わたしは価値を創る

大阪在住の経営コンサルタントのブログです。

起業のハードルが下がっているなあ。

世界で580万「いいね!」を獲得した日本のベンチャー 英語を話せなくても海外で起業できる

TOKYO OTAKU MODE

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■集客はfacebook。翻訳してくれるボランティアもwebで集めて事業展開しているそうです。

ビジネスチャンスを見つける目があれば、事業運営はアイデア次第でどうにでもなるという例ですね。

これを読むと、起業のハードルはますます下がっているように思えます。

■ビジネスチャンスを見つける目といっても、この場合、日本のオタク文化(アニメやコスプレなど)を海外に紹介するだけですので、既に皆が知っている市場です。

むしろ、こうした紹介サイトが今までなかったことが不思議でした。

どうやら英語もできない若者5人が立ち上げたサイトに、ファンドからの出資がついたらしい。

だとすると、ビジネスチャンスはどこにでも転がっているのですね。

■これがビジネスになるのだとすれば、バリエーションはいっぱいありそうです。

日本が誇る文化は多様です。

日本食、ファッション、映画、忍者?、その他伝統文化。

いっそのこと、COOL JAPAN をまとめて紹介する英語サイトを作ってはどうか。

そんなの誰かやっているよーーと思うようなことが、実は空いているのかも知れませんよ。

■こうしたビジネスはすぐに模倣されます。

だから手早く初めて、シェアをとってしまわないと、やる意味がありません。

ある程度、最初にコストをかけて、一気に市場に認知される必要がありそうです。

ただし、それでも、リアルビジネスに比べると、圧倒的に初期コストがかからない。

やはりアイデアと、思い切りの世界です。

やったもん勝ちですよ^^

日本の家電企業が勝つ方法

日本の電機 復活できる?

■本日の日経新聞の記事です。三品和弘氏(経営学者・神戸大教授)と若林秀樹氏(投資会社社長)がインタビューに答えています。

結論からいうと、韓国企業をライバルと見なした場合、ニッチ分野への特化、製品サイクルの遅い分野(重電、エアコンなど)へのシフトを勧めています。

■韓国企業の特長は、巨大企業にも関わらずリーダーシップが利き、決断が早い、経営にスピード感があること。事業チェーンの中でも得意分野に特化して、他の企業と提携することがうまい。

これに対して、日本企業は、リーダーシップが利かず、合議制のため意思決定が遅い。自前主義が基本で提携が下手です。

ただしメリットは、ミドル層の能力が高いこと、基礎的な技術の蓄積があることです。

■私なりのフレームワークで捉えると、韓国企業は「戦略的なポジション取り」に優れており、チャンスとみると一気呵成に市場を押さえてしまいます。欧米企業もこれが得意ですね。

日本企業が得意なのは「経営資源を蓄積する」ことで強みを発揮することです。技術や人材の持つノウハウや経験を活かす経営です。だから時間がかかりますが、じっくり腰を落ち着けてやる分野では他の追随を許さない圧倒的な強みとなります。

■だから「ニッチ市場に特化する」という方法は、日本企業が持つ優秀なミドル層をミニ社長に仕立てて、細かいが多くの市場を押さえてしまおうという考え方です。

細かい市場をちまちま押さえるというのはみみっちいように思えますが、これを貫くと、ホームセンターのコメリのように、他社が太刀打ちできない強みを持つようになります。

なぜ太刀打ちできないかというと、時間がかかるからです。気づいた時には、はるかに引き離されているわけです。逆にいうと、そんな悠長なことをしてられないと多くの企業が引くので、ねらい目でもあるわけです。

ただし課題は非効率性をいかに克服するか。管理システムの工夫と、市場を見つける際にシナジーをいかに捉えるかですね。大抵は、この非効率さに耐えられずに断念するでしょう。その意味では、京セラが得意なアメーバ経営の仕組みを研究するのもいいかも知れません。

■「製品サイクルが遅い分野へのシフト」というのも、自社に蓄積されたノウハウをじっくりと活用できる施策です。

重電、産業用機器などは、市場の動きがそれほど早いわけではないので、技術的優位性、経験の蓄積が効きます。

技術開発の方向性を絞りやすいというのも、日本企業にとってはいいことです。

■日本の家電企業が総負けみたいな雰囲気になっていますが、強みもあるのだし、戦いようはあるということです。

大切なのは、戦うからには勝つこと。逆にいうと、勝てる分野で戦うことです。

上記2つは、その一例ですね。企業の状況によって勝てる分野は違うでしょうから、それぞれが考えていただきたいと思います。

メジャーリーグとプロ野球の運営の違い

メジャーリーグとプロ野球の差はコミッショナーの経営力の差にあった

■面白く、分りやすい記事です。

過去15年間で、メジャーリーグの収益は4倍になっているのに、日本のプロ野球は横ばいのままだそうです。

その差をコミッショナーの経営力に求めます。

■ただしそれは個人の能力という意味ではありません。コミッショナーの権限、制度の差です。

記事によると、メジャーリーグは1919年に八百長事件が起きて、権威失墜してしまいます。危機感を抱いた関係者は、危機を乗り越えるためのリーダーシップをコミッショナーに託しました。

