わたしは価値を創る

大阪在住の経営コンサルタントのブログです。

ファーストリテイリングが世界トップになる好機到来!

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ファッション業界の世界トップ、インディテックス(ZARAの運営会社)が苦しんでいます。

コロナ禍による売り上げ不振で、約500憶円の赤字に転落。

これを受けて、1000店舗程度を閉店するようです。そのうち300店舗がZARAということです。

ファッションチェーン全体が落ち込む


インディテックスの2020年1月期の売上高は、3兆4510億円。

2位のH&Mの2019年11月期の売上高は、2兆6767億円。

3位のファーストリテイリングの2019年8月期の売上高は、2兆2905億円。

アパレル異変、いよいよ「ユニクロ」がH&Mを抜いて「世界2位」へ…!

時期がバラバラで申し訳ないですが、要するにコロナ前に、3位のファーストリテイリングが2位を猛追している状況でした。

そこへコロナ禍です。

全てのチェーン店が多大な影響を受けて、大幅な売上減に見舞われています。

ECシフトへの好機


インディテックスは、店舗をある程度切り捨てたうえ、EC(電子商取引)にシフトすることで乗り切ろうとしています。

日本にZOZOがあるように、欧州でもオンラインに特化したアパレル店が台頭してきており、無視できない勢力となっています。

インディテックスとすれば、この難局を、ECにシフトするための好機にしようという考えでしょう。

ユニクロにとって有利な状況


ユニクロ擁するファーストリテイリングとすれば、H&Mを射程圏にとらえたと思っていたところ、コロナによる混乱です。

同社も赤字転落は免れないでしょうが、考えようによっては、一気に世界トップに躍り出るチャンスが来たといえるかも知れません。

上の記事が指摘していますが、ファーストリテイリングには、有利な状況がいくつかあります。

1.ユニクロが扱うのは日用品であり、コロナ禍でも落ち込みにくい。

2.ユニクロの主要市場はアジア、特に中国であり、比較的コロナのダメージが少ない。

無理に世界トップを狙わなくても…


もっとも、上の2つは、コロナ禍だけのことではありません。

アパレルの日用品化はますます進むと考えられますし、アジア圏の市場拡大も進むでしょう。

何もここで無理をして世界トップを狙わなくても、地に足をつけて成長すれば自然に世界トップを目指せるというものです。

むしろ、目先の名声を狙うあまり、EC化に後れを取り、時代遅れになることの方が、リスクです。

ここは、いったん足踏みをしたとしても、企業体質の強化、高度化をすべき時だと思う次第です。





新人諸君!! 「できる営業」になる50のコツ

できる営業になる



本書に書いてあることを身につけるだけで、あなたの営業としての人生は素晴らしいものとなる
本書には、新人営業が最初に学ぶべき営業の基本が、誰でもわかるように書かれている。読んだうえで営業現場に出ると、知識が現実とリンクするはずだ。正しい知識を持っていると、現場から正しく学ぶことができる。何もなしに現場に出るのとでは、成長のスピードが違う。

営業にはどんな現場にも当てはまる根幹がある。それをわれわれは基本と呼んでいる。基本は応用が利く。後進に伝えることもできる。基本を理解し、現場経験を積んだ営業は、どんな業界でも通用するだろう。


営業という仕事を人生の宝物にするために
営業に関わる仕事をする人は幸運だ。特に若いうちから営業という仕事ができることは、人生の宝物といっていい経験となる。たしかに営業は多様な能力が必要とされる仕事だが、一流といわれるようになると、他のどんな仕事についても成功するだろう。だから営業職に就いた人は自信を持ってほしい。君は、人生の成功の入り口にいる。

どうか本書を繰り返し読んで、充実した営業経験を積んでほしい。そして、立派な営業として社会の役に立つ人間になってほしい。


誠実さ
営業に最も必要な資質は「誠実さ」。それさえ忘れなければ一流になれる
営業は多くの能力が必要とされる職種だ。優秀な営業は、遺文の得意な部分を鍛え、伸ばすことで、自分なりのスタイルをつくり上げている。

しかし、1つだけ優秀な営業に共通する特徴がある。それは「誠実さ」だ。


営業の仕組み
安定した成績を残すには「営業の仕組み」が必要
優秀な営業の条件は、いい成績が継続することだ。1、2年の好成績ならば、勢いや幸運や現場のセンスで何とかなるかもしれない。しかし、5年、10年続けるためには、「営業の仕組み」の構築が必要だ。


営業プロセス
ダメな営業は、営業に手順があることをわかっていない
営業には段階がある。新人営業に多い間違いが、会ったばかりの顧客に自社商品のことを長々と説明してしまったり、言われるがままに金額を提示してしまったりすることだ。優秀な営業はプロセスの意味を理解している。




銀行が中小企業を経営できるのか?

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なかなか結構なニュースです。

後継者難などで廃業せざるを得ない中小企業は増えるばかりで、2025年の廃業予備軍は、127万社になると予測されています。

すわ、ここにチャンスあり!と小規模M&Aを仲介する会社が続々現れてきていますが、追いつきません。

そもそも、中小企業は、後継者さえ連れてくれば何とかなるというものでもありません。後継者が見つからないのは、引き継いでもうまくいきそうにない原因があるからです。

要するにややこしい面倒な案件が多いので、一山当ててやろうという考えのチャラい仲介会社では問題解決できないでしょう。

小規模M&Aは、金融機関が手掛けるのがいい


銀行側も、このまま企業が減って、取引相手がいなくなるとジリ貧です。

というか現在も、

日銀のマイナス金利政策の結果、集めた預金を貸し出しに回しても利益を生まない

という状態ですから、目の前の課題に取り組まざるを得ないというわけです。

本来、中小企業といちばん近しいのは銀行ですから、銀行が手掛けるのがいいのです。ジリ貧の銀行としても、再成長するための柱にしたいことでしょう。

経営人材を育成できれば、大きな成長産業となる


が、銀行側に、経営人材がいるのかといえばはなはだ疑問です。

誰か連れてくるといっても、限られた報酬しか払えないでしょうから、プロ経営者みたいな人は無理です。

ここは、銀行側が腰を据えて、事業会社を運営できる人材を自前で作るしなないのでしょうな。

10年仕事ですよ。

それも思い切って優秀な人材を、この分野に持ってこなければなりませんよ。

しかし、これが成功すると、銀行はまた大きな成長軌道に乗ることができます。

地方銀行や信用金庫とかに波及すればなお結構です。

頑張っていただきたいと思います。






孔子の教えは、なぜ簡単なのに伝えにくいのか?

孔子の教えは
(2020年7月9日メルマガより)


われわれ日本人が最も大きな影響を受けた書物は、といわれれば、疑いなく「論語」をあげます。

次の1万円札の顔である日本近代経済の父といわれる渋沢栄一公も、「論語」の熱心な読者でした。

明治政府の重要役人だった渋沢栄一は、産業振興を志し事業家として独立しますが、同僚から「卑しくも金儲けに目が眩んだのか」と侮蔑されたそうです。

しかし、渋沢は「論語には、金儲けは卑しいなどと一言も書いていない」と反論しています。

つまり渋沢にとって「論語」に書いてあることが規範になっていました。

いや、渋沢栄一が特別だったわけではありません。

子供の頃に「論語」を素読することは、江戸時代から明治期にかけて、教育のスタンダードでした。

だから論語の思想は、われわれ日本人の血肉になっていると言ってもいいでしょう。


いまでも、京セラの稲盛和夫さんのような人は、「論語」の忠実な実践者であると思えます。

例えば、次の言葉を聞くと、納得できますし、素直に感動します。

「嘘をつくな、正直であれ、欲張るな、人に迷惑をかけるな、人に親切にせよ。子供のころ、親や先生から教わった人間として守るべき当然のルール。そうした『当たり前』の規範に従って経営も行っていけばいい」

この「子供のころ、親や先生から教わった人間として守るべき当然のルール」という部分。われわれ日本人にとって、これは「論語」の教えるところにほかなりません。


人々が幸せに過ごすにはどうすればよいのか


「論語」は、いまから約2500年前に生きた中国の思想家、孔子の言行録です。

当時の中国は、大国、周が弱体化し、諸侯が勢力争いを繰り返す戦国時代でした。

古い価値観が崩れたため、諸子百家といわれる新しい思想家たちが多く活躍した時代でもあります。

その中でも、孔子が始祖となった儒家は、中国を席捲するほどの一大勢力となっていきました。


もっとも孔子は、それほどの大望を持っていたわけではありません。

貧しい庶民として生まれ育った孔子は、世事に長け、雑事を器用にこなす一般的な青年でした。

ところが、頭がよく文字が読めた孔青年は、古典を読んで、中国にも安定した幸せな時代があったことを知ります。

人々が心を安寧にし、幸せに過ごすためにはどうすればいいのだろうか?

孔青年は、乱れた世ゆえ、殺伐とした人々の気持ちを落ち着かせなければならないと考えました。

そこで、戦国の世に忘れ去られてしまった「礼」を復活することで、社会を安定させようとしたのです。


「礼」が人々に安定をもたらした


現代で「礼」というと、礼儀やマナーを思い浮かべますが、ここでの概念はもっと広く、しきたり、規範、ルールをも含んだ意味でとらえてください。

つまり、安定した時代の規範やルールを礼儀作法も含めて復活させようとしたのです。

この考え方は、当時の人々に新鮮に受け取られたようです。

なにしろ、戦国の世は乱れ、価値観も安定せず、何を拠り所にすればいいのかわからない時代です。

伝統に則った規範や作法は、人々の気持ちを落ち着かせたはずです。

さらに言えば、かつての王朝のしきたりや作法を忠実に再現することは、一種の正当性をも演出するものだったでしょう。

とくに武力で覇を成した者にとって、喉から手が出るほど欲しいのが正当性です。

いきおい孔子の名は聞こえるようになり、国の政治を任せようという諸侯も現れたほどでした。


形式的な「礼」など価値はない


もっとも、政治家としての孔子は大成しませんでした。

諸侯は、孔子の能力に頼もうとしたのではなく、孔子の名声を利用したいだけだったからです。

孔子のもとには、多くの弟子が集まりましたが、彼らも心から孔子の思想に共鳴した者ばかりではありません。

中には、手っ取り早く「礼」を学んで、有利な就職口を探したいという小利口な者もいたようです。

就職することを孔子が否定していたわけではありません。有望な士官の口を得た高弟をほめたりもしています。

しかし、孔子の本当の教えを学ぼうとしない者が多いのは、嘆かわしいことでした。


当然のことながら、昔ながらの礼儀作法やルールを守ったからといって、世の中がよくなるわけではありません。

大切なのは、なぜ、そのルールを守るのか、なぜその作法をするのか、という中身です。

人々が、その規範の意味を理解し、社会をよりよくする行動を自覚するから、よい方向へ機能するのです。

わけも分からずに、機械的に守るルールなど、孔子は否定しています。

孔子の学問とは、その規範やルールの意味をも学び理解することでした。


遠回りすぎて現実離れしている?


