わたしは価値を創る

大阪在住の経営コンサルタントのブログです。

縮小市場でも、逆流するニッチ市場はあるはず

■少子化に伴い縮小が予想される市場がいくつかあります。その一つは、「教育産業市場」です。 確かに2003年の学習塾市場や、幼児教育市場は縮小傾向にあるようです。(教育産業白書2004年版) ただし、資格取得学校市場、英会話市場、eラーニング市場などは、逆に伸張しており、単純に測ることはできないようです。

■少子化、晩婚化を背景に、「結婚市場」も長期的な縮小傾向にあると思われます。 ただ、現在のところ、首都圏では逆に結婚式・披露宴の費用は上昇傾向にあるとのこと。邸宅風会場を使った「ハウスウェディング」の拡大などが要因として挙げられています。

■売上額=単価×販売数です。少子化は、販売数を減少させますが、逆に、単価は上昇傾向にあるというのが、最近の傾向です。確かに、お金をかける対象が少なくなれば、そこに集中するため、単価は上がりそうです。

 ■それでも、全体的な市場の縮小は逃れられないでしょう。ただ、内部では「逆流」を見せるニッチ市場が多くみられるはずです。

■逆流の一つが、アフターマーケットの拡大。 教育産業では、成人向け教育が拡大しています。複雑化・高度化するビジネスに継続的な学習が必要になってきているからだともいえます。また、適度に達成感を味わえるため、生き甲斐のように学習を続ける層もいることでしょう。 結婚市場では、いわゆるバツX市場、結婚記念日市場の拡大が予想されます。単身者の擬似結婚式市場というのが立ち上がるかもしれませんね。

■コンテンツの海外進出があるかも知れません。先日テレビで「そろばん」がタイの学校に採用されたという報道を見ました。このほかにも、日本の教育コンテンツが海外で通用する場面はまだまだあると想像します。 日経新聞によると、日本の結婚式を上海の富裕層に売り込む動きもあるということです。

■市場をニッチに絞った場合、いろいろと儲け口が見つけられそうですね。これこそ、個人ビジネスのチャンスです。

トヨタ自動車が成長を加速

■サムスングループの純利益が1兆9000億円に達する見込み。通貨危機より6年、大胆な合理化と戦略分野への資源の集中により驚異的な成長を遂げ、世界における存在感は増大する。

■そのサムスングループが手本にするのが、トヨタ自動車。こちらも純利益は、1兆2000億円の見込み。勝ち組企業にも関わらず、進化の手綱を緩めないところが、手本になるという。

■トヨタ自動車は、いまやGMに注ぐ世界2位の自動車メーカーである。もはやビッグ3という言い方は当てはまらない。 しかも、収益力では、GMを圧倒している。(GMの純利益は3838億円で、ほとんどが金融部門の稼ぎである) 量のGMに対して、質のトヨタ…といいたいところだが、売上高でも販売台数でも、肉薄してきている。積極投資を続けるトヨタのシェア逆転は時間の問題と思われる。 「カイゼン」という言葉だけではもうトヨタを語れない。

■サムスンもトヨタも、豊富なキャッシュ→成長分野への積極投資→さらなるシェア拡大→キャッシュの増加という上昇サイクルに完全に乗っている。戦略がいちいちはまるので、恐ろしいぐらいである。

■最近は、欧州での戦略車生産販売体制を整え、さらには、系列部品メーカーの再編に手をつけているようだ。(部品メーカーの力が、トヨタに追いつかなくなってきたため)

■ランチェスターセミナーでは、しばしば「強者の戦略」の事例として使わせていただいているが、スピードが加速しており、動きを注意していないととんちんかんなことを言ってしまいそうである。気をつけます。 (駒井)

売れないのではなく、売っていないんですよ

(2005年2月3日メルマガより)

■最近、販路開拓のご相談を受けることが多くなってきました。

どちらの企業さまも、販路開拓には苦慮されておられます。

いや、むしろ、ほとんどの企業の悩みは販路開拓に集約されるのかも知れま
せん。

そんな印象を受けます。

■特に製造業の方の悩みは深いですね。

「なんで売れないのだろう」...

「この製品が売れないはずないんだが」...

そういう声を聞くことが多いです。本当に。

でも、きついかも知れませんが、私は言いますよ。

「社長、売れないんじゃなくて、売ってないんですよ」

■きつい言い方で申し訳ございません。

でも、中小製造業の方で、「よい製品さえ作れば売れる」と考えている方は
まだまだ大勢おられます。

残念ですが、それは幻想です。

よい製品でも世の中に知られずに消えていくものはいっぱいあります。

売ろうとしていないんだから仕様がない。

よい製品が日の目を見ないのは、社会的な損失ですよ!

■ランチェスター戦略は、よい製品を作って、それが販売につながるのは、
「強者」だけだと教えています。

少なくとも、販売チャネルを確立していない企業が、いくら画期的な商品を
開発したところで、自然に売れることはありません。

■ステンレス魔法瓶をご存知ですか?

もちろん、知ってますよね。子供が遠足の時なんかに持っていく、あの水筒
のことです。

昔は、ガラスの魔法瓶だったので、よく割れたものです。今は、ステンレス
なので、少々手荒に扱っても壊れることはありません。

あのステンレス魔法瓶は、日本の発明品だって知ってました?

開発したのは、日本酸素株式会社という大手化学メーカーです。今から20
年ほど前に開発されました。(日本酸素は現在、大陽日酸になってます)

■ガラスからステンレスへ! 当時としては画期的な発明でした。

そりゃそうですよね。ちょっとぶつけたり、氷を入れたりするだけで壊れて
た水筒が、半永久的にもつようになったんですから。

日本酸素は、この発明を機に、家庭用品業界に進出します。

まさに業界を席巻!

