わたしは価値を創る

大阪在住の経営コンサルタントのブログです。

日高屋も業績が下振れ 「デフレの勝ち組」はどうなった?

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安くて、美味しいは鉄板のはずだったのに


最近、飲食チェーンの業績悪化がよく伝えられますね。

このブログに書いただけでも

吉野家はいつ根本的な施策を打ち出すのだろうか

東京チカラめしの衰退が必然であった理由

いきなり!ステーキも人口減少の局面には贖えないのか

そのほかにも、

なぜサイゼリヤの客離れが止まらないのか

鳥貴族の今期、上場来初の最終赤字 客数低迷、中計も取り下げ 

いずれも、デフレの勝ち組といわれた「安くて美味しい」を提供するチェーンです。

デフレ時代のビジネスモデルは通用しなくなったのか?と思いたくなりますが、日本がデフレを脱却したかというとそうではない。

実質賃金はむしろ下がっていて、さらに安いものを消費者は求めているはずです。


低迷の理由も様々です。

人件費の上昇に、ビジネスモデルそのものが耐えられなくなっていると思われる吉野家の例。

急速な規模拡大にオペレーションがついていかなくなったのではないかと思えるいきなり!ステーキや鳥貴族、東京チカラめし。

サイゼリヤはよくわかりません。

が、いずれも、人口減少による大きな社会環境の変化が背景にあることは間違いありません。

日高屋、おまえもか!


で、今回は日高屋です。

やはりデフレ時代の勝ち組といわれていたチェーンですよ。

屋台のような感覚で駅前マーケットを開拓 ハイデイ日高

大阪には馴染みのない日高屋ですが、関東にはけっこうあります。

同社は、駅前屋台のように安くてちょっと飲める店をコンセプトに店舗拡大していきました。屋台なので、ラーメン屋さん、中華やさんです。

駅前立地であること、およびちょい飲みに対応していることが、人気の要因です。

ターゲットをファミリーにしたお酒を出せないロードサイドの店が低迷している中、日高屋は収益を上げていたはずでした。

が、今回、業績予測を下回る収益となったようです。(増収増益は維持)

その要因として挙げられているのが、従業員の賃金上昇、人手不足による新店出店抑制、働き方改革によるちょい飲み需要の低下、ですね。

抜本的な戦略の立て直しが必要

こうしてみると、飲食チェーンについては、経営環境の地殻変動がそうとう進んでおり、従来の成功モデルが効かなくなっている様子が読み取れます。

つまり、外国人留学生を雇うとか、食材コストを減らすとかという対処療法では、業績を維持できないということですよ。

顧客が減ったというのは、顧客側に来店する理由がなくなったということです。来る理由のない顧客に「安いですよ、美味しいですよ」と言っても、響きません。それならば、来店する意味を読み取り、対応していかなければなりません。

変化してしまった消費者の行動を先読みし、そこに向けて価値を提供する、要するに、戦略を作り直すことが求められるわけです。

ニーズは移ろいやすい。というのは世の常とはいえ、そこにビジネスを組みなおしアジャストしていかなければならないチェーン各社はこれから大変です。

こういう時、姿を変えやすい小さなビジネスでよかったと思う次第です。






攘夷で団結した国内企業連合(自動車産業)

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MaaSが自動車産業の主役になる


MaaSとは、モビリティー・アズ・ア・サービス(Mobility as a Service)の略で、自動車などの移動手段を保有せず、必要なときだけ料金を払い利用するサービスの総称です。

海外ではウーバーテクノロジーズが、個人の車の「相乗り」を仲介するビジネスを行っています(日本では白タク行為として禁止されています)が、それが現状、MaaSの典型例です。

他人の車に相乗りさせてもらうのは気乗りしないという人も、無人の自動運転車などが普及してくれば、気兼ねなく利用するようになるでしょう。

そうなると、自動車の社会的な台数じたい大幅に減少しますから、自動車メーカーとすれば存亡の危機です。

だから将来的には、使用料を受け取るMaaSを運営する会社が、自動車産業の主役になってくると考えられています。

すなわち、ウーバーや滴滴やリフトなど。あるいはグーグルやアップルやアマゾンなどのIT企業が自動車産業を牛耳るようになるかも知れません。

黒船の襲来に、国内企業が団結


トヨタとソフトバンクが組んで、MaaSを運営する会社、モネテクノロジーを設立しましたが、その会社にライバルであるはずのホンダも出資するというのは、海外勢にビジネスのおいしいところを持っていかれるのではないかという国内勢の危機感の現れです。

自動車会社だけではありません。小売や物流や不動産会社など90社が連携をすると発表されています。

これは、自動運転車が普及するようになると、タクシーやバスなど交通機関だけでなはく、宅配や移動販売車、あるいは駐車場の設計などにも影響を及ぼすからです。

なにしろ自動車は主要産業であるだけではなく、社会インフラの根幹ですから、影響は多大です。記事では、世界で150兆円以上の市場規模になると試算されています。

公道での実証実験が進まなければ…


ソフトバンクはウーバーにも滴滴にも出資しており、グローバルなMaaS対策には抜かりなかったようですが、今回はトヨタの危機感に応えて、立ち上げに参加した形です。

もっとも先行するアメリカ勢や中国勢は、国をあげて実証実験に取り組んでおり、相当先に進んでいます。

日本は、公道での自動運転の実験を認めない自治体が多いので、実験場所に困っています。

自動運転の安全性を高めるには、実証実験が欠かせません。机上の計算でできる部分は、各国ともやり尽くしており、後は実際の道路における万が一のケースをいかに拾い上げ、対応していくかです。

せっかく日本勢が団結したのだから、早晩、実証実験の規模拡大をする必要があります。

永らく日本の自動車企業に煮え湯を飲まされてきたアメリカや中国は、いまこそ主役になる時だ!と息巻いています。

日本が、今までどおり自動車産業の中心であるためには、ここが正念場であるというのは確かでしょう。





いきなり!ステーキも人口減少の局面には贖えないのか

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「いきなり!ステーキ」の不振については、「いきなり〇〇!」みたく大喜利のようなタイトルが目立ちますな。

内容も辛辣なものが目立ちます。

いきなり!脅威の急成長


「いきなり!ステーキ」は、ペッパーランチの創業経営者一瀬邦夫氏が、「俺のフレンチ」などの立ち食い飲食店からヒントを得てはじめた低価格ステーキ店です。

シリアルアントレプレナー「ブックオフ」「俺の」創業者の成功パターン

肉は量り売り。基本立ち食いで、回転数を高めて、低利益を客数でカバーするビジネスモデルです。

これが当たりました。「俺の…」と同じですが、高級肉のステーキが相当の低価格で食べれるとなれば、肉好きの人は放っておきません。

しかもフレンチと違って、ステーキには一流シェフは不要ですから、フランチャイズ展開に向いています。

2013年にスタートして、2018年には386店を達成。特に昨年からは、ブームといってもいい様相でした。

拡大を急ぎ過ぎたか?悪材料が噴出


ところが、今年になって失速が伝えられるようになりました。既存店売上高は11カ月連続マイナス。出店の増加によって売上の拡大を続けている状態です。これは早くも、成長のピークを過ぎたのではないかというわけです。

運営側は強気で、昨年がブームで良過ぎただけだ、まだ成長余地はある!と主張しています。

昨年が良過ぎたというのは事実でしょうが、だからといって、ピークアウトしないとは言えないと考えます。

常識的に考えて、人口減少に舵を切った日本で、高度成長期のような拡大路線が維持できるはずがありません。

それに運営が難しいシステムではないので、競合他社がすぐに現れました。これからも続々出てくるでしょう。

それがわかっているこそ、調子のいい時に一気に拡大してシェアをとれ!という姿勢があるのでしょうが、急拡大すぎるきらいがあります。

出店を急ぎ過ぎて、既存店舗同士が食い合いを起こしているという記事もあります。だとすれば、フランチャイジーにすればたまったもんじゃありません。いきなりコンビニ状態か!ってなもんです。

成長余地を求めて海外進出しましたが、アメリカでは、立ち食いという業態そのものが受け入れられにくく、苦戦を強いられています。

立ち食いなのに、たいして安くない


いきなり!ステーキの不振として、もうひとつ指摘されているのが、値段が高くなったということです。

スタート時からグラム2円は値上げしており、300グラムのステーキでいうと、600円分の値上げとなります。

600円というとランチが食べれますよ。大して安くないやん!といっせいに突っ込まれています。

これは人件費の高騰に応じた値上げなのでしょうが、スタートから5年程度で値上げに走るとは、そもそも最初の値段設定が間違っていただろうと言いたくなります。

システマティックな大規模チェーンはもう限界?


最近、低価格チェーンの不振が目立ちます。鳥貴族も値上げをきっかけに、不振が伝えられるようになりました。

サイゼリアも前年割れを起こしています。

吉野家も盛大な赤字を出しましたし、他の店もいつ赤字になるかわかりませんよ。

要するに、メニューを絞って人件費も削ってギリギリの収益で運営するデフレ時代の優等生だった大型チェーンの不振が目立つわけですな。

値上げはいや、メニューが変わり映えしないのもいや、というのも困ったものですが、顧客とはそういうものです。応えていかなければ、生き残れません。

変化の激しい局面では、水も漏らさないようなシステムは弱点になります。少々、隙があっても、変化に柔軟に対応できる姿勢がいまは必要なのでしょうね。

「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である」

と言ったのは、進化論を唱えたダーウィンでしたね。

ビジネスでも、システマティックな大規模チェーンではなく、創意工夫ができる余地のある小規模店が、優位なご時世なのだと思います。

参考

いきなり!ステーキ、いきなり業績不振へ。値上げしたら負ける国内デフレの深い闇=今市太郎

「高くなった」いきなり!ステーキ、1年で店舗数倍増→“客の共食い”で深刻な客離れの懸念






東京チカラめしの衰退が必然であった理由

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一時期100店舗あった東京チカラめしが現在は8店舗になったそうです。これはほぼ壊滅的な状況ですよ。

赤字続きで惨憺たる状況


東京チカラめしというのは、焼き牛丼を主力メニューとする飲食チェーンです。牛丼屋さんですね。牛丼大手3社(すき家、吉野家、松屋)は煮て味付けした牛肉を使用していますが、焼肉を丼にしたというのは珍しい、ということで人気を博しました。

運営する三光マーケティングフーズは、東京チカラめしを収益の柱に育て上げようと力を入れてきましたが、失敗してしまった形になりました。

ちなみに三光マーケティングフーズは、「金の蔵」や「月の雫」といった業態店を運営していますが
ここ数年赤字続きで惨憺たる状況です。

同社にとって東京チカラめしは期待の新業態だったでしょうに、それだけに拡大展開を焦ったのかも知れません。

人手不足は前提条件


記事では「人手不足を言い訳にしている」的なことが書かれていて、面白いと思いました。

店舗を拡大すれば、それだけ人材が必要になりますが、この人手不足の現状で優秀な人材を確保するのは困難です。初心者でも対応できるような完璧なオペレーションシステムや設備があればマシなのでしょうが、後発の三光フーズにはそれがありません。苦しい展開を強いられたことでしょう。

人手不足は、牛丼大手3社も同じです。すき家にしても吉野家にしても、人材確保ができずに、深夜営業を見直したり、オペレーションを改革したりしています。

かつてミスター牛丼といわれた吉野家の安部修二元会長は、元ミュージシャン志望で、アルバイトとして入った人だったそうです。これが象徴しているように、かつて成長期の日本には、優秀なアルバイトを確保できる余地があり、そうした人材を前提に労働集約的なビジネスを組み立てることができました。

