戦略がなければ生き残れない

NPOランチェスター関西支部長のブログ

地域密着営業って何だろう?

(2016年10月20日メルマガより)


■「地域密着営業」が経営の課題としてうたわれるようになってから久しいですよね。

今でも、講演のテーマとして求められることが多い。いや、むしろ、今の方が、多いかもしれない。

思うに、地域密着営業という言葉が出始めた頃は、将来的に必要な概念という位置づけだったのが、今やそれは現実に取り組まなければならない必然です。

地域密着営業は、ようやくコンセプトからリアルになったというわけですか。

■だから講演などにおいても、質問内容が切羽詰まっています。

具体的にどうすればいいのか、こういう場面ではどうすればいいのか、という現実に則したものが多くなっています。

そんな地域密着営業に関する私なりの考えを、以前、このメルマガで書かせていただきました。

よければ参考にしてください。

参考:小さくても生き残る「局所的な強者」の作り方
http://www.createvalue.biz/column2/post-383.html

■地域密着営業が求められるのは、日本の市場が成熟状態にあるからです。

市場が成長していた時代は、頑張れば新規顧客を見つけることも可能でしたし、他社との差別化も効きやすかったはずです。

しかし、顧客が増えない現代においては、新規顧客を見つけることが極めて困難な上に、多くの企業がそれぞれ工夫をこらした差別化に取り組んでおり、その効果をお互い消しあっています。

差別化が当たり前になった時代に、我々営業に残された工夫は、顧客に接近し寄り添うことです。

営業として顧客に接近するためには、足元の地域顧客を大切にすることが最も現実的な手段なのです。

■気を付けてほしいのは、地域密着営業が、営業の効率化を図る手段になってはならないということです。

以前のメルマガにも書きましたが、営業において「効率よく」とか「最小の労力で最大の効果を」とか、すぐに言い出すやつはろくなもんじゃありません。

営業の効率は、やってみて、やってみて、やってみて、勝ちパターンが見えてきてから意識するものです。

そもそも、地域に密着するのは、効率を犠牲にしてまでも、地域の個客に向き合うためです。

現場にいる人間が、顧客の代弁者になるという営業の本質的役割を忘れてはなりません

■それに地域密着営業なんてのは、今や大企業でも取り組んでいます。

ただし、大企業は固定費が大きいという前提があるので、個客対応といいながら、実際には顧客層というカタマリをターゲットとします。

買ってくれそうな顧客がいっぱいいる層(要するに、企業にとって美味しい顧客がいっぱいいそうなところ)に営業をかけなければ、固定費をまかなうことができません。

それって、結局は企業の都合であって、顧客志向ではないんですよね。

幸い中小企業は、前提となる固定費が小さいので、そんなジレンマもありません。個客に密着できるはずです。

■以前のメルマガには2つの企業の事例をあげました。

一つは東京の「でんかのヤマグチ」、もう一つは新潟のアパレル会社「SUGAR」です。

いずれも営業においては「御用聞き」を徹底している小さな会社です。

御用聞きなんて古い営業のやり方だ、なんてバカにしてはダメですよ。個客に密着しその声に応えようとすれば、御用聞きをせざるを得ません。

御用聞きの徹底こそ大企業にはできない営業をすることにつながります。

■今回はもう一つ事例を紹介したいと思います。

福岡の食品スーパー、サンピットバリューです。

参考:学習塾も運営!地域スーパー、究極の囲い込み策(日経ビジネスオンライン)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/100500074/101200004/?rt=nocnt

記事によれば、こちらは福岡県うきは市に一店舗だけあるスーパーです。

大手スーパーに押されて、長らく赤字だった同社が、浮上するきっかけとなったのが、学習塾を店の上階に作ったことでした。

もともとスーパーの従業員の子供の面倒をみるために始めた勉強会だったようですが、講師の教え方がよかったので学習塾運営に発展していきます。(講師は同社の総務部長だとか)

この学習塾が評判になり、地元に根付いたことで、食品スーパーも黒字になっていったようです。

これを単にスーパーが多角化展開をして業績を持ち直したという事例ではありません。

本来、食品スーパーと学習塾は別物です。相乗効果があるかどうかわかりません。利益を追求する立場からすれば、上策とは言えないでしょう。

しかし、同スーパーの経営者が考えたのは、全く違うことです。

「学力と人口は相関関係にあり、地域の学力が低下すると人口流出が加速し、地域の衰退を招きやすい」というのが、同スーパー経営者の問題意識だったようです。

地域に根付くスーパーが不振に陥ったのも、もとはといえば人口減が大きな要因です。地域に活気がなければそこで事業する者にも潤いはもたらされません。その根本的な問題に向き合おうという壮大な考えです。

同社社長はこうも語っています。

「顧客を取り戻すには、地域密着を極めるしかない。地域で困っていることを率先して見つけ出し、解決していこうと考えた」

こうなれば同社は営利企業というよりも社会企業です。

■しかし、衰退する地域社会で生き残るためには、地域で暮らす人々の問題に向き合うしか方策はありません。

私企業は利益を追求することが本質だといわれるかも知れませんが、その利益のもとになる地域社会が疲弊していれば、どうしようもない。

そこで国や地方自治体の責任を追及しても始まりません。地域の問題に向き合い解決しようと考えたサンピットバリューは、きわめて合理的に判断したのだと思います。

■ここに、地域密着営業の本質があると私は考えます。

すなわち地域密着営業とは、地域の人たちから利益を吸い上げるための営業ではありません。

地域の人たちが困っている問題に取り組み、それを解決することで、地域の人たちが潤うようにするための営業であり、そうすることでなくてはならない存在になるということです。

そのためには、一人一人の個人と向き合う必要があります。悩み、問題など個人によって千差万別だからです。

各営業が個人と向き合うことで、見えてきた課題が集約されれば、もっと大きなビジネスにつながっていくのかも知れません。

が、それは後の話。現場を預かる営業は、一人一人と向き合うことが仕事です。

そうすることでしか、成熟し、衰退していく市場でビジネスを継続することはできないと思います

■実は、日本各地で、地域に根差す企業(スーパーやガソリンスタンドを展開していたような企業)が、介護事業などを展開する例が増えています。

それを見て、高齢化社会なんだから、そこにビジネスチャンスがあるんだ、きっと儲かるんだとだけ考えるのは短絡的だと私は思います。

介護事業は、そんな安易な考えで儲けられるような産業分野ではありません。それこそ、ヒト、サービス、カネに関する小さな施策を積み重ねて、その歯車がうまく回りだした時にだけ利益が出るような事業構造になっています。

やはり地域密着をうたう企業が、介護事業などに取り組むのは、それが地域の抱える重要な問題だとみなしたからでしょう。

地域が抱える問題に真正面から取り組まずして、何を地域密着というのでしょうか。社会問題の解決は誰かがやってくれるから、うちはそのおこぼれをもらおう、と考えるのも一つの考えですが、それはあまりにも他力本願でリスクの高い考えです。

その意味では、まさに今回のサンピットバリューと同じ考えのもと取り組む企業が増えているのだと思います。

■本来、我々が学んできたマーケティング理論は「社会に必要とされない企業は生き残れない」とはっきりと指摘しています。

マーケティングの本質は利益を追求することではなく「社会に貢献する」ことだったはずです。

だから社会起業家といわれる人たちが特別な存在ではありません。なぜならすべての営利企業は「社会貢献」をしないと生き残れないからです。

なのに、どこか社会起業家を特別扱いし、マーケティングの理念を「理想論」だと醒めた目で見ている自分がいなかっただろうか。

いや、私はそんなつもりはなかったと思いたいです。しかし、クライアント企業から「理想論や抽象論はいらない」と反発されて、マーケティングの最も重要な本質を省略したことがなかっただろうかと言われれば、反省せざるを得ません。

■つまり地域密着営業とは、地域の個人が抱える問題に真正面から取り組む営業です。

最終的な利潤が、自社商品の販売から得られるものだとしても、それだけにしか興味がないと顧客からは瞬間に見透かされてしまいます。

一人一人の個人が悩む問題を理解し、それを解決する方法を商品やサービスとして提供することができれば、その営業はなくてはならない存在となります。

それを解決する商品やサービスがなければ作ればいいのです。営業しか個客の本質的ニーズを掴むことはできません。商品開発が営業の力なくしては成立しないわけですから。

サンピットバリューの場合、数年連続赤字という切羽詰まった状態であったという事情があったにせよ、ビジネスの本質に気付いたということですから立派だと思います。

我々も、取り返しのつかない状態になる前に、そのことに気付いて、真摯に取り組んでいかなければなりませんね。

 



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サイゼリアはまだ成長する気満々ですよ



■興味深い記事です。デフレとともに成長したといわれるサイゼリアですが、同社社長はそういう言い方に異をとなえます。

低価格「志向」が強まっているのではなくて、低価格帯の市場規模がもともと大きいということ。一方で高単価の外食市場は規模が小さいので、あっという間に飽和状態になる。そうすると価値を下げるか、我慢して自分の首を絞めるかのどっちかしかない。価値、品質を下げている会社はお客さんから見透かされる。

私もその通りだと思います。もともと低価格帯の市場はあり、その中で、企業が切磋琢磨しているわけです。生き残るのは、価格以上の価値を提供した企業ということになります。

逆にいうと、高価格帯の市場は規模が小さく大手企業は参入しづらい。中小企業の生きる道はそのあたりにありそうです。

■低価格帯の市場でしのぎを削るサイゼリアですが、そのためには、コストを削りつつ、価値を上げていかなければならない。

データをとるのがうまい同社のことですから、コストは極限まで下げているのかと思いきや、まだまだだという。

今は、キッチンを狭くすることに取り組んでいるらしいです。

■価値をあげることについては、さらに凄まじい。人間の脳波を測定し、まずいものとは何かという基準を特定しようとしているそうです。

冗談ではないですよね??

