり返却したりする手間がなく、その場で即時動画を視聴できるサービスは、ユーザーにとっても、事業者にとっても合理的です。

通信環境が整備されつつある今、DVDが動画配信に置き換わるのは、自然な流れです。しかし、レンタルビデオ店を運営するライバル会社は、店との共食いを恐れて手を出しにくい事情がありました。

無人の地を行くようなネットフリックスの快進撃はここから始まりました。

同社は、映画会社やテレビ局などから、番組を配信する権利を購入し、自社サイトでの配信を開始しました。

料金は月定額です。全世界でおおむね1000円程度。会員になると、すべての番組が自分のタイミングで見放題です。

アメリカではテレビは有料放送のケーブルテレビが主流ですが、1契約1万円以上になるのが普通です。その代わり複数チャンネルを視聴することができますが、ユーザーにとっては、興味のないチャンネルの分もあわせて料金を支払っていることになります。

そんなユーザーの不満を取り込んで、ネットフリックスは爆発的に受け入れられました。


「ゴミ収集業者」と嗤われる


当初は、映画会社もテレビ局も、ネットフリックスの登場を歓迎していました。

彼らにとって、過去の作品は、あまり使い道がありませんでした。そんな作品に、ネットフリックスは、高い使用料を支払ってくれます。

ある映画会社の幹部などネットフリックスのことを「ゴミ収集業者」と呼んで蔑んでいたほどですが、作品の数が多いと、その料金は年間数十億円となりますから、とても馬鹿にできた存在ではありません。大切な収益源です。

また近年、製作費が高騰するハリウッド映画は、コケる可能性が少ないシリーズものを多く手掛けるようになっています。

シリーズものをヒットさせるためには、過去作をなるべく多くの人に観てもらわなければなりません。

そんなとき、ネットフリックスのようなサービスは実にありがたい存在です。勝手に新作映画の宣伝をしてくれているようなものです。


ドラマも同じですね。ヒットドラマの第二シーズンが始まる際は、やはり過去作を観てもらいたい。

テレビ局は、昼間の時間に再放送するなどして盛り上げようとしますが、ネットフリックスはそれを補完してくれています。

まさにWIN−WINの関係が出来上がっていました。


ヒット作の作り方を習得


ところが、その間、ネットフリックスは、恐ろしいデータを蓄積していました。

なにしろインターネットにつながっているので、データを収集しやすい。

どんなユーザーは、どのジャンルの作品を好むのか?どんな俳優が好まれるのか?監督や脚本はどうか?

ユーザーが、視聴を中途で止める場面はどこか?どんな場面のどんなセリフは早送りされるのか?どのようなストーリー展開は好まれるのか?飽きられるのか?

全世界の膨大なデータを収集蓄積し、分析していますから、どんな映画会社よりも、ヒットする作品、好まれる作品を理解していることになります。

そんなネットフリックスが、自社でオリジナル作品を作ろうとするのは、自然な流れです。

何しろ、ヒットの方程式を理解しているのです。しかもその方程式はグローバルヒットだけではありません。特定のマニア層に受ける作品にも対応しています。

ハリウッド映画が、あまりにも万人受けするものに対応しすぎている現状、むしろネットフリックスは、作家性の強い尖った作品を手掛ける傾向にあります。

それが、ハリウッド映画への差別化となり、通の映画ファン、ドラマファンを惹きつけています。(優秀な演出家や俳優も惹きつけています)


連続ドラマ一気見の快感


同時に、ネットフリックスは、テレビ対応を進めてきました。パソコンやスマホで観るしかなかった過去から、いまは大きなリビングのテレビで観ることができます。

最近のテレビのリモコンには「NETFLIX」のボタンが設置されているものが増えてきました。これも同社の営業の賜物です。相当の費用をかけたのでしょうが、それ以上の恩恵があります。

リビングの主役であるテレビに進出したネットフリックスは、ことドラマに関する限り、テレビ局と肩を並べる存在となりつつあります。

そもそも新作ドラマを1週間に1度のペースで観る必要があるのでしょうか?

それよりも、全てが完結した後に一気見するほうが、合理的ではないか?