その際、オーナーの合議を超えて、意思決定できる機関として、コミッショナーを設定しました。

■だからコミッショナーは、各球団の個別利益ではなく、全体の利益を純粋に追求できる立場にあり、それを実施できる能力を持つ人物が選ばれます。

いや、逆にいうと、初期のコミッショナーが能力を発揮したために、各球団は文句を言わずに従うという姿勢を持ったのかも知れませんね。

ともあれ、危機に際して、まずは制度を根本的に改めようとしたメジャーの動きは見事です。

■ご存知の通り、日本は各球団の合議制です。コミッショナーはいるものの名誉職の色合いが強く、権限を持っているとは言いがたい。

ありていにいうと、読売巨人軍が、実権を握っており、全体利益の追求を妨げるような状況にあります。

しかも読売巨人軍のオーナーが常に優秀なために、他のオーナーからすると文句が言いにくい。巨人軍は企業努力しているんだ!と言われれば、その通りなので、強く言えないんでしょうな。

■メジャーというかアメリカは、危機に至った時の対応が早く、思い切りがいいですね。

全体の利益のためには個々の利益を忘れよう。。正論ですが、当事者たちが、それを素直に聞くというのは日本では考えにくい。アメリカは単純な正論が通るんですね。それは素直に感心します。

そろそろ日本でもメジャー型コミッショナー全権運営をしようという声が上がってもおかしくないでしょうが、ナベツネ氏がいる限り、無理なんでしょうね。

その前に、政局争いを繰り返す政治の世界をなんとかしてほしいもんですが。

アフリカで「ゲイシャ」が売れているらしい…

アフリカが愛する「ゲイシャ」の味

■西アフリカで「ゲイシャ」という凄まじい名前の缶詰が売れているそうです。中身はサバのトマト煮込みです。

発売は101年前。政府の日本製品売り込みの一環として輸出されたらしい。他にも「フジヤマ」とか「スキヤキ」とかあったんでしょうかね^^

この商品がどうして売れたのかは不明です。記事によると、現地に強い代理店が力を発揮したらしい。

今ではこの商品川商フーズの稼ぎ頭の一つであり、担当者はこの商品を廃れさせてはならないと使命感を持っているようです。

■残念ながら、この記事では、いっぱいチャレンジした中の成功した一つの商品だと読めます。

販売の工夫だとか、商品の改良だとか、あったのかなかったのかも分りません。

これから販売していこうとする者の参考にはなりにくいのではないでしょうか。

■実は私も海外進出しようとしている企業のお手伝いをすることもありますが、やはり、鍵になるのは、現地の状況をよく知る代理店や人物と提携することです。

現地任せにするというのは、販売戦略を立てる側からすれば、避けたいことなんですが、背に腹は変えられません。今のところ、代理店に頼ることが多い。だから私の関心は、いかに消費者と強い結びつきができるような体勢の提携をするかに向いています。

そのためにはどういう人と提携するか、どういう付き合いをするか、が重要です。

ここを任せきりにしているとあとでしっぺ返しをくらいますからね…

■ともあれ、アフリカで成功している日本製品もあるんだということで、価値ある記憶として大切にしておきます^^

マーケティングとは、顧客を創造することである

「農家への恩返し」農機で国内トップのクボタがコメ輸出を開始

■農機国内トップのクボタが、米の輸出に乗り出したそうです。売り先は海外の日本食レストランなど。3年後には年500トンを出荷する計画です。

2009年の米年間生産量が850万トンですから、まさに米粒ぐらいの量です…

もっとも、2010年の香港への輸出が428トンであることを考えると、それを倍増しようという計画ですから、意欲的であることは間違いありません。

資料:日本産および日系企業現地生産品の小売での販売動向(JETRO)

■ビジネスの第一歩は、需要を掴むことです。クボタは、米農家を標的にしていますから、米の生産量低下は、そのまま農機需要の縮小につながります。

国内から、海外需要にシフトする、というのは一つの選択ですが、同時に縮小していく需要を下げ止めしなければならない。

その施策の一つが今回の米輸出という事業です。

■日本は成熟市場ですから、多くの業界で、トップ企業はこの問題に直面しています。

ある日本酒メーカーは、日本酒の火を消さないために、米農家を支援し続けています。秘密らしいので、ここでは書きませんが(といいながら、セミナーでは事例として挙げさせていただきます^^)需要減が激しい日本酒の世界では、状況は深刻です。おいそれと海外に行くわけにはいかないでしょうし、米農家を守らないと、日本酒づくりもままなりません。

逆に、需要を拡大するために、顧客を育成しようとしている企業も多くみられます。海外で日本の製品を売るためには、自社製品を使用するシチュエーションを作っていかなればなりません。

インドネシアで、断食後の水分補給液として、アレを売っている会社もありますね^^

■「4分の1インチのドリルを買った顧客は、4分の1インチの穴を買ったのである」と言ったのは、マーケティング学者のセオドア・レビットです。

「マーケティングとは、顧客を創造することである」と言ったのは、ピーター・ドラッカーです。

単に目に見える需要、既にある需要を見つけるだけではなく、需要そのものを作る、というダイナミックな動きが、経営戦略の醍醐味です。

そんな難しいことできるんかーーと言われそうですが、実際にやっている会社はありますし、そういう会社は新市場のトップになることができます。

このテーマは面白いので、次回のメルマガで発展させようかな^^

■今回のクボタの試みは、面白いので注目しています。コマツや他の農機具メーカーも賛同して、同じような動きをすべきですよね。

ただ500トン程度では何ともならない(ー_ー;

「農家への恩返し」というレベルでは需要を下げ止めすることはできません。ビジネスとして、動くレベルにまで持っていってもらいたいと思います。

競争ルールを変える!

競走競技における競争ルール――何をすれば勝てるのか?

■いい記事ですねーー

競争競技における勝つための方法をテーマにしています。

同じ競争競技でも、使う能力が違います。100m走と1000m走とマラソンで、同じ人物が優勝する可能性がゼロでしょう。

同じく、水泳で自由型と平泳ぎ両方で優勝できる人もいない。

競技において勝つことを目指す場合、トレーニング法とか、当日のメンタルケアとか、現場実践的なことに目がいきがちですが、それ以前の問題を取り上げています。

そもそも、今の競技が自分に合っているのか?