すき家の急拡大時期は、2005年頃からです。すき家も後に、人材確保や育成が追い付かずに、急拡大の歪が指摘されるようになりましたから、このあたりが岐路だったのでしょう。

東京チカラめしがスタートした2011年には、既に大手3社の寡占ができあがっていたこともあり、人材確保はできないわ、教育は追い付かないわ、オペレーションシステムが未熟なのでコストはかかるわという状況なのに、大手の一角を占めるべく急拡大路線に走りました。いわば弱者が強者のビジネスを模倣しようとしたわけで、フォロワーの戦略です。

それでも生き残る!小さな会社のサバイバル術

市場縮小局面において、フォロワーがはじきだされるのは自明のことです。

「安く、大量に」からの脱却


ということで人材不足は東京チカラめしだけではありません。牛丼大手3社もギリギリの収益でやっているので、何かのはずみですぐに赤字になってしまいます。特に賃金上昇は収益に直結します。

「安く、大量に」ではビジネスが成立しにくくなっているご時世ですから、体力のない後発チェーンが押し出されるのは自明のことです。

吉野家は過去の栄光を捨て去れるのか


むしろ東京チカラめしは、撤退の決断が早かったのかなと思います。

大手チェーンはこれまでの収益をもとに、自動化なり価格上昇施策なり業態転換なりをして生き残りを図っていくでしょう。

しかし小さい会社はその真似をするわけにはいきません。というよりは、今の経営環境にあわせたビジネスを組み立てることができるわけで、自由度は高くなります。

「安く、大量に」では成り立たないことを前提としたビジネスでなければなりません。

これを機に、新しい時代のビジネスを作っていってほしいものです。





それでも生き残る!小さな会社のサバイバル術

サバイバル術

(2019年3月21日メルマガより)



■前回のメルマガには過分な反響をいただきありがとうございました。


簡単に振り返ります。

世界でも類を見ないほどの人口減少に見舞われる日本が大変な危機に瀕していることは、疑いようのない事実です。

だからこそ我々は、危機を正視し、適切な振る舞いをしなければなりません。

現在の日本の経済は、1億人を超える人口に支えられています。この人口が減少すれば、経済規模が縮小し、税収も減るので、莫大な借金を返済することができなくなりますし、高齢者の福祉に回すお金もなくなります。

いま我々がしなければならないのは、一人一人の生産性を上げることです。なぜなら、日本の一人当たりGDPは、世界29位に過ぎません。これは先進国最低レベルです。

人材の質は世界4位とランクされているのに、一人当たりGDPが低いというのは、やり方が悪いということです。

やり方=戦略だと私は捉えています。

収益カツカツの事業を苦労して続けていても、劇的な売上向上は望みにくい。従業員を苦労させるだけです。

それよりも、それぞれ企業規模に応じて、成長性のある市場、競争の少ない市場を見つけて、いちはやくアジャストし、儲ける仕組みを作る。みながこのような戦略行動をとるようになれば、一人当たりの収益は上がります。

収益が上がれば、設備投資や人材投資も行えるようになります。そうなれば生産性向上の上昇スパイラルに乗ることができるでしょう。

といったことを前回のメルマガで書かせていただきました。


■前回のメルマガには、前向きな反響を多くいただき、本当に有難い限りです。

ただ「言っていることは分かるが、小さい会社には、新しい市場に乗り換えるなんて真似は怖くてできない」という意見もいただきました。

確かにそうでしょう。多くの経営者がそう思っているはずです。普通は、致命的なダメージを負わない程度に新規事業を始めます。

守備を意識した運営は、経営者として当然のことです。ただ、守備意識が強くなりすぎると、チャレンジしないのが一番安全だ、という結論になりますので、注意が必要です。度が過ぎた安全策は、短期的な延命にしかならないことを知っておかなければなりません。


そうは言っても、なんとかしのいで生きていくのが経営の命題です。

私がお付き合いした企業の中には、むしろ「うちの得意はシノギや」とばかりに開き直って、短期的延命策を繰り返す企業もありました。それはそれで清々しかった。

孫子も「戦って勝つのはベストではない。戦わずに勝つのがベストだ」と言っています。大きなリスクを背負うことなく、生き残っていくことができれば、それは最高の経営手法となるでしょう。

そこで今回は、小さな会社のリアルな生き残り策について書いてみたいと思います。

ぜひ最後まで読んでくださいね。

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あらゆる事業者は、ナンバーワンを目指せ。

というのが、ランチェスター戦略の考え方です。ナンバーワンになれば、市場からの信頼が厚くなり、流通段階で優遇され、プライスリーダーになり、人材確保も優位となります。

まさにいいことづくめ。それが、ナンバーワンという地位なのです。

(ナンバーワンとは、同戦略の用語で、市場シェアにおいて、2位に√3倍以上の差をつけたトップ企業のことを指します)


「そんな無茶言うなよ。うちは小さな会社だから、ナンバーワンなんてとても無理」という声が聞こえてきそうですが、必ずしも超巨大市場でナンバーワンを目指せといっているわけではありません。

どんな小さな企業にも「勝てる市場」があるはずです。地域、顧客層、技術分野、業界、業態、時間帯。。。細かく見ていくと、上位企業が見逃している手薄な局面があり、つけ入る隙はあります。

その「勝てる市場」を見つけ、集中していくことが、戦略の第一歩となります。


ところが現実はそうではないんですな。小さな会社の多くがフォロワーに甘んじており、収益ギリギリのところで、日々を戦っておられます。

そんな消耗戦に自らを追い込むことが、日本の生産性を下げているというのは前回のメルマガに書いた内容でした。



小さな会社がフォロワーになる理由


フォロワーというのは「トップになる気がない下位企業」のことです。

特別なことをするのではなく、儲かっている企業の真似やおこぼれをもらうことで収益を上げようとします。

かつての松下電機(現パナソニック)のような販売力のある大企業が他社の真似をするのならば、それは立派な「強者の戦略」です。

しかし、小さな会社が儲かっている大企業の真似をしたところで、収益を上げられるはずがない。。。と思うところですが、けっこう多くの事業者がフォロワーの立場にいます。

実際、収益は低いし、市場が縮小する局面においては、赤字になってしまって成立しません。

それでもフォロワーでいるというのは、なにげに楽だからでしょう。

既に儲かっている企業の真似をして少しでもおこぼれがあるとすれば、後出しじゃんけんで賞品が貰えるようなものです。

たとえ儲けは少なくとも、生きていけるならそうすればいい。儲からなくなれば、また真似できる企業を探せばいい。と割り切れれば、これは立派な生き方です。

意識してフォロワーの立場を貫く企業は、実は、相当したたかなのかも知れませんよ。


二番煎じ


二番煎じというのは、ちょっと嫌な言い方ですね。でも実際のところ、二番煎じは世の中に数多あります。

書籍なんて、二番煎じだらけです。ちょっと売れた本があれば、似たテーマやテイストを持った書籍が次々登場し、本屋を埋め尽くしてしまいます。

しょせん二番煎じですから本家よりも売れることはない。賞味期限も短い。それでもなくならないのは、安易に稼げるからでしょう。


私の知っているある会社は、ひたすら百貨店やブランド店を回って売れている商品を集めてきて、類似品を安く作っては、ディスカウントストアや100円ショップに納入することを繰り返していました。それでけっこうな収益を上げていましたからしたたかです。


二番煎じ戦略が機能するのは、模倣できる技術力、生産力(あるいは協力会社)があることとに加え、大手企業が持たない独自の販売チャネルを持っていることが重要です。

例えば、ディスカウントストアや100円ショップなどは、大手企業があまり手を出しにくい販売チャネルです。

ネットやスマホ上の店など比較的新しい販売チャネルといち早くパイプを作ることができれば優位性となります。

もちろんかつての松下電機(現パナソニック)のように独自の販売チャネル(ナショナル・ショップ)を持っているならばなおよい。

販売チャネルが違えば、類似した商品を納入しても文句は言われません。むしろ喜ばれます。そんな独自の販売チャネルを持つことが、二番煎じ戦略を成立させやすくする条件となります。


下請け


一時期、大企業による下請け切りが社会問題となったために、中小製造業にとっては脱下請けこそが経営のテーマになりました。

もちろんそれは間違いではありません。元請け企業の言いなりになって生産設備を増強したのに、方針が変わったとか言って受注を減らされたら往生してしまいます。

ただ安定して仕事がある限り、大企業の下請けという立場がオイシイことは間違いがありません。

私が知っている製造業の多くは、大企業の下請け仕事を受注したことで経営基盤が固まり、次のステージに入っていきました。いま、脱下請けがテーマになっているとはいえ、下請け受注をやめたわけではありません。その収益をもとに新規事業に挑戦しておられます。

今でも、地方でえらい羽振りのいい企業があるなあと思っていたら、鴻海の下請け仕事をしている。とかいう話は時々聞きますね。

世の中から下請け仕事がなくなるわけではありません。必要性は増しています。

アップルやサムスンの製品が、日本の下請け企業なしには成り立たないのは周知の事実です。

これからも、電気自動車であったり、ドローンであったり、ロケットであったり、新しい製品分野が生まれると、日本の下請け製造業に対する期待と要望は高まっていくでしょう。

もちろん何も考えないで元請け企業の言いなりになっているのは危険です。自ら、どのような技術が必要で、どのような製品分野に需要があるのかは見極めていかなければなりません。

そのためにも営業機能が必要です。下請け企業こそ営業を強化しなければなりません。営業の仕事は、自社製品を売り込むだけではありません。顧客の本音を聞き出し、悩みを知り、本当に必要とされていることは何かを推し量るための情報を得ることの方が重要です。強い営業がよりよい製品や技術を作っていくのです。

もちろん高い技術力、生産力は必要ですが、それに加えて営業機能を強化することが下請け企業としての寿命を延ばします。


周辺需要


儲かっている企業の周辺需要を探して、それを満たすことも、フォロワーの生き方の一つです。

一つの産業が興ると、その周辺需要も含めて経済効果が波及していきます。

例えば電気自動車が普及する過程には、充電のための設備が不可欠です。家庭用のコンセントで充電できるとしても、屋外使用可能な延長コードや場合によっては電気工事が必要になってきます。

コインパーキングには充電設備を備えたところがでてくるでしょうし、コンビニやスーパーの駐車場でも充電設備を設置してくるでしょう。

過疎地などでは充電施設が不足してくるかも知れませんので、簡易発電装置の車内搭載が必要になってきます。

そうなれば、充電機器、変電機、発電機の製造販売需要、電気自動車用充電設備の設置工事需要、スーパーやコインパーキングへの販売営業需要などが発生します。

ついでにいうと、ガソリンスタンドのオーナーに向けて、跡地を利用した新規ビジネス需要も現れます。

何も時代の二歩も三歩も進む必要はありません。半歩先ぐらい。普及が本格化しそうだな。ぐらいのタイミングで、参入すれば大丈夫です。

その時に必要なのが、新規ビジネスにすばやくアジャストする組織の柔軟性です。


サポーター


勢いのある企業や産業に従事する人たちのお手伝いをする仕事です。

有名な小話ですが、ゴールドラッシュ(金山で金鉱脈を見つける宝探しのようなことがブームになった時代のこと)で儲けたのは、穴を掘るためのツルハシや、作業用ズボンを販売する業者だったと言われます。