特にドラマは、続きが気になる終わり方をしますから、すぐに観たくなる需要に応えらえるのはアドバンテージです。

漫画もそうですね。週刊誌で連載を一話づつ追いかけるより単行本になってから読むという人も多いはずです。

ちなみに私は一気見が好きなタイプです。

そんなユーザーが増えてきたとすれば、テレビでドラマを観る人が少なくなったとしても、不思議には思いませんよね。

映画も同じです。少し待てばネットフリックスで観れるようになるのだから、わざわざ映画館に行かなくてもいいようなものです。


映画は動画配信で充分だと気付かれた


ここにきて、映画会社やテレビ局は、ネットフリックスがただのごみ収集業者ではないことに気づきました。

それは、人の作品を使ってヒット作の作り方を学び、優秀な演出家や俳優を集めて実際にヒット作を作り、従来のテレビ局から視聴者を奪う存在です。

さらにそれは、映画の祭典であるアカデミー賞にも作品を送り込み「映画は、必ずしも映画館で観なくてもいい!」と観客を啓蒙しようとする存在です。

一部の映画人は「おれは大きなスクリーンで観ることを前提に映画を作っているんだ!」と怒りの声を上げています。

また一部の映画人は「今の映画会社は万人受けを狙いすぎるので面白くない。むしろネットフリックスのほうが、好きにさせてくれる」と歓迎しています。

賛否両論あるものが、その後、時代のムーブメントに育っていくことが多いものです。

たぶん一部の映画はより体験型になり、大画面大音響効果を狙ったものになっていくのでしょうが、その他の多くは、動画配信で充分だとなるはずです。

もはや動画ストリーミングサービスは、無視できないところか、主要ジャンルの一つとして認められた存在になったといってもいいでしょう。


コンテンツの帝王ディズニーの登場


ネットフリックスの興隆に合わせて、多くの動画ストリーミングサービスが立ち上がってきました。

最大手は、アマゾンプライムビデオです。こちらはアマゾンプライム会員のためのサービスという位置づけですが、それでも多くの映画やドラマが見放題となっています。

アメリカではHuluも大手です。その他、ドコモのdTv、auビデオパス、U−NEXT、テレビ番組に特化したParavi、スポーツ専門のダゾーンもあります。アップルも参入を決めています。映画会社のタイムワーナーもそうです。

多くの追随者が現れるのは、トップ企業のネットフリックスにとっては歓迎すべきことです。裾野が広がると、トップ企業が最も恩恵を受けることになります。


しかし、世界最強のコンテンツ王国であるディズニーが動画ストリーミングサービスを開始したのは、影響が甚大です。さすがに危機感を抱かざるを得ないでしょう。

なにしろディズニーのコンテンツは強力です。

伝統的なディズニーアニメとその実写版はもちろん、近年、アニメ映画をけん引してきたピクサーも今はディズニー傘下です。

スターウォーズシリーズも実はディズニーの一員ですし、アベンジャーズで大当たりしたマーベル映画も、ディズニーが権利を買い取りました。

老舗映画会社である21世紀フォックスも最近、ディズニーが買収しました。

アニメからSFからヒーローものから名作映画までラインナップを揃えたのは、まさに動画ストリーミングサービスを開始するためだと考えられます。

つまり、ディズニーは動画配信サービスの価値と将来性を充分に理解し、本気で勝ちにきているということです。

今後、ディズニーは、ネットフリックスから自らの作品を引き上げていくと考えられています。

ディズニーのコンテンツは、絶大な人気を誇りますから、それがなくなってしまうネットフリックスにとって、大きな痛手となります。


苦しい立場に追い込まれるネットフリックス


私がディズニーの戦略担当者なら、他社のコンテンツの権利を買い取るようにします。

つまり、ネットフリックスオリジナル以外の作品はすべてディズニーで観ることができる体制を整えます。

こうなると、ネットフリックスはつらい。同社のサービスに加入する意味は、オリジナル作品を観るだけ、ということになってしまいます。

そんなこともあり、ネットフリックスは、オリジナル作品の制作に力を入れています。

現在、同社は85憶ドル(約9180憶円)をコンテンツ制作費に計上しています。ハリウッド映画でも100本作れる規模です。

良質なコンテンツが増えれば、会員の退会を食い止めることができるかもしれません。

それでも、ディスニーのコンテンツ群は強力です。

すでに確固たる世界観を持った作品群が多く、コアなファンがついています。これをしのぐ魅力を作ることは簡単ではありません。

こればかりは歴史的な蓄積がなせる業ですから如何ともし難い。

ディズニーは今回のサービスを開始する前に、スポーツ専門チャンネルや、ローカルなストリーミングサービスの運営を経験しており、技術的にも大きな問題はなさそうです。

となると、本気になったディズニーに太刀打ちするのはなかなか難しいということになってしまいます。


イマイチはっきりしないディズニーの戦略


もっとも、今回のディズニーの配信サービスは、ネットフリックスに比べて低価格に設定されています。

これは、オープン記念価格の意味合いでしょうかね。もともと儲かっている会社ですし、コンテンツも豊富なので、低価格でもやっていけるという余裕がなせる業でしょう。

安い価格設定ができるのはいいのですが、それがコンテンツ制作や仕入れに影響するとなると、残念です。いまのコンテンツの豊富さにあぐらをかいているということになります。

既に存在するディズニーオリジナルのコンテンツが観ることができる。というだけでは、コアなファン以外を取り込むのは難しいでしょう。

やはり、ネットフリックスなみの費用をかけて、他社の作品の配信権利を購入すべきですし、自社では独自ドラマを制作すべきです。

特に連続ドラマが必要です。動画ストリーミングサービスの醍醐味はドラマ一気見ですから、ここを充実させなければなりません。(←これは計画しているようです)

資金的背景でいえば、ディズニーの方が恵まれています。ネットフリックスは、毎年お金が足りなくて、それを借金で賄っています。どこかの国の財政のようですな。

体力勝負になれば、ディズニー、アマゾン、アップルが有利です。優位性を発揮できるところで戦うべきですよ。

それなのに、今の時点では、ディズニーは自社ファンだけを取り込めばいいと考えているように写ります。

独自路線をとるのがディズニーの特徴ですが、それにしても覇気がないと思えるのは私だけでしょうか。


新たな価値創造ができるのか


いっぽうのネットフリックスの戦略は、オリジナルコンテンツの制作ということで明瞭です。

同社の強みの一つは、世界展開をいち早く進めていることです。190か国以上で事業展開しています。

各地域の制作者の掘り起こしにも熱心です。日本でいえばアニメ制作に予算をつけて、オリジナル作品を作ろうとしています。

ネットフリックスは、ローカル作品といえども、世界展開することを基本にしていますので、そうした中から世界的なヒット作が生まれるかもしれませんし、著名な演出家や俳優が生まれるかもしれません。

