わたしは価値を創る

大阪在住の経営コンサルタントのブログです。

日本人の海外進出は進んでいるのか?

コネなし“女性和僑”が海外で成功する理由 語学力、資金、人脈、ほぼゼロからのスタート(東洋経済オンライン)


■もし織田信長が本能寺で死ななかったら、日本国内を統一した後は、海外に進出していたでしょうね。

豊臣秀吉も海外に派兵しましたが、もっと戦略を考えて出ていたことでしょう。

そうすれば、今の日本の形も変わっていたかもしれません。

江戸時代初期には、アジアのあちこちに日本人街が形成されていたらしい。その後の鎖国で、それらは廃れてしまったようですが、もともと日本人は、内向きの人たちではなかったのではないかと思います。

■ここにきて、日本人の海外進出が進んでいます。私のまわりでも聞くことが多くなってきました。

大企業の下請けとしてついていくというのではなく、海外をマーケットに進出するというケースです。

だから中小企業や個人の起業家といった人たちが増えています。

■ただリスクは高い。失敗も多いでしょう。

日本にいても、起業者は手痛い失敗を一度や二度するはずです。海外ならばなおさらです。

それ以上のリターンがある、と書かれていますが、リスクは高いし、10年以上なんとかかつかつで生活したのちに、帰ってくるケースもあります。そういう人の話を聞いたことがあります。

この記事のように女性が身一つで進出するというのは、危険です。うまくいっているからいいようなものを。。と思ってしまいますね。

■しかしそれでも、海外の成長市場には魅力があります。

日本は高度成長期を経験しているのだから、成長期のビジネスのノウハウがあるはず。

実は、アジアにおけるビジネスは、日本企業にとって成功可能性が高いのではないだろうか。と考えています。

最近、私が自分の周りで海外進出を目指したり、果たしたりしている人をよく見るのは、アジア進出の成功確率を肌で感じている人が多いからではないか?

■ただ、華僑に対抗できるようになるためには、やはりサポート体制がなければなりません。

華僑には、先に進出した人たちが、仲間を助ける習慣があると聞いたことがあります。資金面などで面倒を見てくれるので、スタートしやすい体制があります。

そこに至るには、まだ成功例が少ない。

だとすれば公的なサポートの必要性は高いといえます。

ひとやま当ててやれ。といったチャライ人が多いかもしれませんが、市場の黎明期はそんなもんですよ。

公的機関の皆様、よろしくお願いいたします。

ビジョンは営業チームを一丸にする

(2014年2月6日メルマガより)


■前回のメルマガで、
営業がイキイキと楽しく仕事をする最大の秘訣が「チームで営業をすることだ」ということを書きました。

いわゆる「チーム営業」は、一人一人のモチベーションを高めるだけではなく、人数以上の力を発揮することにつながります。

1+1=2ではなく、3、4、5といった力になります。

つまりチーム営業に取り組むことは、組織の実績向上につながるのです。

■では、どうすれば、チームが一体となって営業に取り組むことができるのだろうか。ということが今回のテーマです。

これは私も日々頭を悩ませる部分です。

コンサルティングの現場において、戦略を作ることで困ることはあまりありません。

ある程度、勉強した人ならば、たぶん誰が作っても、同じような戦略になるはずです。

それより、難しいのは、チームのメンバーに戦略に従って行動してもらうことです。

なにしろメンバー一人一人が個性を持った人間ですから厄介です。

外部から来たコンサルのいうことを素直に聞いて、行動するとは限りません。

いや、ほとんどの場合、反発して、動くことを拒否したり、違う動きをしようとします。

営業に限らず、あらゆる人間は、現状を変えることを本能的に嫌う保守的な存在ですからね。

■厄介なのは、バラバラに動く営業組織だからといって、団結しないというわけではないということです。

どんな組織でも準拠集団としての居心地の良さや仲間意識は存在します。

会社生活を通じて一緒にいる時間が長いわけですから、外部の人間よりも信頼できる存在であることは間違いありません。

バラバラに動くというのは、それが居心地いいからです。(言い換えれば、都合がいいからです)

メンバーは「営業はバラバラでいいやんけ」という意識で団結しているわけです。

■居心地のいい「現状」という強固な壁を崩して、未来に向かうためには、ある程度の強いインパクトが必要になります。

人間が団結するのは、何かを共有している時です。

現状では記憶。同じチームの人間として一定の時間を共有しているメンバーは、団結心で結ばれています。

たとえ「このままでいいや」「なるべくラクしようぜ」という怠惰な姿勢だとしても、団結しています。

それを超えるような新たな団結を生むにはどうすればいいのか。

■一つは、もっと印象深い時間を共有することです。

私がコンサルティングにおいて、しばしば「合宿」という形式をとるのは、印象的な記憶を新たに作ってもらいたいという狙いがあります。

一晩泊まって、夜中まで議論して、酒を飲んで、寝不足で早朝からまた議論して。という経験は、それまでの日常的とは異質なものですから、新たな記憶として残ります。

合宿なんて古典的な方法だとして怪訝な目で見られたりしますが、実は効果絶大です。

■その印象的な時間に何をするのかというと、もう一つのインパクトである「危機感」の醸成です。

「このままでは危険だ」という意識は、メンバーを一致団結させます。

様々な角度から現状を理解し、このままの姿勢を続けていると、近い将来危機的状況になるかも知れないことを知っていただくのです。

健全な危機感を持つことは、チームを一丸にすることに有効です。

■危機感を植え付けるという手法は、よく使われます。

手っ取り早いのは、仮想敵を作ることですね。

特定の会社や人を「競合」や「抵抗勢力」と設定し、彼らへの警戒感や対抗心によって一丸となる方法は、安易ですが、効果的です。

スポーツ競技の応援が盛り上がるのは、仮想敵を設定しやすいからだと思います。

あるいは、力のある政治家などは、うまく抵抗勢力を設定して、自分への支持をとりつけようとします。

ただ安易だけにやりすぎると下品です。特定の人を悪者にして、自分たちを正義であるかのように考えるようになると、短絡的に過ぎるので、あくまでも健全な危機感という範囲にとどめておくべきです。

■さらに、もう一つのインパクトは「夢や目標」を持つことです。

皆が、イメージ豊かに感情移入できるような夢や目標を持つことができれば、団結心は強固になること間違いありません。

いわゆるビジョンですね。

この段階の目標は、細かな売り上げ数値などではなく、抽象的でもイメージできるようなものが望ましいです。

たとえば、この分野で世界一になる。でもいいですし、地域でナンバーワンになる。でもいい。従業員が誇りに思うチームになる。なんてのもいいでしょう。

抽象的だとそのイメージがメンバーによってバラバラになる恐れはありますが、その分、「世界一とはどういうことだろう」「地域ナンバーワンとはどういう状態だろう」と討議するテーマにすればいいのです。