ジーンズのリーバイスなどは、その頃に成功した企業だそうですよ。

そこまで大成功するのは稀でしょうが、儲けている企業のサポーターとなれば、儲け口はいろいろありそうです。

我々のようなコンサルタントは常にサポーターの立場で仕事をしています。

大企業の周りには多種多様なサポーターが存在します。人事、財務、税務、法務、生産、物流、それぞれに専門家が存在しており、有益なサポートを行うことで、企業に利益をもたらします。

私は営業関連のコンサルタントですが、少し前までは製造業の脱下請けが大きなテーマでした。いまは、下請け企業として大手企業とどうかかわっていくかも、主要テーマになっています。

もう少し経てば、営業組織にいかにAIを取り込んでいくのかがテーマになっていくのだと思います。

勢いのある会社ほど組織のバランスがいびつですから、サポートするネタはいっぱいあります。


ニッチトップ


フォロワーに飽き足らず、自らトップを目指す小さな会社もあるでしょう。その際、現実的なのが、ニッチ市場でトップになるという方法です。

ニッチとはくぼみのこと。ニッチ市場とはくぼみに発生したような小さな市場をいいます。

それこそ離島とか、先端技術分野であるとか、特定の職業向けビジネスであるとか、早朝だけの需要を取り込むとか。

そんな小さな市場ですから、大手企業は本気になって取り組んでいません。優先順位が低くほったらかしです。

そこでいちはやく地盤を作って、市場を制覇してしまえば、安定的な収益を上げることができます。

しょせんはニッチ市場ですから、大儲けはできませんが、小さくとも安定的な収益が上がるビジネスを作ることができれば、経営は楽になります。


ニッチトップ企業になるためにはいくつかの条件があります。まずは、ニッチな需要をキャッチする感性があることです。世の中の流れをよく見ておくことも必要ですし、やはり営業が得意先の情報などから、兆しを見つけることが大切です。つまり、強い営業力がここでも必要です。

技術分野のニッチトップになるためには、高度技術に対応できる力が必要です。特定の分野を磨き上げることで、それは可能なはずです。

さらに大切なのは、新需要を捉えてビジネスとして成立させる構成力です。ありていにいうと、儲ける仕組みを作る能力です。

そのためには組織を柔軟に再編する体制が必要です。


籠城


どうしても稼ぐネタが思いつかない。という場合は、余計なコストの流出を避けて閉じこもるのが身のためです。

穴熊のように身を丸めてじっとしれいれば、とりあえずは延命できます。

孫子も「堅牢な城がいちばん攻めにくい」と言っています。

経営における籠城とは、いまの顧客をとことん守り抜くということです。既存顧客とのつながりを密にし、顧客対応力を高め、アフターフォローに努め、ファンの固定化を徹底する。

これは私の考える「営業の仕組み」をまわす。という作業です。

既存顧客だけでビジネスが回れば、新規獲得コストが掛からならいので、収益率が高くなります。

もちろん既存顧客だけのビジネスは先細りしていきますので、新規顧客開拓は必須なのですが、とりあえず寿命を延ばすことはできますね。

生き残ることこそが経営のテーマ


いくつか小さな会社の生き残り策を書かせていただきましたが、たいていの場合、全部取り組んでいると思います。

普段は下請け仕事をして、二番煎じも辞さず、周辺需要を取り込む。籠城するように顧客基盤を固めて、チャンスがあればニッチトップを目指す。

生き残るためには、したたかに柔軟にならなければなりません。

総じて言えることは、フォロワーといえども安穏としていたら生きのこれないということです。

フォロワーの戦略なんてしょせん延命策だと言いましたが、考えてみれば経営なんてすべて延命策の繰り返しです。トップ企業だからといって永遠に安定しているなんてありません。

それならば、変化を見逃さずに、小さなチャンスを捉えながら、柔軟に生きる小さな会社の方法も立派な経営です。

二番煎じだとか延命策だとかネガティブワードを書いておいてなんですが、そんなものに惑わされないでください。

誰だって生き残ることに必死です。

丸亀製麺のスタートは柔軟で素早かった

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丸亀製麺を運営するトリドールの記事です。

もともと同社は、焼き鳥チェーンの「とりどーる」を運営していましたが、いまや丸亀製麺が稼ぎ頭です。

記事では、焼き鳥チェーンが成功していたことが書かれています。参考になりました。

身軽で柔軟なトリドールの姿勢


成功していたのに、さぬきうどんの業態を作ったのは「鳥インフルエンザ」の流行により、焼き鳥業界全体が低迷した時期があったからです。

このあたりの事情は、「狂牛病」騒ぎに巻き込まれた吉野家に似ています。

吉野家は過去の栄光を捨て去れるのか

が、吉野家は日本を代表する外食チェーンとして確固たる地位を築いていましたので、新業態を作るにも元が重すぎて難しかったのでしょう。

それに比べてトリドールは、まだ数店舗の段階でしたからやりやすかったということもあります。


しかしもっと大きな理由は、トリドールの経営者は創業社長なので、自分の判断で方向性を決めやすいという事情があったからだと思います。

吉野家の場合、当時の安部社長は「ミスター牛丼」だったとはいえ、創業者ではありません。吉野家はイケイケで破綻した過去があるので、保守的な社風であるということもいえますね。

ともあれ、トリドールは、みごと日本を代表するさぬきうどんチェーンを築き上げました。


柔軟性は、海外進出の際にも表れています。

同社は必ずしも丸亀製麺というコンテンツにこだわっているのではなく、進出する現地にあわせた業態を志向しているようです。

さすが創業社長ですな。

丸亀製麺はまだ出店余地があるはず


ただ国内の丸亀製麺に関しては、ライバルのはなまるうどんのだらしなさに助けられているきらいがありますな。

丸亀製麺は、味にこだわるという理由で、各店舗に製麺機を置いています。それが同店の象徴になっているのですが、場所をとられるというデメリットもあります。

だから丸亀製麺は狭い場所、ショッピングセンター内のフードコートや駅構内などには出店しにくいという制限があります。

ライバル会社はここを突くべきですよ。

セントラルキッチンでつくった麺が必ずしも不味いわけではないはずです。イメージを覆すよなうどんを作って、狭いスペースにどんどん出店していけばいいのです。

逆に丸亀製麺側は狭いスペースでも対応可能な製麺機を開発するなどして、出店範囲を広げていかなければなりません。

どちらが先に対応するかという問題です。が、はなまるうどんの動きは鈍そうですね。

ちなみにはなまるうどんは、吉野家HDです。

牛丼がイマイチなんだから、ここで頑張らないとあきませんよ。






吉野家はいつ根本的な施策を打ち出すのだろうか

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吉野家が新メニューを導入したという記事です。

「小盛」と「超特盛」だとか。いま既にある「並盛」「大盛」「特盛」とあわせて5つになったそうです。

吉野家はビジネスを根本的に変える時期にきている


吉野家については、少し前にメルマガに書かせていただきました。

吉野家は過去の栄光を捨て去れるのか

大赤字になった原因は、労働力の不足とそれに伴う賃金上昇にあると伝えられています。

さらには、ターゲットが狭いこととそれに適応したメニューの幅の狭さもあります。

簡単にいってしまえば、吉野家がターゲットとする男性労働者がたくさん存在しており、創意工夫をもって働く従業員もたくさんいるので、安く大量に販売することで小さな利益を積み上げることができた「高度経済成長期」のビジネスモデルです。

ところが今は、男性労働者は高齢化してしまって数も少なくなり、従業員も不足しており、安く大量に販売することが機能しづらくなりました。

吉野家は、ビジネスを根本的に再編しなければならない時期にきているということです。

今回の施策は時間稼ぎか


ところが今回の施策は、単品のサイズバリエーションを増やすという程度のものであり、なんら根本的なものではありません。

高齢化したターゲットに向けて小盛を導入したとか、理屈はあるようですが、いかにも小手先です。

こんなことで業績が上向くとは吉野家も思っていないでしょう。

今回の施策は、やらないよりはマシだという延命策です。延命になればいいですけどね…

とりあえず時間を稼いで、根本的な解決策を考えようということでしょう。

おそらく、ファミリー層にターゲットを広げた新業態店舗を作る。海外展開に挑む。あるいは牛丼とは別の飲食を手掛ける。といった方向性になるのではないかと思います。

全く違う方向性を打ち出すかもしれませんね。それはそれで楽しみにしております。







少子高齢化と人口減少に直面する日本を破綻させないために我々がすべきこと

少子高齢化
(2019年3月7日メルマガより)



デービッド・アトキンソン氏の著作「日本人の勝算」が話題ですね。


日本人の勝算: 人口減少×高齢化×資本主義
デービッド アトキンソン
東洋経済新報社
2019-01-11


私も読ませていただきましたが、実に多くのヒントにあふれた著作です。

おすすめいたします。


日本人が当たり前だとスルーしていることに気づかせてくれる


デービッド・アトキンソン氏は、1965年生まれのイギリス人です。私より一つ歳下ですね。

投資銀行ゴールドマンサックスの調査室長を務めた後、日本の美術工芸品等を修復する会社に入社し、現在はその社長です。

日本在住30年という日本大好き英国人です。

その独特の立場から日本社会に対して、鋭い切り口で提言をしてくれています。


外国人の日本論は、我々がふだん当たり前だとスルーしているようなことに改めて光を当ててくれて参考になることが多いのですが、この本もそうでした。

少子高齢化と人口減少という誰もが知っていて疑いようのない事実を起点に、日本経済や日本人を論じます。

いま日本が類をみないほどの勢いで少子高齢化と人口減少に向かっていることは、周知の事実です。

ところが、当たり前すぎて事の深刻さに無頓着になっているきらいがないでしょうか。あるいは怖すぎて目をつぶっている人が多いのではないでしょうか。

アトキンソン氏は、反応が鈍い我々に警鐘を鳴らしています。


人口が減れば日本は破綻してしまうかも知れない


日本は現在、世界第3位のGDP規模を持つ経済大国です。

ところが、人口がこのまま減っていくと、当然ながらGDPは下がっていきます。

もし人口が8千万人になると、現在のドイツと同等程度。6千万人に減ると、フランスと同等です。

このまま美しく没落していくのならまだいいのですが、老人ばかりが増えて、若者が増えないこの国が、破綻せずに維持していけるのか甚だ疑問です。

しかも日本はいまものすごい借金を抱えています。その負担は、少ない若者世代への贈り物です。

若い時の苦労は買ってでもしろ。といいますが、さすがにこれは買いたくないでしょう。相続放棄もできない。となれば、親の因果が子に報い。と言うべきか。

冗談ではありませんな。最終的には高齢者の資産を強制的に没収しようとでも考えているのではないか。と疑ってしまいます。


一人当たりGDPは最低レベル


先ほど、ドイツやフランスをひきあいに出しましたが、あちらと日本には大きな差異があります。

それは、一人当たりGDPの大きさです。

フランスの一人当たりGDPは世界12位。ドイツは21位です。(2016年のデータ)

これに対して日本の一人当たりGDPは29位。先進国の中でも最低ランクです。

要するに、日本のGDP規模が大きいのは、単純に人口が多いからです。一人当たりの生産性は、決して高くない。どころか先進国の中では際立って低い。

ということは、人口がドイツやフランスと同等になったら、GDP規模はさらに小さくなってしまうということです。

えらいことですな。


もっとも、そこに望みを見ることもできます。

日本の一人当たりGDPが低いのなら、それを上げる余地があるということです。

目いっぱいの生産性を発揮しているならそこに伸びしろはありませんが、日本は違います。

日本人が欧州の人に比べて劣っているというわけではありません。生産性を上げる工夫をしてこなかっただけです。


ちなみに、日本の人口が少なくなるのなら海外に市場を広げよう、という考えが当然あります。が、諸々のデータによると、生産性が高い企業でないと、輸出に取り組めないという因果関係があるそうです。(「日本の勝算」による)

