わたしは価値を創る

大阪在住の経営コンサルタントのブログです。

「クレージーな2,3人と、賛同者が100人いればそれで勝ちにいける」

■デジタル情報社会の特徴に関して、孫正義氏の発言。大前研一氏との対談で。(大前研一通信より)

20世紀の工業社会は、大きな工場を作るための資本が必要だった。設備がないとスタートラインにもつけない。
ところが、デジタル情報社会では固定費は人件費のみという世界である。
「本当の意味で実力本位の社会がきた」

ナローバンドからブロードバンドへの変化は、1000倍の通信速度の変化をもたらした。これは自転車から自動車へ輸送手段が変わったことよりもインパクトがある。

パソコンにしろ、携帯電話にしろ、道具は使い捨て程度に考えないと乗り遅れてしまう。方向性をつかんで、あとは応用をきかすと、どんな道具の時代がきても生き残れる。

「見えてない経営者が多いほど、こっちは助かるんですけど(笑)」とも。

■孫正義氏といえば、元祖社会変革者(あるいはトリックスター)でした。いまや、すっかり大御所になった感があります。

大御所といっても保守的になったわけではなく、相変わらずクレージーな挑戦を続けているようです。

その他のIT企業家と違うのは、あまり「儲け」のにおいがしないことですかね。(私だけかな?)

社会を変えたい、その中心にいたい、という気持ちをヒシヒシと感じます。
そのスケールが大きなところが好きですね。

ちなみに、特定の放送局との提携をめざす堀江氏のことを「志が小さい」とも仰ってますな。

■ドラッカーは、経済より社会に注目しろと言っていますね。

「大儲けできる」とか「1人勝ち」という話には少々飽きてきましたし、私も社会のことを考えるようにしていきましょう。。。

好きなことでメシを食っていくには

■「好きなことでメシを食っていく」とは、我々にとって、1つの夢ですね。

言うはやすし。。。被雇用者は、つらいことにも我慢しなければなりません。おれは営業は向いていないよ、とか、こんなアホに頭下げたくないとか。何といっても、サラリーマンは安定してますから我慢しないとね。

でも「生活に不安が無い程度に食える」スモールビジネスなら、実現可能かもしれないと、思えなくもない。

今週号の「ニューズウィーク」に、そんなスモールビジネスを起業した人々の話が載っています。

■同誌は、大量生産の大企業に対抗して、本物志向の手作り食品を製造販売する「フード職人」を紹介しています。

大企業は、大衆の「腹は満たしているが、心身を育んでいるとはいえない」から、ビジネスチャンスがあるわけです。

いまや、アメリカの特選食品市場は250億ドル。(約2兆8500億円)
たいていの分野で本格的食材や料理が手に入るようになったということです。

■ただ彼らの動機は真摯です。
家族の思い出や、民族の誇りを、食にこめて製造しているようです。

というのも、それぞれがニッチであるためビジネスの規模が小さく、その上、高品質を要求されるので手間がかかり、殆ど休みなしに働かなければならない状況になります。

生半可な覚悟ではできません。
まさに「仕事が人生そのもの」というわけですから、好きじゃないとやっていけないのですね。

■といっても、そこはビジネスですから、好きだけでは成り立たない。ビジネスプラン策定、市場分析、財務戦略などが必要です。

販売においては、やはり、インターネットの役割が重要です。スモールビジネスにとって、唯一の販売チャネルになる可能性もあるわけです。だからインターネットの登場が、こういった小ビジネス興隆の背景になっているといえます。

■話は変わりますが、ピーター・ドラッカーは、ポスト資本主義社会の特徴として、非営利組織の活動が隆盛となることをあげています。

資本主義社会は勝ち組が利益を総取りするシステムでしたが、高度知識社会では「金があればいいや」というメンタリティは後退するということです。
とすれば「働き甲斐」「好きなことをして生きる」というスタイルが主流になります。

好きなことをしていられるなら、普通に生活できるぐらいの報酬があればいいやというわけです。

考え方によっては、非営利組織は、低コストであること、採算度外視で製品サービスにこだわること、従業員のモチベーションが高いことなどから、競争力が高いわけです。市場を席巻するかも知れません。

■ただし、ニッチビジネスは、あくまでスモールビジネスです。ビッグビジネスにはなりえないことを正しく認識すること。

好きなことをして生きていくのだから、幸せです。

成長の壁を乗り越える

(2005年10月10日メルマガより)

■先日、創業塾の講師をさせていただきました。創業準備中の方は漠然とし
た夢を持っているようですね。

年収1億円、40歳で引退、ハワイに移住、その後はボランティアで過ごす...

聞いていると、こちらも楽しくなってきます。

いいことじゃないですか。夢を持つというのは。


■ただ、実際に創業して、苦労して、事業を軌道に乗せてみると、今度は、
どこまで大きくしたらいいんだという選択を迫られます。

私も商工会議所時代は、成功した創業者の「○○億までは行ったけど、この
先、どうしてええか分からんわ」という声を聞きました。

もっとも、これも志の問題で、自分のやりたいことが本当に達成されたら、
それを維持することに意識を切り替えたらいいし、達成されないならチャレ
ンジを続けることです。


■ただ、確かに、経営者には相応しい事業のサイズというものがあるようで
す。個人事業で十分という人もいれば、青天井に拡大を目指す人もいます。

孫正義氏や三木谷浩史氏なんかは、世の中を変革したい、その中心にいたい
と考えているんでしょうね。だからまだまだ拡大志向のようです。

一方で、生き残れるなら、低空飛行でいいという人もいます。小規模事業で
あっても、ナンバーワンの商品か顧客群を持つ企業は、規模に関係なく、強
い競争力を持って生き残っています。

(ただし、現状維持は、拡大路線と同じように難しい経営の舵取りを迫られ
ます。競争力も水ものですから、安泰というわけではありません)


■どんな事業にも、成長の壁があります。市場規模は限られているのですか
ら、どこかで成長が止まります。

市場細分化、差別化、一点集中をやりつくした。。もう限界だ。。

ランチェスター戦略のセミナーでも「全部、やっているのに、うまくいかな
い!」と訴えられることがあります。

いわゆる煮詰まってしまった状態ですね。

こういう状態に陥れば(事実関係はともかく)一度、視点を変えてみる必要
がありますね。


■そんな時、状況を打開するためには、次の3つの方法などを考えてみてく
ださい。

1)地理的な展開

ある地域で成功したビジネスを他の地域で同じように展開する方法です。メ
キシコのセメント会社Cemexはこの方法を完璧にやっていることで有名です。

(世界3位の売上ながら、利益率はダントツの1位です)ランチェスター地域
戦略の「3点攻略法」などが、この方法を使う時に参考になります。


2)異業種との合体

自社のビジネスと異業種のビジネスを合体させて、新たなビジネスを創造す
る方法です。楽天やライブドアが放送業界に興味を持つのは、ネットと放送
の融合と言っています。自社ビジネスの可能性を深堀するわけです。