弟子の子路が「乱れた国を正すにはどうすればよいのか」と尋ねたのに答えて、孔子は「必ずや名を正さん」(名を正すほかはない)と言っています。

名を正すとは、形式(名前)と中身を一致させる、という意味です。

つまり、人々がバラバラに考えていることを統一させることと言っていいでしょう。

ある人は、その規範を家族間のルールととらえているかも知れませんが、別の人は村全体が共有すべきものだと考えているかも知れません。

ある人は、その行為が価値あることと思っているかも知れませんが、別の人は無駄な行為だと迷惑に思っているかも知れません。

ある人は集団のリーダーは自分だと考えているかも知れませんが、他の人は全く認めていないかも知れません。

そんな細かい行き違いがあれば、政治も法令もまとまりがなくなり、社会は安定しません。

まずは、それを正すことが先決だ、と孔子は言ったのです。

ところが弟子の子路は「まだるっこしい」(意訳)などと口走ってしまいます。

たしかに、孔子の言うのは正論だが、遠回りすぎて現実離れしているという意味でしょう。子路は、弟子の中でも、ずけずけ言うことで知られていますが、このくだりはなかなか辛辣で面白い。

さすがに孔子は「ばかもん。わからんことは黙っておれ!」(意訳)とやり返していますが、子路の指摘は一面の真実をついていると思います。


法治主義と徳治主義の併用


孔子の思想の弱点の一つは、効果を発揮するまでに時間がかかることです。

さきほど、礼は形式だけではなく、その意味が大切だと言いました。

しかし孔子なきあとの儒家たちは、いたずらに儀礼ばかりさせる面倒くさい集団だととらえられるようになっていきました。

孔子が望んで止まなかった平和(戦国時代の終わり)をもたらした秦の始皇帝は、孔子の思想ではなく、法による国家運営を説いた韓非子の思想を採用しました。

法による支配は、抜け道を探す卑しい連中があふれ出し、国家を危うくさせると説いた孔子の批判にも関わらず、大帝国秦は、ゴリゴリの法治主義国家となっていきます。

ところが、始皇帝なき後の秦は、一代で滅んでしまいます。

つけ刃的な法治主義が機能せず、孔子のいう通り「法の抜け道を探す卑しい連中」があふれたからでもありました。

そこで新たな国家の運営者は、あくまで法による支配を基盤としながらも、人々が卑しくならないためには、孔子の思想が必要だと判断しました。

孔子の考えを国家思想として採用したのが、漢です。

孔子の教えは、確かにまだるっこいかも知れませんが、時間をかけて浸透させれば、人々が自分でよりよい行いを考え、実践するようになります。

なにより孔子のいう「善いこと」とは、難しいことではありません。

「嘘をつくな、正直であれ、欲張るな、人に迷惑をかけるな、人に親切にせよ」というのは、特別な思想でもなんでもなく、本来の人間の善性に根差したものです。

いうなれば孔子は、生来の善性を高め、悪性を抑えよ、と言っているだけです。

実に簡単なことではないですか。

その簡単なことを、国家として奨励した漢は、約400年にわたって安定した国家を続けることになりました。

漢の後の国家も、法治主義と徳治主義の併用をスタンダードとすることを続けたため、その影響は中国のみならず、アジア全域に及びます。

もちろん中国に学んだ日本にも、その影響は及びます。

いやむしろ、文化大革命なるもので過去を否定した中国よりも、日本でこそ孔子の教えは根付いているといえるでしょう。


仁 義 礼 智 信


少し戻ります。

孔子は、「礼」は内面の善性と結びつかなければならないと考えました。

相手を思いやる気持ち、うそ偽りない気持ちが形になって表れたのが「礼」です。

しきたりや規範、ルールなども、すべて、よりよい社会を形作り、人々が幸せになるためにあるものでなければなりません。

だから、孔子は、まずは個人個人が自分に向き合い、よりよりことは何かを考え、実践することが大切だと考えました。

孔子がいう、人がその善性を突き詰めたところにあるものが「仁」です。

その仁とともにある秩序や道理が「義」です。

仁を形としてあらわしたものが「礼」です。

仁や義や礼を判断するもととなるのが「智」です。

仁をもととした人との向き合う基本が「信」です。

こうした善性を身につけた人のことを「徳」のある人といいます。


まあ、言ってしまいますが、孔子の思想の弱点のもう一つは、抽象的でわかりにくいことですな。

西洋哲学のような、明確な論理性があるわけでもありません。

孔子の弟子たちも「論語」の中で、「仁とは何ですか?」と繰り返し尋ねていますが、そのたびごとに孔子の回答が違うので、難解です。

孔子自身、あまりわかっていないのではないかという説もあるほどです。


一度、身につければ忘れない


もっとも孔子は、理屈としてわかることをあまり良しとせず、日々の実践を通じて身につけさせようとしていました。

先ほどの子路のような、いつも実践して身につけようとする弟子をことのほかかわいがっていました。

だから孔子の教えは決して大所高所からのものではなく、日常に根差した馴染みやすいものばかりです。

理解するのに時間がかかるというのは、一度身につけたら忘れにくいということでもあります。

「論語」の素読を繰り返したわが先祖たちから何代にもわたって常識だと教え伝えられてきたことですから、それがわれわれの心の基盤になっていても不思議ではありません。

われわれがいま「論語」を読んで感じる納得感や既知感は、それが既にわれわれの心性に根付いているという証左ではないでしょうか。


ただし、これを人に伝えようとすれば、なかなかに難関です。

わかりやすく伝えるためには、理屈か、事例か、ストーリーとしてまとめなければなりません。

このテーマは次回に持ち越したいと思います。

孔子のいう「仁」とはなにか?

「徳」のある人とは、どのような人か?

どのようにすれば「徳」のある人になれるのか?

コロナでも生き残る小さな事業の秘訣

コロナでも生き残る


(2020年6月25日メルマガより)


コロナ禍の消費動向


2020年4月の家計消費支出は、昨年より11.1%減。先月(3月)に比べても6.2%の減少となっています。

全国的に外出自粛要請が出ていた中なので、消費が落ち込むのは当然ですが、それでも恐るべき事態です。

10%以上の落ち込みなんて、消費増税直後にしか見られない事態です。しかも消費増税時は、駆け込み需要の後のギャップ込みですから、深刻度が違います。


特に減少幅が大きいのが「食品」「被服および履物」「交通費」「教養娯楽」などです。

細かくみると、

食品でいえば、外食、飲酒代。

被服でいえば、背広、婦人用スラックス

交通費は全般。特に航空機代、鉄道運賃。

教養娯楽でいえば、旅行費用、映画・演劇等入場費用、遊園地入場費用。

その他、女性の化粧品類も減少しています。


逆に消費増加しているのは、

食品でいえば、パスタ、即席めん。チューハイ・カクテルなど。

保健用消耗品(マスク、ガーゼ含む)

娯楽でいえば、ゲーム機やゲームソフトなど。

郵便代も増えています。



巣ごもり需要に対応したかどうか


要するに、巣ごもり時に必要なものは消費が増えて、必要ないものは減っているということです。

こういう消費傾向ですから、ビジネスにも影響が出ます。

飲食業は厳しい状態です。

鉄道や旅行・宿泊関連も大変厳しい。

映画館、劇場、スポーツ施設も軒並み休止状態です。

アパレル関連もダメです。

逆にドラッグストアやスーパーなどは好調です。

通販関連は好調で、宅配も大忙し。

ゲーム関連も軒並み好調。

ネットワーク関連も好調です。

すべて説明がつきます。


戻る消費、戻らない消費


市況により好不調がでるのは当然ですが、今回は極端ですね。

勝ち組業態、負け組業態なんて言い方をされていますが、そう単純な話ではありません。

経済というのは、すべてつながっているものですから、今は勝ち組だと思っているビジネスも、長期的には影響を受けます。

一時的な好調、不調よりも、もう少し長い目で見た方がいいと思います。

そう考えると、今は不調だけど、そのうち復調すると考えられるビジネス。復調が見込みにくいビジネスがあります。

例えば、鉄道などは、自粛があければ需要は必ず戻ります。

テレワークで、通勤が不要になる、なんてのは未だ一部にとどまるはずです。

近距離の移動に関しては、回復は早いでしょう。

観光関連は時間がかかります。特に壊滅状態のインバウンドは、海外からの観光客が計算できないので、けっこう長くかかるでしょう。

しかし、こちらもいずれは戻ります。来日客3000万人のレベルに達するのは数年かかるかも知れませんが、コロナ前の需要がそっくり消えてしまうということは考えられません。

航空関連も同じですね。今は海外渡航が制限されているので、どうしようもありませんが、移動そのものがなくなるということはありませんから、いずれは戻ります。

インバウンド関連に比べれば、国内需要が主流のスポーツ観戦や映画、劇場などの回復はもっと早いはずです。

今は、演芸もスポーツも無観客興行で開催していますが、ワクチンが開発される来年には、元通りになると考えます。


コロナに関わらず苦しいアパレル


逆に、コロナ禍が収束しても厳しいのが、アパレル関連です。

レナウンが破綻したことは記憶に新しいでしょうが、コロナが原因だったわけではありません。長年、綱渡りのような状況が続いていたのは周知のことで、コロナは幕を引く言い訳になったと揶揄されたぐらいです。

アパレル産業は、ユニクロなどのファストファッションの台頭で単価が下がり、構造的に規模縮小しているところでした。

いまはワークマンが機能性アパレルという分野を切り開こうとしています。こちらは長期的には拡大要因ですが、それ以上に旧来のアパレルの落ち込みに追いつきません。

だから旧来のファッションブランドは、コロナがなくても厳しい状況です。レナウンと同じく、終わりが早まったかなと言われても仕方ありません。


飲食業は、入れ替わりが進む


飲食業に関しては、需要は戻ります。

外食や飲酒需要が、なくなるなんてことはあり得ません。家飲みが増えた、zoom飲み会が楽しいといっても、一時的なものです。

ほとぼりが冷めれば、外食も飲食も元通りになるはずです。2メートル開けた接客なんて情けないこともなくなるでしょうな。

ただし、大きなチェーンはともかく、飲食店には零細企業や個人事業が多いですから、需要回復までもたないところもでてきます。

それでも需要は回復しますから、また新たな店が生まれます。もともと入れ替わりの激しい業界ですが、より新陳代謝が高まるといえます。


コロナ後の企業経営 生き残るコツ


産業は、新陳代謝が適切に進み、ある程度プレーヤーが入れ替わるのが健全な状態です。

なんていえば、あまりにも俯瞰的すぎて、冷たい意見かもしれませんね。

しかし、これは如何ともし難いものです。

市況が厳しければ、退場せざるを得ないプレーヤーが多くでますし、市況が戻れば、新規参入が増えるものです。

全員が生き残れるわけではありません。

ただし、生き残るプレーヤーには、それなりの理由があります。いわゆる生き残るコツのようなものです。

もっとも、切羽詰まってから取り組んでも手遅れかも知れません。普段から備えておくことが必要です。

いかに準備しておくことが大切か。なんて言うと、当たり前すぎてスルーしてしまう人が多いのですが、これは本当です。

結局、当たり前の準備を疎かにしない。この一見平凡なことができる人が非凡な経営者ということなんでしょう。


どんなビジネスにも寿命があることを知る


緊急時に必要なのは、なにより柔軟性です。

小さなビジネスに取り組んでいる人は、自分の事業が永続するなんて幻想を持ってはいけません。

どんな需要も数十年で枯れてしまいます。小さなビジネスほど短い。大成功したと思っても、数年で潮目が変わります。

需要は、移り変わるのが普通だと思っていてください。

だから小さなビジネスで生き残るためには、需要の動向を見極めて、市場に変化があれば焦点を変える、市場が枯渇すれば撤退する準備をしておかなければなりません。

日本には優秀な部品工場が多いといわれています。ネジ1本、ばね1つに特化して技術を磨き、オンリーワンとして存在しているので生き残っているというイメージがあるかも知れませんが、実際には、ニッチに君臨したからといって長生きできるわけではありません。