なにしろ、成果を上げる秘訣は、成果とは何かを知ることです。

ここがイメージできていれば、実績向上が簡単になります。

■ちなみに、私は、ビジョンのことを「あるべき姿」と呼んでいます。

だから抽象的なものをイメージで描くようにしてもらいます。

そのうえで、そのあるべき姿が実現したというのはどういう状態なのかを検証する数値を設定します。

たとえば、地域ナンバーワンというには、市場シェアが40%以上になっていること。

世界一というからには、ある商品分野の出荷量が2位よりも大きいこと。

従業員が誇りに思う会社というからには、従業員満足度が90%以上であること。

などと、客観的に確認できる数値を設定することです。

さらには、いつまでにそれを達成するのか、という期限も設定します。

それで目標の完成です。

■そういえば欧米の経営理論には「ミッション」という言葉が出てきます。

使命などと訳されたりしますが、これは宗教用語ですから、日本人には理解しにくいものです。

意訳すれば「神との約束」とでもいうのでしょうかね。

だから日本人にはわかりにくくても、人格形成に宗教が深くかかわっている欧米人にとって、非常に重い概念であるようです。

たとえばグーグルのミッションは「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」です。

マイクロソフトのミッションは「世界中のすべての人々とビジネスの持つ可能性を最大限に引き出すための支援をすること」です。

ナイキのミッションは「人々の生活を豊かにする製品やサービスを通じて、株主の利益を最大化すること」です。

抽象的に思えるかもしれませんが、彼らにとって、それは神との約束ですから、やるやらないという議論の余地のないものです。

経営にはこのように理屈を超越した要素があるのです。

ですから私はビジョンの設定の部分に、なるべくイメージやストーリー的要素を入れることで、理屈だけで説明できない部分を表現しようと思っています。

■元に戻りますが、合宿という非日常な時間と空間は、ビジョンを作るうえで、とても有効です。

ビジョン作りをだらだらやるべきではありません。

それが日常になってしまえば、効果は薄れてしまいます。

一気に作るには、合宿のような形式がいいのです。

合宿が無理だとしても、集まって一気に作ってしまうことが重要です。

そうすれば、チームが一丸となりやすく、一定方向への勢いを持つことができます。

この勢いがとても重要なのです。

■孫子には「善く戦う者は、これを勢(せい)に求めて、人に責(もと)めず」という言葉があります。

勢とは、一定方向への流れ、勢いを表します。

つまり、巧みに戦う者は、個人の能力に頼るのではなく、全体の流れや勢いを重視するという意味です。

これは企業経営においてもあてはまります。

実績を上げるのに個々の働きに頼っているようではマネージャー失格です。

個々のメンバーが、一方向へ向いて行動するようにマネジメントするのが、優秀なマネージャーです。

そのためには、個別の事象にあれこれ注文をつけるよりも、まずはビジョンをしっかりと設定し、チームに浸透させて、勢いや雰囲気を作ること。

それなくして実績の向上はあり得ません。

宇都宮市が餃子日本一を奪還

「餃子日本一」宇都宮の涙ぐましすぎる戦いの軌跡(Jタウンネット)

■餃子日本一の座を宇都宮市が浜松市から奪い返したそうです。(1世帯当たり年間支出額)

ちなみに浜松市は人口約80万人。産業も多く、ピアノはシェア100%だそうです。

それに対して宇都宮市は人口約51万人。浜松に比べると大きな産業もないため、市のブランド戦略として、「餃子日本一の市」の称号をなんとしても得たかったようです。

■宇都宮市の場合、官のやる気がすごい。

「餃子と名のつくことは何でもやった」ということで、餃子検定や利き餃子のイベント、餃子アイドルなどを使ったPRなど。

宇都宮ブランド戦略」によると、まちのよいイメージを広げることで

市内の人は「宇都宮」に誇りを持って住み続け、さらに市外の人たちに対しても積極的に宇都宮市をPRしている状態になり、そして、市外、特に県外から「宇都宮」が憧れを持って注目される都市となり、認知度や付加価値が高まり、訪れたり、住んだり、企業が立地したりしたくなる都市になっていくのです。

ということ。

■PRする部分を餃子に絞り込んでいるところが、宇都宮の強みです。

というか、それしかない、と開き直っているわけですね。

これは、宇都宮市側が偉いと思います。市内には餃子に関係しない人や企業も多いから、そちらからの批判も多いはずです。狭い世界では必ずそういうことでもめます。自分にメリットがないことに税金を使われることが嫌だ。

それを振り切って、餃子一本に絞ったところがナイスプレーだと思います。

逆に浜松は、そこまで情熱をもっていないように思えます。ともに盛り上げていきましょう、と余裕のコメントを出しているぐらいです。

■これまで企業でも事業者でも、能力があるのに伸び悩んでいたり、逆にそれほどでもないのに好調だったりするところを見てきましたが、その理由の一つが、アピールポイントを絞り込んでいるかどうか、ということがあります。

なまじ能力があると、一つに絞り込めないわけです。

だから能力の高い老舗企業などが、焦点を絞った新興企業に売り負けしてしまって、逆転されるということが起こるわけですな。

特に当事者は、自分を客観的に見ることができません。やはり宇都宮市は偉いと思います。

きっと宇都宮市にふるさと納税をすれば、餃子がもらえるのでしょうね。確かめていませんが。

■「餃子日本一」なんてつまんない。と言ったらだめですね。

ナンバーワンになれるところにフラッグを立てるということが重要です。

私も反省しないと。




グーグル、フェイスブック、アップル それぞれの稼ぎ方

米IT企業の稼ぐ力 明暗 グーグルやフェイスブック、ネット広告 収益源に アップルやクアルコム、端末価格競争激しく(日本経済新聞・有料会員限定)

■グーグルやフェイスブックの業績が好調で、アップルは苦戦しているという記事です。

もっとも業績には好不調がつきものです。

つい数年前までは、アップルが最強でしたから。

■この記事はビジネスモデルの違いを強調しています。

すなわち「広告モデル」のグーグルやフェイスブックは好調で、「商品販売」のアップルが苦戦していると。

「広告モデル」は、利用者の数が多いことが鍵となります。そのためグーグルもフェイスブックも利用者が増加・定着することに全精力を使っています。

一時期、アップルの台頭により、グーグルが危機感を抱きました。アイフォン上からグーグルを締め出すのではないかという懸念です。それで端末製造にまで乗り出しましたが、最近はその懸念もうすれたようです。

一方のフェイスブックは、少し前までグーグルの脅威といわれていましたが、今は勢いが衰えています。利用者離れが進んでいるということですから、将来的には危うい状況にあると思います。

■アップルは「商品販売」で稼ぐモデルですから、市場シェアが儲けのバロメータとなるわけですが、こちらも落ちてきています。

どうもこだわりが強すぎて、新興国に向けた商品を出せずに、世界基準となるチャンスを逸してしまったようです。

また以前のマニアックなファンが集まるメーカーになっていくのでしょうかね。

今の状態ならグーグルの脅威にはなりえません。

グーグルはどんな商品が売れようとも、検索で使ってさえくれればいいわけですから、突出したメーカーさえなければ、OKです。

フェイスブックが失速している現状ですから、これからもグーグルの天下は続きそうです。

クルーズは日本に根付くか?

最大手が本腰!熾烈なクルーズ客争奪戦 日本人客開拓へ、切り札は"あの"大女優(東洋経済オンライン)

■欧米では人口の3%がクルーズを利用しているが、日本では1%にも満たないそうです。

ということは、市場が3倍以上になる可能性があるということです。

でも3倍程度では少ない。日本企業が新たに参入する意欲がわかないでしょう。

■海洋国家である日本でクルーズ旅行が流行らないのはなぜでしょうか。

海に囲まれているから日常的すぎるのでしょうかね。船酔いとか嫌だし。

そもそも着飾って集まるというパーティーになじみませんから欧米のサービスをパッケージでもってきても、今まで通り浸透しないでしょう。

■船旅がハレの日でなければ、単調な海を移動するだけのホテルです。退屈です。

豪華な食事とか、温泉とかショーとかあるそうですが、なぜ船でなければならないのか?

