日本のエンターテイメント産業が、グローバル化に苦戦しているという記事です。
とくに韓国がグローバル化に成功しているようにみえるので、その比較から書かれています。
内向きなエンタメ産業
記事にあげられているのは、音楽、映画・ドラマ、お笑いです。
音楽については、韓国のグループが、世界的なヒットを飛ばしているのに対して、日本にそれはありません。
内容としては、音楽の構成上、起承転結があり、サビを重視する日本の楽曲が世界の潮流に遅れていると指摘されています。
また業界の体制として、CD販売に頼るビジネス構造も、世界では珍しくなっています。
見出し
映画・ドラマについては、やはりアカデミー賞を受賞したり世界的ヒットをとばす韓国に及ばないと指摘されています。
内容としても、日本の映画やドラマは繊細ですが、内向きで、世界には理解や共感が得られにくい。これに対して、韓国映画やドラマは、過剰なベタさが批判されつつも、理解されやすいからか、世界を席巻しています。
また、業界の体制として、日本は、人気俳優を抱えるプロダクションの力が強く、俳優ありきの企画が中心となることが指摘されています。
韓国は、ハリウッド式の制作姿勢をとっており、俳優以外のクリエイターに収益が還元する仕組みができているとも。
日本では、脚本家の軽い扱いがいわれているだけに、構造的な問題となっています。
「否定」を起点とする日本の笑い
お笑いについては、韓国が世界に進出しているということはない気がしますが、やはり、吉本興業が世界進出に失敗していることが指摘されています。
指摘されているのは、日本のお笑いがツッコミという否定を起点としており、これは共有の価値観がなければ通用しないということです。
これに対してアメリカで主流のスタンドアップコメディは、一人語りなので、共感するかしないかは観客に委ねられており、むしろ肯定を起点としているらしい。
笑いの構造の違いについては、なんとなくは理解できるものの、腹落ちするほどではないのでもどかしいですが、日本の笑いが、言葉という壁よりも構造として世界化できていないということが書かれています。
お笑いの構造については、また考えたいと思います。
以前から言われていましたが、韓国は国内市場が小さいので、エンタメビジネスを拡大しようとすると、グローバル化する機会がすぐにやってきます。業界全体が、外向きにならざるを得ません。
これに対して、日本は国内市場が大きいので、内向きでも充分に大きなビジネスができます。業界の体制として、内向きなのは、仕方ない面があります。
ただ、今後、人口減少で縮小していく日本市場で同じような体制では立ちいかないのは当たり前です。これから、日本も真剣にグローバル化を考えていくでしょう。
もちろん、しばらくこのままでいいやという既得権益者とのせめぎあいで相当の痛みは伴うでしょうが、それでも変わらざるを得ません。
まずは、韓国を参考にして、グローバル化が徐々に進んでいくことでしょう。そのせめぎあいを今後も見ていきたいと思います。