EV・自動化で変わる産業構造 部品市場に外資攻勢 (日本経済新聞・有料記事)

最近の日経新聞は、自動車関連分野の記事ばかりですな。

しかしそれもわかります。なにしろ、100年に一度の変革期を迎えているわけですから。

日本の自動車部品に関連する就業人口は60万人で、素材などの資材も含めると106万人にのぼる。製造業の就業人口1000万人強の中で、存在感は際立っている。

この巨大産業がどのように変革していくのかは、多くの事業者にとって死活問題になるはずです。

日本の自動車産業の強みであった「系列」


自動車産業は、完成車メーカーを頂点にピラミッド型の産業集積を形成してきました。これがいわゆる系列というやつです。

日本の自動車メーカーの強みは、この系列にあると言っても過言ではありません。付き合いの密で長いメーカー同士が、複雑な自動車の組み立てを職人技を駆使して行うわけです。この「すりあわせ」といわれる組み立て作業は、他国のメーカーには到底真似できないものだと言われてきました。

ハイブリッド車などという複雑な車を他国のメーカーがやりたがらないのはそのためです。その分野ではトヨタに勝てないからです。

EVが既存の系列を解体する


そこにEV(電気自動車)の登場は僥倖でした。EVはエンジンがなく、組み立てが比較的容易であると言われています。

部品ユニットさえしっかりしていれば、誰でも組み立てられる。極端な話、自動車メーカーでなくても(例えば家電メーカーでも)自動車を組み立てられるかも知れない。英ダイソンが、EVを製造すると宣言しているのがいい例です。

(実際のところはそれほど簡単ではないようです。米テスラがEVの量産体制を整えきれない様子をみていると、やはり自動車メーカーには一日の長がありそうです)

部品メーカーの地位が向上


ただ組み立てメーカーの価値が下がると、相対的に上がるのが、部品メーカーの地位です。

EVの心臓技術である電池。

モーター、ベアリング、サスペンションなども重要です。

ガソリン車よりも部品点数は減りますが、優秀な部品がなければ組み立てられません。

だとすると、部品メーカーが、自動車産業の頂点に立つかも知れないわけです。


さらにEVに自動運転が加われば、参加メーカーが増加します。

AI、センサー、衛星通信、地図。

系列以外のサプライヤー(供給者)が必要となってくるので、各分野の事業者は、虎視眈々と食い込むチャンスを狙っています。

周辺ビジネスに注目


それだけではありません。

新興国にEVを普及させるためには発電インフラ、充電インフラの充実が必要です。

またEVが本当のエコカーになるためには、発電システムそのものを最新型のエコなものにしていかなければなりません。

そう考えると勢いを増す周辺ビジネスはいろいろありそうです。

なくなるビジネスばかりではありませんね。前向きにとらえていきたいと思います。







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