観光地を分刻みで巡るツアーは個人的には嫌ですが、異国情緒をてっとり早く味わえるということで、時間のない日本人には合っている形態なのかもしれない。

■しかし今、流行っていないからといってチャンスがないわけではありません。むしろ新しい価値を提供できれば3倍どころではない大きな市場になる可能性もあります。

上の記事は、値段を手頃にして、クルーズの楽しみを日本人に浸透させようという外資系の試みを紹介しています。

シニア世代に響くようにオードリー・ヘップバーンを広告に使うらしい。

確かに時間とお金に余裕のあるシニア世代にクルーズは一定の需要があるかも知れない。

■でももっと大きな可能性があるのではないか。

プリンセスクルーズのHPを見ても、今のところ、パックツアーを船に置き換えただけというメニューが並んでいます。

もっと船旅でなければならない説得力がほしい。

商品の価値は、ニーズ適応、タイミング、希少性、ストーリー性で上がります。

はとバスツアーが企画力で復活したように、クルーズも企画次第で需要が伸びるのになあと考えるわけです。

なんでもデジタルにするのではなく、手書きを残すべき

毎日、紙に書き出すことは本当に効果があるのか?日報コンサルタントが教える「紙に書くことで結果を出す習慣術」【4】(プレジデント・オンライン)

■なんでもデジタル化する流れがありますが、最近、アナログに戻した方がいいんじゃないか、と感じることがあります。

手書き日報のその一つです。

昔は、無駄なことの代表みたいに言われていた日報ですが、必要性がないわけではない。

しかも手書きにする効用は大きいと感じます。

■何を隠そう、私はデジタル移行派そのものです。

コンサルティングにおいては、検証するという機能がほしいものですから、何でもデジタル化しようとしています。

日報も同じ。報告や相談はリアルにやればいいのだから、日報は行動記録だけすればいいという考えです。

ところが、手書き日報には考えを深めるという機能があるらしい。

これを手放すのは惜しいと思うわけです。

■最近、岡田斗司夫氏の「スマートノート」なるメソッドを知り、自分で試してみたところ、非常に効果があることがわかりました。

何で手書きというのは思考を深めるのだろう?

その原理までは理解しておりませんが、日々、通り過ぎていく思念を書きとめるだけで、それらが結びつき、体系的な思考や新たな発想につながるのです。

それを知ったからには、日報を手書きで書かないというのはもったいないと今は考えています。

■そんなわけで、これからの私のコンサルティングは、どこかで手書きを残すようにしますので。

よろしくお願いいたします。

スカイマーク(LCC)の差別化

ミニスカCA、全席プレミアムシート…スカイマーク西久保社長“奇策”の狙い(日経トレンディ)

■奇策?ですかね。

記事を読むと、まっとうな戦略に思えます。

■LCCといえば、サービスを押さえて、低料金を売りにする航空路線です。

ところが、単に安いだけなら消耗戦になるのはみえているので、異なる価値を打ちだそうとしています。

そこで目をつけたのが「プレミアムシート」です。

羽田−福岡路線JALのクラスJの人気をみて、「ゆったりしたシート」の需要が高いと考えたわけです。

他社の状況をみて、差別化しようとするのは、ありきたりですが基本となる方法ですから、そこに勝機を見出して、いち早く対応する姿勢は素晴らしいと思います。

たぶん、他社も対応してきてすぐに陳腐化するでしょうが、そうなればまた差別化施策を考えればいいのです。

■ミニスカCAというのは、プレミアムシートをPRするための販促企画ですね。

奇策というほどのことはない。

奇策というなら全席ファーストクラスにするとかしてほしいものです。

あるいは全席無料にして、カジノゲームつきにするとか。海外のLCCであったはずです。

■そもそもLCCは狭いシートをわざわざ乗っけて、ガラガラの路線を作ったりしていますが、それをするぐらいなら、広めのシートで満杯にすればいいんですよ。

価格もさらに機動性を持たせるべきです。

出航日が近づくにつれて毎日価格が変動するとか。(高くなるor安くなる)

単純に乗客頭割の料金にするとか。

直前にプレミアムシートが空いていれば、エコノミーと同じ値段にするとか。

あるいは1.5倍の料金で2席予約できるとか。

価格設定の実験はいくらでもできるでしょうから、どんどんやるべきです。

■せっかく定着しつつあるLCCなんですから、思い切ってやていただきたいものです。

サントリー 勝算はあるのか?

成長を求めて巨額M&A サントリー“最後の賭け”

■まじっすかーー。というぐらいの巨額買収です。1兆6800億円。キリンもアサヒも呆れています。

キリンとの統合ならなかったことから、サントリーは勝負に出たわけです。世界で生き残る規模を手に入れようとした。

■それにしてもよく資金がありましたね。

そのほとんどが銀行からの借り入れらしいじゃないですか。

つまり今、日本の銀行は成長のための融資は惜しまないということです。

金が余っていますからね。

これを機に、いろんな業界で日本企業の買収話が出てくるのでしょう。

■ただ気になるのは、買収されるジムビーム社はそれだけの価値があったのかということです。

世界での販路がほしかったということらしいですが、山崎とか響を海外で売るためにこれだけの資金を投じたわけではないでしょう。

ガタイはデカいが、トップブランドがない。というのが厄介です。

スコッチは成長基調だそうですが、成長がとまった時に生き残るのは、トップブランドです。(少なくともナンバー2)

この何年かに、シェアを逆転できると踏んでいるのでしょうか。

サントリーは、経営はジムビーム社に任せるとしているそうですが、どういう勝算があるのか知りたいところです。

なぜメジャーリーグは田中に159億円(7年総額)も払えるのか?

田中獲得に巨額投資、大リーグ資金源のカラクリ(日本経済新聞)

■この記事は、メジャーリーグの資金力をケーブルテレビとの関係から書いたものです。面白い記事でした。

まずは視聴者の視聴行動の変化があげられています。つまり、ビデオにとって、CMを飛ばしてみる。

とすれば、スポンサーはたまったものではありませんから、ドラマなどではなく、ライブ感があるスポーツ中継にCMを入れようとするので、相対的に商品価値が上がります。(ということは、ニュースもですね)

■もう一つは、ケービルテレビの課金システム。たいていはチャンネルパッケージで提示されますので、そこでも目玉となるスポーツ中継は、価値が上がります。

(記事には書かれていませんが、おそらく、野球、フットボール、バスケみたいに、それぞれ目玉スポーツごとにパッケージが分かれているのでしょうかね)

そういうわけで、ニューヨークやロサンゼルスなど人口の多い地域の球団は、地方ケーブルテレビと大型契約を結ぶことができるのですね。

日本と違って、全国ネットの中継が少ないという事情もあります。

■忘れてはならないのは、野球の試合というコンテンツの魅力を高める努力をメジャーリーグ側が常にしていること。

コミッショナーが絶大な権限をもって、チームの戦力を均衡させるようにしています。

日本でいえば、パリーグのように毎年優勝チームが変わる状況が望ましい。

セリーグのように上位球団と下位球団の差がはっきりしているのはダメです。

メジャーリーグはドラフト制度にしろ、ポスティングにしろ、ぜいたく税にしろ、特定球団が強くならないように気を遣っています。

その甲斐あって、メジャーリーグの人気が保たれています。

■ただ、気を付けなければならないのは、この状況がいつまでも続くわけではないだろうこと。

見たい番組だけ観るペイパービュー方式が当たり前になれば、ここまで放送権料が上がりません。

そうでなくても、消費者が、高騰するケーブルテレビ料金に不満を持っているということですから、近い将来、受信料が下がることは間違いありません。

つまり今の状況は、テレビの変化の過程にあるバブルです。

田中投手はいい時にメジャーリーガーになったわけですね。

それはともかく、メジャーリーグ各球団は、バブル状況を冷静にとらえて球団経営しなければなりません。

同時に、メジャーリーグ機構は、バブルに頼らない成長戦略を練らなければなりません。

■日本の野球もそうですね。

特にセリーグですよ。

早く成長戦略を描け。

楽しくなければ営業じゃない!