だとすれば、やはり、1人当たりの生産性を上げる。ということに、日本が生き残るカギがありそうです。


高度経済成長時代の成功体験がぬけ切れていない


それにしても日本人の生産性が低いのには、どういう理由があるのでしょうか。

同書によると、世界の評価機関が認める日本の人材の質は世界第4位です。(フィンランド、ノルウェー、スイスに次ぐ)

人材の質はいいのに、生産性が低いって、それはやり方が悪いってことですよ。


同書の中でアトキンソン氏が指摘するのは、日本企業の経営の在り方が、高度成長期の頃と変わっていないことです。

戦後の奇跡的な経済成長は世界の語り草になっていますが、その主要因は人口増加です。

日本には爆発的な人口増加がありました。終戦時に7000万人超だったものが、2000年には1億2千万人を突破しています。たった55年で5000万人が増えたのです。

それはGDPも拡大しますよ。

その特殊な状況下において、産業界は豊富な人材を前提にした企業運営を行いました。

それが日本式経営といわれる「終身雇用」「年功序列」「企業内労組」であり、低廉な労働力をあてにした「いいものを安く作って売る」ビジネスモデルでした。

バブル崩壊以降、日本式経営は徐々に見直しされていきましたが、「安く作って売る」ビジネスは相変わらず王道と見なされています。

前回のメルマガでとりあげた吉野家も「安く作って売る」ビジネスの典型ですね。



皆が一様に「安く作って売る」ビジネスを続けると、価格競争の消耗戦になり、賃金は据え置かれ、デフレスパイラルに陥ります。

吉野家もすき家もあらゆる飲食店もコンビニも、低廉な労働者頼みのビジネスは、すべて高度経済成長時代のモデルです。

日本全体が未だそういう状態ですから、生産性も上がらないはずですよ。


生産性を上げる3つの要因


ではどうすれば、生産性を上げることができるのか?

「日本人の勝算」には、イギリスでの試みが紹介されています。

実をいうと、イギリスの一人当たりGDPは28位。日本の一つ上に過ぎません。

困ったイギリス政府は、生産性を上げる方法を諸機関に調査させて、3つの要因を導き出しました。

簡単に言いますが、その3つとは

(1)起業家精神

(2)設備投資

(3)人材投資

となります。イギリスはいま、この3つを促進する政策を行って、生産性向上を図っているそうです。


上の3つですが、(2)設備投資(3)人材投資はわかりやすいと思います。設備を増強すれば、一人ができる仕事量が増えますから、生産性は上がります。人材を教育すれば、やはり生産性は上がるでしょう。

ここで大企業の優位性が出てきます。中小企業はどうしても設備投資、人材投資に劣る傾向があります。

日本の場合、中小企業がある程度淘汰されて、規模の大きな企業に集約されなければならないといわれる所以です。


日本人に必要なのは「起業家精神」


では(1)起業家精神とはいかなるものか?

同書の中では「新しい発想を持って、既存の経営資源(人材、技術、資本)を組み直したり、新しい企業体系を作ったり、技術と組織、その他の資源の新しい組み合わせを構築すること」と書かれています。

つまり、新しい需要の発見や、チャネルの現出、技術の革新などチャンスを捉えて、経営資源を柔軟に作り変えることができる能力のことを指すものです。必ずしも起業しなければならないのではなく、既存企業の方でも持つことができます。

ここ重要です。日本人が苦手な部分だからです。


社会が変わってしまったためにビジネスがうまくいかなくなった。というのは、どの産業においてもあり得ることです。

私がお付き合いする中小企業の多くも、常に時代の流れと戦っています。

時代が変わると、顧客の要求も重要な技術も機能するチャネルも変わります。自分が所属する産業そのものがなくなってしまうことすらあります。

そんな時、どのように振舞うかが経営者の腕の見せ所です。

冨士フィルムのように写真フィルムそのものがなくなってしまった例は極端ですかね。しかしそれでもかの企業は生き残っています。

これからは自動車産業がなくなってしまうかも知れません。残ったとしても、相当変質してしまいます。だからトヨタは焦っていますね。

一つのビジネスが永続的に繁栄することはありません。企業の寿命30年説とはよく言ったものですが、今はもっと早い。何も変えないと、5、6年でダメになってしまうでしょう。


社会が変化すればチャンスも無数に生まれる


だけど、社会が変化する時には、チャンスも多く生まれます。

ガソリン自動車がなくなる替わりに、電気自動車が主流になろうとしています。それを狙って、テスラやダイソンなどの組み立てメーカーや、電池の開発メーカーが主役になろうと名乗りを上げています。

自動運転車が主流になれば、今度は、AIの開発企業や、配車システムの運営企業が産業の主役になるとみなされています。グーグルやアップル、マイクロソフト、アマゾン、ウーバーなどITオールスターズが鎬を削る産業になりそうです。

あるいは、宇宙開発しかり、生命科学しかり、次世代農業しかり、それぞれの分野で革新的な技術が生まれ、新しい需要が育ってきます。

そんな大きな変化だけではありません。無人コンビニが流行りそうだ、となれば、そこに関わる業者ががらりと変わるかも知れません。

働き方改革を進める上では、事務作業をAIに任せる必要があり、その移管のための専門業者が出てくるかも知れません。

それこそチャンスは無数にあります。誰だってわかるでしょう。


チャンスをものにする能力


ところが、このチャンスに対して日本企業の動きは非常に鈍いと言われています。

当然ながら、チャンスを見つけた、革新的な技術を開発した、というだけは業績になりません。

チャンスを見つけたら、それを成果にすべくビジネスを作らなければならない。そのために、経営資源(人材、技術、資本)を組みなおし、相応しい体制を作らなければならないのです。

どうも日本企業はこれが苦手です。現状の会社組織のままで新しいビジネスに対応しようとします。せいぜい少人数の新規事業部門を作るぐらいです。

これをアトキンソン氏は「組織を変えることを面倒がる」と表現しています。そうなんですね、日本人は現状を変えることを極端に嫌います。改善はしても、再編、組みなおしには抵抗します。

私はコンサルとして、現状維持圧力の強さを嫌というほど見てきました。まったくもって、みなさん頑固ですよ。

せっかく新規事業部門を作っても、兼任者数名と事務員のみという陣容で、既存部門と連携も協力も得られない、ではテストにもなりませんわな。

せっかくのチャンスをものにしようという意識が致命的に低いのです。


そこをいくと、欧米の会社は、チャンスの大きいところに大胆にシフトチェンジしようという姿勢があります。

既存の組織がやりたがなければ、会社を飛び出して自分でベンチャーを立ち上げようとします。

そしてそのベンチャーが育つと、既存組織がM&Aで回収する、ということを繰り返しています。

このダイナミックな動きこそが(1)起業家精神です。この繰り返しが、新しい成長産業を生み出し、社会全体の生産性を向上させていくことにつながっています。

確かに、新しいビジネスは欧米から来ることが多いですよね。。

翻って日本は、開業率の低さがしばしば嘆かれる事態となっています。


小さな会社は、万年ベンチャーみたいなもの


アトキンソン氏は「日本人は動きは鈍いが、一度取り組めば、驚くほどの完璧さでやってしまう」とも書いています。

お褒めいただき嬉しい限りですが、それって変化の激しい時代にはあまり活躍できない能力ですよね。

少なくとも、中小企業、零細企業は、小回りが利くことが強みです。万年ベンチャーのようなものではないですか。そんな小さな会社が、チャンスにアジャストするスピードと回転数で勝負しないでどうするんだって話ですよ。

私がそんなことを言っていると、知り合いの中小企業の創業会長さんは「(中小企業の経営者は)みんな歳とったからなあ。気力もないし、勉強もしとらん。たぶん7割は潰れるで」と仰っていました。(その会社は事業承継もうまくいって、成長を続けています)

まるで、元中日監督の落合博満氏が「阪神タイガースは今年もダメだよ。あいつら練習してないもん」と言うような口調でした。

なんとも情けない。小さな会社こそ戦略を身に着けて、瞬時に動く身構えをしておかなければなりません。足りないのは戦略です。

「戦略がなければ生き残れない」

と、伝えきれない私への自戒も込めて、そう言っておきます。


ちなみに「日本人の勝算」の中で、アトキンソン氏は「最低賃金をもっと上げよ」としきりに提言しています。

最低賃金の上昇は日本の全ての事業に影響を及ぼします。頑固極まりない日本の経営者も、法律で最低賃金を上げられてしまえば、今まで通りの「安く作って売る」やり方ができなくなります。

尻に火が付けば、さすがに「どうすれば儲かるか」新しい戦略を考えるようになるだろう。

というわけですね。

なんだか棒切れで羊を追いやるようなやり方ですが、そうしなければ日本企業は変わらない。というアトキンソン氏の見解です。真摯に受け止めようではないですか。

ホンダの英国工場閉鎖で取り沙汰される病状の深刻さ

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ホンダよ、お前もか!?

と叫びたくなる記事です。

英国工場の閉鎖は、EU離脱問題とは無関係


先日、ホンダが英国工場を2022年までに閉鎖すると発表しました。

時期が時期だけに、英国のEU離脱を理由にしたものとして報道されてしまい、英国メイ首相から「深く失望している」と言われる始末です。

ホンダ側は、工場閉鎖と英国のEU離脱は無関係と表明しており、事情通からも「販売不振の結果だ」と言われておりました。

上の記事は、その実情について書いております。


 すでに多くのメディアが報じているように、ホンダの欧州ビジネスは最悪の状況に陥っている。2018年のホンダのEU、英国での販売台数は13万6000台にすぎない。SUVを主体とし、ホンダより平均売価がずっと高い三菱自動車にも販売台数で負けた。シェアは1%にも満たず、ヨーロッパ大陸ではもはやカルトカー(珍品)レベルだ。

なんとも、ひどい言いようですな。

欧州といえば、ホンダは昔からF1参戦で実績を残し、それなりに知名度もあったはずです。それが、1%のシェアにも満たないというのは、お粗末な限りです。いったいどういう戦略で臨んだのかと言いたくなりますが、その部分は記事には書かれていません。

こうなった以上、勝つ見込みのない場所でだらだら続けるのはもっとダメですから、撤退の判断は経営陣としては、当然だったことだと思います。

ホンダも社内政治の会社になってしまったのか?


しかし、それ以上に気になるのが、この記事に書かれたホンダの官僚化ともいえる組織の状況です。

真偽不明と敢えて言いますが、「トップに明確なビジョンがない」「誰のために車を作っているのかわからない」「過剰な忖度で政策が決まる」など、腐った組織あるあるです。

これって、日本の家電メーカーやかつての日産が軒並み罹患した大企業病そのものではないですか。


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2016-04-21

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2016-02-18

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原田 節雄
さくら舎
2012-09-04



工場閉鎖の発表をもう少しずらしておけば、これほど波紋を呼ばなかったでしょうに、タイミングを測ることすらできないほど、ホンダの経営陣は切羽詰まっていたのか、あるいは外部の反応など頭になかったのでしょうか。

記事では「EU離脱と重なって、閉鎖の口実ができたので、逆に運がよかった」などとまで言われていますね。

この作者、よほど恨みがあるのか、逆に好きで憂いてるのかどちらかですな。

ちなみに私も、ホンダのファンで、マイカーはいつもホンダです。ホンダの独自性や個性が好きだったからですが、最近はその個性が薄れている気がしていました。ただホンダもトヨタも日本市場を重視していないので、日本で販売する車にも力が入っていないのは仕方ないのかなと思っていました。

その上、欧州でもパッとしないとなるとどこで勝つのでしょうか?

