わたしは価値を創る

大阪在住の経営コンサルタントのブログです。

ワークマンはユニクロの脅威になれるのか

作業服のワークマン、おしゃれに“脱皮”業界のガリバーが若者向けカジュアルに挑戦

■日経ビジネスオンラインの記事です。

作業服小売店のワークマン。全国に約750店舗。作業服小売チェーンのダントツトップです。

ホームセンターやスーパーなどを手掛けるベイシアグループの一員です。

同グループは、ディスカウントビジネスを社是としており、低コスト経営はお手の物です。

ワークマンも、店舗運営や商品開発において、抜きん出たノウハウがあるようです。

■そのワークマンが、若者向けカジュアル衣料に進出しようとしています。

背景にあるのが、少子化による作業員の高齢化と若者離れです。

作業服というニッチ市場で適正サイズのビジネスをしてきたのでしょうが、市場が縮小するのはいかんともしがたいわけです。大きくなった身体を維持するためには、別の餌場を探す必要があります。

それが若者向けのカジュアル衣料という、ユニクロやしまむらなどが存在する市場です。

少子高齢化は、ここにも大きな影響を及ぼしているという事例です。

■ワークマンという作業員向けの店が、若者向けカジュアル衣料を狙うとは思い切ったものですな。

とイメージしてしまいがちですが「プロ仕様の機能をカジュアルに活かす」というコンセプトは魅力がないわけではない。

なんとか帆布みたいに、ヨットの生地でカバンを作るという先達もあることですし。

問題は、ワークマンがその市場で強すぎて、あまりにも作業服のイメージがあることですな。

■高機能低価格の店として、ワークマンというブランドが一般に認知されればいいのですが、それには相当のイメージ戦略が必要となるでしょう。

まずは、若い作業員向けにカジュアル衣料を販売していって、形になれば、別ブランド店に看板をかえていくというやり方が自然なのでしょう。

うまくいくかどうかは未知数です。が、ブランドの立ち上げ(あるいはイメージづけ)がうまくできれば、ユニクロとしても脅威になりそうです。

なにしろ、高機能低価格というのは、ユニクロの牙城ですから。

■あるいはユニクロの裏をかいて、いきなり海外進出して、高機能低価格イメージを作るというのも面白いですね。

もっとも、海外においても、日本と同じオペレーションが機能するとは限りませんので、それはそれで別の苦労がありまずが、それぐらいやってほしいものです。

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「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語


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日本交通の三代目社長にみる経営の秘訣


■日本交通の3代目社長に関する記事です。

川鍋一郎氏。あだ名は、タクシー王子。幼稚園から大学まで慶応義塾。米ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院でMBAを取得。マッキンゼー日本支社勤務経験あり。イケメン。

絵に描いたようなエリートです。

が、日本交通に入社後は、実践経験のなさから「アメリカ帰りのエコノミスト」と揶揄されます。社員から総スカン状態で、新規事業を手掛けるも失敗してしまいます。

■これも絵に描いたような挫折ですね。確か星野リゾートの社長も同じような挫折経験者だったはずです。MBA仕込みのビジネス知識をもって経営に臨もうとして、社員から総スカンを食ったんですよね。

ここからの復活も似ています。社員を尊重し、同じ目線で経営に臨むことで、徐々に協力を得られるようになり、会社が機能しだします。

日本交通の川鍋社長は、タクシー乗務員をしながら、現場経験を積んでいきます。当初は社員から「点数稼ぎ」「悪ふざけ」などと非難されます。が、その下積みの日々が、彼にとってのリハビリだったのでしょう。

会社も借金が多く、攻めに転じるような状況ではなかったようです。出血を止めるためのリストラ策に追われる毎日でした。

■この記事の後編では、リストラも一段落し、攻めに転じる様子が描かれています。基本はアプリなどスマホやITの技術を活かした戦略方向性を打ち出しています。

それが成功するか、しないかは、今後もう少し様子を見ないとわからないのでしょう。しかし、借金だらけでどうしようもなかった会社が、攻めの施策に転じることができたわけですから、現社長の功績は大きいということです。

つまり、現場を知らないうちは、その知識も役に立てることができなかったのですが、実戦経験を積んだのちは、その知識が役立っているわけです。

■この事例は示唆に富んでいます。

経営に必要なのは「ポジション」と「リソース」です。いいかえれば、戦略方向性と従業員の参加です。戦略だけ先行したら絵に描いた餅になりますし、従業員がやる気を出すだけだとエネルギーが分散してわやくちゃになってしまいます。

そのあたりのところ、川鍋社長も星野社長も両方を機能させる方法をとっているのでしょう。

■戦略方向性を出すことなど実は簡単です。自分でできなければ専門家を雇えばいいだけです。

しかし、従業員の気持ちをつかんで参加を促す。従業員が組織に貢献しようと思う。そんな組織にすることは、簡単ではありません。便利な手法は今のところ開発されていないはずです。