■記事内では、競争に勝つ方法を戦略的にまとめています。

1.現在の競争ルールの中で勝つ方法を地道に努力する。

2.自分に合う競争ルールを見つけて、そこで戦う。

3.自分に都合のいいように競争ルールを作りかえる。

私は地道な努力が好きな専門家タイプなので、1にこだわってしまいますが、それは一方法でしかありません。

勝てないのに努力する人が増えれば増えるほど、1位の人間が得をする仕組みになっています。(だから1位の人間にとっては、勝てなくても努力する姿は美しい…という価値観を流布することが都合がいい)

「戦略は今の仕事を無効にしてしまう」というのは、今の競争ルールから外れよという意味でもありますから、2,3を視野に入れなければならない。

■では、自分に合った競争場所を見つけるにはどうすればいいのか?

これは私が起業希望者に言う内容でもありますが、

「好きなこと」地道な努力の期間に嫌気がさすようなものはしない方がいい。

「得意なこと」少なくとも、周りの人達よりは得意なことをするべき。

「儲かること」その道の達人となった時に、儲かるようなことをするべき。

この3つがクロスする分野を見つけてください。

この3つのどれが欠けても、後で後悔することになると思います。

■3つめの競争ルールを変えてしまうことなどできるのか?と思われるかも知れませんが、ここに競争戦略の極意があります。

例えば、少し前のブログに書いた、時計メーカーの戦略は、「機能、品質」という価値から、「装飾性、ステイタス」という価値に変えたという意味で、競争ルールを変えたわけです。

ユニクロは、アパレルの世界が「機能、品質、流行」という価値で戦っていたのに対して、「機能、品質のみ」という競争ルールを持ち込み、その世界で一人勝ちしました。

マーケティングでいえばSTP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)、経営戦略プロセスでいえば事業ドメインの設定(誰に、何を、どのような方法で売るのか)が、このルールを作り直すということになります。

このルールを変える方法を見つけるには、「ポジショニング・マップ」が役立ちますが、詳しい説明は省略します^^

■実生活においても、したたかな人は、ルールを変えることがうまい。

昔、プロレスラーの前田日明が若手で勢いのあった時「猪木さん、俺と戦ってください」と生放送でアントニオ猪木に迫ったことがありました。

すると猪木は、いきなり「これは、若手とベテランの戦いだ!」と叫んで、若手、ベテランの5対5マッチに切り替えてしまったのです。

それをテレビで観ていた私は、子供心に「老獪っていうのはこういうことなんだーー」と大いに感心しました^^

中国で健闘する日本の時計メーカー

スイスの時計に押される中国市場で健闘 売り上げを伸ばすシチズンの地道な努力

■いい記事ですね^^

かつて日本製の精巧な時計に窮地に陥ったスイス製時計が、復活のためにとった戦略は、ブランドの再構築でした。

「いいものを安く」ではとても日本製に敵わないので、「時計はファッションでありステイタスである」と打ち出し方を変えました。

時計という機能のついた宝飾品であり、ファッションのシンボルです。

そういえばサッカーの本田も、両腕に高級時計をしていますね^^

■顧客に対する提供価値を変えたスイス製に対して、日本製はしばらく機能勝負を続けていました。

しかし価格では中国製に敵いませんし、機能や品質もコモディティ化してしまっています。

そもそも、我々は、時計という機能を携帯電話で代用してしまっていますから、よほど飛行機の発着時に時間が気になる人以外は、腕時計をする必要性を感じません。

■そこで、日本製も遅まきながら、顧客への提供価値を変えて、中国での巻き返しを図ったという記事です。

今更か。と言われるかも知れませんが、組織が提供する価値を変えるということは、余程のことなんですね。。。ご事情お察しいたします。

■さて、シチズンは、当然のごとく、10万円以上をターゲットにするスイス製時計を避け、3万円以下をターゲットとする中国製時計を避け、その少し上である3万5千円ゾーンをターゲットとしました。

やり方は、スイス製の施策を踏襲しているようですね。有名人を使ったり、高級店舗を作ったりして、宝飾品としてのブランドイメージを構築しようとしています。

日本製の強みは、比較的安価で高級時計並みの機能品質を実現できること。およびそのイメージですから、それを活かした施策です。

さらには、サービス網を中国に張り巡らせて、技術に強いメーカーの特徴を活かそうとしています。

■中間層を狙うというのは、いいやり方です。支払い能力もそこそこあり、量が多い中間層は、最もおいしい市場です。

スイス製もスウォッチなどがそこを狙ってきていますが、中国にはまだ浸透しきっていないのか、あるいは露骨に「プアマンズ・ロレックス」を狙うポジショニングが受けたのか、売れているということですね。