本田宗一郎というバケモノを支えた藤沢武夫。二人の「最強伝説」

↑ この頃を思い出せーと言いたくなりますよ。

もっとも強烈なカリスマ創業者だったからこそ、その後が官僚化していったとも言えるわけで、組織をイキイキと維持させることのむつかしさを痛感させます。





カルロス・ゴーンが日産をV字回復させた7つの施策

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雑誌のFLASHが、上記のような記事を掲載していましので、メモしておきます。

ちなみにカルロス・ゴーン氏は、1999年にルノーから日産に送り込まれてきました。当時、日産はいつ倒産してもおかしくないような状態でした。頼みの金融機関も不良債権問題で余裕がなく、ルノーに支援をお願いするしかなかった状況でした。

ゴーン氏は、ミシュランやルノーでコストカットの手腕を発揮した再建屋とみられていました。彼が日産でまずやったことは、若手を中心とした組織横断的なチームを作って、日産の再建策をまとめさせること。これが、日産リバイバルプランです。

その内容は、1兆円のコストカット、負債の50%削減、2002年までの黒字化など相当大胆なものでした。

日産リバイバルプランによる7つの施策


1.購買コストの20%削減、サプライヤー数の50%削減。それに伴う系列の解体。

2.国内5工場の閉鎖。労働組合とも折り合い。

3.販売組織の再編。ディーラー網を解体し、統合を進めた。

4.グローバル組織を再編し、グローバル展開を強化。

5.商品開発力の強化。

6.人事制度の改革。成果主義を導入し、若手でも実力のある者を抜擢できる体制に。

7.ルノーとの提携強化。グローバル展開の強化、および部品共有によるコスト削減策の強化。


単に出血を止めるだけではなく、V字回復の道筋をつけるための計画であり、それを短期間でやりとげた手腕は、期待以上のものがあったといえます。当時は、この上なく賞賛されたと記憶しています。


日産リバイバルプランが前倒しで達成されたのが、2001年のこと。その功績を買われて、2005年には、ルノーのCEOも兼任するようになります。

ゴーン氏に権力が集中し、それが今の事態につながったことはまた後の話です。

ともあれ、瀕死の日産を再建させた手腕は鮮やかでした。覚えておきたいと思います。


参考:カルロス・ゴーン事件が教える組織の腐り方





東京一極集中が止まらないようです

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なかなかショックな記事です。

転入者数から転出者数を引いた「転入超過数」でどの道府県から東京圏に流出が多いのかをみると、最多は大阪府で1万1599人。東京圏の転入超過数の約1割を占めた。愛知、兵庫が続き、1千人以上の流出が36道府県に及んだ。

大阪に至っては、5年連続で1万人超が流出しているということですから深刻です。

最近にぎわいを取り戻している大阪がいちばん東京圏のへ人材供給地域となっているわけですな。

ただ流出の大半は若者で、学校を出て首都圏に本社のある会社に就職するために出ていくということです。ならば、近隣の県から大阪の大学に集まってきた大学生たちが、ワンタッチして流出している図式が見えます。

大阪も魅力がないというべきですが、もっと深刻なのは、やはり都心以外の地域であるといえそうです。

人口減少に伴う都心集中は必然だが…


人口が減ると、機能的に便利な都心に人が集まるのは必然です。だから、この流れは今後も止まらないでしょう。

逆に人の減った地方は、土地の権利関係を単純にしたうえで、広い場所でなければできないことをやることになります。

大規模な農業法人や、工場などの立地になります。

相対的に地価の安い場所ですから、一般人でも広い邸宅に住むことができるかも知れません。

そうなると、地方もそこそこ楽しい場所になってきますね。


ただし、大阪や名古屋、福岡など地方の都心は、もう少しがんばってもらわなければ、本当に東京圏一極集中になってしまいます。農地にするにしろ、工場を作るにしろ、都心から離れすぎていたら、成立しません。

私は個人的には、地方で生き残りを図る小さな企業や事業者に戦略を持ってもらいたいと考えて、活動しています。

ただ本当の過疎地でビジネスを作っていくのはハードルが高いです。やはり、国の方針として、地方都市の政策の自由度を上げてもらわなければなりません。

端的にいうと道州制の導入ですね。地方ごとに特色のある施策が打てるようになると、生き残る選択肢が増えて、ハードルが下がります。

切に望む次第です。





吉野家は過去の栄光を捨て去れるのか

吉野家


(2019年2月21日メルマガより)



牛丼の吉野家の業績が振るいません。2018年3月〜11月までの連結営業損益は5億円の赤字です。(昨年同時期は25億円の黒字)

今年2月期の最終損益でも11億円の赤字が見込まれています。


赤字転落の主要因は「ステーキどん」などを展開する子会社の不調だということですが、本業である牛丼チェーンの実績も危ういです。

売上高は伸びているものの営業利益は前年に比べて落ち込んでいます。

競合の「すき家」が営業増益だったことに比べると、明暗が際立つ格好になってしまいました。(松屋は営業減益)


山あり谷あり 吉野家の歴史


それにしても吉野家というのは、毀誉褒貶の激しい会社ですな。

吉野家は、1899年(明治32年)東京日本橋の魚市場で設立されました。関東大震災により、築地市場に移転したのが1926年(大正15年)です。

1968年(昭和43年)に、チェーン化を開始。「うまい はやい 安い」という名コピーとともに、全国展開。10年後の1978年(昭和53年)には、200店舗を達成しています。

私が初めて吉野家の牛丼を食べたのも、この頃だったと思います。

牛肉といえば高級なものというイメージが残っていた時代です。それがファストフードで食べられるというのは衝撃でした。

牛丼チェーンのパイオニアとして、牛丼といえば吉野家、吉野家といえば牛丼。まさに牛丼の代名詞となっていきます。

ところが、1980年(昭和55年)に倒産の憂き目を見ます。急激な全国展開により、組織のたがが緩んでしまったことや、効率化を急ぐあまりの味の悪化が客離れを招いたことが原因であるとされています。

吉野家は会社更生法を申請。不採算店舗のリストラを図るなどしてスケールダウンを進め、黒字化します。およそ100億円の債務を返済し終わったのが1987年(昭和62年)でした。

どうもこの時の経験が、吉野家を保守的な会社にしたのではないかと感じます。


ともあれ、吉野家は、その後、セゾングループの支援を受け、1990年(平成2年)には株式を店頭公開するに至ります。

その2年後の1992年(平成4年)に社長就任したのが、後に「ミスター牛丼」と呼ばれるようになる安部修二氏です。

安部氏は、ミュージシャンを目指していた頃にアルバイトとして吉野家に関わったという経緯の人です。

倒産の危機にも会社を離れなかった生え抜きの実力者である安部氏は、牛丼の味を魅力あるものに高めると同時に、店舗のローコスト運営を徹底していきました。

安全経営かつ拡大成長の最適バランスを見出した吉野家は、再び全国展開を推し進めていきました。

牛丼一杯を280円で販売しながら営業利益10%を叩き出すという驚異の効率経営をなしとげた安部社長は、一躍時代の寵児ともてはやされたものです。

吉野家の経済学 (日経ビジネス人文庫)
安部 修仁
日本経済新聞社
2002-01-01




BSE騒動時における安部社長の決断


ところが、その吉野家に前代未聞の試練が訪れます。

2004年(平成16年)BSE問題(いわゆる狂牛病問題)により米国産の牛肉が輸入できなくなってしまったのです。

米国産の牛肉にあわせて牛丼の味を作っていた吉野家とすれば、他国の肉に変えることは、テイストが変わってしまうことを意味しています。

この危機に際して、安部社長は牛丼の提供停止を決断します。

まさに牛丼の代名詞であった吉野家が、牛丼を提供しないということになったのです。(代わりに、豚丼や鳥丼を提供)

吉野家の牛丼の味を変えてはならないという思いからの施策としては賛否両論あるでしょうが、決断そのものは安部社長の強いリーダーシップと実行力を表すものだと評価すべきでしょう。

しかし、2006年(平成18年)に輸入解禁されるまで、牛丼という主力商品を封じられた吉野家は、売上の低迷に苦しむことになりました。

(安部社長は2014年に退任)


すき家の躍進


BSE騒動の際にも拡大路線を維持し、牛丼業界のトップに躍り出たのがゼンショーグループの「すき家」です。

いやむしろBSE騒動で吉野家が委縮している今こそ攻め時だと店舗拡大を加速させていきました。

ゼンショーグループの創業者小川賢太郎氏は、元吉野家の従業員でしたが、倒産の危機時に独立しました。

当初は弁当屋としての創業でしたが、後に牛丼のすき家を立ち上げ、主力チェーンに育て上げます。

牛丼一筋、主要客が男性の吉野家に対して、すき家はファミリー客を志向しており、チーズ牛丼やらキムチ牛丼やら、バラエティ豊かなメニューを持っています。

BSE騒動に際しては、いちはやくオーストラリア産牛肉への変更を決断し、販売を再開しました。

これはこれで素晴らしい判断だったと思います。

松屋も出店を控える中、すき家は、出店拡大路線を爆走していきました。


2017年度の実績では、すき家の店舗数は2798店。吉野家が1200店、松屋が1127店ですから群を抜いています。

ちなみに売上高は、すき家が2036億円、吉野家が1000億円、松屋が930億円です。

すなわち、店舗数においても売上高においても2位の吉野家にダブルスコアの差をつけていることになり、牛丼業界の中では勝負がついた状態です。

いわばスパートするタイミングを間違えなかったすき家の勝利だといえるでしょう。


急拡大のひずみ


ところが、すき家も急拡大のひずみに苦しんでいます。

牛丼という商品は、伝統的に低価格での提供が固定化しています。昨今の原材料の高騰を売価に転嫁しにくい業態です。

その上、BSE騒動を契機に1店舗あたりの売上高が下げ止まりしていますから、利益を上げるためには人件費を削らざるをえません。

急拡大を推し進めたすき家はなおさらです。

ワンオペ(一人で店を取り仕切ること)が常態化しているブラック企業だと批判を浴びるハメになってしまいました。

2014年頃から、その傾向は顕著になり、休業する店舗が増えてきました。これは、人材が確保できないためだと考えられるので、急拡大路線のツケが回ってきたと言っていいでしょう。


とはいえ、すき家の売上高は、ゼンショーグループ全体の40%以下です。

同グループは物凄い勢いでM&Aを繰り返し、日本で最大の外食チェーングループとなっています。

グループ内には、牛丼チェーンだけではなく、回転寿司、ステーキ、ラーメン、パスタ、和食、ファミレスなど何でもありの状態です。

今のところ、イマイチな牛丼チェーンの替わりに、回転寿司の浜寿司が稼いでくれているようなので、ポートフォリオがうまく機能しているといえます。(とはいいながら、手を広げすぎているので整理すべきだと思いますが)