ビジネスはワンパターンでいい

連続起業家は「模倣」の名手 個々が得意な「方法」をパターン化

■事業構想デジタルオンラインの記事です。有料記事。

連続起業家(シリアルアントレプレナー)という人たちは、オリジナルのビジネスモデルを次々に思いつくわけではなく、従来のモデルを模倣することが多い。

ただし、そのまま模倣するのではなく、他業種に移植したり、構造を抽象化してから模倣する「いい模倣」である。

また連続起業家には、得意な(好きな)ビジネスモデルがあり、それを繰り返し使う傾向にある。

という記事です。

■うーん。その通りだと思います。人が使えるほど身に着けることができるビジネスモデルはいくつもないはず。

一度成功したパターンを繰り返し使いたくなるのは当然です。

おにゃんこクラブ→AKB48の秋元康氏みたいにね。

■たぶん、すべての人が、ワンパターンという傾向を持っているでしょう。

アーチストもしかり。ワンパターンだと批判されようが実は得意なパターンを持っている。

むしろ、自分の得意パターンを崩そうとする努力は無駄なんですよ。

うまくいくことは少ないし、違うパターンがほしければ、ユーザーは他のアーチストを当たりますから。

■特にビジネスはワンパターンでいいわけです。

ダメな理由など何もない。成功できるなら同じことをやり続ければいい。

むしろ、自分の得意な一つのパターンを見つけられるかどうかが、成功者のカギとなるのでしょう。

などと偉そうに言っておきます^^

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屋台のような感覚で駅前マーケットを開拓 ハイデイ日高

ハイデイ日高、「味は求めすぎない」で安定成長 駅前一等地の「大衆中華」に執念

■日経ビジネスオンラインの記事です。企業研究シリーズが充実していますねー

ハイデイ日高。中華食堂日高を展開しています。マクドナルドや牛丼チェーンの跡地に入ることで店舗数を増やしてきています。関東中心に370店ほど。

コンセプトは、「総合中華とラーメン専門店の中間」屋台のように気軽に寄れる店です。

■ただ最初からコンセプトが決まっていたわけではなく、試行錯誤の上で作ったようです。

当初はラーメン店を作ろうとしたのですが、客単価が低いという問題があります。事業拡大するためには、安定的な利益が必要となります。

低価格のラーメン専業では利益を出しにくい。そこで酒のつまみにもなる、炒め物などをメニューに加えた業態だ。ただし個人経営の大衆中華のような豊富なメニューにすると、チェーン展開するうえでは、作業が増えすぎるので、品目数は限定した。駅前でのチェーン展開を目指して試行錯誤を続けてきた、神田会長のノウハウの「結晶」が日高屋という業態だ。

駅前モデルは多数の来店が大前提のため、来る顧客を選ばない大衆性を維持することが大切だ。だから「味」は追求しすぎない方がいいという姿勢だ。「頻繁に通って食べてもらうには、ちょっと“抜けた”ような普通の味がいい」(神田会長)と考える。同業他社にない味を提供しようとこだわりすぎると、開発にも労力や時間がかかる。とがった味は顧客離れにつながるリスクもある。

要するに、神田会長が取り組んできた駅前チェーンという業態と市場環境がマッチしたのが今だということでした。

■今のところ、関東中心の出店で、他地域に出すつもりはないようです。

約370店の店舗のほとんどが東京、埼玉、千葉、神奈川の一都三県に集中する。残りは栃木や茨城県に数店舗があるだけだ。「首都圏にはまだ出店の余地があり、500〜600店はいける。ここを埋めるまではよそにはいかない」と神田会長は話す。

いわゆるドミナント戦略で、勝手知ったる関東地方で地盤を固めようという算段です。これは堅実でいいですね。

■うまくいった企業戦略を後追いでみると、すごくすっきりしているように思えますが、実際は、試行錯誤の上でなされたということがリアルにわかる事例でした。

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(写真は本文とは関係ありません)

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日本の家電メーカーにも勝てる局面がある

サムスン、LGの2強と対峙する日本の立ち位置 信頼性や耐久性を訴求できていないジレンマ

■日経ビジネスオンラインの記事です。

これ本当でしょうか?

(韓国製のテレビについて)いつも気づくのは、そして気になるのは、液晶テレビの画質である。購入時の初期品質はすこぶる良いのは事実なのだが、劣化が激しいのだ。

韓国勢の製品開発では初期品質やデザイン、機能性に関しては相当に注力する。しかし、画質劣化のような課題に関しては、そこまでではないように思う。明らかになるのは数年単位での時間がかかるし、消費者にとってみれば購入して使ってみないとわからない製品性能なので、どこか重要度が違うようだ。

■私は韓国製のテレビを持っていないし、海外のホテルに泊まるわけでもないので、よくわかりませんが、この記事が本当だとすると、日本製にも戦える局面があるということです。

韓国製は、初期品質、デザイン、機能性…つまり目に見える差別化には熱心で、数年後にわかる劣化などの品質についてはそれほど重視していない。

悪い言葉でいえば、売れたらそれでいい。という商品です。

日本は逆に見えない部分にも生真面目に取り組んでいるきらいがあります。良し悪しではなく、そういう特徴や製造者の気質があるということでしょう。

■ただ日本企業は、そういう見えない機能をそれほど訴求していないらしい。

やはり、数年後のことなど正確には保証できないという生真面目な判断なんでしょうかね。

■あるいは、初期品質、機能性などについてはキャッチアップはできるでしょうし、デザインも違う方向性を打ち出すことはできるはずです。

結局、どこに資源を配分するのかという戦略意思決定に欠けるということになるのでしょう。

逆転可能性があるうちに、戦略方向性を正しく決めていただきたいものですな。

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(写真は本文と関係ありません)

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戦略とは資源配分である

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事業構想オンラインの記事です。山田英夫教授のビジネスモデル分析です。

この方の分析は好きです^^


主にスーパーホテルのビジネスモデルを分析されています。

スーパーホテルが、なぜ低価格でいながら高い顧客満足度を実現しているのか?

要するに、ある顧客層が必要とする機能に絞って充実させているからです。

スーパーホテルは、「ビジネスホテル滞在中は、ほとんどの時間は寝ている」ということから、安眠にはかなりの投資を行う反面、不必要なサービスは徹底的に削ぎ落とした。ベッドはゆったりした幅広サイズ、ドアを重厚にして室内は図書館並の静寂さを確保。寝心地に直接関係する枕は、客が自由に選べるようにした。さらにフロントから自室に向かうに連れて、照明の照度を落とし、眠りに誘導する。

一方で、安眠と無関係なものは大胆にカットした。携帯電話が普及する中で、室内の電話は撤去し、冷蔵庫も中は空に。ベッドの脚も、清掃コストがかかるのでカットとした(お陰で天井までの距離が長くなり、広く感じられる)。

宿泊費は自販機での前払いであり、付加サービスの撤廃によって、精算が不要となり、チェックアウト自体を無くした。鍵を返すだけのチェックアウトであれば、鍵も無くせば良いわけで、宿泊費のレシートに打ち出される暗証番号キーとした。

チェックアウトがなくなり、出発時に待たされることがなくなり、宿泊客はギリギリまで寝られるようになった。また、フロントの人員削減にもつながった。こうしたトータルのコストダウンにより、宿泊料金は廉価に設定された。

低価格なのに、顧客満足度が高いのはなぜか?