同社の取り組みが、各地域のコンテンツ制作者を育成することにつながれば、それは文化的にも意義のあることですし、同社の地位の安定化にもつながります。

世界中で作られた作品が、一つのストリーミングサービスで観ることができて、しかも世界で受けるとなれば、これはディズニーにはないスケールの大きな価値創造だといえます。

ディスニーのコンテンツが画一的すぎてつまらない!と言われるようになるまで、ネットフリックスには、世界中の多様な価値観を背景にした作品群を生み出してほしいと思います。


アマゾンの取り組みは、もう少しラフです。各地域にけっこうな予算を配分しているようですが、著名人を起用しながらローカル展開にとどまっています。

日本人の作るものは日本で観られればいいや。という展開です。

アマゾンプライムの会員サービスなので、大きな方向性などなくていいという姿勢なのでしょうかね。

その場その場で対応するアマゾンらしい取り組みだとは言えますな。


このほか、アップルがどのようなサービス展開をするのかも未知数です。


ちなみにアメリカにおけるネットフリックスの視聴時間は、まだ10%程度(テレビ視聴時間の内)だといいます。いわゆる市場的影響シェア(10.9%)を超えるか超えないかというところで、これから存在感を示すシェアに入っていきます。

戦いはまだ始まったばかりです。

大いに競争して、ユーザーに恩恵を与えてほしいと思います。


《参考》





ぺんてるとコクヨ またかよ!?と言いたくなるお家騒動がらみの揉め事

ぺんてるとコクヨ


(2019年6月27日メルマガより)


文具大手のコクヨが、筆記具メーカーのぺんてるの筆頭株主になったというニュースが流れたのは、1カ月ほど前のことでした。

文具、筆記具ともに、将来性に疑問が残る業界です。

特に総合文具メーカーのコクヨは、国内市場が少子高齢化により先細りですから、危機感は大きい。

比較的海外展開が進んでいる筆記具メーカーの販路と営業ノウハウが欲しいはずです。

一方、ぺんてるとすれば、さらに海外展開していくための資金がほしいところ。

両社の思惑が一致した両想いの提携話だと思っておりました。


ところが、その後のニュースを見ると、雲行きが怪しいですね。

コクヨ側は、ぺんてるのことを「素晴らしい会社」と持ち上げていますが、ぺんてる側は(コクヨのやり方は)「一方的だ」と警戒感を隠そうとしていません。

いったい何があったというのでしょうか。


ぺんてるの「お家騒動」


ぺんてる側が、コクヨを警戒する裏側には、過去の「お家騒動」が絡んでいるようです。

ぺんてるは、筆や硯の卸問屋を祖にした会社です。戦後の1946年に、株式会社化され、筆記具メーカーとして成長していきました。

代々創業家の人が社長を務めてきましたが、2012年に3代目の社長が解任されてしまいます。

どうやら海外で豪遊したり、遅刻や欠勤を繰り返すなどよろしくない行状があったらしい。会社も業績不振で、放漫経営の責任をとらされた形です。

辞めさせられた創業家の前社長は、返り咲きを画策するものの、親族の支持も得られずに頓挫。

諦めた彼は、自分の持ち株を日系ファンドを運営するマーキュリアインベストメントに売却します。

もともと創業家直系の筆頭株主が売却したのだから、マーキュリアが筆頭株主になりました。

さて後を継いだのは、工場長などを歴任した生え抜きの人物です。この方の手腕があったのか、ヒット商品も出るようになり、業績は回復しました。

2018年3月期の連結売上高は409億円。

ここ数年の売上高は、どちらかというと横ばいですが、利益は出るようになっています。前社長が解任された当初、赤字続きだったことを思うと、順調にきたと言ってもいいのではないでしょうか。


だまし討ちのような売却


ぺんてるといえば、サインペンや筆ペン、ボールペン、シャープペンシル、消しゴムなどを扱う会社です。

最近では、絶対に芯が折れないという触れ込みの3000円もするシャープペンシルをヒットさせています。

ぺんてるに限らず、日本の筆記具専用メーカーは、ユーザーの期待の上をいく面白い商品を開発し、ヒットさせている印象があります。

その努力には、頭が下がります。


しかし、いま、順調だからといって、将来的に明るいわけではありません。

ペーパーレスの時代に、筆記具が今まで通り売れ続けるのか?と言われれば、危機感を抱かざるを得ないでしょう。

そこでぺんてるの現経営陣が、生き残りのために選んだ施策が、文具大手プラスとの提携だったようです。

ちなみにプラスは、連結売上高1772億円。コクヨに次ぐ日本2位の総合文具メーカーです。

1990年代には、文具通信販売のアスクルで一大ブームを巻き起こし、世間をあっと言わせたこともありました。(現在は、ソフトバンクグループに売却)