生き残る企業は、もてる技術をいかに柔軟に応用するか、日々考えています。

いくつかの分野にタネを撒いて、苗木を育てておき、主力ビジネスに陰りが生じた場合、いつでも移行できるように準備しています。(たとえば村田製作所)

そういう心構えがあれば、コロナ禍においても無用に慌てないはずです。


代替がきかない商品を持つ


これも当たり前すぎてスルーされそうですが、唯一無二の商品やサービスがあれば、見捨てられません。

だからといって、オンリーワンの商品やサービスを作ろうと必死になっても徒労に終わること大です。

商品づくりだけに必死になってはいけません。

むしろ重要なのは、顧客を見つけ、接触し、強い結びつきをつくることです。

ものすごく簡単に言ってしまうと、自分だけが見つけたニッチ市場で、圧倒的なナンバーワンになることができれば、唯一無二となります。

できれば、他社が手を出しても儲からないぐらいの圧倒的なシェアを得るか、あるいはニッチすぎて他社が手を出してもメリットがないような市場を見つけることです。

それがいわゆるオンリーワンです。

誰もが目を付ける大きな市場で、いくら商品差別化しても、すぐにマネされてオンリーワンなんかなれないことを知っていてください。

唯一無二になるためには、商品開発よりも、市場のチャンスを見つけること、確かな顧客を把握すること、販売チャネルを確保することが、重視されます。(ぜひランチェスター販売戦略をマスターください!)

ただし、唯一無二になったとしても、永続できるなどという幻想は抱かないようにしてください。


顧客との関係を作る


コロナ禍において、老舗の料亭が宅配弁当をはじめて業績を伸ばしたり、卸売業者がオフィスの除菌ビジネスを立ち上げて盛況だったりしたという話をちらほら聞きます。

飲食チェーンでも、持ち帰り体制が充実しているマクドナルドは業績を落としていないそうです。

いざというときの柔軟性が重要だということを先に言いましたが、確かに、コロナ禍の難局を乗り切った企業は、柔軟な才覚と対応に優れていると見えます。

しかし、ただ単に、飲食店が宅配を始めたり、新規ビジネスを立ち上げたりして必ずうまくいくというものではありません。

ビジネスが成功する前提には、応援してくれる顧客がいるということを忘れてはなりません。

なんていうとまた当たり前すぎてスルーされそうですが、忘れがちなんですよね。

老舗の料亭の宅配弁当事業が成功したとすれば、その弁当を宅配でもいいから食べたいという顧客がいるからです。

除菌ビジネスを立ち上げて事業が成り立つのは、それを利用しようという顧客とのチャネルがすでにあるからです。

つまり、普段から顧客との関係を作っておかなければ、柔軟な対応も才覚も意味がないということです。

単にお店を開けて、来てくれるお客さんにサービス提供しているだけでは、いざという時の顧客基盤ができているとは言えません。

長くなるので、詳しいことは今回は書きませんが、たとえば、こういう弁当屋さんがあるので、参考にしてください。



財務基盤


とくに飲食業。

2カ月程度の休業で破綻するとか閉店の危機とか言っているのは、財務基盤がぜい弱すぎますよ。

私は仕事がら実態を知っていますが、小さな飲食業の多くが、未だにどんぶり勘定で平然としています。

ベテラン経営者という人が「長年の経験で、経理なんてなくても、どれぐらい売上があれば事業存続できるかすぐにわかる」と自信満々に言っているぐらいです。

まあ、はっきり言って、計数部分を厳格にするだけで頭一つ抜け出せる緩い業界だなあと思いますよ。それがコロナ禍で露呈したわけですな。

今回、わかったのは、現金を持つことの大切さです。

とくに小さい事業は、需要の不安定さの影響を受けやすいものですから、現金を余分に持っておくか、あるいはいざという時に調達できる算段をつけておかなければなりません。

どんぶり勘定なんてもってのほかですよ。


常に危機対応だと考える


今回のコロナも秋冬には第二派がくるそうじゃないですか。

それだけではありません。今回のような感染症のリスクは常にあります。100年に1度の危機が、また数年後に起きないなんて誰にも言えませんからね。

だとすると、我々は、危機対応を常態化しなければならないということです。

といっても、不安定さの上に立つ小さな事業は、常に危機状況にあるようなものです。

自分の事業が永続するなんて幻想を抱かない。

勝てるニッチ分野をいくつも見つけて、攻略する、あるいはその準備をしておく。(ランチェスター戦略を学ぶ)

顧客との接触方法を複数持ち、つながりを深めておく。

計数関連を厳格にして、現金を持つ、あるいは調達する手段を確保する。

日本電産が暴露「テレワークは生産性が低い」

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コロナ禍により、テレワークの導入が進んでおり、一部企業では「生産性が上がった」「仕事がやりやすくなった」「働かないおやじがあぶり出された」などポジティブな声が聞こえていましたが、実際には、生産性は大幅に下がるというのが、製造業の実感だと思います。

日本電産さん、よく言ってくれました。

なにせ「日本電産がダメならみんなダメだろう」と言われる優良企業のいうことですから、仕事内容の洗い出しが甘いとかそういう問題ではありません。

永守会長の言う通り
欧米などに比べて日本では住宅事情などがテレワークに適していないことが理由で、作業スペースの確保やオンライン・ツールの支給など環境整備が重要
という物理的な理由でしょう。

将来的には、住宅デザインの変化が求められますし、直近では、郊外駅近のサテライトオフィス開発が進むでしょう。


会見では
「今回のコロナ禍によってどれだけ余計な在庫を抱え、固定費が掛かっていたのかを見ることができた」とし、在庫管理の改革や固定削減を進める考えを示した。
ということで、課題を見つけられたそうで、転んでもただでは起きない同社らしいですな。

顧客訪問以外の営業手段の追求が必要


また日本電産といえば営業に強い企業でもあります。

特に、顧客訪問意識が強く、業績を上げるには顧客のもとへ行け、という単純で強力な姿勢を貫いている企業だと記憶しております。

もちろん、コロナ後には、訪問件数重視が復活するのでしょうが、この1年は、訪問以外の強みを磨かなければなりません。

訪問以外の接触手段の追求、提案構想力、プロセス管理の徹底など。

思えば、営業は、顧客訪問に頼りすぎたのかもしれません。

そういう意味でも、日本電産の営業変革に期待する次第です。





いきなり!ステーキが、危険な局面に?

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いきなり!ステーキに関しては、毀誉褒貶がジェットコースターの如しです。

2019年12月末時点で493店だった国内店舗が、2020年5月末は414店にまで減少。今年に入ってから79店舗を閉店したことが、5月の月次動向の数値から明らかになりました。

6月には11店舗を閉店する予定で、今年になってから2割弱減となります。

新型コロナの影響も大きいですが、それだけではありません。それ以前から、業績不振が伝えられていました。

いきなり!ステーキも人口減少の局面には贖えないのか

株価もさえません。2年前に5000円台だったペッパーフードサービスの株価がいまや500円台です。(3年前には8000円台をつけたこともあります)

株式市場は、もはや伸びしろなしと判断しているようです。

つくづく、飲食チェーンというのは、出店拡大している時に売り買いしておくべきですな。

営業キャッシュフローがマイナスに


実際、ペッパーフードサービスの業績は、いきなり!ステーキの効果で、直近の決算まで右肩上がりです。675億円(2019年12月期)

ところが、2018年から2019年にかけて勢いは鈍化し、利益はマイナスです。

2019年に関しては、営業キャッシュフローもマイナスになるほど落ち込んでおり、切羽詰まっている状況がうかがえます。

勢いにまかせて拡大しすぎたつけが、ここにきて現れているということでしょう。

売上は大きいが利益が薄い事業が右肩下がりになると厳しい


ちなみに、同社は主に、いきなり!ステーキと、ペッパーランチを展開しています。
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※いきなり!ステーキは直営店が多く、ペッパーランチはFCが多い。またペッパーランチは海外店舗が多いので、極端な数字になっていますが…

つまり、同社にとって、単価が高く売上効率がよいのは「いきなり!ステーキ」です。同社とすれば、こりゃいいわと一気に店舗拡大したのですが、いかんせん利益率が低い。立ち食いで回転数で勝負する店なので、利益が低いのは当然なのですが、売上のわりに儲からないので、単価を上げたくなるのでしょうな。しかし、値段が上がると当然、割高感が出てしまいます。割高感が出ると、客足が落ち、売上が下がります。

もともと利益率が低いので、売上が下がると赤字になるのも早い。店舗数が多いだけに、赤字基調になると反転は難しいものがあります。

やはり店舗を拡大する際には、もう少し慎重にならなければだめでしたね。

仕入先社長から20憶円借り入れ??