(2014年1月23日メルマガより)


■営業ほど総合的な能力が必要とされる仕事はありません。


心からそう思います。

思えば私も営業コンサルタントになってから10年経とうとしています。

その前は、15年ほど営業職についていましたから、人生の半分を営業に携わって過ごしてきたことになります。

そんな私だから。というわけではありません。

コンサルタントとして様々な職業の人に接してきて思うことは、営業は最も高度な仕事であるということです。

■営業である程度のレベルにまでいった人は、どんな仕事でもできるはずです。

独立においてもそう。

私が独立して感じたのは、営業を経験してきてよかったーーということでした。

これは多くの独立事業者が感じているはずです。

営業経験は独立する上で必須ではないでしょうか。

なにも、売上をあげるためには営業しなければいけないから、営業経験者が有利である。というだけの短絡的な理由ではありません。

営業において、一定の期間、実績を上げ続けるためには、論理性も、専門的知識も、企画力も、コミュニケーション能力も、情緒的な感受性も、調整能力も、自己管理能力も、体力も必要になってきます。

毎日の仕事をしながら、こうした総合的な能力を身に着け、自分を成長させられる仕事は、営業のほかありません。

役得ですよ。本当に。

■それなのに、いまだに営業を毛嫌いしている人は多いらしい。

参考:業界研究セミナー出席者の95%が「営業は嫌だ!」 それじゃあ一体、みんなはどんな仕事がやりたいの?
http://diamond.jp/articles/-/46514

確かに、若い営業の中には「営業をやりたくてやってるんじゃない」感バリバリの方は多い^^

人のことは言えません。私なども、就職活動していた頃は、営業なんて嫌だ、企画をやりたい、などと考えていましたっけ。

もちろん、そんなことを言えば就職に不利なので、営業職につきたい!と心にもない宣言を繰り返していましたが。

■なんで営業が嫌なのか。

セミナーなどで聞いてみると、こんな意見が返ってきます。

〇目標数字のノルマがきつくて大変だ。

〇嫌なヤツにもペコペコしなければならない。

〇身体的にしんどい。

クレームから工場の手配から何でも屋みたいなことをやらされる。

〇商品のこととか、業界のこととか、意外に勉強しなければならないことが多い。

そう聞いてみると、いかにももっともな理由に思えます。

■逆に、営業が好きだ、という人に聞いてみると、こんな意見があります。

◎結果が数字として出るので、分かりやすい。達成の喜びを味わえる。

◎いろんな人と知り合える。

◎外出や出張の機会が多く、社内にこもっているより楽しい。

◎営業の立場で、企画や調達や生産などをまとめ仕切ることができる。

◎仕事をしながら、様々なことを勉強できる。

何のことはない。同じことを前向きに捉えるか、後ろ向きに捉えるのかというだけの違いです。

■仕事が嫌だ。楽しくない。という人の問題のたいていは、ここにあるのではないでしょうか。

つまり、自分に関わるものごとを前向きに捉えられるか、後ろ向きにしか捉えられないかです。

「ポジティブ心理学」なるものが、ハーバード大学でもとりあげられて人気となっています。

参考:超訳! ハーバードのポジティブ心理学
http://president.jp/articles/-/9954

ハーバード大学の研究者によると、自分は幸福だと思える人ほどよい結果を残しているそうです。

間違えてはならないのは「努力する→結果を出す→幸福になる」という流れを言っているのではないということです。

この概念はそれとは逆である「幸福を感じる→努力する→結果が出る」という流れを示しています。

参考:「幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論」
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4198632359/lanchesterkan-22/ref=nosim

上の著書に詳しく書かれていますが、人は幸福感を持つ時に能力そのものが上がります。

では、どういう時に幸福感が上がるのか。

その第一番目の秘訣が、ものごとをポジティブに捉える。前向きに捉える。ということなのです。

■前向きな人が実績を出す。というのは、多くの人が同意するのではないでしょうか。

営業コンサルティングの経験からいっても、前向きな考え方をする人が多い組織は、実績が上がるのが早い傾向にあります。

個人的な面でも、コンスタントに優等な成績を残す人はほとんどが前向きです。

困難な障害にあたって、だから無理なんだと愚痴を言い出す人と、どうすればこれを越えられるのかと思考する人では、結果が全く違うことは言うまでもないでしょう。

この本には、気持ちの持ちようや、習慣を変えることで、幸福感を得る方法が分かりやすく書かれています。

まさにちょっとした工夫で、その人の幸福度合や実績が変化するというのですから、これを活用しない手はありませんよ。

■幸福とは何か、どのような時に幸福感を得るか。

私が持っている従来の常識から考えても、前向きさは幸福の鍵だと思えます。

その他には、健康な身体と少しの経済的ゆとり。時間的ゆとり。

さらにいうと、良好な人間関係です。

実はこの本にも、幸福を感じる最も大きな要素は、仲間への「愛」であると書かれています。

人間は社会的な存在ですから、仲間との関係があってこそ、充実した仕事や自己実現に向かうことができます。

つまり、営業が仕事を前向きに捉え、イキイキと楽しくできる最大の要因は、仲間と協同して仕事ができているかどうかなのです。

これがいわゆる「チーム営業」です。

■私はある時期から、チーム営業を行うことが、組織全体の業績向上のカギであると感じてきました。

個人の経験や能力をそれぞれが高めることは重要ですが、それを単純に足しても、決して大きな力にはなりません。

1+1=2 どころか、1+1=1.5とか、0.8とかになってしまう組織をみてきました。

しかしそんな組織が、チームで同じ方向性を持ち、同じオペレーションで活動すれば、1+1=3にも4にもなることを知っています。

それは、チームで営業を行うことが、プロセス設計の効果であると同時に、個人への心理的効果としても有効であることを最近、実感しています。

もちろん営業の個人技を否定するつもりは毛頭ありません。それが必要な場面は多々あります。

しかしそれ以上にチームとしての方向性やフォーメーションが実績につながるのです。

■そういえば、営業を嫌だという人の中に「納得できない商品でも会社の都合で勧めなければならない。営業は人を騙す行為だ」という意見がありました。

これはもちろん誤解ですね。

営業は、顧客に価値をもたらす仕事です。

マーケティングの理念でいえば、営業は、社会の価値を向上させる仕事です。

もし、今、会社都合で動かされていると悩んでいる方がおられたら「どうすれば自分の仕事は価値を生むのだろうか」と前向きに考えてみてください。

ヒントがほしい。という方は、このメルマガのバックナンバーを読んでみてください。

何度も書いてきたことですから。

太陽誘電 したたかな2番手?