といいたいところですが、そうはいきませんでした。

■当時、ガラス魔法瓶のトップメーカーは、象印魔法瓶。2位がタイガー魔
法瓶でした。

日本酸素は旺盛な資金力と豊富な人材の能力を武器に攻勢をかけますが、こ
の2社の牙城を崩すまでにはいかなかったようです。

いくら画期的な商品を持っているからといって、新参者に売り場を明け渡す
ほど流通業界は簡単ではありません。

業界の商慣習、競合他社の営業力、卸問屋の戦略...どれをとっても一筋縄に
はいきません。

そうこうするうちにトップ2社は、マーケティング力を武器に、顧客が「ち
ょっといいな」と思う後発商品を出してきます。

もちろん、複雑な事情があったわけですが、結果的にガラスがステンレスに
置き換わっても、日本酸素は3位の地位に甘んじていました。

むしろ、他の様々なメーカーを追いやり、3位の地位にまで上り詰めたこと
が驚異といえるかも知れません。

■しかし、苦節20年。とうとう日本酸素がトップ企業になる時が来たよう
です。(現在は、分社独立してサーモス株式会社となっています)

それまで、同社は「技術力はあるけれども、販売力のない会社」という評判
でした。それでも業界で一定の地位を得ていました。

しかし、20年の経験は、同社を技術だけのメーカーから脱皮させたようで
す。

実は、日本酸素株式会社魔法瓶事業部は、創成期から、ランチェスター戦略
の習得を社員に厳命していました。

その中でも、得意先の絞込みに活路を見出し、コツコツとした地道な営業活
動を続けていました。

その甲斐あって、ナンバーワンの得意先をいくつか確保するようになってい
ました。(ナンバーワンとは、2位以下に3倍以上の格差をつけた1位のこ
とです。ここでいう格差は、サーモス株式会社との取引が、他社よりも大き
いという意味です)

ナンバーワンの得意先は簡単に逆転されることは少ないため、それを確保
していると、全体のシェアや収益を大きく落とすことは避けられます。

サーモス株式会社が、業界で一定の地位を維持し続けられたのは、技術力と
ともに、ナンバーワンの得意先をいくつか確保していたからだと考えられま
す。

■日本のステンレス魔法瓶は、成熟市場となっていました。大きな差別化商
品もなく、それぞれのメーカーが、前年並みの販売本数を継続する状況です。

その状況に風穴を開けたのは、やはり、サーモス株式会社でした。

サーモスは、それまでのコップに入れて飲むスタイルの魔法瓶から、ペット
ボトルのように直接口をつけて飲むスタイルの魔法瓶を開発しました。

これは、魔法瓶がファミリーユースから、個人ユースに変わったことに見事
に対応するものです。

片手で、ふたを開けて、すぐに飲むことができる魔法瓶。
それは、技術よりも、商品コンセプトで勝負する商品でした。

この商品は大ヒットし、今度こそ、業界を席巻しています。
(量販店などのステンレスボトル売り場をごらんください)

なぜなら、今度は、20年かかって構築した販売ルートをフルに活用するこ
とができたからです。

この勢いで、昨年度は、とうとうシェアトップを確保したということです。

■おわかりでしょうか?

日本酸素は、酸素業界のトップメーカーとして、東証1部上場する大企業で
す。

その企業が、画期的な新商品をもってさえ、簡単に販売することはできなか
ったのです。

一つは、販売する手段がなかったこと。

もう一つは、市場を知らないために、本当に消費者がほしがる商品をなかな
か作れなかったことです。

■「弱者」が販売するためには、まず、ナンバーワンの得意先を確保するこ
とです。次にナンバーワンの地域を持つことができればさらに強くなれます。

強い商品を開発するのは、それからです。

そもそも、市場のことを知らないうちに、強い商品を開発することは、よほ
どの偶然や奇跡がない限りできません。

■販売するということは並大抵のことではありません。

その販売をする以前に、「売れない」と嘆いていませんか?


追記:

サーモス株式会社というのは、実は、私が以前勤務していた会社です。

だから、内情をよく知っているのです。。。

あの会社は、魔法瓶を使った保温調理鍋とか、魔法瓶を使ったおかゆ製造器
とか、いろいろ面白いものを開発してヒットさせています。豆腐製造器とい
うのもありました。これは売れませんでしたが。

ところで、ステンレス魔法瓶は、日本では成熟市場ですが、世界的に見れば、
まだまだ普及していない導入期の商品です。

日本でトップの地位を固めたら、次は、世界戦略に乗り出すのでしょうね。
とても将来性豊かな企業なんですよ。

ついにウルトラマンが中国に帰化

(2/2)円谷プロ、中国版「ウルトラヒーロー」を制作――中国人俳優を主人公に起用

とうとうコンテンツビジネスはここまで来ましたか。日本で高度成長期に一時代を作ったウルトラマンであるが、最近は人気が低迷していたらしい。今後も、少子化の日本では、大きなビジネスは見込めない。そこで、成長著しい中国で再度ブームを。というわけである。

ウルトラマンに限らず、日本のヒーローものは、海外でそれなりの人気を持っているらしい。中国では、海賊版のキャラクターグッズが出回っているとか。(そのコピー商品対策という意味もあるようだ)中国人の俳優を使い、中国の設定で制作すれば、他のキャラクターとは一線を画すことができる。 既に、中国で、制作する体制を整えたとか。(怪獣のきぐるみも中国で作るそうな)

今後、他のキャラクターやコンテンツも次々と中国を目指すのでしょうね。これは、20世紀後半に、ハリウッド映画が世界戦略に基づいて、制作販売されてきたことと重なる。 今のところ、日本のアニメやキャラクターは、世界的に競争力のある商品だから、どんどん攻めるべきです。 (駒井)

映画興行収入が過去最高に

■昨年の映画興行収入は2109億円で過去最高。そのうち、邦画シェアは37%を越す。

■邦画1位は「ハウルの動く城」(200億円)で、邦画の25%を占める。

■映画産業の隆盛は、シネコンの登場により映画館数が増加していることも大きい。気軽に観にいくことができて、品揃えも豊富である。また「映画の日」のキャンペーンなど、地道な販促努力も上げられる。(テレビの質の低下も問題にされていた)

■制作側からいえば、日本では、若手映画プロデューサーが育っていることが言われている。監督にまかせっきりの映画制作ではなく、顧客ニーズを意識した映画づくりがなされてきた。(マーケティングの世界では当たり前のことだが) また、DVDやキャラクターグッズなどの二次市場の拡大も、投資回収の可能性を広げる。

■ただ、日本市場がそこそこ大きいため、日本映画が国内マーケットだけに止まることがこれまで多かった。 国内に止まる限り、成熟する時期が早まることは間違いない。 かつての香港映画のようにアジアマーケットをにらんだマーケティング戦略がほしいところである。

■世界的な競争力でいえば、「アニメ」と「ホラー」が、通用するといわれている。 しかし、商品がいいだけでは、販売に至らない。 単に海外のバイヤーに高値で販売するだけではなく、販売ルート、供給体制、小売(映画館)の整備がほしいところである。 (駒井)

サーモス株式会社、日本のシェアトップへ

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サーモス株式会社を知ってますか?

