バーガーキング

バーガーキングの業績が急回復


先日の「戦略勉強会」で、バーガーキングの事例をとりあげました。


しばらく赤字続きだったバーガーキングの業績が急回復しているらしいです。

もっとも、バーガーキングといえば、日本上陸と撤退を繰り返してきた歴史があり、業績急回復したといっても、これを以って日本に定着したと言うわけにはいきません。

ちょっとした波がきている程度かもしれませんね。


全米2位のハンバーガーチェーンによる弱者の戦略


バーガーキングは本国アメリカでは、マクドナルドに続く第2位のハンバーガーチェーンです。

といっても、だいぶ引き離された2位です。

弱者企業ですから、販売戦略も弱者らしい突飛な手を打とうとしてきました。

例えば、マクドナルドが「健康に気を遣ったハンバーガー」のイメージを打ち出した時は、バーガーキングは「うちのハンバーガーは健康に悪い!」と言い出しました。

どうせハンバーガーを食べるのだから健康を気にせず美味しいものを食べてください、という意図のキャンペーンです。

健康に悪いというだけあって、そのハンバーガーは、いかにもニクニクしい味わいで、食べ応えがあります。脂分が多くて、カロリーは高そうですが。

悪ノリじみた逆張り戦術ですが、潔さが一部に受けて、コアなファンを掴んでいます。

日本から全撤退した時期も、ヘビーなファンは、米軍基地内のバーガーキングに通っていたという伝説がありましたから。

しかし、マクドナルドも強者企業として手を打っています。

バーガーキングの本格志向が受けると見るや、マクドもグランシリーズなど肉厚を売りにする商品を投入して、バーガーキングの特徴を消しにかかりました。いわゆるミート戦略です。

ミートされると弱者企業は困窮します。もともと優位性に乏しいので、打つ手が限られてしまいます。


悪ノリのようなリスキーなやり方


弱者企業は一般的に資金に余裕がないので、大々的な広告キャンペーンを打つわけにはいきません。

そこでじり貧のバーガーキングが取った手は、またもや悪ノリの施策です。

2020年に同チェーンが行ったのは、店舗数が少なく利便性が悪いという欠点をネタにしたものでした。

彼らは「店が遠くて不便だというお客様の声に応えられないので、お客様自身が店の近くに引っ越しください」と言って、不動産紹介を始めたのです。

さらには、ツイッター(X)で、「店を増やしたいので物件を紹介してください。成約したら10万円差し上げます」というキャンペーンまで始めました。

これを大真面目にやるのだから、ファンは「いつものバーガーキングのノリだ」と大喜びしたようです。

マクドナルドのような強者企業には、こんな炎上リスクの高い施策はとてもできないでしょう。

弱者だからこそのリスキーなやり方ですが、実にうまくSNSを使ったものだと思います。


SNSを活用して、ファン基盤を強固にする


ちなみに、勉強会の中では、バーガーキングの商品そのものに対する懐疑的な意見がありました。

メインのハンバーガーは美味しいが、サイドメニューがしょぼい、というものです。

私は年齢的に、バーガーキングもマクドも食べないので、わかりませんが、こういう声が出るということは、本格的な業績向上はまだ遠いのかなという気はしますね。

しかし、メニュー開発や質の向上には時間がかかりますし、資金も必要です。

その前に、コアなファンをつなぎとめようとする同社の工夫には感心しました。

と思っていると、小さな企業の中には、SNSをうまく使って、まるで大喜利のような訴求をしているところが多くあるようですね。

はなまるうどんは、ダイオウイカの天ぷらを始めたとかいったとんでもない投稿をツイッターに上げていました。(10メートルぐらいあるので、店に入り切りません)

ただしこれはエイプリルフールの投稿だったので、バーガーキングほどのインパクトはありません。それでも、受けたみたいですが。

その他、小さな企業の例を挙げたらきりがないので、探してみてください。

資金のない弱者企業にとって、多くの見込み客に訴求することができるSNSは、大きな武器となります。

必要なのは大喜利力とでもいったものでしょうか。