山田教授はこれを「モノの資源配分を変えて差別化」と呼んでいます。

「ビジネスホテル滞在中は、ほとんどの時間は寝ている」顧客層に対するサービスを先鋭化し、その他のサービスは大胆にカットした。

そのためには

(1)自社のターゲット顧客を明確にした。

スーパーホテルの場合、ホテルでは安眠したいだけというビジネス客です。

夜遅くやってきて、安眠して、朝出ていくだけ。だからホテルにはコストをかけたくない。

さらに

(2)ターゲット顧客の満足度を高める施策をうった。

具体的には、ゆったりした大きめのベッド。防音性の高い室内。自分で選べる枕。眠りを誘う照明の工夫。

逆に、顧客が必要としないものは削除。室内電話は撤去。冷蔵庫は空。ベッドの足もなし(ベッドの下を掃除しなくて済む)。チェックインは自動機械。チェックアウトは不要。2階以上の外壁はシンプルなものにした。

ビジネス客が必要とするものは充分にお金を使い、不必要なものはカットする。

というメリハリの効いた資源配分を行ったために、5000円以下という低価格なのに、満足度を上げることに成功しています。

ターゲット顧客が明確であるからこそのミートされない差別化


ターゲット顧客が明確であるからこその「見える差別化、見えない効率化」です。

ビジネス客も、観光客も、外国人も取り込もうとする他のホテルにはできない施策ですから、ミートされません。(真似されない)

強者企業にとっては何とも悩ましい差別化の在り方であり、したたかな戦略です。

そもそも戦略の本質は、資源配分です。

どこにお金を使い、どこをケチるのか。

それを決めてブレないのが、生き残る強い企業であるといえます。



それにしても実にわかりやすい戦略分析です。

山田先生、ありがとうございます。









「営業の仕組み」を身に着ければ、目標達成に苦しまなくなる

(2016年2月25日メルマガより)



昨年上梓した拙著『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』に関するセミナーや研修を行う機会が増えています。

ありがたいことです。感謝しております。

そこで「あの本に書いてあることはどこまで事実なんですか」とよく質問されます。

実在の会社を扱った話なので、気になるところなのでしょうか。

お答えすると、あの本に書かれたエピソードは、ほぼ実際にあったことをもとにしています。(若干、ドラマチックにするために脚色していますが)

ただ人物は一人を除いてすべてフィクションです。モデルはいません。

私が体験し、見聞した事実を、それぞれの登場人物に振り分けて書いたものです。


あの本で評価いただくのは「細部がリアルだ」ということだそうです。

それはそうですね。全部、あったことですから^^

だからお読みになられた方は、安心してください。

あそこに書かれた営業手法なども、全部、実践で使ったことです。

ぜひヒントにしてください。

ターゲットを絞る


たとえば、担当先を絞ること。

低迷していた私が、なんとか一人前の成績を残せるようになったのは、ターゲットを絞ったからでした。

新人の頃は何事もまじめに考えますから、割り振られた担当先はすべてケアしようとしてしまいます。

しかもまんべんなく伸ばそうと頑張ってしまいます。

ところが本当にそんなことやってしまったら、労力は使うわ、時間はなくなるわ、成績は伸びないわで、往生してしまいますよ。

人間の時間は有限です。熱量も有限です。

忙しすぎてフラフラになって顧客に対するより、集中力の高い状態で向き合う方が、お互い有益です。

だから自分が持っている時間ややる気をどこに割り振るか。

言い換えれば「現状維持でいいや」「売上が下がってもいいや」という担当先はどこかを決めることが重要です。


ふつうの上司はそんなこと言ってくれません。

建前として、担当先はすべて大切だ、というでしょう。

絶対達成しろ!取りこぼしするな!すぐに対応しろ!ムラを出すな!