ステンレス魔法瓶のトップ企業です。

 あまり知られていませんが、ステンレス魔法瓶は、20年ほど前に日本で開発された商品です。作ったのは、日本酸素株式会社という化学メーカー。(現在は大陽日酸)

サーモス株式会社は、その日本酸素から魔法瓶事業部を分社独立した会社です。

世界で初めてステンレス魔法瓶を開発した会社でありながら、どういうわけか日本国内のシェアは第3位。万年3位でした。ステンレス魔法瓶は今では当たり前の商品ですが、当時はガラス製魔法瓶が普及していました。その強力な競合メーカーである象印魔法瓶やタイガー魔法瓶が上にいたのです。(その他にも、アラジンとかエベレストとかいろいろありました)

商品がガラスからステンレスに変わっても、販路を押えている企業は強い。画期的な商品を開発したからといって、簡単にシェアトップに立てるほど、流通は甘いもんじゃありません。日本酸素の魔法瓶事業部は、社員にランチェスター戦略の習得を厳命し、かなり頑張ったのであるが、(もちろん事情は複雑で一言ではいえないが)ずっとシェア3位の地位にいました。

ただ、3位にいながらも、地道に販売ルート開拓し、虎視眈々とトップの座を狙っていたのですが。 
それが一昨年から昨年にかけて、日本国内においてもシェアトップに立った見込みだということです。
これは、ある強力な商品の開発をきっかけに、流通シェアを上げることに成功したからだそうです。

20年前、ステンレス魔法瓶そのものを開発した時は、市場に参入することしかできませんでしたが、今回は、確保した販売チャネルに差別化された商品を導入することで、市場シェアの大幅アップを果たすことができたのです。

中小企業が狙う中国市場とは

(2005年1月20日メルマガより)

■サントリーが、中国のビール会社を買収するようです。

参照ください:ランチェスター関西ブログ

これにより、上海において、サントリーは51%のシェアを獲得する見込み
であるといいます。

51%といえば「絶対的寡占市場」を獲得すると思われます。

サントリーといえば、日本国内においては、ビール大手の一角に数えられま
すが、市場シェアでいうと、完全な弱者です。

しかし、中国においては、一発逆転も可能でした。

なにしろ、手付かずの巨大なマーケットがこれから立ち上がろうとしている
のです

まさにゴールドラッシュですね。

■もちろん、中国に進出するのは、サントリーだけではありません。

猫も杓子も...といえば、失礼ですね。。。

でも、新聞を見る限り、製造業も、サービス業も、外食産業も、軒並み進出
しようとしています。

少し前の「中国脅威論」が嘘のようです。

■中国の人口は、2000年現在、約13億人。日本の約10倍です。

GDPにおいては、日本の1/3程度ですが、これも、2020年頃には逆転す
る予測です。(ゴールドマンサックスによる)

それどころか、2050年には、アメリカのGDPも抜いて、世界1位の経済大
国になると予測されています。

こんな予測を前に、手をこまねいているわけにはいきませんよね。。。

■中国をお客さんと捉えだしたのは、大企業だけではありません。

中小企業も進出を始めています。

製造業が人件費低減のために進出するわけではありません。

中国をお客さんだと認識し始めたのです。

■大前研一氏は2002年出版の「チャイナ・インパクト」の中で、中国=お客
さん論を展開しています。

あの本のすごいところは、中国市場を6つの経済圏に分けて提示しているこ
とです。

(東北三省、北京・天津回廊、山東半島、長江デルタ、福建省、珠江デルタ)

ランチェスター戦略では、市場シェアを「ある局面」で捉えます。

だから、殆どの企業にとって、中国全土という市場シェアは無意味です。

その意味で、大前氏のいう6つの経済圏はとても参考になります。

■もうおわかりでしょうか。

生産力がない、人員がいない、資金がない...そんな中小企業にとっても、巨
大な中国市場を細分化することによって、対処可能なサイズにすることがで
きます。

6つの経済圏をさらに細分化することが肝要です。

■また、中国の人々は所得水準が低いので、日本の製品は売れない...と思う
向きがあるかも知れません。

しかし、中国にも10万ドル以上の資産を持つ富裕層が5000万人存在するとい
われています。

物価水準の低い中国において10万ドルはすごい資産です。

5000万人といえば、中国の人口の4%弱ですが、日本に置き換えると、40
%程度になります。

そんなすごいマーケットが広がっているんですよ!

地域の細分化、さらに、顧客層の細分化をすることで、狙うべき市場が見え
てくるでしょう。

■トヨタは、中国で高級車「レクサス」専売店を展開する方針です。

双日はベンツやBMWなどの高級車を改造するサービスに乗り出しました。

工業製品だけではありません。

佐賀県は県内産の高級イチゴ「さがほのか」を中国市場で販売する計画をた
てています。一般的なイチゴの2倍以上するものですが、それでも味にうる
さい富裕層には受け入れられると見込んでいます。

食材でいえば、日本から中国への2003年のアワビ加工品の出荷額は約22億円
と、10年前の2倍近い水準に増加しています。
日本では生のアワビが珍重されますが、中国では干しアワビが高級食材とさ
れています。岩手県・三陸沖産は1個数万円の値がつくこともあるそうです。
(NIKKEI NETを参照しました)

■いかがでしょうか。

ノウハウがない?

私の友人にも、中国へ渡って活躍している者がいっぱいいますよ。

そんなときにこそ、専門家をご利用ください。

追記:

話は変わりますが、私の知人で、ある国へ日本の商材を販売するビジネスを
画策している者がいます。

彼が目をつける商材は「オタク・グッズ」です。

某国でそんな商材が売れるのかよーーと思うのですが、彼によると、十分勝
算があるとのこと。

なんせ、彼は、その国で生まれ育った日系2世です。

その国のマーケットのことは熟知しているのだと自信満々です。

なんせ、どの店のどのオヤジに売るんだと、そこまで考えているようですか
ら。

なんか、アグレッシブな彼を見ていると、必ず成功するような気がしてきま
すねーー

中小企業や個人ビジネスの強みは、このフットワークの軽さです。

こんなビジネス、大企業では、絶対成り立たないでしょうから。

サントリー、中国のビール大手を買収発表

■サントリー、中国のビール大手を買収発表(2005.1.19日経新聞)

サントリーは19日、中国のビール大手、上海東海ビール(上海市)を買収すると発表した。今月末に上海東海の発行済み株式の74%を取得する。上海地区でのサントリーのシェアは33%と首位で、買収により51%まで高まる。原料・資材の共同調達や販売部門の統合によりコスト削減など収益性を一段と高める。


■今や猫も杓子も中国進出の様相を呈してきました(^^)大前研一が「チャイナ・インパクト」で、中国は脅威ではなく、最大の顧客であると主張してから2年、まさに時代の流れは、そうなっています。もちろんサントリーだけではありません。アサヒもキリンも、トヨタもホンダも、イエローハットも佐川急便も進出しています。中小企業もいっぱい出て行っています。


■なんせ、日本の市場はほとんどが成熟しています。これをさらに成長基調に乗せるのは難しい。かたや中国はまさに導入期、成長期の真っ只中。あがりエスカレーターに乗るのは当然の戦略です。