気になるのは、仕入先社長から20憶円借り入れたというニュースです。

ペッパーフード、食材仕入れ先社長から20億円借り入れ

銀行から借りずに、仕入先社長から借りるというのも奇妙です。

これに、比較的堅調なペッパーランチ事業を切り離すというニュースもありますから、

ペッパーフード、6月に新会社

何か、よからぬことが起きるのではないかと勘繰りたくなりますな。





経営者は「貞観政要」を読みなさい

貞観政要を読みなさい


(2020年6月11日メルマガより)

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今回も著名な古典を紹介します。


貞観政要 (ちくま学芸文庫)
呉兢
筑摩書房
2018-01-26



自粛期間中、読んだ本です。

前回は「君主論」を紹介しましたが、こちらも「帝王学」を学ぶ際には必ず名前のあがる名著です。

中国の歴史上、もっとも安定した治世であったといわれる年代の皇帝と臣下のやりとりを記録したもので、ためになるだけではなく、面白い本です。

当時の皇帝・太宗は、武勇に優れた人でしたが、政治は苦手だという意識がありました。そこで、謙虚に学び、広く教えを乞おうとしました。

そのやりとりが、この本には書かれています。

太宗という人は決して完璧ではありません。

しばしば初心を忘れ、謙虚さを失い、わがままをしてしまいます。

それでも臣下に指摘されると反省し、襟を正そうとします。

その繰り返しが、この本のすべてだと言っていいでしょう。

中国古典版「チコちゃんに叱られる」ですな^^

リーダーの心得、学び方、身の修め方、裸の王様にならないコツ、組織作りの秘訣など、経営者必読の内容ばかりです。

今回は、そのエッセンスを紹介いたします。

どうか最後までお読みください。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「帝王学」の古典として読み継がれているのが、「貞観政要」です。

ここ数年、ブームになっているので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。


「帝王学」の代表テキスト


「貞観政要」とは、いまから1400年頃前に活躍した唐の皇帝・李世民の言行を記録したものです。

(貞観とは、その治世の年号のことで、627年から649年。貞観年代の政治の要諦という意味です)

1400年前といえば、日本では飛鳥時代、遣唐使を送った頃です。

唐は、約300年続いた大帝国で、その礎を築いたのが、二代皇帝の李世民(太宗)です。

安定した国家の繁栄を演出した名君として知られる太宗の政治姿勢は、その後も永く理想とされてきました。

中国はもとより、日本でも、歴代天皇に献上されたことが記録に残っています。

また、北条政子、徳川家康といった時の為政者にも、大きな影響を与えたといわれます。

まさに日本で「帝王学」といえば、この本のことを指すのです。


兄弟殺しの悪名


太宗(李世民)は、唐を建国した李淵の次男です。武勇に優れた人で、各地の群雄を平定し、唐の領土的基盤をもたらした功労者です。

ところが、その武功を妬んだ長男(皇太子)と三男に命を狙われたために、策略をもって返り討ちにし、さらには、事態を黙認していたと思しき父親から皇帝の座を奪い取りました。

「兄弟を殺し、父を追いやった」ことが、太宗の治世に影を落としました。

権力争いは世の常だとしても、肉親殺しは、やはり悪名です。

中国は、記録社会です。皇帝とはいえ、いいことも悪いことも、すべて記録して後世に残すのが中国の伝統です。

だから、太宗の悪名は、後世に伝えらえることになります。実際、「貞観政要」の中にも、過去の評判の悪い皇帝の話が、軽蔑とともに語られています。

そうなりたくない、と思うのが人情でしょう。

汚名をそそぐためには、それ以上の善政を施すしかありません。

そんな太宗の涙ぐましいまでの努力が、彼を後世にまで伝えられる名君にしたのだから、歴史とは面白いものです。


諫言を受ける仕組み


太宗が倒した兄の重臣に魏徴という者がいました。

太宗はこの者を呼び出し「なぜ兄弟が離間するようにそそのかしたのか!」と詰問しました。

物語でいえば、魏徴にはでかい死亡フラグが立っている状態で、絶体絶命です。

ところが魏徴は少しも悪びれず「皇太子が私の言葉に従っていれば、今日のような悲運はなかったであろう」と言ってのけました。

いわば、自分が仕える者の利益を図るのは当たり前だという宣言です。

これを聞いた太宗はいたく感心し、魏徴を許したばかりか、自らの重臣としてとりたてました。

歴史上の偉人には、こういう器の大きさがあるものです。


魏徴に与えたのは諫議大夫という役職です。諫言(かんげん)をする大臣です。

要するに、耳の痛い忠告や警告を皇帝になす役割です。

忠義に厚い魏徴は、この役割を見事全うしました。

「貞観政要」には、魏徴をはじめ、重臣たちが忌憚のない意見を太宗になし、反省を促す様子が描かれます。

ふつう、権力者の周りには、イエスマンばかりが集まって、裸の王様にしてしまうものです。

耳に心地よいゴマすり言葉を遠ざけるのは至難の業です。最初は気を付けていても、いつの間にか、上に立つ者の孤独につけこまれ、プライドをくすぐられて、客観的な視点を失っていきます。

ところが、太宗は、重臣たちに諫められ、反省することもしばしばです。

およそ皇帝らしくないカッコ悪い姿でしょうか。

そうではありません。

魏徴は、明君は広く多くの意見に耳を傾けるが、暗君はお気に入りの臣下の言葉しか聞かないと断じています。

中国の歴史をみても、国が亡ぶときには、巧言を弄して君主を囲い込もうとする奸臣と、まんまと取り込まれてしまう暗君がセットで登場するものです。

太宗は、ことのほか、暗愚になってしまうことを恐れた人でした。

だから実に多くの臣下の意見を聞き、耳の痛い諫言をも受け入れるように努力していました。

「貞観政要」は、そうした臣下の諫言と、それを聞いて反省する皇帝の記録といっていいでしょう。

我々は、その体制を貫いた太宗の聡明さと度量の大きさ、暴君化を阻む自律心の強さに驚き、名君とはこういう人かと学ぶわけです。


リーダーには「徳」がなければならない


太宗にとって、その治世は歴史との闘いでもありました。

先に書きましたが、中国には記録の伝統があります。いいことも悪いことも記録するのが、歴史に対する責任であると考えられていました。

スタート時に兄弟殺しの悪名を着た太宗は、歴史の評価をいたく気にかけていました。

臣下に対して「自分自身の反省に役立てたいので、記録したものを見せてほしい」と頼んで断られる場面があります。

あげくに「記録を差し止めたとしても、天下の人々の目はごまかせませんよ」と諫められる始末です。

こうした赤っ恥も記録されてしまうのが歴史です。

そんな太宗だから、自分自身が謙虚に学び、身を律していこうと努力していました。だからこそ臣下の諫言も素直に聞くことができたのでしょう。

自らの身を修め、正しい人間であることが、国を治めることにつながる。というのは、儒教の考え方です。

儒教の祖である孔子は「徳をもって統治する」ことを勧めました。

「貞観政要」の中でも、魏徴により「君主の徳」が説かれています。

「徳」なんて曖昧なもので、国が治められるわけないやろ!と突っ込みたくなるのが、現代の感覚でしょうかね。

気持ちはわかります。

しかし、山本七平の「人望の研究」などを読むと、儒教的な徳が、いかにわれわれ日本人の心性に溶け込み、規範となっているかがわかります。

われわれが感じる「人望のある人」とは、儒教的な「徳のある人」とほぼイコールです。

さらにいうと、日本人の考える「徳ある人」は、西洋に出ても、人望を得ることがわかっています。明治期、海外に出た日本人が得た評価がそれを示しています。

つまり「徳」とは洋の東西を問わず、普遍的な価値を持つものだということです。

われわれが、統治者やリーダーに「徳」を求めるのは、自然なことであり、統治者が徳を持つことは、その統治に大きな助けとなるものです。

「貞観政要」には、君主の徳として「十思」「九徳」が提示されています。具体的な内容は、こちらの本をお読みください。



巨大国家を運営する仕組み


とは言いながら「徳」だけで国が治まるわけではありません。

秦の始皇帝も、漢の高祖も、国の統治に活用したのは、ピラミッド型の組織体制と体系的な法運用でした。

始皇帝は、法術の大家「韓非子」が唱える法活用を高く評価し、国の統治に取り入れました。その法体系を運用する前提となったのが、中央集権的な郡県システムです。

官僚制の始まりといわれる郡県制こそが、広大な中国全土を統治するために必要不可欠なものでした。

もっとも秦の郡県制と法制度は、厳しすぎ、非人間的過ぎたのか、各地で機能不全を起こしてしまいました。

そこで秦の後を継いだ漢は、いくぶんマイルドな郡県制と法体系を施行しました。その際、同時に採り入れたのが儒教の思想です。

礼節を貴み、上下関係を重んじる儒教の教えは、治安を安定させるには好都合だと判断されたのでしょう。

ちょっとうがった見方かもしれませんが、民衆には徳を求めさせ、官僚には法制度を厳格に運用させ、国家は軍事力を背景として外敵を駆逐し反乱を抑え込む。これが中国の国家運営です。

この運営は見事に機能し、漢は約400年続く長寿国家となりました。


「できる人に任せる」極意


前回のメルマガで紹介しましたが「君主は道徳を守るふりだけしていればよい」とぶっちゃけたのは「君主論」マキアヴェリです。

マキアヴェリは「道徳を守るよりも、国を守れ!」と言いたかったのであって、とくだん悪虐だったわけではありません。

その点、太宗は軍事力を背景に皇帝の座についた人です。軍事的に国を守る手段は充分に持っていました。

しかし、それだけで国を安定させることができないことも理解していました。

太宗は皇帝の座につくと「草創(創業)の時代は終わった。これからは守文(維持)だ」と宣言します。

そして「私は政治のことは何もわからないので勉強したい」と言って、古典を読み、側近たちに教えを乞うようになりました。

なんとも殊勝な皇帝ではないですか。

太宗の方針は、大胆なほどの権限移譲でした。

「自分はたいしたことができないので、余計な口出しはせずに、できる人に任せる」と言って、臣下に任せてしまうのです。

この「できる人に任せる」というのが、キモです。

結局、組織を動かすのは人です。適材適所が郡県制度運営の要諦です。

「できる人」がいれば、信頼して任せてしまう。これを徹底し、多少の失敗や瑕疵には目をつぶり、できる部分だけを評価すると言いました。

なにしろ太宗は遠い地方の役人の動向にさえ心を砕くような人でした。そんな人が、短所には目をつぶると言っているのですから、相当、自分を抑えていたことでしょう。(抑えきれずに文句を言って、魏徴に「短所は大目に見ると言ったはずです」と諫めらる場面もあります)

その分「できる人」を見つけることには熱心です。太宗は、国中からできる人を見出すように指示していました。

臣下の者が「なかなか人材がいません」と愚痴ろうものなら「探し方が足らん」と叱責しています。

その際の人材を判断する基準がなかなか興味深い。魏徴は「いまは乱世ではないので、能力よりも人格を重視すべし」と進言しています。

なぜなら「能力のない善人なら仕事が滞るだけで済むが、能力のある悪人は計り知れない害悪をもたらす」からです。

そんな方針の政権ですから、君主が勝手なことをしていいはずがありません。

太宗は「人民は君主に感化される」「君主が身を正さねば民衆は安心できない」「人民に誠実でなければならない」とことあるごとに言って、自らを戒めています。

やはり組織は、リーダーの器以上のものにはなりません。

できる人に任せてしまうと、リーダーは楽ができるような気がしますが、実際には、身を正し、人徳のある人になるための修練を続けるという仕事があります。

人格修行には、終わりがありませんから、けっこう大変です。


名君と名臣 ここにあり


「貞観政要」を読むとわかりますが、太宗は決して完璧な人ではありません。

自分で言ったことを忘れて、臣下に諫められることしばしばです。

しかし、太宗には、部下の諫言を素直に聞いて反省すべきところは改めよう、広く意見を聞いて偏見のない心でいよう、人の上に立つ者は欲望に負けず公正でいよう、そんな心掛けを持ち続けた人でした。

そんな人だから、臣下に敬われ、民衆に慕われたのでしょう。

太宗が統治していた貞観年間は、中国の歴史の中でも、ひときわ安定し、幸せな時代だったといわれています。

そんな太宗も、晩年には気のゆるみが生じ、無駄な贅沢やわがままな行動が目立ち始めました。

そんな太宗を諫めたのは、やはり魏徴でした。「処刑されても構わない」という覚悟で書いた上表文には辛辣な言葉が並んでいます。

それを読んで太宗はこう言っています。

「あなたが指摘してくれた過失を必ずあらためよう。そして、有終の美を成し遂げよう。あなたの言葉は強く、人として正しいことをいっている。そこであなたの言葉を屏風に仕立てて、朝夕に仰ぎ見ることにした。1000年あとの者が、君主とその臣下の間にある義を知ってほしいものである」

名君と名臣ここにあり。1000年どころではない不滅の輝きがあると思う次第です。


参考

貞観政要 (ちくま学芸文庫)
呉兢
筑摩書房
2018-01-26


帝王学 「貞観政要」の読み方 (日経ビジネス人文庫)
山本 七平
日本経済新聞出版
2001-03-01








Zoomは、身売りせずに生き残れるのか?