人間が意識できないような「まずい」と感じるポイントを突き止めて、それをなくしていくということなんでしょうか。

サイゼリアはどこまで行くのだ?

■記事によると、サイゼリアのMAXは2000店舗と設定しています。その後は、ファストフード部門を育てて、さらに成長を目指すそうです。

牛丼屋さんが、全部で5000店舗。ハンバーガー屋が5600店ぐらい…

そう考えると、低価格帯レストランやファーストフードのMAX店舗数も見えてきそうです。

こういう数字は覚えておかないと。



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繁盛する居酒屋には、現場営業に必要なヒントが満載だ

(2016年10月6日メルマガより)


■日経ビジネスオンラインで、楽コーポレーション宇野社長がコラムを連載しています。これがなかなか面白いので紹介いたします。

参考:楽コーポレーション 宇野隆史社長の「若者よ、一国一城の主になれ!」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16nv/070100005/

楽コーポレーションとは、居酒屋「汁べゑ」を中心とする飲食店のグループです。人気の店だそうで。大阪にはないので知りませんでした(><)

宇野社長は小さな居酒屋運営から始めたたたき上げの創業者です。多店舗展開をしていますが、グループを大きくしようという意欲はあまりないようで、むしろ従業員に独立開業することを奨励しています。

だから楽コーポレーションには、独立開業したいという若者が集まり、宇野社長は彼らを育てようとします。さながら「宇野道場」です。

■宇野社長とはどういう人か。

学生時代から飲食店には興味があって、バイトなどを経験したようです。楽コーポレーションを始めたのが35歳の時。10席程度の小さな店からのスタートでした。

スナックの居抜き店舗だったそうで、立地もよくない。金がないので内装も自前です。白い壁に醤油を吹き付けたらいい感じになったとかいって笑っています。

メニューも印刷できないから手書きです。障子紙に書いて外に張り出していたら雨になると破れてしまう。仕方ないので雨が降るとメニューが変わる店にしたのだとか。

ある日、ビールの中瓶の値段を大瓶と同じ値段に間違えて書いてしまった。面倒くさいので小瓶も同じ値段に書き加えてメニューにした。つまり、小瓶、中瓶、大瓶が同じ値段。

お客さんが不思議そうに「小瓶を頼む人いるの?」と聞いてくるので「お客さんが第一号だね」と返すと、慌てて「いやいや大瓶をくれ」と応える。そういう会話が盛り上がることに、商売って面白いな、と思い始めたらしい。

参考:カリスマ親父社長の"だから飲食店はおもしろい"
http://www.gaisyoku.biz/pages/entre/lecture/uno_02.cfm

■要するに、徹底して現場力のある人です。どういう状況でも柔軟な「才覚」で、顧客との関係性を作ってしまう。

「一人目のお客さんが入ってくれたら飲食店は成功だね。別に、首根っこを抑えて連れてきたわけではなく、自分の意思で入ってくれたんだからね。そして、必ず何か食べて、飲んでくれる。その時におもしろいメニューがあったり、おもしろいオヤジがいて、次は友人を連れてこようと思ってくれれば大成功。飲食店は「合法的なネズミ講」だと思う。そのために、何をすればいいのかを身に付ければ成功は間違いない。」

まさにこれ以上の現場担当はいないでしょう。これは飲食業にとどまりません。接客業全般、営業はもちろん、すべての現場担当者が鏡にすべき姿勢です。

■宇野社長の「才覚」をあげてみます。

○きゅうり1本の注文を受けた時、テーブルにいった女の子が人数分、手で割って出す。

○ボロボロの店では、熱燗をボロボロのヤカンに入れて出す。

○お客さんごとにご飯の「マイふりかけ」をキープ。

○あまりに忙しい時は客に「迷惑をかけたから」と1000円返す。

○休む日に「国際会議出席のため休む」などと張り紙。休む理由が話題に。

○大根おろしを出す時におろし器を2種類用意して、どちらのおろし方がいいか尋ねる。

○裏メニューを作っておいて、お客さんに勧める。

○お客さんが残した食材を再調理して、サービスで出す。

○残った料理は、最後のお客さんにサービスで出す。

以上は、ネットの記事から抜き出したものです。宇野社長が実際にやったもの、やったらいいと思ったもの、他社がやっているのをみて感心したものなどが混在していますので、ご注意ください。

■宇野社長の問題意識は明白です。

小さな居酒屋が大手チェーンと同じことをしていたら勝てない。金をかけれないのだから、工夫しないとだめだ。

自分は小さな居酒屋のオヤジだという自己認識がブレていないので、その発言には、説得力と安心感があります。

そして常に現場で経験した者としての目線から発言するので、臨場感があり、納得させられます。

誰もが、こういう現場感覚を持ちたいと思うのではないでしょうかね。

■経営には、こうした現場感覚と、それをとりまとめるマネージメント感覚、および大きな方向性を決める感覚が必要です。

(要するに、実践、管理、戦略です)

超優秀な現場担当者であった宇野社長が、どのようにして約20店舗のマネジメントをするに至ったのか。

宇野社長は「プレーヤー」と「ディレクター」という言葉でそのあたりを説明しています。

参考:「惚れた」を伝える大人気居酒屋のつくり方
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16nv/070100005/070100002/

ちなみにプレーヤーとは、店での現場担当者。ディレクターとは店全体に目配りする者。

「例えば、ある料理が売れないとしたら、プレーヤーはそれについて悩む。だけど、そんな時はオレの中のディレクターに「売り方を教えてくださいよ」って、問いかける。すると、ちょっとの間、オレの中のプレーヤーは休むことができる。「お前の指示がおかしかったら、売れないんじゃないの?」なんてディレクターに文句を言う時だってある。今はもう実際に店に立つことはないけれど、こうやって2つの立場を切り替えながら考えていると、ストレスは溜まらない。」

プレーヤーとディレクター、二人一役をやっているという話です。自己マネジメントとしてもうまいやり方ですね。

ここで注目すべきは、プレーヤーはお客さんと関係性を作る役割、店の売上責任はディレクターにある、と考えていることです。

まさに営業とマネージャーの役割です。ビジネスはつながっていますねー

■私は「戦略がなければ生き残れない」を信条とし、戦略方向性の重要性を常に伝える仕事をしています。

しかし、実際のところ、戦略だけがあっても、現場の工夫や粘り、それをまとめるマネージャーが機能していなければ、戦略など画に描いた餅になってしまいます。

(逆に戦略がなくて現場だけが強い場合、短期的にはうまくいったりしますが、長期や拡大しようとしたときは破綻してしまいます)

だから3つすべてが必要なのですね。

宇野社長は、明らかに現場力の強い方です。記事には書かれていませんが、マネジメント力もあるのでしょう。

戦略もブレていません。約20店舗のオーナーとなった今でも、自分は小さな居酒屋だというポジションを変えようとせず、弱者の戦略を貫いています。

戦略については固定的すぎる(柔軟性がない)という懸念がありますが、それも生きる道です。戦略を転換せずに済む位置に自らを留めておくというやり方だということですから。

■それにしても宇野社長をみていると、現場で工夫することが楽しくてしかたがないという印象がありますね。

今でも店に出ているということですから、よほど好きなんですよ。

こういう人のことを「天職」に就いた人というのでしょうか。

念のため言っておきますが、天職とは、巡り合うようなものではありません。自分が好きで工夫しているうちに、その仕事が天職になっていくものです。

だとすれば、宇野社長の生き方からは、自分が携わる仕事を天職にするヒントも学べそうですね。

 



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日本のチープ時計が意外に売れているらしい



■3000円以下の腕時計が若者を中心に売れているとか。「チープカシオ」とか「チープセイコー」とか言われているらしい。

値段のわりにしっかりした性能を持っている。そのアンバランスさがいいのだとか。

ただし

腕時計の国内市場は昨年、売上金額ベースで約9002億円と推定されるが、スイス製の機械式腕時計が約7割を占める。理由は、スイス製の商品単価が高価なためで、初心者向けのエントリーモデルでも軽く20万円台。数十万、100万、200万円台がざらにあり、複雑で特殊な機構になれば数千万円も当たり前の世界だ。

そのため、いくらチープシリーズが人気でも、業績にはほとんど関係ないとか。

■ちなみにシチズンHD、セイコーHDともに売上高は3000億円程度。その約半分が時計事業です。

両社とも、GPSをつけた高機能時計や、海外時計メーカーの買収などで巻き返しを図るが、なかなか追いつかない状況です。

■記事は、

それでも「ブランド力」という意味で、メーカーにとっては安い腕時計も重要な商品のようだ。「(チープカシオが)カシオというブランドを世界に発信し、腕時計という商品をなじみ深いものにしている」(カシオ広報)。「ベルト交換など、自分なりのカスタマイズをして楽しんでもらっているようだ。(チープシチズンを)時計という楽しみを知るきっかけにしてほしい」(シチズン広報)。

とまとめています。時計のすそ野を広げる商品と位置付けているということですかね。

■確かにいまや時計は必需品ではありません。スマホがあれば時間確認は足ります。ファッションやステイタスとしての時計に特化したのがスイス製メーカー群でした。

スイス製メーカーは、低価格帯、中価格帯、高価格帯をピラミッドのように組み上げており、高級品のステイタス感を出すことに成功しました。

日本メーカーも遅れて取り組んでいますが、ステイタスにまではなっていません。そこにきて、チープシリーズのヒットは、ピラミッドの底辺を作るいい機会となるかもしれません。