■以前も書きましたが、日本のビール業界は、アサヒとキリンが熾烈なシェア争いを演じています。参考:サッポロは復活したのか? サントリーのシェアは10%程度です。これは、ランチェスター理論によると「影響目標値」といい、強者への足がかりをつかめるぎりぎりのチャンスであるといわれます。弱者も弱者。筋金入りの弱者です。


■しかし中国では、日本国内の地位はリセットできます。しかも、中国はとてつもなく広い。。。今から進出しても、いっぱい手付かずの大地があるでしょう。


■ランチェスター戦略はゲーム理論も採り入れて成立しました。ゲーム理論とは「ある制約条件の下での勝ち負け」を判断基準とします。ですから、ここでは、「上海」という制約条件で考えます。ここで、中国全土のシェアを考えても、あまり意味がないということをご理解ください。


■「チャイナ・インパクト」によると、中国は6つの大きな地域に市場を分けることができるとか。その一つ「上海」(大前氏によると”長江デルタ”)で、サントリーはシェア51%を獲得する見込みであるという。これはおそらく「絶対的寡占型」の市場においてナンバーワンを獲得することです。(おそらくというのは、2位の企業のシェアが分からないので、正確には判断できないからです)


■絶対的寡占型の市場とは、1位が41.7%のシェアを越え、2位以下に√3倍以上引き離した状態の市場です。こうなると、2位以下では、熾烈なシェアの食い合いが起こり、1位は自然とシェアの上昇を続けるといわれています。オートマチックにシェア拡張を続ける状態です。こうなれば、何をしてもうまくいくということでしょう。


■サントリー、してやったり!ってところですか。この市場はサントリーにとって「金のなる木」になることでしょう。この牙城は何としても死守しなければなりませんな。。。

ソフトバンク、ツーカー買収に名乗り

■ソフトバンクがツーカー買収に名乗り(2005.1.15) 携帯電話市場は、ドコモとauの2大寡占市場になりつつある。先行するドコモに対し、加入者の純増はauが上。ボーダーフォンはどう巻き返すのか? ツーカーはニッチ市場に活路を見出す。高齢者向けのシンプルな携帯電話で加入者を増加させている。(シェア4.2%)これは弱者の基本戦略である「差別化」の事例として、分かりやすい。今後、高齢者用、子供用、医療用、介護用など、顧客層や使用シーンに特化した商品作りをするのではないか、と思う。 ツーカーの親会社はauと同じKDDIである。ブランドを2つも持つメリットは少ない。auに統合するか、他社へ売却するかの決断を迫られるところである。今は、業績が上向きつつあるツーカーを高値売却するチャンスであるといえる。 ただ、ソフトバンクには売りたくないだろう。なんせ、将来的には、強大な敵になりそうな相手である。周波数の新規割り当てを総務省に求めるかと思えば、今回はツーカー買収の名乗りである。あの手この手で市場や競合他社に揺さぶりをかける。曲者らしい動きである。 2000億円を提示したというが、KDDIは拒否するでしょうね。なんせ、ソフトバンクって気味悪いから。。。

市場を捉えなおす(ゲームのルールを変える)

■ファミリーマートが海外店舗展開を加速。2008年には国内店舗を上回る予定。

日本のコンビニ店は2003年現在、4万1339店。5万店が限界といわれており、成熟市場である。

各社は成長市場を求めて海外展開を志向する。

ファミリーマートはかつてのローソンのように全方位的な強者の戦略を志向するのか。

セブンイレブンも北京に出店しており、日本市場でとったドミナント戦略をとるのかどうか。 (詳しい説明はしませんが、FCの出店に際しては、ランチェスター地域戦略がよく使われます。ランチェスター戦略から見れば、セブンイレブンのとった出店政策は理にかなったものであったといえます)
 

■マクドナルドも業績を回復する途上にある。

低価格バーガーはデフレの象徴のように言われた。価格を上げるときに当時の藤田田社長は「これで日本のデフレは終わり!」と言っていた(^^)

現在の原田社長は、「ビジネスはまず技術や革新性で市場が生まれ、次に価格競争が起きる。その先は無形の価値が求められる」

マクドナルドは、価格競争まではよかったものの、その先がなかったという。マクドナルドは急激な店舗展開で、内部のQSC(品質、サービス、清潔さ)がおろそかになった。。。

成長途上にある飲食チェーンにはよくある話で、吉野家も一時期、その状態に陥ったことがあると「吉野家の経済学」で述べられていた。

「無形の価値」とは、ブランドのこと。QSCの問題や度重なる価格改定により、マクドナルドは信頼性を失っていた。原田社長は、QSCを強化し、既存店の効率を高めることを宣言している。

ところで、ハンバーガーチェーンにおいて、マクドナルドは文句のないナンバーワンの地位を占めている。(2002年度シェア66.8%)ただ、市場が成熟期に入れば、これ以上の業績向上はありえない。

市場をハンバーガーショップに限定するなら、企業のサイズを絞り込むのが正しい対策である。

だが、ハンバーガーにとらわれない市場に視点を変えると、成長余地はまだまだある。競合他社は、ファミリーレストランであり、コンビニであり、コーヒーショップであり、インターネットカフェかも知れない。

ハンバーガー=マクドナルドとすぐに想起できるが、外食=マクドナルドではない。

市場を捉えなおす(ゲームのルールを変える)ことで、成長戦略も志向できると考えるのだが、原田社長がどのように考えているのかは現時点でわからない。 (2005.1.9日経新聞より)

常識にとらわれない戦略を戦う

(2005年1月5日メルマガより)

前回は、成熟市場にあえて参入することで、収益を獲得する企業の話をお届
けしました。

今回も、常識に反することで、成功する企業の話をお届けします。

■日本をはじめ、先進諸国にとって、最も大きな懸念は、少子高齢化の進展
です。
P・ドラッカーは有名な著作『すでに起こった未来』の中で、少子高齢化へ
の対応こそ、21世紀において最も重要な課題であると述べています。

■パワーとは「量×質」で測ることができます。経済力で置き換えた場合、
「付加価値×労働者数」ということができるでしょう。

■少子高齢化の進展する先進諸国は、量で勝負することはできません。
したがって、いかに付加価値の高い商品やサービス、あるいはビジネスモデ
ルを作ることができるかで勝負します。

■先進国の一流メーカーは、その技術力をフルに発揮し、付加価値の高い製
品を開発することで、市場をリードします。
誰でも作ることのできる商品を製造していては、価格競争に巻き込まれ、満
足のいく利益を上げることができません。
大量生産をすることにおいて、中国のメーカーに勝つことができないという
のが常識です。
だから、日本のメーカーは、付加価値の高いオンリーワンの製品にこだわり
ます。

