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一時期、話題になった「アマゾンお坊さん便」が、一昨年の10月にアマゾンから撤退したという記事です。古い記事ですみません。

ただ、これ、アマゾンが仕掛けたわけではありません。「お坊さん派遣」のビジネスを、アマゾン・マーケット・プレイスで展開したということですから、アマゾンは場所を提供しただけです。

それでも、アマゾンのサイトに載っているということは大きなインパクトでしたから、話題になりましたし、実際、売上も増えたようです。

葬祭関連は、情報格差の大きいビジネス

このビジネス、出るべくして出たものです。

葬祭関連は、消費者と事業者の情報格差が大きいビジネスです。

頻繁に消費するものでもないし、必要に迫られてからの時間が短い。それに、葬祭ぐらいケチケチしないでおこうとする気持ちもあり、事業者側の言い値が通りやすいといえます。

ただ近年は、明朗会計、低価格サービスを売りとする新興企業が多く出てきており、業界全体が、低価格化、規模縮小に向かっています。

お坊さん側も機会を増やすのは有難い


お坊さんのお布施に関しても、一般人にはよくわからない世界なので、透明化要求は当然あります。だから、ネットで決まった金額でお坊さんを派遣してくれるなら、有難い。

お坊さん側としても、業界の規模が縮小する中、生きていくためには、サービス提供の機会を持たなければなりません。

大きなお寺はともかく、檀家の減少に悩むお寺のお坊さんや、そもそもお寺に属していないお坊さんにとっては、アマゾンであろが、何であろうが、機会を増やすことは喫緊の課題です。

サービス受益者にとっても、提供者にとっても必要なビジネスですから、登場するのは必然だったということです。

宗教行為という曖昧さが、不透明さにつながる


ただ、そもそもお坊さんのお布施というのは、宗教行為ですから、ビジネスではない。金額も決まっていません。

私の拙い経験ですが、葬祭時にお坊さんは「お気持ちで結構です」としか言われませんでした。が、葬祭関連の事業者が相場金額を伝えてきたので、出来レースです。ただ、それ以上の要求はなく、不満もありませんでした。

が、知人に聞くと、はっきりと金額を指定するお坊さんもおられるらしい。しかも、そのお坊さん、法事のたびに、付加する宗教行為や寄付の要求があり、値段が吊り上がっていったので困ったと言っていました。これは、そのお坊さんの特質なのか、宗派によるものなのかはわかりませんが、宗教行為に値引き要求はしにくいので、言いなりなったそうです。

こういう話を聞くと、明朗会計である方がありがたいと思いますし、そもそもお布施なんて要るのか?と根本を考えたくなります。

胡散臭い寄付の要求をされるぐらいなら、坊さん抜きで心の中で弔う方がマシだという気持ちになる人も現れるでしょう。

まさに一部のふとどきな事業者が目先の利益を追求しだしたために、業界全体が疲弊していくという図式にあてはまるわけで、明朗会計な事業者が現れることは、業界の健全化につながると評価できます。

葬祭関連事業はさらに規模縮小していく


ただ、こちらのお坊さん派遣ビジネスの場合、宗教側からの圧力で、アマゾンへの掲載を取り下げたということですから、健全化の方向性は、うやむやになってしまったようです。

理屈としては、宗教行為に金額をつけるのは問題、宗教を逸脱した事業展開は長期的にみて衰退につながるということですが、消費者側や、機会減少に悩むお坊さん側からすれば、短期的な視点から明朗会計になれば困る一部の人たちの利権を守ろうとしたのでは?と思いたくなるでしょう。

宗教の存在意義とか、長期的発展とか、壮大なことはここでは言いませんが、直近のこととして、今回のことで、葬祭関連事業の規模縮小に歯止めがかかることはないと考えます。


アマゾン側は、関知しないという態度をとっていますが、それはそうでしょう。規模の小さなビジネスですから。

アマゾンには、もっと大きな規模の業界の健全化に向かってもらわなければいけませんからね。





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