こういう記事を読むと、中国やアジアの市場では、まだまだ広大な差別化領域が残されており、やりようによっては、日本企業も十分に戦えるということが分ります。

ボリュームゾーンを押えた後に、ハイクラスを狙うというのが、戦略の王道ですから、そこに至るまで頑張っていただきたいものです。

シチズンだけではなく、セイコーもカシオも、中国ではどのような戦略をとっているのかを聞きたいですね。

■ちなみに、今日、メルマガを発行しました。

そこで「ビジネスが成立するための3つの要素」というフレームワークを提示しています。

この記事もそのフレームワークで見てみたら、スッキリと分りやすかったですよ^^

リーダーは、理論を越えたエネルギーを持つ存在である

マネージャーは、正しいことをする。リーダーは正しいと思うことをする。byピーター・ドラッカー

■CS放送のBBT757で「社会変革型リーダー」なる番組を観ました。

講師役は、元経済産業省出身の朝比奈一郎氏。現在は、青山社中なる会社の代表です。いかにも熱いでしょう^^

端的にいえば、日本のためを思って活動するリーダーよ出てこーーいという番組です。

私は自分の仕事の中から、精神論的な要素を省くようにしていますので、こういう熱い思いを語ることはありませんが、実をいうと、元々は熱いことを言いたがる人間です^^


■朝比奈氏は、官僚として日本のために粉骨砕身働いてきたという自覚を持っておられるようです。多
分実感でしょう。また周りにも同じような気持ちで働く同士が多かったとか。

ただそれだけ働いても、結果が伴わないというのは、やり方が間違っているのではないか?と問題意識を持っておられました。

そのやり方をどう変えるのかというと、朝比奈氏の結論では、「正しいと思うこと」をやり切ることです。

たとえ、前例がなくても。法律に反していても。

その社名からわかるとおり、朝比奈氏は、自分の活動を維新の志士になぞらえています。「自分が何をしたって命をとられるわけではないので、まだぬるい」と言っていました。


■寛容さをあえて排除しようというやり方です。

つまり「日本は税金が高いからシンガポールに会社を移そうぜ」という人たちの価値観を“悪”だと判定しています。

元々は熱い私も、こうした一方向からの見方には、違和感を覚えました。

どうも私は、物事を相対化することに慣れてしまったのかも知れません。

朝比奈氏のやるように、物事には多方面から意味づけできるということを無視したほうが、実践的なのかも知れません。

でも、ここは素直に頷けなかった。


■ただし、世の中や組織を動かす原動力になるのが、理論の整合性を越えたエネルギーであることには、納得します。

日々、現場で実感していることだからです。

いろいろ考えさせられて、勉強になる番組でした。

戦略と戦術

2週間以内に、インターネットを使ってあなたの事業を破壊するビジネスを考えなさいbyジャック・ウェルチ 2000年にGEの全事業部に発した指示。

BBT757「内田和成のビジネスマインド」より

■日本人の特徴ともいわれますが、優秀な人ほど環境に適合して、うまく仕事をこなしてしまいます。それが他人よりも巧妙で、早いから、優秀だとみなされます。

どんな条件であっても結果を出すのが上に行くやつだとも言われます。

■ところが、そういう人が、いつしか時代遅れになって陳腐化してしまうのはなぜなのか。

いわゆる「イノベーションのジレンマ」です。革新的だと思われた技術やスキルなどが、いつしか時代遅れになってしまう。

なぜなら、環境はゆっくりと変化するだけではなく、突然、変化することがあるからです。

■例えば、ソニーという優秀な会社が、しばしば現状の技術にこだわるあまり、新しい時代に乗り遅れるということを繰り返しています。

ブラウン管テレビしかり、CDプレーヤーしかり、ゲームビジネスしかり。

要するに、ソニーは極めて優秀な会社であるがゆえに、現状の技術を極めることに優れ、新しい技術の対応に遅れてしまうのです。

ソニーは決して戦略的な会社ではないということを示しています。

■現実的な施策であればあろうとするほど、現状の延長となってしまいます。

戦術をいくら極めたところで、それは現状の効率化に止まります。

日々の業務を改善することは重要ですが、それだけでは非連続的な環境変化に対応できません。

戦略を考える人間が会社には必要です。

■戦術は今の仕事を効率的にする。戦略は今の仕事を無くしてしまう。

これは私の反省でもあるのですが、戦略に関わる者は、現状の破壊と、それに伴う抵抗や反発を恐れてはなりません。

自らを律していきたいと思います。

戦略と戦術




メルマガ発行 物語の威力について

■ゴールデンウィークですね^^

今週、やるべきことをリストアップしたら、あるわあるわ。休んでいる場合ではないのですが、どうもエンジンがかかりません。中途半端にやるよりも休んだ方がマシと開き直っている昨日、今日です。

といってもメルマガは書かなければなりませんので、発行いたしました。

物語風ビジネス書を読んでみよう

今回は、ビジネス書の紹介だけしとこうと思ったのですが、書いているうちに乗ってきて、物語の効用や危険性などといった話に発展させています。

■何を隠そう私は物語というものに並々ならぬ関心を持っています。

基本的にメルマガも物語性を重視して書いていますし。

コンサルティングにおいても、密かに、物語の手法を使ったりしています。

できれば、もっとどっぷり物語に浸かった生活がしたいぐらいです^^;

■だから、次のような記事は気になります。

「もしドラ」は売れないと思っていた(ドワンゴ川上会長)【特別対談】岩崎夏海さん×川上量生さん

この中で、岩崎夏海氏は、講演などで切羽詰まった質問をされた時「相手を慰めるようなことを言ってもダメ、かといって厳しいことを言ってもダメ」こういう時に相手が納得するのが物語だと発言しています。

うーーん。この感覚、よく分かります。

メルマガにも書きましたが、論理と物語は重なる部分もあれば、重ならない部分もあります。

論理では割り切れないが、納得できる、というのは物語の力だと私は考えています。

■コンサルティングの場面などで、まず重視するのは論理です。カオスのような現場を整理して理解を共有するためには、徹底して論理化、数値化していきます。

ところがその作業によって理解したからといって、メンバーのモチベーションが上がるとは限りません。むしろ丸裸にされてやる気を失う人がいるかもしれない。

すべてを客観化し白日のもとに晒すというのは実は危険なことで、細かな矛盾や不都合が明らかになったり、不公平が表れたりします。

■論理的に解はないが、道を示さなければならない。そんな時に威力を発揮するのが物語です。

私のコンサルティング手法は、客観化の作業をすすめながら、その企業独自の物語を探す作業も同時に行います。むしろ、客観化はある程度パターン化できますが、物語を探す作業はパターンをつかんでいないので気力を使います。

