営業 時間


(2018年10月18日メルマガより)


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今回は営業の話です。

営業は会社にとって使い捨ての存在だ!なんてまことしやかに言われることがあります。

私が就職活動をしているときも、営業志望のくせにそんな自虐めいたことを言い出す人がいたものです。

営業なんて将来性がないので彼氏にしたくないとうそぶくバカ女もいましたね。あいつらどうしてるのかな。

全くもって認識不足です。営業ほど可能性がある仕事はありません。営業ほどつぶしの効く職業はありません。

なぜならそれだけ高い能力が要求される仕事だからです。

営業をそれなりにこなすには、対人関係スキルも、目標達成スキルも、社内調整のスキルも、セルフマネジメントのスキルも必要です。業界知識も、関連分野の技術知識も、マーケティングの知識も必要です。

営業を極めた人は、ほかのどんな職業でも通用すると私は思っています。

自信を持ってください。


能力のある営業は捨てられない


営業が使い捨てにされるとすれば、それはその営業が使えないからです。

元気で動きのいい時は使うが、疲れてきて動きが鈍れば捨てる、ということがもしかしたらあるのかも知れません。(現実には聞いたことがありませんが)

しかし、たいていの場合、営業側も経験を積んで、効率的な行動を心がけるようになります。

物理的な行動量は鈍っても、効率的であれば、生産性を上げることができます。その方法を知っている営業は、捨てられるようなことはありません。

自分だけではなく、部下にその生産性向上の方法を教えることができるようになると、価値は4倍にも5倍にも増します。

使い捨てどころか、会社の財産として扱われるはずです。


優秀な営業は時間の使い方を知っている


生産性向上の鍵は「時間」にあります。

営業に限りませんが、われわれビジネスにかかわる者にとって、最も貴重な資源が時間です。

時間はすべての人に等しく与えられたものであり、制約条件です。

だから時間の使い方の一つで、生産性は2倍にも2分の1にもなりえます。

一流といわれる人は、おしなべて有限の時間を効率的効果的に使う人です。


さて、人々に等しく与えられた時間をうまく使うとはどういうことか。

これは、つまるところ、自分がやることの優先順位を決めることにほかなりません。


「緊急−重要」マトリクスを使いこなす


優先順位とは、端的にいうと、重要なことに時間を割くということです。

これは何も難しいことではありません。

よく使う表ですが、「緊急−重要」マトリクスを用意して、自分の行動を整理してみてください。

緊急重要マトリクス


「緊急−重要」マトリクスは、縦軸に「重要か重要でないか」横軸に「緊急か緊急でないか」をとって、4つの象限に分けて自分の行動を整理していくものです。

例えば「緊急」とは、いますぐに対応しなければならないもののこと。営業でいうと、クレーム処理とか、見積もり対応とか、何らかの呼び出しだとか、そういうことに費やす行動です。

これに対して「重要」とは、購買力のある顧客への訪問や提案、自社戦略に合致した作戦行動、何等かの成果につながる行動などと規定します。


ここでいう4つの象限とは、

(1)重要かつ緊急。いますぐ対応しなければならない重要な行動。

(2)緊急だが重要ではない。いますぐ対応しなければならないが、さして重要ではない行動。

(3)重要だが緊急ではない。重要だが、いますぐに対応しなくてもいい行動。

(4)重要でも緊急でもない。重要でもないし、いましなくてもいい行動。

のことです。


この4つの象限に優先順位をつけるとどうなるか。

(1)が最も優先度が高く、(4)が最も低いことは自明です。わかっていただけると思います。

が、(2)と(3)では、どちらを優先すべきか?