■だが、この常識に真っ向から挑む企業があります。

■船井電機は、あえて普及品市場にこだわることで、収益を上げ続けていま
す。

■船井電機は、付加価値の高い商品の販売を「薄利少売」と位置づけていま
す。
確かに、導入期の製品を持つ企業は、販売量が少なくても、高い価格で販売
することができます。しかし、成長期に至って、競合会社が登場すると、否
応無しに価格競争に巻き込まれます。
それ以上に、開発費用をかけ続けなければならないのが、収益を圧迫します。

■「普及品の価格は低いが安定している。コストさえ下げれば巨額の利益が
でる」というのが、船井電機の考え方です。

■中国メーカーの強みは、圧倒的な人件費の安さです。日本の従業員の十分
の一、二十分の一といわれる低賃金労働力は、日本のメーカーにとって恐ろ
しく脅威です。

■しかし考えてみれば、その他に、日本メーカーが劣っているところがある
でしょうか。商品力、品質、納期...日本メーカーが負けている部分はありま
せん。

■船井電機は、中国に生産拠点を作ることで、人件費コストの問題をクリア
した上で、設計から製造まで自社内でコントロールする体制を作り上げて、
性能・品質を維持しながら、コストを切り詰める生産能力を身につけました。

■船井製品を購入する米国の企業は「船井製は中国製より安く、性能も高い」
と評価しています。

■ランチェスター戦略の重要な考え方の一つに「戦略2、戦術1の法則」が
あります。
これは、ランチェスターモデル式をつくり、ランチェスター戦略を発展させ
たB・O・クープマンによるものです。

■クープマンの理論は、第二次世界大戦において、軍事戦略として米軍が採
用したことで有名です。
個々の戦闘で勝った、負けたは、戦術レベルの話です。
米軍は、個々の戦闘よりも、戦略レベルに2倍の力を注ぎました。
クープマンの方程式は、戦略を「生産力」と位置づけています。

■船井電機は、生産力を高めるための前提を、生産量と位置づけています。
「質より量」への傾倒です。
生産量を確保することで、全体のコストを下げていく方法は、まさに日本企
業が得意とする戦略です。

■競合他社が退場した後の市場において、普及品の多売路線を突っ走るのが、
船井電機の戦略です。
「月100万台が勝ち残りのセオリー」だと言います。それは、月150万
台がやっとのレーザープリンター市場においても姿勢を変えることはありま
せんでした。

■生産量の確保→生産力向上への投資→普及品市場におけるシェア確保→利
益確保という「儲けのパターン」を作り上げているわけです。

■普及品の生産において中国製にはかなわない。先進国は付加価値の高い製
品で戦え。。。そういった常識に、生産力の向上を背景に、挑んだのが船井
電機であるといえます。

■中小企業がニッチで戦わなければならないというきまりはありません。重
要なのは、独自に儲かる仕組みを決められるかどうかです。

(2005.1.4の日経新聞を参考にしました)

新春第1弾 ランチェスター入門セミナーのお知らせ

■ランチェスターセミナーのお知らせ!

2005年1月29日(土)午後3時から
     『ランチェスター戦略入門セミナー』を開催します。

2005年の年頭を飾る第1弾のセミナーです。

NPOランチェスター関西は「関西を戦略の地に」というスローガンのもと
スタートしました。

それは、このデフレ環境下にある関西の企業にとって「販売する」というこ
とほど必要なものはないと考えたからです。

なぜなら、ランチェスター戦略こそ、最強の販売戦略として、20年以上の
歴史を誇るホンモノの戦略だから。

「販売をする」「売上を上げる」ということに、ここまでこだわるのはラン
チェスター戦略だけです。

我々が自信を持ってお勧めするランチェスター戦略入門セミナー。

最強の販売戦略の基本を余すところなく、お伝えいたします!


■日時:1月29日(土)午後3時から5時頃まで
    (懇親会を予定しています)

■講師:駒井俊雄(認定インストラクター)

■会場:ホテルオークス新大阪
    〒532-0011 大阪市淀川区西中島1丁目11-34
    TEL(06)6302-5141/FAX(06)6306-2826
    http://www.h-oaks.co.jp/shin-osaka/

■定 員:20名

■参加料:会員&ビジター価格:3000円(お一人様)

懇親会費用:3500円(お一人様)

■お申し込みはこちら


2005年最初のセミナーには、ランチェスター関西のメンバーが集結しま
す。

とくに懇親会は、新年会のような様相になるでしょう(笑)

メンバーと触れ合う?チャンスですよ。ぜひ、ご参加ください!続きを読む

2005年年頭のごあいさつ

新年あけましておめでとうございます。
旧年中は大変お世話になりました。
本年もよろしくお願い申し上げます。

ランチェスター関西は、今年、2年目に入ります。
関西で、ランチェスター戦略を普及させ、関西地区の経済発展に寄与することを目標に、これからも頑張っていく所存であります。

そのために、
1.ランチェスター戦略に対する理解を深めるための更なる研鑽
2.ランチェスター戦略を普及させるためのセミナーや研修などの活動

を地道に、着実にやっていきたいと考えております。

ランチェスター関西にとって、今年は、着実な地力をつけるための時期ではないかと私は考えております。

さらなる飛躍を遂げるためには、我々自身が、もっと力を蓄えなければならないのではないか。

我々にとって、力とは、やはり、ランチェスター戦略に対するさらなる理解の深化であり、普及のための伝達方法の手法の確立であり、様々な経営理論との融合であり、デジタルエコノミー時代に適合したランチェスター戦略の理解研究であると思います。

我々がこの活動で得た方々との交流を大切にしながら、単なるPRの手段としてではなく、「本物」のランチェスター戦略を研究し、普及させ得る集団として、階段を上って生きたいと考えます。

何卒、応援のほどをよろしくお願い申し上げます。

家庭用インクジェットプリンター市場

■キャノン 8年ぶり首位返り咲き(日経新聞2004.12.28)

■2004年度の家庭用インクジェットプリンター市場は、キャノン47%、セイコーエプソン41%となり、キャノンが逆転の予想。

■家庭用インクジェットプリンター市場は、典型的な2大寡占市場です。上位2社を併せて88%。まさに一騎打ちとなっています。傍から見ていて最も面白いのがこのタイプの市場ですね。(^^)

■こういう市場は競争に勝った企業がひたすらシェア拡大に向かい「絶対的寡占型」に移行するといわれています。

■キャノンは96年まで首位にいたのですが、その後、急激にシェアを落として、99年にはシェア20%代にまで落ち込みました。普通ならこのままずるずるといくところです。