日本発の高級腕時計、スイス勢へ逆襲の時 

同時に、やはり今まで機能性を追求してきた日本メーカーです。機能性商品としての時計をさらに追及して、反攻していただきたいと思います。

■ただ単価2、3千円というと、それなりの事業になりそうなもんですけどね。

魔法瓶を必死になって売っていた身からすると、そこをスルーするのはもったいない限りです。

このムーブメントを活かして新しい事業展開につなげられないものでしょうか。



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シダックスが苦境に カラオケ業界の異変



■現代ビジネスの記事です。カラオケ売上高2位のシダックスが苦境にあるとのこと。

店舗数でいえば4位です。つまり店舗あたりの売上が高いのがシダックスです。

カラオケといえば、まねきねこの記事を以前あげましたね。

成熟市場のチャレンジャー企業 コシダカホールディングス

今回の記事では、トップの第一興商、2位のコシダカホールディングスとも若干伸びているとのことですが、それはここ数年のことで長い目でみれば2割以上需要減です。

■シダックスは、出自が給食事業なので、食事の提供ありきのカラオケ事業です。カラオケ+宴会という需要が大きかった頃はよかったのですが、いまは飲食にお金を使わない人が増えており、あまり高い店にはいきたくありません。

そこで伸びているのが「まねきねこ」のような単価の低い店です。こちらは食事持込み自由の店舗が中心です。なんとも大胆な。まさに部屋を貸すだけのビジネスで、売上>経費を実現しています。

シダックスは、こうした革新的なサービスを提供するライバルについていけなかった格好です。

■ちなみにシダックスのカラオケ事業は2割程度。稼ぎ頭は給食事業で好調のようです。

カラオケの苦境があってここ数年は赤字決算でしたが、今期は黒字になる予定です。

カラオケ部門を持分会社化して売上は目減りしていますが、とりえずは持ち直しています。これから反攻していくのでしょう。

カラオケに関しては強みを活かして高級路線を貫くという手もありますが、日本2位の規模を維持するためには市場の傾向を無視するわけにはいきません。おそらく低価格指向の顧客にアピールする施策をとっていくのでしょう。

注視しておりますので。



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「弱い敵としか戦わない」を貫いた豊臣秀吉



■織田信長、豊臣秀吉、徳川家康。戦国時代最強の武将3人の中で、誰が最も優れているのかというと、私は豊臣秀吉を推します。

織田信長は天才肌です。明確なビジョンとマネジメント、危機を克服する様々なアイデアがありました。彼がいなければ天下統一がもっと遅かったかもしれません。

しかし記事にあるように

「信長という人は勇将であったが、良将ではなかった。彼は剛が柔に克つことを知っていても、柔が剛を制することを知らなかった」

これは秀吉自身の言葉だそうです。

■家康は、どちらかというと、ローカルリーダーが生き残るための方針を貫いた人です。

少し前にブログを書きました。

「生き残ることこそが目的」という家康の戦略

■秀吉には、信長のようなビジョン構築力はなかったかもしれない。しかし、マネジメント力は、はるかに優れています。

信長の草履とりだった時代、草履を懐で温めていたという真偽不明の逸話がありますが、そういう気遣いができる人だったらしい。

家康を取り込む際も、会見の前日サプライズで会いに行き、頭を下げて心をつかんでいます。

要するに、人が予想もしていないような心遣いで、相手を籠絡してしまうわけです。

人の才能を見抜いて適所に配することはもちろん、その部下を不要に追い込まず、むしろ手柄を立てさせるように仕向けています。

記事にある罪に問われてもおかしくないような部下を褒めたという逸話もその類ですね。

■戦争においては、やはり相手が予測しないような動きをして混乱させることを得意としています。

山崎の合戦しかり、賤ヶ岳の戦いしかりです。

しかし秀吉の真骨頂は、戦いにおける姿勢を変えなかったこと。すなわち「弱い敵としか戦わない」という信念を生涯に渡って貫いたことです。

この場合の弱い敵とは、兵力数に圧倒的に劣る敵のこと。最初から勝つか負けるかわからない戦いはしなかったのです。

これははっきりいって、無敵の戦略です。秀吉が生涯負けなし、部下を死なすことも少なかったのは、これが理由です。

■「弱い敵としか戦わない」

これは、現代の企業経営者にも非常に参考になる姿勢ではないでしょうか。



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デコボコの組織を一体にすることが、現場リーダーの醍醐味です



■営業の現場たたき上げのリーダーによる組織論です。

すごくよくわかります。現場で優秀な営業マンが部下を持った時、まず最初に戸惑うのが「こんなことも出来ないやつがいるのか?」という驚きと呆れです。

自分が他人よりよく出来たからリーダーになれたことをすっかり忘れているわけですな。

そこで「おれの部下はバカばっかりだ」と諦めてしまえば、そのリーダーは組織のガンみたいなものになってしまいます。

優秀だったはずなのに、誠に残念であります。

■この記事の著者は、リーダーとしても悩みながら力を発揮した方のようです。48か月連続目標達成だから大したものです。

自分ならできることを、自分でやってはいけないのが、リーダーです。

ということは、リーダーの仕事とは、営業センスでも戦略理論でも知識でもなく、人をいかに扱うか。であるということですね。

■僭越ながら、私もコンサルタントをやっているので、これには共感します。

実は、戦略を作るのはそれほど難しいことではありません。

難しいのは、戦略方向性に則して人に動いてもらうことです。

しかも、この記事にあるように、「自主的に」動かなければ、現場の不確定要素を乗り越えることはできません。

■著者は、そのために必要なこととして、まず「目標を共有」することだと言います。

そのうえで、「危機感」「存在感」「達成感」「満足感」をチームメンバーに与え、定着させること。が、リーダーの仕事であると言っています。

「危機感」「存在感」「達成感」「満足感」とは、著者独自の整理なんですね。それぞれ何を意味するかは、本文を読んでください。

■私の場合、目標=「戦略方向性」をまず決めて、それを達成するための決まりごと=「仕組み」を作ります。

その上で、記事にあるような「組織の一体化」を図ります。

著者は

決して優等生ではなく、ひとクセもふたクセもあるようなメンバーばかりでしたが、そんな個性的な集団だったからこそ、団結したときに爆発的な力を発揮してくれて、目標を達成できたのです。

と言っていますが、ものすごくよくわかります。実際、そういう組織ばかりですから(^^)

そんな難しい組織が一体になった時に大きなパワーを発揮する。

それを経験することが、現場の醍醐味です。ぜひ皆さん、組織運営の楽しさを満喫してくださいね。



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天下分け目といわれた関ヶ原の戦いはなぜ半日で決着がついたのか?

(2016年9月22日メルマガより)



■NHKの大河ドラマ「真田丸」はご覧になっていますか?

私は、第1回目から欠かさず観ております^^

ここ数年、大河ドラマには食指が動かなかったのですが、今回は1回目の放送からのめり込んでしまいました。

とにかく面白い!

近年のドラマの中でも出色のものではないでしょうか。

■ご存じのない方のために説明いたします。

「真田丸」とは、徳川・江戸幕府と豊臣家が戦った大坂冬の陣において、豊臣家側の武将・真田幸村(信繁)が大坂城外堀の外に築いた出城のことです。

真田幸村は、後世「日本一のつわもの」と呼ばれるようになる著名な武将ですが、大坂の陣当初は無名の一浪人でした。

むしろ、当時は、真田幸村の父・真田昌幸や兄・真田信之の方が知られていました。

幸村の父・真田昌幸は、信濃の小国の首領として、徳川、北条、上杉といった大国を翻弄しながら生き抜いた智将です。実際の戦いにおいても、徳川の大軍を二度にわたって撃退するなどの戦巧者でした。

また兄・真田信之は、関ケ原の戦いにおいて、昌幸・幸村と袂を分かって徳川方につき、真田家の家督を守り抜いた実力者です。

大河ドラマのタイトル「真田丸」は、大坂冬の陣における出城を示すと同時に、真田昌幸、信之、幸村ら真田一族の結束を一艘の船にたとえたものです。彼らが、戦国終盤の時代、いかにして生きたのかを描きます。

■戦国時代というのは、ドラマの宝庫です。豊臣秀吉や徳川家康といった天下人を向こうにまわして知恵と勇気で生きていく一家の話が面白くないはずがない。

そう思って観始めた大河ドラマでしたが、期待以上のものでした。

NHKの大河らしく配役が豪華で芸達者です。これまでの歴史ドラマではあまり目立たない人物なども、俳優がそれぞれの見せ場を作ってくれています。

たとえば、西村雅彦が演じた室賀正武なる武将。こちらは、真田昌幸と同じ信濃の豪族ですが、昌幸を殺そうとして返り討ちに合う人物です。その逸話は劇的であるものの、それ以外は目立たない人物のはず。

が、「真田丸」において、室賀正武は「黙れ、小童!」の決め台詞とともに大いに活躍し、人気を博しました。

なにしろ脚本が三谷幸喜。大河らしからぬ軽妙さや大胆な展開が一筋縄ではいきません。

特に前々回(9月11日放送)の関ケ原の描き方には驚きました。

■関ケ原の戦いというと、戦国時代終盤のハイライトともいうべき出来事です。

豊臣政権の存続を願う石田三成側と、政権簒奪を狙う徳川家康側、日本中の武将がどちらかの陣営に分かれて戦いました。この出来事だけで物語が一つできるほどの大事件です。

しかし、今大河ドラマにおいては「西軍が負けました」という台詞一つで終わらせてしまったのです。

なんたる肩透かし!

関ケ原の戦いは、真田一族は参加してないから描かないということなんでしょうかね。いや、関ケ原にまで行きつく石田と大谷のドラマはかなり丁寧に描かれていましたから、そういうわけでもないような。

おかげで大人気だった石田三成(山本耕司)も、大谷吉継(片岡愛之助)も最後の見せ場なく消えていきました。

たぶん三谷幸喜という人は、飽きっぽくて興味のなくなったことには冷淡なんですよ。ひどい別れ方をする人なんでしょうね。いや、そんなことはどうでもいい...

