00

なかなかショックなニュースです。

怪物経営者


AMAZON.COMを1994年に立ち上げ、1代で売上高40兆円の企業に育て上げた怪物経営者が、あと半年ほどでCEOを退くとのことです。

ネット通販とAIを結び付け、販売を最適化するというアイデアは、優れていますが、誰も思いつかないものではありません。が、競争力を物流だと定めて、そこに集中投資した決断がアマゾンを際立てました。

先行投資が大きいため、創業から5年ほどは利益が出ず、ビジネスモデルそのものの有効性が疑われていたものです。利益が出ても微々たるもの。しかし、いつでも利益が出せるという姿勢を見せてからは、無双状態でした。

経営方針は「利益を出すぐらいなら、消費者に還元する」というもの。「すべて消費者のため」を旗印に、非効率な産業や、儲け過ぎている業界を飲み込んでいきました。その影響は甚大で「アマゾン・エフェクト」という言葉が作られました。

その経営スタイルは、アントレプレナーシップにあふれており、大企業のような硬直した保守的な組織になってしまうことを嫌っているということでした。

何事にも徹底することで知られており、妥協を許さないと聞こえています。優秀な経営者はみな一貫しているのでしょうが、そのなかでも、ベゾス氏の徹底ぶりは強烈だといわれていました。

そんなCEOが退任するというのですから激震です。

悪の帝国化はあるのか?


アマゾンが、Eコマースの必要に迫られて扱ったクラウドを事業として展開してからは、想定以上の利益が上がるようになり、むしろアマゾンが儲けすぎだと思える状態になりました。

今回、ベゾスに代わってCEOになるアンディ・ジャシー氏は、クラウド部門の責任者だということですから、方針そのものも変わるのではないかと危惧されます。

危惧。と書きましたが、アマゾンほど圧倒的なシェアを持つ企業が、儲け主義に走ったら、思うがままです。

アマゾンが破壊して、更地になったような業界で、好き勝手な商売をされたら、お手上げです。

それこそ悪の帝国になってしまいます。

ジェフ・ベゾスだから、そんなことはしないだろうと信頼している部分がありましたが、代替わりすると、そうではないかもしれない。

まさかこんなに早く交代するとは思わなかったので、戸惑っています。


もっとも、ベゾスは大株主ですし、会長として残るということなので、それほど大きな方針転換はないでしょう。

ウォルマートをはじめ競合他社が、アマゾンがミスすることを待ち構えていますし、なにより、消費者がそっぽを向いたら、生きていけません。

GAFAに対する風当たりが強い今ですから、悪の帝国化はないでしょうが。

今後のアマゾンの方向性が気になる


ただCEOが変わるというのは、徐々に戦略方向性も変わっていくはずです。新CEOがどの方向へ舵を切るのか、これから見ていかなければなりません。

普通に考えれば、クラウド関連事業を強化していくのでしょう。将来的には、その利益をもとに、新しい事業展開を進めていくはずです。

ベゾス氏が取り組む環境関連事業や宇宙開発事業と合流するのかもしれません。あるいは、自動運転車や有人ドローンへ乗り込んでいくのかもしれません。

クラウド、AI、物流に強いアマゾンですから、リアルからバーチャルまで、できることは多い。なんでもできます。

それだけに、方向性が気になります。

私は、アマゾンにはまだまだ変えてもらいたい業界があるので期待しているのですが、新CEOになって、どうなるのでしょうか。

アマゾンは、低価格住宅事業に参入するのか?


永続的な組織づくりに取り組む意図


それにしても、業績絶好調のなかでのCEO退任は、思い切った決断です。

組織を永続させるためには、仕組みが必要です。個人の影響力が強すぎては、経営者が交代するごとに危機に陥ります。

そういう意味では、ベゾス氏の個人的影響力が強いアマゾンは、事業承継に難儀しそうです。それを避けるために、スムーズな状態で引継ぎし、永続的な組織づくりに取り組むという意図なのでしょう。

そうはいっても、いつまでも固執したいのが人間です。潔いではないですか。

あるいは、知られていない事情があるのかな。そのあたりは、続報を待ちたいと思います。




スポンサードリンク