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「スマホで観るテレビ」AbemaTVが話題ですね。最近は、地上波TVにはできない独自番組が増えてきているようですし、先ごろは元スマップの3名を使った72時間テレビも成功させたみたいです。

もっとも実態はいまだ年間200億円の赤字を計上する大赤字の事業です。

AbemaTVは年間200億円の赤字から脱却できるのか?


しかし聞こえてくるのは、サイバーエージェント藤田社長の同事業への傾斜ぶりです。

ここのところ藤田社長はAbemaTVのスタジオに出ずっぱりで、マークシティ(本社が入る渋谷のビル)で姿を見かけなくなりました。

と社員が証言するぐらいです。

200億円の赤字でも「儲かる」という藤田社長


ちなみにAbemaTVは、企画編集はサイバーエージェント側スタッフが行い、現場はテレビ朝日のスタッフが回しているそうです。

テレビ朝日は共同出資者ですが、赤字を被るのはサイバーエージェント1社のみという体制です。利益の薄いテレビ局側とすれば、とても100億円近い赤字は耐えられないでしょうからね。

それにしてもこれだけの事業リスクを一手に引き受けるサイバーエージェントは、どういうつもりなのか?と疑いたくなりますが、当の藤田社長は「儲かる」と踏んでいるようです。

要するに、サイバーエージェントの主力事業である広告を出稿するためのメディアを作ろうという構想です。

通常のマーケティングでいえば「PLACE」の部分。これを自ら作ってしまおうというのだから成功すれば、それは儲かるでしょう。

「PLACE」を制する者がビジネスを制す


ランチェスター戦略入門セミナー」などでもいつも取り上げる部分ですが、ビジネスにおいて最も破壊力を持つのが「PLACE」です。

※PLACEとは、売る場所のこと。言い換えれば、販売チャネルや販売ルートに近い概念です。

いくらいい商品、画期的な商品を作っても、それを売る場所がなければ、顧客の目に触れることすらありません。

が、販売する場所を多く持っていれば、それだけ多くの顧客の目にとまります。極端な話、いまいち性能が落ちる商品であっても、より顧客の目に触れる方が、販売実績は大きくなります。市場シェアとは、それだけの力を持つものです。

販売する場所をいち早く押さえた者が、そのビジネスを制するといっても過言ではありません。

だから、新たな「PLACE」が生まれる時に、しばしばトップ企業が入れ替わります。

パソコン時代最強のヤフオクから、スマホ時代のメルカリに入れ替わったように。

テレビゲームの任天堂から、携帯ゲーム時代のグリーやDeNA、スマホ時代のガンホーへ入れ替わっていったように。

企業は、新しい「PLACE」が生まれる時、なにを置いてもシェアを押さえなければなりません。一度、決まってしまったシェアは、そう簡単には覆らないからです。

今回のAbemaTVの場合、その「PLACE」を自ら作ろうということですから、成功すれば巨大な利益を生むことになるのは間違いありません。

勝つか、負けるかは、まだ見えませんが、挑戦しがいのある事業だということは確かです。

もっとも、いつまでも赤字続きでは耐えられるはずがありません。

ただちに会社が傾くような赤字ではありませんが、それでも限度がありますからね。

しばらくは我慢比べのような状況が続くでしょうが、どこかで臨界点が来ます。

それまでに逆転なるかどうか。という状況です。




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