コロナでも生き残る


(2020年6月25日メルマガより)


コロナ禍の消費動向


2020年4月の家計消費支出は、昨年より11.1%減。先月(3月)に比べても6.2%の減少となっています。

全国的に外出自粛要請が出ていた中なので、消費が落ち込むのは当然ですが、それでも恐るべき事態です。

10%以上の落ち込みなんて、消費増税直後にしか見られない事態です。しかも消費増税時は、駆け込み需要の後のギャップ込みですから、深刻度が違います。


特に減少幅が大きいのが「食品」「被服および履物」「交通費」「教養娯楽」などです。

細かくみると、

食品でいえば、外食、飲酒代。

被服でいえば、背広、婦人用スラックス

交通費は全般。特に航空機代、鉄道運賃。

教養娯楽でいえば、旅行費用、映画・演劇等入場費用、遊園地入場費用。

その他、女性の化粧品類も減少しています。


逆に消費増加しているのは、

食品でいえば、パスタ、即席めん。チューハイ・カクテルなど。

保健用消耗品(マスク、ガーゼ含む)

娯楽でいえば、ゲーム機やゲームソフトなど。

郵便代も増えています。



巣ごもり需要に対応したかどうか


要するに、巣ごもり時に必要なものは消費が増えて、必要ないものは減っているということです。

こういう消費傾向ですから、ビジネスにも影響が出ます。

飲食業は厳しい状態です。

鉄道や旅行・宿泊関連も大変厳しい。

映画館、劇場、スポーツ施設も軒並み休止状態です。

アパレル関連もダメです。

逆にドラッグストアやスーパーなどは好調です。

通販関連は好調で、宅配も大忙し。

ゲーム関連も軒並み好調。

ネットワーク関連も好調です。

すべて説明がつきます。


戻る消費、戻らない消費


市況により好不調がでるのは当然ですが、今回は極端ですね。

勝ち組業態、負け組業態なんて言い方をされていますが、そう単純な話ではありません。

経済というのは、すべてつながっているものですから、今は勝ち組だと思っているビジネスも、長期的には影響を受けます。

一時的な好調、不調よりも、もう少し長い目で見た方がいいと思います。

そう考えると、今は不調だけど、そのうち復調すると考えられるビジネス。復調が見込みにくいビジネスがあります。

例えば、鉄道などは、自粛があければ需要は必ず戻ります。

テレワークで、通勤が不要になる、なんてのは未だ一部にとどまるはずです。

近距離の移動に関しては、回復は早いでしょう。

観光関連は時間がかかります。特に壊滅状態のインバウンドは、海外からの観光客が計算できないので、けっこう長くかかるでしょう。

しかし、こちらもいずれは戻ります。来日客3000万人のレベルに達するのは数年かかるかも知れませんが、コロナ前の需要がそっくり消えてしまうということは考えられません。

航空関連も同じですね。今は海外渡航が制限されているので、どうしようもありませんが、移動そのものがなくなるということはありませんから、いずれは戻ります。

インバウンド関連に比べれば、国内需要が主流のスポーツ観戦や映画、劇場などの回復はもっと早いはずです。

今は、演芸もスポーツも無観客興行で開催していますが、ワクチンが開発される来年には、元通りになると考えます。


コロナに関わらず苦しいアパレル


逆に、コロナ禍が収束しても厳しいのが、アパレル関連です。

レナウンが破綻したことは記憶に新しいでしょうが、コロナが原因だったわけではありません。長年、綱渡りのような状況が続いていたのは周知のことで、コロナは幕を引く言い訳になったと揶揄されたぐらいです。

