わたしは価値を創る

大阪在住の経営コンサルタントのブログです。

八ッ橋の志向する「生き残る」経営

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■The Huffington Postの記事です。京都の老舗和菓子店八ツ橋のお話。

MBAでは八ッ橋は売れないそうです。

その意味は、経営の方向性や目的が違うからでしょう。


■私なりの言葉でいうと、MBAは勝つための合理性を追求した経営手法を学びます。

ところが京都の老舗和菓子店では、生き残る経営を志向します。

挑戦して失敗すると、従業員を解雇しなければならないかも知れない。挑戦するのは確実に勝てる時だけです。勝つ算段がない時には何もしないに限る。孫子の兵法に通じる教えです。


■違う視点でいうと、MBAを学んだ人はポジショニングを重視する傾向が強いのではないかな。競合他社に対して、自社の位置づけを大きく変えることも厭いません。

生き残りを重視する経営では、リソースの蓄積や強化を重視します。だから顧客、得意先、従業員、地域とのつながりを大切にします。


■どちらが正しいというものではありません。どちらの姿勢をとるかですね。

ちなみに私は、コンサルティングの際は、ポジショニングリソースと両方を重視しますが、目的は「生き残る」ことに置いています。

だから八ッ橋さんのような経営姿勢は好きです。

結果を出す人は、手段を目的化している

(2015年12月17日メルマガより)



■私の今年のトピックといえば、やはり著書を出版したことです。


『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4827209693/lanchesterkan-22/ref=nosim

増刷もかかりましたし、望外の喜びです。

少なくない反響もいただき本当にありがとうございます。

■私は10年以上、コンサルタントをしています。

コンサルが本業ですが、研修やセミナーも年間何回かは行います。

セミナーなどでよくある質問が「戦略メソッドは分かった。事例も分かりやすい。しかし、自社で応用するにはどうすればいいのか?」というものです。

質問はしなくても、そう悩む企業は多いのではないでしょうか。

■実際、個別企業によっておかれた状況は様々です。

他社でうまくいった事例をそのまま当てはめてうまくいく保証などどこにもありません。

応用するには、使用する側の工夫が求められます。

■コンサルタントは、個別企業に合わせた応用をするのが仕事の一つです。

ただし、それでも企業側が受け身では、うまくいきません。

戦略は、現場で活用しなければなりません。

現場まで顔を出すコンサルタントもいますが、やれることは限られています。

やはり現場を預かる本人が、自分で工夫して応用しなければ、どんな素晴らしい戦略も絵に描いた餅になってしまいます。

■そのあたりの苦労をストーリーにして書こうと思ったのが、今回の著書の動機の一つでした。

物語の中で、現場に出ている若手営業担当者たちが、自ら戦略の勉強をして、戦略づくりに取り組みます。

出てくるのはシンプルな戦略なのに、そこに至るまで多大な時間を費やします。

他人がみると単純なことも、現場の人間にとってはひどく複雑に見えるもの。

それを整理して、シンプルな一つの方向性を見つけるのはいかに大変なことか。

その分、方向性を自ら見つけることができれば、それは自分たちのものです。

自分たちで見つけた方向性だから現場に落とし込みやすくなります

戦略を現場に落とし込むにはどうすればいいのか?その問いに対する私の答えの一つが、そこにあります。

■なのですが、それをするともう一つの課題が生まれます。

これは、やっているうちに気づいたことです。

■実践する、しない、には個人差があります。

何がなんでもやりきろうとする人、途中であきらめる人、最初からやらない人。

要は人間の問題です。

(1)最後までやりきる人。これは問題ありません。決まったことはやりきろうとするので、放っておいても大丈夫です。

(2)最初からやらない人。これは問題ですが、一定の割合で必ずいます。露骨に反発するか、面従腹背するか、いずれにしろそういう人がいるんだと織り込んでおくことです。

(3)やろうとする気持ちはあるが、途中であきらめる人。

ここが最も問題です。

やる気はあるが、やりきるまでにはいかない。

しかも(3)は多数派ですから、ここが動かないと、組織として機能しません。

■なぜ最初はやろうとするのに、最後までできないのか?

当初は、やる気(熱量)の問題だと考えていました。

思いが弱いので最後までできないのだ。

だとすれば、思い入れを強くするように最初の段階でしておこう。

そう考えて、対処しようとしていました。

■ところが、熱量の足りない人に、油を注いでも、うまくいかないものです。

むしろ、最初のやる気が大きいだけに、失望も大きくて、より冷却してしまう結果になってしまいます。

■そうじゃありませんでした。

最後までやりきる人と、途中で立ち止まる人の違いは、その考え方にあります。

それに気づきました。

■能力もあるし、やる気もある。それなのに、途中で立ち止まってしまう人というのは、スイッチをうまく変えられない人です。

戦略を実行しようとすると、必ず壁に当たります。

計画通りいくことなどほとんどありません。一回ではなく、二回、三回、四回とつまづくことが普通です。

それを乗り越えられる人というのは、何がなんでもその壁を乗り越えることに注力します。

うまくいかないという現実を乗り越えることだけに意識を集中しています。

■ところが、乗り越えられない人は、二度、三度、つまづくと「そもそも、この戦略でいいのだろうか」と俯瞰して考えてしまう癖があるようです。

あるいは自己反省に入ります。「なんで俺はこんなことに一所懸命になっているのだろう?自分にとって、こんなに真剣にやることなのか?」

そういう思考に陥ると、最初からやる気のない人たちを視野に入れてしまいます。やる気がなくて動かない人たちの意見にも一理あるように思えてきます。

これが相対化の罠です。すべてに理があると思ってしまうと、自分が何をすべきかを見失います。

動くべき根拠を失ってしまうのです。

ある意味、頭のいい人こそ実行力がないといえるかも知れません。

なまじ戦略作りの考え方やプロセスを身につけたために、陥ってしまう罠だといえるでしょう。

■逆に、やりきる人は、バカになれる人です。

何があろうと、意地でもやりきる。自分の行動を絶対視してやりぬく。

いわば、バカになるスイッチを切れる人です。

■これを私は「手段の目的化」と呼んでいます。

一般に、手段と目的を混同したらダメです。それは悪いことの典型です。

ただしそれは戦略を作る際においてです。

実行段階に入れば、ある意味、手段を目的化しなければなりません。

そうじゃないと、相対化の罠にはまって、推進力を失ってしまうのです。

■もちろん戦略方向性を決める際には、ものごとを長期的、全体的に見なければなりません。

そこでは相対化する視点が必要になります。

ところが、戦略が決まって実行するフェーズに入ると、余計な情報など遮断してしまって、四の五の言わずにやりきることが重要です。

極端な例として「間違った戦略でもやりきると結果が出る」というのは経験として事実だと断言します。

冷静に頭を使う時。熱いバカになる時。そのスイッチを自在に切ることができれば最強でしょう。

まわりにいる「結果を出す人」を観察してみてください。

きっと、その人は、うまく「手段を目的化」できる人のはずです。

■戦略はシンプルに。実行はクレイジーに。

それが私の信条です。

戦略づくりは考え抜いた末に、シンプルにまとめる。

そして一度決めた戦略は何がなんでもクレイジーにやりきる。

それが結果を出すための最善の道であると信じています。

■ちなみに、このメルマガを大晦日というタイミングで出すことに、意義はあるのでしょうか?