■ところが、踏みとどまって、シェア1位を奪い返したところが、キャノンの底力ですね。なかなかできることではありません。感心しました。

■もともとセイコーエプソンがシェアを伸ばしたのは、デジカメの印刷技術で先行したことです。確かに、デジカメの出始めた頃は、プリントアウトに苦労していました。一般プリンターで、そこそこ綺麗に印刷できるエプソンのプリンターは市場に受け入れられました。まさに技術のエプソンですね。

■もちろん、デジカメ本体で大きなシェアを持つキャノンも写真印刷の技術を高め、今ではほとんど差がないと言われています。そこで「両面自動印刷」「黒を基調にしたスタイリッシュなデザイン」という細かな差別化と、「量販店に販売員を大量投入」という営業力で、シェアを奪還したという図式です。

■ただ、この市場はじりじりと縮小しており、成熟市場に特徴的な価格競争の様相を見せています。消費者にはありがたいことなんですが、企業にとってはつらいことでしょうね。

■一方のセイコーエプソンは、コピーなどもできる複合機に注力しており、この分野では、圧倒的な1位を保っています。将来的には、この複合機が市場を引っ張ると予想されています。

■ランチェスター戦略では、全体のシェアよりも、セグメント分けしたシェアを重視します。だから、家庭用インクジェットプリンター市場でシェア2位に落ちたからといって、セイコーエプソンが負けたとは、短絡的に言うことはできません。普通に考えると、将来的には、セイコーエプソンがシェアを奪回すると思われます。

■企業規模を比べた場合、キャノンはセイコーエプソンの約2倍の売上高を持っています。(営業利益では約6倍)キャノンが力を入れたら、技術でもマーケティングでもトップに立ちそうな気がするのですが、事業によってポートフォリオがあるでしょうし、そうは簡単ではないようです。

■推測ですが、セイコーエプソンは技術力を重視して、成長市場に常に参加することを戦略としています。(どちらかというと弱者の戦略)これに対して、キャノンは、マーケティング面での強みを活かして、成熟市場における競争に勝つことを戦略にしています。(どちらかというと強者の戦略)

■市場が拡大すれば、セイコーエプソンが優位に立つでしょうし、成熟市場のままならキャノンの戦略が優位です。

■企業業績全体を考えた場合、セイコーエプソンは、ここで圧倒的な1位を獲得して「ブランド」と「金のなる木」をキープしておきたいところです。シナリオとしては、複合機市場が拡大→資金回収→マーケティング面に資源投入→絶対的寡占市場に移行というところ。

■一方のキャノンは、普及タイプを抑えつつ、市場の行方を伺うといったところでしょうか。ただ、キャノンはもともと技術開発に極めて強い企業なので、市場の発展いかんでは、一気に資源投入という事態があるかも知れません。

■ちなみに世界のプリンター市場は日本の約10倍です。1位:ヒューレッドパッカード40%、2位エプソン26%、3位キャノン17%。ただ、ここでは複合機にエプソンが強みを発揮できているとはいえない状況です。

■デジタル家電業界は、浮き沈みが激しいので、目が離せませんね。

来店客データを自動的に収集するシステム

POSシステムの可能性については、皆さん周知のことと思います。

POSとはポイント・オブ・セールス(購買時点)の意味ですが、単にレジで読み取った単品の販売情報を意味するのではなく、仕入れ、配送時の情報も含めたデータ全体を統合し管理するシステムです。

POSシステムを使うと、レジが楽になる、売上登録のモレがなくなる、仕入れ業務が楽になる、という物理面だけでなく、売れ筋死に筋商品が一目で分かる、実効的な棚割計画をたてることができる、販促活動を適切にすることができるなどという販売・在庫管理に生かすことができるようになります。

 コンビ二などは、POSを最大限活かして、売れ筋商品を取り揃えた売り場をつくって、収益性の向上を果たしています。 ただ、実際の運用面では、まだ未成熟な部分もあるシステムです。意思決定のためにデータが十分に加工されていることは稀で、生データにマーカーを引いて、あーでもない、こーでもない、と意思決定者が脂汗を流して考えています。それって、結局、勘じゃないの?といいたくなることもありました。(私など、どこの店とは言いませんが、POSデータ一式をバイヤーに渡されて「社内で発表せなあかんから分析しといて」と依頼されていました。もう何年も前の話ですが(^^;)

理論的には、POSと顧客データを照合すると、だれがいつ何を購買しているかがわかります。何曜日の何時頃にはどんなお客がいくらぐらいのものを買っていく、ということが分かれば、ピンポイントで売れやすいものを品揃えし、PRすることができます。売り場効率を今以上に上げることができることになります。

しかし実際には、顧客データとの照合は極めて難しい作業です。全員が顧客データを記載しているカードを使用して購買しているなら別ですが、そこまでは進んでいません。先進的なお店は、従業員が、顧客の情報を手入力していると聞きます。スーパーマーケットなどがそのような作業をすることは不可能でしょう。

しかも、購入しなかった客のデータは入手することはできません。店にはよく来るのだが、購入しないお客さんというのはいるはずです。この方々を逃していることに直接の対策を打つことはできないものでしょうか。

実はあるのです。夢みたいな話ですが、店においているカメラが、自動的に顧客の属性(年齢、性別)を判断して記録してくれるシステムがあるということです。その顧客が購入すれば、購買データと組み合わせて、総合的に分析することが可能であるという。。。

まだ試験中だということですが、堺のダイヤモンドシティ・プラウには、そのシステムが導入されているらしい。なんか、「2001年宇宙の旅」のHALに見張られているようで落ち着きませんがねーー

現在、ショッピングセンターの出店が多いので、ショッピングセンター同士で競争が激化しています。競争力を高めるためには、有力な専門店にテナントとして入ってほしいもの。来店客データは、テナント誘致の材料としても期待されているということです。

ただ、どこまで精度は期待できるもんでしょうか。こういうのって、発表と実態が違っていたりするもんですがねー(いじわる?)