3)バリューチェーン展開

いわゆる川上、川下に展開する方法です。メーカーが小売を始めたり、小売
がメーカーになったりと昔から多い事例です。メーカーが保守サービスをは
じめたり、周辺ビジネスに展開するのもこの方法です。


■上の方法は、私が考え出したわけではなく、アンゾフという学者が提唱し
た「成長戦略」に基づいています。

アンゾフの戦略は下記のようなものです。
1)市場開拓戦略
2)多角化戦略
3)商品開発戦略

これを私なりに解釈したのが、上記です。

成長戦略についていろいろ考えていて、結局、行き着いたのがアンゾフの古
典理論です。


■なお、アンゾフは、もう1つあげています。

4)市場浸透戦略

これは、現在の市場にさらに自社製品・サービスを浸透させる方法です。営
業プロセスを再度洗い直し、ズレやムダを少しづつ修正することで、営業の
精度を高めることができます。

実は、売上を上げる際に、最も効果があるのは、この方法です。

成長が限界に来ているというのは、ほとんどが思い込みです。実際には、営
業がマンネリに陥っていたり、市場の小さな変化を見逃していたり。。。
足元の小さな見逃しの積み重ねが、業績の伸び悩みとして現れています。

安易に「成長の限界だ」と思うのではなく、まずは、足元をよーく見直して
みてください。


追記:

戦略勉強会の会場として、毎月お世話になっているエンクルさんは、大阪で
も珍しい「長屋風貸しスペース」です。

っていうか、長屋そのもの。

谷町四丁目のごく一般の長屋を貸しスペースとして開放しておられます。

こういうビジネスが成り立つのか?と思っていたら、実は、結構はやってい
るようです。

会議から、各種お稽古事、セミナー、カウンセリング、マッサージまで。。

あまり無い雰囲気のところだからでしょうか。

和室や小さな中庭なんかもあって、一般の会議室には無い風情があります。
こういう空間だから、アイデアが沸いて出て、議論百出となるのかも。

ちなみに経営者は横尾さんという独身の女性です。
面白いことを考え付いたもんですね。

追記2:最近あまり使っておりません^^;すみませんね。(2007年8月)

どうすれば「儲かるか」ではなく

■アイデアを出すには、「プロダクトアウト」と「マーケットイン」という2つの方法があります。

マーケティングの視点から言えば、「マーケットイン」が好ましいといえます。私もコトラーの本で勉強したので、馴染みのある考え方です。

ただし、実際には「プロダクトアウト」も必要です。
『イノベーションのジレンマ』などを読んでいると、世の中を変えるような事業は、プロダクトアウトで出現することが多いようです。

というのも、世の中を変えるような事業は、マーケットが想像もつかないようなものとして登場するので、理屈から言って、マーケットインからは生まれないわけです。

■ただ、どちらでアイデアを出したにしろ、事業化するためには、ビジネスモデルとして構成する必要があります。

つまり、どうやって「儲けるか」です。

誰がお金を出すのか、それをどうやって回収するのか、それが収支として黒字になるのか。。。
こういったことを避けては、ビジネスごっこにもなりません。

余談ですが、アイデアフルな人には、ビジネスモデル構築力が弱い人が多いような気がします。。。
周りにいませんか?実現不可能なアイデアをいくつも出しては、途中で放り出す人。起業家タイプには多いんですよねー

■私の考えですが、ビジネスモデルを構築する際には「マーケットイン」の視点が必要不可欠です。

つまり、このビジネスはどうやれば儲かるんだろうと考えるのではなく、お客さんはどんな製品やサービスにお金を出す気になるだろうと考えるわけです。

もっと言えば、「自分なら、この製品やサービスにお金を出すだろうか」「私の妻なら…」「友人のA君なら…」と発想することです。

ちなみに”私”は結構厳しい消費者ですから、なかなかお金を出しません。
払ったお金以上のリターンがなければ、不満足です。
クレームをつけるかも知れません。

それぐらいシビアな視点を持たないと、自分の商品やサービスという”作品”は甘やかしてしまうものです。

■人間は勝手気ままなものですから、自分に甘く、他人に厳しいものです。

「儲ける」というのは、あくまで売り手側の勝手です。自分がお客さんの時、店を「儲けさせてやろう」なんて考えたことあります?
むしろ、そういう「儲けたい」という”におい”がしたら、二度とその店には近づかないのでは?

だから、ビジネスモデル構築の秘訣は、「私ならこういう商品(サービス)にしかお金を出さない」という視点で考えることです。

■儲けたければ、儲けることを考えるな。

よく聞くフレーズですが、実践している人は少ないのではないでしょうか。

私もこう書きつつ反省しているところです。。。

スポーツ参加市場規模は3.2兆円。オタク市場は4110億円

■スポーツ参加市場の規模は3.2兆円。昨年から8%減。
(インフォプラントとUFJ総研調べ)

案外小さいんですね。。。

スポーツ参加市場とは「スタジアム観戦費」「用品購入費」「施設利用費」のこと。
キャラクター商品はここには入っていないのでは?

ちなみに好きなプロ野球チームの1位は「阪神タイガース」
今やジャイアンツを抜いております。

詳しくはこちら

■オタク市場は4110億円。延べ172万人。
(野村総研調べ)

コミック    35万人 830億円
アニメーション 11万人 200億円
芸能人     28万人 610億円
ゲーム     16万人 210億円
組立PC     19万人 360億円
AV機器     6万人 120億円
携帯型IT機器  7万人 80億円
自動車     14万人 540億円
旅行      25万人  810億円
ファッション  4万人 130億円
カメラ     5万人 180億円
鉄道      2万人 40億円
合計    延べ172万人 4,110億円

野村総研におるとオタクとは、「強くこだわりを持っている分野に趣味や余暇として使える金銭または時間のほとんどすべてを費やし(消費特性)、かつ、特有の心理特性を有する生活者」

「これまでさまざまな視点から論じられてきた「オタク」を、消費社会における普遍的な現象ととらえ、できるだけ客観的に分析」したそうです。

またオタクを次の5つに分類しております。
「家庭持ち仮面オタク」(25%)、「我が道を行くレガシーオタク」(23%)、「情報高感度マルチオタク」(22%)、「社交派強がりオタク」(18%)、「同人女子系オタク」(12%)

詳しくはこちら

常識を少しずらすとチャンスが生まれる

(2005年9月29日メルマガより)

■来週「ビジネスアイデア創出法」セミナーをさせていただきます。

そこで、今回は、その内容に関連したことをお話しします。(セミナーでは、
同内容はやりませんが)


■新しい発想は、ちょっとした視点の変更で生まれます。

「常識を疑ってみる」というやつです。

ただ、いきなり「常識を疑え」なんて言っても、ピンと来ないのが普通の人
ではないでしょうか。

やはり、常識を疑うためにも、発想のパターンがあります。

1つは「こういうふうに決まっている」というものを見つけて、あえて「そ
うじゃない」ことを想像してみることです。

■例えば...

