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中国の配車アプリが、日本へ進出するというニュースです。

中国の新ビジネスは基本「パクリ」だが成り立つ


スマホを使ったビジネスは、アメリカが最も盛んです。スマホを生んだ国ですからそれは当然でしょう。

そこに続くのが中国です。

中国の場合、基本的にはアメリカのビジネスの「パクリ」なのですが、国内需要がバカでかいので、二番煎じでも成り立ちます。

中国政府も、海外の新サービスを容易に受け入れず、自国産業を保護しようとするので、中国版グーグルや中国版アマゾンが出てきます。

(といってもそうしたサービスの運営が簡単だというわけではありません。バイドゥもアリババも、超優秀な経営陣によって運営されています)


今回の滴滴は配車サービスですから、中国版ウーバーですね。

スマホアプリ上で、行先を登録してタクシーを呼んだり、決済したりすることができるサービスを展開しています。

この企業にはソフトバンクも出資しており、アジアを制する可能性を持っています。

配車アプリは、将来のタクシー事業の中心になる


こうした配車サービスが注目されるのは、自動運転技術が発達した時、タクシー事業の中心になるだろうと考えられているからです。

参考:ソフトバンクは、なぜ傷だらけのウーバーに出資するのか

完全自動運転になれば、タクシー運転手という職業自体がなくなってしまいます。

許認可制度は残るかも知れません。そうなると、既存タクシー事業者は既得権を得て、とりあえず生き残ることができるでしょう。

が、それも過渡期のもの。タクシー事業者の存在感が著しく低下することは避けられません。

日本製「配車アプリ」が広がらない理由


危機感を持った日本のタクシー会社の中で、日本交通は、自社で配車アプリを開発しています。

配車、決済だけではなく、広告やデータ収集販売で稼ごうというビジネスモデルを持っており、同社会長は「ゆくゆくはタクシー代を無料にする」とまで言っています。

そのためには、利用するユーザーと、参加するタクシーが多くなければならないのですが、実際はいまいち広がっていません。

それはそうですね。タクシー会社の配車アプリに、他のタクシー会社が相乗りするのは気が引けます。自社のデータが相手を稼がせると思えば、気分悪いでしょうから。

ソフトバンクは、通信インフラの独占を狙う


ちなみに、今回の提携を橋渡ししたのはソフトバンクです。

ソフトバンク、タクシーに進化迫る 中国・滴滴参入橋渡し(日本経済新聞・有料記事) 

タクシー会社には負担を強いず配車に必要なタブレットやスマホなどのインフラをソフトバンクがそろえ、通信で回収する枠組みが検討されているようだ。かつてADSLの機器を無料で配り通信料金で回収することで成長した同社らしいモデルだ。

ソフトバンクは、世界各国の配車サービス会社に出資しており、他の国のサービスも日本に紹介する可能性があります。

自動運転に関わる通信インフラを独占してしまおうという壮大な計画です。

これでは、日本交通のサービスが広がる余地は限られたものになりそうですな。

日本のタクシー会社の生き残り策は?


今回、タクシー業界トップの第一交通が、滴滴と提携すると発表したわけです。

第一交通とすれば、中国系訪日客の需要が取り込めるという計算もありますし、日本交通のビジネスには与したくないという思惑もあるでしょう。

わざわざ中国のサービスを使わんでも…と思わなくはないですが、ビジネスの競争上、仕方ありません。

ただ先ほども言いましたように、自動運転技術が進めば、タクシー会社の持つ価値は著しく棄損してしまいます。

目先の利益はともかくとして、長期的にはどのように生き残っていくのか。第一交通の考え方を聞いてみたいものです。