そのプラスとどのような提携をしようとしたのか、外部のわれわれに詳細はわかりません。

分かっているのは、筆頭株主であるマーキュリアが提携に反対したことです。

マーキュリアの言い分は「その提携でぺんてるの価値が上がるとは思えない」

ところが、ぺんてるの経営陣は提携を強行しようとします。

経営陣と筆頭株主の対立というのも異様ですが、この場合、両者の歴史が絡んでいるように思えるので複雑です。

すなわち、マーキュリアの背後にはやはり創業家である前社長の影がちらついているのでしょう。現経営陣としては、なるべく距離を置きたいわけです。

ぺんてるにとって不利だと言われる提携話でも強行しようとした理由の一端がここに見えます。

最終的にはプラスに資本を入れてもらって、筆頭株主を交替させるところまで考えていたのかも知れませんね。


慌てたのはマーキュリアです。せっかく筆頭株主になったのに、現経営陣は言うことを聞かない。

株を売ってしまおうにも、ぺんてるの株は、譲渡には取締役会の承認が必要だという制約があるので、簡単には売ることができません。

そこでマーキュリアが考え出したウルトラCが、投資ファンドそのものを他社に売却することでした。

ここで登場するのが、文具最大手のコクヨです。コクヨが、101億円を投じて、ファンドを取得しました。これで、間接的にですが、ぺんてるの筆頭株主に躍り出たのです。

ぺんてる側とすれば、プラスとの提携を画策していたところ、突然、筆頭株主にコクヨが登場したのですから、青天の霹靂です。だまし討ちみたいな売却劇ですから、納得できるはずもありません。


なぜコクヨはぺんてるを欲しがったのか


コクヨは、売上高3151億円、文具、オフィス家具を手掛ける日本最大手の総合文具メーカーです。

強者企業らしく、文具店、量販店などに鉄壁の販売・営業網を作り上げており、高度成長期には、文具業界の松下電器といった風格のある会社でした。

依然、営業利益率は5%以上を保っており、収益力が衰えたわけではありません。

が、少子高齢化の日本市場に根を張り過ぎたというのは、マイナス要素になってしまいます。

コクヨが今後、じり貧に陥らないためには、

(1)文具だけに頼るのではなく、オフィス内ソリューションにサービスを広げる

(2)オフィス商品に止まらず、飲食、ホテル、小売店などにサービスの幅を広げる

(3)強い商品を開発して海外展開する

といった方向性が考えられます。

いずれの方向にも先行企業が存在しており、文具の王者コクヨといえども簡単な道ではありません。

しかし、泣き言を言っていたら、生き残れるはずもありませんので、やっていかなければなりません。

その一環として、海外販路を持つ筆記具メーカーとの提携は、コクヨとしても是が非でも推し進めたい施策でした。


海外展開に弱いのは、プラスも同じです。日本市場で充分儲けられた時代が長かった総合文具メーカーの今の課題ですな。

これに対して筆記具メーカーは、商品の幅が狭いので、日本市場でいくら売っても限度があります。勢い、海外展開に活路を見出そうとします。

パイロット、三菱鉛筆、ぺんてる、ゼブラともに、海外販売比率が高くなっています。

株式市場も、海外展開姿勢を評価する傾向にあり、筆記具専用メーカーの株式時価総額は総じて高くなっています。

パイロットなど、売上高はコクヨの3分の1程度なのに、株式時価総額はコクヨを凌いでいるほどです。

株価は、企業の将来価値を表す側面もあるので、コクヨよりも、筆記具専用メーカーの方が将来性があると目されていると言ってもいいでしょう。


お家騒動をしている場合ではない


もっとも、筆記具専用メーカーの将来性がバラ色なのかと言えば、そうではない。

先に書きましたが、ペーパーレスが進む時代に、筆記具の需要が右肩上がりになるとは思えません。

筆記具専用メーカーは、今後、ペーパーレス時代の筆記具を開発するか、あるいは他の分野のビジネスを作っていかなければならないでしょう。

いわば、総合文具メーカーも筆記具専用メーカーも、これから二枚も三枚も殻を破らなければいけない立場にあり、崖っぷちの企業同士の苦肉の提携策です。

くっついたからと言って、化学変化が起きて、素晴らしいビジネスが立ち上がるなんて能天気なことは考えられません。

そんな状況なのに、お家騒動を引きずって、あの企業と組むのはいやだとか、あの人の影が見えるからダメだとか言っているのはいかがなものか。

そんな場合じゃないでしょうと言いたくなりますな。


記事を読む限り、ぺんてる側の拒否感はそうとうのものがあるようで、このままコクヨとすんなり提携するとは思えない状況です。

かといってプラスとの提携が格別の価値を生むとは、関係者も感じていないようです。

結局、戦略方向性を前提とした話ではなく、組織の維持や関係者個人の思惑が前面に出た騒動だということですな。

まったくもって残念なことです。


参考:



驚異の高収益企業キーエンスの理由

キーエンス
(2019年6月13日メルマガより)



キーエンスの勢いが止まりません。

2019年3月期の決算によれば、売上高5870億円。営業利益3178億円。営業利益率は、なんと54%です。

これは7期連続の最高益更新でもありました。

一般に製造業といえば営業利益10%もあれば、高収益だと謳われます。

優良企業と目されているオムロンで営業利益8.9%、高収益で知られるファナックでも25.7%です。

それなのに、コンスタントに50%以上の営業利益を稼ぐキーエンスは、全く以て規格外です。

そんなの従業員を安い給与で使ってるんじゃないの?と疑いたくなりますが、この会社、報酬が高いことでも有名です。

従業員の平均収入は2088万円とか。それだけの報酬を支払いながらどうやって利益を上げ続けているというのでしょうか。


高収益の理由は、営業力


キーエンスは、自動制御機、測定機器などを製造販売するメーカーです。現在の本社は新大阪にあります。

自動制御機や測定機器は、自動化された工場のラインで使用される機器です。今の工場は高度に電子化されていますから、それを制御するコンピュータが必要ですし、あるいは自動で不良品を検知する装置が必要となります。そのような機器を扱っています。