00


Zoomといえば、コロナ禍により最も注目を集める企業です。

新型コロナウイルスの感染拡大による外出制限を受け、ズームのビデオ会議サービスは利用者が急増した。4月にはピーク時に、1日当たりの会議参加者が3億人に達したという。

3億人というのは大きな数字です。

売上も拡大しており、2.7倍ということです。

Zoom売上高2.7倍 2〜4月、ビデオ会議利用増

大したものですねー

意外に小さな売上規模


と思っていたら、2020年4月〜6月期の売上高は、3億2816万ドル(約360億円)。通期見込みでは、17億7500万〜18億ドルだとか。

1ドル110円だとしても、1980億円MAXの見込みです。この程度なんですね。

Zoomが、この騒ぎの前は、小さな新興企業の一つだったことがわかります。

ユアンCEOもまさかここまでブレイクするとは思っていなかったのでしょうね。基本無料で使用してもらい、少数の有料会員の課金で稼ぐビジネスモデル(いわゆるフリーミアム)なので、注目度に比べて小さな売上高となっています。

今後、セキュリティを高度化した企業向けサービスなどに進出していくのでしょうが、急がなければなりません。

超巨大企業が市場を狙う

というのも、アメリカのITエスタブリッシュメント企業群が、ビデオ会議システムに目を付けています。

比べるのは酷かも知れませんが、アマゾンは売上高2805億ドル(30兆8550億円)、アルファベットは1618億ドル(17兆7980億円)、マイクロソフトは1258億ドル(13兆8380億円)です。

こうした巨大企業群が、急ピッチで追撃体制を整えようとしています。

ビデオ会議 市場争奪 アマゾンとスラック提携 マイクロソフトに対抗

Zoomは、ビデオ会議というニッチ市場では、頭一つ抜け出した存在ではありますが、いかんせんGAFAとは、体力が桁違いです。

いまのところ、Zoomは身売りせずに成長することを目指すそうですが、果たして現実的な話なのだろうか、と思ってしまいます。

ZoomのユアンCEOが目標とするフェイスブックの売上高は707憶ドル(7兆7770億円)です。

フェイスブックは、誰もが身売りするだろうと予想する中、耐え抜いて、GAFAの一員となった企業ですからね。

Zoomも生き残れるか、注目です。




街の弁当屋さんのすごいプロモーション

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いろいろと興味深い記事です。お勧めします。

東京亀戸にある「キッチンDIVE」のお話です。どの地方都市にもあるような街の弁当屋さんです。

ところが、こちら、24時間営業で、1日500人が訪れるとか。5月の売上高は、1300万円超だというから大したものです。

SNSプロモーションのお手本


こちらの店長さんは、お店を親から引き継いで10年目だとか。店長と呼ばれていますが、ほぼオーナーポジションなんでしょうね。たぶん。

この伊藤慶店長が、大変なやり手です。

商品開発のアイデアマンであるだけではなく、ツイッターやYoutubeを駆使したプロモーション方法で、これだけの成果を出しているようです。

まさに今のプロモーションのお手本を見るようです。

理想的なプロダクトミックス


まず商品。店前には「毎日満足200円弁当」の看板があり、激安であることがわかります。

そうかと思えば、「挑戦者求む 1キロ弁当」の垂れ幕もあり、かなりバラエティに富んだ商品構成になっていることがわかります。

覗いてみると、それほど広くない店内に、200円、300円、500円といった価格帯の弁当が並べられています。

画像からはよく見えませんが、1キロ弁当も置かれているのでしょうね。1000円程度なのかな。

200円弁当も確かにあり、値段にしては充実した内容のようですが、さらに充実した300円、500円弁当に手が伸びるだろうと想像できます。

理想的なプロダクトミックス戦略ですな。

webサイトをみると、悪乗り気味の3キロ超弁当とかもあるようですが、店内に並べられているかどうかは定かではありません。

おそらく日によって商品が変わるのでしょう。こんな小さな店舗で、圧縮陳列のドン・キホーテみたいな期待感を抱かせるとは、おそるべしです。

ツイッターを駆使


話題性のある商品ラインアップですから、SNSにあっていたのでしょう。

伊藤店長によると「ゲーム感覚」「趣味の延長」のようにツイッターをやり続けたとかで、今は5万以上のフォロワーを持っています。

「肌感覚として、フォロワーが1000人いれば、3〜5人が常時買い物に来てくれる。つまり、今のフォロワー数で言えば、大体250人くらいがTwitter経由でお店に来てもらっている状況です」

なんて、さらりというところニクイですね。

手間はかかりますが、初期投資のないSNSは、まさに弱者のメディアです。

小さな小売店や飲食店は、こちらのツイッターを研究すべきですよ。

ライブカメラで炎上


さらに面白いのは、店内の様子を24時間、ライブカメラで公開しています。

品揃えが確認できる、万引き防止になる、と効果があるらしいですが、お客さんのプライバシー侵害だーと炎上騒ぎになったようですな。

が、炎上もSNSマーケティングの一環なのでしょう。

弱者はこれぐらいやらないとあきません。

ちなみに、Youtubeチャンネルには、広告もついていて、30万円の売上があるというからしっかりしています。

5月の利益は300万円超


記事によると、家賃30万円。商品原価50%、人件費25%だそうです。

家賃分30万円はYoutubeの広告費で賄えるから除外して、5月の利益は、300万円超でしょう。

それは、タワマンにでも住めますよ。

伊藤店長は渋谷進出を目論んでいるようですから、また違うプロモーション展開があるのでしょう。

楽しみです。






コロナ禍中、ニッチ市場に集中するIT企業の話

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これぞ「弱者の戦略」という事例ですね。

サーバーワークスは、2002年4月設立。2019年3月に上場。従業員100人超です。

設立当初は、大学入試の合否をネットで公表するビジネスを手掛けていたそうですから、学生ベンチャーのノリですかね。その後、アマゾンのクラウドシステムを導入支援するビジネスに展開し、成長しています。

コロナ前から成長軌道にあったわけですが、今回は、コロナ禍によるテレワーク導入企業増加の流れに乗って、さらに飛躍しようという話です。

ITシステムの構築は、適正価格が見えにくい


ITの世界も日進月歩ですから、安いサービスがどんどん出てきます。アマゾンのサービスはその先鋒に近いところにいます。

実際、世の中には便利な無料サービスがあふれており、たいていのことはできます。詳しい人に聞くと、在りものの様々なクラウドサービスを組み合わせれば、タダみたいな値段でシステムを作ることができるらしいですよ。

ところが一般企業は事情に疎いものですから、ITベンダー等が提供する高額なシステムを使用しています。

セキュリティを厳格にしなければならないとか、システムは人海戦術で作るので値段が高くなるとか言いますが、一般人には適正価格が見えにくい。

実際の作業も孫請け、ひ孫請けの人たちがやっており、建築業界の事情と同じです。誰がどれだけ利益を抜いているのかがわかりにくい。かくして、中小零細企業にはとても手が出せない価格帯になっています。

ありもののシステムを活用


アマゾンのシステムをそのまま利用するというサーバーワークスのやり方は、いわゆる「ありものを使う」ということですから、はるかに低額(一律50万円で構築とか)にサービスを提供しています。

業界の人たちは「あんなもの邪道だ。セキュリティはどうするだ!」というでしょうが、それはユーザーが決めること。適正な価格破壊がユーザーの支持を集めるのは、世の習いです。

今後、ひどい事故が起きる可能性がないと断言できませんが、あるとも言えません。

一般人に適正価格が見えにくい市場は、新興企業にとってチャンスが多いといえるでしょう。

小さな会社はニッチ市場に集中せよ


「弱者の戦略」だというのは、中小企業向けクラウドシステム、コロナ禍中のテレワーク導入と、ニッチ市場を目ざとく見つけて、集中していることです。

大石社長は「社員百数十人の当社は得意分野に集中した方がいい」と話す

まさにその通り、しばらくは集中戦略でいくべきです。




経営者は「君主論」を読みなさい

君主論を読みなさい


(2020年5月28日メルマガより)

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自粛期間中に読んだ本の中で、お勧めを一冊あげろといわれるとこれになります。

君主論 - 新版 (中公文庫)
マキアヴェリ
中央公論新社
2018-02-23


(私の読んだものは、1975年発行の中公文庫版ですが)

とにかく面白い。

著名な古典なので、題名を知っている人は多いでしょう。が、実際に読んだ人は少ないと聞いています。

これ、読むべきですよ。そんなに長い本ではありません。特に経営者やマネージャーや、人の上に立つ仕事をする人は、読んでください。


「孫子」との類似点


マキアヴェリというと、悪党の代表みたいな言い方をされることがあります。

「目的のためなら手段を選ばないことをする考え方」のことをマキアヴェリズム(マキアヴェリ主義)というそうです。

たしかに「君主論」には、身もふたもない言い回しが頻発します。

「民衆というものは、頭を撫でるか、消してしまうか、そのどちらかにしなければならない」3章

「人間は、恐れている者より、愛情を示してくれる者を容赦なく傷つける」17章

「奸策を用いて人々の頭脳を混乱させた君主が、かえって大事業をなしとげている」18章

「人は必要に迫られて善人となっているのであって、そうでなければ、あなたに対してきまって悪事を働くであろう」23章

いやはや。この身もふたもない様子は、「孫子」に通じるものがあります。

孫子 (講談社学術文庫)
浅野裕一
講談社
2019-01-18



「孫子」は、徹頭徹尾、冷静で合理的な考えに貫かれて書かれていますが、「君主論」も同じです。

マキアヴェリはこの本の中で「建前は廃して、役に立つことだけを書く」という覚悟を示しています。

その徹底した姿勢が、この本を不朽のものとしているのでしょう。


「孫子」との類似点はほかにもあります。

「孫子」が戦争に勝つための方法論の書であると誤解されているように、「君主論」も悪としての生き方や方法論を書いたものだと誤解されています。

この点、私も誤解していました。

この本を読んで感じるのは、マキアヴェリの誠実で真面目な人物像です。決して、奇をてらった偽悪者ではなく、倫理を冒して喜ぶ性格破綻者でもなく、真摯に自分の考えるところを主張しています。


