「マーケティング・キーワード サービス・ドミナント・ロジック」

■「すべての企業はサービスを提供しているのであり、そこに物の受け渡しが介在しているのが製造業である」という考え方です。

言葉自体は新しいですが、考え方は前からあります。

そもそもフィリップ・コトラーは「製品の中核はベネフィット(便益)である」と表明しています。

またセオドア・レビットは「ドリルを買う顧客は、ドリルという製品ではなく、穴を買っているのだ」と述べています。

つまり、我々は、物がほしいのではなく、物から得られる便益を買うわけです。当たり前ですが。

■ここに対応したのが、例えば、小型電動工具の製造販売会社ヒルティです。

こちらは、製品がありふれて価格競争に陥った際に、顧客価値を調べつくした結果、製品を売るのではなく「必要な時に必要な工具一式をリースする」というビジネスに転換します。

確かに所有に意味のある製品など少なくなりました。たまにしか使わないものなら、所有する必要はありません。

GEの航空機事業は、エンジンを売るというビジネスから、それをメンテナンスするという事業に転換して成功しました。

セメント会社のセメックスは、新鮮な製品を時間内に届けるというサービスで全世界展開しています。

こうした顧客の価値全体の中でどこに製品販売を位置づけるのかという工夫をした製造業は調子がいいということです。

逆にいうと「うちは物がいいのだから使い方は顧客が考えてくれ」というのは論外です。

■モノからコトへ。とは、随分前から言われていることですが、これが今さらキーワード化されるということは、未だに「物さえよければ売れる」という売り手が多いということなのでしょうね。

確かに。製造業の方と接していれば、感じることなのですが。