ただ同社が単に出来合いの機器を販売しているだけでは、他のメーカーとあまり変わらない収益しか上げられないでしょう。

キーエンスが得意とするのは、ソリューションを含めた販売です。顧客企業の状況に応じて、どれだけラインを効率化できるのか、不良率を減らせるのかを提案します。もし年間数千万円分の不良品を削減することができれば、少々高い機器を購入しても充分もとがとれると工場側は考えるはずです。

キーエンスがやっているのは、顧客企業の個別事情に応じた特殊製品の販売なのか?

と思ってしまいそうですが、そうではありません。

実は、キーエンスは自社で製造工場を持たないファブレス経営を実施しています。自社でやるのは商品の企画、設計のみ。あとは協力工場に外注しています。

そんな企業が、いちいち商品の個別カスタマイズなんてやっていたら、経費倒れになってしまいます。

だから基本的に同社は、個別カスタマイズには応じていません。既製品の販売のみです。


ますますわからなくなってきましたね^^;

既製品を販売して、それだけ高く売れるとはどういうことか?

しかも、製造は外注に依頼しているわけですから、ものすごく高い品質で勝負する会社ではありません。

ということは、(1)既製品でも顧客が「欲しい!」と思えるような商品を他社に先駆けて販売する。

あるいは(2)既製品を使って顧客企業の問題を解決するような高度な提案をしている。

ということになります。


高度な提案をするためには営業の能力が高くなければなりません。また、顧客が欲しがる商品を企画するためには、それだけ濃い情報を集めてくる営業の力が必要です。

簡単に言ってしまえば、キーエンスとは、むちゃくちゃ営業力のある会社だということです。


ソリューション提案営業


一般に製造業といえば、技術力、生産力で勝負しようとしています。営業力は二の次という会社が多い。

元請け企業がしっかりしていて、その営業力の傘の下で製造だけしていればいいという状況では、それが合理的です。

ところが、キーエンスがユニークなのは、早い時期から下請け仕事に見切りをつけ、直接顧客開拓する道を選んだというところです。

自分で顧客を獲得するためには、営業力が必要です。小さい会社であればなおのこと、会社の看板に頼らなくてもいいほどの強い営業力が必要となります。あげくの果ては、生産力そのものも外部の協力工場に出してしまって、営業力で勝負する方向性をとりました。

製造業なのに、営業力で勝負しているというのがキーエンスの特殊性です。


じゃあ、一体、キーエンスはどんな営業をやっているのでしょうか?

このあたり、同社はあまり情報を表に出さない会社のようで、詳細はよくわかっていません。

ただ同社の営業の方や元社員の方から漏れ聞くところによると、そこまで特殊なことをやっているわけではないようです。

年収2000万円超の営業というと、なにか魔法のような凄いテクニックを持っているような気がしますが、そうではありません。むしろ、ごく一般的な当たり前のことをやっています。

基本的には「ソリューション提案営業」を、きっかりとしたプロセスに従って実行するスタイルです。

解説が必要ですね。

ソリューションとは、問題解決のこと。顧客の悩みや問題が、自社商品を使用することで解消する、というストーリーの提案をするのが、ソリューション提案営業です。

例えば、顧客企業が、原因のはっきりしない不良品の発生に悩んでいるとします。ある一定の割合で不良品が出るのは、製造業として仕方のないことではあるものの、不良品が出ることで、顧客に迷惑がかかるし、無駄なコストもかかります。

できれば不良品は出したくない。しかし、精密機械を作っていると、目に見えない感じ取れないほんの小さな傾きや傷が致命的な不具合を導き出すことがよくあるもの。それは製品ができたのち、不具合が発生してはじめて不良品だったとわかる類のものです。

ところが、ここに、人間では知覚できない微細な異常を感知してくれるセンサーがあればどうでしょう。製品として組み立てる前に、不具合の種を取り除いてしまえば、不良品を世に出さなくて済みます。

優秀な営業は、工場の製造工程を子細に調べ、どの工程のどの部分にセンサーを設置すれば、最も効率的に不良発生を塞げるかを提案します。しかも、そのセンサーを導入することで、年間どれぐらいのコストを削減できるのかまで明らかにします。