■ということで代わりに私が関ケ原についてお話しいたします。

関ケ原とは、岐阜県不破郡にある山間の谷です。古来、多くの街道が通る要衝の地でした。

豊臣秀吉亡き後、天下人らしい振る舞いをする徳川家康に、危機感を抱いた石田三成が挙兵したのは西暦1600年7月のことでした。

その時、家康は、上杉征伐準備のため江戸にいたのですが、三成側が伏見城を攻めたとの報を聞き、大坂へ向かいます。

この時、家康のもとには、上杉征伐のため多くの大名が従っていました。なんと間の悪い。その状況で、家康のもとを離れて、石田の味方をするわけもいかず、そのまま多くが家康側につきます。その中には、豊臣恩顧の大名も多く含まれていました。(もっとも彼らは石田三成と険悪な関係にあったと言われています)

大坂へ向かおうとする東軍(徳川側)と、迎え撃つ西軍(石田側)が関ケ原で対峙したのが、9月15日。

両軍合わせて17万を超す大軍勢が狭い谷間にひしめくことになりました。

兵数は東軍の方が若干優勢ですが、迎え撃つ西軍は、戦う上で優位な土地に陣を敷いていました。陣の形だけを見れば、西軍が圧倒的優位です。

ところが、そんな状況にも関わらず、東軍はわずか半日で圧勝してしまいます。

なぜか。西軍に多くの裏切りがあったからです。

■寝返り行為によって最後の引き金を引いたのは、豊臣秀吉の親族である小早川秀秋でした。地の利を得て、優勢に戦いを進める西軍の脇腹に、寝返った小早川軍が雪崩れ込みました。

寝返りを予測していた大谷吉継はこれを一度は食い止めるも、それに呼応した西軍の諸将複数が寝返ったために、西軍は総崩れとなりました。

なんともあっけないことです。

もともと小早川秀秋は、晩年の秀吉に不満があったとされています。老いてから嫡男秀頼を得た秀吉は、その行く末を心配するあまり、憂いになりそうな人物を排していきました。甥の豊臣秀次は切腹させられました。秀秋自身も小早川家に養子に出された上、よくわからない理由で減封されたりしています。ちなみに秀吉の死後、家康たちのとりなしにより、領地は回復させられました。

だから実質的には、小早川秀秋は、豊臣家よりも徳川家康に恩義を感じていたとも言われています。

■しかし、裏切ったのは小早川秀秋だけではありません。西軍最大の誤算は、西軍の総大将毛利家の有力家臣吉川広家が東軍に内応していたことです。吉川軍が動かなかったので、その背後に陣を敷いていた毛利秀元、安国寺恵瓊、長宗我部盛親、長束正家らは、戦いに参加することができませんでした。

またはるばる鹿児島から駆け付けた島津義弘も、三成の使者が無礼だとか言ってへそを曲げ、その日は戦いを傍観するのみ。負けが決まってから、逃げるために戦うという有様でした。

西軍で実際の戦いに参加したのは、3分の1程度です。あとは、傍観するか、動けずに手をこまねいているか。これでは、勝てません。

果たして、石田三成、大谷吉継、宇喜多秀家、小西行長らの軍は壊滅。その他西軍の諸将は敗走していきました。

■毛利家所領安堵の約束をとりつけていた吉川広家でしたが、戦後、家康から難癖をつけられ大幅に減封させられてしまいます。毛利家の人たちは勝てた戦だったのにと地団太を踏んだが、あとの祭りです。

逃げ帰った薩摩の島津家は、家康に謝罪し、粘りに粘った交渉の末、本領安堵で決着します。

そして300年後、この時の恨みを忘れなかった毛利家(長州)と島津家(薩摩)が、徳川幕府を倒す勢力の中心になるのですが、それは別の話ですね。

■このように関ヶ原の戦いがたった一日で決着がついたのは、事前の情報戦、調略戦の結果だったといえます。

ここで裏切った小早川秀秋が悪いとか、吉川広家は卑怯だとか言うのはナンセンスです。

戦国時代の諸将にとって、最も重要なことは、家を存続させることです。

会社に置き換えてみてください。自分だけの命ではありません。何十、何百の従業員とその家族の命運が掛かっています。卑怯だとか、主義に反するとか言って会社をつぶしていたら、元も子もありません。

では、生き残るためには何を考えなければならないのか?

最も確実な手は「勝ち馬に乗る」ことです。

この場合、権威のある豊臣家に乗るか、あるいは実質的な実力者である徳川家に乗るか。

シリアスな決断を迫られます。

■その際、家族が別々の馬に乗る。という決断をしたのが、真田家でした。すなわち、父・真田昌幸、次男・信繁(幸村)親子は豊臣方に。長男・信之は徳川方につき、家の存続を図りました。

突拍子もないやり方に思えるかもしれませんが、これはまだはっきりしていてわかりやすい。

その他の諸将は、どちらかについていながら実質的には様子見です。

典型的なのが小早川秀秋です。寝返りの内応をしながらもぎりぎりまで迷っていました。秀秋が寝返る決断をしたのは、やはり東軍の勝ちは動かないと判断したからで、最後のダメ押しをしたことになります。

その秀秋の寝返りをみて、西軍の脇坂安治、小川祐忠、赤座直保、朽木元綱らが次々と寝返りました。彼らも慌てて勝ち馬に乗ったわけですな。

このようにどちらが勝つか知れない状況において、勝機がどう転んでもいいように準備をしておくというのは、家を存続するという大義の前では極めて合理的な行動です。

表には出てきませんが、実際には多くの武将が、裏では内通し保険をかけていたのではないかと想像します。

■そういえば、かつては徳川家康も、武田家と織田家に挟まれていた時代、両方に通じていた過去がありました。

織田信長は、武田家が強大であった頃は家康の力が必要だったので見て見ぬふりをしていたようですが、信玄が死んで武田家が弱ってくると、突如家康に難癖をつけてきました。武田家との窓口となっていた家康の正室と長男を処分せよというのです。

結局、覇者の命令には従わざるを得なかったのですが、家康にとって生涯忘れられない痛恨事となりました。

参考:織田信長はなぜ徳川家康に正室と嫡男の処分を命じたのか
http://www.createvalue.biz/column2/post-150.html

思うに、戦国時代中期は、一人立ちできる何人かの大大名と、そうではない小さな大名や豪族などが各地に存在していました。

一人立ちできる大名は、自ら「勝ち馬」になることを目指して動き、仕掛けていきます。その代表が、織田信長であり、豊臣秀吉です。勝てばいいのですが負ければ逃げ場はありません。すべてを失うリスクを背負っています。

それに対して、一人立ちできない諸将は「勝ち馬」を見極めて、それに乗らないと生きていけません。勝ち馬が負けてしまったら共倒れですし、勝ち馬の勘気をこうむってもつぶされてしまいます。これはこれでつらい立場です。

徳川家は、長い間、一人立ちできない小さな大名でした。だから大大名の動きや趨勢といったちょっとした風向きを常に気にしていなければ生きていけなかったのです。

そういう機微が、豊臣政権の元で超優秀な官僚であった石田三成にはなかったのかも知れません。そのあたりに西軍が敗れた理由がありそうです。

■そういえば、ネットでこんな記事がありました。

参考:「稀に見るケチ」徳川家康が天下を取れたワケ(東洋経済オンライン)
http://toyokeizai.net/articles/-/134333

えらい言われようですな。「稀に見るケチ」ですよ^^;

確かに家康は、経済オンチだと言われています。信長、秀吉のように経済振興をして税収を上げるという施策はできていません。だから領地をなるべく独り占めして農業からの上がりをかき集めようとしたのでしょう。結果として、徳川家は広大な領地を持つことになりました。

しかしこの記事の前半は、家康の「火事場泥棒戦略」をケチだと断罪しています。これはちょっと違うような気がします。

なるべく大国の影に隠れて生き残りを狙う家康の家督運営は、小大名としてはしごく真っ当です。武田家がほろんだ時、織田信長が倒れた時、どさくさに紛れて領地を奪ったのも、ローリスク・ハイリターンのきわめて優れたやり方です。

家康のやり方は、常にローリスク。リターンよりも、まずリスクを嫌う安全運転です。

織田信長から妻と長男を処分せよ。と言われた時も、一時の憤りやプライドに惑わされることなく、その命に従いました。

ある意味、これほど頼りになる君主はいません。自分の家族の命よりも「家」の存続を優先したわけですから。

「生き残る」という目的を、忠実に求めた末に、天下人の地位を拾うという結果を得たのです。稀に見る辛抱強さと稀に見る幸運を併せ持つ奇跡のような武将です

私は大阪人ですから、本音をいえば石田三成や真田幸村に勝ってほしかったと思うのですが、こと経営者としてみる限り、やはり家康は一つの理想像であると感じます。

■そんな生き方を貫いてきた家康ですから年季が違います。関ヶ原の戦いが始まる頃には、絶対勝てるという感触をつかんでいたことでしょう。

これほどの戦いが半日で終わってしまうというのは多くの武将にとって想定外だったようです。

信濃の真田昌幸は、戦では勝ったにも関わらず、高野山に蟄居させられます。

密かに天下を狙っていたといわれる黒田如水や、伊達正宗も、拍子抜けです。長引く混乱に乗じて天下に打って出ようとしていたわけですから。

ともかく、関ヶ原の戦いの三年後には、徳川家康は江戸を拠点に幕府を開きます。関ヶ原の戦いの際には「石田三成と戦うのであって、豊臣家と戦うのではない」と強弁していた家康がわずか三年で豊臣家から政権を簒奪したのですから、やはり勝った者が正義という世界です。

そして家康は最後の仕事として、豊臣家を滅ぼすためになりふり構わなくなっていきます。

それが大坂の陣であり、これからの「真田丸」のハイライトです。

それは、また別の機会にお話ししたいと思います。

 



「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語


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欧米企業はドライなのか?



