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後発薬大手の日医工が、私的整理を申請したというニュースです。

後発薬とは、特許の切れた薬のこと。ジェネリック薬です。

2022年3月期の売上高は1790億円。最終赤字は1048億円です。


ちなみに後発薬トップは沢井製薬(サワイグループ)、同じく2022年3月期の売上高は1938億円。最終赤字282億円です。

業界大手2社が揃って赤字決算ということになりました。

ただ、3位の東和薬品は、2022年3月期の売上高1656億円。最終利益159億円で持ちこたえています。

急拡大路線のひずみ


日医工に関しては、昨年発覚した不適切な製造工程による業務停止命令が少なからず影響しています。

同社の戦略は、とにかく薬品数を揃えて品数で勝負するというもの。まるで、ジェネリック薬品のアマゾンです。

扱い薬品数は約1220で、沢井製薬の約780、東和薬品の約770を大きく引き離しています。

現在、政府は医療費削減のため、安価なジェネリック薬の普及を促進しています。業界にとっては、追い風が吹いている状況であり、大手3社はここぞとばかりに拡大策をとっています。

日医工も、他の後発薬企業の買収を繰り返して、売上規模を3倍に伸ばしてきました。

品数を重視するあまり、他社で試験に通らなかった薬を独自の基準で通すという危ない橋を渡ってきたようです。

今回、厚労省にそれが不適切であると指摘され、業務停止および医薬品の大規模な自主回収をするに至りました。

品数を増やすという戦略をとった同社は、採算性の低い商品も扱わざるをえず、もともと利益を出しにくい体質でした。そのため、赤字幅が大きくなったようです。

海外事業の結果が影響


ジェネリック薬に追い風がきているといっても、長期的な成長が続くわけではありません。人口減少していくわけですから早晩、国内市場は成熟、衰退期に移ります。

それが見えているので、日医工も沢井製薬も東和薬品も海外進出を図っています。

実は、日医工も沢井製薬も、海外展開がうまくいっていないので、赤字に転落しました。

これに対して、東和薬品は、海外事業が利益を出したので黒字にとどまったということです。

なんだ、結局は海外事業頼みか、ギャンブルみたいなもんじゃないか、と言われるかも知れませんね。確かに、今回は東和薬品がよかったものの、数年後には違う結果になっている可能性だってあります。

ジェネリックメーカーの米国進出は失敗だったのか―サワイと日医工、減損で最終赤字

「弱者の戦略」を貫けるか


ただ、東和薬品は、扱い商品や進出する分野を絞り、いわゆる「弱者の戦略」で事業展開をしているふしが見えます。

これに対して、沢井製薬はもう少しラフな市場選択に見えますし、日医工に至っては、なんでもありに見えます。

このあたりの戦略への意識が、業績に反映していると、ランチェスター戦略を信奉する私は、考えたくなりますね。

とくに新しい市場に進出するうえでは「弱者」ポジションをとる必要があります。

どの業界でもそうですが、こうした単純な戦略への意識が重要だと思います。

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