シダックスがついにカラオケ事業から撤退です。
かつてレストランカラオケという業態で一世を風靡しました。ひと昔前までは、カラオケは飲み会の主役だったんですね。一次会の食事から対応できる大箱のカラオケルーム全盛の頃は、シダックスがトップ企業でした。
ところが今は、ひとりカラオケや持ち込みOKの低価格カラオケが中心となっています。
給食事業を手掛け、レストラン込みの店舗を得意とするシダックスには分が悪い市場環境となってしまいました。
明暗わかれたカラオケチェーンの状況
かつての花形事業もいまはお荷物に
カラオケ事業への進出は、シダックスを飛躍させるきっかけとなるホームラン事業でした。
一時期は、シダックスの収益を引っ張る事業であったことは間違いありません。
が、ここ数年、業績は急激に落ち込んでおり、2016年3月期、2017年3月期の2年に至っては、最終利益で赤字を計上してしまいました。
直近の2017年3月期に関しては、売上高1484億円(前年比92.3%)、営業利益13億円ですが、巨額投資損失を計上しているために、経常損失が約30億円となっています。(前年損失は約11億円)
「一部の報道で、シダックスグループがカラオケから撤退するという記事が出たが、それを撤回させて欲しい。われわれはカラオケ事業からの撤退は考えていない」シダックスの志太勤一・会長兼社長は投資家向けの説明会で、そう主張した。
とありますが、むしろ撤退しなければヤバイ状況です。
給食受託事業は好調 選択と集中は合理的
シダックスグループは、給食受託事業の大手であり、そちらは好調です。
セグメント売上高をみていても、レストランカラオケ事業のインパクトは減っていました。
利益貢献度でみても、エスロジック事業35.6%、コントラクトフード21.5%、メディカルフード19.9%、コンビニエンス中食3.8%、トータルアウトソーシング26.7%です。(レストランカラオケは赤字)
得意分野に集中するのは、合理的な判断であり、復調の兆しが見えないレストランカラオケを見切るのは当然です。
市場は変化することを前提としなければならない
記事によると、シダックスは建物の賃貸契約を長期間結んでいたため、撤退の足かせになったとあります。
店舗戦略の失敗がシダックスの手足を縛った。自社が店舗を建てた時の土地賃貸契約が15〜20年と長期に及ぶものが多く、解約には高額の違約金が発生するため、抜本的な対策が遅れた。
市場は変化することを前提としていなかったシダックス側の失敗だとわれても仕方ないでしょうね。
もっともこの期に及んでの志太会長の発言にも一抹の不安を感じます。
東洋経済の取材に、志太会長は「寂しさはあるが、カラオケ館と組むことで今までにないカラオケの新しい業態ができればうれしい」と答えている。
まだカラオケ事業のホームランが忘れられないのか。あるいは、撤退に至った事実を取り繕うというのか。
カラオケ事業を引き取ってくれるところがあって幸いです。
余計なことを考えずに事業の立て直しにまい進してほしいと思います。
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