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それはまあ、そう言われますわな。

上の記事は、神戸製鋼のデータ改ざんを受けての海外記者の反応です。

いくら「安全性に直ちに問題はない」といっても、世界中の取引先にごまかし商品を売っていたわけですから同情の余地はありません。

品質に関して絶大な信頼性があった日本企業はどうなってしまったのか、と言いたくもなるでしょう。

神戸製鋼の不祥事は日本企業特有の問題?


面白いのは、この記事が、データ改ざん問題を構造的に捉えようとしていることです。

神戸製鋼に限らず日本企業の不祥事が相次いでいます。東芝、タカタ、日産自動車…

その原因について、こう書いていますね。

1990年代以降長期間にわたって続く経済成長の鈍化が、大きな要因となっていると専門家は指摘する。この鈍化により、日本企業はビジネス・モデルの変更を余儀なくされており、それがこのような問題を引き起こしているようなのだ。

つまり高度成長期が終わり、低成長期に入った日本企業は売上の鈍化をカバーするために、コスト削減を行って利益をねん出しようとした。

その努力が極限までいった挙句に、品質データの改ざんというところまで追い込まれた。というのです。

どんだけ高度成長期を引きずっとんねん!

と言いたくなりますね。

リソース戦略の弊害か


確かに日本企業はポジショニング戦略をあまりとろうとしません。

※ポジショニング戦略とは、経営環境(市場や競合の動向)にあわせて顧客ターゲットや自社の位置づけを設定する戦略をさします。環境が変化すると、ポジションも変わらざるをえないわけで、大幅なポジション変更とそれにあわせた組織体制の変更を余儀なくされます。欧米企業で事例をよくみます。たとえばノキアなど。

参考:ノキア 驚きの変わり身の早さ 携帯電話に再参入

日本企業が得意とするのはリソース戦略(リソースベースドビュー)です。これは会社内部資源の強みを競争力の源泉とする戦略です。

特に内部の人材や暗黙知をベースにすることが多いようです。

環境変化に応じた大胆な事業再構築はあまり行わず、耐え忍び、経験やノウハウを積み上げることで強い組織となって生き延びていく。

単純化していうと、ポジショニング戦略をとる企業は、儲からなくなれば、顧客設定も組織体制も一から作り直して(必要ならリストラして)儲かるようにする。またそれができる人を経営者に迎えるからどえらい報酬になります。

リソース戦略をとる企業は、今のままの戦略、いまのままの組織体制でしのぎながら、苦しいなりに儲かる知恵をつけて生き延びる。能がないように思えますが、冬の時期を耐えて春になってみると、一段強い企業になって芽を出すから一概に悪い方針だともいえません。

ポジショニング戦略とリソース戦略。どちらが優れているというわけではなく、違いがあるということです。

もちろんたいていの企業は、その両方のハイブリッド戦略をとっています。一般的なイメージとして、欧米企業はポジショニング戦略寄り。日本企業はリソース戦略寄り。ということですので念のため。


欧米企業もデータ改ざん事件を起こしている


今回の神戸製鋼の事件が果たしてリソース戦略の弊害と言えるのかどうかはわかりません。

ただ過去にもこうした不正は様々な企業が起こしていました。欧米の企業でも同じです。

記憶に新しいところではフォルクスワーゲンのディーゼル車燃焼データの改ざんですね。大スキャンダルになりました。(その後、フォルクスワーゲン社はしれっとして「うちの戦略は全面EV車シフトだー」と意気軒高ですが)

欧米企業の場合、ワンマン経営者の圧力が強すぎて、要求に応えきれない現場が不正に手を染めてしまうことが多いようです。

日本企業の場合、内部抗争のあおりで功を焦った陣営が不正をしてしまうことがあると聞きます。今回の件が、どういう原因から出たものなのかは続報を待ちたいと思います。

だけど記事そのものは面白い仮説ですし、日本企業について考える契機になりました。





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