消費財を扱っている方なら、商品分類の方法で
「最寄品」「買回品」「専門品」という分類の方法をご存知ですね。

消費財を扱っていなくてもご存知ですかな?

「最寄品」とは、購買頻度が高く、価格がどこでも大差なく、ありふれた商
品のこと。生活必需品、日用品など。

「買回品」とは、比較的高価格で、購買のために情報収集を行う商品。家電
製品など。

「専門品」とは、価格がかなり高く、購買頻度がきわめて低く、購入決定ま
で多くの時間と手間をかけて検討する商品。住宅、宝石など。


■これは、なんでそうなってるの?というわけではなく、「そういうふうに
決まっている」のです。(というか、そういうふうに分類したのです)

中小企業診断士の教科書にも、販売士の教科書にも載っているので、私には
馴染み深い概念です。

こういう、教科書に載っているぐらい常識的なことこそ、発想法の訓練には
最適です。


■「最寄品」とは具体的にどういうものを指すのでしょうか。
どこででも買えるものだから、コンビニとか、スーパーに売っているもので
す。
ペットボトルのお茶とか、スナック菓子とか、カップラーメン、パン、シャ
ンプー、リンス、簡単な文房具。。。

1000円以内で買える比較的安いものばかりです。よく考えずに、いつも通り
買うものですね。

■「専門品」とは、めったに買わないものです。家とか車とか高級な宝石と
かいったものです。いわゆる高級ブランド品もこれに入るのでしょうか。普
通は衝動買いというわけにはいきません。大げさに言うと、一生ものの買い
物ですね。

■「買回品」とは、その中間に位置するものです。そこそこ高いし、それな
りに調べて購入するものです。家電品などが代表ですね。最近、私は、液晶
テレビを購入しましたが、あまり考えずに買いました。買った後に「カカク
コム」を見てショックを受けた次第です(T_T)

余談ですが「カカクコム」は、まさに「買回品」を対象としています。大勢
の人が、情報を求めてリサーチするのが「買回品」ですから。


■ところが、この「買回品」が、安い値段で、どこでも買えるようになった
らいかがでしょうか。
例えば、液晶テレビが、コンビニで2,3千円で買えるとしたら、皆さんは
買いますか?

私なら、10個ぐらい買って、各部屋に設置しますね。私の家は10LDK
ですから。(嘘です)

そんなSFみたいなこと考えても仕方がないですか?

しかし、実際に、それを経営ビジョンに掲げた名経営者がいました。

「経営の神様」松下幸之助の『水道哲学』は、そういう意味ではないでしょ
うか?

水道哲学とは「家電製品を大量に作り続けると、いつかは、水道の水のよう
に安い値段になって、誰もが購入できるようになる。そんな世の中にしよう」
という壮大なビジョンです。

実際には「専門品」であった家電製品を「買回品」になるまでにしました。
日本人の殆どがテレビや冷蔵庫や洗濯機を所有するようになったのです。ま
さに社会を変えた経営ビジョンです。

このように技術革新や流通革新によって「専門品」を「買回品」に、「買回
品」を「最寄品」にすることができれば、大きなビジネスチャンスが生まれ
ます。間違いありません。


■もっとも、これは、中小企業には難しい所作ですね。

では逆を考えてみましょう。

■「最寄品」を「買回品」にすることはできませんか?

「そんなアホな。わざわざ安いもんを高く売ることあるかいな」というのは、
頭の固い意見ですよ。

私の家の近くには、1000円の食パンを売る店があります。たまにしか販売し
ないのですが、販売日には1時間待ちの行列ができるそうです。
(実は何にこだわった食パンなのかよく知りません。。多分、おいしいんで
しょう)
これなど、食パンという「最寄品」を「買回品」にした好例です。

インターネットでは、天然素材を謳った高価な石鹸やシャンプー、リンスが
目白押しです。

お米はスーパーで売っていますが、会員にならないと手に入れられないブラ
ンド米もありますね。○○に効くとか、噂が流れていたりします。

化粧品はコンビニでも売っていますが、通販では何万円もする高級化粧品が
売られています。

180円のラーメンがあると思えば、1000円以上するラーメンも平気でありま
す。

100円マックがあるかと思えば、モスバーガーは1000円のハンバーガーを限
定発売しています。これは一度食べてみたいもんです。


■お察しの通り、「最寄品」から「買回品」に転換するには、技術革新では
なく、"こだわり"が必要です。

ランチェスター法則でいえばE(武器効率)です。ランチェスター戦略をご
存知の方には馴染み深い概念ですね。

経済合理性を逸脱するぐらいの"こだわり"があれば、中小・零細企業にも
勝ち目が出てくるというのが、私の考えです。優秀な大企業は、経済合理性
を外すわけにはいかないからです(話が逸脱しそうなので、このあたりで止
めておきましょう)


■いかがですか?

スーパーやコンビニで売っているものを「買回品」にできないか想像してく
ださい。

チューイングガムを1000円に出来ませんか?

探し回っても買いたいスナック菓子はありませんか?


■そういえば「アラブの国では、水は石油より高い」と珍しがっていたのは、
20年前のことです。今、コンビニでは、ペットボトルの水が、石油よりよほ
ど高い値段で平気で販売されていますね。

常識なんてすぐに変化するのです。


■これは発想法のほんの一例です。

セミナーでは、もっと体系として考えていきましょう。。

経営に奇策はない 柳井正

CS放送に、ファーストリテイリングの柳井氏がでて講演をしていた。いつもながら豪華な放送である(^^)

なかなか面白い講演であったが、意外だったのは、柳井氏が、極めて素直で普通の人間であると感じたこと。有名企業の創業者なのだから、もっと個性が強烈なのかなと思っていたのに。

印象的なのは、やはり、成長に対する執念のような意思である。
1兆円企業にする、それがわからないやつは辞めてくれ、というわけである。
玉塚氏の社長退任については様々な批判や憶測も呼んだが、本人は、まっすぐにそう思っているようだ。不純さはない。

一方で、1兆円企業になるためには、このままの延長ではいけない、ゲームクリアが必要とも言っていた。ダイナミックなM&Aが、これから続きそうである。

共感したのは「経営に奇策はない。原理原則をコツコツ実践するのみ」というきらいである。
私もランチェスター戦略に関連して「手品のような奇策」を求められたりするが、そんなもので成功しない。私のやっているのは、原理原則に基づいた実践であって、華々しい成功ノウハウではない。

むしろ、経営者が手法ばかりを考えていたのでは、経営できないはず。経営者の仕事は、原理原則を理解し、全体を見渡すことである。

なお、経営者の責任として
1.企業を生き残らせる(顧客に適合する)
2.成長を続ける
3.使命感を持つ
を挙げていた。

その他、人柄のにじみ出る面白い講演であった。

見えない敵と戦うには

(2005年9月15日メルマガより)

