00

日立と東芝、かつては日本を代表する総合電機企業でしたが、いまは「選択と集中」を進めて、全く違う企業になったという記事です。日経ビジネスが特集しており、参考になります。


日立製作所は、売上高8兆7千億円。利益876億円。時価総額約4兆円。

東芝は、売上高3兆4千億円。利益マイナス1146億円。時価総額約1兆円超。

(いずれも2020年3月期)

ライバル企業グループとしては、ちょっと差がついた格好です。

大赤字になって目覚めた日立


日立製作所の設立は、1910年。茨城県日立村の久原鉱山で使用する建設機械の修理工場がその前身です。

発電所の建設、鉄道車両、輸送機などインフラ関連の機器やシステムを手掛け、日本の高度成長期に成長拡大していきました。

儲けた資金で家電や産業機器にも進出、家電から重電まで手掛ける日本を代表する総合電機メーカーとなっていきます。

「この木、なんの木、気になる木」で知られるコマーシャルが記憶にないでしょうかね。あのコマーシャルに映し出される映画のエンドロールのような子会社名、関係会社名の量に圧倒されたものですが、あれこそが日立の絶頂期の姿でした。

日本の成長期の終焉とともに業績にも陰りが見え始めますが、巨大コングロマリットとなった日立はどこ吹く風です。

この感度の鈍さが、日立の首を絞めます。

バブル崩壊後の1999年に約3000億円。リーマンショック後の2009年には約7800億円の最終赤字を計上。

さすがに目覚めた日立は、子会社から有能な人物を呼び戻して経営を託し、事業再構築に乗り出しました。

その時、社長となった川村隆氏は、「社会イノベーション事業でのグローバルリーダー」をスローガンに掲げ、社会インフラや産業機器、デジタルに集中する方向性を打ち出しました。

そこからは猛烈な勢いで、事業の売却や買収を進めて、事業を入れ替えていきました。上場子会社の日立建機や日立金属も売却予定だということなので徹底しています。

日立の現在の好業績は、事業再構築の結果が出てきたということができます。

ただ目指す姿になるには、道半ば、どころか半歩踏み出した程度です。

同社が目指すのは、インフラ分野の何でも屋みたいな事業のようです。だから、これまでのようにハード(モノ)に頼るのではなく、ソフト(人、サービス)を強みとするビジネスです。

ものさえよければ売れるという企業の典型だった日立とすれば、180°の転換となりますから、相当の改革をなさねばなりません。

ドン底から這いあがろうとする東芝


東芝の歴史はさらに古く、1875年東京銀座に創設された電信機工場をもとにしています。のちに芝浦に移転し、芝浦製作所となります。東芝の由来は、この会社が、白熱灯などを作っていた東京電気と合併し、東京芝浦電気となったからです。したがって、東芝は当初から、弱電から重電まで手掛ける会社としてスタートしました。

こちらもやはり高度成長期に、多角化路線をとり、成長拡大を遂げました。

東芝の場合、経営の見直しに着手するのは、2000年頃です。手を広げすぎた事業を刈り取っていき、筋肉質な体制にすることに成功しました。

ここから東芝は攻めに転じます。

フラッシュメモリへの集中投資や、原子力事業への傾倒は、選択と集中のお手本企業のようにいわれたものです。

ところが、東芝にとって青天の霹靂となったのが、東日本大震災時の福島の原発事故です。世界最大の原子力事業になるべく邁進していた東芝にとって、この事故と世間の原子力に関する意識の変化は、あまりにも痛すぎる出来事でした。

これにより、東芝は主力事業を転換せざるを得なくなりました。

しかも、泣きっ面に蜂というべきか、2015年には、社内の不正会計が明るみに出ます。超積極経営で、イケイケの体育会系社風の裏側で、高い数値目標を達成できない複数の部署が、数字をごまかして報告していたのです。

この内部の爆弾でさらにダメージを受けた東芝は、経営陣の総退陣という事態に追い込まれます。

不正会計は根が深く、複数年にわたって横行していることがわかりました。この問題と原子力事業の処分で東芝は、債務超過に陥り、破綻寸前に追い込まれるほどでした。

その後の東芝は悲惨です。金になるものは何でも売却するという勢いで、有望な事業の殆どを売却してしまい、今に至ります。

現在は、外部人材を経営者に招き、「インフラサービスカンパニー」に向けて再建中ですが、いまだ難局を乗り越えたとは言い切れない状況です。

そもそも「インフラサービスカンパニー」とは何なのか。東芝の社長は、インフラ分野のモノとサービスをつなぐと説明していますが、これって日立とよく似ています。

「データを扱う」「プラットフォームになる」と仰っていますが、どうにも具体性が見えず、いまだイメージどまりのような気がしますな。

ただ、主力事業のない白紙の東芝は、より自由なビジネス設計が可能です。制約に囚われない分だけ、超優良ビジネスを作り上げるかもしれませんね。

楽しみにしております。



スポンサードリンク