って、アンタできてんのか!?って思うことも平気で言われますから。

だから、自分の身は自分で守ることです。

力を入れる得意先、入れない得意先を自分で決めなければなりません。

自分が「勝てる局面」で戦うことが、勝つための絶対条件です。

メリハリをつけて営業に取り組むことが、目標達成の道となります。

どの得意先に注力することで、目標達成するのか。絵を描くことが、営業がやるべき最初の仕事です。


差別化する


顧客に提案する時は差別化を意識すること。

これも営業がやるべき重要な仕事です。

そもそも価格競争になってしまうのは、商品やサービスが他社と似たようなものだからです。

違うものを提供しているなら、価格競争になる要素が一つ減ります。

かといって、すべての商品に希少価値があったり、差別化されたりしているわけではありません。

むしろ顧客から見て、似たような商品やサービスばかりになってしまうことも多いでしょう。

こういう時、最後の砦になるのは、営業のプレゼンテーションです。

いかに他社と違うか。どのように差別化されているのか。

それを顧客にわかっていただくのが、営業の仕事です。


実際、私たちは、商品を研究し、他社との違いを説明することに尽力しました。

最初は、些細な違いを大げさにいいやがってと苦笑いされました。

が、繰り返すうちに、些細な違いも目立つようになってきます。一度、違うと認識すると、同じに見えなくなるものです。

その「違う」ことが、商品の価値となります。

どこで営業が価値を作るといえば、そこになります。

だから営業が「他社と似たようなものです」なんて発言するのは、もってのほか。

そんな営業は、会社の価値を棄損していると言ってもいいでしょう。

アフターフォローする


一度買っていただいた顧客にもう一度買ってもらうための活動も営業の仕事です。

顧客からリピーターへ。リピーターからファンへ。

そうなれば、その顧客は、営業にとって「基盤顧客」となります。

基盤顧客とは、私の造語です。自社(自分)と信頼関係があり、一定の売上が計算できる顧客のことをそう呼んでいます。

基盤顧客は、手間がそれほどかからないのに売上予測が立つというありがたい存在です。

成績のいい営業は、安定した基盤顧客を一定量持っています。

基盤顧客がないと、コンスタントに営業目標を達成することなどできないでしょう。

いわば、営業にとっての一つのゴール(中間ゴール)が、基盤顧客を作ることになります。

サーモス時代のアフターフォロー


サーモスの事例では、新潟工場にバイヤーを呼ぶことが、ファンを作るための活動でした。

第一フェーズ:顧客先で企画提案を行う。

第二フェーズ:自社に呼んで企画提案を行う。

第三フェーズ:新潟工場に呼んで企画提案を行う。

顧客にとっては、距離も時間も奪われるフェーズに移行していくわけですが、第三フェーズに行く頃には、相当親密な関係になっているはずです。

新潟に行くということは、もちろん懇親会も含みますので、親密さが増すというものです。

実際に、この方法は効果がありました。だから、私たちは皆、大事な顧客は新潟に呼ぶことを目標にしていました。

もちろん、これはサーモスの方法であって、他社にはまた違う方法があるでしょう。

大事なのは、最終的なファンを作るための仕組みがあるということです。

「営業プロセス」


この顧客基盤を作る仕組みのことを「営業プロセス」と呼んでいます。

もうこのメルマガで何回も言ってますよね。

すべての営業は「顧客選択」「営業活動」「アフターフォロー」の三段階で成り立っています。

おそらくこのフォームは万能です。どの業種にも当てはまるはず。

私の著書でも、営業プロセスにあてはめてみると、サーモスが低迷からV字回復した理由がわかります。


すなわち

・顧客を選ぶこと。

・差別化すること。

・ファンを作る活動をすること。

単純化していますが、それぞれが「顧客選択」「営業活動」「アフターフォロー」に属するものです。

これを仕組みとして行うことが、組織としての営業力を底上げすることになりました。

それが、サーモスが世界トップになった後も、トップであり続けながら成長し続けている要因です。

「仕組み」があるから、継続できる


営業というのは自由度が高い仕事です。

自由だけに、個人差が出やすい。

ある者は、常に120点。

逆にある者は、いつまでたっても40点しか取れない。

そういう仕事です。


そんな中、営業プロセスは、誰もが60点(及第点)をとれるようにするものです。

そこに個人の努力や工夫で20点、30点の積み上げを行うと、凡庸な営業でも80点、90点をつねに取れるようになります。

仕組みは、とびぬけた能力やセンスがない個人でも、トップ営業になれる秘訣となります。

誰もがまず基本フォームを身に着けること。

それだけで、営業がすごく楽になるはずです。目標が達成できずに毎月苦しむ、なんてことが少なくなりますから。

ぜひとも「営業の仕組み」を身に着けてください。

営業で苦しむ人が一人でも少なくなりますように。

「わかるよおじさん」vs「説教おじさん」

妙に物分りの良いおじさんには気をつけたほうがいい

■どなたかのブログです。

わかるわかるわかる^^

「いいねわかるよおじさん」ね。

若者とかを丸ごと肯定して、理解者っぽくふるまう年長者のことです。

ろくに知らないおやじから、過去の経験とか倫理観とかで説教されたら気分悪いですしね。

とりあえず認められたら気分いいです。

ただ、そういうおじさんって、言い換えれば、無責任ことなかれおじさんなんですが。

■たぶん私も時と場所では「いいねわかるよおじさん」になってます^^;

ちょっと会っただけの人に意見して軋轢を生みたくないですしね。

お互いニコニコして気分よく過ごしたいから。

逆に「勘違い説教おじさん」にはなりたくないし。

たぶん多くの物分かりがいい系のおじさんはそんな程度の軽い気持ちではないでしょうか。

■ただ一部、この記事にあるように、ものわかりがいいふりをして、若者から金とか貞操とかを巻き上げようとする人もいます。

そういう人を実際に知っています(><)

表面上は理解者のふりをしているので、すこぶる評判がいい。彼の信者に警告しても「説教おじさん」に扱われてしまいます。

本当は、そいつの方が、サイコパスに近いような悪人なんですがね。

■私が研修講師とかしていても、承認欲求が強くて、叱られることに耐性のない若者が多いような気がする。

年長者がみんな「いいねわかるよおじさん」になってしまったからでしょうか。

仕事の時は、私もきっちりと言います。研修とかコンサルとかで、面倒くさがって「わかるよおじさん」になっていたら、後からしっぺ返しを食らいます。わかるよおじさんには、組織変革なんてできませんからね。最初のうちに、とことんぶつかって話し合わないと、問題は積み残したままになってしまう。