吉野家グループは弱者連合


実は、吉野家もBSE騒動以来、多角化を進めてきました。

はなまるうどんやステーキのどん、京樽を傘下に持っています。

しかしゼンショーほど多角化路線に積極的ではなかった吉野家グループの場合、牛丼の割合は依然として50%を超えています。

つまり牛丼の業績によってグループが左右される状況であるということです。

いや、それが悪いとは一概には言えません。

やみくもな多角化がしばしば経営危機につながることはよくあることです。事業を集中させる方が運営しやすいという側面もあります。

それよりも問題は、吉野家グループが、業界下位の弱者たちの集合体であるということです。

しかもそれらの企業群がそれぞれ弱者の戦略を的確に実行しているかというと甚だ疑問です。

弱者が、さしたる差別化もなく、日々の業務をこなしているだけだと、じり貧になるのは当然です。そうなると存在そのものがリスクです。

今回は、その一つ、ステーキどんが業績の足をひっぱったということですから、ポートフォリオが悪い方に機能した形になってしまいました。

この際、弱者の戦略を実行できるあてがないならば、整理してしまうべきでしょう。


過去の成功モデルを捨て去ること


吉野家は、牛丼業界の中の弱者です。

弱者なら弱者らしく、思い切った施策を打たなければなりません。

が、ここに保守的なかつてのトップ企業の老舗体質が足かせとなっています。


そもそも吉野家が作り上げたシステムじたいが時代遅れになっています。

牛丼というジャンルを創造したパイオニアとしての功績は称賛されるべきです。

しかし、それも過去のこと。

男性労働者をターゲットに、商品を牛丼ひとつに絞り、経験豊かな従業員が少人数で回し、ぎりぎりの利益を積み上げていく昭和感満載のビジネスモデルは実質破綻しています。

原材料の高騰と為替リスク。客数の減少、労働者の不足。。。ことに労働力不足の今日、経験豊かな従業員を確保することがきわめて困難な状況です。

調理ロボットを導入してさらなるコスト減を図る。というのもありかもしれませんが、どこまで効率化できるのか未知数です。

現実的なのは、単価を上げることですが、そこが吉野家はできていません。

一時、高単価メニュー「牛すき鍋」で話題をさらいましたが、結局、吉野家に来る客は、牛丼を求めるようです。

この部分では、もとからメニューが多く、単価を上げやすいすき家や松屋に優位性があります。

それでもギリギリの薄利多売ビジネスなので、少し風向きが変われば途端に赤字になってしまいます。

ましてや吉野家をや。

遅ればせながら、同社は、女性をターゲットにした新業態店(セルフサービスで、テーブル席中心のゆったりできる店)を試しているようです。

これが機能すれば、単価の高い新メニューを投入しやすくなるでしょう。

だけど今の店舗形態は、昭和のビジネスモデルに適合しすぎていて、どうしようもありません。

かつてすかいらーくが全店をガストに業態転換したように、いささか強引なスクラップ・アンド・ビルドがあってもいいでしょう。

そのためにも、実験店を多くつくって、次世代のビジネスを早く見つけなければなりません。

過去に成功した栄光のビジネスモデルにしがみついている場合ではないと思う次第です。


参考




中国はバブル崩壊前夜なのか

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最近、いい話のない中国経済に関してですが、こういう記事をみるとほとんどバブル崩壊前夜ではないかと思えます。

記事によると中国企業の発行するドル建て社債の金利が平均7%を超えたとのこと。10%を超える企業も多くなっています。

(ちなみにアメリカの政策金利は2%程度です)

中国のバブル崩壊は世界経済を壊滅的にする


金利が高くなるのは、発行する中国企業に問題があり、リスクを勘案すれば金利を高くせざるを得ないからです。

中国企業の業績が全体として悪くなっている上、債務不履行を起こす企業も多いらしい。

社債発行の理由も「借り換え、返済、償還」が過半に達しているということなので、借金のための借金を重ねるうち、金利だけが増えていくという悪循環に陥っています。

社債を購入しているのは中国内の銀行が多いということですが、返せるあてのない貸付金が積みあがっている状況は、かつての日本のバブル崩壊を想起させます。


中国がバブル崩壊すれば世界経済そのものが壊滅的な影響を被ることになります。

南海トラフ地震がいつ起きるかはわかりませんが、中国経済という爆弾はもっと早く来そうなので、よほどの注意が必要です。




ZOZO離れはなぜ止まらないのか

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「『雉も鳴かずば撃たれまい』というが、この人は雉どころか孔雀が羽を広げているようなものですからね」by大前研一氏

もっともZOZOTOWNの前澤社長とすれば、充分な計算の上に鳴いていたのでしょうが。

前澤社長けんめいの話題づくり


月旅行計画をぶち上げたり、ツイッターで100万円を配ったり、キャッチーな話題に事欠かなかった最近の前澤氏ですが、今度は本業の方での不振が伝えられるようになりました。

おかげでツイッター休止宣言をするはめに。

前澤氏とすれば、自分自身が話題になることでZOZOTOWNへのアクセスを伸ばそうという意図があったことでしょう。

量販店化していったZOZOTOWN


ZOZOTOWNはアパレルECの大手です。売上そのものはそこそこですが、利益率が高く、株式市場でも大いに注目されています。

利益率が高いのは、ZOZOTOWNがいわばセレクトショップのEC版だったからです。ファッション感性の高い人向けに、厳選した商品を販売するスタイルです。EC(電子商取引:ネット通販)なのに、購入も配送も返品もスムーズにストレスないように設計されていたので、支持を集めました。

しかし、注目を集めすぎたようです。ECといえばアパレル業界の中でも唯一といっていいぐらいの成長分野です。ZOZOTOWNはその端っこに店と作ったつもりが、いつの間にか一丁目一番地になっていました。

会社は急成長し、地味に堅実に売っていく、というだけでは株主の期待にこたえられなくなりました。だからここ最近は、扱いブランドも多種多様になり、急速に量販店化していったように思います。

前澤社長の涙ぐましい話題づくりも、いかにも量販店のイメージに拍車をかけていると感じます。

各社、自社ECサイトを立ち上げる時期に


最近、ブランドのZOZO離れが話題になっています。直接の理由は、会員向けに常時値引き販売を始めたことが、ブランド価値を棄損する、と判断されたことだそうです。

が、実際のところは、ZOZOTOWNに商品を提供するよりは、自社でECサイトを立ち上げたらいいや、と力のあるブランドが考え始めたということでしょう。

実際、アパレルECサイト黎明期と違って、力のあるブランドメーカーは自社サイトの運営に乗り出しています。

ZOZOTOWNに残すのは、安売りイメージがあってもいいブランドか、シリーズだけということになり、アマゾンのサイトと変わらなくなっていきそうです。

顧客との関係性づくりは失敗したのか?


もう一つ、大きかったのは、ゾゾスーツなるものの失敗だと私は考えています。

自社PB商品を販売するためという名目で、ユーザーの身体のサイズを正確に測定するために、特殊スーツを配布するなんてアイデア、他のECショップは思いつかなかったでしょう。

そこまでユーザーとの密接な関係性を築こうとするZOZOTOWNには、各ブランドメーカーも畏怖したはずです。

ところが、なんだかよくわからないうちにとん挫してしまって、スーツがなくても採寸はできる、なんて言い出しました。

各メーカーも「なんだその程度だったのか」と見くびる気持ちになったとしても仕方ないですね。


まあ、ZOZOは、これからPBを充実させて、製造小売りとして展開していこうというのですから、出ていくブランドがあっても仕方ないことです。

イマイチなPBの販売策を充実させてさらなる発展を期待したいと思います。





アマゾンが成長鈍化 GAFA同士の競合激化へ

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最近、何かとネガティブな話題が多いアマゾンです。自動運転車に参入するということですから、前向きな話なのですが、記事は、成長鈍化と結びつけています。

アマゾン側は、配送業務等における生産性向上のため、と説明しているようですが、この分野はグーグルやアップルやその他のIT企業らとガチでぶつかります。

棲み分けよりも、競合する方向へ向かっていくようです。

過去最高の業績でも、成長性は鈍化


とはいっても、アマゾンの業績は絶好調です。

アマゾン「最高で最悪」の四半期 10-12月期決算、減速の兆しにおびえる株主

休暇シーズンを含む10-12月期の売上高は前年同期比20%増の724億5000万ドル、営業利益は78%増の約38億ドルだった。通期の営業利益は前年の3倍を上回った。
ということですから文句のつけようがない。と思えますが、

10-12月期の増収率20%は、2015年前半以来の最低だ。成長著しいアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の増収率45%でさえ、わずか2四半期前の49%に比べると低い。

と、成長率が下がってきていることが問題となっています。


永らく無敵企業の名をほしいままにしてきたアマゾンのアイデンティティは、その成長性にあります。成長を前提とするので、利益がなくても儲けなくても配当がなくても株主は満足していたわけです。

が、その成長が鈍化したということであれば、潮目が変わった、と見る向きが多いのも仕方ないでしょうな。


GAFA全体が曲がり角にある


アマゾンだけではなく、GAFA全体が苦労しています。

GAFA、「稼ぐ力」鈍る 利益率20%割れ目前

税引き前利益率が20%切れ目前って…アンタ。

普通に考えれば儲かって儲かって仕方のないレベルですよ。しかし、世界経済を牽引してきたGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)のことですから、やはりネガティブに捉えなければなりません。

記事にもあるように、これらの企業の成長鈍化の要因は

1.既存企業との競争激化→GAFAは、既存の業界をITによって侵食破壊することで成長してきました。当初は泡を食っているだけだった既存業界の企業群も、最近では態勢を立て直して逆襲に転じています。

2.ローカル化の困難→グローバル市場では無双状態のGAFAですが、各地域の細かな事情に対応するのは苦手にしています。グローバル市場が成熟してくれば地域での戦いになるはずですが、そこでは苦戦しています。

3.社会的責任への対応→スマホやSNSや過去にない商品やサービスを展開してきましたので、過去にない社会問題が引き起こされています。個人情報をどう扱うか、情報漏洩をどう防ぐかなど、コストのかかる問題が目白押しです。

あとは、トランプ米大統領の無茶な要求にどう応えるかなども問題です。

アマゾンに関しては、ベゾスCEOの離婚問題もバカにできない問題ですよ。

そんなわけで、成長エネルギーの行き場を失ったGAFAは、新たな成長機会を求めて、各業界の食指を伸ばし始めています。日本企業との提携話も増えてくるでしょうね。

GAFAがお互いに競合する場面も増えてきますので、業界がどのように動いていくのか混沌としてきました。




「サブスク」ビジネスの衝撃

サブスクビジネス

(2019年2月7日メルマガより)



トヨタ自動車が、高級車レクサスの定額利用サービスを始めるそうです。



ユーザーは、トヨタの高級車6車種から好きな車を選択できて、半年で新車に乗り換えることも可能です。

契約は3年間、月額19万4400円。(3年で約700万円)

レクサスのセダン新車が600万円ぐらいから購入できるそうですから、この金額をどう捉えるかは、意見の分かれるところでしょうね。


新車売り切りビジネスの否定


それにしても、トヨタまでもが定額利用サービスを始めるとは、時代も変わったものです。

自動車といえば、新車売り切りビジネスの最たるものです。

レンタカーやカーリースという形態があるとはいえ、ビジネスの中心となるのは、自動車メーカーごとに系列化されたディーラーによる新車販売です。

ところが、トップメーカーであるトヨタが、定額利用サービスを始めたわけです。これまでのビジネスモデルを否定する行為です。

そうですね。トヨタは、このまま新車販売ビジネスに頼っていたら成長できないと判断したのです。

自動運転車が普及すれば、カーシェアが当たり前になり、ユーザーにとって車を所有するメリットが小さくなると考えられます。

したがって自動車の絶対数が減ってしまいます。(社会的には適正数になります)

