ゴープロ不振が示す、ハード系スタートアップの現実

スポーツカメラ(アクションカメラ)の分野で旋風を巻き起こしたゴープロが不振に陥っているという日経新聞の記事です。

記事によるとゴープロは、不振のためリストラせざるを得ない状況で、明るい兆しが見えません。今後も、見通しは暗いでしょう。

以前、ゴープロが話題になっている頃、「GoProは、強者になれるのか」という記事を書きましたが、そこで示した懸念の通りになった模様です。

アイデア一発で創業できるが、維持するのは難しい時代


近年、アメリカでは製造業の創業がブームになっていました。設備の進化、デジタル化などによって投資額が低くなり、参入しやすくなったからです。

アイデアを現実化しやすいので、一つのアイデアを思い付いた人が次々と起業しました。

もっとも参入しやすいというのは、模倣されやすいということでもあります。すぐに競争にさらされてしまいます。


特にいまはモノがネットにつながる時代ですから、最終製品はITを絡めないとビジネスになりません。

アメリカでは、ITビッグ5(グーグル、アップル、アマゾン、マイクロソフト、フェイスブック)の力が強大ですから、ITやAIに関する有望な技術は真似されるか、買収されるか、してしまいます。

創業側にとっては、買収されれば御の字だという話もあります。そこで資金を得て、さらに別の創業に向かえばいいわけです。

が、買収されるのは一握りです。殆どは模倣されて潰されてしまうでしょう。特許で守られているといっても、似たような技術でクリアされてしまいます。

まさに創業側が報われる道は、大手企業に高値で買収されるか、あるいは大手企業が目をつけないニッチ市場で相応に維持していくか、ですね。

ゴープロが浮上するのは難しい


ゴープロの場合、スポーツカメラ市場を創りその先頭に立ったものの、後発企業の追い上げや、スマホの進化などで代替されることになり、厳しい状況に追い込まれています。

いわゆる先発弱者の悲哀を味わった形です。

先行した企業がトップを維持するためには、技術的な優位性、顧客の切り替えハードルが高いこと、設備などの資源を確保していること、が必要です。

ゴープロの場合、技術的な優位性や資源があるわけではないでしょう。

そこで、アップルのように製品(カメラ)を中心とした生態系を作り、切り替えをしにくい体制を作ろうとしたもののうまくいっていません。他の安いカメラやスマホでも充分にスポーツカメラは撮影できますし、ユーチューブがあればそれを公開することもできます。

これが一部のコアなファンだけのニッチ商品ならブランドも効くでしょうが、なまじ成功してしまったために、維持するのが難しいという皮肉なことになってしまいました。

規模を縮小して生き残る道を目指すか、うまくどこかに買収してもらう道を探ることになりそうです。





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