だけど、何もないところでは、やはり「わかるよおじさん」になってしまう。

今の大人がこういう態度だからダメなんですかね。。

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「いきなり!ステーキ」は、ヒットビジネスの王道

立ち食いの「いきなり!ステーキ」はなぜ成功したのか

■ダイヤモンドオンラインの記事です。

ペッパーフードサービスの新業態「いきなり!ステーキ」がヒットしています。

それも当然。「いいものを安く」売るというのは王道のビジネスです。

■これまでも大ヒットしたビジネスをみていると、「いいものを安く」というコンセプトが大当たりとった事例を多く見つけられます。

ユニクロしかり、洋服の青山しかり、大塚家具しかり。昔のマクドナルドもそうでした。

大量消費できるもので、それまでの価格帯から1ランクか2ランク下に設定したビジネスです。

ステーキも、未だ高級品というイメージが通用する商品ですから、それを安くするというのは、有効だったというわけですね。

■同社がこのビジネスを成立させるための工夫が「回転率」です。

なんと立ち食い。ステーキがですよ。

ステーキといえばフルコースをゆっくり食べるということが当たり前のところを、立ち食いにして、回転率を高めました。

ただし、こちらも「俺のフレンチ」などが成功した例がありますので、同社オリジナルというわけではありませんが。

■もっとも原価率が70−80%ということですから、客足が落ちればとたんに成り立たなくなるビジネスです。

ということは、儲からなくなればすぐに撤退することを見越しているのでしょう。

どのように撤退するのかを見てみたい気がします^^

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「ドリルを売るな、穴を売れ」というマーケティングの基本

営業しない社長、なのに顧客がなぜ増える

■日経BIZGATEの記事です。理央 周氏。

営業しないのに顧客が増える。この記事はマーケティングの基本部分を書いています。

「ドリルを売るな、穴を売れ」というやつ。

商品そのものを売り込むのではなく、商品を使わなければならないような理由を増やせ、ということです。

調理器具を売るために、調理レシピを先に配布する。

電車の乗客を増やすために、周辺地域を開発して人口を増やす。

お好み焼きソースを売るために、お好み焼き屋さんの開店を支援する。

こうしたやり方です。

■ドラッカーは、マーケティングはセリングを不要にする。と言ったらしいですが、このことを含んだ言い方です。

ただ、需要を増やす場合、自社商品がトップであると効果的です。

例えば、お好み焼きソースを売るために、お好み焼き屋さんの開店を支援するというのは、お好み焼きソーストップのおたふくソースがとるべき戦略です。

下位企業がそれをやれば、トップ企業に儲けさせてしまいます。

おたふくソースは、お好み焼き専用ソース市場に「勝てる局面」があると見たので、それをやり、結果トップ企業となったわけです。

そういう局面が見えない場合、むやみにやったら逆にシェアを落とすかもしれません。

■記事の後半、保険屋さんが交流会を主催する事例が出てきます。実際、多くの保険屋さんが、それをやっています。

が、時間がかかる方法だけに、耐えられる人が少ないのではないでしょうか。

儲けは後からついてくる。と本気で思える人だけにしかできない方法ですね。

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ホームラン狙いのカリスマ営業が復権する?

過去の「伝説の営業マン」は手本にはならない

■ダイヤモンドオンラインの記事です。興味深い指摘です。

トップ営業マンには2種類ある。

1.顧客にくらいついて大きな業績を上げるホームラン型。

2.営業工程を着実にこなすことでコンスタントに業績を上げるヒット型。

今日の主流はヒット型営業マンです。

■ヒット型は、粘り強く努力すれば、だれでもトップ営業になれます。

凡庸な人もある程度の実績をあげられるようになる。

営業チーム全体の底上げになります。

■だから私も含めて営業コンサルタントは、ヒット型を中心としたチームづくりをします。

ホームラン型はむしろチーム全体の邪魔になります。

工程を無視したりしますので。

■ただ記事の著者は、ITがこれだけ発達した現在、営業工程の設計や解析が進み、だれでもできる仕事になった。だから営業の地位が相対的に下がってきたといいます。

さらに営業行程の中のいくつかは、コンピュータに任せた方がよい仕事です。必然的に、人間しかできない仕事に注力せざるを得なくなるのではないかと。

そうなれば、むしろ、ホームラン型が求められるのではないかと指摘しています。

■興味深い。そうかも知れないと思いました。

ただ、多くの中小企業では、まだ営業工程を整備するところまでいっていないので、事情が違います。

業績を上げ、安定させるためには、まずはヒット型の営業チームを作るべきでしょうが。

今後、将来的なこととして、考えさせられました。

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売れる企画の黄金律




■ハーバードビジネスレビューの記事です。同誌の編集部の方針が書かれています。それが

読者の期待に沿う→テーマごと読者が期待するものを外さない。中心となる記事は期待通りとする。

超える→読者が期待する以上のものを提供する。テーマを掘り下げ、深みを出す。

裏切る→読者が思ってもみない角度からテーマを見直す。変化球。新たな気づきを与える。

のだそうです。


■これは、雑誌の企画だけではないはずですよね。

書籍の企画にしろ、テレビ番組にしろ、セミナーにしろ、同じです。

期待通り、期待以上、想定外。

孫正義氏、意気軒高!

自ら直接手をかけて、右肩上がりの結果を出せなかったものがない。それが私の誇り by 孫正義

孫正義氏「Sprintのネットワークは全米1位になる」--再建に自信

孫社長が語った「スプリント反転」は本当か ソフトバンクの業績の実態とは?

■孫正義節が戻ってきました。強気です。

ソフトバンクが全米3位だった携帯電話事業者スプリントを買収したのが2013年。当初の目論見では、4位のT-Mobile USも買収しようとしていたようですが、それは失敗。

スプリントは業績低迷し、T-Mobile USに抜かれて4位に転落します。

さすがの孫正義氏も「これは失敗だ」と、スプリント売却を検討しますが、買い手が現れず。本人によると背水の陣で再建にとりかかったとか。

■そこで今は「全米1位が見えてきた」と仰います。

さすがですね。

結果がどうなるかはともかく、孫正義氏の行動のパターンが見えてきます。

1)現状と目標を決める。

2)ギャップを埋める方策を探る。

3)あとは、ひたすら突っ走る。

実に、まっとうな目標達成行動です。このシンプルさが、孫正義氏のすごみですね。

■常人とちょっと違うのは、2)のところ。相当、細かな部分まで戦略を作りこんでいるはずです。

孫正義氏の確信をもった発言は、かなり細部までシミュレーションし、成功への道がイメージできているのでしょう。

ここを曖昧にせず、確信が持てるまで、しつこく作りこむエネルギーが孫正義氏なのでしょうね。

だから3)実行のフェーズにおいて迷うことがありません。

「私自身がチーフネットワークオフィサーとなって、(Sprintの)ネットワーク設計と運用の総責任者をしている。毎日夜10〜2時までソフトバンクとSprintの技術者が、休みでもほぼ毎日設計に携わっている。これが楽しくて仕方ない、もう趣味の世界」