たぶんありませんな。

私もバカになるスイッチを切っておりますね。




中小企業と大企業OBのマッチング

技術と経験を備えた大企業OB「新現役人材」が中小企業を救う!

■プレジデントオンラインの記事。

すばらしい取組みです。

信用金庫が中心になって、中小企業と大企業OBのマッチングを行っているという記事です。

信用金庫はリテールを強化したい。

中小企業は知恵がほしい。

大企業OBは知識と経験を役に立てたい。

三方よしです。

■定年に至ったからといって、大企業での経験を埋もれさすには惜しい。中小企業にとって有益な知恵を持っている人材は多いでしょう。そんな知恵を使わずに朽ちらせるのは社会的な損失です。

もっとやる気のある人はコンサルタントになればいいのでしょうが、全員がなれるわけではありません。

企業側にとっても、高いコンサル料を払う余裕がない場合もあります。

それならば、こうしたサービスを使って、アドバイスに来てもらうという方法があったわけです。

もし、すべての知見と企業が的確にマッチングできたならば、日本の競争力は相当上がるのではないでしょうか。

■今回の記事は、信金が中心になった取組みを紹介していますが、各地方の公的機関で似たような取組みをしているのだと思います。

成功しているところの運営方法を標準化して、全国に広げるべきですね。

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困った時こそ本業回帰 VANSの事例

ドン底から這い上がった靴メーカーVANS、復活の過程

■フォーブスジャパンの記事です。

アメリカの靴メーカーの復活について。

■赤字続きで苦境のVANSを買収したのが、大手アパレル企業群のVFコーポレーションです。傘下に、ノウティカ、ザ・ノース・フェース、リー・ジーンズなどを持っています。

アウトドアブランド、ノースフェイスを持つVFコーポレーションとすれば、VANSもアウトドア路線で行けばいいと思うところなのですが、競合の激しいところへすぐに行くようなことはしませんでした。

VFCがとった再建手法は、(1)本業である靴に集中すること、(2)アスリートをターゲットとした機能製品に特化すること。でした。

ニッチな市場に特化して、競合との軋轢を避けながら、力を蓄える。オーソドックスなやり方ですね。

■これが機能して、VANSの業績は急回復したようです。

で、今は、本来やりたかった(ことであろう)アウトドア市場への進出を果たしています。

いまや、ナイキやコンバースと競合関係にあります。

■短い記事ですが、いくつか教訓になることがありますね。

1.困った時こそ本業回帰。自社の強みを見直す。

2.戦うべき相手を決める。いきなり強い相手と戦わない。

3.一足飛びには成長できない。段階を踏む。


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マクドナルド米国本社が、日本の再建を諦めた

マック、米本社“撤退”で現場は歓迎

■マクドナルド米国本社が、日本マクドナルドの株を投資ファンドの売却するそうです。

これは良策です。

■マクドナルドは、原田CEO時代の後半から業績を低迷させてきました。

これは原田CEOのやり方が失敗したというよりも、マクドナルドのビジネスそのものが日本では低迷期に入ったということだと思います。

それをせきとめようとした原田氏ですが、米国本社の干渉が強すぎることもあって、思い通りの経営ができなかったようです。

■立て直しに入ったカサノバCEOも、米国本社のやり方ではどうにもならん、という確認をした形になってしまいました。

要するに、マクドナルドの常識から外れたことをしないとダメだということです。

そこで、ファンドに任せて、誰か適任者にやってもらおうという思惑ですな。

■どうも、アメリカ式経営は、一律的な戦略と運営を強いて、地方の事情と齟齬をきたすという弱点があります。

ただし、状況を見切って、手のひらを返す思い切りの良さは、いいところです。

誰がマクドナルドの再建に取り組むのか分かりませんが、思い切ったやり方をしてほしいものです。


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シンプルな戦略とクレイジーな実行

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メモ。営業type.というサイトの記事です。

新潟で、ドレスショップを経営する女性のことが書かれています。

地方都市で若い女性が年商10億円。大成功ではないでしょうか。

彼女が成功した秘訣は、ちょっとしたチャンスを見る目と、思いつきをビジネスにしていくクレイジーな実行力です。

新潟のキャバクラ嬢などに、東京で流行しているドレスを販売

この経営者。もともとはネット通販で洋服などを販売しようとしていたようです。

少しでも安く仕入れようと、メーカーに交渉したところ「ネット通販には卸せない。店舗を持て」と言われてしまいます。

行動力のあった彼女は、それなら店舗を持ってやろう、と決意します。ただし、ネット通販なので店舗といっても倉庫がわりのようなもの。なるべく家賃の安いところに店舗を持とう、と探すうちに実家のある新潟に行きつきます。

ネット通販だし新潟でもいいか、と思って物件を探しにいくうちに、夜の歓楽街を見ていたく気になることが…

「新潟の夜の女性って、こんなに古いデザインのドレスを着てるの??」

東京のキャバクラ嬢をみていると、やはり流行に敏感です。それに比べるといかにもあか抜けないスタイルに感じたようです。

そこで事業欲旺盛な彼女は「新潟のキャバクラ嬢に、最新の流行のドレスを販売しよう」と思い立ちます。

単純なビジネスだが難しい

新潟の女性に、東京で流行している服を売る。

いわゆる情報格差を利用したすこぶる単純なビジネスです。


ただ、思う付きだけでとんとん拍子に成功するほどビジネスは簡単ではありません。

ネットで販売しても見てくれない。宣伝媒体にお金をかけるほど余裕もない。顧客であるキャバクラ嬢に近づくルートがない。

この女性はどうしたか。

なんと、新潟のキャバクラやクラブに一軒、一軒、飛び込みで回ったのです。その時、もちろん、最新のデザインのドレスを自ら身にまとっていました。

この行動力はクレイジーですよね。

いきなり「あなたのドレスは東京では流行遅れです」と言って回っても、反発されるだけです。特にドレスの飛び込み営業など滅多にありませんから、警戒されて門前払いされるのがオチですよ。相当に信頼されなければ話を聞いてもらうことも難しかったはずです。