アパレル産業は、ユニクロなどのファストファッションの台頭で単価が下がり、構造的に規模縮小しているところでした。

いまはワークマンが機能性アパレルという分野を切り開こうとしています。こちらは長期的には拡大要因ですが、それ以上に旧来のアパレルの落ち込みに追いつきません。

だから旧来のファッションブランドは、コロナがなくても厳しい状況です。レナウンと同じく、終わりが早まったかなと言われても仕方ありません。


飲食業は、入れ替わりが進む


飲食業に関しては、需要は戻ります。

外食や飲酒需要が、なくなるなんてことはあり得ません。家飲みが増えた、zoom飲み会が楽しいといっても、一時的なものです。

ほとぼりが冷めれば、外食も飲食も元通りになるはずです。2メートル開けた接客なんて情けないこともなくなるでしょうな。

ただし、大きなチェーンはともかく、飲食店には零細企業や個人事業が多いですから、需要回復までもたないところもでてきます。

それでも需要は回復しますから、また新たな店が生まれます。もともと入れ替わりの激しい業界ですが、より新陳代謝が高まるといえます。


コロナ後の企業経営 生き残るコツ


産業は、新陳代謝が適切に進み、ある程度プレーヤーが入れ替わるのが健全な状態です。

なんていえば、あまりにも俯瞰的すぎて、冷たい意見かもしれませんね。

しかし、これは如何ともし難いものです。

市況が厳しければ、退場せざるを得ないプレーヤーが多くでますし、市況が戻れば、新規参入が増えるものです。

全員が生き残れるわけではありません。

ただし、生き残るプレーヤーには、それなりの理由があります。いわゆる生き残るコツのようなものです。

もっとも、切羽詰まってから取り組んでも手遅れかも知れません。普段から備えておくことが必要です。

いかに準備しておくことが大切か。なんて言うと、当たり前すぎてスルーしてしまう人が多いのですが、これは本当です。

結局、当たり前の準備を疎かにしない。この一見平凡なことができる人が非凡な経営者ということなんでしょう。


どんなビジネスにも寿命があることを知る


緊急時に必要なのは、なにより柔軟性です。

小さなビジネスに取り組んでいる人は、自分の事業が永続するなんて幻想を持ってはいけません。

どんな需要も数十年で枯れてしまいます。小さなビジネスほど短い。大成功したと思っても、数年で潮目が変わります。

需要は、移り変わるのが普通だと思っていてください。

だから小さなビジネスで生き残るためには、需要の動向を見極めて、市場に変化があれば焦点を変える、市場が枯渇すれば撤退する準備をしておかなければなりません。

日本には優秀な部品工場が多いといわれています。ネジ1本、ばね1つに特化して技術を磨き、オンリーワンとして存在しているので生き残っているというイメージがあるかも知れませんが、実際には、ニッチに君臨したからといって長生きできるわけではありません。

生き残る企業は、もてる技術をいかに柔軟に応用するか、日々考えています。

いくつかの分野にタネを撒いて、苗木を育てておき、主力ビジネスに陰りが生じた場合、いつでも移行できるように準備しています。(たとえば村田製作所)

そういう心構えがあれば、コロナ禍においても無用に慌てないはずです。


代替がきかない商品を持つ


これも当たり前すぎてスルーされそうですが、唯一無二の商品やサービスがあれば、見捨てられません。

だからといって、オンリーワンの商品やサービスを作ろうと必死になっても徒労に終わること大です。

商品づくりだけに必死になってはいけません。

むしろ重要なのは、顧客を見つけ、接触し、強い結びつきをつくることです。

ものすごく簡単に言ってしまうと、自分だけが見つけたニッチ市場で、圧倒的なナンバーワンになることができれば、唯一無二となります。

できれば、他社が手を出しても儲からないぐらいの圧倒的なシェアを得るか、あるいはニッチすぎて他社が手を出してもメリットがないような市場を見つけることです。

それがいわゆるオンリーワンです。

誰もが目を付ける大きな市場で、いくら商品差別化しても、すぐにマネされてオンリーワンなんかなれないことを知っていてください。

唯一無二になるためには、商品開発よりも、市場のチャンスを見つけること、確かな顧客を把握すること、販売チャネルを確保することが、重視されます。(ぜひランチェスター販売戦略をマスターください!)

ただし、唯一無二になったとしても、永続できるなどという幻想は抱かないようにしてください。


顧客との関係を作る


コロナ禍において、老舗の料亭が宅配弁当をはじめて業績を伸ばしたり、卸売業者がオフィスの除菌ビジネスを立ち上げて盛況だったりしたという話をちらほら聞きます。

飲食チェーンでも、持ち帰り体制が充実しているマクドナルドは業績を落としていないそうです。

いざというときの柔軟性が重要だということを先に言いましたが、確かに、コロナ禍の難局を乗り切った企業は、柔軟な才覚と対応に優れていると見えます。

しかし、ただ単に、飲食店が宅配を始めたり、新規ビジネスを立ち上げたりして必ずうまくいくというものではありません。

ビジネスが成功する前提には、応援してくれる顧客がいるということを忘れてはなりません。

なんていうとまた当たり前すぎてスルーされそうですが、忘れがちなんですよね。

老舗の料亭の宅配弁当事業が成功したとすれば、その弁当を宅配でもいいから食べたいという顧客がいるからです。

除菌ビジネスを立ち上げて事業が成り立つのは、それを利用しようという顧客とのチャネルがすでにあるからです。

つまり、普段から顧客との関係を作っておかなければ、柔軟な対応も才覚も意味がないということです。

単にお店を開けて、来てくれるお客さんにサービス提供しているだけでは、いざという時の顧客基盤ができているとは言えません。

長くなるので、詳しいことは今回は書きませんが、たとえば、こういう弁当屋さんがあるので、参考にしてください。



財務基盤


とくに飲食業。

2カ月程度の休業で破綻するとか閉店の危機とか言っているのは、財務基盤がぜい弱すぎますよ。

私は仕事がら実態を知っていますが、小さな飲食業の多くが、未だにどんぶり勘定で平然としています。

ベテラン経営者という人が「長年の経験で、経理なんてなくても、どれぐらい売上があれば事業存続できるかすぐにわかる」と自信満々に言っているぐらいです。

まあ、はっきり言って、計数部分を厳格にするだけで頭一つ抜け出せる緩い業界だなあと思いますよ。それがコロナ禍で露呈したわけですな。

今回、わかったのは、現金を持つことの大切さです。

とくに小さい事業は、需要の不安定さの影響を受けやすいものですから、現金を余分に持っておくか、あるいはいざという時に調達できる算段をつけておかなければなりません。

どんぶり勘定なんてもってのほかですよ。


常に危機対応だと考える


今回のコロナも秋冬には第二派がくるそうじゃないですか。

それだけではありません。今回のような感染症のリスクは常にあります。100年に1度の危機が、また数年後に起きないなんて誰にも言えませんからね。

だとすると、我々は、危機対応を常態化しなければならないということです。

といっても、不安定さの上に立つ小さな事業は、常に危機状況にあるようなものです。

自分の事業が永続するなんて幻想を抱かない。

勝てるニッチ分野をいくつも見つけて、攻略する、あるいはその準備をしておく。(ランチェスター戦略を学ぶ)

顧客との接触方法を複数持ち、つながりを深めておく。

計数関連を厳格にして、現金を持つ、あるいは調達する手段を確保する。