■前回は、本当に怖いのは「見えない敵」だということをお話しました。

コンサルタントが課題に取り組むときも「本質的な問題」を発見しないこと
には対応策を出すことができません。

敵がどういう考えを持ち、どういう特徴があるのかを知らなければ、対処の
しようがありません。

■では「見えない敵」と戦うためにはどのようにすればいいのでしょうか。

■ひとつは予測して、対応策を用意しておくことです。

「既存のライバル」「仕入先・販売先の寝返り(?)」こういったものは、
見えない敵ではありません。

十分、動きが予測できる敵です。

しかたがって、ある程度、備えをすることができます。

■「新規参入業者」は、ある程度、見えない敵です。
スケルトン程度ですかな(笑)

市場が儲かれば参入業者が現れることは予想できますから、これも、準備は
しておかなければいけません。

ただし、こちらの土俵にわざわざ出向いて戦ってくれるわけですから、不利
な戦いではありません。

むしろ「強者の戦略」で、対処することができます。決して恐れることはあ
りません。

■「代替品」は、やっかいです。これは見えない敵といってもいいでしょう。

自社の商品(ビジネス)がある日、全く違うビジネスに置き換えられるので
す。

ポケットベルは、携帯電話の出現で、消滅しました。

カメラという商品は、デジカメに置き換わりました。

CDも、ネットワーク配信に置き換えられ、風前の灯火です。

いずれも、消費者の目から見れば「なくなっても困らないものリスト」に入
ってしまったわけです。

■メーカーの方は「いや、うちの商品には、それなりの良さがある」と言わ
れるでしょうが、残念ながら、それは作り手側のエゴでしかありません。

それが良いかどうかを決めるのは、メーカーではなく、消費者です。
消費者の「なくなっても困らないものリスト」に入ったら、もう手遅れです。

「それなりの良さ」をうまく活かして、骨董や工芸品のように生きのびます
か?

■そうならないためには...

私は、やはり、消費者の視点に立つクセをつけることだと思います。

マーケティング理論の大家、フィリップ・コトラーは「製品の本質」のこと
を「顧客にとっての便益の束」であると言いました。

難しい言い回しですね。。(^^;

「便益」とは、消費者にとっての「問題解決」のことです。

さらに難しい。。(^^;

■要するに、我々が商品やサービスを購入するとき、その商品そのものの所
有を目的としているわけではありません。

何らかの不便や期待などを感じて「問題解決」することを目的として購入す
るわけです。

例えば、資生堂の福原義春名誉会長は「お客さまは商品を買うのではなく"
きれいになること"を買うのだ」という発言をしています。

チャールズ・レブロンも「我々は口紅を売るのではない。"希望"を売るの
だ」と言っています。

セオドア・レビットは「顧客は、1/4インチのドリルを買ったのではなく、
1/4インチの穴を買ったのだ」と言いました。

お分かりですね。

化粧品がなくても"きれいになること"が簡単にできるならば、化粧品は、
その顧客の「なくても困らないものリスト」に入ってしまうわけです。

1/4インチの穴を開ける必要がなくなれば、ドリルは不要です。

■作り手側が意図して製品にこめた"本質"のことを「製品コンセプト」と言います。

この製品を「希望を求めて使用してほしい」「穴を開けるために使用してほ
しい」という意図です。

「製品コンセプト」と、顧客が感じる「問題解決」がぴったりとはまってい
る時は、製品は生きています。

「製品コンセプト」が、顧客にとって、最良の「問題解決」でなくなれば、
製品は置き換えられます。

■稀に、メーカーが意図しない売れ方をする場合があります。たまたま、消
費者の問題解決に役立ったという場合です。

しかし、これは、喜ぶべきことではありません。

「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」(by野村克也)とい
うわけです。

ラッキーは継続しません。むしろ、ラッキーは手痛い失敗の前兆です。

ですから、メーカーは「製品コンセプト」が、ずれないように全神経を集中
させるべきです。

■もちろんメーカーだけではありません。

あらゆるビジネスは、社会に何らかの「問題解決」を提供しています。

ですから「事業コンセプト」が、最良の「問題解決」かどうかを常に検証す
る必要があります。

それが最良の「問題解決」でなくなった時、ビジネスは一瞬にして置き換え
られてしまいます。

■お分かりでしょうか。

見えない敵といっても、勝ち負けを判断するのは、顧客です。だから、やは
り顧客に選ばれることしか、生きる道はないというわけです。


■クレイトン・クリステンセンの『イノベーションのジレンマ』によると、
どんな優れた企業でも、革新的な新興企業に敗れる日がやってくるというこ
とです。

その敵は、常識外れのことをやる無数のベンチャーの中から、意図しない成
功を伴って、突然現れます。

つまり、敵はまともな相手ではなく、自然淘汰を勝ち抜いた突然変異のよう
な企業だということです。

これではダーウィンの進化論ではないですか。

ただ、それでも生き残っている"エクセレント・カンパニー"は多数存在し
ます。

"希望"を持っていきましょう!


追記:

■衆議院総選挙が終わりました。すさまじい勢いで自民党が勝利しましたね。

「わかりやすい論点提示が受けた」「首相のリーダーシップが期待された」
などと、巷で論評されていますが、ここで今さら繰り返しをしても仕方あり
ませんので、今後の行方に注目しましょうと言うに止めます。

特別セミナー『ビジネスアイデア創出法』

■特別セミナーのお知らせ!

2005年10月8日(土)午後3時から
      特別セミナー『ビジネスアイデア創出法』を開催します。


■起業をお考えの方、必見のセミナーです。

燃えるような起業家魂をお持ちの方。

それほどではなくても、副業でビジネスをお考えの方。


■起業の第一歩はアイデアです。

よいアイデアなくして起業に踏み切れば、後で、すさまじい苦労をすること
になります。

もちろん、素晴らしいアイデアがあっても苦労するのですから、やる気だけ
で起業すると、なんと恐ろしい苦労が待ち受けていることやら…

普通の人なら、途中でくじけてしまうでしょう。


■だけど、思った以上に、アイデアを出すことに苦しんでおられる方が多い
ようです。

私はわりとアイデア出しには自信がある方ですから、なんでそんなに出ない
んだと不思議に思ったりしたもんです。

ある時、気づいたのですが、アイデアが出ない人は、アイデアが天から降っ
てくると考えていませんか?

それは全然違います!


