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「あの人は、24時間、常に仕事のことを考えている」「あの人は仕事に生きている」そういう人が、会社に一人は二人はいるんじゃないでしょうか。

オーナー企業であればオーナーそのもの。

そうでなくても、カリスマ営業みたいな人は、その仕事に対する取組姿勢から、他の人たちを寄せ付けません。

落合博満ではないですが「能書き垂れるなら、俺と同じ実績を出してみろ」といわれれば、グウの音も出ませんからね。

カリスマばかりの組織が機能するとは限らない


じゃあ、組織がカリスマばかりになればいいのかというと、そうではないところが不思議です。

そもそもカリスマは、人数が少ないので、オールスターチームを作ること自体が難しい。

しかし、それが可能になったとして、カリスマだけのチームが機能するかといえば、実際には特長を消し合って、むしろグダグダの組織になってしまいます。


逆に、ごく普通の人たちで構成される組織が、強いパワーを発揮することもあります。

一人一人は普通です。定時に帰るし、休みには普通に遊ぶ。昼休みにはおだやかに談笑しています。

だけど、組織としての動きが身についているために、人数×人数でパワーを発揮しています。


どうも自然発生的な組織は、一人の強いリーダーによってまとめられることが多いらしい。

その人が、適切なマネジメントをする人であればいいのですが、上のカリスマ氏のようであれば、メンバーは委縮して組織としてのパワーを発揮し切れずにいます。

過去にそういう組織をよく見てきました。いや、今でもよく見ます。

「おれは好きなことをやる。お前らはおれを手伝え」ほとんど組織の私物化といっていいような状況が普通にあります。

原始的な組織を生産的にする


そういうカリスマ氏が、私のようなコンサルタントに反発するのは必然です。

私は、企業組織を、自然発生的なものから、生産的なものにするためのお手伝いをしています。

営利組織である企業の組織が自然発生的なものだというのは矛盾があるかも知れませんが、放置されていると、組織は原始的なものになっていくようです。

まるで「蠅の王」の英国少年たちのように。「地獄の黙示録」のカーツ大佐のように。

原初的な危機感から、彼らは動物的な力の支配に戻っていくのでしょう。


私はむしろ、24時間も仕事のことを考えられない、人生においては仕事の外にも価値のあるものがあるはずだ、と思うごく普通の人たちで構成される組織を作ることに意義を見出しています。

組織が機能し生産的になれば「金を稼ぐために仕方なしに仕事をしている」と考える人たちが「仕事の時間も楽しいじゃないか」と思うようになります。

簡単なことではありませんが、そう思えるような組織に変化していくことに、意義を感じます。


無理なく楽しく、しかも生産的で競争力を持つような組織を作る。

そんな組織が増えてくれば、日本は再び競争力を発揮するようになるとは思いませんか。

それが私のミッションだと考えています。



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