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アイリスオーヤマのしたたかさが知れる記事です。

短期需要になぜ参入?


同社が、国産マスク製造参入を表明したのが、今年の4月です。コロナ禍でマスク供給がひっ迫している時期で、えらいタイムリーな表明でした。

というかタイムリー過ぎて、大丈夫か?思いつきでやっているのではないの?と思えたものです。

良くも悪くも、腰が軽いのがアイリスオーヤマの特徴ですから、乗りの軽い姿勢は、同社らしいといえますが、それにしても、コロナが収まれば国産マスクの需要は落ち着くだろうし、同社のような規模の会社が手掛ける事業だろうか?と思ったわけですな。

コロナ禍のなか、絶好調の業績

同社の業績は絶好調です。
2020年12月期のグループ売上高予想を大幅に上方修正。当初は前期比20%増の6000億円としていたが、同40%増の7000億円にした。

巣ごもり需要を取り込んだと記事にありますが、それがなくても成長基調にあった企業です。プラスチック製品の扱いで得た売り場(ホームセンター)とのつながりを基盤に、電化製品、家具、調理器具、ペット用品などに品ぞろえを増やしている途上です。

アイリスオーヤマが逆風下に強い理由

マスク事業への取り組みも、実は2007年からはじめていて、高機能マスクの取り扱いを開始したと同社ホームページに記載されています。

実に多彩。雑草の生き残り戦略である「攪乱適応戦略」を想起させます。

雑草のようにしたたかなワタミの生き残り戦略

「売り場確保」営業の重要性


さて今回の記事によると、国産マスクへの参入は、スーパーマーケット開拓の切り札にしたということです。

ホームセンターに強いからといって、他の売り場が簡単に開拓できるわけではありません。売り場というのは、それぞれのメーカーやベンダーが、生き残りをかけて死闘を繰り広げる場所です。私が営業だった時代も、凄まじい闘いでした。表だけではなく、裏側では、陰湿な策略や脅迫まがいのこともありました。

だから、超短期需要にしろ、売り場が求める商品を供給できることは、非常に意味のあることです。一度、売り場を確保できれば、それをくさびにして、陣地を広げることができます。0→1は難しいが、1→10は、それほどでもないのです。

会社が、有用な武器を用意してくれるというのは、営業としては、非常にありがたかったでしょうな。

つまり、アイリスオーヤマは、「売り場を確保する」営業の重要性を非常に理解している会社だということです。

現実的な営業に強い会社は、したたかだと思う次第です。