■サントリー、中国のビール大手を買収発表(2005.1.19日経新聞)

サントリーは19日、中国のビール大手、上海東海ビール(上海市)を買収すると発表した。今月末に上海東海の発行済み株式の74%を取得する。上海地区でのサントリーのシェアは33%と首位で、買収により51%まで高まる。原料・資材の共同調達や販売部門の統合によりコスト削減など収益性を一段と高める。


■今や猫も杓子も中国進出の様相を呈してきました(^^)大前研一が「チャイナ・インパクト」で、中国は脅威ではなく、最大の顧客であると主張してから2年、まさに時代の流れは、そうなっています。もちろんサントリーだけではありません。アサヒもキリンも、トヨタもホンダも、イエローハットも佐川急便も進出しています。中小企業もいっぱい出て行っています。


■なんせ、日本の市場はほとんどが成熟しています。これをさらに成長基調に乗せるのは難しい。かたや中国はまさに導入期、成長期の真っ只中。あがりエスカレーターに乗るのは当然の戦略です。


■以前も書きましたが、日本のビール業界は、アサヒとキリンが熾烈なシェア争いを演じています。参考:サッポロは復活したのか? サントリーのシェアは10%程度です。これは、ランチェスター理論によると「影響目標値」といい、強者への足がかりをつかめるぎりぎりのチャンスであるといわれます。弱者も弱者。筋金入りの弱者です。


■しかし中国では、日本国内の地位はリセットできます。しかも、中国はとてつもなく広い。。。今から進出しても、いっぱい手付かずの大地があるでしょう。


■ランチェスター戦略はゲーム理論も採り入れて成立しました。ゲーム理論とは「ある制約条件の下での勝ち負け」を判断基準とします。ですから、ここでは、「上海」という制約条件で考えます。ここで、中国全土のシェアを考えても、あまり意味がないということをご理解ください。


■「チャイナ・インパクト」によると、中国は6つの大きな地域に市場を分けることができるとか。その一つ「上海」(大前氏によると”長江デルタ”)で、サントリーはシェア51%を獲得する見込みであるという。これはおそらく「絶対的寡占型」の市場においてナンバーワンを獲得することです。(おそらくというのは、2位の企業のシェアが分からないので、正確には判断できないからです)


■絶対的寡占型の市場とは、1位が41.7%のシェアを越え、2位以下に√3倍以上引き離した状態の市場です。こうなると、2位以下では、熾烈なシェアの食い合いが起こり、1位は自然とシェアの上昇を続けるといわれています。オートマチックにシェア拡張を続ける状態です。こうなれば、何をしてもうまくいくということでしょう。


■サントリー、してやったり!ってところですか。この市場はサントリーにとって「金のなる木」になることでしょう。この牙城は何としても死守しなければなりませんな。。。

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