この女性起業家は、この難しい飛び込み営業をやりきったのだから大したものです。

泥臭い行動で、工夫などありません。工夫があったとしても、それは現場営業の中からしか学習できないものだったでしょう。

失礼ながら頭がいいというやり方ではない。しかし、これこそが成功の秘訣だと思います。

やりきるためには、手段を目的にする

わかったような顔をして「最少の労力で最大の成果が得られるような行動をする」なんて言っているやつに、爪の垢を煎じて飲ましてやってほしいものです。

何かを為そうとする時、一度計画を決めて実行段階に入ったら「手段を目的に」しなければならない場面があります。

逆説的に聞こえるでしょうが、営業の実行とはそういうものです。一度決めたら、やりきるまでは、ひたすら実行に全精力を集中させる。

反省するのは、一段落ついた後でいいのです。

起業を成功させるにしろ、営業成績を上げるにしろ、中途半端な賢さはむしろ邪魔ものです。何も考えずに行動できるバカでなければうまくいかない。


その場合、あまり複雑な戦略では、途中でこんがらがってしまいます。

できれば戦略はシンプルに。実行はクレイジーに。


そういう意味では、このビジネスは最適な事例です。

プロスポーツ選手が直接意思を伝えるためのサイト

ジーターが選んだ引退後の意外なキャリア 元スポーツ選手ならではの情報サイトを開設

■ニューヨークヤンキースの伝説的な名選手であるデレク・ジーターに関する記事です。東洋経済オンライン。

ジーターは昨年の引退後、社会貢献意欲の強い第二の人生を歩んでいるようです。

その一つが、若者の更生をサポートする財団の運営。

もう一つが、スポーツ選手が直接意思を伝えるためのサイトの運営です。

■人格者で知られたジーターですが、やはり引退後もそういう道を進んでいるのですね。

プロスポーツには、専門のメディアが存在しますが、それが軋轢を生むこともあります。

曲解されたり、意図的に曲解したり。

阪神タイガースなんて、御用マスコミが、チーム運営を阻害している面もあるといわれる向きもあります。

■そこでジーターが作ったのは、スポーツ選手が直接意思を伝えることのできる情報サイトです。

なにしろジーターが運営しているので、大物選手が集まります。

信頼性があるから、選手もファンも集まります。話題にならないはずがない。

■もちろんプロスポーツには、面白おかしく演出をするためのメディアも必要でしょう。

同時に、選手の意向をそのままダイレクトに伝えるメディアも必要だというのは理解できます。

おそらく、その両者はこれから補完関係を築いていくのでしょうね。

■利害度外視のジーターかも知れませんが、広告モデルで普通に運営できそうです。

おそらくこれから日本でもこういうメディアはできてくるでしょう。

王貞治氏を掲げて、ヤフーあたりがやるのではないですかね。

■そうなると今度は、選手側にも、意思を正しく伝えるためのコミュニケーション能力が求められるようになります。

これまでのように記者が勝手に意を汲み取ってくれるわけではないですから。

選手の負担も増えますが、仕方ありません。直接伝える機会は必要です。

■だとすれば、コミュニケーションを指導するコンサルなんてのが増えてくるのでしょうね。

きっと。

社会環境によって必要とされるビジネスは変化していくという一つの事例になりそうです。


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「ブランドとは、生きざまですよ」

「マツダ営業方式」誰に対しても胸を張れる“生きざま”を考えろ!

■プレジデントオンラインの記事です。

マツダの経営改革に関する連載の4回目です。

■技術系から営業の責任者になった人が気づいたのは、販売の考え方に一貫性がないこと。それぞれがバラバラの考え方をもって、営業に取り組んでいる。

営業ではよくあることです。経験主義ですから、個人の経験や師匠筋の個性が継続されていきます。弊害です。

技術系出身のこの方は、それに違和感を覚えたらしい。技術系はそういうことはないのでしょうね。

そこで、価値観の統一を図るために「マツダ営業方式」を作ったとのこと。

■この記事には、その具体的な内容は書かれていません。あるいは、連載次号か。それとも連載のもとになった書籍に書いてあるのかな。

それはともかく、営業組織を強くする場合、まず価値観を統一しなければならないというところには、大いにうなづきます。

■価値観、理念、ミッション。そういったものをバカにする人は多いです。

しかし価値観がバラバラな組織というのは脆弱です。ぬかるみの上に立てた城みたいなものです。

強固な地盤にするには、従業員が同じように地を踏み固める必要があります。

そう共感した記事でした。



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セイコーマートが勝てる局面

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■日経ビジネスオンラインの記事です。

北海道に地盤のあるコンビニチェーンのセイコーマートに関する記事。


■コンビニ業界は、3チェーンに集約されつつあり、その中でもセブンイレブンの強さが際立っています。

M&Aを大胆に行ってセブンに対抗できる規模を確保しようとしているのがファミリーマートです。

ローソンはやや独自路線か。ただナチュラルローソンや100円ローソンなどもパッとしないのかな。

結局、両者とも国内では勝てないと認めて、海外展開に活路を求めています。


■だが、北海道の地場コンビニチェーンであるセイコーマートは、セブンを迎え撃とうとやる気を見せています。

いや。違いますね。

北海道に進出してくるセブンに危機感を抱いて、勝てる局面を見つけようと試行錯誤している状態です。


■セブンと同じような立地で似たような店を出しても勝てないのは明白です。それは全国各地でいやというほど先例がありますので。

セイコーマートが勝てる局面はあるのか。

もちろんセブンが出来ないことに方向性を求めなければなりません。

過疎地への店舗展開や店内調理の充実、日用品の増加などに活路を見出します。


■ここで参考になるのは、ホームセンターのコメリでしょうか。

「農家のコンビニ」として、農村地帯の客層が通えるような品ぞろえと店づくりを目指しました。

人口の少ない地帯でも採算のとれるオペレーションを開発して、それをやたらに増やしたので、ライバル会社は後を追うことができなくなりました。


■セイコーマートの場合、過疎地への店舗展開ですから、それ以上にハードルが高い。

過疎地への出店などセブンにもできないことです。

裏を返せば、そこに勝ち目があるということです。

セイコーマートは、リスクの高い独自路線を行くために、直営店を増やしています。直近の収益性よりも、生き残るための戦略展開を優先しています。

結果として、コンビニという業態からの脱却を志向しているようですが、業態など流動的なものですから、さもありなんです。

確かに厳しい道ですが、なんとか採算ベースに乗せてコメリ化を目指してほしいものです。

3K職場を生き生きとした職場にする方法

成功し続ける企業が数字以外に大切にしていること
〜『グレートカンパニー』(リッチ・カールガード著)を読む


■新幹線を清掃する会社(JR東日本テクノハートTESSEI)は、3K職場なのに、なぜ従業員のモチベーションが高いのか?

その解を「信頼」「『知性』」「チーム」「テイスト」「ストーリー」というソフトエッジに求めた記事です。

折り返しの新幹線の車内を清掃するのだから、スピードと効率性が必要です。それを機械的にやらせようとしても、従業員に負担がかかって、離職が増えてしまいます。

そこで同社は「新幹線劇場」という喩えを作って、顧客という主役をサポートする裏方という物語にしていまいます。

その上、チーム同士の信頼を高めるような施策も行っています。(詳しくは記事を…)

■「グレートカンパニー」という著作によれば、経営に必要なものは、「戦略基盤」「ハードエッジ」「ソフトエッジ」だとか。

記事は、そのフレームワークで捉えようとしているわけです。

■それはそれで分かりやすい捉え方だと思います。

ただ、私は既に独自のフレームワークを作っているので、それを確認・補完するために使用させていただきました。


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下町ボブスレーの戦い

「下町ロケット」以上の苦難!
“下町ボブスレー”五輪への遠い道


■「下町ロケット」ならぬ「下町ボブスレー」です。

記事を読んでいると、こちらの方がドラマになりそうです。

なぜなら、下町ボブスレーは、大田区にある中小企業の共同作業です。

製造業集積として衰退しつつある地域に危機感を覚えたある企業が、もう一度横の連携を強化するために始めたのが、ボブスレー日本代表にソリを提供するというプロジェクトだったようです。

■だからまず地域の衰退と復興というテーマがあります。同時に、ものづくり日本の危機。中小企業の困難と挑戦というテーマもあります。

恐らく横の連携といっても一筋縄ではいかなはずです。それぞれの企業に思惑があるし、企業内の従業員同士も違う思惑があります。それがまとまるというのはしんどいはずです。たぶん今でも一枚岩ではないのではないか。