■アイデアは降ってくるのではありませんよ。

当たり前のことですが、自分自身の頭の中から出てくるものです。

しかも、通常の思考パターンに、ある変化を意図的に加えることで、簡単に
出てくるものです。

アイデアフルな人は、自然にこの思考パターンを身に着けているようです。


■今回のセミナーでは、様々な仕掛けを通じて、アイデアが沸く思考パター
ンを試していただきます。

きっと「こんなんでいいの?」というぐらいアイデアが沸いてきますよ。

起業をお考えでない方は、起業熱にかからないようにご注意ください。


■もちろん、企業の企画担当の方など、アイデア創出が必要な業務の方も、
ぜひご参加ください。



■日時:10月8日(土)午後3時から6時頃まで
    (懇親会を予定しています)

■講師:駒井俊雄(認定インストラクター)

■会場:ホテルオークス新大阪
    〒532-0011 大阪市淀川区西中島1丁目11-34
    TEL(06)6302-5141/FAX(06)6306-2826
    
★ホテルオークス新大阪に宿泊される方は、参加料を無料にさせていただき
ます。

■定 員:20名

■参加料:会員無料、ビジター価格:3000円(お一人様)

懇親会費用:3500円(お一人様)

■お申し込みは、こちら

最も怖いのは見えない敵だ

(2005年9月1日メルマガより)

■「彼を知り、己を知れば、百戦して危うからず」

知らぬ人がいないほど有名な「孫子」の言葉ですね。
見事に、戦いの本質を言い表しています。


■これをビジネスに置き換えるとどうでしょう。

「顧客、競合、自社をよく理解すれば、ビジネスの競争に勝つことができる」
ということになるでしょうか。

顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)、は、頭文字をと
って3Cとも呼ばれます。

あえていえば、これに経済全体の動き(マクロ経済)を加えることで、経営
環境を把握します。1つのパターンですね。


■ランチェスター戦略は、常に競争相手の存在を念頭に置いた「競争戦略」
です。
競争相手との位置づけを正確に測り、その状況によって、適切な戦略を選び
ます。

市場シェア理論、射程距離理論、弱者の戦略、強者の戦略...これらは、競争
相手との位置づけを測り、その対策を示したものです。


■ただし、実際の経営においては、競争相手が必ずしもはっきりしていませ
ん。いや、むしろ、敵がはっきりしている方が珍しいかも知れません。

いろんな経営者も「既存のライバルは怖くない」と言います。
経験的にも、論理的にも、対応策を打つことができます。

しかし、今日の競争相手は、見えないところから、突如現れます。


■まずは「新規参入業者」です。

その市場が儲かると判断すれば、思いもよらない大手企業や、全く違う論理
性を持つ異業種からの参入があるかもしれません。
紳士的によろしくやっていた業界に、戦闘竜みたいなのが来て、暴れまくら
れるわけです。

■「仕入れ先」や「販売先」も怪しいもんです。

新規参入業者は、その市場に慣れるまで時間がかかるかも知れませんが、販
売先や仕入先が参入してきた場合は、すぐに強敵となります。特にバイイン
グパワーを持った小売店はやっかいです。まさに仁義なき戦いです。

■もっと怖いのは、「代替品」です。

つまり、自分が行っているビジネスが全く他のビジネスに置き換えられるこ
とです。

私の前の職場では、500mlのペットボトルの普及が、魔法瓶の売上に大
きな影響を与えました。

映画がテレビに置き換わり、テレビがパソコンに代替されるかも知れません。
さらにそのパソコンも、携帯電話に取って代わられる日を待っています。

これは防ぎようがないほど、厳しい敵です。厳しすぎて、「時代の流れ」と
呼びたくなってしまいます。


■どうすれば、こういった敵を発見し、対処できるのでしょうか?

これは非常に難しい問題で、特効薬が開発されているわけではありません。

もったいぶるわけではありませんが、私なりの考えは、次回(9月15日号)
で述べさせていただきます。

それまで、皆さんなりのお考えを深めていただければと思います。(^^)

追記:

■とうとう衆議院総選挙となりましたね。

■小泉首相の「争点をシンプルに提示する」方法は見事で感心してしまいま
した。これは、経営においても、十分に応用できます。
やはり方向性や戦略は、思い切って単純化することが重要です。

もう1つは「競争領域を狭く設定する」手法も大したもんです。つまり、自
分のルールに引き込もうとするやり方です。
ただ、こちらはトリックがあからさまで、そろそろ効き目がなくなってきて
います。

■どうもホリエモン騒動ぐらいから、政治も経済もワイドショー化してきま
したね。面白いといえば、面白いのですが、それでいいんだろうか...とさす
がに思いますね。

■それはともかく、解散前に、どこかの議員が「ステルス作戦」という言葉
を使っていました。

悟られないように作戦を遂行する(郵政法案反対議員を集める)ことを、そ
う喩えたわけですね。

まさに絶妙な言葉づかいで、大爆笑したもんです。

■衆議院解散によって、ステルス作戦のインパクトは薄れてしまいましたが、
流行語大賞に推したい言葉でした。

今回は、「ステルス」な競合他者についてのお話でした。

不滅の営業手法

(2005年8月18日メルマガより)

■「どうすれば営業成績が良くなりますか?」という質問を受けることがあります。

セミナーなどで、こういうストレートな問いかけは大歓迎ですね(^^)

とりあえず、私の回答はこうです。

「人の3倍働けば、成績は良くなりますよ」


■聞いている方の反応は、2つです。

「それができりゃ世話ないよ」と、白けてしまうタイプ。

「そうか!やっぱり根性なんだ!」と燃えるタイプ。

経験からいって、素直に燃えるタイプの方が、伸びる可能性がありそうです。


■適当なことを言っているわけではありません。

実際に、私は人の3倍働くことで、成績を上げてきた営業でした。

「単なるバカな営業じゃないの?」と言われそうですが、その通りなので、
反論できませんね。


■根性型営業にも一定の根拠があります。

まずは「経験曲線理論」が働くことです。

これは、1960年代にBCG(ボストン・コンサルティング・グループ)
が提示した概念で「累積生産量が2倍になると、製造コストは20〜30%
低減する」という経験則から考えられたものです。

古典的理論のひとつですが、何にでもあてはまるので、とても使い勝手のい
い理論です。

つまり「人の3倍営業していると、営業の効率も20〜30%良くなってく
る」ということです。
いささか強引ですが、実際にそうなってきます。最初は下手でも、いっぱい
やっていたら、慣れてくるのは当たり前ですね。

だから、新人営業や、新規参入の際には、バカになりきって、根性型営業を
してみるのもいいもんですよ。


■ところで「3倍」というのは、ランチェスター第1法則から、考えた数字
です。

思い出してくださいね。敵の3倍の数的優位を持つことができれば、必勝で
あるばかりでなく、味方の損害量も軽微で済みます。

だから、営業マンレベルでは、ライバルの3倍、顧客のために働くことに意
味があります。


■ただし、実際に人の3倍働き続けようと思えば、体がもたないでしょう。

私も、ごく若い頃は(バカだったこともありますし)本当に人の3倍働こう
とした頃もありましたが、これは続きません。
むしろ、反動で、燃え尽き症候群にかかってしまいます。(TT)

では、どうするか?

おわかりですね。

重要な顧客に集中して、3倍の営業活動を仕掛けるわけです。


■「パレートの法則」をご存知ですか?