(2004年12月27日日経新聞より)

コトラーの「新・マーケティング原論」

2002年4月に発売されて、いまだ初版が書店に並んでいる本である。
あまり売れていないのかな。。。

ただ、この本、マーケティングの神様フィリップ・コトラーが、新境地に挑んだものであり、非常に読み応えがある。

ここでとりあげているのは、ニューエコノミー時代のマーケティングである。
学者コトラーの書くことだから、特に予見性や新規性があるわけではないが、数年前の米国の状況を体系的にまとめあげている。
状況をコトラーらしく整理しているという意味で、とても効果的な本である。

私はこの本をランチェスター協会の青木先生から薦められて読んだのであるが、私にとって非常に示唆に富んだ刺激的な内容であった。

なんせ、あのコトラーが「マーケットの変化があまりに速く、マーケティングが追いつけなくなっている」と述べているのである。

ここで提唱されているのはホリスティック(全体論的)・マーケティングという概念である。

近代の経営は、分業を進め、部分効率化を極めることで発展してきたのであるが、それでは市場のスピードについていけなくなってきた。だから全体最適化をしないことには、対応できない。。というわけである。

もちろん、多くのマーケターは類似することを言っているのであるが、コトラー先生は、それをまとめ体系化し、マーケティング活動のフレームワークまでつくってくれている。

内容はいつもの通り、広く浅いものであるが、私のような者にとっては、辞書のように使うことができて重宝するのである。

重要な概念が数多く出てくるので、それはおいおい紹介しますが、まずは、この本を読んでみることをお奨めします。。。

小さな企業は逆転の発想で戦え!

(2004年12月24日メルマガより)

■製品ライフサイクルって、ご存知ですか?

製品にも人間と同じような一生があるっていう考え方です。

一生ですから、生まれて、成長して、大人になって、最後には死んでしまい
ます。

なんか、悲しい気もしますが、製品も最後には死んでしまうんですね。

これって、マーケティング戦略をたてる上で、けっこう使う考え方なんです。


■マーケティング戦略の大家、P・コトラーも「マーケティング原理」の中
で、大々的に取り上げています。

もちろん、ランチェスター販売戦略の創始者、田岡信夫先生もその著書の中
で、製品ライフサイクルについて言及しています。

一般に、製品の一生は
1.導入期
2.成長期
3.成熟期
4.衰退期
に分けられます。

1.導入期には、製品が知られていないわけですから、いきなり売れるわけ
ではありません。知ってもらうために広告宣伝費などを使うので、コスト割
れとなります。

2.成長期になると、売上は右肩上がりに増大します。したがって、利益も
上がります。ただ、競争業者が多く現れるので、厳しい戦いになります。

3.成熟期には、売上の成長は鈍化し、利益もピークを過ぎます。

4.衰退期になると、売上、利益ともに急速に低下します。


■田岡先生は、有名な「グー・パー・チョキ理論」を提唱しました。

導入期には、1点集中でいく。(グー)
成長期には、販売・生産ともに手を広げる。(パー)
成熟期に入る前には、無駄な部分をカットする。(チョキ)


■少し考えてみると、いろんな製品にあてはまりますよね。

ファッションなどの流行品は、わりにすぐに盛り上がって、サッと消えてい
きます。

日用品などは、息が長いですが、一つ一つの製品は、やはり、売上のピーク
というものを経験して、しだいに廃番になっていきます。

たまに10年以上も売れ続けるお化け製品がありますが、これは例外です。

ほとんどの製品は、一生というものを経験します。


■実は、この製品ライフサイクルという考え方、一つ一つの製品だけではな
く、ある製品群や、業界にもあてはまります。

例えば、IT業界、鉄鋼業界、繊維業界などといった大きな枠にも使えます。

IT業界というのは、今、導入期か成長期ですね。

石炭業界というのは、どうでしょうか。衰退産業ですね。

この場合、一生の期間が長いですが、やはり、死ぬことがあるんですね。


■成長期のことを「上がりエスカレーター」と呼んだ人がいます。

まさにその通り。これから、売上と利益がどんどん上がっていくのですから、
勝ち馬に乗るような状況です。

だから、多くの企業は、成長期の製品や業界に着目します。

■ただ、安易に参入するのは禁物です。

確かに、頑張れば、売上も利益も上がるかも知れませんが、成長期にあるお
いしい市場には、競争相手が多く参入します。

びっくりするような大手企業が相手になるかも知れません。

確かに、頑張りと工夫次第では、大きな利益になるんですが、「なんとなく
儲かりそう」という参入では、やけどを負うのが落ちです。


■2004.12.22の日経新聞(関西版)に、関西機械各社が、米国で販売攻勢をかけているという記事が載っています。

一般的に考えれば、機械需要が旺盛な成長市場は、中国です。

ただ、それは誰もが目に付けるところ。価格競争力の強いメーカーが多く参入しています。

米国のような成熟市場においては、もう儲からないので、普通は売り込みにいこうなどとは考えません。

そこにあえて目をつけたのが、関西の企業です。
(クボタ、ヤンマー、森精機、ダイキン工業の例が掲載されています)


■成熟市場の特徴は、平均的に売上が下がること。

この「平均的」というのがクセモノです。

平均的には売上が下がっていても、あるお客さんの層には、逆に売れていた
りします。

クボタは、家庭用小型トラクターを米国で、年間9万台近く販売しています。

ヤンマーは、つり用ボートのエンジンを年間70億円販売しています。

いずれも、ターゲット顧客は、一部の富裕層です。

彼らの求める製品を投入し続けているわけです。

こんな細かなところに目をつけるのは、むしろ中小企業の得意技ではないで
しょうか。


■成熟市場の戦略は「チョキ」でした。

つまり、無駄な部分をカットして、利益を出そうとするわけです。

大きな企業が、手を狭めたら、その市場には、スキマができます。

大企業が、儲からないからと撤退した市場は、中小企業の出番を待っている
ようなものです。


■もちろん、そこにも、競争が存在します。

中小企業だけではありません。

実は、最近、大手企業も経営効率を上げて、そんなスキマ市場を積み重ねて、
業績を上げようとする動きが見られます。

皆、あの手この手で必死なんですね。うかうかできません。

ただ、スキマで向き合えば、大手も中小も条件は同じ。

いわゆる「一騎打ち」です。決して勝てないわけでありませんので、勇気を
持ちましょう!

ただ、決して、勝てない戦いではないことでしょう。


■小さな企業は、逆転の発想で戦え!