■次に、相手先との関係があります。

記事は控えめに書いていますが、日本のボブスレー協会とうまくいっていないらしい。どこかで溝ができたのでしょうね。

どちらにどんな問題があったのかは分かりません。が、マイナー競技の世界で、協力体制がないというのも困ったことです。

だから海外のメーカーと戦う前に、仲間内や顧客と戦わなければならいようです。

■このように現実の物語は、より多くの困難に晒されています。

これを克服していくのは、ドラマよりも劇的な展開が必要になります。

その感動的なストーリーを関係者が共有することができるように祈ります。

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廃業寸前の負け犬集団が、常勝軍団に生まれ変わったわけ

(2015年12月17日メルマガより)


■10月30日に発売した初めての著作が、売れ行き好調です。


『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4827209693/lanchesterkan-22/ref=nosim

11月30日には、第2刷が発行されました。

無名の著者の本が、増刷がかかるというのもたいへんなことです。

実は、昨日まで東京にいましたので、書店をいくつか訪ねてみました。

さすがに発売直後と同じように並んでいるわけではありませんが、それでも大きめの本屋さんには、平積みや面で陳列されていました。

本当に有難いことです。

こちらの方が、奇跡じゃないのか、と思えるほどです^^;

■出版元のぱる出版によると、大手企業による100冊単位のまとめ買いもあるのだとか。

社内研修などで使用されるのでしょうか。

本当に有難いと思います。

いつでも講演に伺いますので、ぜひ呼んでくださいね^^

■私の知り合いの企業様も、従業員に配布したいからとまとめ買いされたとお聞きしました。

話をお聞きしてみると、営業マンたちがやる気を出して一体化していくプロセスに感心し、それを社内の人たちに汲み取ってほしいと仰っていました。

本当にありがとうございます。

これぞまさに私が、この著書で書きたかったことでした。

■ちなみに、この本は、大手工業用ガスメーカー(日本酸素)の中の小さな傍流事業部(サーモス事業部)が、廃業寸前の状態から営業改革をなしとげ、世界トップ企業(サーモス株式会社)になっていく姿を描いたビジネス小説です。

主人公の成長、チームの団結とビジネスの成功を描きながら、戦略をどのようにして実践につなげていくのかを事実に即して書いています。

成功譚を語るビジネス小説でもあり、成功に至るビジネスメソッドを学ぶ本でもあるという二度おいしい著作となっております^^

■ただ、私が、この本をビジネスの解説本ではなく、小説形式にこだわったのは、プロセスを臨場感をもって受け取ってほしかったからです。

なぜなら、戦略やメソッドといわれるものは、意外に単純なものです。

いや、単純でなければ、実行できません。(だから複雑なメソッドは役に立ちません)

そのシンプルな戦略をいかにして確実に実行するかが、企業戦略の成否を分けます。

■しかしシンプルだからといって、実行されるとは限りません。

そこは人間の集団です。理屈では測れない複雑な感情や思惑で動くもの。

もし集団が一方向へ照準を合わせることができれば、凄まじいエネルギーとなります。

が、たいてい、人はバラバラな方向へエネルギーを発散させているものです。

それをほんの少しベクトルを合わせることで、企業は前身していきます。

そのプロセスを、この著書で書かせていただきました。

■物語では、チームのメンバーが、前を向くきっかけとして「目標」の存在があげられています。

それまで、サーモス事業部は赤字続きのダメ組織でした。見込みのあるやつらは、本業のガス事業部に引っ張られていって、残ったのは使えない「負け犬」ばかりという設定です。

どうせ自分たちはダメなんだと愚痴ばかり言っていた連中を、一方向へ向かせたのは、「世界トップ企業になる」という目標でした。

目標設定は、戦略づくりの第一歩です。

そもそも目標がなければ戦略さえ作ることができません。

だが、それ以上に重要なのは、目標は、メンバーの目線を一方向にむけるという効果があるということです

すなわち有効な目標は、それだけでチームのパワーを引き出すものなのです。

■ただし、現実には、目標があったからといって、皆がやる気を出すというわけではありません。

目標設定にも注意が必要です。

前年比105%なんて目標なら当たり前すぎてやる気にもなりません。

それはただのルーティンですな。

かといってあまりにも荒唐無稽な目標は逆に皆のやる気を削いでしまいます。

道は遠いが、やればできる。

あるいは、はるかかなたのゴールだが、皆が向かっていくべきだ。

そう思えるような目標でなければなりません。

■なぜサーモスにいた私たちは「世界一になる」という目標を自分たちのものとして受け入れることができたのか。

その当時のリーダーが、それほどカリスマ性があって皆を扇動したのか?

といえば、そうではありません。

サーモスには、今も昔も、そのようなタイプのリーダーはいないはずです。

ではどうしたのか?

著書には、あっさりと書かれているので、見逃されているかも知れませんが、実は、目標を決める前にも、小さな勝利を積み重ねることで、徐々に負け犬根性を払しょくしていたのです。(73ページあたりです)

■負け犬とは、負けるから負け犬です。

業績が下降する企業内には、そのような雰囲気が蔓延しています。

何をやってもうまくいかない。頑張るだけ無駄。それなら最初から本気でやらない方が傷つかずに済む。

それが負け犬の思考パターンでしょう。

そんな時に、高い目標を与えれば、皆ひねくれてそっぽを向くのは目に見えています。

ところが、たとえ小さくても成功体験を積み重ねれば、同じだけ自信も積み上ります。

大勢に影響を与えない局所的な勝利でも、人材育成という意味では実に大きな影響を持つものです。

そういう意味では、「弱者の戦略」を積み重ねることは、実に意味のあることなのです。

■当時のサーモスは、一足飛びにトップに立てるような状況ではありませんでした。

しかし、市場を小さく切り取って「局面」として捉えれば、勝てる場面は見つかるものです。

そんな小さなところで勝ってもしゃあないよとバカにするのか。

あるいは、与えられた条件の中で、どうにかして勝ちを拾っていくのか。

どちらが10年後に勝利者になっているのかは明白です。

■著作の中に書きましたが、当時、サーモスを指して「魔法瓶なんて小さいビジネスを真剣にやって何になる?」と小馬鹿にする人たちはいっぱいいました。

サーモス外にも、内部にもいました。

そういう人たちはいったいどうなったのでしょうか?

生々しいので言及は避けますが、想像に難くないと思います。

■そんな小さな勝利を積み重ねた私たちが、自分が進む道の果てには世界トップという地平がある、とイメージするのは自然なことです。

どんな大きな目標も今日の小さな一歩を積み重ねた先にたどり着けるものです。

最初は非効率で時間がかかっても仕方ありません。徐々に、効率的に動くコツを覚えて、歩幅も大きくなっていきます。

歩くスピードは加速度的に速くなっていきます。

そのためには、勝つこと。

勝って、前に進む自信を持つことです。

■戦略と実行は、どちらが欠けてもダメです。

戦略は実行のためにあり、実行はさらに大きな戦略を可能にします。

勝てる局面で確実に勝つ。

実に単純な思考ですが、これこそ戦略ポジションの上昇と人材リソースの高度化を同時に成し遂げられる非常に優れた思考法であるといえるでしょう。

そんな一人一人の前向きな気持ちの積み重ねが、実際に、会社を世界トップ企業にまで導いていったのです。

そのメカニズムとプロセスが、あの著書でお伝えできていれば幸いです。

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オンラインでランチェスター戦略を学ぶ。「ランチェスター戦略入門セミナー」 

円陣を組むあひるちゃん 

なぜ「世界トップ企業」を目指すのか?