太陽誘電、「したたかな2番手」戦略の成否(日本経済新聞・有料会員限定)

■スマホ向けに電子部品を製造販売している太陽誘電という会社の記事です。

事情は分かりませんが、記事によると、この会社、スーパーハイエンドという高付加価値製品を強みとしています。

ところが、それだけでは業績が伸びなくなったようです。

同社の社長は「良い製品を作れば価格が高くても売れるというのは間違いだった」と後悔しています。

そこで、価格対応も含めて、柔軟な政策をとりたいということです。

■「良い製品を作れば高くても売れるというのは間違い」だというのは当たり前です。

価格は、需要と競争状況で決まります。この場合、相対的に、高くても売れるほどの製品ではなくなったということです。

ただし、村田製作所からすれば、最も攻めにくいのは、太陽誘電がスーパーハイエンド商品という「城」で強い地位を築き続けることです。

柔軟な価格対応などといって城から出てきてしまえば、一時的には売上は上がるでしょうが、1番手企業としては対応は容易くなります。

まずは、価格が期待するほどではなくなった原因を突き止めて、できるならスーパーハイエンド商品を強化すべきです。

■ただ2番手以下の企業は、このように戦略を明かすべきではありません。

戦略を明かしてしまうと、1番手企業が対策を考えます。村田製作所の思うつぼです。

特に価格政策などは一気にやってしまわなければなりません。

テスト販売は、なるべく隠れてやらなければならないことです。

■この会社、したたかな2番手になれるのでしょうかね。

この記事が、村田製作所をかく乱するための陽動作戦であれば大したものですが、どうなんでしょうか。

ホンダの超自前主義は是か非か

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■記事は日本企業と韓国企業(サムスン)の違いを採り上げたものです。

一般に日本企業は、事業でも人材でも自前でコツコツ育成して、その積み上げを自らの強みとすることが多いようです。

それに対して、サムスンは、明らかにスピード重視。蓄積するような時間があれば、買ってくる、連れてくる、という考えです。

簡単にいえば、サムスンは勝ち目がある市場を見つけると道具を揃えて一気に攻め入ります。それに対して日本企業は、勝ち目があろうとなかろうと、やりたいことを自分のペースで粘り強くやりきってしまうスタイルです。

競争戦略論でいえば、サムスンのやり方をポジショニングアプローチといい、日本企業のやり方を資源アプローチといいます。

■特に記事にあるホンダは、超自前主義です。M&Aはしないし、他企業との提携もめったにありません。日本企業の中でも特異な存在です。

何かやりたいときはゼロから取り組む。取り組んだ経験の中から、強みを作っていきます。

■今回はサムスンの話になってしますが、普通、ポジショニングアプローチは、欧米の企業が得意とするところだと語られています。

ただし、欧米と日本のやり方で、どちらがいいというわけではない。

変化の激しい時には欧米企業が有利であり、落ち着いた時期には日本の長期的視点が有利であるというきらいはありますが。

だから今は、欧米型のポジショニングアプローチが効力を発揮する時期です。だからサムスンのやり方が注目を浴びるわけです。

■どちらがいいというわけではない。といいましたが、日本企業はどうも悠長に構えていて、短期的な戦略設計に弱いということがあるわけですから、そこを強化すべきなことは間違いありません。

いいように言えば、日本企業は長期的視野に立っていると解釈できますが、悪く言えば、ノープランで日々反応的に過ごしているともいえます。

■私は、日本企業は、もう少し、ポジショニング的視点を持つべきだと考えています。

ポジショニング的視点とは、戦いが始まった時点で勝ちは計算できているという視点です。

私が言う戦略的視点とは、たいていポジショニング的視点を指しています。

それがもう少しあれば鬼に金棒なんだけどなあ。




日本のガラパゴス製品も、もっと売れてもいいんじゃないか

海外で売れているのはおむつだけじゃない 食品用ラップに化粧品、日本で買いだめも(J-CASTニュース)

■こういう記事を読むと、ガラパゴス化も悪くないんじゃないか。と思えてきます。

日本国内の厳しい品質要求や競争環境を生き抜いてきた商品ですから、海外の人が見れば、びっくりするようなものがあるのですね。

そういえば、昨年、関空の海外出発ゲートの内側に「じゃがぽっくる」が山積みされていたのを見てびっくりしましたが、あれも中国人観光客が大量買いしていくのだとか。

日本製のお菓子は人気らしいですね。

■家電製品や携帯電話が多機能すぎて使えない、という話がありますが、実は、多機能すぎて使えない製品にも需要があるのではないか。

東急ハンズにいけば、何に使うのか分からないような代物が、高い値段で売っていたりします。

あの店は「誰が買うのかわからない」ものを売るということを「売り」にしていますから。

だとすれば日本の多機能すぎる家電製品にも需要があるのではないか。

いや、これはニッチすぎる売り方ですね(><)日本の家電メーカーがやることではない。

■営業は、機能を絞ってプレゼンするようにしています。その方が、受け取る側が分かりやすいからです。というか、10も20も機能説明していたら消化しきれない。

ジャパネットたかたも、短い時間で絞った機能を説明することで売上を伸ばしてきました。

しかし、それは営業技術の問題であり、商品の価値の問題ではない。

消費者としては、すべての機能を的確に理解すれば、機能がありすぎて使えないということにはならないかも知れない。

これだけIT技術が発達しているのだから、プレゼンテーションの方法も進化していいんじゃないだろうか。

■今回の記事の話も、情報があふれる中で、漏れ出てきた話題です。

日本の商品が海外で重宝されるというのは昔からあって、海外赴任者が土産話にしてくれたものです。

これがニュースになるというのは、やはりITによりコミュニケーションの手段が発達したからです。

だとすればSNSなどを使って、異文化地域同士が、商品機能情報をやりとりする場があればさらにビジネスチャンスが広がります。

そういうサービスを行うSNSもきっと出てくることでしょうね。

私がメルマガを書く「立ち位置」

(2014年1月9日メルマガより)


■私が生まれたのは、1964年。


前の東京オリンピックの年です。

この年は、東海道新幹線が開通した年でもあります。

高度成長期の真っただ中。

まさに日本にとってのゴールデンチャイルドですよ^^

ちなみに、6歳の時(1970年)には大阪万博も経験しています。

21歳の時(1985年)には、プラザ合意があり、それから日本はバブル景気に湧き立ちます。

就職から社会人の初期には、その恩恵をモロに受けました。

要するに、恵まれた世代です。

■生まれたのは大阪。それから小学校、中学校、高校から大学まで大阪です。

自分のことを典型的な大阪人であるとは思っていません。というか、大阪人の特徴が何であるかとか、東京に何が負けていないとか、そんなことに興味はありませんでした。

照れ隠しに東京でわざとキツイ大阪弁を使うとか、そういう気もありません。

そういうの、田舎者根性みたいで嫌ですしね。

それでも、就職して東京に住んだ時は違和感を覚えました。

とにかく東京というところは、空気の読めないやつを嫌う。何か、あちこちのグループで、見えないルールがあって、それに外れる者は、グループに入れてもらえないみたいな感じです。

その見えないルールを覚えることが最初の通過儀礼になるのですかね。

それがものすごく嫌でした^^;

なんだか、やしきたかじんとか、月亭八方とかが、東京に合わなくて、帰ってきたのがよく分かります。

■今、思うと、それは他の地域よりも相当ゆるいルールです。

なんでかというと、大阪にしろ、沖縄にしろ、本当の田舎は、よそ者を受け入れません。

あくまでお客さんとしての待遇ですから、どんなに通っても、最後のところではよそ者扱いです。

逆に、その地域で生まれた者は、えらい個性的な者でも大丈夫です。

それが私の田舎評です。

ところが東京は、雑多な田舎出身者の集まりですから、受け入れるのに、厳しいことは言ってられません。

一応、ゆるいルールがあって、それができれば、仲間にいれてやるよ、ぐらいのもの。

ルールといっても、相手に立ち入らないとか、訛りはカッコ悪いとか、本音をずけずけ言わないとか、上辺の付き合いは愛想よくとか、トレンディドラマ(死語)のシナリオにあるような類のものです。

そのゆるいルールを皆がそよそよと守って、いかにも首都圏っぽい共同体を作っている姿が何とも気持ち悪かった^^;