「8−2の法則」とも呼ばれるパワフルで普遍的な法則です。

これは「全体の8割の数値は全体を構成する2割の要素が生み出している」
というものです。
経験則からきた法則ですが、実に何にでもあてはまります。

例えば、「売上の8割は、上位2割の顧客が占めている」とか、「売上の8
割は、2割の商品が稼いでいる」とか応用されます。

つまり、2割の上位顧客を常に押えていれば、8割の売上をコントロールす
ることができるわけです。

一度、自分の売上の構成比を確認してみてください。
まず、この法則に即していますから。


■重要な顧客に限定すれば、ライバルより3倍働くことも可能です。

効率とは、そういうことなんですね。

まずは、データを集めて、自分が絞り込むべき顧客を決めること。

根性型営業はそれからですね。

”コモディティ”ほど儲かる商売はない

コモディティとは、ここでは「価格以外で差別化できない商品」のことを指す。
普通、そのような商品は激烈な価格競争に巻き込まれ、儲かるビジネスにはならない。だから、あらゆる企業は脱コモディティ化を図る。ランチェスター戦略も、弱者の戦略として、差別化による脱コモディティ化を勧める。

だが、これに真っ向から挑んでいるのが、cemexというメキシコのセメント会社である。こちらのやり手CEOが、「セメントほど高収益で儲かるビジネスはない」と挑発的な発言をしている。
実際、この会社は世界3位の売上高を誇り、利益率ではダントツの1位である。

セメントなどの原料は、コモディティ商品の典型である。どこからでも買えるし、品質に違いはない。安いところから買おうというのが、経済合理主義である。
それなら、価格競争に巻き込まれない付加価値の高い商品を扱おうというのが、よくある発想であるが、こちらの会社は、徹底した本業絞込みを行っている。つまり、セメント以外では商売しない。

何をしたのかというと、まず原料調達から、顧客への販売・配達までを一気通貫に自社で押えてしまった。バリューチェーンのすべてをコントロールし、コスト減と強み強化を図ったのである。

このあたり、日本のセメント会社は、メーカー、商社、配送会社と分かれているので、特化のよさもあろうが、逆に思うようなコントロールができないだろう。(といっても事情はよく知らないのだが)

cemexは、バリューチェーンを支配することにより、巧妙に、脱コモディティ化を図ったようだ。つまり、デリバリーの正確さ、スピードで差別化するなどである。(納期に30分遅れたらペナルティを払うなど、ピザ屋のようなサービスもやっているらしい)価格勝負といいながら、実は価格以外でもメリットを打ち出している。

さらに、cemexは、徹底した覇権主義を貫いている。圧倒的なナンバーワンをとるまで戦うのである。薄利多売の商品は市場シェアをとるほど、儲かる。そこでさらにコスト削減のための投資を行い、価格勝負をしかけていくというプラスのスパイラルを生み出す。

メキシコでナンバーワンになったcemexは、潤沢なキャッシュをもとに、M&Aという飛び道具を使って、グローバルに事業を展開する。主にスペイン語圏のセメント会社を買収すると、その地域でナンバーワンになるまで戦い、その会社が潤沢なキャッシュを生むようになると、次の地域へ行くという繰り返しを行う。成功するビジネスモデルを着実に広げていっているわけである。

脱コモディティ化と正統コモディティビジネスをうまく融合するという勝ちパターンをしっかり持っているわけで、そうなれば、「こんなに儲かるビジネスはないぜ」という発言にもなろうもんである。

*ちなみにこの項、「BBT757」というCS放送の番組がネタ元となっております。今日のやつも勉強になりました。

いつまで川原で石を売るのですか?(3)

(2005年7月22日メルマガより)

■前回の続きです。

■大半の製造業者は、消費者に直接販売することはありません。
卸売業者や小売業者を仲介して販売しています。
これら仲介業者のことを一般にチャネルと呼んでいます。

私の経験で言いますが、小さな製造業者は、チャネルを選択するという余裕
がないところが殆どです。
どころか、売ってくれるなら、どこでもいいや、背に腹は変えられん、とい
うところが多いのではないでしょうか。

しかし、その姿勢が実は、後々、足かせになってしまいます。


■私の関わっているある企業は(詳しく書けませんが)家庭用雑貨の分野で
有望な商品を製造しています。有望であると判断したので、関わったわけで
すが。

そこで、販売戦略を立てて、ある小売チェーンと取り組むのが適切だという
ことになりました。

ところが、その小売チェーンは商品コンセプトに興味は示したものの、実際
の販売には難色を示しました。そこが差別化の対象としている小売店にその
商品が導入されていたからです。(社長は、導入されていることすら知りま
せんでした)

しかし、導入されているといっても、ほんの少しのアイテムです。もともと
店のカラーに合わないので、導入されていること自体がおかしいのですが。

ややこしいのはその後で、その店に納入している卸売業者が「専売権」を主
張し、新たなチャネル開拓にクレームをつけてきました。小さな取引額の卸
売業者なのですが、昔からの取引なので、発言も強いのです。

最終的には、その1アイテムを撤退してもらい、戦略どおりのチャネル開拓
ができたのですが、ずいぶん、苦労しました...

その会社は、典型的な「売ってくれるなら誰にでも任す」という方針だった
ようです。社長には、いい加減なチャネル戦略について、大いに反省しても
らいました。


■どこにでも売る、いっぱい売る、という姿勢は、強い商品があるという前
提に立っています。まさに強者の戦略です。

大衆に広く訴求するナンバーワンの商品を持っており、生産力に何の問題も
ないなら、なるべく多くの人に知らしめるのが正しい戦略です。多くの人の
目に触れれば、それだけ売れる可能性が増えます。

しかし、小さな製造業者は、そんな夢のような商品を持っていようはずもあ
りません。
その場合、強者のマネをしていては勝ち目はありません。

例えば、大手メーカーの人気商品をたくさん売っている量販店があるとしま
しょう。そこに、小さなメーカーの類似商品を並べたとして、売れると思い
ます?
あなたがお客さんなら、わざわざよく知らないメーカーの商品を買いますか?

おわかりですね。商品で差別化するのと同じぐらい、チャネルを差別化する
のは重要なことなのです。

ところが、殆どの製造業者がチャネルの差別化ということに無頓着です。

1つには、自社商品が他社の商品と比べて十分差別化できているという妄想
に近い思い込みがあるのかも知れません。

さらには、人気商品のついでに売れるかも知れないという都合のいい期待。

そしてやはり、売れるならどこにでも売ろうという、実質的な「販売戦略の
放棄」があるわけです。

戦略とは、取捨選択するものです。だから、なんでもかんでも売るのは戦略
の放棄です。

これが「川原で石を売る」という行為です。


■ただし、チャネルの選択は、企業戦略です。思いつきで安易に決めるべき
ものではありません。

そのチャネルに実質、アプローチできるのか。
そのチャネルは、自社がコントロールできるのか。
そのチャネルで、本当に儲けることができるのか。

こういった観点から地味に判断することを忘れないようにしてください。


■3回に渡ってお伝えしてきた内容はいかがでしたか。

単純な話です。営業には「誰に、何を、どのように」売るのか。要素はこの
3つしかありません。

こに3つにおいて差別化しなければ、それは「川原で石を売っている」のと
同じことです。

商人道

日経BP文庫から「商人道−商は笑にして勝なり」(藤本義一著)という本が出ている。
内容的には、特にお勧めするほどでもないのだが…「へえーー」という雑学を知る楽しさがところどころある。