(2015年12月3日メルマガより)


■このたび、初めての著作を上梓させていただきました。


『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4827209693/lanchesterkan-22/ref=nosim

これはある大手工業用ガスメーカーの中の小さな傍流事業部が、廃業寸前の状態から営業改革をなしとげ、世界トップ企業になっていく姿を描いたビジネス小説です。

主人公の成長、チームの団結とビジネスの成功を描きながら、戦略をどのようにして実践につなげていくのかを事実に即して書いたものです。

おかげさまで売れており、増刷もかかりました。

本当にありがとうございます。

■ところで、この本を読んだという方から、何件かの問い合わせをいただきました。

無名の著者に注目いただき本当に有難いことです。

その中で「世界トップ企業になる手伝いをしてほしい」という問い合わせもいただいております。

本当にありがとうございます。

■しかし残念ながら、お断りさせていただくこともあります。

理由は、単純です。私はいま、中小製造業を主に支援しています。

製造業以外の企業様ともおつきあいはありますが、あまり大きく外れた業界は、お受けしないようにしています。

具体的にいうと、小売業、飲食業、サービス業、ネット企業などは、私の対象からは外しております。

本当に申し訳ございません。

自分の限られた能力を最大限活かすための措置であるとご理解ください。

■ところで、私は著書の「おわりに」の中でこう書いています。

『著者は今、どんなに小さくとも、不利な対場にあろうと、「世界トップを目指す」志のある企業を支援しています』

先日も、クライアント企業の方と話題になったのですが、これは「世界トップ企業をゴールとせよ」というわけではありません。

世界トップ企業を目指すのは、それが生き残る手段として最適だと考えるからです。決して、目的化してはいけません。

当然ながら世界トップ企業になった後でも、経営は続いていきます。

重要なのは「生き残る」ことです。

■あの著書に書いたように、トップ企業は、競争上有利な立場にいます。

弱者の戦略が、多大なリスクを負わなければならないのに比べて、強者は負けない戦いを展開することができます。

いったん強者になれば、よほどのことがない限り、逆転されることはありません。

特に、戦略に意識的な強者は、盤石の地位を保つことができます。

だからこそ、世界トップ企業を目指すべきなのです。

逆に弱者企業が「うちはほどほどでいいよ」と言っていたら、実はとても危険な立場に置かれているということです。

■生き残るためには世界トップ企業を目指せ。

だからといって、小さな会社が、巨大な業界でトップを目指せというわけではありません。

小さな会社には、小さいなりの「局面」がある。

それを見つけてトップになれ。

それが、私の意図です。

参考:世界トップ企業になるために最初にしなければならないこと
http://www.createvalue.biz/column2/post-370.html

■繰り返しますが、私は生き残ることこそが経営の第一義であると考えています。

それは「孫子の兵法」の考え方でもあります。

「孫子」は決して、戦いに勝つことを奨励していません。

戦いに勝っても、国が疲弊して、寿命を縮めてしまえば意味はありません。

どうすれば生き永らえることができるかを追求することが、孫子の思想です。

勝つか負けるか分からないような戦いならしない方がマシ。

状況によっては、何もしないことも戦略です。

■私が孫子から学んだこと。それは、守りを固めることこそが生き残る秘訣だということです。

参考:「孫子」を活用するための最大のキーワード
http://www.createvalue.biz/column2/post-302.html

ここで私が孫子から導きだしたのは「城」というキーワードです。

強固な城を作ることこそが、生き残るための秘訣です。

100年続く城を作れ。

戦国時代の武将北条早雲は、小田原城を作る時にそう命じたと伝えられますが、最近は私もこう言っています。

100年続く城のような会社にしよう。

その概念を「城塞経営」と呼んでいます。

■城作りは、戦略づくりに似ています。

城作りでまず大切なのは、どの場所に城を作るのか?です。

山なのか、平地なのか、狭地なのか、湿地なのか。場所によって城の構造そのものが変わってきます。

これは戦略においては、どの局面を選ぶのか?です。勝てる局面を選び、その局面に相応しい体制を整える。

それが戦略づくりの第一歩となります。

■城には、本丸、二の丸、三の丸、があります。

これは戦略においては、武器とすべき強みのことです。

武器となる強みがなければ、そもそも城は成立しません。

この武器を中心に、城という仕組みを作っていきます。

私の専門分野であれば、いわゆる「売る仕組み」です。

■さらに城を機能させるのは人間です。

武田信玄は「人は石垣、人は城」と発言していますが、まさに人がいなければ、城は役に立ちません。

いかにして人を城というシステムに巻き込むのか。いかにして能力を活かすのか。育てるのか。

これが3つめのポイントです。

■局面、仕組み、人。

少なくともこの3つを常に注視することで、強固な顧客基盤を作る。

これが「城塞経営」のイメージです。

■しかも、城は一度つくったから終わり、というわけではありません。

どんな強固な城でも、じっとしているだけで守りきれるわけではありません。

常に作り直さなければならないでしょうし、時には違う場所に移築しなければならない場合もあるでしょう。

城替えを頻繁に繰り返した織田信長のように。

つまり、局面、仕組み、人。のポイントは、新たにし続けなければならないということです。

これが、100年続く城を作る。ためにやるべきことです。

■だから世界トップ企業を目指せ!といって、無茶な成長戦略をとらせるようなコンサルティングは行いません^^;

短期で実績をあげるような施策はとりませんし、今日・明日、売上をあげるための販売ノウハウの提供もありません。

勝つための局面を見極め、しっかりとした仕組みを作り、人の能力を最大限発揮させるための蓄積を行っていく。

これによって、100年続く城塞のような経営を行う。

これが私の目指すものです。

ネスレ ロングセラー商品開発の法則

ネスカフェとキットカット、高収益化の秘密 高岡・ネスレ日本社長×楠木・一橋大教授の白熱対談

■日経ビジネスオンラインが、「提言!俺の100年ヒット論」という特集をやっています。面白いから必見です。

今回は、ネスレの社長と楠木教授の対談です。これも面白い。

■ネスレといえば、キットカットのヒットを皮切りに、次々と市場を切り開いている脅威の企業です。

ただ売れたのではヒット商品ではない。ロングセラーにならないと本当のヒットじゃない。と高岡社長は言っています。なぜなら、ヒットさせるための初期投資を差し引くと利益にならない。長く売れないとリターンがないからです。

その上で高岡社長は「ロングセラーを作る上で、ほぼ唯一の鉄則は、イノベーションで新しいセグメントを創造すること」と断言しています。

このあたり、受験生市場を切り開いて、キットカットをロングセラーにしたネスレならではの発言です。

その後もネスレは、新市場を創造しています。ネスカフェドルチェしかり、アンバサダーしかりです。

■そもそも日本にヒット商品が生まれにくくなっているのは、成長期の過剰生産を引きずっているからだと高岡社長はいいます。

企業は固定費を回収するために生産を続けざるを得ず、それをコンビニにうまく利用されている。(買い叩かれている)

だから、生産数を減らして、脱コンビニをしなければならない。

そこで考えたのが、限定商品の活用です。地域限定のキットカットは、価格を買い叩かれることもなく、利益率が高い商品です。

地域限定という市場を創造することで、キットカットの2段ロケットが完遂したわけです。

■新しい市場の創造は、消費者アンケートからは出てきません。

対談ではこんなふうに言っています。

楠木:極端に言えば、「消費者」とは消費することにしか責任を持っていない人たちです。責任がない人にあれこれ聞いても、ろくな答えは返ってこないと考えた方がいい。だから、問題解決は、作り手側が責任を持つしかない。

高岡:つまり、ヒット商品作りの秘訣とは、解決すべき問題を探すことなんです。それを見つける経営の視点こそが全てと言ってよいでしょう。


こうした経営者の実践的な戦略展開は参考になります。

初めての著作は、なぜ「小説」になったのか?