普通に過ごせよーーって。

■そういう時、初めて、自分の出自を気にしました。

ああ、おれは大阪なんだなーー。そういえば、阪神ファンだなーーって。

カラオケの最後に「六甲おろし」を歌うのは、相当異常なことだと東京に行って知りました。

それは嘘です。わざとやっています。

それはともかく、私が何か発信しようとする時、否応なしに、大阪人としての立ち位置からの発信となってしまいます。

■さて、最初の就職は、化学系メーカーの営業職でした。

この最初の就職というのは、ものすごく重要です。

人間が一生を過ごす上で、最初の職の影響からは抜けられないでしょう。これは大阪人であるという出自以上に私に染みついています。

あれから30年近く経ちますが、私が元メーカーの営業マン以外だったことはありません。

やはり私はメーカー視線です。同時に営業職の視点から社会を見ています。

当初、自分がそれほどメーカーや営業職に思い入れがあったわけではありません。

むしろ就職時には、営業なんて面倒だな、と思っていたぐらいです。

正直に言って、私は大した営業ではありませんでした。

行動力と反射神経だけで勝負する頭の悪い営業マンでした。

そんな自分でも成績がよかったというのは、たまたまです。受け持った得意先がよかっただけでしょう。

あるいは、周りがぬるかっただけです。聞かれたら怒られるでしょうが、その通りだと思うので。

それが、会社生活半ばを過ぎたところで、営業として目が醒める経験をしました。

■大きなきっかけの一つが、ある上司との出会いです。

今はどうか分かりませんが、当時のメーカーの営業などひどい扱いでした。技術力があれば売れる。営業は顧客につなぐだけ。営業など頭の悪い者でもできるのだから、体力のあるやつにやらせとけ。それがコンセンサスです。

私のいた会社もそういう姿勢でしたし、当の営業も、やたらプライドの高いベテランがいたものの、やっていることは「頭の悪い連中」とバカにされても仕方のないことでした。

私など、営業の仕事について教育や指導を受けたことはありません。現場で見よう見まねで覚えることが当たり前。できるやつはできる。できないやつはバカだ。ぐらいの放任主義です。

最初の頃の上司や先輩もそういう人ですから、ある意味、好き勝手にやって、居心地がよかったかも知れない。あのままでいけば、きっと私も「昔は少しは売ったらしい」というお荷物扱いのベテラン営業になっていたことでしょう。

ところが、新しくやってきた上司は違いました。

その人は、某家電メーカーから転職してやってきた人なのですが、言動が何か違う。経験主義の私でさえ、この人の言っていることは理に適っていると思わせるものがありました。

家電の営業と化学メーカーは違うなどとうそぶいている人もいましたが、私には、この上司の方が正しいと思えました。

なんでこの人の言っていることは筋が通っていると思えるのだろう。なんでこの人は、こんなに確信をもって行動できるのだろう。

その人にくっついているうちにおぼろげながら分かったのは、営業は理論で成り立ってる(あるいは理論で説明できる部分が多い)ということ。少なくとも、その上司は、理論的な確信をもって営業に臨んでいるらしいということでした。

私が、豪放磊落な営業マンを装いながら、陰でこそこそマーケティングの本などを読み始めたのは、その人の営業スタイルに近づきたいという思いがあったのです。

■まだ若かったのがよかったのですかね。5,6年程度の経験しかありませんでしたから、経験で培ったプライドを捨てる勇気が持てたわけです。

「おれは今までいっぱい売ってきたからこれでいいんだ」と意味のないプライドを手放せない人もいます。そういう人は不幸です。しかもそういう人が管理職になっていたりするわけですから、部下はもっと不幸です。

私はといえば、陰でこそこそ勉強の真似事をして、中小企業診断士の資格までとってしまうことになりました。

無駄に難しい変な資格ですよ。

だけど、この資格をとるために勉強し、その後経験したことが、私の一つの立ち位置となっています。

残念ながら、その憧れた上司からは「資格なんて意味ないよ」と言われてしまいました。会社を辞めて独立したのは、その言葉に対する反発もあったのです。初めて書きますが。

でも今ならその上司の言うことが分かります。独立してから散々苦労しましたからね^^;

今でも、実は、中小企業診断士の集まりにいけば、「この人たち、机上の空論ばかり言うてるなーー」と思います。(これも聞かれたら怒られるな。。)

逆に叩き上げの実践コンサルタントを名乗る人と話していると「チャラいなーー。全部経験論と思い込みやないか」と思ってしまいます。

偉そうに聞こえるかもしれません。でも本音を言います。それが私の立ち位置なのです。

私は、自分が学んだ理論を、コンサルティング実務で試しながら、さらに様々な理論を学んで、体系を作ってきました。

だから私の目線で見ると、有名な先生でも、ダメなものはダメだし、無名の人でも凄い人は凄い。

同業者同士褒め合ったりするのは嫌ですから、わりとクールに見ていますし、見られようと思います。

■会社員時代のことで、もう一つ、重要なことがありました。

私がいたのは化学メーカーだといいましたが、所属していたのは、ステンレス魔法瓶を製造販売する事業部でした。(今は独立して一つの会社となっています)

http://www.thermos.jp/

それは世界で初めてステンレス魔法瓶を開発した会社です。

ただ私が入った頃は、営業力が弱くて、万年3位の地位に甘んじながら、じりじりとシェアを落としていました。

それが、私のいる短い期間に、凄まじい実績向上を果たして、世界トップの地位に駆け上がったのです。

この話は何度か書いたことがありますし、セミナーの題材でもありますから、詳しくは繰り返しません。

しかし、一つの企業が、トップに上り詰めようとする時のエネルギーをその渦中で体験するというのは、本当に得難いものです。

世界一になった理由は複合的です。企画開発のイノベーションもありましたし、先ほどの上司が行った営業体制の改革もありました。さらには若手が中心となった熱い意識がありました。

その最中は、追いまくられるような毎日で、いっぱいいっぱいだという意識しかありませんでした。だけど、本当に濃い充実した日々でした。

私が、今、営業チームを戦う集団に変えるという仕事に取り組んでいるのは、その時の充実感や達成感をもっと多くの営業に共有したいという強い思いがあります。

いや、もっと本音で言いましょう。私がもう一度あの充実感、達成感を味わいたいという個人的な気持ちに突き動かされています

全く持って、成功体験とは麻薬のようなものです。あの濃い日々を過ごしたら、もうぬるい日常には戻れません。

どこの会社でも構いません。世界一を駆け上がるような経験をしてみたいと思いませんか?

一生、忘れられない経験をしてみませんか。。。

■自己紹介といいながら自分探しをしてまいりました^^

私の立ち位置をまとめます。

1.日本の最も勢いのあった時期に生まれた者という立ち位置。

2.大きな田舎である大阪で生まれ育ったという立ち位置。

3.経営に関する理論を学び、かつ実践で修正しながら、独自の体系を作ってきたという立ち位置。

4.世界トップに駆け上がった企業の内部にいた経験を持つ者という立ち位置。

今後のメルマガでは、これらの立ち位置から私は発信していきます。

末永く、お付き合いいただけるようにお願いいたします。

フォルクスワーゲンの差別化戦略

トヨタに迫るVW 車づくりの「常識」に挑む(日本経済新聞・有料会員限定)