でも、それが私のコンサルティングの独自性になっているのでしょうね。

■今回、メルマガを書く中で、自分でもあらためて物語の重要性を認識しました。

この分野は、今年、さらに深めていきたいと思います。

起業家タイプについて

度胸と発想力で逆境を覆し2度の株式上場を果たした楽天家 KLab社長 真田哲弥

こういう人のことを「起業家」というのでしょう。真田哲弥氏のことは、抜群に面白い起業ノンフィクション「ネット起業! あのバカにやらせてみよう」を読んだ時から親しんできました。私が勝手に親しんでいるだけですが。

■起業家には3つのタイプがあると私は考えています。

(1)起業家(アントレプレナー)タイプ

(2)専門家(スペシャリスト)タイプ

(3)管理者(マネージャー)タイプ

です。

なお、この分類については、先日発行したメルマガ「3つの起業家タイプが注意すること」に書いております。

■起業家タイプは、ありていに言えば起業そのものを目的とするタイプです。

中身の伴わない浮ついた人もいますし、私はそういう人ばかり見てきましたが、起業家がいないと社会は非連続的な発展を遂げません。会社員タイプに社会の運営を任せていれば、現状維持→ゆるやかな衰退ということになってしまいますから。

真田氏が、実際にどういう人かは知らないのですが、こうして、自らのコンセプトを次々実現する構成力と実行力は、本物の起業家というに相応しいと思います。

■起業家タイプが成功するためには、コンセプトを実現するための仲間集め、その管理が必要です。

管理者タイプを兼ねているならば問題ありませんが、人間的な魅力で管理者タイプを連れてきてもいいでしょう。

成功する起業家タイプは、欠点を上回る人間的な魅力があり、人を惹きつけます。

そして小さなことに頓着せずに、人に任せることができます。

■自分の独自スキルで勝負している専門家にできないのは、この人に任せるという部分です。

私は起業家的気質も持っていますが、やっていることは専門家としての仕事です。自分のスキルを中心にビジネスを組み立てて、自分の時間を切り売りしています。基本的に自分が責任をとれる範囲でやっているので、大きく失敗することもないが、大きな成功もない。ローリスク、ローリターンの仕事です。

ローリターンだからといって悪いことはありません。そういうビジネスなのです。もっとも実際にはもっとリスクの高いことをしたいという気持ちを抑えています。専門家にとって、起業家のようなやまっけは、破滅に向かう道ですから^^;

■とはいいながら違うタイプの者が提携することで、自分の枠を越えることは可能だと思います。

まずは自分のタイプや気質を見極めて、どういうビジネスを志向するのか。

さらには、誰と組めば、うまくいくのかを慎重に考えていきましょう。

抽象的思考の価値

「抽象」と「具体」の往復運動

■「ストーリーとしての競争戦略」の著者楠木健氏の記事です。

著作にもありましたが、楠木氏は抽象的思考の価値を重視しています。

■「経営は実践。机上の計算ではない」とよく言います。当然ですね。現実の経営には例外事項や突発的な事態が多くて、計算通りにはいかないことが多いでしょう。

しかし机上の計算が不要かというとそうではない。たとえ計算できる部分が全体の20%だったとしても、事前にシュミレートする意味は大きいと考えます。

事前の計算を行うためには、全体像やプロセスを掴む努力をしなければならず、その作業が、突発的な事態への対応力を高めます。

何が例外で、何が例外でないかを掴まないと、現場処理が膨大になってしまうからです。

■私の仕事は、経営に論理を持ち込むことです。

「経営は理屈じゃない」と反発を買うことの多い仕事ですが、その背景には、全体像やプロセスを把握する能力の欠如があるのではないかと考えています。

「抽象」と「具体」の往復運動ができることが頭がいいということだと楠木氏は言っていますが、私もその通りだと思います。

それは言うほど簡単な運動ではありません。訓練も必要ですし、何より、抽象と具体を往復するという意識を持たなければ身に付かない能力です。

■ただそれは特殊能力と言うほどのものではない。誰もが身に着けられます。

私がそれほど秀でているわけではないので恐縮ですが、皆様には、抽象的思考の価値を伝えていきたいと思います。

日本企業は、韓国企業に技術で負けたのだという指摘

先日倒産したメモリメーカーの友人と飲んできた話

エルピーダよ、2度目の敗戦を無駄にするな 社長とアナリストが語る「負けた原因」は大間違い

■日本企業の凋落例が語られることが多くなりました。家電産業しかり、半導体でもしかり。エルピーダの件は、突発的な円高や天災のせいではないと書かれていて、説得力があります。

