(2005年12月8日メルマガより)
■ビジネスチャンスを発見する方法として、「分離」と「融合」という相反
する考え方があります。
これらを使い分けることで、新しい事業アイデアを発想するヒントが生まれ
ます。
■「分離」とは、ビジネスのそれぞれの段階を細かく切り分けて、別のビジ
ネスを発想すること。
たとえば「企画」「製造」「配送」「販売」というビジネスの流れがあると
すれば、そのいずれかにフォーカスして、ビジネスを組み立てます。
「企画」だけに特化するとすれば、それはいわゆる「ファブレス企業」です。
「製造」だけに特化しているのが、中国などの下請け工場です。
「配送」に注目したのは、もちろんヤマト運輸などの運送会社。
「販売」会社ももちろん存在します。
今をときめくipodのアップルなどは、「企画」と「販売」に特化してい
るわけです。
「分離」は、それぞれの企業が"選択と集中"を進めた結果起こるもの。
自社の最も強い部分だけに資源を集中し、他の部分は外注してしまうから、
機能に特化した企業が成り立ちます。
■「融合」とはその逆です。
分断されたビジネスの要素を再び元に戻すという考え方。
「販売」だけをしていた企業が「製造」に着手したり、「製造」メーカーが
「販売」までを直接手がけたり。
つまり最終消費者はそのままに、ビジネスの上下の工程を取り込んでしまお
うということです。
■企業が新規事業を立ち上げる際には、この2つの方法を使います。
どちらが優れているというわけではもちろんありません。
ビジネスは「分離」と「融合」を繰り返していくもののようです。
■ランチェスター戦略でいえば「分離」は、自社機能に特化する"一点集中
戦略"です。
特に経営資源に乏しい小さな企業が、あれもこれもと手を広げていたのでは、
力が分散して、思い通りの動きができません。
だから得意機能に絞り込んで、無駄をそぎ落として、戦うわけです。
■「分離」をした場合、顧客のニーズに最大限、応える努力をしなければ生
き残れません。
これは当たり前ですね。分離するのも、ニーズによりよく応えようとした結
果であるわけです。
ただし、この機能特化は、しばしば致命的な機能不全に陥ります。
なぜなら、自分の直接のお客様に奉仕しようとするあまり、その先である"
最終顧客"を見失ってしまうことが頻繁に起こるからです。
多くの中小メーカーが"販路開拓"に苦しんでいるのも、製造という機能に
特化し、商社や問屋のニーズに応えようとした結果、起こったことです。
商社の言うとおりに作ろう。製品を渡してしまえばそれで完了。。。これで
は、何が売れて、何が売れなくて、その原因が何なのか皆目検討がつきませ
ん。それを繰り返しているうちに、メーカーは目隠ししながら製造している
状況に陥ります。
■顧客の要望に応えるのはビジネスの鉄則中の鉄則です。
それなのに、応えれば応えるほど、最終顧客のニーズから離れていくような
ことが起こりえるのです。
現場では、こういった小さな逆流は日常茶飯事ですね。
■今、アグリビジネスが話題です。
農業ビジネスです。
これまでうまくいっていた体制が金属疲労を起こしている業界です。
戦後の農業は保護政策のもと、農家、農協、卸市場、小売店という機能分離
で進められました。
ところが、それぞれの機能が硬直化し、業界常識でビジネスを行うようにな
ってしまいました。
消費者は安全で美味しい野菜を求めています。
生産者も、より質の高い、安全な野菜を作ろうと努力します。
ところが、中間業者へ持ち込んだ時点で「キロいくら」と判断され、生産の
努力は無視されることがしばしば行われるそうです。
これでは、いいものを作ろうと苦労するのは損で、安く大量に作ることに注
力すれば最も儲かるわけです。
ところが、安さという面では、輸入野菜に勝てません。ところが、品質、美
味しさ、安全という面では、消費者のニーズを満たしていません。
結果として、売れない状況になってしまったのです。
(殆どの業界で、同じ状況が見受けられます)
実は、こういった業界には大きなチャンスが潜んでいます。
現在のアグリビジネスは、農家が直接、消費者や販売業者に"産地直送"す
ることが1つの大きなテーマとなっています。
つまり、消費者により近づき、ニーズを汲み取る努力をすることにビジネス
チャンスを見出すことができます。
消費者はニーズを満たすものを指示します。
少々高くても売れる上、中間マージンも省けるので儲かります。
これは「分断」から「融合」への流れに他なりません。
逆にいえば、たったそれだけでチャンスが生まれるのですね。
■ビジネスで成功する秘訣は「一点集中」して、力を分散させないこと。
ただし、最終顧客の要求を忘れてしまうと、せっかくの集中が的外れになっ
てしまいます。
そういう時は、とにかく最終顧客に近づいて、要望に応えることです。
編集後記:
■石垣島に小さなアクセサリーショップがあるそうです。
そこは、海岸で拾った石や貝を加工して販売しています。
つまり原価は人件費のみ。
小さな店なのに、人を数人雇うほど繁盛しています。
■こちらのオーナーは"内地"の人だとか。
もともと石垣島にいる人は、拾った貝殻がビジネスになるという発想はなか
ったのかも知れません。
デザイナーのセンスもあるでしょうが、石垣島で買うという特殊性がこのビ
ジネスの成功の要因だと思えます。
■こうなればやったもん勝ちですね。
大阪の若手デザイナーを何人か招いて、国際通りの店で、沖縄をテーマにし
たブランドを立ち上げるというのはいかがでしょうか?
賛同する新進気鋭のデザイナーがおられたら、協力しますよ^^
やりませんか?
スポンサードリンク