■日経新聞の記事です。いつも有料会員限定を紹介してすんませんm(_ _)m

ドイツのフォルクスワーゲンが、トヨタ超えを虎視眈々と狙っているという内容です。

トヨタに正面から挑んでも敵わない(というか、正面から挑むと、金がかかって仕方がない)ので、トヨタの弱点を狙っていくわけです。

たとえば、地域。トヨタは北米に強いので、ワーゲンはヨーロッパに攻勢をかけます。

当たり前といえば当たり前。日産も、南米や中国に狙いをつけています。

ただ、背景には、リーマンショック以来のアメリカ市場の衰退があります。相対的に新興国や欧州の市場の魅力度が上がっています。

トヨタにとって「チーズはどこへ行った?」状態です。


■もう一つは、製造方法。トヨタや日本メーカーが得意とするすり合わせ技術では追いつけないので、オープン方式を標榜しています。

これは、汎用部品を使える範囲を広げた設計にして、調達コストとリスクを下げようという方法のようです。

ハイブリッド車など複雑な設計にはすり合わせ技術が効力を発揮しますが、電気自動車の時代になると複雑な製造作業は不要だといわれているので、こちらの方がよいのかもしれません。

トヨタとすれば、強みを活かせない方式をとられているわけで、おいそれと模倣することができません。

なんとも悩ましい。要するに、フォルクスワーゲンのやっていることは、「相手の得意な競技ではなく、自分が勝てる競技、戦える競技にエントリーして、勝ちきる」という戦略の常套です。

トヨタはきっと「ええ加減諦めろよ――」とフォルクスワーゲン側に思っているのでしょうね。GMも日産も今はトヨタを追うポジションにありません。

背中に手が届くのはワーゲンだけです。ヨーロッパに拠点を置くという地の利もあります。

「そうはいくかーー。お前の時代を終わらせてやるー」てなもんですな。いや違う。「あんたらは、北米と日本でやりゃあええやん。うちはこっちで独自にやりますんで」てな感じですね。

■営業コンサルの立場からすると、営業関連の差別化策が気になるところです。

プロモーション・営業の方法。拠点のあり方。価格。デザイン思想など。

この記事からはわかりません。そもそもフォルクスワーゲンの戦略が、競争のフィールドをずらして、競合しないようにしようというものですから、現場の営業方法は、重視していないのか。

いや。トヨタを徹底研究しているということですから、営業方法についても差別化をしているはずです。


また記事が出てきたら、採り上げたいと思います。

手芸ビジネスがひそかにブームらしい

手芸ビジネス、なぜ密かにブーム?ゲーム市場に匹敵〜レシピ紹介サイト、カフェ…(ビジネス・ジャーナル)

■ゲーム業界の市場規模が、4480億円。手芸の市場はそれより少し少ない程度だそうです。

手芸って密かにブームなんですか。特にリーマンショック以降ということ。ということは、いけいけの時代の反動で癒しを求める心性にあっているということです。

手芸は、コツコツと根気よく編んでいくもの。実に農業的です。単純作業の繰り返しという意味では、ゲームに似ています。

ゲームというのは、人の反応欲求(そういう言葉があるかは知りませんが)を満たすものですね。ロールプレイングゲームになると、物語消費欲求です。断片的な物語を手軽に消費することができます。後には残りません。

それに比べると、手芸は、コツコツと積み上げて作り上げる。成果物があるというところが違います。

もう一つは、リアルに手を動かすこと。ゲームのボタンを押すのと違います。これが大きい。

やはり手芸にしろプラモデルにし釣りにしろ料理にしろ、実際に手を動かして、成果物を得るというのは、人間の本能に根差しているのではないかと思わせます。

■私もこれについては反省する部分があります。

営業コンサルティングの現場で、マネジメントの方法をデジタルにしていく作業をずっと進めてきましたが、実は、アナログに残していく部分が必要なのではないか。

たとえば、日報を携帯で打つ。集計を自動化する。というやり方があります。私も、自動化の流れに沿ってマネジメント方法を導入してきました。

しかし、日報を手書きで書く。目標管理を手入力するというのは、思った以上に効果があることなんではないか。

そう思い始めています。

■というのも、岡田斗司夫氏の「スマートノート」を読んで、これを実施してみると、確かに、やってみたいと分からなかった手書きの効果というものがあるわけです。

実は、手入力、手書きの効用を捨ててはいけないのではないだろうか。

■話がそれました。

記事では、手芸業界の興隆にあわせて、コミュニティサイトが立ち上がったのこと。クックパッドの手芸版です。

市場規模があるところには、コミュニティサイトがあってもおかしくない。

料理程の規模はありませんが、そこそこ機能するのではないですかね。

福袋 勢いで買った^^

■それにしても笑ったのは日経新聞の次の記事です。

元日初売りにぎわう 福袋に行列「勢いで買った」(日本経済新聞・有料会員限定)

内容よりも、題名ですが。「勢いで買った」ってわざわざタイトルにせんでも^^

福袋の本質を突いていますな。

■といいながらうちも買ったんですよね。朝から阪急に並んで、お菓子の福袋など買ってしまいました。

何を隠そう、人ごみが嫌いな私ですが、元旦の朝から並んでしまいました。

勢いですな。

■それにしても、店によって行列ができている店とできない店がある。

なんでかっていうと、大晦日あたりのチラシで福袋の内容が、店ごとに提示されています。

お菓子だったら、ケーキ1個、エクレア2個みたいな。それによって、ほしいやつに並ぶわけです。

それにしても、みなさんの目敏さは異常^^;開店すぐに、福袋内容のいい店には行列ができる。

やはりあれは、この店が好き。というわけではなくて、どこがお得かという損得勘定なんでしょうね。

というのも、行列ができる店が毎年違うからです。

群衆というのは抜け目ないですよ。

私のように、どこに何の店があるのか探しているようでは、勝てません。

■人ごみが嫌いっていうのは、なんかおぞましい感じがするからですかね。

これは朝の電車でも同じですけど、必死で座ろうとする人とか。大音量で音楽を聴いている人とか。なんか公共の場所で見たくない振る舞いを見てしまう。

夜だと泥酔している人とか。

これは要するに、自分の中にある姿を鏡で見せられているわけで、それが嫌なんですね。

行列もそうですよ。どういうわけか後ろからぐいぐい押してくる人とか。何なんでしょうか。

後ろを見るとおばあさんで悪気がないわけですから、怒るわけにもいかない。

逆に上品な人を見たりすると、何で福袋なんか買いにきているの?って思ったりするわけです。

なんか嫌ですね。全部自分の嫌な部分を見る気がする。

■それにしても元旦っていつから小売が開店するようになったのでしょうか。

百貨店って、二日からじゃなかったでしたっけ。

正月に休むというのは、それなりに意味のあるものだったのでしょうが、小売からすると1日休めばそれだけ競合に対して不利なわけですから、今は文化的な意味や慣習を、経済的な事情が完全に凌駕したわけですな。

しかも福袋って、ビジネスチャンスがあるわけですから。

■福袋っていうのも微妙な商品ですね。ちょっとずつ商品が入っているから、数量とか、内容とか、家庭の事情に合わない場合もある。

その損得を見極めて購入するか否かを決めるわけですから、家庭人は大したものです。

中身が事前にわからない場合は、福袋を開けて確認しようとする人もいます。

店員によっては「開けないでください」と注意する人もいるし、放置する人もいます。

放置する店員がいると、みんな開け放題ですね^^

■店員さんも、正月から大変だなーーって思っていましたが、よく聞いてみると、正月手当はもらえるし、実は美味しいのかもしれない。

行列のできる店はそれなりに大変ですが、暇な店は、楽でしょうね^^

「こいつらバカだなーー」「あさましいなーー」とか思ってみているのでしょうかね。

案外楽しんでいるのかも。

■というわけで勢いで買った福袋ですが、これは有効に消化されていくのでしょうか。

勢いというのはイベントみたいなものですから買った時点で目的は達しているのかも。

だとすれば、祝祭日の行動として、正しいことをしたわけですね。

グーグルとNASA 月面で植物栽培

NASA、グーグルの手を借りて月面に植物栽培(日本経済新聞)