小さな企業は、裏道にこそ、実があることを忘れずに。

吉野家、耐え忍ぶ…

日経新聞2004.12.21 「吉野家、FC店支援強化」

■米国産の輸入禁止が続く中、苦闘を続ける吉野家。本体は、営業黒字に転じたもののFC店は苦しい状況である。無利子貸付、販促費徴収中止、店舗買取などの加盟店支援を続ける。

■米国産の牛肉輸入禁止は長期化している。競合店が代替商品を投入して業績を回復させる中、吉野家は意図的に牛丼の再開を拒み続ける。「まずくて高い牛丼を売るわけにはいかない」というわけである。

■日経BP文庫の「吉野家の経済学」などを読むと、牛丼1品に絞ったビジネスモデルが完成しつつあったような印象を受けた。それはとりもなおさず「牛丼の吉野家」というブランドイメージに拠るところが大きい。

■ただ、商品を一つに絞るビジネスはブランド構築は容易であるが、リスクが高いことも事実である。今回、BSEという思いも寄らない不測の事態によって、最悪の状況に至った。

■吉野家は、この事態を受けて、リスク分散するという経営判断もありえるが、ここはさすがに我慢して、ブランドを守るという対応である。吉野家とすれば「これ以上悪いことは起こらないだろう」という開き直りもあるのかな。

■国産牛を使って、「うまくて高い牛丼」をつくることは可能なはずであるが、それでは吉野家のブランドイメージに混乱が生じることは間違いない。やはり、吉野家はあの独特の味の牛丼でしかないのである。

■ランチェスター戦略でいうと、吉野家は牛丼市場における圧倒的な強者である。現在、市場がほぼ停止状況においこまれているが、「牛丼の吉野家」というブランドは、やはりナンバーワンなのである。それは消費者の頭の中でのシェアにおいてナンバーワンなのである。松屋、すき屋、なか卯などは弱者であるため、差別化で対応することは理に適っているが、吉野家としては、短期的施策を講じて、強者のポジションを崩すわけにはいかない。

■なんとこの事態にも関わらず、吉野家は営業黒字に持ち込んだのである。血のにじむ企業努力であろう。FC店にしわ寄せがいっているということはないのかな?とちょっと危惧するが。

■どういう経緯で営業黒字になったのか知る由はないが、それでも苦しい状況であることには変わりがない。営業外損益や特別損失で計上するものも多くあるだろう。他人事ながら、すさまじい我慢比べであるだろうと察する。

■ただ、ここを耐え忍び、牛肉輸入再開の暁には、V字回復は間違いない。なんせ、ブランドイメージは、いささかも変化していないようだから。

■何年かのちに「吉野家の経済学2」が発刊されるのが目に見えるようだ。

■がんばれ吉野家!はやく牛丼が食べたいんだよーー(というありきたりの締めをしてしまいました)

サッポロは復活したのか?

日経新聞2004.12.21 「企業復活2004 サッポロホールディングス」


■ビール業界は、アサヒとキリンが2大寡占企業としてシノギを削る。ともに市場シェアは30代後半である。


■サッポロは、シェア13.2%。サントリー10.4%。こちらも熾烈な争いを繰り広げる。


■そのサッポロが勢いに乗っているという記事である。きっかけは、ビール風アルコール飲料「ドラフトワン」のヒットである。地域スーパーなどでは、「スーパードライ」や「麒麟淡麗」を凌ぐ例があるという。


■「ドラフトワン」の特徴は低価格と独特の味覚。いわゆる商品の差別化を徹底させた事例である。


■ただし、この勢いを一過性のものにしないためには、「ヒット商品の連打が欠かせない」とコメントされている。それは難しいんじゃないの?と他人事ながら感じる。。ヒット商品を連打させる法則があるなら別であるが。。。


■今回のサッポロの事例を単に商品の力と捉えれば、全体を見誤る。マーケティングの古典的な手法に「4P」というものがある。(商品、価格、場所、プロモーションの英語の頭文字をとったもの)商品をヒットさせるためには、まず4Pで考えることが有効である。


■まず、場所。これは13%といえども、販売先をもっていることが大きい。そもそもどんなにいい商品といえども、店頭に並ばなければ、ヒット商品になりえない。ランチェスター理論では、10.9%を「影響目標値」といい、強者への足がかりをつかめるぎりぎりのチャンスであるといわれる。この意味で、サッポロは、市場に影響を及ぼす位置にいるわけである。(サントリーはまさにギリギリのラインである)


■またプロモーションにおいては、九州地区でテストマーケティングを行いPRの方法をじっくりと研究したという。(具体的には書かれていないが…)


■ヒット商品の背景には必ず4Pの背景が見られるのである。表面的なヒット商品の観察では要因がつかめないことに注意しなければならない。


■ただし、この記事だけでは、サッポロの復活が構造的なものかどうかはわからない。これからの観察が必要になる。

事業アイデアに独創性は必要ない

日経新聞2004.12.21 「起業 第9部 異国での挑戦」

■起業に際して、全く新しいアイデアをもってなされることは稀である。たいていは、先行する原型がある。既存のヒット商品や事業アイデアをずらしたり掛け合わせたりすることで、ヒット商品は生まれることが多い。

■例えば、ターゲット層の年齢をずらす(紙おむつ→大人用紙おむつ)、時代背景をずらす(昭和の商店街の再現)、ヒット商品の傍流を探す(携帯電話→携帯ストラップ)、掛け合わせる(洗濯機×乾燥機)

■昔からよく使われる手法が、場所を置き換えるというものである。特に多いのが、アメリカで流行するものを日本に持ってくるというもの。新規ビジネスの大多数が、「翻訳」あるいは「焼き直し」と言ってもいいぐらいである。

■ただし、今回の日経新聞の特集記事は、日本のヒット商品や事業アイデアをアメリカに置き換えることで起業する日本人の話である。

■事例として挙げられているのは、携帯電話の「着メロ」を米国に持ち込もうとしている企業。携帯電話は、日本が世界で最も先行する分野であるので、成立するのである。

■あるいは、日本人の作成するコンピューターソフトを英訳して流通させようという試みもなされている。本場のソフトに比べて、「プログラムのきめ細かさ」では、遜色ないのだという。

■確かに、米国→日本の流れが成立するなら、日本→米国の流れも成り立つ。当然、中国⇔日本も、韓国⇔日本、インド⇔日本も成立するはずである。
日本国内でも沖縄⇔大阪、島根⇔東京など、成り立つはず。

■ランチェスター戦略において弱者の基本戦略は「差別化」である。差別化とは、必ずしもオリジナリティを必要としない。

■それが顧客の便益に寄与するならば、顧客の年齢、時代背景、場所、商品の大きさ、形、色を少しずらすだけで、十分な差別化になるはずである。
プロフィール
komai 小

営業関連のコンサルティングをしています。
製造業や卸売業などの営業組織を強化する仕事を得意としております。

株式会社クリエート・バリュー代表取締役
NPOランチェスター協会理事
NPOランチェスター協会関西支部
NPOランチェスター協会認定インストラクター
中小企業診断士   販売士1級

コンサルタントになる前は、日本酸素株式会社魔法瓶事業部(現在のサーモス株式会社)で14年、営業担当をしておりました。
その時、廃業寸前の赤字だった事業部がわずかの期間で世界トップ企業になった経緯を体験したことが、経営コンサルタントになったきっかけとなりました。
当時、経験したことや見聞したことを物語風にアレンジしたのが、拙著『「廃業寸前」が世界トップ企業になった奇跡の物語』です。
面白い本なので、ぜひ読んでください(^^)

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