■面白い記事でした。最近、海外からのライセンスを解消されたブランドの諸事情について書かれています。参考になります。

(1)イソジン:うがい薬。明治のロングセラーです。明治が長らく販売してきましたが、塩野義製薬にライセンスを移管することに。こちらは、権利を持つヨーロッパのムンディファーマ社が、日本で医薬用麻酔薬を本格販売することになり、そのパートナーに塩野義製薬を選んだため。一括契約となったのでしょう。

(2)バーバリー:三陽商会の看板ブランドでしたが、リーズナブル路線を嫌った英国バーバリー社が、ライセンスを取り消した事例です。バーバリーとしては世界戦略を進める上で安売りされるのは邪魔だったということです。

(3)リッツ:ヤマザキが販売していたビスケットですが、十分知名度もついたということで、モンデリーズからライセンス解消されてしまいました。自分で売った方が利益があるという欧米らしいドライな判断です。

■それぞれが合理的な判断によりライセンス解消されたわけです。

解消された側としては、スタートアップに散々苦労してきたという自負はあるでしょうが、ライセンス契約とはそういうものです。リスクがあるということを織り込んでいたでしょう。

こうしてみると、「販売」というのは、カネも手間もかかるわりに、権利としては弱いものです。販売側は、知名度のある製品を利用してチャネル開拓したのですから、そこは死守しなければならない。できれば前の製品は追い出して、そのチャネルに違う商品を入れていくことです。実効支配ですよ。

それぞれが自社の強みをテコに生きていきましょう。

■欧米企業は血も涙もないなーと感じる向きがあるかもしれませんが、私が知る限り、日本の中小企業はもっともっとドライですよ。

むしろ欧米企業は契約を守ろうとするだけ公平です。

この世界、したたかでないと生きていけませんよね。



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日本にもあった地方航空会社という存在 フジドリームエアラインズ




【送料無料(一部離島除く)・ポイント3倍!】1/100 組み立てキット フジドリームエアラインズ エンブラエル175 プラモデル 92197

■地方の航空会社の事例です。大手でもないLCCでもない中小の航空会社が、こうして生き残っていくことは誠に喜ばしいことです。

この会社、フジドリームエアラインズ(FDA)は、富士静岡空港を拠点としています。当初は、静岡−小松、静岡−熊本、静岡−鹿児島の3路線のみからスタートしました。

今では、16路線に拡大しているとか。立派に運営されています。

■この会社が面白いのは、大手航空会社の資本が全く入っていないこと。ピーチにしろ、エアドゥにしろ、スターフライヤーにしろ、ANAの資本が入っています。

機体整備や販売システム利用など様々な場面で大手の手助けがあれば心強いはず。こちらのように、地元企業の資本だけで成り立っているというのは驚きです。

■なぜこのような小さな航空会社が成り立つのか。

小さな会社ですから、大手と競合しては一たまりもありません。

だから、東京や大阪など、需要の大きなところへは路線を作らず、大手が撤退した地方と地方をつなぐ路線に特化しています。

地方と地方なら需要が小さいので、大手は相手にしません。ブルーオーシャンです。

しかしそんな小さな需要で成り立つのか、と思いますが、それを成り立たせるように、地道に需要を喚起し、コストを抑えた運営をしているわけです。

簡単に言ってしまえば、販売額>コストが成り立つような経営の仕組みを作ったということです。

■記事では4つの独自戦略としてまとめています。

(1)独自の訓練体制を持つ

(2)独自の販売システムを持つ

以上は、コストを下げるための工夫ですね。

(3)地方自治体と連携し需要喚起する

(4)チャーター機需要を取り込む

以上は、コスト以上の販売需要を得るための活動です。

■そういえば、天草エアラインという地方空港も独自の工夫で、ローコスト経営を実現していました。

あちらも、フェイスブックで宣伝したり、社内ではCAとの記念撮影に応じたり、そんな型破りが話題になっていましたが、本質は従業員が一体になって、経営を維持する体制を作ったことです。

やればできる。工夫次第なんですね。ANAやJALのやり方を当たり前だと思わなければ、きっとアイデアは出るんですよ。

そのためには少々ラフで型破りな方がいいんでしょう。

■FDAは、「観光バス2台分」を売りに、チャーター機需要を取り込もうとしています。

同社が持っている飛行機は、84席の小型機です。その小ささを前面に押し出した販売施策です。

確かに地方企業や自治体と連携すれば、貸し切り需要は取り込めるのでしょう。今年は、1500便のチャーターを目標としているというのですから大したものです。

■海外には、地方空港をつなぐローカル航空会社がけっこうあると聞きますが、日本でもようやく出来てきたという事例です。

FDAにはこのまま維持していただきたい。

さらに他地域でも、このような航空会社ができてくれば、面白いのですがね。



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尖がった才能をどう活かし、受け入れるか




空気を読んではいけない【電子書籍】[ 青木真也 ]

■「バカサバイバー」と異名をとる青木真也の記事です。

とんがってますなー。

格闘家というのはこうでなくちゃいけない。

山本KID徳郁が大人しくなってしまった今、貴重な存在です。

が、この方は、頭がいいだけに、意識して自分を追い込んでいます。

■記事が示唆するものは多い。

一つは、衰退市場におけるプレイヤーの在り方です。

格闘技界は分かりやすく言えば、斜陽産業であり、ブラック企業だ。周りの空気を読んで、群れてばっかりいたら、言いように食い潰されてしまう。

成長市場であればまわりと同じことをしていたらとりあえず自分も成長基調に乗っかれますが、衰退市場であれば、皆で落ちるままです。

いや、衰退市場においては、一部のトッププレイヤーが利益を独占し、その他はカツカツの状態に追いやられます。それを言っているわけです。

だから、青木真也は、意識して他のプレイヤーとは違う技術を身につけ、違う市場を選びました。

まさに差別化戦略です。

■もう一つは、組織に相容れない才能ある個人の在り方です。

青木氏は、まわりの同調圧力と戦う術を語っています。

その一つが、「人と食事に行かない」こと。

食事に行ってしまえば、なれ合いになり、ちょっとした異論にも同調せざるを得なくなるから。

確かに、仲間と飲み会に出て、自分を保っているようでも、何がしかの同調を受け入れる場面はありますね。

その見えない同調を重ねて仲間になることに意味があると思うわけですが、彼は混ざってしまうことを断固拒否しています。

■ここにチームと個という課題があります。

たとえば、日本の柔道は、グローバルなJUDOからみれば異質かもしれない。

勝つことを目標にする他の国からすれば、美しく勝つことを目標にする日本の柔道は、特殊になるのでしょう。

しかし、日本の柔道家がそれを信条とすることで、日本柔道という個性となり、他国から一目置かれる存在でいるわけです。

もちろん青木真也や石井慧などの異質な柔道家を受け入れる素地はなければならない。

が、チームとしての純度を保つ圧力が高いこともあるでしょう。そうなれば、突出した才能を持つ青木や石井が飛び出さざるを得なかったのもうなづけます。

■青木氏とすれば、自分の能力を受け入れる日本の集団はないと考えて、それを拒否する努力を続けているわけですから、想像以上に大変なことでしょうし、立派だと思います。

が、本来組織は、異分子を受け入れることで進化発展していったのではないか。

組織にかかわる仕事をする私とすれば、青木氏のような異能者を受け入れる懐の深さを組織側は持つべきだと思いますし、そうなればさらに強い組織として発展するものだと考えます。

自らの戒めとして、覚えておきたいと思います。



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「世界の山ちゃん」は世界に届くのか

(2016年9月8日メルマガより)


■先月21日、「世界の山ちゃん」の創業者、
エスワイフードの山本重雄会長がお亡くなりになりました。

享年59歳。まだ若かったのに残念です。

ご冥福をお祈りいたします。

■「世界の山ちゃん」は、名古屋を中心に展開する居酒屋チェーンです。

1981年に1号店を開業したのを皮切りに、現在では75店舗を展開。

海外にも4店舗進出しています。

まさにこれからという時でした。

■「世界の山ちゃん」は大阪でも5店舗展開していますね。行ったことはありませんが。

私が行ったのは、名古屋出張の折でした。

「世界の山ちゃん」という手書き文字風の大きな看板に書かれた羽の生えたオッサンのイラスト。

そのオッサンが掲げる「幻の手羽先」ののぼり。

「世界の山ちゃん」「幻の手羽先」というネーミングも悪乗りにも思えますし、どうやら社長をモデルにしているらしいオッサンのイラストにみる自己顕示欲の強さにも呆れました。

それが名古屋の繁華街にはあちこちにあるわけですよ。

なんじゃこりゃーーと思いながらも、一度は入ってみないとあかんなと思わせる店の露出ぶりでした。

■入ってみると、中にはさらに羽の生えたオッサンのイラストがあちこちに描かれていて、カオス感が漂います。

看板メニューの「幻の手羽先」についてはうるさいぐらいに特徴とか食べ方とかイラストつきで書かれていておすすめ感は半端ないのですが、そのわりにメニュー構成はやたらバラエティに富んでいて、手羽先がなければ成立しないという店でもないらしい。