マキアヴェリとはどのような人物か


ニッコロ・マキアヴェリは、15世紀イタリア、フィレンツェの人です。貴族階級ではありませんが、若くしてフィレンツェ共和国の官僚政治家となった有能な人物です。

ただその頃、イタリアは統一国家ではなく、いくつかの小国に分かれていました。だから、フランスやスペインなど強力な王国の侵略の危機に晒されていました。

外交官として、いくつもの修羅場を経験したマキアヴェリは、国家や君主の在り方について考えを深めていきました。

そんな折、スペインに攻撃されたフィレンツェ共和国が陥落し、元首ソデリーニは逃亡してしまいます。残されたマキアヴェリは投獄、拷問されました。

かねてからソデリーニの優柔不断な政治姿勢に疑問を持っていたマキアヴェリにとって、この出来事は「国を守れない君主は害悪でしかない」という信念を強固にさせるものでした。

公職追放されたマキアヴェリは、思いのたけを執筆活動にぶつけました。「君主論」は、フィレンツェの支配者になったメディチ家に向けて書かれたものだといわれていますが、メディチ家の当主が読むことはなかったようです。

「君主論」により名声を得たマキアヴェリは、歴史書の編纂を任されたり、貴族の子息の教育係として採用されたりしました。しかし、望んでいた公職復帰はなりませんでした。


国を守るためには、悪の道にも踏み込め


「君主論」は、それまでの生涯で得たマキアヴェリの信念と知見を真摯にぶつけたものです。

その主張を一言でいうと「君主は何があっても国を守らなければならない。そのためには悪の道に踏み込むことも厭ってはいけない」というものです。

この本の7章に、マキアヴェリが高く評価する政治家チェザーレ・ボルジアの逸話が出てきます。

彼が、ロマーニャ地方の新首領になった時、治安は荒れていました。そこで腹心の部下を送り込み、厳しい姿勢で弾圧・統治させました。

その甲斐あって、ロマーニャの治安は回復します。ところが、あまりに厳しい統治姿勢に反感を持つ住民も多くいることがわかりました。

そこでチェザーレ・ボルジアは、自ら送り込んだ腹心の部下を処刑し、真っ二つにした死体を晒させたのです。

凄惨な光景をみたロマーニャの住民たちは、溜飲を下げると同時に、新首領の残忍さに恐れ慄き、逆らう者はいなくなったということです。

自分に忠実な部下を捨て駒にするチェザーレの非道さは、許せざるものです。しかし、憐れみ深い姿勢をとりすぎて、国を危うくする君主よりはよほどマシだというのが、マキアヴェリの考えでした。

君主は、運命を手懐けるほどの力量を持たなければならない、と彼はいいます。

そのためには、冷酷にも、恐怖にも、吝嗇にもならなければならない。ライオンの力とキツネの利口さを持つことが必要だ。

マキアヴェリはそう書いています。


会社経営へのヒント


「君主論」は、全26章から構成されています。

前半の14章までは当時の国の種類ごとによる統治の在り方や軍備などについて書かれています。

当時の国の種類など読んでもつまらんと思わないでください。前半もおもしろいですから。

「国を征服する君主は、国の保持にあたっては次の二点にとくに気をつけなくてはならない。その一つは、その領土の昔からの君主の血統を根絶することであり、もう一つは、そこの法律や税制に手をつけないことである」3章

これを会社経営に置き換えればどうでしょうか。

M&Aをした会社を経営する場合、二つのことに気をつけなければならない。一つは、前経営者の影響を根絶することであり、もう一つは、そこの規範や文化に手をつけないことである。(オーナーが変わって損をしたと思わせないことである)

「加害行為は、一気にやってしまわなくてはならない(中略)恩恵は(中略)小出しにやらなくてはいけない」8章

社員が痛みにおもうこと(罰則、リストラなど)は一気にやってしまう。社員が恩恵に思うこと(報奨など)は小出しにして長く味わってもらう。

「(外国援軍)は、きまってこれをまねいた側に災いを与える。なぜなら、援軍が負けると、あなたは滅びるわけであり、勝てば勝つで、あなたは彼らの虜になる」13章

(営業や技術など)経営のコアな部分を他社に頼ると、きまって災いが与えられる。儲からないと会社はつぶれるし、儲かれば、他社の言いなりになる。


君主に必要な資質


もっとも「君主論」が不朽の名声を得ているのは、後半の15章からです。

ここには、君主が必要とする資質や人の心のつかみ方について書かれています。

もちろんマキアヴェリも、君主があらゆる美徳を備えていることは称賛されるべきだと書いています。

しかし、美徳を備えているからといって、国が守れないのでは役割を果たしたことにはなりません。

それならば悪徳のように見えても、国の安全と繁栄をもたらす方が望ましいというものです。

具体的には、鷹揚さよりも吝嗇であるべきだ。憐れみ深いよりも残酷であるべきだ。愛されるよりも、恐れられるべきだ。約束を守る必要もない。とマキアヴェリは言います。

「大事業はすべて吝嗇とみなされた人によってしかなしとげられていない」16章

「(残忍な)君主がくだす裁決が、ただ一個人を傷つけるだけで済むのに対して、前者(憐れみ深い君主)のばあいは、国民全体を傷つけることになる」17章

「(君主にとって)愛されるより恐れられるほうが、はるかに安全である」17章

「信義を重んずる必要はない(中略)信義の不履行を合法的に言いつくろうための口実は、君主にはいつでも見いだせる」18章

さらには

「りっぱな気質をそなえていて、つねに尊重しているというのは有害であり、そなえているように思わせること、それが有益である」18章

とまで言っています。


軽くみられないためには


国を永らえさせるためには、周りの者や民衆を味方につけなければなりません。

しかし、それは、おもねることではありません。

君主にとっていちばんいけないのは、周りの者や民衆から恨みを買ったり、軽くみられたりすることです。

「世の中の人間というものは、財産や名誉さえ奪われなければ、けっこう満足して暮らしていくものである」19章

つまり、人の財産を奪ったり、不当に名誉を傷つけたりすることには気を付けなければなりません。当たり前ですが。

いっぽう軽蔑されないためには、大事業を行ったり、勇気や決断力など圧倒的な力を示すことです。

「自分の裁断はぜったいに撤回しないようにすること(中略)だれであっても、君主をだまそうとか、言いくるめようなどと考えることは、考えることさえおろかだという世評を打ち立てることである」19章


諫言を聞く仕組み


君主ともなれば、イエスマンが周りに集まってきます。へつらい者です。

そのような者の意見だけを聞くことも、軽く見られる因となります。

そこで、国中から賢者を選び、率直な意見を聞く仕組みを作り上げるのがいいとマキアヴェリは言っています。23章

諫言(かんげん)の仕組みです。

中国古典で、経営者必読の書といわれる「貞観政要」には、諫言の重要性が繰り返し書かれています。諫言をいう役割の重臣も設けられていたほどです。

貞観政要 (ちくま学芸文庫)
呉 兢
筑摩書房
2015-09-09


図らずも、同じことを言っているわけですな。

ただし、マキアヴェリは、助言を聞いたからといって、丸呑みするのではなく必ず深く考えること、と付け加えています。

助言者にも私利私欲があると考えるべきで、そのような進言をうのみにするわけにはいかないからです。

どこまでも性悪説に徹底しており、面白いですね。


経営者必読の書


「君主論」は、高い名声とともに、悪名も呼び、多くの地域で発禁処分となったようです。

それだけキリスト教価値観に照らして問題のある書だったということですね。

もちろん「論語」に親しみ儒教的価値観を持つ日本人でも眉をしかめる人は多いのではないでしょうか。

ただ、先にあげた「貞観政要」(の抄本)を読んでも、決して大きく外れたことが書いてあるわけではありません。

「貞観政要」に書かれてあるのも、国を維持し繁栄させるために必要な為政者の役割、姿勢、方法論などです。

たしかに「君主論」の方が、道徳を無視する姿勢がありすぎる感がありますが、そうでなければ踏み込めなかった内容が書かれていることに価値があります。

欧州では、今でも、政治家や経営者にひろく読まれていることで知られています。

まあ、とにかく読んでみてください。

病院の8割が経営悪化とか。事業モデルが脆弱すぎないか?

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病院団体の調査によると、4月時点で全国8割の病院が経営悪化したということです。

昨年の調査では平均400万円の黒字だったのが、今年は3600万円の赤字です。

コロナ禍は、病院にもダメージを与えているということです。

ただ、言っては何ですが、4月の段階でこれだけ落ち込むのは、事業モデルが脆弱すぎではないですか。

コロナを抑え込む日本の優秀な医療体制には感謝しかありませんが、それとは別の話です。

不要不急の患者がいなくなったから経営悪化した?