(2015年11月19日メルマガより)


■このたび、初めての著作を上梓させていただきました。


『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4827209693/lanchesterkan-22/ref=nosim

この著作の特徴は、ビジネス書ながら小説風になっていることです。

いくつかの先例があるとはいえ、あまり多いスタイルではありません。

この本の企画を通してくださった出版社に感謝しております。

■なぜわざわざ小説風にしたのか?

サーモスの営業改革事例を書籍にするなら、ふつうのビジネス書でいいだろう?

そう思われるかも知れません。

実際、企画段階では、そのように言われる出版社もありました。

■しかし、私としては、小説風にすることにこだわりがありました。

それはお前が小説を書きたいだけだろーと言われるかも知れませんが、そうではありません^^;

内容に相応しいスタイルで書くのが当然です。

だから、今回の内容については、小説風に書くことが相応しいと考えたわけです。

■サーモスがなぜ「廃業寸前」からわずかの期間で世界トップ企業になれたのか?

簡単にいうと、製品差別化と営業改革という両輪がうまくはまったからです。

それを導くための戦略立案のプロセスも、本の中に書かせていただきました。

ただ結果として、こういう手段をとったからうまくいった。そのためのノウハウはこうだ。と語っても、あまり意味はないな、と思ったのです。

■私が書きたかったのは、あの圧倒的な体験です。

本当に小さな、上層部の気持ち一つでいつでも消えてなくなってしまうような小さな事業部が、崖っぷちで世界トップ企業になるための逆転案をつくり、それを実施した。

そしていまやグループの中でも有数の高収益企業となっていった。

その中にいた私たちが、どのように感じ、どのように振るまったのか。

その体験です。

■希望もありましたし、日々の喜びもありましたし、ひりつくような緊張もありました。

やりきれないような徒労感もありましたし、絶望したこともありました。

振り返れば、激動の毎日だったのですが、渦中にいる者たちは、目先の喜びと不安を繰り返しながら、その中で懸命に戦ってきました。

廃業か存続か、どちらに転んでもおかしくないような日々の中で、ほんの少しの長期的な視野と全体を見渡す視点がどれほど力になったのか。

その体験の全体は、結果論では書けないと考えました。

■前回のメルマガで書きましたが、戦略は実行されなければ意味がありません。

参考:「戦略は実行させなければ意味がない」
http://www.createvalue.biz/column2/post-374.html

どんなに立派な戦略を立案しても、経営や営業のノウハウがあったとしても、実行されなければ、何の役にも立ちません。

逆にいうと、確実に実行されるならば、それが未熟な戦略であっても、はるかに有効です。

つまり、企業が成果を上げるためには、戦略とそれを使う人間の両輪がかみ合わなければならないのです。

■人というのは複雑です。

それが正しい、合理的である、と思っても、実行するかどうか分かりません。

「あいつの言うことは聞きたくない」「あいつの手柄にしたくない」そんな理不尽な理由の方が、動機になったりします。

私の著作の中にも、抵抗勢力が登場して、主人公に反対します。

が、はっきり言って、明確に抵抗する人の方がずっとましです。

組織を殺すのは、なんとなく動かない、その場は調子を合わせていても実行しない、他人事にしか考えない、そういう人たちです。

これはコンサルをしているとよく解ります。明確な反対者は、ある時、突如として賛同者に変貌したりします。

あるいは、反対者の存在が、他の大勢の結束を固めたりもします。

戦略が実行されるかどうかは、旗色がはっきりしない人たち、つまり普通の人たちにかかっているのです。

■どうすれば、人を動かすことができるのか。

それは、経営するにしても、コンサルティングをするにしても、最も重要なテーマです。

私の仕事は営業戦略コンサルティングですが、実際には、ほとんどこのテーマをめぐる戦いだといっていいでしょう。

それはそれは、苦労しますよ^^;

■ただ私が10年この仕事をして、一つの答えがあるとすれば、「人はストーリーで動く」ということです。

ここは大事ですね。

人というのは千差万別です。

理屈で動く人もいる、損得で動く人もいる、人間関係で動く人もいれば、内的な情熱で動く人もいる。

理屈だけでは一部の人しか動く気になりません。損得勘定、人間関係、情熱でも同様です。

組織を動かすには、その全てを動員しなければならないのかーと思うところですね。

■しかし、ストーリーというのは、その全てを含んだものです。

良質なストーリーは、様々な人々の気持ちを包括する豊かさを持っています。

ストーリーは、心に届きやすく、記憶されやすく、伝播されやすいものです。

ある人は、ストーリーに自分が動くための理由を見出します。

またある人は、同じストーリーに自分が情熱を賭けるべき意味を見出します。

またある人は、そこに自らの利益を見出し、ある人は人間同士の結びつきを見出します。

極論すれば、ストーリーのあるところに人は寄り添い、動こうとします。

組織にストーリーがなければ、人は個別に自分だけのストーリーを作って閉じこもってしまうでしょう。

■今回の著作で、私はサーモスのストーリーをお伝えしようとしました。

当時、サーモスにいた私たちが共有していたのは「今は廃業寸前かもしれないが、いつかは世界トップ企業になる」というストーリーでした。

なぜならサーモスは「世界で初めてステンレス魔法瓶を開発した会社」だからです。

その会社が、日本で3位に甘んじたまま消えてしまっていいのでしょうか?

そしてそのストーリーは見事完結し、いまは「かつて廃業寸前だった小さなダメ事業部が、世界トップ企業に駆け上がったストーリー」となりました。

それは、心に届きやすく、記憶されやすく、伝播されやすいものだったでしょうか?

■私が書いたのはサーモスのストーリーですが、それは同時に普遍的なものであるはずです。

なぜなら、それは、それぞれ違った背景を持つ人々が、同じ目標に向かって進んで行くストーリーです。

誰もが、自分の思いを託すことができるものだと私は考えています。

この物語が、皆様の心の糧になりますように!

『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4827209693/lanchesterkan-22/ref=nosim 

株式会社クリエート・バリュー

「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡を再現する営業構造化プログラム

オンラインでランチェスター戦略を学ぶ。「ランチェスター戦略入門セミナー」 

河川と夕暮れ 

戦略は実行させなければ意味がない

(2015年11月5日メルマガより)


■戦略がなければ生き残れない。


というのが私のスタンスです。

戦略とはいわば「準備」のこと。

充分な準備をせずに、本番に臨むとは、たとえていえば、練習もせずにスポーツの試合に出るようなもの。

勝つどころか、怪我せずに終わることさえ難しいでしょう。

■だからといって、戦略さえあればうまくいくというものでもない。

それが経営組織の難しさです。

戦略は実行されて初めて、効果を発揮します。

戦略がなければ生き残れない。

が、その戦略が実行されなければなにも起こらないのです。

■私の著作でも、そのあたりのことは大きなテーマの一つです。

『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4827209693/lanchesterkan-22/ref=nosim

自分が経営コンサルタントをしていながら言うのも何ですが、コンサルタントが作った戦略をそのまま導入してもうまくいくとは思えません。

そこに実行者の思い入れがこもっていなければ、まさに絵に描いた餅です。

■では、どうすればいいのか?

