■私の家の近所に「大起水産」という回転寿司屋さんがあります。
堺の中央環状線沿いにある店です。
そのお店の混み具合が半端じゃありません@_@
週末にもなるとお昼1時間待ちはざら。
それでも、時々、利用したくなるのは、やはり美味しいからです。
大起水産というのはもともと水産物の仲卸(卸売市場内で、
だから活きのいいネタを仕入れることには長けているのでしょうね
普通の回転寿司店よりは高めの設定ですが、
■大起水産ってすごいなーと思っていたら、
何がすごいかというと、その待ち時間です。
なんと最高11時間!
ありえんだろーーと思えるような待ち時間を記録したのは、
同社が最近実験的に始めた「食べ放題」企画の待ち時間が、
参考:食べ放題「10時間以上待ち」続出 「予想以上の反響」とかっぱ寿司
https://www.j-cast.com/2017/
■かっぱ寿司の食べ放題企画といえば、
それが11時間待ちって。限定時間をはるかに過ぎてるやんか。
仮に16時に予約したとして、27時に入店できる計算です。
それでも店側は強気で、
ま、予約だけして、来ない人もいるでしょうから、
それにしても、昼過ぎに予約して、入店が夜になるって、
■このかっぱ寿司の食べ放題企画、賛否両論です。
特に経営面からは否定する論調が多い。
参考:かっぱ寿司が食べ放題という「地獄」を選んだ本当の事情(
https://news.infoseek.co.jp/
私も、この企画は上策とは思いません。
まずは、ただでさえ薄利の回転寿司において、
通常、外食産業の原価率は30%程度だといわれていますが、
もとより利益(人件費除く)は半分しかないのに、
その上、回転寿司という業態は、
この企画、男性1580円、女性1380円(税抜)です。
つまり男性は16皿以上食べたら得。女性は14皿以上。
合理的に考えると、この企画にやってくるのは、
かっぱ寿司は、
何かずれた企画ではないかと思う次第です。
■回転寿司が登場したのは1958年。
元禄寿司は、職人不足に困って、
寿司がくるくる回るという世にも珍しい仕掛けが大うけしたのは、
1978年。元禄寿司の特許が切れてから、
もともと寿司が回るという意外性、エンタメ性に加えて、
■あらゆるビジネスは市場シェア(市場占拠率)が重要ですが、
なにしろ薄利多売ビジネスですから、
各社とも成長期に店舗数を拡大しておかなければならないと躍起に
そうすると、当然ながら、
ある程度淘汰されながら、トップ企業となったのが、
■かっぱ寿司は、いち早く「特急レーン」
流れてくる寿司を拾えばいい。店主に注文しなくていい。
それなのに消費者は贅沢ですね。
そこでかっぱ寿司は回転レーンとは別に、
ところが各社とも、それに対応してきます。
■2010年代になり、
チェーン各社は輸入食材に頼っているので、
かっぱ寿司も原価増に悩んだ末に、低価格を維持するために、
それに対して、スシローやくら寿司は、
そんなことをすればてきめんです。
結局、トップの座から落ちて、現在は3位です。
■かわりにトップに立ったのが、スシローです。
参考:飽和迎える回転すし市場、スシローの戦い方(
http://business.nikkeibp.co.