上のメモリメーカーの話は、ソースがはっきりしないので、眉唾だと思われるかも知れませんが、主張は重い。

要するに、日本企業は、韓国企業に技術で負けたのです。

ところが、多くの日本人は「日本の技術はまだ世界トップだ」と信じています。だから、何か分かりやすい納得できる原因を他に求めようとしています。

現場サイドからこういう記事が出てきたことを注目しなければならないと思います。

■エルピーダの記事では、「安く作ることは技術である」と書かれています。為替相場や人件費の問題ではない。

自動車でも、ハイブリッドという困難な技術ではなく、エンジンそのものを小さくすることで低燃費を実現した技術がBMWによって開発されていると聞きました。

この分野でも、革新的な技術を開発するのは日本企業ばかりではないという状況が出てきています。

つまり、我々は、この状況を現実として認めなければならないということです。

現状を正確に把握しないと、的確な戦略を立てることはできません。

■もちろん日本の技術が全てトップではなくなったわけではないでしょう。現場においては、他の追随を許さない技術が多いに違いない。

ただ、現場の技術が、最終的な利益に結びついていないというのが問題です。

ということは、問題は、どうやって利益を出すのかという「ビジネスモデル」であり、そもそも、どの分野でビジネスを展開していこうかという「戦略」にあります。

■日本は現場が優秀すぎたために、戦略を作ってマネジメントする人材が育たなかったのだと私は考えています。

大きな方向性と現場の知恵を結びつけること。これは、私が普段から仕事で行っていることでもあり、今最も必要とされることであると確信しています。

新しい戦略が機能するまでには時間がかかりますし、痛みを伴いますが、日本企業の惨状が伝えられる現在だからこそ、真剣に取り組めるのではないか。

そう考えて、新たな時代を切り開かないと、未来はありませんね。

エルピーダメモリ

営業マンはプレゼンテーションの練習をすべき

誰もがスティーブ・ジョブズになれる!?プレゼン成功5つの秘訣 

■営業マンはプレゼンテーションの練習をすべきだと思います。

そんなの当たり前やないかーーと思われるかもしれませんが、実際のところ、改まったプレゼンテーションを必要とする営業マンはそう多くありません。

気心の知れた担当者を相手に、雑談のように新製品の紹介をしている人も多いようです。

そういう人たちは、普段のコミュニケーションに重点を置いているので、プレゼンテーションに注力する気持ちがありません。

セミナーの際でも「うちの会社はプレゼンなんて必要ない」と堂々と仰る方がいます。

■適切なプレゼンテーションをするためには、顧客の問題と、それを解決する方策を事前によく理解しておかなければなりません。

その上で解決策(主要メッセージ)とそれを補完する根拠(サブメッセージ)をシンプルかつロジカルに構成する必要があります。

その上で、できるだけ、相手にインパクトを与えるようなメッセージを配置することが出来れば、なおいいプレゼンテーションになります。

■つまり、いいプレゼンをするためには、顧客と自社商品に対する深い理解に加えて、相手に響くための構成力が必要になります。

改めて、プレゼンテーションをやってみろと言われて、すぐに出来る人は少ないはずです。

だからこそ、練習に意味があります。プレゼンに必要な知識やスキルは、営業に必要な基本的知識やスキルを深めることに他ならないからです。

重要だと思うのですがね。いかがでしょう。

もはや電機メーカーはローカルメジャーでは生き残れない

電機産業、興亡の岐路 世界市場の主導権失う

■日本の電機産業が危機的状況に陥っています。

昨年は、東北の地震、タイの洪水、ヨーロッパの危機と歴史的な事項が重なった年でもあり、イレギュラーでした。

ただし、記事にもあるように、露呈するのが少し早まったというだけで、構造的な危機的状況であることは否定できません。

むしろ、早めに露呈して良かったと言えるのかも知れません。

■よく比較される韓国企業は、最初からグローバルを目指してビジネスしてきました。戦略は明瞭で、いわゆるグローバルニッチです。

日本企業のように総花的な事業展開は行わずに、グローバルに勝ち目のあるところに集中投資をしてきています。

それが効を奏した形です。

■対して日本企業は、国内需要が十分だったので、ローカルメジャーを志向していました。

松下電器などは、その権化でした。松下は、技術力のある会社ですが、その強みは国内における販売力にあります。ローカルメジャーとしては、完璧な会社です。

その他の企業も、大雑把なビジネスモデルの枠組みでいえば、そのフォロワーです。

つまり韓国企業とは戦略が違うわけですから、同列に並べられない。

日本企業にとってグローバル市場は、国内市場の補完のようなものだったはずです。

■深刻なのは、国内市場の縮小により、ローカルメジャーを続けるならば、事業規模を縮小せざるを得ないという事情です。

ついでにやっていた海外市場に今さら力を入れても、簡単にはいきません。

■それ以上に深刻なのは、もはや、電機メーカーがローカルメジャーで生きていくことはできないのではないか?という問いです。

小売、建築、不動産。こういった事業は、ローカルで生きていけるかも知れません。

メーカーでも、食品などはローカルでもいいでしょう。

しかし、日本が得意とする産業分野のメーカーは、グローバルに展開して、規模の経済を発揮しないと生き残れないのではないか。

つまり、得意分野に特化して、グローバルニッチを目指すしか、生き残れない。

しかも記事にあるように、戦略転換が遅れたので、相当ニッチを探さなければならないかも知れません。

サムソンのようにスマートフォンとか、テレビパネルとか、半導体とか、既に大きくなっている市場に特化することは無理で、さらに小さな要素技術や、ニッチ市場を拾っていかなければ戦えないということです。

■痛みを伴う戦略転換になることは間違いありません。が、富士フィルムのように「主要産業がなくなってしまった」ところから、小さな市場を丹念に拾って生き残った例もあります。

今のところ、それぐらいしか方法が浮かばないですね…

この問題については、私なりに、さらに考えてみたいと思います。

ソニー・スピリット

フリーランスとか大手とか言ってないで「ソニーの開発18か条」を今こそ振り返ってみよう!