そんな時、いままでと同じように新車販売に頼るのは誰が見ても戦略ミスです。相当ブラックな販売会社でも売上を維持するのは困難でしょう。

だからトヨタの試みはしごく当然の方向性によるものです。


サブスクリプション(サブスク)とは


自動車だけではありません。いま、あらゆる業界で「所有から使用へ」移る動きが始まっています。

家も、家具も、家電製品も、衣類も、宝飾品も。これまで所有することが当たり前で、所有することこそステイタスだった品々が「必要な時だけ使えばいい」ものと認識されだしました。

ユーザーが負担するのは月々の使用料で、普通は購入するよりも小さな額で済みます。所有することをやめただけで、相当のコスト減になるはずです。

いっぽうのメーカー側は、当初の売上こそ減るものの、継続的に使用してくれるユーザーを確保さえできれば、ビジネスを組み立てやすくなります。新規顧客獲得のためのコスト負担もありませんから収益率は上がります。

こうした継続的なビジネスの形態をサブスクリプション(サブスク)といいます。

サブスクリプションとは、もともとは新聞や雑誌の定期購読や予約購読を示す言葉です。

しかし今は、その概念が拡大しています。


マイクロソフトを復活させたサブスクビジネス


サブスクの有効性を世に知らしめたのは、マイクロソフトの復活でした。

パソコン全盛時代、ウィンドウズというOSを擁していたマイクロソフトは我が世の春を謳歌しました。

ところが、検索システムのグーグルや、スマホ時代を到来させたアップルの登場によって優位性を喪失したマイクロソフトは勢いを失い、過去の企業になってしまった感すらありました。

そのマイクロソフトがいま俄かに復活し、株式時価総額では世界トップに踊り出しています。

その原動力となったのが、3代目サティア・ナデラCEOによるビジネスモデルの転換です。

それまでマイクロソフトのビジネスは、ウィンドウズという無料OSを入り口に、エクセルやワードやパワーポイントといった業務用ソフトを販売するというものでした。

ユーザーが、これらのソフトを購入すれば、永久に使うことができます。が、実際にはソフトは次々最新版が発売されるので、いつの間にか旧式化してしまって、買い替えが必要となります。買い替えには、もちろん新たな費用が発生します。

(パソコンにワードやエクセルが付属していることもありましたが、それはパソコン代金の中に含まれているというだけで無料ではありません)


これに対して、いまのマイクロソフトの主力商品は、月々(あるいは年間)の費用が発生します。

ただし最新版の追加購入はいりません。ソフトの中身はクラウド上(ネットの向こう側)にあり、それを使用する方式ですから、勝手にアップデートしてくれるので、いつも最新版を使うことができます。

エクセルやワード、パワーポイントなどを含むマイクロソフトオフィスには、無料版も用意されていますが、機能制限のない有料版は月1000円程度です。

ユーザーとすれば年間12000円程度で常に最新の業務ソフトが使用できてお得です。

マイクロソフト側としても、一定の継続収益が見込めます。それにクラウドにあるソフトを遠隔で使用してもらう方式なので、顧客が増えてもコストはそれほど増えません。

つまり利益率がいいのです。

顧客数が一定数を超えるまでは我慢が必要ですが、臨界点を超えると、とんでもなく儲かるビジネスであることをマイクロソフトが世に知らしめました。


既存ビジネスと競合してしまうサブスク


そんなにいいものなら、みなサブスクをやればいいやん。と思いますね。

その通り、日本企業もサブスクの可能性に気づいて、続々と参入しています。

しかもマイクロソフトのようなソフトウェア会社だけではなく、物理的な商品を扱うメーカーが参入しています。


トヨタの高級車使用サービスは上に書いた通りです。

パナソニックは、月額7500円で最新のテレビを3年ごとに使用できるサービスを開始しました。

ソニーは、プレステのユーザー向けに定額で追加機能を付加するサービスを行っています。

三菱商事は良品計画と組んで、家具の定額使用サービスを検討しています。


ただ悩ましいのは、売り切りビジネスから定額サービスに切り替える際に、一時的な売上減に見舞われることです。

顧客数が一定以上になるまでは、収益の低下に耐えなければなりません。

メーカーはそれでもいいかも知れませんが、販売会社にとっては、売り切りビジネスが無くなることは死活問題です。

パナソニックのテレビ定額サービスは、販売店の不興を買って、サービスの拡大もままなりません。

家電製品のダイソンが行っている家電品(ヘアドライヤー)の定額使用サービスは、家電小売店からの猛反発を受けて、宣伝できない状態だそうです。

トヨタの定額サービスが高額すぎてイマイチやる気が感じられないのは、既存の販売ディーラーの手前、わざとお得感をなくしたのではないかと思えます。

もともとの既存ビジネスをしっかり行っている企業にとって、サブスクビジネスへの取り組みはけっこうハードルが高いようですな。


ベンチャー企業の方が取り組みやすい


これに比べて、新興企業やベンチャーは、何のしがらみもなく取り組むことが可能です。

例えば、洋服の定額サービスの「エアークローゼット」という会社があります。

6800円で月3点まで交換可、9800円で無制限交換で洋服を使用することができます。

どんな服が送られてくるかは非公開ですが、個人アンケートをみたプロのコーディネーターが、それぞれに合う服を選んでくれます。

対象は、会社勤めの女性で、普段会社に来ていく服がコンセプトです。


あるいは、高級バッグの定額サービス「ラクサス」

こちらは月6800円で、高級バッグを持つことができます。

高級バッグを揃えるのが大変だろうなと思うのですが、実はこれ、ユーザーからの借り物も含んでいます。

高級バッグの持ち主から借り受けて、それを誰かに貸し出せば、元の持ち主にマージンを支払う仕組みとなっています。


ベンチャー企業には既存ビジネスがないので、それを侵食することがありません。だから思いついたらやり放題です。

洋服でいえば、スーツ、ネクタイ、礼服、ドレス、コスプレ用なんてのもアリかも知れません。

持ち物でいえば、高級時計、宝飾品、ビジネスバッグ、眼鏡、帽子など。既にあるかも知れませんが。

月8600円でラーメン食べ放題というサービスまであります。実際にサービスを受けてみると、苦行か!というぐらい食べ続けないと元はとれないそうですが^^;

いまは定額借り放題といえばキャッチーなので、ユーザーが集まりやすいという追い風もあるようです。


ただし参入障壁の低いビジネスですから、競合が多くなる傾向にあります。

だから同種のビジネスを維持させるためには、最初からギリギリの価格設定をしておくこと。および、ユーザーデータの収集蓄積分析に力を入れて、既存顧客の満足度を高めることがキモとなります。

安いんだからこの程度のサービスでいいだろうなんて考えていると、速攻、後発のメーカーに乗り換えられてしまいます。


単なる継続課金ではない


お分りかも知れませんが、サブスクを単なる継続課金ビジネスだと考えると、失敗します。

サブスクの最大の特徴は、顧客との距離が近いということです。

何しろ自社のサービスを継続して利用してくれる方と直接コンタクトが取り放題のビジネスです。

ユーザーの行動データを収集分析し、意見を直接聞くことで、ユーザー個々人にぴったりのサービスを提供できる可能性があります。

動画配信大手のネットフリックスは、顧客の行動データを大量に蓄積し、分析したうえで、オリジナル番組の製作配信に巨額の投資を行っています。誰を主演に、誰を監督にして、どのようなストーリーの番組を作れば、ユーザーが満足するかがわかるので、迷いがありません。

多様なニーズには多様な番組を揃えることで対応し、個々人ごとにおススメ番組を紹介しています。

最近では世界各国スタッフによる番組作りにも力を入れて、ボーダレスなニーズの取り込みにも挑戦しようとしています。

だからネットフリックスは、月定額の値上げを実施しても、ユーザーが増え続ける満足度を実現しているのです。

これはデジタルなビジネスだけに特有の特徴ではありません。物理的な商品のあるリアルなビジネスでも同じです。

IoTの技術を商品に組み込むとより効果的ですが、そうじゃなくても個客データの収集は可能です。

自社のサービスは顧客に合わせて改革改善できるし、顧客ありきのビジネスなので、無駄な在庫も発生しません。

結果としてより安く上質なサービスを提供できるというものです。


サブスクが提供するのは「こだわり」ではない


さらに踏み込むと、それは物理的な商品ですらありません。

サブスクが提供するのは、ユーザーが感じるところの便益や満足感でなければなりません。

家具の定額使用サービスを利用するユーザーは、家具が好きで好きでたまらない人なのでしょうか?

いや、そうではないはずです。

むしろ、自分で家具を選ばなくても不自由なく生活できる便益を求める人でしょう。

服も同じです。

服に強いこだわりを持つ人は、定額サービスを利用せずに、自分で商品を選ぶはずです。

定額サービスを利用するというのは、自分で選ぶ労力を省いても、周りの人たちからセンスがあると思われる程度の服を着ていたいと思う人でしょう。

だからサブスクを成功させるためには、低価格であるとか、品質がいいとか、デザインがいいとか、使い勝手がいいという前に、顧客の本来のニーズを満たし、便益に資するものでなければならないのです。

「1/3インチのドリルを買った顧客は、1/3インチの穴を買ったのである」とは、マーケティングの本質を示す言葉として有名ですが、まさにその本質に真正面から取り組むのが、サブスクというビジネスです。


日本企業の取り組みは中途半端


そう考えると、日本企業の取り組みはまだまだ中途半端だと言わなければなりません。

パナソニックのテレビ定額サービスは、新型テレビが3年ごとに使えるというサービスでしかありません。

本来のサブスクビジネスならば、ユーザーの視聴傾向を自動で分析して(目の動きや表情から関心度を解析して)お勧めの番組を録画するテレビを用意してほしいものです。

ユーザーごとに相応しいテレビも違います。スポーツ番組をよく観る人には迫力のある大画面と音響が必要ですし、ドラマが中心の人には全てのドラマを自動で録画してくれるテレビがいいでしょう。報道番組が中心の人には文字放送による解説が欲しいですし、ネット番組をよく観る人にはリモコンの中央にネットボタンのあるテレビを選び、外出が多い人にはスマホ連動テレビが便利です。

もっと言うと、テレビにこだわる必要もありません。スポーツが好きな人にはスポーツイベントを紹介し、映画が好きな人には最新映画のチケットを購入できるようにしてほしい。

釣りが趣味の人には釣り情報と必要な道具の提供。旅行好きな人には旅行番組とセットで実際のツアーの紹介もしてほしい。

せっかくサブスクビジネスに取り組むのなら、そこまでしないと価値を創ることができませんよ。

いやいや、天下のパナソニックのことですから、今はユーザーとの接点を作ることに注力し、布石を打っている段階です。3年後には、ちゃんと本質的なサブスクビジネスに取り組んでいるはずですよ。

と思いたいものですが。


アマゾンは究極のサブスクビジネスに取り組むのか


そう考えると、サブスクビジネスの最先端にいるのはアマゾンだと私は思います。

アマゾンは、家電品から家具から衣類から生鮮品からネット関連サービスから、あらゆるものを扱っています。

そして個人の膨大なデータを蓄積しています。

もしアマゾンが、家や部屋を扱うようになれば、生活に必要なものは殆どを揃えることができます。

部屋と、家具と、家電品と、水道光熱と、基本的な食糧と、衣服と、ネット環境と、スマホと、丸ごと定額で提供してくれればこの上なく便利です。

例えば最低限生活できる環境を10万円、15万円という定額で提供してくれれば、一般の人は生活を組み立てやすくなります。

もちろん中間層や富裕層にはもっと高いレベルの定額サービスを提供するわけです。

生活する中で、その人の好みが理解されてくれば、アマゾンの豊富なサービスの中から徐々にカスタマイズしていけばいい。

アマゾンプライムの動画や音楽、ゲームなども提供できるので、退屈することがありません。

なんていうと、貧困層を呆けさせて搾取する悪徳ビジネスに近づいていきそうですから、そうならないように注意することは必要ですよ。だから収入すべてを定額サービスに投じることは禁止です。