商人道とは、文字通り、商人が生きていく上での指針やルールである。江戸時代から綿々と引き継がれてきた教えのようなものがあるようだ。

■商いの三法
始末、算用、才覚のこと。始末と節約は同義に用いられるが、この本では、始めと終わりを明確にすること=帳面を合わせることから来た言葉だと説明されている。算用は利益の計算、才覚は能力のこと。

■商人に常禄なし
商人に安定収入はないという意味。商売の利潤からしか儲けられないことを再確認する言葉である。

■早耳の早倒れ
早耳とは、誰よりも早く情報をキャッチすること。ただ、それを鵜呑みにしては、危険であることを戒めたようだ。

■損して得とれ
これは、あまり知られてないでしょうね。実は、在庫管理の心得を示した言葉なのだそうである。
つまり、在庫品は損をしてでも売り切ってしまい、店頭を活性化して利益に結び付けろということである。

■先用後利
先に「使用」「効用」を提供すると、後から「利益」がついてくるという意味。これなど、顧客ベネフィットを第一とする現代のマーケティング理論にマッチしますね。

「ユダヤ富豪の教え」とか流行っていましたが、日本の商人の教えも、なかなか役に立つかもしれません。

アップルのこの動きは脱PCか

■米アップル、車内で「iPod」利用へ日本で提携拡大 車の中での使用を想定したカーオーディオシステムに力を入れているということです。BMWやメルセデスベンツ、トヨタなどが同社のシステムを採用とのこと。 先日もアップルの話題がありましたが、このシステムは脱PC戦略の一環なのでしょうか。システムを見ていないので分かりませんが、もし、脱PCを本気で目指しているなら、大したもんだと素直に思います。 どうなんでしょう。

いつまで川原で石を売るのですか?(2)

(2005年7月7日メルマガより)

■前回の続きです。

■商品づくりにばかりこだわる経営者がいかに多いかを申し上げました。

もちろん、商品にこだわることは重要です。
しかし、販売は、商品さえよければ成功するものではありません。

販売力とは「総合力」です。
その他の部分でも、差別化することができるはずです。


■まず、市場を選ぶことです。(これを市場セグメントといいます)

「売れるなら誰にでも売ろう」という姿勢は、実際には「買ってくれる人が
幸運にも現れるのを待つ」という意味です。

100人に1人、買ってくれる人が幸運にも現れるとすれば、10個売るためには、
1000人の人の目に触れなければなりません。100個売るためには1万人です。

幸運に任せるということは実に非効率です。


■では、10人のうち1人が買ってくれる状況はどうやれば作ることができる
のでしょうか。

社長さんの熱意でお客さんをその気にさせますか?

できるかも知れませんね。

ただ、社長が直接、お客さんに接することができるのは、限られた数になり
ます。うまくいったとしても、それでは、いつまでも社長の個人事業という
ことです。

むしろ、普通の営業担当者でも、販売できる方法を考えるべきではないでし
ょうか。


■どうすれば、いいのか?もうおわかりですね。

あらかじめ「買いたい」と思っているお客さんを探すことです。

この都合のいい考え方が市場セグメントの基本です。


■市場セグメントの分け方には、デモグラフィック変数、サイコグラフィッ
ク変数、ジオグラフィック変数、行動的変数などがあります。(難しい言い
方ですが)

細分化は、「このように分けたら、同じニーズを持つお客さんが多そうだな
ー」という仮説に基づきなされます。

単純な話、フライパンを売るのに、若い男性にDMを送っても意味ナシです。
やはり、既婚の女性にターゲットを絞ります。
さらに、年齢、所得層、家族のライフサイクルなどを絞り込んでいきます。

お客さんがはっきりしないと、DMを打つにしろ、キャンペーンを行うにし
ろ、無駄撃ちが多くなってしまいますから。


■詳しい話はコトラーの「マーケティング・マネジメント」に譲るとして...


最も単純で、効き目の大きい市場細分化は「地域を絞る」ことです。

殆どのビジネスがこの「地域を絞る」ことで、効果を得ることができます。


■小さなお店なら、自店を中心に半径500メートルに商圏を絞りこんでみ
てください。

近いということはそれだけ便利なことですから、お客さんにとってもメリッ
トがあるわけです。

そのメリットを感じるお客さんを相手に販売を試みてください。


■絞り込むことのもう1つのメリットは、力を集中することができることで
す。

小さな会社は、マンパワーで大企業に負けてしまうと思われがちですが、地
域を絞ると、その中では、小さな会社でも、数的優位を作り出すことが可能
になります。

地域を絞ることで、お客さんに接近し、把握し、管理し、十分な営業力で、
勝てる戦いをすることができるようになるのです。

■迷ったら「地域」を絞れ!

これが、攻めの経営の第一歩です。


■次回は、販売チャネルの差別化についてお話します。

いつまで川原で石を売るのですか?(1)

(2005年6月23日メルマガより)

■仕事がら、販路開拓の依頼をよくいただきます。

最近、ますます増えてきました。

まさに、販路開拓こそ、現代のキーワード。それぐらい、巨大な需要を感じ
ます。


■私も営業コンサルタントを自認しておりますので、どんな依頼も、とりあ
えずはお聞きします。

その際、私が依頼企業にする質問はシンプルです。

「何を、だれに、どうやって売るつもりですか?」


■はっきり言って、99%の企業がこの質問に答えられません。


■一番多いのが「うちの商品はすばらしいから、なるべく多くの人に売りた
いんだ」という類の答えです。

ランチェスターファンの方なら、おわかりですよね。

これこそ、戦略がないっていう状態です。


■弱者の基本戦略は「差別化」です。

差別化とは、商品、対象顧客、販売方法などにおいて、強者と違うこと(も
の)をすること。

これを忘れないでください。

人と違うことをしなければならないのに、「うちの商品はすばらしい」こと
を言い訳に、考えたり工夫をすることを放棄していませんか?

(そうです。商品のすばらしさを言い逃れの材料にしているのです)


■しかも実際には、「差別化」できているすばらしい商品にお目にかかるこ
とはめったにありません。


■経営者から話を聞くとき、ほとんどの時間が商品へのこだわり話に費やさ
れます。

なぜこの商品を思いついたのか。

製造上、どのような困難があって、それを克服したのか。

コストを犠牲にしていかに品質にこだわったか...


■私はいつも「川原で石を売っているようなもんだ」と感じます。

そのあたりで拾ってきた石を川原に並べて売っている状況を想像してくださ
い。

誰がそれを買いますか?


■経営者は怒るでしょうが、大抵の商品は「川原の石」です。

そんな商品へのこだわりは、石についた凹凸程度のものです。

「こんないい商品が売れないはずがない」と言う前に、「この商品では差別
化しきれなかった」現実を直視すべきです。


■その上、すばらしい商品でも売れないのは以前に書いた通りです。



■商品で差別化しきれなかったのなら、他の部分で差別化すればいいわけで
す...