もしそのセンサーの購入費用が、コスト削減効果より充分に低いならば、その製品を購入することに何ら不合理はありません。

このように、顧客の抱えている問題がどのように解消されるのかを中心に説明するのが、ソリューション提案です。

もし同じ性能のセンサーを販売するとしても、単に製品の性能を説明するだけでは「この製品を買うとどんな得があるのか」は、顧客に考えてもらわなければなりません。

高い買い物をするのに、わざわざ「何の得になるのか」を自分で考えて、上司に説明し、説得しなければならないのは大変な負担です。

そんな面倒くさいことをするならば、いちばん安いやつを選んで「安いので、これにしました」と報告すれば、上司からの厳しい追及もなく楽ちんです。


営業をパターン化


ソリューション提案なんてムヅイわ!という声が聞こえてきそうですか。かなり能力のある営業にしかできないことだろうと思われるかも知れません。

しかし、いまは、ソリューション提案営業を行うための手順設計が、相当程度、明確にされています。

顧客の絞り込み方

最初の接触方法

信頼関係の作り方

顧客の問題を聞き出す方法

提案のパターン

契約に至る交渉術

契約後のフォロー

に至るまで、パターンを作りこむことが可能です。

パターンやマニュアルがあれば、営業センスのあるベテラン営業でなくても、丁寧に着実にやっていれば、ソリューション営業ができるようになっています。

もちろん創意工夫が必要な部分はあります。ベテランになれば、できることの幅や深さが違ってくるでしょう。

それは仕方ないことです。新人営業は、なるべく経験を積み、上司の指導を仰ぎ、教育訓練を真剣に受けて、練達していかなければなりません。

その育成システムを含めてパターンです。

キーエンスは、営業プロセスの標準化とその習得のための教育訓練を徹底しているようです。


やり過ぎ感のある営業マネジメント


キーエンスの営業の方に営業の方法について聞いたことがあります。

聞き取れたのは、概ね、一般的な営業プロセスに従って行動しているということでした。

一般的な、というのは、リストアップ、アプローチ、ヒアリング、プレゼンテーション、クロージング、アフターフォローという流れのことで、あらゆる営業にあてはまるプロセスのことです。

キーエンスの社内資料として、営業プロセスを図示したものを見せてもらいましたから確かです。

その時は「案外、普通なんだなあ」と思った記憶があります。


ただし、それを実行させるための営業マネジメントに特殊性がありました。

いや、特殊、というのは間違いです。

営業活動のために、目標を決め、それを行動計画に落とし込ませ、フィードバックさせる。というのは、ごく普通のマネジメントです。

ただし、その徹底ぶりが特殊だと言いたくなるものでした。

一般に、営業は一か月単位で目標達成することを求められます。ちょっと厳しい会社は10日ごと、一週間ごとに管理されます。

が、キーエンスは一日単位です。

毎朝、営業各人が今日の目標を公表し、午後にはその進捗状況について説明を求められます。

もちろん、目標というのは売上や利益だけではありません。目標利益を上げるためには、営業として何をしなければならないのか、その行動目標が求められます。

例えば、顧客を何件訪問するのか、何人のキーマンと会うのか、新規の電話アポは何件するのか、提案書は何件出すのか、フォロー訪問は何件するのか。

見込み客は何件確保しているのか、仕掛りの営業案件は何件あるのか、その進捗状況はどうなのか。

最終的な利益を出すためには、そのための行動が必要です。どの行動が、利益に結びつくのかは、会社内のデータを解析すれば、かなりの部分出てきます。

だから、営業は無駄な行動を極力避けて、利益に結びつく行動をとるように厳しく管理されます。

それがキーエンスの場合、徹底し過ぎて、追い立てるというか、追い詰めると言いたくなるような厳しさで行われるらしいです。

ここだけの話ですが、私が話を聞いたキーエンスの営業は、かなり疲弊しているように見えました。

決められたことをこなすのに精いっぱいで、全体的な戦略や方向性を考える余裕があるようには見えませんでした。

その時思い浮かべたのが「能く士卒の耳目を愚にして、之くこと無からしむ」という孫子の言葉でした。(兵隊にはあれこれ考えさせないようにして、逃亡させないようにする)

キーエンスというのは、孫子の忠実な実践企業なのかもしれませんな。


別のキーエンスの元営業が「いい思い出などひとつもない」と言っているのを聞いたことがあります。

合理的なマネジメントも度を越せば、非人間的になっていくのかも知れません。

キーエンスの平均勤続年数は約12年だといいますが、燃え尽きてしまうのも無理ありませんね。

給料が高いというのは、それ以上の仕事がついてくるということみたいです。


生き残るためには営業の力が必要


ここまで追い立てるようなマネジメントは賛成できません。

が、やらなさ過ぎるというのも問題ですよ。

キーエンスの営業方法が好業績に結び付いていることは、確かです。

参考にできる部分は、大いに参考にしなければなりません。

顧客第一主義の徹底。営業のプロセス化、標準化、目標を行動に落とし込む方法、行動をマネジメントする方法。

いずれも理にかなっています。

繰り返しますが、キーエンスが特殊なことをしているわけではありません。むしろその仕組みは、営業の基本原則をとことんまで突き詰めた結果です。

やり過ぎ感はあるものの、その効果は実証されたと考えます。


中小製造業に営業の仕組みを導入することは、私の本業です。

「キーエンスの方法をあなたの会社に」と言えば、キャッチーすぎますかね。

縮小する市場で生き残るためには、営業の力が必要不可欠です。

今からでも遅くありません。どうか営業機能の構築を目指してください。



≪参考≫




日本電産に差し迫る危機

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メモ。平成30年間で、株式時価総額を最も上げたのは日本電産だそうです。69倍。驚異です。

