(2014年2月20日メルマガより)


■営業戦略を作る。というと、えらい大仰で、
難儀なことのように思われるかも知れませんね。

しかし実際には、そんな難しいものではありません。

少し知識があれば、誰でも作ることができる程度のものです。

ご安心ください。

■そもそも戦略とは何か?というところからお話ししなければなりません。

これは戦略を語るメルマガなので、何度も書いていることですが。

参考:営業に必要な戦略的思考
http://www.createvalue.biz/column2/post-43.html

とは言いながら、戦略の定義は定まっていません。

大辞泉によると(1)戦争に勝つための総合的・長期的な計略。

(2)組織などを運営していくについて、将来を見通しての方策。

(補説)具体的・実際的な「戦術」に対して、より大局的・長期的なものをいう。

となっています。

要するに、方向性のこと。準備段階の計画を示します。

わかりにくいですかね。

■そこで私が自分で解釈している経営戦略、特に営業戦略というくくりでの定義を書きますね。

戦略とは、目標と現状のギャップを埋める方法のことを指します。

つまり、目標−現状=ギャップ。

そのギャップを克服する方法が戦略である。と私は考えています。

■ということは、戦略を作るためには、目標を設定し、現状を正確に把握することが前提となります。

目標には月目標から年度目標まで様々なレベルのものがありますが、大きな戦略を作る場合は、大きな目標が必要になります。

前回のメルマガで書いた「ビジョン」は、大きな目標ですね。

前回は、ビジョンには、チームを一丸にする機能があると書きましたが、それとともに、戦略を作る上で、必要欠かさざるものなのです。

■戦略を作る上で、次に必要になるのが、現状の正確な把握です。

ここでも、便利なツールがいくつか考え出されています。

1つは、3C分析と呼ばれるツールです。

こちらは、経営環境を「市場(customer)、競合(competitor)、自社(company)」の3つの要因から分析する手法です。

たとえば、ある商品分野の現状を調べたい時は、

(1)その商品を求める顧客の特徴、市場規模、今後の成長可能性、顧客の要求など。

(2)競合他社の業績、動向、戦略、強み、弱み。今後参入する可能性のある競合の動向など。

(3)自社の実績、これまでの動向。商品の強み、弱み。人材。投資状況など。

を把握するようにします。

商品分野だけではなく、販売ルートごと、顧客のタイプごとに、3Cを調べていくと、より理解が深まります。

面倒に思われるかも知れませんが、孫子にあるように「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」です。ここは戦略を作る上でのキモですから、我慢してやっていただかなければなりません。

あるいは、SWOT分析と呼ばれるツールもあります。

こちらは、経営環境を「強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) 」という4つの要因で分析する手法です。

いずれも現状の全体像をもれなく把握するための優れたツールですから、ぜひ活用してください。

こうした分析を外部の専門家などに任せてしまう会社もあるようですが、できれば社内でやっていただきたい。

なぜなら、会社の現状、特に強みや弱みは、現場にいる営業たちが最もよく知っているものだから。正確に理解するためには、社内の意見を広く集めなければなりません。

せっかく社内の意見を聞くならば、社内で集まって情報出しをする方が、多くの情報が集まりますし、なにより社内の一体感が高まります。

営業が集まって、失敗例や成功例をワイワイ話すのは、盛り上がますからね。

この機会を逃す手はありませんよ。

■現状分析の精度は、その後の戦略立案の内容に関わります。

先ほども言いましたように、戦略とは目標に到達するための方法を指します。

たとえば、大阪から神戸に行くためには、阪神高速神戸線もありますし、湾岸線もあります。国道2号線もあります。

どの道を行くのかが、戦略の選択です。

あるいは、阪急電車で行く場合もありますし、阪神電車、JRもあります。

歩いていくかも知れません。

どの方法で神戸に行くのかは、その人の自由なのですが、当然ながら車のある人は高速で行くかも知れませんし、JRの定期を持っている人はJRを使うでしょう。

要するに、どの道を選ぶかは、自分がどんな特徴を持っているかに関わるわけです。

できれば強みをフルに活かして、弱みを使わなくていい方法を選びたい。

そのためには、現状を正確に把握しておく必要があるのです。

■3C分析やSWOT分析をみんなでやると、なんとなく会社の強み、弱みが見えてきます。

あるいは、ピーター・ドラッカーのいうように、過去の成功例を調べると、そこに自分の強みがあることが多く、失敗例には弱みがからんでいます。

成功例とか失敗例とかあまり思いつかないという場合は、既存顧客の実績をよく調べてみてください。

特に平均から外れた顧客です。

売上高が大きいのに、利益率が平均よりも高い顧客。逆に、売上高は小さいのに、利益率が低い顧客。

そういう特異な顧客の状況を調べると、どの業界や地域で自社の強みが発揮できているのか。競争状況はどうなっているのか。を知ることができます。

簡単にできますのでぜひやってみてください。

■何度もいいますが、現状の正確な理解は、的確な戦略立案のための必要条件です。

情報を集めることだけに囚われて、行動を起こさないのはダメですが、何も考えずに思いつきで行動していまうのはもっとダメです。

「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」といった孫子は、徹底して情報の重要性を説いています。

情報を得るためには千金を積んでも惜しくはない、などと言っているほどです。

企業において現場でレアな情報を得ることができるのは、営業にほかなりません。

営業の持つ情報を会社全体で共有し、正しく現状を理解するようにしておくことが、強い企業になるための要諦です。

そのためには、営業が集めた情報を会社で共有する仕組みを作っておくこと。目的に沿った情報を収集できる営業を育成すること。

それができるのが、強い会社です。

そのような会社になっておかなければなりません。
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