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業界動向


平成26年度のビール系飲料(ビール、発泡酒、第三のビール)の販売量は約400万kl。ピークだった平成10年頃から比べて約3割減。ほぼ毎年のように過去最低を更新し続けています。

国内の人口減にくわえて、成人の一人当たり酒類消費数量もピーク時から約2割減。国内は衰退市場です。

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(国税庁 平成29年3月「酒のしおり」より)


ビール類税制改革の影響

2017年6月、国税庁は酒類の安売り規制を導入。原価割れのような安売りを禁止しました。すでにスーパーや飲食店ではビール類の価格が上昇してきています。

さらに国税庁は、2026年までにビール類飲料の税金を1本化する方針を決めました。

もともとビールの価格の4割程度が税金です。が、各企業は法律解釈上ビールではないがビールに似た味のする発泡酒や第三のビールを開発して、税率を下げることに成功しました。(簡単にいうと、350缶のビールは77円が税金。発泡酒は47円。第三のビールは28円)

しかし、今後はすべてのビール類飲料の税金を55円で統一するとのこと。これまでの企業の努力が水泡に帰してしまうわけですが、それはそれ。今後、各社は結果的に安く販売することができる本来のビールに力を入れてくると思われます。


海外展開

国内市場の低迷を受けて、ビール各社は、事業の多角化(他の酒や清涼飲料などに進出)と海外展開を進めています。

海外市場において、先進国は酒類の伸びはないもののアジアや中南米を中心に市場拡大しています。

しかし海外メーカーは、成長市場を取り込むために積極的なM&A(買収・合併)を進めており、現在、インベブ・SBAミラー、ハイネケン、華潤ビール、カールスバーグの4社で市場の5割を占める寡占状態です。

日本勢では、今年、アサヒグループが欧州5カ国のビール事業を1.2兆円で買収しました。海外展開に遅れていたアサヒグループとしては悲願の欧州進出です。

しかしキリンは、3000億円を投じたブラジル事業に失敗、770億円で売却するなど苦戦しています。


主な企業


アサヒグループホールディングス


ビール業界1位。スーパードライは今年で30周年、相変わらず売れ続けている怪物ブランドです。発泡酒や新ジャンルに弱かったが、税制改革のあおりでそれも意味がなくなりました。欧州ビール会社を1.2兆円で買収し、海外進出の足掛かりを得ました。この海外子会社の売上を加えると、グループ売上高としてキリンホールディングスを抜くことになります。これからが楽しみですね。

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キリンホールディングス


ビール業界2位。一番搾り(ビール)、淡麗(発泡酒)、のどごし(新ジャンル)が3つの柱。買収したブラジルのビール会社を安値で売却、海外進出につまづきました。これからどうしていくのでしょうか?

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サントリーホールディングス


ビール業界3位。プレミアムモルツ(ビール)はプレミアムビールの1位ですが、販売の主力は金麦(新ジャンル)です。サントリーは、2014年ウィスキーの世界3位ビームを1兆6500億円で買収し、大勝負に出ています。

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サッポロホールディングス

ビール業界4位。エビス、サッポロ黒ラベル(ビール)が柱。ただしサッポロは、ビールよりも不動産事業で効率よく稼いでいます。

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※下記の書籍を参考にしています


図解! 業界地図2018年版
ビジネスリサーチ・ジャパン
プレジデント社
2017-08-09