だそうですよ。

空元気にしろ、これを言えるのが、孫正義氏ですね。

頑張っていただきたいです。

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追加講演 2016年2月20日(土)14時〜

■今年になって講演をする機会が増えてきています。

これはやはり、昨年出版した本の効果なんでしょうね。

「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語

テーマも『サーモスはなぜ「廃業寸前」からわずかな期間で世界トップ企業になったのか?』といった生々しいものになっております。

■著書にも書きましたが、サーモスでの体験は、私の原点です。

そこで、営業として動くこと、動きながら考えること、考えて納得したことは習慣化していくこと、さらに大きな方向性を決めるためには戦略を学ばなければならないことを知りました。

今は、コンサルとして、戦略立案、仕組みづくり、行動の習慣化、チェック体制づくり…と当時とは逆の順序で取り組んでいますが、もとはといえば、すべて現場で学んだことでした。

もちろん、当時のやり方をそのままやっても、うまくいかないことも多かったです。いや、そのまま当てはまる現場など皆無です。

ただ、壁にぶつかるたびに、繰り返し戻って、応用するためのヒントをもらうのは、常に、サーモスで学んだことでした。

どうすれば、営業実績を上げることができるのか。しかも継続的に上げるためにはどうすればよいのか。

いまは私なりにメソッド化して、自分の武器としています。

セミナーでは、その内容を提供しています。

■来週の土曜日は、大阪で追加講演を行います。

2016年2月20日(土)14時〜

サーモスはなぜ「廃業寸前」からわずかな期間で世界トップ企業になったのか?

参加される方は、よろしくお願いいたします。

まだ席に空きがありますので、これからの参加もお待ちしております。

何卒よろしくお願いいたします。

「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語

株式会社クリエート・バリュー

営業を会社の強みにする「営業コンサルティング」

オンラインでランチェスター戦略を学ぶ。「ランチェスター戦略入門セミナー」

子供に自慢できる人生を送りたいなら

(2016年2月11日メルマガより)



■私事ですが、今年になって講演活動が増えています。

これはやはり昨年出した著書の影響です。

「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語

先日、ある団体で招かれたセミナーで、サーモスの話をさせていただきました。

その際、参加されたあ経営者の方からこう言われました。

「うちの会社は、戦略も仕組みも実践指導も全部やってきた。だけど何か足りないという気がしていた。その何かが、今日の話にはあった」

これほどうれしい言葉はなかったです。

■だけど「足りなかった何か」とはなんでしょうか。

言葉にするのは難しいですね。

でも、あえていうと、みなを一丸にするための要素とでもいいましょうか。

要するに、「サーモスの人たちは、なぜ劣悪な環境下でも前向きさを維持して、一体になれたのか」ということです。

言葉にしても難しい。それってどうすればいいのでしょうか。

今回のメルマガは、その難しいことを書いています。

実は、相当の時間をかけて書いております^^;


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■昨年、『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語
を上梓してから、その内容をテーマとしたセミナーをさせていただくことが増えています。

その際、よくいただく質問です。

「サーモスではなぜ社員が一丸となれたのですか?」

おそらくその裏には、うちの会社では、みんなバラバラだよ。とか、あんなに皆が一丸になるわけないよ。という気持ちがあるのでしょうか。

■その気持ち、わかります。

サーモスだって、決して一枚岩ではありませんでした。

抵抗勢力もいましたし、無関心な人たちも多かったです。

熱くなっていた一部のメンバーでさえ、モチベーションは上がったり下がったりでした。

というか、わりと淡々とやっていたように思います。

それが、チームがバラバラにならず、一応にもまとまっていられたのは、それが「物語」だからです。

■などというと、身も蓋もないことを言っているように聞こえますかね^^;

でも本当です。

「物語」は、人を結びつけ、熱くさせるものです。

当時から私たちは、物語に乗っかっていたと思います。

■私は、物語を「自分と他をつなぐもの」だと考えています。

たとえば優秀な営業は、無機質なものと顧客を結びつけるのが得意です。

求めるもの、必要とするものを顧客に提案するのが営業の役割ですが、ロジックで伝えるだけでは届かないこともあります。

そんなとき、優秀な営業は、情緒に訴える手段を持っています。

それが物語です。それは、情緒や感動やワクワクする気持ち、そうした無意識の部分に働きかけます。

「その商品、頑固すぎて左遷されかけていた技術者が長年の研究を結実させたものですよ」とか。

「創業者が何度も破産をしかけながらも守り抜いてきたのが、このこだわりです」とか。

「最初は誰にも相手にされなかったが、一人の熱烈なファンがブログに書いたことがきっかけで売れるようになった商品だ」とか。

論理的に考えれば、お客さんには関係のないことやんか、ということも、物語という形式で語られれば、心に響くことがあります。

物語が、自分とは関係のない何かと自分をつなぐものだという所以です。

■おそらく人間の本性として、物語という形式を受け入れやすいという特徴があるのでしょう。

神話にしろ、伝説にしろ、民話にしろ、昔から人々が物語を語り継いできたのは、それが世界と個人を結びつけるために必要なものだったからではないでしょうか。

物語は万人の心に届きます。

むしろ論理よりも幅広い範囲の人に届くはずです。

■人は本来、自分を何かに結びつけようとする精神性を持っています。

小さな頃は、母親に依存しています。それから家庭。大きくなれば学校。地域。大人になれば会社。

何かにつながらずに生きている人などいません。

成長の段階によって、結びつくものが変わり、その時折に痛みを覚えながら、人は社会的な存在となっていきます。

(多くの神話が、父殺しをテーマにしているのは、家族から離れて社会に結びつく男子の恐れや痛みを物語化したからだと言われています)