やはりメンバーが戦略づくりに参加することが一番です。

自分たちで(苦労して)作った戦略であれば、実行にかける思いも違ってきます。

極端にいえば、戦略が40点の出来であっても、それを100%実行することができれば、大いに意味があったといえます。

逆にいえば、関連資料がやたら分厚いコンサルの立案した戦略には、ほとんど意味がないというわけですな^^;

■だから私がコンサルタントとして苦労するのも、いちばんはそこなんですよね。

いかにして当事者意識を持ってもらうか。

組織なんてのは、複雑怪奇なもんですから、面従腹背はあるわ、露骨な反発はあるわ、無関心はあるわ、的外れの熱血はあるわで、大変です^^;

大企業でなくても、小さな会社であっても、組織そのものを維持しようとする力は「変化の否定」に向かいます。

意識していなくても、現状肯定のパワーは強大ですから、それを変えるのは並大抵のエネルギーではありません。

そのエネルギーを興すのが、コンサルタントの一番の仕事だと私は考えています。

■このままではダメだ。変わらなければいけない。

そう感じる個人は少なくないかも知れません。

ただ、そのエネルギーよりも、はるかに大きな「変わりたくない」というエネルギーがあるものです。

いかにして小さな「変化」のエネルギーを集めて燃やすのか。

それが実に難しい。

■最も時間がかかるのもこの部分です。

戦略なんて作ろうと思えば、すぐにできます。

しかもそこそこ知識のある人が作れば、たいてい同じようなものが出来上がるはずです。

だけど全員参加で、戦略を作ろうという機運を作るまでが時間がかかります。

機運を作る。

コンサルタントに高い報酬を払う大きな意味が、ここにあると言ってもいいでしょう。

■今回の私の著作でも、そのあたりのことは書かせていただきました。

『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4827209693/lanchesterkan-22/ref=nosim

物語の中で、主人公をはじめ、小さな事業部のメンバーたちは、「戦略と戦術の違い」も知らない若者です。

彼らが、何かを変えなければならないと思って取り組んだのは「戦略勉強会」なるものの開催でした。

廃業寸前で、背中に火が付いた状態で、すぐに結果がでることではなく、まだるっこしい「勉強会」の開催に取り組んだことが、ここでの鍵です。

一見、遠回りだと思えるようなことが、わずかの期間で世界トップ企業になる。という成果に結実することになります。

そのあたりのメカニズムをぜひとも読み取ってほしいと思っています。

株式会社クリエート・バリュー

「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡を再現する営業構造化プログラム

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工場のシルエット 

世界トップ企業への道は「差別化」が開く

(2015年10月22日メルマガより)


■私は、会社員時代、
化学系メーカーの小さな事業部に所属していました。

その会社の中にあっては、本業から遠い異端の事業部です。

業績もパッとしない時期が続いたので、身売りや廃業が囁かれていたものです。

ところが、その小さな事業部が、崖っぷちで営業改革をなしとげ、わずかな期間に世界トップ企業となっていきました。

ステンレス魔法瓶の世界トップ企業サーモス株式会社での体験をもとに書いたのが、私の初めての著作となりました。(ビジネス小説です)

『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4827209693/lanchesterkan-22/ref=nosim

■「奇跡」と書いていますが、実際には奇跡ではありません。

目に見える営業改革を積み重ねていった結果が、世界トップという成果につながっていきました。

だからこれは夢物語ではありません。どんな小さな会社にでも起こり得る現実のお話しです。

「そんなこと言っても、世界トップ企業なんて特殊な会社だろ」という声が聞こえてくるかも知れません。

そうではありません。

もう一度いいますが、どんな会社でも、世界トップ企業になる可能性はあります。

そのための第一歩が「勝てる局面」を見つけること。

小さな一歩でも、それが世界トップにつながる道となります。

そう書いたのが、前回のメルマガでした。

参考:世界トップ企業になるために最初にしなければならないこと
http://www.createvalue.biz/column2/post-370.html

■私は今後、世界トップ企業しか生き残れないと考えています。

特に製造業はそうです。それほど市場はグローバル化しています。

ローカルでのんびりやっていけた時代はもう終わったと思ってよさそうです。

それはまさに、地域の製造業のオーナーが実感していることでしょう。

だからこそ、小さな分野であっても、世界トップを目指さなければならないのです。

■さて、勝てる局面を見つけるために意識してほしいのが、差別化という概念です。

そもそも差別化という概念なしには、勝てる局面など見つかりません。

先行するライバル企業と似たようなことをやっていたら、不利な価格競争に巻き込まれるだけです。

勝てる局面というのは、相手がやっていないか、手薄なところに見つけられることが多いはず。

サーモスが世界トップ企業になっていった過程でも、徹底した差別化戦略がありました。

■差別化というのは、よく聞く言葉でしょうね。

どの経営書を読んでも差別化という言葉は出てきます。当たり前すぎて、意識しなくなっているかも知れません。

だけど、極めて重要な概念です。

差別化を忘れて、世界トップへの道はないと断言しておきます。

■ただし、差別化にもいろいろあります。

時間がかかる差別化、すぐできる差別化。

あるいは、真似されやすい差別化、されにくい差別化。

メーカーがまず行うのは商品差別化でしょう。

それは、時間はかかるが真似されやすい差別化にあたります。

特許や意匠権で守られてはいても、抜け道が見つかりやすいのが商品差別化です。

だから商品差別化だけでは、競争に勝つことはできません。

■時間はかかるが真似されにくい差別化とは何か。

これは、人間の差別化です。

例えば営業マンの能力が高い会社の真似はおいそれとできません。教育・育成には時間がかかるからです。その会社の営業をごそっと引き抜くぐらいしか手はありません。

あるいは、社員のモチベーションが高い会社。忠誠心が高い会社。いずれも、人間の心の中まで真似するなど一朝一夕にはいきません。

リッツカールトンホテルのように気の遠くなるような時間をかけて行った理念教育を覆すのは不可能に近いことでしょう。

だから、中小企業ほど人間の差別化に地道に取り組むべきだ。と私は考えています。

■では、すぐできる差別化とは何か。

販売促進策や価格政策などは、今すぐにでも取り掛かることができます。ただし、目に見えることなので、真似されやすいわけです。

あまりここに賭けると、バカを見そうですね。

すぐできるわりに、真似されない差別化なんてあるのか?

