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やはりこういう企業が出てきましたね。

「狭小地の新築一戸建て」を得意とするのが、オープンハウスでしたが、こちらは「極小アパート」を売りにしています。

設計から施工、販売まで一貫して展開するスピリタスという会社です。

参考:新築一戸建てをブルーオーシャンにしたオープンハウスの戦略

都心への人口流入が追い風に


背景にあるのが、都心への人口流入です。

少子高齢化により、人々は地方から、より便利な都心に集まると考えられています。

特に東京都心はこれからますます人が集まってくるでしょう。

かつては、東京郊外にベッドタウンなるものが形成されました。都心の土地代がべらぼうに高くて郊外に住まざるを得なかったわけですが、都心にもところどころ隙間が出てきています。

そんな隙間に家を建てる技術をもった企業が、オープンハウスであり、この記事のスピリタスであるということです。

極小でも快適というコンセプトは、利用者にもオーナーにも需要がある


記事によると、同社のアパートは、一部屋9平米とか。畳5枚分ぐらいです。高度成長期に作られた集団就職者のための集合寮を思い出しますが、同社の場合、ぎりぎりの設計技術により、それなりに快適な部屋にするそうです。

天井高にしてロフトをしつらえ、二部屋のような空間にするらしいですね。

確かに狭い。扉も人が通り抜けるほどしか開けられないような設計になっていますが、それで都心に安く住めるなら、需要はあるでしょう。

土地オーナーにとっても、収益性の高い住宅ができるということは有難い限りです。

競争激化するのは必然だが、どう戦略展開するのか?


こうしたコンセプトが当たって、業績好調だというのは素晴らしいことですね。

ただオープンハウスと同じで、ミート(真似)されやすいビジネスです。

狭いが快適な部屋というコンセプトさえあれば、多くのデザイナーが思い思いの部屋をデザインすることができるでしょう。

間違いなく、相当数の競合が現れてくるはずです。


しかし記事を読む限り、同社が業績好調だというだけで、今後の戦略展開に言及していないのが気になります。

スピリタスとすれば、極小プラスアルファの価値を付加する。オーナーの収益性向上のため、地域の状況に応じて、ケア住宅、女性専用、学生向け、ペット、外国人向け、アート部屋、音楽部屋など、多彩な企画提案ができるようにする。

あるいは極小部屋の情報を集めたプラットフォームを運営して業界を取りまとめる。

あるいは、オープンハウスのように、パワー営業でトップ企業の地域を確立する。

などの取り組みが必要になってきます。