病院といえば、超多忙なイメージがありますが、帰国者接触者外来を受け入れている病院は約3割。入院患者を受け入れている病院は2割6分程度です。

つまり7割以上は、コロナ関連ではないわけです。

なぜ業績悪化しているかというと、感染を恐れた通院患者が減ったり、リスクを避けるために入院患者を抑えたりしているからだとか。

コロナのために他の病気の患者にしわ寄せがきているわけです。

が、コロナ以外の患者が治療を受けられずに、大変なことになったという話はあまり聞きませんね。社会問題になる案件なのに。

もしかしたら、今年減った患者は、不要不急の人たちだったのではないかと疑いたくなります。

だとすれば、不要不急の人たちがいなくなれば赤字になる病院事業って、根本的におかしいですよ。


今回のことで、オンライン診療への取り組みが進むといわれています。

それは素晴らしいことですが、それ以上に、抜本的な事業改革をしなければ、医療システムの崩壊は避けられないと思います。




小さな事業者が余剰資金をため込むだけになるとダメになる

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コロナ禍により企業の維持さえ厳しくなっている現状ですが、日本の大企業は内部留保が大きいため、諸外国よりは切迫感がない。という記事です。

国内企業には約460兆円もの内部留保(利益余剰金)があるといわれます。コロナ禍が起こる前は、「ため込みすぎ。設備投資するか、従業員に還元せよ」と批判されたものですが、いまは、むしろ「いざという時のために残しておいてよかったな」と評価されています。

確かにその通りです。アリとキリギリスの話よろしく、儲かっているからといって、使いまくっていると、苦しい環境時に困ってしまいます。

しかし、だからといって、これを免罪符として、ため込むことが正当化されてしまっては、経済のダイナミズムが阻害されてしまいます。やはり企業活動によって得た利益は、適切に投資に回すなり、従業員還元するのが正しい。と専門家は警鐘を鳴らしています。

ため込む時はため込め


われわれ零細企業は、経済のダイナミズム云々よりも生き残ることをまず考えなければなりませんから、ため込む時はため込まなければなりません。

ここだけの話。小さな事業者の中には、ろくに帳簿もつけないどんぶり勘定で平気な人が多いように見受けられます。成功者といわれる人の中にもいました。

売上がすべてを覆い隠してしまうということなんでしょうが、その場合、需要減にはすこぶる弱いものです。そんな人がコロナ禍で苦しんでいる姿をみると、キリギリスそのものに思えます。

しかしこれは論外ですな。

ため込むだけでは潰れてしまう


私も、いざという時のためにお金を置いておく、というだけの経営はただの戦略不在だと思います。

戦略の要諦は「勝てる局面で勝つ」ことです。

小さな事業者の場合、隙間市場や、不安定な市場でも、勝てるとなればそこでビジネスを作らなければなりません。

成長市場で堂々とビジネスするのはそれなりに資本力のある企業です。小さな事業者は、水たまりのように明日干上がってしまう場所でも生きていかなければなりません。

スピードが重要です。勝てるとなればいち早く参入し、やばいと思えばすぐに手仕舞いすることです。

だから、そのための「タネ銭」を持っておくことは重要です。進出するにしろ、撤退するにしろ、タネ銭がいります。そのための余剰資金です。

「勝てる局面」を見極めて使う


いまは100年に一度の緊急事態なので、そんなこと言ってられないでしょうね。ため込んでいてよかったなというのもわかります。

しかし、だからといって、ただの戦略不在になってしまえば、余剰資金を食いつぶすだけです。小さな事業者は干上がるのも早いですよ。

「勝てる局面で戦う」「勝てない局面では戦わない」という戦略の原則を忘れてはならないと思います。

要はバランスですね。

「いま儲かりますよ」と煽る声に安易に乗るのも、「安全にいこう」と思考停止してしまうのもダメですな。

感度を磨いていきましょう。




レナウンがついに力尽きた

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かつて世界最大規模の企業だったこともあるアパレルの名門企業レナウンが民事再生手続きに入ったとうニュースです。

負債は138億円とか。

かつての規模を知る者からすればあまりにも少ない額での破綻です。

中国系企業の傘下に入ってからは「詰んだ」状態


コロナが原因とされていますが、それが真因ではないだろーと皆が思っています。

なにしろ2000年代になってから、業績は下がり続け、2010年には中国系企業からの資本が入っていました。

破綻の原因の一つが、その中国系企業の子会社へ販売した分の売掛金が回収できなかったことらしい。

資本を受け入れた時には、中国市場への進出の足掛かりになると前向きにとらえられていましたが、うまくいかなかったばかりか、足を引っ張られた格好です。

最近は、もう万策尽きたという感じだったのでしょうね。

直近の有価証券報告書なんて、やる気がなさすぎて、読んでられません。

市場が衰退しているのに手をこまねいていた


日本のアパレル市場は、縮小し続けています。ユニクロを代表するファストファッションが台頭したため単価が下がり、かつての百貨店ブランドは苦しい状況です。

衰退市場にいるわけですから、何とかしなければなりません。新規分野に進出するなり、海外進出に再挑戦するなり、ビジネスモデルをがらりと変えるなり、です。

しかし同社が行ったのは、基本的には業績がまだましだった子会社のダーバンと統合することぐらいでした。

百貨店への押し込み営業を続けていただけでは、業績回復は見込めませんわな。

富士フィルムなど、もっと急激な市場縮小に見舞われながら、なりふり構わぬ新規分野開拓で、なんとか破綻を逃れた企業もあります。

比較するのも酷ですが、結局、危機を乗り越えるための戦略を推進する人材がいなかったということなんでしょう。

関係者には悪いですが、典型的な無策破綻事例だと思えます。





小規模事業者は生き残ることだけを考えよう

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統計局の発表によると、3月の家計消費支出は前年比ー6%だったとか。意外に持ちこたえています。

ただその中身は大きく動いています。

外食代、飲酒代、交通費、旅行費などが大きく減少しているのに比べて、カップ麺、トイレットペーパー、ゲーム代、配送料、学習教材などは増えています。

要するに、巣ごもり消費に必要なものは増えて、不要なものは減ったわけです。

経済的影響を受けていない人がまだ主流だったが…


事業者の立場からすると、業種により格差が出ていることになります。他の記事では、落ち込んだ業種は1/3程度だとか。

厳しい状況に追い込まれている事業者がまだ少数であるために、過剰な自粛を求める世論が主流となっていたのでしょうね。

これが1年もたてば、経済悪化の影響が多くの業種に波及してきますから、逆転します。なぜ政府は無駄な自粛をしたんだーという批判の声が大勢を占めてくるのではないですか。

ついこの前まで自粛しないやつは悪人だという雰囲気だったことは覚えておきますよ。

小規模事業者の強みは、変わり身の速さです


それはともかく、ウィルスの完全抑え込みには1、2年かかるそうですね。

明日から自粛も徐々に緩和されていきそうですが、ソーシャルディスタンスや大規模イベントの禁止、飲酒業への制限的要請は続きそうです。

長引けば、それだけ経済的な影響は大きくなります。いや、今の時点でも戦後最大の経済危機になることは確実です。

小規模事業者の廃業や転業が増えるのは避けられないでしょう。

私だって同じです。クライアントの多くは、厳しい状況にあります。だから私も危機的状況です。

ただ、大切なのは生き残ることです。

廃業や転業が悪いことではありません。見込みのない事業を続けるために無理をする方が損失です。

いったん廃業しても、チャンスがあるところを見つければ起業すればいいのですよ。

もともと小規模事業者の強みは、変わり身の速さのはず。小さな隙間を見つけて、したたかにビジネスを作っていこうじゃないですか。

そのためのお手伝いならいくらでもしますので!

生き残っていきましょう。


クロージングがうまくいかない時にこそ、営業の真価が問われる

クロージングがうまくいかない


(2020年5月14日メルマガより)

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クロージングにおいて大切なのは、簡単に諦めない姿勢です。

クロージングの段階に至って、一部の条件がどうしても合わない場合があります。一部仕様が条件を満たしていなかったり、納期が間に合わなかったり、予算との差異が詰められなかったりした場合などです。

そんな時でも、簡単に諦めないでください。

クロージングの段階まで進んでいるということは、可能性がないわけではありません。脈がない場合は、もっと早い段階で断られているはずです。むしろあと少しで契約に至るところまで進んでいます。

条件が合わないのであれば、契約のしようがないじゃないか、と思うかも知れません。しかし、実際の営業では逆転はしばしば起きます。クロージングの進め方次第です。


「仮定」をうまく使う


一部の条件が合わない場合は、その一部だけに囚われてはいけません。その他の部分に注意を向けることです。

「残念ながら、価格については、開きがありますね。しかし、もし価格が合うと仮定すれば、他の条件は問題ありませんか?」

「納期は厳しいですね。でも、仮に納期が間に合うとすれば、この商品で問題ありませんか?」

「もし、この課題がクリアすれば、契約いただけますよね」

このように、「仮定」をうまく使って、他の部分に焦点を当てれば、条件を満たしていない部分がほんの一部であることを確認できます。

その一部のために全体の好条件を諦めるのは得策ではないとお互いが思えば、条件の違いを乗り越える方法を考えようという気運が生まれます。

顧客と営業の共闘です。お互いが智恵を出し合って、壁を乗り越えられたなら、信頼関係は確実に深まります。いえ、たとえ乗り越えられずに、契約に至らなかったとしても、共闘したことで結びつきは強まるはずです。

もし営業自身が諦めてしまえば、この取引はその場で潰えてしまいます。そんなもったいないことをいてはいけません。

クロージングに障害はつきものです。様々な障害を乗り越えてこそ契約に至ります。障害に当たった時は、簡単に諦めずに、工夫をしてみましょう。

日を変える


商談が煮詰まった時は、いったん持ち帰って、仕切り直しをしましょう。日が変われば、気分も変わり、前向きに取り組む気持ちになっているかも知れません。

ただし、日が変われば、交渉すべてがリセットされる恐れもあるので、この日までの合意事項は必ず確認しておきましょう。

上司を連れていく


人が変わると、雰囲気もがらりと変わることがあります。上司が商談に入ることで、顧客の態度も軟化する場合があります。そのためには、上司というカードはギリギリまでとっておくことです。

第三者を連れていく


懸案事項が、専門的な内容であれば、技術担当者、知財担当者などに同席してもらいましょう。課題について新しい視点から見ることができます。

冗談を言う


笑いは、緊迫した雰囲気を一気に緩和させます。冗談の一つも挟んで、お互い余裕をもって商談に臨みたいものです。


顧客が無茶を言ってきたら


クロージングの段階になって、顧客が新たな要望を追加してくる場合があります。

「オプションを付けてほしい」「納期を早めてほしい」「設置場所を変更してほしい」など。

問題なく対応できる場合はいいですが、対応が難しい場合もあります。技術部や製造部が「今さら無茶を言うな」と怒り出すような案件です。

そんな場合でも、営業は顧客の要望をむげに断ってはいけません。

顧客側にも様々な事情があります。予期せぬ出来事が起こったり、顧客の顧客から無理を言われたり、顧客担当者がミスをしていたのが発覚したり。

無茶を言いたくて言う人はそうはいないものです。

だから一概に「無理です」というのではなく、顧客の真意を確かめたうえで、もし顧客が、本気で困りはてた上でお願いしてきているのならば、できるだけ要望に応えたいものです。

営業は会社の手先ではありません。顧客の代理人であるべきです。

技術部や製造部と粘り強く交渉し、少しでも顧客の要望に近づく努力をしましょう。すべてを叶えることができなければ一部でもいい、代案でもいい、顧客の悩みが解消する方法を真剣に考えて、顧客に提案してみましょう。

ここでも共闘です。ともに窮地を抜け出した経験は、顧客との信頼関係を格段に強化します。助けたり、助けられたりを繰り返すことで、結びつきは強くなります。窮地はチャンスだと思ってください。


