グーグルが、日本でもスマホ決済に参入というニュースです。
記事によると世界では1億5千人が、グーグルペイの登録者だということですが、日本では後発も後発。いまさら感があります。
しかし、スマホ決済は、まだ成長市場ですから、ペイペイや楽天ペイにとっては、厄介な競合となります。
特に、ペイペイは、参入時の業者側の手数料無料を取りやめる告知をしています。頭の痛い時期に、グーグルが本格参入というニュースがきたことになります。
アリペイというお手本
スマホ決済ビジネスは、シェアが大きくものをいう世界です。少額の手数料をかき集めるビジネスだからというだけではなく、決済から得られるデータの価値が大きいからです。
これはアントファイナンシャルグループが手掛けるアリペイというお手本があります。
アリペイはもともと、ECサイトアリババの決済を保証するためのシステムでした。しかし、今や、アリペイのユーザーは、中国やアジアを中心に、13億人といわれています。
決済や信用に関する膨大な個人データを所有することで、預金や貸出や投資や、様々な金融商品を扱う総合金融機能を持ちました。
中国では、既存の銀行など金融機関を無力化する存在として、政権から危険視されるほどです。
ここまで、金融機能を拡充させたIT企業はありません。アマゾンでさえ、この分野には手つかずでした。
グーグルは、金融ビジネスに及び腰だった?
スマホを手掛ける企業が、決済ビジネスをしないわけがなく、グーグルも、アップルも進出しました。
ただいかにも遅い。
私は、グーグルは、検索システムで天下と獲った時に、金融に進出するのではないかと考えていました。
あらゆる個人とデジタルでつながる可能性がある当時のグーグルならば、最も有利な位置にいたはずです。
ところが、グーグルは「金融には進出しない」と宣言したりして、なんとももどかしかったことを覚えています。ビジネスチャンスを逃さなければ、今ごろ、ダントツの影響力を持っていただろうに、と思いますな。
ただ、中国当局からにらまれたアリババのように、暗号通貨を作ると言いながら尻つぼみになったフェイスブックのように、既存の金融システムを脅かすようなビジネスを手掛けるのは、相当に危険なことなんでしょう。
グーグルを持ってしてもです。
日本には、気合の入ったライバルが多く、厳しい闘いに
日本進出については、先行企業のペイペイや楽天ペイが、強く、気合も入っていますので、グーグルといえども、厳しい闘いとなります。
先行企業は、既に、クレジットカードも銀行も所有しており、垂直統合が完成しています。
これに対して、グーグルは、全銀行と等間隔でつながれることを強みにしていくのでしょう。
記事では、pringのシステムが使いやすく若者に人気があるということですが、それだけで、シェアをとることができるかといえば疑問です。
確かに、先行企業は囲い込み姿勢が強く、嫌がるユーザーもいるでしょうから、カジュアルなビジネス姿勢が、好感を得るかもしれませんが、それで主流になれるかというと、やはり疑問です。
もっとも、昔からグーグルのビジネスは、スケールは大きいものの、ローカル戦略が雑な面があります。
他の地域ではそこそこやってるんだから、日本でもがんばれよ、と発破をかけられた担当者の顔が見える気がしますな。