会社でワクワクすることがない。コミットできない。という人は、おそらく、自分と会社を結びつける物語がないのです。

むしろ「あんな会社のために働けるか」というマイナスの物語を持っているのかも知れません。

■サーモスのメンバーは「今は廃業寸前だが、いつかは世界トップ企業になって、ライバル会社や他事業部の連中を見返してやる」という情緒豊かな物語を描きました。

その物語に何人かのメンバーがコミットすることによって、組織は変革するエネルギーを持つことができました。

物語が成就した今、私は「廃業寸前から世界トップ企業になった奇跡」を経験した者と自分を認識しています。

その認識(立ち位置)が自分を支えていると言ってもいいでしょう。

■あの頃のメンバーはその後どうなったのか。

サーモスでそのまま頑張っている人もいます。当時のメンバーは軒並み上級職や幹部になっています。

他の業種に転職して頑張っている人もいます。ある人は、外資系会社のトップ(CEO)になりました。

私のように独立した人もいます。

そして、経営コンサルタントになった私は、「サーモスの奇跡を経験した者が、多くの企業に奇跡を伝播させる」という物語の中に生きています。

なにしろ一度、物語の力を知った者は、それに乗っかることが、人生を豊かにすることを知っていますから。

それぞれが、サーモスでの経験を糧に新たな物語を作っていることでしょう。

■会社人生を充実させたいというならば、ぜひ魅力的な物語を作ってください。

経営者は、社員が気持ちを寄せることができるような魅力的な物語を作って提示してください。

例えば、社是、経営理念、信条、ミッション。

あるいは、社史。

こういったものは、物語の宝庫です。

そこには必ず、豊かで魅力的な物語の要素があるはずです。

社史が会社の書庫に埋もれているならば、もう一度、日に当ててみてください。

きっとオリジナルな物語が見つかります。

なければ、ベテラン社員から、過去の話を聞いて、自分たちの言葉で書き起こしてみてください。

自分たちで、過去と現在と未来を結ぶ物語ができるかも知れません。

■私が思うに、魅力的な物語を作る秘訣は、まずシンプルであることです。

過去にはこんな歴史があった。

現在はこういう状況である。

だから未来はこうなる。なっていたい。

それで十分です。

シンプルな方が、皆が気持ちを寄せることができます。

ディテールを作って、物語を肉付けするのは、それぞれの社員がやればいいのです。

■もう一つの秘訣は、会社の物語と個人の距離が健全であることです。

物語は強力であるゆえに危険性もあります。

公の物語が強くなりすぎると、組織がカルト化してしまうかも知れません。

特定の宗教やマルチビジネスにはまりこんでいる人たちを思い浮かべてください)

だから、ブラック企業のようにならないようにしなければなりません。

コンプライアンスの遵守はもちろんですし、定期的に客観的な視点からの点検が必要です。

■私は、自分の子供に、何度もサーモスのことを話してきました。

かつて廃業寸前だった小さな事業部にいた父は、人生の一時期、それなりに頑張って、会社が世界トップ企業になるプロセスの当事者の一人となったのだと。

子供に自慢できるような会社人生でよかったと思います。

(「聞き飽きた」とたまに言われますが^^;)

サーモスの奇跡をもっと多くの会社で再現したい。

そして、多くの人たちに子供に自慢できるような会社人生だったと言ってほしい。

それが今の私の願いであり、成就しようとしている新たな物語の出発点です。

その思いが成就するとき、私の次の物語が完結するのだと考えています。

中国人の反応からみる日本人の強み

爆買いから「爆学」へと進化し始めた、中国人の日本リスペクトぶり

■ダイヤモンドオンラインの記事です。

中国の人が日本の良さを認め、学ぼうとしているとのこと。

道を究めるというのは日本人の得意分野だが、料理や農業など、日本人がこだわり出したらきりがない業界にも、中国人は注目し始めている。日本人の徹底した仕事ぶりから、学ぶべきことが多いからである。

■以前、弊社で開催した「戦略勉強会」に参加した中国の方は、「反日教育は事実。日本は怖い国だと思っていたが、実際には違っていた」というような感想を仰っていました。

近年の爆買いブームで、そう思う人が爆出しているのでしょうか。SNSもあるので、さらに爆伝播していくでしょうし。

■さてこういう「外国人から見た日本の良さ」に関する記事を読むと、あらためて日本人の特長や強みを知るきっかけになりますね。

つまり、適当なところで良しとせずに、とことん突き詰める性質です。まさに道を究めるというやつ。それが、外国人からすれば脅威に映るのでしょう。

製造業の強さもそこに現れています。

単に技術が高い、品質がいい、仕上がりが美しいというだけではなく、それを為すための蓄積が、仕組み化されているということが本当の強みです。

中国の人もそこに気づいたということですね。

■ただ浮かれていてはいけません。

気づいたということはキャッチアップする可能性があるということです。

中国人はそこまで粘り強くないなどということはできません。なにしろ人口が多いですからね。粘り強い人も日本の人口以上にいるはずです。

これから日本は、さらにその強みを磨き、蓄積していかなければならないということです。

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嫌いなやつを起点に自分を考える

秋元康氏「視聴者が望んでいるものを探せば探すほどダメになる」ヒット企画の秘訣を語る

■ログミーの記事です。秋元康氏と小山薫堂氏の対談です。

秋元康さん、面白いですね。

小山氏:秋元さんすごいなと思ったのは、「とにかく嫌いな人がいる」と。「その人のことを嫌いすぎて、好きなんじゃないかなって錯覚することがある」と。それで、「年に1回、その人とご飯を食べよう」と言って、ご飯を食べながら「やっぱり嫌いだ」って思って「よし、俺ブレてないと思うんだ」って言われたときに「すごいな」って。

秋元氏:つまり、どんなものでも「好きでもないです、嫌いでもないです」というのは、結局自分がないから好きでも嫌いでもないんじゃないですか。自分を持ったら、必ず好きか嫌いかあるわけで、その人が嫌いというのは、きっと自分にすごく似てるか、自分と全く価値観が違うのどっちかなんですね。

なので僕は、(その人に)会うぐらいだからきっと本当に嫌いじゃないのかもしれないんですよね。会って話をしてると「どうもこの人の価値観とか考え方は違うな」と思ったりするんです。