同社はモーターを製造する会社です。永守重信会長がプレハブ小屋で創業した会社が、今や連結売上高1兆5200億円。営業利益1400億円です。

低成長の平成時代に、爆発的に成長したのはなぜか?というと、M&A(企業買収)を活用したからです。

なんと63社買収して、一度も失敗がなかったというのだから、こちらの方が驚異です。ライザップは爪の垢を煎じて飲まなければなりませんよ。

高値掴みをしない体制


日本電産がM&Aで失敗しない理由は、買収価格を極力抑えること、いわゆる高値掴みをしないことがまず挙げられます。

この点については、仲介会社の調査報告に頼らずに、自社の専門チームで企業価値を精査して、買収価格を適正に見積もる体制を整えています。

安く買う、というのは調達の基本ですが、M&Aなんてのは非日常的な取引ですからつい甘い算段で買ってしまう場合が多いようです。が、日本電産は、経験がめちゃ豊富ですから、そこでミスはしないのでしょうね。

(逆にソフトバンクは常に高値掴みしていますが、それでも利益を出しています。方法論が違うのでしょう)


永守会長の細かすぎる指示


M&A成功の秘訣のもう一つは、やはり買収後の経営です。特に1年以内。安く買える企業は、赤字体質であることが多いのですが、そんな企業でも、短期間で黒字化することにこだわっています。

その中心は、徹底した無駄の排除。。と言えば当たり前に聞こえますね。

ただし、徹底ぶりがすごい。永守会長は「マイクロマネジメントの権化」と言われているそうで、伝票は1円単位までチェックするとか。

もちろん買収先の会社には、腹心の幹部を送り込むのですが、その幹部に与える指示が半端なく具体的で細かくて、またそのフィードバックがしつこいらしい。

要するに、ぜんぶ永守会長がコントロールしているわけで、永守会長だから、これだけ成功しているということです。

ちなみに、販売面でも無駄な施策は徹底して省き、シンプルで現実的な「弱者の戦略」にしていくそうです。永守会長は、ランチェスター戦略という言葉は使っていませんが、著作などを読む限り、販売施策は、ランチェスター戦略そのままです。

ワンマン会社からそのワンマンがいなくなれば…


こうなると、気になるのが後継者問題です。

日本電産の体制を見ていると、やはり永守会長のワンマン会社であると思えます。だとすれば、会長が引退すれば、これを維持できるのだろうか。

永守会長は、今年75歳ということですから、かなり差し迫った問題です。

「将の能にして、君の御せざる者は勝つ」

とは孫子の言葉です。(謀攻篇)

将軍が有能で、君主があれこれ言わないのがよい。とは、日本電産の真逆のようですな。

経営トップがいちいち現場に口出ししなくてもいいような方向性や組織体制を持っていることが、生き残る強い組織である、とは真実であると私は思います。

そんな組織を作ってこなかった日本電産はこれからどうなっていくのか。

注視していかなければなりません。





地方のローカル鉄道が一周まわって最前列に出た?話

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メモ。遠州鉄道と静岡鉄道。どちらも中部地方を拠点とする私鉄です。すみません、私は知りませんでした。

その2社が、業績好調で両社とも過去最高益の決算だったとか。

しかもこの2社、表題にあるように、鉄道以外の部分で99%稼いでいるそうです。


鉄道会社は多角化が定石


遠州鉄道のグループ売上高は2138億円。静岡鉄道のグループ売上高は1762億円。

しかし鉄道事業の売上は、遠州鉄道が17億円。静岡鉄道が15億円。吹けば飛ぶような規模しかありません。

もっとも日本の多くの鉄道会社が鉄道一本で経営しているわけではなく、多角化しています。多いのは、沿線開発と絡めた不動産関連事業、小売店事業、レジャー関連事業などです。

つまり「鉄道に乗る理由を作る」ことで鉄道の需要を高めようとしてきた結果、鉄道以外のビジネスが大きくなったという事例が日本中にあります。

関西でいうと近鉄などは、鉄道以外のビジネスが多い会社ですね。

代替ビジネスを自ら手掛けるしたたかさ


ただ、遠州鉄道、静岡鉄道は少し毛色が変わっていて、稼ぎの中心は、自動車の販売です。

両社とも地元でトヨタの販売会社を運営しており、その儲けが大きくなっています。

要するに、鉄道の最大の代替品であった自動車のビジネスに乗っかって、会社を維持してきたわけです。

地元客に移動手段を提供するという理念を突き詰めてきた結果でしょう。こういう会社好きですね。生き残るための、なりふり構わぬしたたかさを感じます。これぞローカル企業ですな。

次世代移動ビジネスの最前線に?


ただ鉄道についても、手を抜かず、規模の小さなローカル路線なりに立派に経営しておられます。

記事では、鉄道も自動車も手掛けてきた経営体制が、MaaSの時代に資するのではないかと言及されています。

ちなみにMaaSとは、Mobility as a Serviceの略で、直訳すれば「サービスとしての移動手段」となりますか。電車、タクシー、バス、カーシェアをひっくるめて、移動する最適方法が一括で提供されることにより、ユーザーの利便性や、交通渋滞などの問題を解決しようという考え方です。

次世代の交通 MaaS

このMaaSは、IT技術やAIの活用を前提にしています。これから出てくる自動運転車や、有人ドローンなども範疇になってくるでしょう。

実証実験は、都市部で行うよりも、地方都市の方がやりやすいでしょうから、遠州鉄道や静岡鉄道が、MaaSの最先端企業になるという考え方もあり得ることだと思います。

まさに一周回って最前列に出た、みたいな話ですよ。

面白い観点だったので、覚えておきたいと思います。







キーエンスの営業はけっこう普通らしい

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キーエンスは、売上高5871億円。営業利益3179億円。営業利益率54%という常識外れの好業績を持つ会社です。