同社が変わるきっかけは、ゼンショーという外圧の存在でした。
ゼンショーというのは、牛丼チェーンの「すき家」や「なか卯」
なんでも欲しがるゼンショー(全勝ですから)は、
特にスシローに対しては、一時、
そこから2017年に再上場するまで、スシローとファンドは、
特に単価を上げてでもこだわった鮮度管理が徐々に評価されて「
売上日本一を達成したのは2011年、
再上場したいま、
■スシローとともに業績好調なのが、くら寿司です。(
参考:くら寿司、異様な光景の秘密 快進撃を支える驚異の異端経営 平日午後でもなぜ満席?(ビジネスジャーナル)
http://biz-journal.jp/2015/03/
くら寿司もスシローと同じくITを駆使した業務オペレーションの
今では、
くら寿司をみていて、感心するのは、そのアイデアです。「
これは、
近年ではラーメン、カレー、牛丼、カレーパン、コーラと、
要するに、
もともと回転寿司は、エンタメ性を持った業態です。
そう考えれば、ファミリーレストラン化は、
■こうして上位2社が、
困ったかっぱ寿司が、
参考:「はま寿司」が急成長! 「かっぱ寿司」を追い越せた理由
http://www.itmedia.co.jp/
はま寿司は、
同社は、何の躊躇もなく低価格戦略を突き進め、
はま寿司の強みは、ゼンショーの総合力を利用できるところです。
はま寿司が、業界随一の低価格を貫きながら、
■
平日1皿90円という企画は、まさにはま寿司の二番煎じです。
いったいどうしたんだ、かっぱ寿司!というわけです。
現在、かっぱ寿司の親会社はコロワイドです。
参考:なぜコロワイドは「かっぱ寿司」を買ってしまったのか
http://www.itmedia.co.jp/
コロワイドといえば、居酒屋を祖業にして、
M&A(合併&買収)戦略が実に巧みで、十数回M&
コロワイドがかっぱ寿司を買収したのが、2014年のこと。
もっとも今回の案件はさすがのコロワイドも簡単にV字回復させる
後手後手を踏み続けて、困り果てたかっぱ寿司が今回、
悪手だろうが何だろうが、話題になることをやって、
その間に、
それがかっぱ寿司の狙いだということなんでしょう。
■実をいうと、私はけっこうなかっぱ寿司ユーザーです。
まあ、
正直に言いまして、一時は食べるものがないと思えるほど、
いつも食べるのはうどんと海老天巻き。
ところが最近はちょっと変化してきていて、
確かに良くなってきているとは思います。
しかし、大起水産と比べると全然です。
業界的にいうと、回転寿司市場は、スシロー、くら、はま、
特に回転寿司なのにそこそこいい値段のする高級店が、
■上の記事(飽和迎える回転すし市場、スシローの戦い方)
【売上高−営業利益(利益率)】2016年。※はまは経常利益
スシロー1477億円−75億円(5.1%)
くら 1136億円−65億円(5.7%)
はま 1010億円−42億円(4.2%)
かっぱ 803億円−25億円(3.1%)
【店舗数−1店舗あたり売上高−1店舗あたり利益】
スシロー460店−3.2億円−1630万円
くら 393店−2.9億円−1654万円
はま 465店−2.2億円− 903万円
かっぱ 351店−2.3億円− 712万円
【市場シェア】※市場全体を6300億円として
スシロー23.4%
くら 18.0%
はま 16.0%
かっぱ 12.7%
やはりデータをみても、かっぱ寿司の苦境が目立ちます。
■回転寿司は、いわゆる装置産業です。
回転寿司のコンベアや寿司を作る機械などを最初に整備しなければ
その上、薄利多売ビジネスですから、
ということは、今さら新たなチェーンが台頭するとは考えにくい。
今後、
生き残る道として、スシローは出店攻勢に出て、
くらは、
ゼンショーグループのはまは「低価格路線こそ回転寿司の王道」
コロワイド(かっぱ)とすれば、
■今回、かっぱの食べ放題企画は、
この流れを萎ませてはならない。私なら、
当たり付き皿の導入とか。
ダーツで割引率を決めるとか。
5000円以上半額とか。
90点以上のテスト答案を持ってきたら一人半額とか。
ロシアンルーレットで激甘寿司を仕込むとか。
やれることは何でもやって、エンタメ性を高めていき、
そして集客ができているうちに、
■はまは、かっぱの価値を上げたくないでしょうから、
チキンレース上等!という気持ちで、やってくるでしょうね。
スシローは財務的に難があるのでやりにくいですし、
だとすれば、はまとかっぱの我慢比べの末、合併する。
つまりこの戦いの覇者ははま寿司になるのではないかという予想で
まあ、その通りいくかどうかはわかりませんが、
回転寿司は、マスコミにとりあげられる件数も多いですし、
当事者は大変でしょうが、