抜け目ない顧客には対応策が必要


しかし顧客の中には「要求が通れば儲けもの」程度の思惑で無茶をいう人がいるかも知れません。

いわゆる抜け目ないタイプの人です。

失礼ながら、こういう人に毎回、振り回されていると、会社内での信用がなくなってしまうので注意しなければなりません。

まずは相手の様子をよく観察して、本当に困って依頼しているのか、あるいは、ドサクサに紛れて無茶を通そうとしているのか、見極めてください。

そのうえで、単に無茶を言っているのだと分かれば、受け入れてはだめです。安易に対応すれば、さらに無理を通そうとしてきます。

ただ、相手にもプライドがあるので、無茶な要求だとしてもむげに撥ねつけてしまうと、しこりが残ります。

そんな場合は、こちらが何らかの譲歩をしたという形が必要になります。

面倒に思うかも知れませんが、そんな場合にできる小さな譲歩をあらかじめ準備しておきます。

ちょっとした値引きや、オプションの追加や、保証の拡充など。こちらに負担のない程度の譲歩策を用意しておくのです。

ぎりぎりの交渉の末に、ちょっと譲歩をすることで、落としどころを作るわけです。

相手によっては、そういう交渉が必要な場合もあるということです。


クロージング・テクニックは覚えなくてよい


クロージングにおいて、無茶を言ってくる場合などに備えて、最低限の準備はしておいた方がいいという話をしました。

これは一種のクロージング・テクニックといえるものかも知れません。

しかし、ことさら、クロージング・テクニックを覚えようとする必要はありません。

営業もベテランになってくると、自然にテクニックめいたものは身についてきます。それで充分です。いや、むしろ、使い勝手がいいからといってたやすく使わないように気を付けてください。

経験の浅い営業の中に、覚えたてのテクニックを使いたがる人がいるようです。

やたら交渉期限を区切りたがったり、いきなり難題をぶつけて譲歩してみせたり、コンビ技を使おうとしたりすることなどです。

経験の浅い営業が使うテクニックなど見透かされています。

若いうちから妙なテクニックを使いたがる人は、顧客の信頼を得ることはできません。そんなことでは、営業として大成することはないでしょう。


営業の本分を忘れない


営業はうまいことを言って、必要ないものまで買わせる仕事ではありません。

そんなことをしていたら悪評がはびこり、営業として生きていけなくなってしまいます。

営業の本分は顧客の悩みを解消したり、願いを叶えたりするために自社商品を役立てることです。

だから焦ってはいけません。

不確定な経済と確定的なコロナの戦い

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現在のコロナ禍における営業自粛派と再開派の問題を分かりやすく示した記事です。

それにしても、自粛延長がなし崩し的に行われたことはとてもショックでした。

「5月一杯は 外出自粛や営業自粛 を求める。その後、日本がどうなるかは、まったく分からない。手をよく洗い、食事は横並びで、自衛しなさい」。
政府が言っていることを煎じ詰めれば、こうしたことになる。

自粛延長後、「ゆるみが見られる」など担当大臣や都知事が発言していますが、それ、ゆるみというよりは、我慢の限界、あるいは逆切れではないですか。「5月6日までって言ったじゃーん。もう知るか!」と思いたくなる気はわかります。

自粛こそ皆の生命を守ることだという主張と、自粛を続けたら経済的に死んでしまうという主張がぶつかっていて、それらの主張を検証する数値がないというのが記事で言っていることですな。

まったくその通りです。

経済のダメージを正確に試算できない?

今回、思ったのが、経済に関する数理モデルって、未成熟なんだなあということです。

政府が専門家委員会の意見を聞きすぎるという批判があります。感染症の専門家で構成されている委員会ですから、とかく最悪に寄った数値を出そうとします。「大丈夫だあ」なんて言って、悪い方に外れたら責任重大ですからね。

専門家委員会ではないですが「40万人が死ぬ恐れもある」という試算もありました。そんなはずないやろーと皆思っていますが、専門家の試算なので文句が言えません。

これに対して「経済がダメになる」という意見が弱いのが、感染症の専門家のような数値試算を出せないことです。

経済社会は感染プロセスよりはるかに複雑怪奇なので簡単に試算できない事情はわかります。

が、一方が専門家の手になるシミュレーションデータを出しており、もう一方が「もうだめだ」という一部の経営者の声や倒産増加の兆しがあるってだけでは、どちらに優位性を置きたくなるかって明らかじゃないですか。

要するに、この自粛によりどれだけ経済社会がダメージを受けるか、その期間や範囲によって、ダメージがどのように変わるか、という試算を感染症ほど正確に出す技術はないということなんですね。

だから政府も印象で判断せざるを得ず、2か月程度の自粛ではただちにダメージを受けない人たちが大半なので、世論が形成されて、それに押される形になるわけですな。

これはもう、1年後かそれ以上か、収入が減ったりリストラにあったりする人が過半になるまで、自粛派優勢は続くのでしょう。免疫獲得ぐらいの時間軸かも知れません。


世の経済評論家や学者の方々は、ぜひ奮起していただき、経済社会の動きを正確に予測するシミュレーションモデルを作っていただきたいと思います。

しかし、それができるなら、とうにデフレも克服していたでしょうし、国の借金が積みあがることもなかったでしょう。無理な相談なんですね。



この状況下に好業績 マクドナルドの多方位戦略

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日本マクドナルドが、コロナ禍においても業績好調です。

4月単月の全店売上高が、昨年の4月に比べて6.7%増。

3月が、0.5%増にとどまったのに対して、大幅にアップしています。

緊急事態宣言下にどうして?

と思いますが、客数は、昨年のー18.9%。大幅に減少しています。

しかし、客単価は昨年に比べ、31.4%増。

客数が減ったのに、客単価がそれ以上に伸びたので、全体の売上高は上がったということです。

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全くもって驚異の業績です。

小さな飲食店は、明日にも廃業しようかと苦しんでいる時に、マクドは業績アップですよ。

一体どうなっているのでしょうか。

地域の巣ごもり需要を捉えた


この状況下、業績を伸ばしている飲食店は、持ち帰りやデリバリーに力を入れているところです。

マクドナルドは、そのどちらにも対応しています。

自粛状況下の日本ですが、都心の人出が大幅に減っているのに比べ、住宅地のスーパーなどの人出は逆に増えていることが指摘されています。

会社に行かないテレワークの人たちが、地元のお店に行くのだから当然ですね。

全国2800店以上ですから、住宅地にもいっぱいあります。

休校で家にいる子供たちもマクドは大好きですから、利用が増えるわけです。

上の記事によると、流れを読んだ同社は、ファミリー用クーポンを増加したり、子供用セットを追加したり、新製品を投入したり、と客を呼び込む仕掛けを行っています。

なんともしたたかですな。

小さな店は、真似してはいけない


今回のような非常時、混乱期に強いのは、マクドナルドのように、多方位に手を広げている会社です。

どこかがダメでも、他でカバーできる体制があります。

今回の好業績は、そんなマクドの強みがうまく効き目を上げています。

小さな会社はそうはいきません。一方向に注力しているものですから、そこがダメだと揺らいでしまいます。

その分、環境が一定すれば、集中戦略が効果を発揮して、大きな成長を見込むことができます。

こんな時のために、多方面に手を広げていなければダメじゃないかと言う声もありますが、小さな店があちこちに手を出していたら、全部中途半端になってしまいます。得策とは言えません。

それよりも、小さな会社が死なないためには、緊急時にすぐに変化できるような身軽さを保持しておくべきです。

固定資産はなるべく持たず、いい時にこそ経理を厳格にして収益を出し、現預金を少し多めに持っておくこと。あと敢えて言えば、金融機関とのいい関係を保っておくことです。多方向への投資はおススメしません。


それにしてもマクドナルドは、前経営者の原田氏時代の末期は、効率を追いすぎて、組織の疲弊が指摘されていました。

そこからみごとに立ち直ったものです。

今回の柔軟でしたたかな対応を見ていると、復活は本物だったのだなあと感じる次第です。




 

DeNAが「解散価値割れ」

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誰がうまいこと言えいうたんやってタイトルですが、よろしくない状況にあることは確かです。

ちなみに「解散価値割れ」というのは、現時点での株価の総額が、純資産より安いという状態です。

理屈で言えば、いまDeNAの株を買い占めて経営権を握り、すぐに資産を切り売りすれば儲かります。乗っ取り屋が喜ぶ案件です。

安定収益が見込めるプロ野球事業がコロナ禍でダウン


DeNAの株価が落ち込んでいるのは、もともとの業績が冴えないということもありますが、コロナ禍により、プロ野球が開催できないという事情が大きいようです。

なにしろ同社にとって、スポーツ事業は、安定した収益が見込める数少ない事業です。これが倒れると、不安定な事業ばかりになってしまいます。

dena売上構成
(2019年3月期決算による)
dena売上


ゲーム事業の潮流から外れてしまった


もちろんDeNAの収益の柱は、ゲーム事業ですが、そこがじり貧です。

オンラインゲーム業界そのものは拡大しているのですが、世界の潮流は、クラウドゲームに移行しています。

そこには、グーグル、ソニー、マイクロソフトといった巨大企業が力を入れていて、アマゾンの参入も噂されています。

5Gが普及し、高性能なクラウドゲームが主流になると、既存のスマホゲームは飲み込まれてしまうと目されています。

経営基盤に見劣りする国内のスマホゲーム会社は、主力事業の転換待ったなしの状況だということです。

現預金は潤沢だが、間に合わないのでは?


DeNAもそこは同じで、新しい柱を探そうとしていました。

もともと同社は、携帯オークションサイトの運営で創業した会社です。そこから、ECサイト事業、携帯ゲーム事業、スマホゲーム事業と展開していきました。

機を見るに敏で、環境変化に合わせて事業を作るのを得意としています。孫子にいう「水に象る」というやつで、しぶとい企業のはず。

その一つとして、プロ野球事業に参入し、収益事業に育て上げました。その手腕は、見事でした。

日本プロ野球が生き残るためのビジネスモデル


ただしプロ野球球団の運営だけでは、ゲーム事業をカバーすることはできません。

そこで、ヘルスケア事業や、配車事業、その他新規事業に取り組んでいるのですが、こちらはうまく利益が出ていません。(配車事業は既に切り離しました)

同社は、1000億円規模の現預金を持っていて、ただちに経営危機に陥るわけではありません。(2019年3月期時点。現在は、850億円ほどとか)

が、1000億円では、チマチマした投資になってしまって、早期の効果は見込めません。

経営陣の話でも、ゲーム事業で大きなヒットを飛ばすぐらいしか方策がないような口ぶりですね。

これは、近々、大きな提携話があるかも知れませんね。




プロフィール
komai 小

営業関連のコンサルティングをしています。
製造業や卸売業などの営業組織を強化する仕事を得意としております。

株式会社クリエート・バリュー代表取締役
NPOランチェスター協会理事
NPOランチェスター協会関西支部
NPOランチェスター協会認定インストラクター
中小企業診断士   販売士1級

コンサルタントになる前は、日本酸素株式会社魔法瓶事業部(現在のサーモス株式会社)で14年、営業担当をしておりました。
その時、廃業寸前の赤字だった事業部がわずかの期間で世界トップ企業になった経緯を体験したことが、経営コンサルタントになったきっかけとなりました。
当時、経験したことや見聞したことを物語風にアレンジしたのが、拙著『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』です。
面白い本なので、ぜひ読んでください(^^)

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