食べてみると、手羽先だけではなくすべてのメニューが美味しいのか美味しくないのか分からなくさせるような味の濃さです。

いったい何なのか。

これが名古屋テイストなのか。とも思いましたが、その他の名古屋のお店に入った感じからすると、必ずしもそうではないらしい。

あえていうとアジアですな。

アジアのカオスをそのまま店の中にも外にもあふれさせている。

私は、日本で一番アジアに近いのは大阪ミナミだと思っていましたが、それ以上のアジア感を持っているのです。

「世界の山ちゃん」とはよく言ったものですよ。

こんな店を作り上げた山本社長とはどういう人だったのでしょうか

参考:【追悼・世界の山ちゃん】すべては、パクリからはじまった「幻の手羽先」誕生秘話(現代ビジネス)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49510

「立派な変人たれ!」とは、山本社長が常日頃言っていたことだそうです。

「変を愛する」「変を誇りに思う」「変で世界を変える」そんな言葉が書かれた「変人パスポート」なるものを店員に配っていたとか。

リッツカールトンのクレドのパロディなのでしょうか。

期待を裏切らない人物像ですな。

■記事によると、山本社長は、学生時代に打ち込んだ柔道を活かす仕事として、自衛隊に入隊します。

そこを3年で辞めたのは「焼き鳥屋は儲かるらしい。1億円貯めて金利で生活しよう」と考えたからでした。

駅前に4坪の焼き鳥屋を開業した山本社長ですが、当初はボンカレーとか永谷園の茶漬けなどを平気でメニューにしていたらしい。

この頃からカオスぶりを発揮していたわけですな。

そもそも看板メニューの「幻の手羽先」からして、名古屋のチェーン店「風来坊」が開発したメニューのパクリです。

それまで使い道がなく捨てるだけだった手羽先を揚げ物にしてメニュー化したのは、風来坊が初めてだったそうです。

こりゃいいわ、と真似て、(秘伝のタレまでまねできないので)合わせコショウをふりかけただけでメニュー化し、「幻の手羽先」なんてネーミングでヒット商品にしたのが山本社長です。

しかも、真似たことを隠していません。

そのあっけらかんとした態度からか、風来坊の社長も「憎めない」と語っています。

■「世界の山ちゃん」という店そのもののネーミングも、酔った社員の冗談がヒントになったということです。

柔軟というべきか。何でもありというべきか。節操がないというべきか。

ただ、こういう人物、こういう店には、活気があります。

「金儲けしたい」と公言し、ダジャレや他店をパクったメニューを平然と掲げる山本社長には、言い知れぬエネルギーを感じます。

しかし、それが嫌味にならないのは、山本社長があまりにも、自らの欲に素直でまっすぐで、建前やプライドなどで隠そうとしていないからではないでしょうか

こだわりのなさをカオス感という個性にまとめた「世界の山ちゃん」という店舗が、人を集める魅力にあふれているのは、山本社長の個性をそのまま反映しているのではないかと感じる次第です。

■金儲けのことばかりいう山本社長ですから、社員に愛想を尽かされて苦境に陥ります。

さすがに困った山本社長は、経営の勉強会などに参加するようになります。

そこで、ある経営者の「会社は社員を守るためにある」という教えに触れて心を打たれます。

すっかり改心した山本社長に、社員もついてくるようになり、業績は向上、今に至ります。

そんな「私の履歴書」に出てくるようなストーリー展開も、大物経営者の条件を満たしていると感じます。

■だからこそ、59歳の若さで亡くなったことが残念です。

国内75店舗。国外4店舗。

これから本当の「世界の山ちゃん」になろうとしていたところだったのでしょうね。

75店舗といえば、創業社長が一人で取り仕切ることができるぎりぎりの大きさではないか。

おそらく社内のマネジメント体制も、ワンマン社長ありきの構成になっているのではないでしょうか。

こういう時、会社を継承する、長く続く組織を作ることの難しさを感じます。

■今後、「世界の山ちゃん」はどうなっていくのでしょうか。

集団体制に移行するにしても、新店の準備、人材育成、メニュー開発など、社長の専用事項をどう取り仕切っていくのか。

難しいところですね。

おそらく1年は、社内の体制を固めるために守りに徹するでしょうが、その後、どう展開していくかは、新経営陣にかかっています。

店が経営者の個性そのもの。と思えるような店だけに、その特徴を維持・発展させるのは困難極まりない。

ただ「世界の山ちゃん」というコンテンツは、世界のどこにもない独自のものだけに、これをここでとん挫させるのももったいないことです。

自ら運営するにしろ、どこかの傘下に入るにしろ、新経営陣の判断と手腕次第です。

せっかくの個性的な店を魅力あるままに育てていってほしいものです。

とりあえずは、大阪に5店舗あるらしいので、私も一度、行ってみようかな。

そこで、世界への途上に倒れた快経営者に思いを馳せたいとおもいます。

 



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「孫子」のブームは続ているのか?


ゲイツ氏・孫正義氏も傾倒「孫子」が今ブームの理由

■孫子がブームなんですか?っと思ったのですが、ここ数年のことを言っているようです。いまは、少し沈静化したのではないですかね。

2、3年前は確かにブームだったように思います。

その時は、私も、「孫子セミナー」を全国で担当させていただきました。

過去の「孫子セミナー」の一つです。

■「孫子」は2500年前に書かれた中国の兵法書です。

文字数は多くはありませんが、簡潔な中にも、しっかりと体系が構築されている非常に優れた書物です。

記述内容は抽象的ですが、それだけに、様々な事柄に応用することができます。

現代でも、経営者や政治家などが、孫子を手に取る所以です。

■私の考える「孫子」の特徴は、以下の3つ。

1.非戦的姿勢

2.合理主義

3.情報の重視

詳しくは、こちらをご覧ください→「孫子の兵法」を学ぶ

■何よりも「生き残る」ことこそを目的とする孫子の思想は、私がコンサルティングをする上での大きな指針となりました。

勝つことが目的となってはダメ。

引き分けでも、たとえ負けても、生き残ることができれば、それでよし。

勝つことで疲弊して寿命を縮めていれば、本末転倒です。

■孫子はブームで終わらすには惜しい。

血肉になるまで読み込んで、実践に活かすべきだと思います。

そんな私も、もう一度、孫子を深く読み込んでみたいと思います。



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テッセイの事例は見事だが…ハーバード大は大丈夫か?


新幹線清掃「ハーバード経営大学院」の必修教材に

■新幹線を清掃する会社JR東日本テクノハートTESSEI(テッセイ)の事例が、ハーバード経営大学院の必須教材になったということです。

以前も話題になり、ブログに書きました(3K職場を生き生きとした職場にする方法)が、これでまた話題となっています。

テッセイの方にも励みになることでしょう。

■折り返しの新幹線の清掃という仕事は、やって当たり前、ミスをすれば叱責される仕事です。

しかも、7分間という時間制限があるので、けっこうキツイはず。

従業員のモチベーションが上がりにくい仕事だと思うのですが、この会社は、見事にやる気のある組織を作り上げています。

簡単に言ってしまえば、テッセイは、人の意識を変えることを徹底しました。

清掃は裏方のキツイ仕事だという認識を、新幹線という最高の空間を作り上げる誇りある仕事であると。

そのために、仕事現場を「新幹線劇場」と呼んだり、社員の制服をテーマパークのクルーのようにしたり。

その他、自主性をもって取り組むことができるストーリーとそれを補完する仕掛けを多く作ったようです。

見事な事例です。が、それがハーバード大学の必須教材になるほどのことだろうか?と思わなくもない。

というと、ひねくれていますかね。

■ただ、ハーバード大担当教官のこの発言を聞くと、頷けます。

バーンスタイン氏は「入学してくる学生の中には単純に、リーダーシップとはコントロールすることであり、金銭的な動機付けでほとんどの組織の問題は解消できると考える者もいる。矢部さんはもっと進んだ手法を採用した。学生は多くのことを学ぶだろう」と期待している。

ハーバード大で学ぶ人たちが本当に「金銭的な動機付けでほとんどの組織の問題は解消できると考える」のでしょうか。

同大学には、新興国から来る人が多いので、自国の事情に照らし合わせているということですかね。

日本をはじめ、先進国では、人が金銭的動機だけで動かないということは当たり前だと思っているはずです。

だけど…確かに、西欧にはポジショニングに偏った経営の仕方(要するに、戦略方向性が正しければ、あとはやるやらないの問題。強制的にやらせりゃええやんという経営手法)が多いような気がする。

それが「報酬さえ与えればいいや」という安易かつ傲慢な考えになっているとすれば、テッセイの事例は「進んだ手法」に映るでしょうね。

■西洋で使われる経営手法や戦略理論が、そのまま日本で使えるわけではない。という認識はあります。

が、実際には、結構、西洋のやり方が間違っていたり劣っていたりするだけかもしれませんよ。

場合によっては、日本のやり方の方が優れていて、世界に通用するんじゃないだろうか。

と思う事例でした。



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ニッチな分野における薄利多売ビジネス


「晴れの日に傘を売る男」野望は人類を傘から解放すること

■年間2010万本の傘を販売するシューズセレクション社の社長のお話しです。

「ウォーターフロント」というブランド名のやたらカラフルな色展開の傘を700円で販売しています。

発売当初は500円。社長によると「品質は2000円以上の傘と同じ」だということです。


ウォーターフロント 【折りたたみ傘】レディース折傘 ポケフラットAカラー(カラー手元) GKA-3F50-UH 50cm【色指定不可】

■品質のいいものを安く売るというのは、ユニクロのビジネスと同じです。はまれば大きく売れます。

ただ実際、この傘を使ったことがありますが、正直なところ「そんなに品質のいい傘だっけ?」

コンパクトにまとまっているので鞄に入れる分には重宝しますが、作りがしっかりしていたという印象はあまりありません(><)