■すごい話になっています。

月面で植物栽培ですよ。どうするのか。。というと、小さな栽培ボックスを月面に設置して、その中で栽培するらしい。

ボックスの中には、カメラやセンサーを設置して監視します。

そのデータをNASAがクローズするのではなく、多くのボランティアスタッフに開放して計算してもらう計画です。

さらに同じ栽培キットを学校などに配布して、子どもたちの教育も兼ねています。

■夢のある話ではないですか。

もちろん月面で植物が育成できるとなれば、大変なことですよ。

それ以上に、世界で夢を共有できるようなプロジェクトです。

■というのもオープン理念の塊であるグーグルがこの計画に協力しています。

グーグルは月面の探査に対して、2000万ドルの賞金を出すと発表しています。

それに応じて、複数の民間企業が、月探査機を送る計画を持っているそうです。

今回は、NASAが計画に乗っかった形です。

こうした事例をみると、宇宙開発は、いよいよ民間企業が主役を果たす時期に来ているのだと思わせますね。

■それにしてもグーグルは、従来の利益追求型の範疇ではとらえられない企業ですね。あらためて感じます。

マーケティング理論は、利益は企業目的達成の手段に過ぎないと教えていますが、グーグルがまさにそれを体現しています。

まだまだ企業理念やビジョンはお題目に過ぎないと考える会社が多いですから、それに比べれば一歩も二歩も進んでいるようです。

かなわないですね。

日本での販売を断たれた京セラのスマホがアメリカで復活

「よく聞こえるスマホ」はこうして生まれた 米国で大躍進、京セラ革新技術の開発秘話

■日本での販売ルートを断たれた日本の携帯電話端末メーカーが、したたかに海外で販売しているという事例です。

京セラは、得意のセラミック技術を活かして、振動で聞こえやすくしたスマホを開発、アメリカで好調だということです。

これっていわゆる骨伝導のスマホなのかな。

かつて、ガラケーの時代にありましたよね。ボーダーフォンだったっけ。

いつの間にかなくなっていたと思ったら、京セラが復活させたわけですね。

■記事によると、この携帯端末、最初はビジネス用途に考えられていたとか。

確かに、仕事で使う人は、聞こえにくいと困ります。雑踏とかで、顧客に聞き返すというのもはばかられる場合がありますからね。

つまり尖った市場設定だったわけですが、実際には、聞こえにくいと不満を持っていた高齢者などに受け入れられたらしい。

尖った需要に向けた尖った技術が、広く受け入れられるというのは、ありそうな話です。

これからのメーカーの方向性の参考にできそうです。

■京セラのように、日本でNTTドコモの傘下から外れて、世界で勝負するメーカーが多く出てきてほしいものです。

枠を外すと、実は大きな市場が見えた、ってことになると、本来実力のある日本メーカーの活躍の場は大きいでしょう。

期待せずにはおれません。 

フィリップスの「ノンフライヤー」 機能を絞り込んでアピール

「ノンフライヤー」など単機能家電 外資「わかりやすさ」優位 (日本経済新聞・有料会員限定)

↑という記事をもとに書いたブログでしたが、リンク切れでした。m(_ _)m

記事では、「単機能」を巧みにうたう外資系の家電が良く売れているということを書いていました。

ノンフライヤーは健康志向をとらえて4月の発売から12月末までに当初計画の4倍にあたる20万台の販売を見込む。だが実はフィリップスのお膝元の欧州では日本と異なり、小さなオーブンというコンセプトで販売する。油なしも強調しているわけでない。実際はスペイン料理のパエリアなど揚げ物以外も調理できる。
 日本で売り込むためにあえて単機能を打ち出した。日本メーカーはスチームオーブンレンジのように多様な調理ができる多機能性を売り込む傾向がある。だがフィリップスの日本法人は「逆に油を使わずに揚げられる点だけに絞ってアピールした」(増田智美アシスタントマネージャー)。
 国内メーカーは経営効率化のため生活家電の開発・生産を絞っている。外資はその真空地帯を突いた。

飽和した国内市場で袋小路に入ってしまった日本の家電メーカー


2013年の記事ですから、日本の家電メーカーが業績を落として弱っている時期です。その隙をついて、外資系メーカーが、攻勢をかけていたわけです。

ただそれまでも日本の家電メーカーは多機能をうたいすぎて、わけの分からない状態に陥っていました。

飽和した日本市場の中で、各社が差別化とミートを過剰に繰り返したあげく、何でもかんでも詰め込んだ、使わない機能だらけの商品があふれていました。

それはそうなりますわな。飽和市場では、誰かが目新しい機能をつければ各社がそれをマネする。お互いがそれぞの良さを消しあうあまり、ユーザー目線を失っていったといわれても仕方ありません。

そこへ「これができます」というシンプルで分かりやすい製品が持ち込まれたのだから、新鮮です。

ジェネリック家電


ジェネリック家電というのも、そういうところに表れた分野です。

家電もジェネリック 格安・単機能、パナ出し抜く (日経新聞・有料記事)

ジェネリック家電とは、特許の切れた技術を使った家電製品のこと。大手メーカーの一、二世代前の製品技術を使っており、当然ながら低価格です。シンプルでレトロなデザインが多いが、なかには、デザインのみ斬新なものもあります。1兆円ほどの市場規模があると言われています。

もっとも売り場ではニッチ家電扱いですから、製造メーカーは中小企業が中心になります。

家電大手は内需の大幅な拡大が見込めない中で高付加価値品にかじを切り、低価格で単一機能の商品から手を引いた。その間隙をジェネリック家電がついたのだ。


ローテク、単機能訴求、デザイン性訴求、それでけっこうな高値


さて今回のフィリップスの商品も、日本の家電大手メーカーが袋小路に入った時に、間隙を突いた商品です。

正直にいって日本の製品と比べるとローテクです。この製品ができることは、日本のオーブンレンジでほとんどできてしまいます。

ただ機能が絞られているだけに使い勝手がよく、多機能製品を買うよりも安くつきます。

とはいいながら、この機能にしては高いし、場所もとるので、日本の家庭に合うのだろうか?と思ったりもするのですが。

記事によると、フリップスのこの製品、もともとはノンフライヤーだけの製品ではなかったとのこと。訴求ポイントを絞るためにあえて単機能製品として打ちだしたとあります。

こういうローテク、単機能訴求、デザイン性を打ち出し、けっこうな高値で売る、というやり方は、ダイソンの成功パターンでもあります。

このあたり、中小企業を含めて日本のメーカーの生き残るヒントがあると考えます。


それにしてもフィリップスはうまくやっていますな。

↓手入れの良さをアピールするところなど、日本の製品の弱みをうまくついています。

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プロフィール
komai 小

営業関連のコンサルティングをしています。
製造業や卸売業などの営業組織を強化する仕事を得意としております。

株式会社クリエート・バリュー代表取締役
NPOランチェスター協会理事
NPOランチェスター協会関西支部
NPOランチェスター協会認定インストラクター
中小企業診断士   販売士1級

コンサルタントになる前は、日本酸素株式会社魔法瓶事業部(現在のサーモス株式会社)で14年、営業担当をしておりました。
その時、廃業寸前の赤字だった事業部がわずかの期間で世界トップ企業になった経緯を体験したことが、経営コンサルタントになったきっかけとなりました。
当時、経験したことや見聞したことを物語風にアレンジしたのが、拙著『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』です。
面白い本なので、ぜひ読んでください(^^)

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