遠藤功「なぜ今、中堅企業なのか?」ニッポン中堅企業の秘めたる爆発力

■パナソニックやソニーなど「兆」円企業が凋落する中、数千億円の規模で強い企業が多いという主張の記事です。

体格ではなく、体質で戦え、と言っています。

先日、書いた孫正義氏のインタビューとは正反対の主張のように思えますが、実はそれほど変わっているわけではありません。

■パナソニックやシャープなど総合家電の市場は、世界での規模が大きい。それなのに、彼らは日本サイズで経営を組み立ててしまった。

昔のように国ごとに閉ざされた市場圏のままならよかったのですが、グローバル化した世界では、あくまで3番手、4番手ですから、苦しい戦いを強いられます。

しかるにユニ・チャームやクラレなどは、ニッチな製品分野で強みを発揮しています。世界規模でみても、それほど大きくない市場規模なので、数千億円程度で足りるわけです。

■体格勝負では、世界で1社しか残れないと書いていますが、体質勝負であっても同じです。

それぞれが自分の市場をどう設定しているかで適正サイズが変わっているだけです。

差別化は、遅かれ早かれ、いつかはミートされます。つまりいつかは体格勝負になります。

ある枠内の中で、優位性を発揮できるのはトップ企業だけですから、体格勝負になる時に、その位置にいなければなりません。

■パナソニックやトヨタなど大きな枠で戦ってきた企業は、さらに体格を大きくして世界枠でナンバーワンになるのか、あるいは、ダウンサイジングしてグローバルニッチを目指すのかを選ばなければなりません。

中途半端が一番いけない。生き残れません。

ダウンサイジングするといっても兆円企業は、縮小過程で相当の痛みに耐えなければなりませんから容易ではありません。とはいいながら、放置してツケを後ろに回す方が、痛みはひどくなるのですが。

■市場の枠組みという観点を取り入れれば、孫正義氏の主張も今回の記事も、実は共に正しいということです。

しかし、そもそも兆円規模で、世界ナンバーワンを目指そうという企業が少ないというのが、孫正義氏の不満な点なんでしょうね。

私はグローバルトップもニッチ企業も共に必要だと思います。