FAセンサーなど計測機器のメーカーですが、自社では工場を持たず、すべて外注でまかなっています。

競争力の源泉は、顧客が求めるものをいかに提供できるか、その一点にあります。だから営業力が鍵となります。


製造業はいいものを作っていればいい。営業なんていらない。とひと昔前の製造業者は言っていたものですが、実際には、いいもの=顧客が必要とするものが何かを理解するには、営業の力が不可欠です。顧客とじかに接している人間が有能であるからこそ、何が必要かを知ることができて、いいものが製造できるわけです。

それを体現しているのがキーエンスです。

だから我々営業コンサルタントにとって、実にいい事例となってくれます。

プロセスの標準化とその徹底


ただ、キーエンスの営業がよほど特別かというとそうではないらしい。あまりノウハウを表に出さない会社なので、わかりにくいのですが、記事にあるとおり、オーソドックスな営業をやっているようです。

営業プロセスをかっきりと作って、ノウハウを標準化し、全員で共有するというスタイルです。

あまり標準化すると創意工夫がなくなるという意見もありますが、実際にはそうではありません。むしろ、決まり事がある方が、その上の余地で工夫しますので、有効なノウハウや経験を蓄積することができます。

標準化した中での教育と実践、そのフィードバックを徹底しているのでしょう。

最近の営業本をみていると、むりやり”売り”を作るために変なノウハウを付加したり、自己啓発本の変形みたいなものが増えてきたので、嘆かわしい限りです。

実際の営業ノウハウは、当たり前のことを徹底することだとキーエンスは教えてくれています。

普通だからといって楽なわけではないようです


従業員の平均年収が2088万円だとか。それは仕事もきついでしょうな。

勤続平均が12年あまりということですから、従業員にとって居心地のいい会社ではないかも知れませんが、その分、”卒業後”の活躍も目立つことになっています。営業力は一生ものですから、きつい甲斐はあるはずですよ。

孫子は「間諜に高い報酬を支払わない国は亡びる」と言っていますが、キーエンスはまさにその教えを守っているかのようです。

※間諜とはスパイのことですが、情報をとってくる者=営業、だと私は捉えています。

キーエンスほど…とまでは言いませんが、すべての製造業は、営業力を強化すべきです。

特に小さな製造業は、営業なくして生き残れないと思いますよ。




「いいちこ」がアメリカ開拓に挑戦

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メモ。麦焼酎のいいちこを製造販売する三和酒造が、アメリカ開拓を進めているという記事です。こういう努力には全くもって頭が下がります。

いいちこといえば、癖のない口当たりのいい焼酎を業界に先駆けて開発し、全国展開したパイオニア企業です。

ただし全国展開に血のにじむような営業の努力があったのかというとそうではないらしい。基本的には問屋流通路に乗って展開していった模様です。

「下町のナポレオン」と言ったコンセプトや印象的なテレビCMはうまいと思いますが、やっていたことは広域戦、遠隔戦、総合戦、いわゆる強者の戦略です。

いい時代に展開できたんですな。

今はそうはいきません。競争激化していますので、パイオニアで強者企業といえども、営業力強化に努めなければなりません。

特に、アメリカ開拓という戦略には、強い営業力が必須です。

その様子が伺い知れる記事です。


同社がアメリカ進出したのは30年前だとか。進出というか、現地問屋と契約したということでしょうな。それだけでは展開は進みません。

海外では和食ブーム、日本酒ブームが起きたと聞いていますが、焼酎はその波に乗れなかったらしい。

そこで同社は、自らの営業力で開拓に乗りだした、つまり弱者の戦略(接近戦)に挑んでいるというわけです。

同社が進出の足掛かりにしようというのがバーです。

「サンフランシスコのバーでは小規模なメーカーの銘柄を多く置いており、それらを自由にアレンジするクラフトカクテルを提供するバー文化がある。ここであれば我々の焼酎のテストマーケティングにぴったりだと思った」

入り込みやすいところから入る、というのは市場開拓の基本ですからね。しかも、バーの特性に合わせた商品開発まで行っているので、意欲充分です。

ただ今の時点ではどの程度受け入れられるのかは未知数です。おそらく方針転換を強いられることもあるでしょう。仮説、見込み違い、修正、再挑戦の繰り返しが新規開拓営業活動ですからね。その意味で、テストマーケティングと考えた方がいいのでしょう。

こういう泥臭い営業活動をする会社が大好きです。頑張ってほしいものですよ。






プロフィール
komai 小

営業関連のコンサルティングをしています。
製造業や卸売業などの営業組織を強化する仕事を得意としております。

株式会社クリエート・バリュー代表取締役
NPOランチェスター協会理事
NPOランチェスター協会関西支部
NPOランチェスター協会認定インストラクター
中小企業診断士   販売士1級

コンサルタントになる前は、日本酸素株式会社魔法瓶事業部(現在のサーモス株式会社)で14年、営業担当をしておりました。
その時、廃業寸前の赤字だった事業部がわずかの期間で世界トップ企業になった経緯を体験したことが、経営コンサルタントになったきっかけとなりました。
当時、経験したことや見聞したことを物語風にアレンジしたのが、拙著『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』です。
面白い本なので、ぜひ読んでください(^^)

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