■次号に続く。

インテルの独占市場

■アップルが採用を決めたことで、インテル製MPUはパソコン市場において独占状態となりました。

■不採用となったIBM製や、日本製の「セル」は、ゲーム機市場に活路を見出す狙いです。

 ■ただ、インテルも決して安穏としていられません。 なぜなら、パソコン市場というものがいつまで存在するのかわからないからです。

 ■今のところ、様々なコンテンツ配信の窓口はパソコンというのが大勢です。 しかし、今後、どんな技術が出来てくるかわかりません。 パソコンが突然、使われなくなることだってありえます。実は、独占状態とは、怖いことでもあるのです。

■インテルの戦略は、パソコン以外の需要を見つけることと共に、パソコン市場の寿命を少しでも延ばすことです。 独占市場から獲得した豊富な資金は、ほとんど、そのことに使われそうですね。

年功序列の市場はもう無い

(2005年6月9日メルマガより)

■トヨタが年功序列を廃止。(日経新聞の記事より)

といっても、従業員の処遇のことではありません。

消費者のターゲット設定を年功序列では捉えなくなったというニュースです。

■もともとトヨタは、フルライン戦略をとっています。

フルライン戦略とは、軽自動車から大型自動車まで、一般ユーザーのあらゆ
るニーズに応えていこうとする商品戦略です。

これはランチェスター戦略でいえば、「強者の戦略」に基づくものです。

■市場は需要の集合体です。

すべての消費者が同じニーズを持っていれば、一つの商品だけを作っていれ
ばいいのでしょうが、それはありえません。

■市場には、様々なニーズがあります。

それぞれのニーズに応じた商品を提供すれば、消費者の満足度は上がり、売
上は上がるでしょう。

だから、市場を消費者のニーズごとに分類して、対応しやすいようにしよう
とするのが「市場細分化」の考え方です。

■小さな会社なら、小さく細分化したセグメント1つだけに絞って、経営努
力を集中していきます。

小さなセグメントであっても、その中でナンバーワンを獲得することができ
れば、高い収益を上げることが可能となります。

■大きな会社は、1つのセグメントからの収益だけでは、会社を維持できな
い場合があります。

だから、複数のセグメントを選んで、対応しようとします。

フルライン戦略とは、おおよそ市場のすべてをカバーしようとする考え方で
す。

これは、自動車市場の中で、第1位であるトヨタだけが可能な戦略です。

■ところがニーズというのは、人の心の中のものですから、非常に捉えにく
いものです。

市場細分化といっても、ニーズを的確に分類することは難しく、その基準は、
目安でしかありえません。

例えば、年齢、職業、性別、所得、地域、ライフサイクル、性格、購買契機、
ロイヤルティ...

様々な基準で分類はするのですが、それは「この基準で細分化したセグメン
トなら、似たニーズが多いだろう」という仮説にしか過ぎません。

■しかも、ニーズというものは、状況によって変化していくものだから厄介
です。

一度、ぴたっとはまったセグメントが、いつまでもそのまま通用するとは限
りません。

むしろ、必ず変化するものであるというべきでしょう。

■ランチェスター戦略では、小さなセグメントであってもナンバーワンを獲
得すべきであると説きます。

その前提となるセグメントが、突然、消えてしまったりするのです。

「大阪で一番になるぞー!」って頑張っていたのに、ある日、その大阪が消
えてしまったら、どうですか?

もちろん土地が消えることはあまりないでしょうが、ニーズは消えるのです。

■トヨタは、年功序列で市場を捉えていました。

一般の社員はカローラ、部長クラスになればクラウンとかいった分類です。

それは高度成長期の日本の状況に対応するもの。

年功序列の細分化基準は、高度成長期のトヨタの戦略の基盤となっていまし
た。

■しかし、ご存知の通り、日本の企業社会は年功序列を必要としなくなって
きています。

つまり、年功序列を基準とした細分化ではニーズを捉えられなくなってきて
いるのです。

トヨタが年功序列を無視した商品戦略(レクサスの投入)に変化させたのは、
合理的なことです。

■ランチェスター戦略は、市場におけるシェアトップを目指すことを勧めま
す。

しかしその前に市場は絶えず変化することも忘れてはなりませんね。

アップルのジレンマは?

■「イノベーションのジレンマ」とは、優良企業がその優良さゆえに失敗してしまうという理論です。 その言葉を聞くと、ソニーがなぜ「ウォークマン」というナンバーワンブランドを持ちながら、やすやすとipodにトップの座を明け渡してしまったのかを考えてしまいます。 一説には、自社の開発技術であるMDにこだわったためだと言われています。 ソニー内部にも、MDは過渡期の技術に過ぎないという意見が前々からあったようですが、それでも、独自技術へのこだわりはなかなか捨て切れなかったようで、ネット配信への対応が遅れました。

■アップルは、ipodを発売するにあたり、「iチューンズ・ミュージックストア」というインターネット音楽配信システムをつくり上げました。 ipodをパソコンにつなぐだけで簡単に曲をコピーできる仕組みです。 配信と受信というバリューチェーンの出入口を抑えたわけですね。

 ■今のところ、この戦略がアップルを業界ナンバーワンに押し上げました。 他のレコード業者が、豊富なコンテンツを抱えながら、インターネット配信ビジネスに乗り出せないのは、CDの売上を急激に下げるわけにはいかないという事情があるといいます。(権利関連も相当難しいらしい) このあたり、分かっていながら踏み出せないというジレンマをそれぞれの大手企業が抱えているわけです。

■ただ、アップルのシステムはパソコンを介さなければなりません。これが、1、2年後、アップルのジレンマになるのではないかと懸念されます。

■日本では、すぐにでも、携帯電話でのネット配信が中心になると考えられます。技術的にも、大容量のHDDを携帯電話に搭載することは可能です。 ユーザーにとっては、パソコンなど無い方が、便利なのです。 常識的に考えれば、ナンバーワンであるアップルは、率先して、携帯電話へのネット配信をリードすべきであるのですが、果たして、パソコンとの連携を捨て去ることができるのか。 (アップルは、音楽配信を始めてから、パソコンの売上が伸びています) 見ものですね。

プロフィール
komai 小

営業関連のコンサルティングをしています。
製造業や卸売業などの営業組織を強化する仕事を得意としております。

株式会社クリエート・バリュー代表取締役
NPOランチェスター協会理事
NPOランチェスター協会関西支部
NPOランチェスター協会認定インストラクター
中小企業診断士   販売士1級

コンサルタントになる前は、日本酸素株式会社魔法瓶事業部(現在のサーモス株式会社)で14年、営業担当をしておりました。
その時、廃業寸前の赤字だった事業部がわずかの期間で世界トップ企業になった経緯を体験したことが、経営コンサルタントになったきっかけとなりました。
当時、経験したことや見聞したことを物語風にアレンジしたのが、拙著『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』です。
面白い本なので、ぜひ読んでください(^^)

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