■昔、ソニー開発十訓というものを見た記憶がありますが、この記事によると18か条だったんですね^^

それはともかく、この18か条を読むと、ソニー・スピリットの正統な継承者は、アップルだと言いたくなります。

引用

ソニーの『開発18か条』


第1条:客の欲しがっているものではなく客のためになるものをつくれ

第2条:客の目線ではなく自分の目線でモノをつくれ

第3条:サイズやコストは可能性で決めるな。必要性・必然性で決めろ

第4条:市場は成熟しているかもしれないが商品は成熟などしていない

第5条:できない理由はできることの証拠だ。できない理由を解決すればよい

第6条:よいものを安く、より新しいものを早く

第7条:商品の弱点を解決すると新しい市場が生まれ、利点を改良すると今ある市場が広がる

第8条:絞った知恵の量だけ付加価値が得られる

第9条:企画の知恵に勝るコストダウンはない

第10条:後発での失敗は再起不能と思え

第11条:ものが売れないのは高いか悪いのかのどちらかだ

第12条:新しい種(商品)は育つ畑に蒔け

第13条:他社の動きを気にし始めるのは負けの始まりだ

第14条:可能と困難は可能のうち

第15条:無謀はいけないが多少の無理はさせろ、無理を通せば、発想が変わる

第16条:新しい技術は、必ず次の技術によって置き換わる宿命を持っている。それをまた自分の手でやってこそ技術屋冥利に尽きる。自分がやらなければ他社がやるだけのこと。商品のコストもまったく同じ

第17条:市場は調査するものではなく創造するものだ。世界初の商品を出すのに、調査のしようがないし、調査してもあてにならない

第18条:不幸にして意気地のない上司についたときは新しいアイデアは上司に黙って、まず、ものをつくれ



■ちなみに私は、自分のことをものづくり業だと思っています。

経営コンサルタントはサービス業だろーーと言われるかも知れないですが、私の気持ちとしては、個別の戦略やその他コンテンツを生み出す製造業です。

だから、18か条の中のいくつかにはとても共感しています。

たとえば、「第1条:客の欲しがっているものではなく客のためになるものをつくれ」近江商人の十訓の中にもあるので、ものづくりだけに止まるものではありませんが、気を付けていることです。

コンサルタントが、クライアントを納得させることは重要ですが、迎合することは慎まなければならない。

これは、独立当初、発注担当者に過度に寄り添い、受注至上主義と思えるような態度をとるコンサルタントや仲介会社の方を見てきたからかも知れません。

■逆に「第11条:ものが売れないのは高いか悪いのかのどちらかだ」「第13条:他社の動きを気にし始めるのは負けの始まりだ」という部分は、戦略家としては頷けません^^;

売れる売れないに、商品や価格が関わる要素は一部分です。また、他社の動きを見ていないと競争戦略で叩き潰されます。

技術者がそういうことを気にすることはない…と言えるのかも知れませんが。

■それにしても、「第16条:新しい技術は、必ず次の技術によって置き換わる宿命を持っている。それをまた自分の手でやってこそ技術屋冥利に尽きる。自分がやらなければ他社がやるだけのこと。商品のコストもまったく同じ」これが分かっているなら、みすみすアップルの台頭を許すことはなかったのにと思います。