しかし、最低限の生活を保障されるということは人間の尊厳を守る上で大切なことです。

その上で、自分がやりたいこと、こだわりたいことに、計画的に投資して取り組んでいけばいいのです。

そこは定額ではなく、自分で慎重に選んで取り組んでください。

ともあれ、アマゾンは、究極のサブスクビジネスができる位置にある企業です。

とはいいながら、最近なにやらネガティブな話題が多いアマゾンですから、実現できるかどうかはわからなくなってきましたが。


後戻りできない大きなムーブメント


そんなわけで、サブスクがマーケティングの本質を実現するためのビジネスであることをご理解いただけたでしょうか。

いままでは理想としてわかっていても、実際には取り組めなかったことです。

それが近年のIoTおよびAI技術の進歩によって、可能となりつつあります。

本質的なことなので、後戻りはしないと考えます。

多くの企業が注目し、参入しようと考えるだけの大きなムーブメントです。

これからも注目していきましょう。


【参考】







オリオンビールの危機的状況

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沖縄好きの人たちからすると由々しき事態です。

沖縄のビール会社オリオンビールが、アメリカのファンド会社に買収されます。

ファンド側は、近年低迷するオリオンの県内売上シェアを5ポイント伸ばす、としています。その後は、どこかに転売するのでしょう。

どこの国の企業が買収するか知れず、いつまでも「オジー自慢のオリオンビール」と言っていられなくなるかも知れません。

オリオンビールが高収益な理由


オリオンビールは、1957年アメリカの統治下に作られた会社です。沖縄復興のためにと官民揃っての願いが込められていたと聞きます。

1972年の本土復帰の折には、酒税を減免する特別措置がとられました。元は5年の時限法でしたが、今でも続いています。

オリオンビールの利益率が高いのは、そういう事情もあります。それが同社を育てたともいえますし、逆に競争力を弱めているのではないかと思えます。

税優遇をそろそろ終わらせねばならないと政府は考えているようですが、いま終わらせてしまえば、オリオンビールが経営難に陥る懸念があります。

アサヒビールとの提携は正しかったのか


2002年、オリオンビールは、アサヒビールと資本提携します。唐突の感がありましたが、記事を読むと、政府による「オリオンに競争力をつけさせよう」という意図があったようです。

が、政府が思ったようには競争力強化につながっていません。

沖縄県外での販売拡大も進んでいませんし、最近は沖縄県内でのシェアも落ちているようです。記事によると「アサヒが抜けたらオリオンは商品を作れなくなる」からアサヒは資本を引き揚げないんだそうです。

ひどい言い方ですね。誰だこんなこと言ったのは。

上の記事を読めばわかりますが、アサヒ側にまったくやる気が感じられません。もともとやる気がなかったのか、あるいは提携する中でやる気を失っていったのかはわかりませんが、馬鹿にしているのではないかと疑いたくなります。

どうもオリオンは、提携すべき相手を間違えたようですな。

真の意味で競争力を持つことができるのか


もっともアサヒ側をやる気にさせることができなかった(あるいは呆れさせた?)オリオン側にも問題があります。

企業イメージはむちゃくちゃいいのに、中身が伴っていないことを自覚しなければなりません。

本来、狭い範囲で圧倒的なシェアと知名度を誇る企業です。特別措置法がなくても、圧倒的に儲かっていなければおかしいのです。

ポジショニングは完璧なのに、競争力がないとすれば、開発力か営業力か組織の生産性が悪いということです。

オリオンビールの位置づけからすれば絶対に強い会社になることができます。

自社で立て直す力がなければ、ファンドの力を借りるのも仕方ありません。むしろ長年たまった澱を綺麗にするためにはファンドのようなドラスティックな手法で改革するのが相応しいでしょう。

数年後には競争力のある会社になり、また県内企業の星として輝くようになることを願っております。




ミニ保険はベンチャー企業にうってつけのビジネス

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ミニ保険(少額短期保険)は、2006年の保険業改正により生まれた保険です。

保険金額が1000万円以内、1〜2年の期間に限定した保険をいいます。

伝統的な生損保の商品と比べ、補償内容がシンプルで保険料も安いのが特徴だ。死亡時の保障を葬儀費用にあてる数十万〜100万円程度に抑えたものや、家財が壊れたり、ペットが病気になったりするといった特定のトラブルに備える。

ということで、ちょっとした補償を取り扱います。

例えば、運動会一日の怪我の補償とか、家電製品の補償、イベントのキャンセル補償、痴漢冤罪の弁護士保険など。

保険料も少額なので、スマホで契約するのに適しています。というか、スマホがなければ、売ることは難しい商品です。

スマホというチャネルができたからこそのビジネスであるといえます。

ベンチャー企業にうってつけのビジネス


取り扱うのは、専門の少額短期保険会社です。従来の保険会社も別会社を設立する必要があります。

ただ最低資本金が1000万円なので、比較的簡単に設立できます。

ミニ保険は、需要と事故発生率の計算さえできれば、アイデア一つで開発できます。まさにベンチャー企業にうってつけのビジネスです。

参入するなら今ですよ。(競合が増えて似たような保険が増えると、厳しくなりますので)

ミニ保険、「百社」繚乱 少額で日常トラブルに備え

もうひとつ言えば、需要と事故率と保険料の計算をする専門AI扱いビジネスが成立するかも知れません。あとは、いざという時の補償料を肩代わりする会社ですね。





完全自動運転車になると産業構造が変わる

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CES(Consumer Electric Show)とは、アメリカで開催される電子機器の見本市のことです。

毎年、最先端の電子機器が出展されるので、技術進化の状況や発展の方向性を知るのにいい機会となります。


記事では、自動車について書かれています。

自動車は電子機器か?と思うかも知れませんが、疑いなく最先端の電子機器です。

特に電気自動車は、そのものですね。

自動運転車は動く〇〇になる


記事にあるのは、各社が出展した自動運転車の様子です。

自動運転車が実現すると、自動車の自由度が上がります。

運転がいらない完全自動になれば、車は、動くリビングであり、ベッドルームであり、オフィスであり、会議室であり、キッチンになるのかも知れません。

座席は前を向く必要がなく、自由な配列となります。

いや、そもそも前という概念がありません。だからタイヤは360°回転し、動けるようになります。



自動運転システムや安全性は、基本性能です。

車が差別化し、特徴を出すなら、内部の設計や設備のコンセプトによるものとなります。

記事が、「部品メーカーの野望」と書いているのは、車の「売り」を作るのが、自動車メーカーから離れて、多くの部品メーカーになるという意味ですね。

この場合、従来の部品メーカーばかりではなく、家電、家具、キッチン、ソフトウェアなど多くの産業が関わってきます。

記事には、アバターや二次元キャラクターが同乗者になってくれる車が紹介されています。いかにもクールジャパンにかこつけた安易な発想です。実際の市販車は、もっと多様なものになっていくでしょう。

既存自動車メーカーが狙うプラットフォーマーの地位


車の台数が減っていくと予想される中、現状の自動車メーカー各社は、プラットフォーマーになろうと躍起になっていることでしょうね。

つまり携帯電話キャリアのように、自社規格に部品メーカーが合わせるスタイルです。

もしかすると、自動車本体は無料で、月々使用料を自動車メーカーに払うビジネスモデルになるかも知れません。

そうなると、部品メーカー各社は、料金徴収の主体である自動車メーカーの言うことを聞かざるを得なくなり、自動車メーカーの規格に合わせた内部設計をすることになります。

グローバル市場では、SIMフリー車が主流になるのでは?


これに対して、SIMフリーのような自動車も現れるでしょう。つまり自動車メーカーが基本ユニットだけを提供し、そこに部品メーカーが内部を付加したものです。

この方が尖ったコンセプトの変な車が出来上がるかも知れません。

この場合、ユーザーは所有権を買い取るか、あるいは、使用した際にだけ料金を支払うスタイルになります。

こちらの方が、グローバル市場で戦える自動車やビジネスモデルになるかもしれません。


おろらく日本では、力のある既存自動車メーカーが業界規格を作っていくこととなるのでしょうが、ユーザーとしては、より便利で面白いものを提供してほしいと願うのみです。

政府が産業保護政策をとって、ユーザーとしても、グローバル競争からも、つまらないものにならないことを願うのみです。





日本電産の業績下方修正を甘く見てはいけない

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日本電産が、今期の純利益予想を大幅に下方修正しました。

いつも控えめな予想を立てて、それを超える実績を出すのが通例の日本電産だっただけに、株式市場には「日本電産ショック」が広がりました。

要因は、中国経済の不振


ちなみに日本電産の2018年3月期の売上高は1兆4881億円、営業利益は1676億円でした。

当初は増収増益を見込んでいたのですが、今回、売上高1兆4500億円、営業利益1400億円の減収減益予測です。

永守会長は、「尋常ではない変化が起きた。46年経営を行ってきたが、月単位で受注がこんなに落ち込んだのは初めて」とまで発言しています。

その要因として中国の輸出企業の販売不振と在庫過剰感があり、「場合によっては19年4〜6月期まで在庫がはけない可能性がある」と仰っています。



一過性の問題ではないかも知れない


中国の輸出に停滞感があることは、以前から囁かれてきましたが、ここまで突発的に不振に陥るとは、さすがの日本電産でも予測できなかったのでしょう。

きっかけはアメリカのトランプ大統領による対中貿易赤字の理不尽な問題化ですが、それはきっかけに過ぎず、構造的な不振に陥るのではないかとも考えられます。

そもそもアメリカが中国から輸入するのは、コストの安い中国の工場で製造するのが合理的だからです。

しかし、中国も賃金が上がってきていますし、中国企業によるパクリ問題もありますから、考えもなしに中国で製造するのが全面的に良いとは言えなくなってきています。

その上、製造業の自動化技術が進むと、アメリカ国内で製造してもコスト面で合う場合も増えてくるでしょう。

中国が世界の工場だった時代が終わりを迎えているのかも知れません。

安易な楽観ムードは危険


株式市場は、「いちばん慎重な日本電産の予測よりも悪くなることはない」といって、妙に楽観論が広がっているようです。

日本電産、下方修正でも「楽観ムード」のわけ

が、中国の停滞が、構造的なものだとしたら、長引きます。内需拡大を目指すのでしょうが、うまくいっていないという報道もあります。

中国、28年ぶり低成長 貿易戦争が打撃

日本電産なら難局に対応してくるでしょうが、他の電子部品メーカーは日本電産ほど素早く根本的な対応ができるでしょうか。

永守氏の鳴らす警鐘を甘く見ない方がいいと思います。





 
プロフィール
komai 小

営業関連のコンサルティングをしています。
製造業や卸売業などの営業組織を強化する仕事を得意としております。

株式会社クリエート・バリュー代表取締役
NPOランチェスター協会理事
NPOランチェスター協会関西支部
NPOランチェスター協会認定インストラクター
中小企業診断士   販売士1級

コンサルタントになる前は、日本酸素株式会社魔法瓶事業部(現在のサーモス株式会社)で14年、営業担当をしておりました。
その時、廃業寸前の赤字だった事業部がわずかの期間で世界トップ企業になった経緯を体験したことが、経営コンサルタントになったきっかけとなりました。
当時、経験したことや見聞したことを物語風にアレンジしたのが、拙著『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』です。
面白い本なので、ぜひ読んでください(^^)

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