あります。それが、市場の差別化であり、チャネルの差別化です。

■最も重要なのが、市場の差別化です。

強いライバル企業が手を付けていない、あるいは手を付けてはいるが片手間にしかやっていない市場。

こういう市場にこそ後進の生きる道があります。

「大手がやっていないのは、理由があるからだよ。そんな市場など美味しいはずがない」なんてしたり顔で言う人が必ずいるものですが、そんな声に耳を傾ける必要はありません。

先行企業がやっていない、やりたくない、やりづらいのは、理由があるに決まっています。その理由を克服するのが後進の仕事でしょうが。

むしろ先行企業が嫌がる市場を見つければラッキーと思わなければなりません。

市場選択がうまくいくかどうかで、戦略の7割は決まります。

■もう一つが、チャネルの差別化です。

チャネルとは販売場所のことです。

これもうまくはまれば異様な破壊力を発揮します。

例えば、ビール業界の伝説のヒット商品アサヒスーパードライは、単なる味の差別化ではなく、販売チャネルの差別化によって、生まれました。

端的にいうと、勃興期のコンビニというチャネルをいち早く押さえたことが、大ヒットにつながりました。

逆に、酒販店チャネルをガチガチに押さえていたキリンは、新興であったコンビニチャネルへの取組みが遅れました。

当時の経営陣の判断が、明暗を分けた事例です。

■すなわち新しい販売チャネルが現れた時は、千載一遇のチャンスです。

いち早く押さえてしまえば、そこでは強者です。有利にビジネス展開できます。

それに対して、先行企業は、初動が遅れます。

先行企業は、新興チャネルの価値を過小評価することが多いからです。

あるいは、価値が分かっていても、既存のチャネルとの食い合いが起きたりすることがあり、しがらみが初動を遅らせてしまうのです。

■当時のサーモスも、先行企業がやりたがらないチャネルに積極的に取り組みました。

残念ながら、コンビニのような巨大チャネルではありませんので、それだけでトップになれたわけではありません。

それに、もちろん先行企業がやりたがらないには理由があるので、そこは何とかしなければなりませんでした。

しかし、当然、取組みするメリットも大いにありました。当時のサーモスは、そのチャネルのメリットを最大限享受することで、飛躍のステップとしていきました。

そのあたりの状況は、物語にあるので、ぜひ読んでご確認ください。

ちなみに、私は当時、新規チャネルの担当をしていましたので、なかなか生々しい話となっております^^

『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4827209693/lanchesterkan-22/ref=nosim

「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語 10月30日発売決定!

「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語.JPG

2015年10月30日発売決定!

私の初めての著作。

「ビジネス小説」です。

半沢直樹ばりのストーリーに乗せて、世界トップになるための営業改革の方法をお伝えいたします☆

【説明】
成熟市場となった日本では、昔と同じように頑張っても売上をあげるのは簡単ではない。しかし、そんな時代でも、ちょっとした工夫や考え方を変えることで高い業績を上げている企業や営業マンは存在している。著者の所属していた小さな事業部は、廃業を検討するほどダメな組織だったが、営業の考え方ややり方を変えることで、わずか7年間で世界トップ企業に駆け上がった。その渦中にいた著者は、自分たちの意識が急激に変化して、負け犬集団から常勝軍団になっていくことを体験した。本書は、その当時の経験をもとにした「小さな事業部が、あるきっかけから営業改革を為し、わずか7年で世界トップ企業となった物語」である。今も「世界一になるための営業改革」を伝導する経営コンサルタントの著者が、売れない時代にやり切れない思いを抱く営業マンに、勇気を与える奇跡のストーリーを贈る。

キリンはいかにして一人負けから脱したのか

キリンビールは「一人負け」からどう脱却したのか?

■ダイヤモンドオンラインの記事です。ビール業界の一人負けと言われたキリンビールの復活を現社長にインタビューしたもの。いい記事です。

さすが営業出身の社長らしく、復活策が地に足ついています。

顧客の声を丁寧に聞き拾って、小さな成功を積み重ねていく。

その積み重ねが成功に至る道だと仰っています。

その通りじゃないですか。

■もう少し、私なりに解説すると、この社長は「局面」を見るのがうまいのでしょう。

だから「この商品に集中しよう」「ここは現場に出て販促しよう」と集中する局面を見つけています。

長らくトップにいたキリンは、冒険よりも安定的な運転が染みついているはず。バランスを崩すのは嫌がる人が多いでしょうに、この社長は、勝負どころを心得ている。

弱者はどこかでリスクを侵さなければなりません。

■もう一つ。タイムリーな勝負のためには、現場との意思疎通が欠かせません。なにしろ、実際に動くのも、顧客の声を聞くのも現場の従業員です。

だから従業員をいかに味方につけるかが経営陣の生命線となります。

この社長は、従業員一人一人の声を聞くことに賭けている様子があります。大企業キリンとすれば難しいことでしょうが、それは覚悟を決めてやっているらしい。

まさに「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」(武田信玄の言葉)という姿勢です。

■この事例が象徴するように、いまは、従業員が自律的に動かなければ企業は強みを発揮できません。

特にキリンのように所帯が大きくなれば、なおさら。自律的に動く風土がなければ巨大な(悪い意味での)官僚組織になってしまいます。

中小企業はもう少し意思疎通がやりやすいはずですが、その分、一人一人の能力発揮が全体に影響を及ぼします。

やはり人材(リソース)戦略は、いまの重要事項です。

この記事にはそこまで細かいところは書かれていませんが、単に戦略を変えたとかノウハウを使ったとかそういう簡単な話ではないことはわかります。

自分のメソッドを固めるための参考にしたいと思える記事でした。





株式会社クリエート・バリュー

「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡を再現する営業構造化プログラム

オンラインでランチェスター戦略を学ぶ。「ランチェスター戦略入門セミナー」

孫子の兵法から読み解く「城塞経営」のすすめ

■「孫子の兵法」は、勝つための書ではなく、生き残るための書です。

だから戦うことを奨励しているわけではありません。戦わずに生き残れるならそれがベストです。

孫子は強固な「城」は攻めてはならない。と教えています。

逆にいうと生き残るための秘訣は、強固な城を作ることです。攻められないぐらい強固な城です。

「孫子」を活用するための最大のキーワード


■私は昨年から孫子の最大のキーワードである城について、強い会社の秘訣も城を築くことだと考えてきました。

城を強固にする最大の基盤は、顧客です。顧客基盤を強くすることがまず第一です。

その顧客との接点が、販売チャネルです。どのように顧客と接するのか、つながるのか。

つまり、城の外堀は顧客を守り、内堀はチャネルを守っているイメージです。

■では城壁の中には何があるのか。

当然、従業員です。従業員を守る。あるいは、従業員そのものが石垣です。武田信玄の言ったように。

ここに従業員マネジメントの重要性があります。彼らがやる気にならないと城は何の力を発することはありませんし、何もできなくなります。

本丸、二の丸、三の丸。というのは、その企業の強みです。製造業なら、技術、商品、特許なのかな。目に見えないノウハウかも知れません。

そして、その強みを活かして、顧客とつなぐのが、営業機能です。

(あえていえば、城塞がイキイキと有機的に機能するためには、豊かで魅力的なストーリーが必要です)

■孫子を読んでいると、そういう城塞のイメージがわいてきます。

小田原城のように100年続く城を築きたい。

誰もがそう思うことでしょうね。

私も思います。小さくても100年続く強い企業を作りたい。そんな企業を応援したいと思います。





プロフィール
komai 小

営業関連のコンサルティングをしています。
製造業や卸売業などの営業組織を強化する仕事を得意としております。

株式会社クリエート・バリュー代表取締役
NPOランチェスター協会理事
NPOランチェスター協会関西支部
NPOランチェスター協会認定インストラクター
中小企業診断士   販売士1級

コンサルタントになる前は、日本酸素株式会社魔法瓶事業部(現在のサーモス株式会社)で14年、営業担当をしておりました。
その時、廃業寸前の赤字だった事業部がわずかの期間で世界トップ企業になった経緯を体験したことが、経営コンサルタントになったきっかけとなりました。
当時、経験したことや見聞したことを物語風にアレンジしたのが、拙著『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』です。
面白い本なので、ぜひ読んでください(^^)

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