最近、ソニーの凋落が言われていますが、まさにものづくりの魂を失ったのではないかと思えてしまいます。

sony

トップブランドの優位性

「アタック」「ドライ」発売25周年

■長寿ブランドが、トップであり続けるためには、絶え間ない革新と信頼構築努力があったという記事です。

もともとトップブランドは、統計的にも逆転されにくい立場にあります。

ビデオリサーチが調べたところによると、30年前のトップブランドと今のトップブランドは、70%近く一致しているそうですから。

要するに、トップブランドとは、認知度、信頼性、流通の好位置、情報収集力、価格決定権など戦略的優位性すべてを含めたものです。

決して、商品がいいから…というだけのものではない。

むしろ商品の優位性は補助的なものであり、その他の優位性を活かして、商品開発改善をしやすい立場にあるということでしょう。

■例えばスーパードライが、トップブランドに躍り出たのは、商品力よりも、流通の選択だったと考えられます。

当時、キリンが重視していなかったor手が出せなかったディスカウントストア、量販店、コンビニなどにアサヒが販売攻勢をかけたという歴史がありました。

そして一度、トップになると、商品、価格、流通、営業体制と総合力をもってトップを維持しています。

機会を逃さずにトップ固めをしたアサヒの努力は立派です。

■その意味では、コマツが中国で首位から陥落したというニュースは気になりますね。

「利益度外視のシェアなど興味ない」と担当者は言っているらしいが、本当は気が気でないでしょう。

かつて北米における日本車も、利益度外視の安売り攻勢でシェア拡大していると見られていましたから。

コンテンツ産業のアジア進出は成功するのか

成長インドに巨人の星 スポコンは共感呼ぶか

ベネッセ、アジア展開加速 インドネシア・中国内陸に進出 高まる教育熱取り込む 国内市場縮小で活路

■日経新聞から面白い記事2題。

とうとう日本のコンテンツが、アジア進出へ向けて動き出すようです。

それにしても「巨人の星」ですよ。あのベタベタのスポコンドラマがアジアの人に訴求するのでしょうか。

いや、ベタベタだからこそ万国共通で通用するかも知れませんね。分かりやすいドラマは、どこにいっても分かりやすい受け方をしますから。

記事では、インドがかつての日本のような高度成長期にあることを挙げていますが、人々のメンタリティも類似しているのでしょうかね。

もし、これが通用するならば、あらゆる業界で、アジア進出の可能性が開けます。なにしろ、高度成長期に流行ったコンテンツを持っている企業が多いはずです。

とりあえず「男どあほう甲子園」は、やってもらわないとあきませんよ。

■ベネッセの試みも注目です。日本の教育産業もレベルは高いはずですから、これが通用するなら、海外進出が加速するでしょう。

本来、商品そのものよりも、システムは、カスタマイズしやすいはずです。システムを現地用にカスタマイズするという作業をしてこなかっただけですから。

目に見えないものをカスタマイズするコツを掴めば、日本のコンテンツ産業は、宝の山になりますね。

インタビューto宮崎駿

自分の仕事はリレーのようなもので、誰かからもらったバトンを、自分の身体を通して、次の誰かに渡すようなものだ by宮崎駿


■NHKの番組で「もののけ姫」の全米公開へ向けた宮崎駿監督のキャンペーン行脚を特集していました。その際のセリフです。

日本人相手のインタビューでは、苛立ちを隠そうとしない宮崎監督も、アメリカ人相手では社交的な態度を崩していません。

こちらから売り込もうという立場をわきまえているということですかね。

それとも、あまりにも的外れな質問が多いんで、怒る前に、理解してもらわねばならんと考えたのかも知れません。


■それにしてもこの人のインタビューは実に面白い。当たり障りのない受け答えが少なく、生々しい言葉をぶつけてくる。それは、彼が本質的な答えをしようという誠実さに由来するものだと感じます。

今回も、アメリカの評論家が「ディズニーアニメの登場人物が、宮崎アニメのキャラクターに見えた」という内容の言葉を述べた時(要するに、宮崎アニメは、ディズニーにまで影響を与えているといいたかったのか?)冒頭のような言葉を返しています。

「そういってもらえて光栄です」とか何とか、相手の社交辞令に迎合するようなコメントでごまかすようなことをしないところが、宮崎監督らしい。


■村上春樹もそうですが、暗号や記号に溢れているように見える作品は、その内容を解釈したくなって、評論家魂をくすぐるのでしょうね。

ただ、村上春樹は「あくまで作品を読んでください」という主張を崩さずに、インタビューをあまり受けませんし、受けたとしても、解釈を求めるような質問は拒否しています。

それに対して、宮崎監督は、そういう質問に対しても、できる限り誠実に対応しようとしているように見えます。

あまりに安直に答えを欲しがるインタビュアーには、厳しい言葉を返していますが。


■宮崎監督のこういう姿勢は立派だと思います。

自分の手の内を晒すことは、批評家に解釈の材料を与えることですから、意図しない誤解や、無意味な分析も増えることでしょう。

そういうことにいちいち苛立ちながらも誠実さを失わないというのは、立派ですよ。


■ちなみに私は冒頭の言葉にいたく感じ入りました。

オリジナリティを語る時、これほど本質的な言葉はないでしょう。これから私も使わせていただきたいと思います。

こういう言葉が自然と出てくる宮崎監督とはどういう人なのでしょうか。

日本企業のグローバル化が進まないのは

■CS放送で「グローバル競争力再考」という番組を見ました。

グローバルに通用する人材を育成するにはどうすればいいのか?ということをテーマにした番組なのですが、その前提であるグローバル化に関する考察が興味深かった。

■多くの企業がグローバル化に舵を切っていますから、今更グローバル化せよと言われても、ピンとは来ないと思います。

実際に、日本企業の多くは海外進出に活路を見出しています。

ただ、欧米や他のアジア諸国と比べて、そのスピードが圧倒的に遅いことが、危機感を呼ぶ要因となっています。

■国際競争力ランキングを発表しているIMDによると、日本企業のグローバル化が進まない原因として、1.英語力の欠如、2.マーケティング力の欠如、3.リーダー育成力の欠如が挙げらるそうです。

言い換えると、語学ができないからコミュニケーションがとれない。現地の顧客のニーズを捉える力がない。目的に応じた人材を育成するプログラムが組めない。ということになります。

■番組ではさらに、日本にいる本社の内向き体質を指摘していました。

未だに日本が世界の中心にあるという世界観です。

これは「沈まぬ太陽」なんて映画を観ていても、海外法人は、左遷のためのポストなどと見做されていたようですが、未だにその価値観から抜け出されていないのではないか。

どうしても、日本中心でものを見てしまうわけです。

■やはり日本にそれなりの人口がいて大きな市場があるからなのか。

あるいは未だに鎖国体質が残っているのか。

日本という枠内で生きていければそれでいいやという。。こういうのを島国根性というのではないか?

■要するに本社が本気でグローバル化に取り組まないと、支部が取り組めるわけがない。

英語を公用化する企業も増えてきましたが、相変わらず、経営陣の海外人材の登用は殆ど進んでいないのが現状です。

それどころか現地企業のトップも日本人のままであることが多い。

(グーグルやアップルの日本法人トップが、アメリカ人でしょうか?)

これでは人材育成もへったくれもないというわけです。

■最初の前提である目的設定が曖昧なために、ものごとが進まないという典型のようでした。
プロフィール
komai 小

営業関連のコンサルティングをしています。
製造業や卸売業などの営業組織を強化する仕事を得意としております。

株式会社クリエート・バリュー代表取締役
NPOランチェスター協会理事
NPOランチェスター協会関西支部
NPOランチェスター協会認定インストラクター
中小企業診断士   販売士1級

コンサルタントになる前は、日本酸素株式会社魔法瓶事業部(現在のサーモス株式会社)で14年、営業担当をしておりました。
その時、廃業寸前の赤字だった事業部がわずかの期間で世界トップ企業になった経緯を体験したことが、経営コンサルタントになったきっかけとなりました。
当時、経験したことや見聞したことを物語風にアレンジしたのが、拙著『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』です。
面白い本なので、ぜひ読んでください(^^)

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