このほんの少しの順位づけが、成果を出すか出さないかの分かれ道となります。

おわかりですかね。

(3)の優先度を高くし、(2)の優先度を低くしてください。

たったこれだけのことが、あなたの将来を助けることになります。


凡庸な営業は「緊急性」に囚われている


私の見る限り、凡庸な営業は、(1)と(2)しかやっていません。つまり緊急性でのみ行動しています。

緊急であるということは、相手側から声がかかっている状態を示しています。だから受け身に仕事をしている人は、緊急性しか見ていません。

仕事というのはいくらでも湧いてきますから、1日受け身でも忙しく過ごせます。ああ、今日はよく働いたなあという印象しか残らないでしょう。


これに対して、いますぐにしなくてもいいが重要な行動を意識できる人は、当然ながら、将来に向けて重要な布石を打っていることになります。

もちろん、いますぐにしなければならないことは、すぐにやらなければダメです。それは当然として、緊急性のある仕事だけで終わらないことが大切なのです。

忙しい時でも、「本当はもっと優先しなければならない仕事がある」と思えるかどうかが頭一つ抜け出す秘訣だと思ってください。


こんなことを言うと、「こちらは緊急対応で手いっぱいだから、将来の重要な仕事なんてできるわけないだろ!」とキレる人がいますが、知ったこっちゃない。

あなたが上司に雑用ばかりやらされていようが、100人分の仕事を抱えている状況であろうが、顧客から呼び出されてばかりであろうが、個別事情はどうでもいい。

忙しくて首が回らないと愚痴る人は、それまでの人だということです。

どんな状況にあろうと、凡庸の群れから頭一つ抜け出す人は、いましなくてもいいが重要なことにほんの少しでも時間を割いているということを知っておいてください。


重要という概念には注意が必要


ただこの「緊急−重要」マトリクスは、使い方に注意が必要です。

重要という概念は、範囲が広いので便利であるともいえるし、抽象的でつかみにくいとも言えます。

だから、重要という概念に勝手な解釈をいれてしまうかも知れません。

たとえば、「歓迎してくれる顧客」とか「おだやかで苦言を言わない顧客」とか「受付嬢がかわいい顧客」とか、個人に都合のいい概念を重要という範疇に入れてしまいがちです。

そうなると、結局は、楽ちんで苦労のないことばかりやるという行動表になってしまって、わざわざ表を作る意味がなくなってしまいます。

だから充分にご注意ください。


純粋に数値で判断する「ランチェスター戦略式ABC分析表」


そこで私がおススメするのが、純粋に数値だけで判断する方法です。

私は、ランチェスター戦略の専門家ですから、いつも使う表があります。

いわゆる「ランチェスター戦略式ABC分析表」です。

ランチェスター式ABC


これもマトリクスですが、縦軸に「購買力」をとり、横軸に「自社の顧客内シェア」をとります。

つまり上から順番に、購買力の大きな顧客を並べていき、左から順番に自社をひいきにしてくれる顧客を並べていきます。(厳密には、もう少しきっかりした計算式があるのですが、省きます)

この表は4つの象限ではなく、3×3=9つの象限に分類します。

まずは縦軸は上からA、B、Cの行に分類します。

次に横軸は、左からa、b、cの列に分類します。

すると、Aa、Ab、Ac、Ba、Bb、Bc、Ca、Cb、Ccの9つに分かれます。


ここで大事なのは、9つの象限のうち、購買力もあり、かつ自社をひいきにしてくれているAaを最重要視するのではなく、むしろ、Abを重要ターゲットとするということです。

なぜなら、Aaの顧客は、上得意先であることは間違いがありませんが、これ以上の上積みはあまり期待できません。

それなら、AbやBbといった購買力はあるが、自社をそれほどひいきにしているわけではない顧客に通った方が、上積みが期待できるというものです。


それぞれの象限に行動方針を振り分けます。

Aaは「守る」ことを主眼にした得意先です。

Ba、Caは「育てる」ことを行動の基準とします。

Ab、Bb、Acは「攻める」得意先です。

残りのBc、Cb、Ccは「様子見」です。

たとえば「守る」「育てる」顧客への訪問は週1回。

「攻める」顧客への訪問は週3回、などと決めておけば、行動スケジュールの設定に迷いがなくなるはずです。


「攻める」ことができるかどうかが将来を分ける


もしこのような表がなければ、その営業は確実に、Aa、Ba、Caのフォローで一日を終わらせてしまうでしょう。

なぜなら、自社をひいきにしてくれる顧客からは様々なアプローチが向こうから来るからです。それを無下にすることはできません。受け身の対応だけで手いっぱいになってしまいます。そうなると現状維持が関の山です。

その状態から脱して、将来的な売上拡大を望むためには、「攻める」得意先を持たなければなりません。

ライバル会社と激しい主導権争いに巻き込まれるのが必至の「攻める」得意先の営業は厳しいものがあるでしょう。

それでも攻めなければ、売上拡大などありません。有無をいわさず取り組む覚悟が必要です。

その意味でも、純粋に数値だけで行動方針を決める「ランチェスター戦略式ABC分析表」には価値があると考えます。

この方針に従うなら、現状維持から脱して、業績を拡大し続けることができます。

人数が少なくても、少しづつでも前進できるのは、こうした確かな行動目標管理があるからなのです。


優秀な営業は、自分の時間の使い方にも長けています。

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