でもそれが、僕が30代、40代の頃から変わってないということは、自分の価値観が変わってないんだなということで、安心するということなんですけど。


■引用長いですが、この部分が面白かったです。嫌いな人を起点として自分考えるというところです。

私も嫌いなやつを整理して並べてみようかな。

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すかいらーくグループの客数向上策

すかいらーく、「客数増」に特化した8人の部隊

■日経ビジネスオンラインの記事です。

ファミレス最大手のすかいらーく。業績好調です。その客数増のための取り組みの記事です。

■すかいらーくグループは、1962年創業、1984年に東証1部上場しましたが、業績不振により2006年上場廃止。2014年に再上場しています。

ファミリーレストランの先駆けとなったすかいらーくですが、バブル崩壊後の1993年頃、低価格業態のガストに転換し、すかいらーく店舗はありません。

その後、ガストの客単価を徐々に上げていこうとしたそうですが、ここにきて、再度客数アップに力を入れているようです。

■店舗の売上高=客数×客単価です。

まずは客数を上げ、その後、客単価を徐々に上げていくというのが常套です。

が、ガストはもともと低価格店です。一度下げた客単価を上げるのも難しいのに、最初から低価格の店の客単価を上げることなどできるものでしょうか。

谷社長は「我々の経験から、客単価を5%上げると客数は0.7%下がり、単価を10%上げれば1.5%ぐらい客数が減ることが分かっている。当時は客数への対策よりも先に客単価を上げることの方を優先した」と説明する。

しかし実際には、それ以上の客数減になったのでしょう。方針転換したようです。

■どのように客数を上げるのか。やり方は地道です。

時間:ランチメニューの好調を受けて、ランチの時間を延長した。

客層:女性の好むメニューを充実した。

地域:これまで出店していなかった地域への出店。業態開発。

その他:テイクアウトの広告・充実。人気メニューの値引き。畳席を椅子席に。

専門チームがデータをにらみながら、できることは何でもやろうということですね。

■実にまっとうなやり方だと思います。

大量広告などに頼らないところが強さを感じます。

客数増に、飛び道具などありません。

こうした蓄積を続けることが王道です。

ぜひこのやり方を貫いて、ノウハウを蓄積していただきたいものです。

■すかいらーくに限らず、多業態を持っているところは、地域特性や消費動向の変化に合わせて、柔軟にやればいいんだと思います。

客単価を上げたければ、新業態を作ればいいわけです。

ただ、業態ごとに責任者がいて、制約の中で業績を上げようとするので、無理に客単価を上げようとしたりするわけでしょうね。

■業態横断的な「客数向上」専門チームがいれば、全社に共通するノウハウも蓄積できるでしょう。

それがすかいらーくグループのリソースとなれば、強い会社になりそうですね。

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三菱電機の兵法

年俸1億円以上の役員が23人!三菱電機「絶好調」の理由は「撤退する勇気」目立たないけど給料も業績もすごい

■現代ビジネスの記事です。三菱電機について。日本の家電メーカーが苦しむ中、一人勝ちといってもいい業績を誇ります。

その要因は、勝ち目のないB2Cビジネスに早くから見切りをつけて、地味なB2Bビジネスに舵を切ったこと。

しかも、柱となる大きな事業を育てようという気負いなく、「勝てるところで勝とう」という控えめな姿勢があります。

その柔軟さがいまの好業績に結びついているようです。

■記事には、『1位を目指さなければならない』という気負いや、『寝食を犠牲にして働く』という必死さが薄い。とあります。

殿様商売ともいわれています。が、「勝てるところで勝とう」というのは、孫子の兵法が標榜する戦い方です。

最も確実な戦略であるといえます。

■1位を目指さないとはいいますが、実際にはニッチ分野で1位をとっているから高収益であるわけです。

勝てる戦いしかしない巨大企業というと、戦国時代でいう豊臣秀吉のようなもので、盤石ですよ。

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「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語

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テレビ通販には、ライブ販売の粋が集約されているようだ

通販番組「QVC」、視聴者がハマる5つのワケ

■日経ビジネスオンラインの記事です。テレビ通販のQVCについて。

テレビ通販も進化してますね。まさにライブ販売の粋が集められているのでしょう。

■顧客接点における販売には、「顧客の問題を解決する」「タイミングが合う」「希少性がある」という要素があります。

すべてがそろえば申し分ないが、どれか一つだけであっても、購買欲を刺激します。

テレビ通販には、そのすべてを包括する工夫があるようです。

■例えば、ここでは希少性について書かれています。

いま、在庫があるかどうか、どの程度なくなったかがリアルタイムでわかるようになっています。

こうした臨場感が購買意欲を刺激するわけです。

■どの商品も顧客の悩みを解決するような説明がなされているわけですが、ここでは、視聴者からの要望を即時に伝えて、画面で見せるという工夫もあるらしい。

一方通行になりがちなテレビの弱点を、このように克服しているのかと、いたく感心しました。

■販売の重要な要素としてもう一つ「情緒を刺激する」ことがあります。

それは、商品開発にまつわるストーリーであったり、販売者の人柄であったり。

「君が売っているなら買うよ」というやつです。

■昔、魔法瓶を売っていた頃、テレビ通販とも関わりがありましたが、そのころと比べると、かなり進化したような印象がありますね。

まさに効率性、生産性を追求してきたのでしょうね。

ただ、昔は、企画が外れることも多かったような。。

そんなときは、全部返品されて戻ってくるので、えらい目にあった記憶があります。

いまは、需要予測もきっちりとできるようになったのでしょうかね。

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プロフィール
komai 小

営業関連のコンサルティングをしています。
製造業や卸売業などの営業組織を強化する仕事を得意としております。

株式会社クリエート・バリュー代表取締役
NPOランチェスター協会理事
NPOランチェスター協会関西支部
NPOランチェスター協会認定インストラクター
中小企業診断士   販売士1級

コンサルタントになる前は、日本酸素株式会社魔法瓶事業部(現在のサーモス株式会社)で14年、営業担当をしておりました。
その時、廃業寸前の赤字だった事業部がわずかの期間で世界トップ企業になった経緯を体験したことが、経営コンサルタントになったきっかけとなりました。
当時、経験したことや見聞したことを物語風にアレンジしたのが、拙著『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』です。
面白い本なので、ぜひ読んでください(^^)

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