どちらかというと「折り畳み傘なのに使い捨てできる傘」という感想を持ちました。

すみません。でも正直なところです。

■つまり、私としては、同社の傘ビジネスは、安いものを大量に売る典型だと思います。

一般的な折り畳み傘が2000円だとすれば、それを700円で売ればそこそこ売れるはずだ、というビジネスです。

それをニッチ市場(傘市場)でやったところに妙があります。

大きく儲けることはできないビジネスですが、強力なライバル企業からの攻勢もなく、そこそこの収益を上げることができます。

■ただ傘業界で新参者だった同社は、流通ルートの確保に苦労したようです。

そこで、コンビニ、ドラッグストア、本屋など、通常の傘販売をやっていないところに活路をみいだします。

多彩な色ぞろえも、本屋などの店頭で目立つための工夫なのでしょう。

営業戦略風にいえば、チャネルの差別化に取り組んで、成功した事例です。

■社長の林秀信さんの経歴が面白い。

鍼灸院経営で成功し、それに飽きると飲食店経営、次に靴屋。

いずれもそれなりの成功をおさめられたようです。

たぶん何をやっても成功する能力をお持ちなんでしょうね。素晴らしい。

その方が、今は傘づくりに賭けています。

■しかもアイデアマンです。

経営は社員に任せて、自らはひたすら新しい傘のアイデアを考えているらしい。

「スーパーポケミニ」「富山サンダー」「桜島ファイヤー」「扇風機傘」「バッグに優しい傘」「ステッキ傘」「種子島」…

ネーミングをみているだけで、分かりますね。この方、優秀な企画屋さんです。

自らは、ものづくりにこだわっているような発言をされていますが、斬新なコンセプト設定が、この人の本領なのではないでしょうか。

■だからマスコミの使い方もうまい^^

アイデア勝負、薄利多売のビジネスを、「良品薄利」「晴れの日に傘を売る」というストーリーに仕上げ、箔をつけています。

■こんな書き方をすると、けなしているような感じがあるかもしれませんが、そうではありません。

感心しております。非常に参考になります。



「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語


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サイコパスって経営者に向いているの?


「経営者には“サイコパス”が多い」不都合な真実

■サイコパスですか。サイコサスペンスとかサイコホラーでお馴染みの言葉ですが、とうとう一般用語になったらしい。

ちなみにサイコパスって何かというと
「攻撃的」「平然と嘘をつく」「道徳心が欠如」「他人に共感しない」「他人を操る」などの特徴を持つ人格を指す心理学用語。男性に多い(女性の2〜3倍)と言われる。
というわけで厄介な人です。

ある程度は生まれつきの特徴だそうで、こういう人とは関わり合いになりたくないですね。

■ただ、記事がいうのは、経営者に必要な資質には、サイコパスと被る部分があるとのこと。

ビジネスを例に取りましょう。財政上の洞察力、企業経営能力、あるいはMBAなどの「スキル」を持っていたとしても、それだけでは不十分です。「スキル」を実際に運用するための「人格」として、「必要なときにリスクを取る能力」や、「緊急時、重要な問題に集中する能力」「失敗のあと回復するメンタル面の強さ」が必要です。またときには従業員を解雇することも厭わないような「冷酷な性格」も必要です。これらの人格のうち、どれかが欠けていれば、CEOになれる可能性は低くなります。

つまり、経営者を目指す、あるいはなったために、後天的にサイコパス的な人格を身に着けていくとのこと。これは仕方ないことです。

■本来、人の上に立つ者は人格者であってほしい。

稲盛和夫さんのような考え方・姿勢をすべての経営者が持っていてほしいと思います。

“新・経営の神様”稲盛和夫が明かす「日本企業、大復活のカギ」日本を「幸せに導く」方法とは

稲盛さんは、能力のある者ではなく、仁徳のある者を登用する、とはっきり仰っていますね。

仁徳ある者が上にいる組織のメンバーは幸せです。そういう組織には、信頼感があり、それがまとまりと活気を生むことでしょう。

結果として、それがメンバーの力を発揮させることになれば、経営目的にも適っています。

経営者が人格者であれば、組織は強くなる。

だとすれば「攻撃的」「平然と嘘をつく」「道徳心が欠如」「他人に共感しない」「他人を操る」ような人物が経営者になってはいけません。

■ただ、経営組織には、突如として方向性を変えなければならない時、あるいは変えてはいけない時、決断を迫られる時があります。

そういう時、稲盛さんのいうように、能力も仁徳もある「聖人」がいればいいのですが、仁徳はあるが能力のない「君子」ばかりでは、判断を誤ります。

仁徳はないが能力のある「小人」も登用せざるを得ないでしょう。

やはり状況に応じて、様々な人材が必要な所以です。

■ちなみに、京セラの方法をみていると、実は、アメーバ組織で実績を上げさせる成果主義をとっています。

だから、能力に欠ける者はふるい落とされるはずです。何気にシビアなのではないでしょうか。

その上での人格者を登用するということです。

■だから、経営者がみなサイコパスだとか、サイコパスでなければ経営者になれないとか、そういうわけではないでしょう。

いくつかの資質が被っているというだけの話です。

少なくとも「攻撃的」「平然と嘘をつく」「道徳心が欠如」「他人に共感しない」「他人を操る」なんて性質が、バレバレで表に出てくるような能力の低いサイコパスには、経営者は務まらないはずです。



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勝てる「人と組織」の条件とは


リクルートとサッカーで学んだ勝てる「人と組織」の条件

■現プロサッカーリーグのチェアマンです。元リクルートの社員だったそうです。

その方がいいことを言っています。

組織は、上から下への命令伝達だけでなく、下から上への報告や相談がなければなりません。

それを「動脈」と「静脈」と表現します。

著者は、動脈と静脈がバランスよく作用するところに働き甲斐があるといいます。

実は、そうした静脈系は、昭和の時代の日本社会にはかなりきめ細かく整備されていたように思う。典型的なのが、赤ちょうちんで一杯飲むというコミュニケーションだ。ここでは、「課長、俺はもうこの会社辞めたいです」と若手が言えば、「ばかやろう、俺の方が辞めたいんだ」といったように、上司の公式見解ではなく、人としての本音の姿が見え隠れする。それは社員旅行や社内運動会も然りだ。かつての日本企業には、生身の人間の発する本音が行き交う静脈が組織の中できちんと作用していた。

自分は動脈系が強すぎると反省した著者は意識して静脈系をとりいれようとしたそうです。

月末に必ず飲み会をやって飲み屋で月間表彰したり、上司部下を認識してはいけない「解放区」を作ってみたり、カタカナ用語を制限して逆にすべて大和言葉を使うなど……とにかく動脈が張り巡らされて過呼吸になっているような日常を、正していくような活動に努めた。

■実にわかりやすい。このくだりを読むだけでも価値のある記事でした。

「動脈」と「静脈」をバランスよく持った組織を心がけること。これは、すべての組織に共通するものではないでしょうか。

こうした言葉のセンス、表現のセンスというのも、経営者やリーダーにとって非常に重要なものなんだと思いますね。



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成功者が実践する顧客基盤作りの考え方


小池新都知事・マツダ・アップルに共通する成功者の顧客掌握術

■旬な話題で「成功者の顧客掌握術」を解説した記事です。

(1)顧客ターゲットを絞る

(2)意味的価値の伝達に努める

(3)コンパクトさを売りにする

となっています。

小池知事、マツダ、アップル、3つの事例が引き合いに出されています。

■要するに、身の丈にあった規模のターゲット顧客に接近密着して強固な顧客基盤を作れ。という教えですね。

記事にありますが、

彼らに共通しているのは、他社(他者)の一見恵まれたように見える環境に無理に追いつこうとするのではなく、置かれた状況下で顧客と向き合い、模倣困難性の高い意味的価値を丁寧に訴求していったところにある。

これにつきるかなと。

■変化の激しい現代は、「勝てる局面をとらえて、そこで勝負する」ことをしつこく繰り返すことが生き残る道だと考えます。

たとえ小さな市場でも丹念に拾っていくことが肝要です。

だから、小さな市場を積み重ねる手法でも、利益が出せるようなコンパクト・効率的な組織体制がカギになるのだと思っています。



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ソフトバンクは、なぜアームを買収したのか


ソフトバンクが買収した英アームの全貌

■ソフトバンクが、3兆3千億円で買収したアーム(英)についての記事です。

アームは、半導体の中にあるMPU(マイクロプロセッサ)を設計開発している企業です。同社設計のMPUは、インテルの10倍以上生産されているといわれています。

アームのMPUは、省電力で、スマホなど小さなデバイスに適しています。記事によると、インテルとウィンドウズが、パソコン市場を支配していた頃、スキマを探るために開発したものが、ここにきて活きています。

最初は、アップルがiPhoneのために採用したものが、今や多くのデバイスに使われており、ついにはウィンドウズが採用するに至ったとのことです。

■アームの特徴は、開発設計はするが、生産はしないこと。半導体メーカーは、その仕様に自社の付加機能をつけて生産しています。

同社は、ライセンスフィーと、1個あたりのロイヤリティを収入としています。確かに、これなら儲かります。

■だから、アームは、最先端のMPUを開発し続けなければなりません。最先端でなければ、デバイスメーカーの設計部門に「自社で設計すらあ」と言われてしまいます。常に最先端で、業界ダントツの性能なり機能なりを持っていなければなりません。

また、半導体メーカーを顧客にするため、デバイスメーカーとのつながりが薄いきらいがあるようです。いわゆる最終顧客に接近していないため、情報収集を怠ると、すぐに取り残されてしまいます。

記事にもそこが弱みと書かれていますが、相当深刻な弱みだと思います。

■要するに、息の長い強みを発揮できる企業ではありません。

それならば、ソフトバンクはこの企業の何を買ったのか?

