セブンイレブンのネット戦略に関する記事です。なかなか読み応えがあり、同社のネット戦略がどのようなものかがうかがいしれました。
セブンのネット展開がスローな理由
セブンが、ネット戦略に並々ならぬ意欲を持っていたのは、鈴木敏文氏がいた頃からです。オムニ戦略って、しつこいぐらいに言っていましたからね。
しかしアマゾンやその他ネット事業者の展開に比べてセブンの動きが遅いと思っていたら、そうとう考えながら慎重にやっていたわけですね。
記事によると、北海道の小樽地区に限定してネット事業を進めているらしいです。
セブンのネット事業は、店舗に並んでいる製品をスマホで注文し配達してもらえる仕組みだとか。
現在札幌・小樽地区の実験では、午前7時から午後5時までスマートフォンで注文を受け付け、最短2時間で宅配する。配送料は216円である。
昨年から実験を始めた札幌・小樽地区では対象店舗の配送対象地区以外からのアクセスも増えているといい、セブン-イレブンでも手ごたえを感じているようだ。3月末からは対象店舗を5店増やし、カバーエリアも従来の6万1000世帯から、12万1000世帯に拡大した。
いかにも慎重ですね。ネット事業者らしいスピード感ゼロです。
しかし、そこはコンビニを日本屈指の産業に育て上げたセブンです。深い考えがあるようです。
コンビニ事業の強みをネットでも
こちらも記事によりますが、セブンイレブンが、コンビニ業界での競争を勝ち抜くために意識したことは、
1.地域集中出店戦略…いわゆるドミナント戦略です。ある地域で集中出店をするので、配送効率が高く、コスト減とともに、製品の鮮度も保たれます。広告宣伝の効率もよくなります。
2.商品の差別化…コンビニといえば他と似たような商品が並んでいるとイメージされるかも知れませんが、セブンは商品差別化をことのほか意識していました。最初はおにぎりや弁当などで差別化し、のちにはセブンプレミアムというPB商品で差別化することを志向しました。
3.接客。
とくにセブン-イレブンでは“コンビニの父”といわれる鈴木敏文セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問が「接客の重要性を繰り返し、繰り返し説いてきており、地域・顧客とのコミュニケーションを大事にしてきた」
ということで、こうしたセブンらしさをネット展開でも忘れないようにしようという考えがあるそうです。
早くはないが、着実にものにするセブンのやり方
まず、地域密着。ネット事業でありながら、地域密着という形をとろうとしていることが特徴的です。
セブンの場合、店が配送拠点になるのですから、地域密着せざるを得ないわけですが、実際の運営オペレーション、配送間隔、在庫数などやってみなければわからないことは多くあるでしょう。が、形が出来上がれば、コンビニのネット事業のスタンダードになりますね。
店を拠点にするので、商品点数は限られてきます。アマゾンのようにロングテールというわけにはいきません。だから、商品の絞り込みや差別化が重要となってきます。
ネットでどのような商品が喜ばれるのか、これから見極めていくのでしょう。
もうひとつ、ネット通販ゆえに、配送者の役割が重要です。配送者が店員と同じように会話し、情報取りができるなら、セブンの取り組みは大きく進展するはずです。
こうしたセブンなりの強みを構築しながら徐々に全国展開していこうというやり方は、実際の店舗を全国展開していった方法そのままです。
セブンがどこまでネット事業をものにするのか、けっこう楽しみです。
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