※経常利益が214億円。その154倍の買収価格ですよ。

退任撤回、アーム買収 孫正義「本音を話そう」

孫正義氏の話によると

(1)IoTの爆発的な発展により売上が増える。「シンギュラリティー(技術的特異点)」という言葉を使っていますね。人口知能が、人間を超え、新しい時代が来る。すべてのものに人工知能が搭載される。その時、アームのMPUが使用されるはずだ、ということ。

(2)IoTが爆発的に発展した時、どんなことが起きるかは、誰もわかっていない。だから多くのデバイスに使用されるであろうアームのデータが役に立つ。つまり、新しい時代を読み切るために、アームのポジションが欲しかった。

そういえば、ソフトバンクがパソコンソフトの卸をやっていた時にも、ネットの時代に何が起きるのかを知りたい。として、アメリカのIT系出版社を買収したことがありました。それと同じような発想になっています。

実に、孫正義氏らしい大勝負ですねー。

最後までこの時代の変化を見届けてやろう。その主役の座にいてやろうというスケールの大きな気概をお持ちです。

■もっとも、アームがデータを収集するような体制があるのか、それができるのか。

あるいは、アームの位置づけでなければ、データを収集できなかったのか。

そういう疑問はあります。

いや、そういう疑問を持ってしまうと、孫正義のような大勝負はできませんね。アローヨ氏は、そういう現実的な判断をするので、ソフトバンクを去ったのでしょう。

孫正義にしかできない勝負です。今回も勝ち抜いていただきたいものです。



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リオ五輪 男子柔道はなぜ躍進したのか?

(2016年8月25日メルマガより)


ブラジルのリオデジャネイロで開催されたオリンピックが閉会しました。

開催される前は、え、いつやるんだっけ?ぐらいのテンションでしたが、始まってみるとやはり盛り上がるもんですね。

特に今大会の日本はメダルラッシュ。

金12個。銀8個。銅21個の計41個は、過去最高のメダル獲得数だということです。

(金メダル獲得数は、64年の東京大会と04年のアテネ大会の16個が最高)

日本時間で夜中の開催であるにも関わらず、ライブで観た方は多かったのではないでしょうか。

■それにしても、なぜ日本選手団はこれほど調子がよかったのでしょうか。

北京、ロンドン、リオと続く夏季オリンピックのメダル獲得総数をみてみると、日本は25個、38個、41個と右肩上がりになっていることがわかります。

メダル獲得総数上位10国の推移をみていると

1位 アメリカ 110個、104個、121個(増加)

2位 中国 100個、87個、70個(減少)

3位 ロシア 73個、82個、56個(減少)

4位 イギリス 47個、65個、67個(増加)

5位 ドイツ 41個、44個、42個(横ばい)

6位 フランス 41個、34個、42個(横ばい)

7位 オーストラリア 46個、35個、29個(減少)

8位 日本 25個、38個、41個(増加)

9位 イタリア 27個、28個、28個(横ばい)

10位 韓国 31個、28個、21個(減少)

となっています。

つまり、中国とロシアの減少が大きく、その影響を他国は受けたといえるでしょう。

■アメリカは別格として、自国開催の国は強化策にかける予算も多く、メダル獲得数を伸ばす傾向にあります。

ですから、イギリスや日本は増加させています。

逆に、自国開催を終わらせた中国やオーストラリアは減らす傾向にあります。

そこに、ドーピング問題で参加そのものを制限されたロシアの減少がありました。

それにしても中国がこれほど減らすというのは謎めいています。いろいろ噂は聞きますが、言わないでおきましょう。

■日本の場合、2004年に国立スポーツ科学センター、2008年に味の素ナショナルトレーニングセンターが設立され、五輪競技の指導体制が整備されてきました。

各競技のトップ選手たちは同じ施設での強化トレーニングに参加するようになり、競技の垣根を越えた一体感が生まれるようになりました。

有望選手には、国際試合の出場や海外遠征への参加が義務付け・奨励され、高いレベルでの経験を積む仕組みもできています。

要するに、東京オリンピックに向けた強化策が効果をあげつつあるとみていいのでしょうね。

だから次回東京ではさらに上積みが期待できそうです。

このままロシアや中国の巻き返しがなければ、倍増も期待できるかもしれませんよ。

■たとえば、柔道を例にあげます。

ロンドン五輪では、メダル4個(金メダルなし)の結果に終わり、惨敗したといわれた男子柔道が、リオでは、7個(金2個、銀1個、銅4個)を獲得し、復活を印象づけました。

日本発祥の柔道ですから、強くて当たり前といわれるかもしれませんが、もはやグローバルに展開する競技ですから日本だけが強いというわけではありません。

実際、競技人口をみてみると、日本は17.5万人。

これに対して、フランスは56万人、ドイツは18万人。

ブラジルに至っては、200万人です。

単純な競技人口比でみても、日本はすでに遅れをとっています。

参考:http://kimuramasahiko.blog.fc2.com/img/judo_map.gif/

■しかも国際化したJUDOは、既に日本の柔道ではありません。柔道とJUDOは似て非なるものといっても過言ではありません。

日本式柔道に慣れた実力者が国際大会で勝てないのも当然です。違う競技に参加しているようなものですから。

近年の日本柔道の低迷は、違う競技になってしまったJUDOに、本来の柔道のつもりで参加してきたことに発していると考えます。

■ロンドン五輪の結果を受けて、新たに就任した井上康生監督がやったことは、きわめて論理的でした。

(1)指導者の海外派遣。

柔道は日本のものだから、日本の指導法が最も優れているという考えを捨て、JUDOの指導方法を学びにいかせました。

JUDOだと馬鹿にすることはできません。その指導法の多くは、科学的合理的であったといわれています。

(2)選手ごとの担当コーチ制。

本来、選手の個性、状態によって、指導内容は変えるべきです。その当たり前のことを、体制として整えました。

もちろん全体的な指導にも意味があり、必要であることは確かです。

しかしそれだけでは、限界があります。

井上監督は、担当コーチを設定し、強化選手ひとりひとりに細かな指導やケアができるようにしました

特に、オーバーワークの避止とメンタル面のケアには、力を入れています。

(3)他の競技の技術の積極的な導入

海外の選手が厄介なのは、ブラジル柔術やサンボなど他の格闘技の経験者が多いことです。

柔道にない技術や身体の動きをしてくるので、それに戸惑ってポイントをとられてしまうこともあります。

そこで、井上監督は、ロシアの格闘技サンボの指導者を呼び、その技術を選手に経験させ習得させる講習を行っています。

数回の講習でどれだけ効果があったのかは正直にいってわかりませんが、なんでも取り入れようとする姿勢がわかります。

■こうした組織体制、指導者、現場という重層的な取り組みが、メダルの増加に結び付いたことは間違いないでしょう。

柔道に限らず、強くなる競技には、時間をかけた構造的な取り組みが見られます。

水泳でも、体操でも、卓球でも、今大会のような活躍に至るまでには、子供教室の開催で裾野を広げる取り組みから初めて、十数年以上の準備期間があると聞きます。

コツコツと積み上げることで、競技を盛り上げてきた関係者の努力には頭が下がります。

■ちなみに、柔道には、ポイント制への対応という課題があります。

柔道とJUDOの最大の違いは、ポイント制にあるといってもいいでしょう。

柔道は1本をとる競技です。近代では優勢勝ちが導入されているとはいえ、あくまで1本をとりにいくことを目指します。

ところがグローバル展開し、競技としてわかりやすさを追求するJUDOは、ポイント制を導入しました。

ポイントが一つでも多ければ勝ちです。

だから勝ちに徹するならば、無理にリスクを負って一本を狙いにいく必要はありません。ローリスクでポイントをとりにいけばいいわけです。海外選手の多くは、そう考えているようです。

が、この姿勢が日本の柔道家には相容れないらしい。

日本の柔道家が勝つときは鮮やかで、負けるときは曖昧なことが多いのはそのためです。

試合には負けたが、勝負には負けてない。といいたくなるような試合が多くなるのです。

■今大会、100キロ超級の決勝がいい例です。

世界選手権8連覇。ロンドン五輪覇者。絶対王者といわれるテディ・リネール(仏)に、日本の原沢久喜が挑んだ試合です。

怪物的な強さを誇るリネールがどんな試合をするのだろうと楽しみにしていたのですが、彼がとった戦法はまさにポイント稼ぎの退屈なもの。

安全運転に徹するリネールに、原沢は見せ場を作ることなく敗れ去りました。

すわ、日本では、リネールは逃げただの、原沢が実質の勝者であるなどと言われましたが、それは違います。

勝ちに徹したリネールに、原沢は通用しなかった。それだけのことでした。

■その意味で、北京五輪で100キロ超級金メダリストとなった石井慧は、出色でした。

彼は、日本の柔道家としては珍しく、勝ちに徹する柔道を貫きました。

その試合運びでブーイングを受けることもあったそうですが、これが自分の道だと意に介しませんでした。

北京五輪では、なんなく金メダルを獲得。

しかもあっさりと引退して、プロ格闘家に転向したのは異色でしたが。

■もし、日本の柔道が、メダルを目的に勝ちに徹する試合をすれば、全階級金メダルも夢ではないでしょう。

その方が、2020年東京五輪でメダル量産できるかもしれない。

では、そうするべきなのか。

とは私も思いません。

今大会、73キロ級金メダリスト大野将平がいう「強くて美しい柔道」に日本柔道の矜持を感じます。

もし日本選手全員が勝ちに徹するようになれば、ますますJUDOのポイントゲーム化が進むでしょう。

怪力で崩してポイントを奪おうとする海外選手に対し、あえて一本を狙う日本の選手たちがいるから、柔道という競技のダイナミックさ、面白さがあるのだと私は考えます。

リネールら巨漢に真正面から向かって一本をとるのが日本の柔道です。

世界の柔道の発展のためにも、

JUDOはやはり柔道だったと世界が認めるまで、

日本の柔道家は、いまの姿勢を貫いてほしいと思います。




 


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