フィンランドの航空会社フィンエアーによる見事な「弱者の戦略」事例です。
世界ランク62位、欧州でも15位という平凡な航空会社が、日本との航空路シェアで1位となっています。
アジアでも規模の大きな中国ではなく、あえて日本を選択した戦略が機能したようです。
「最短距離」という強みにフォーカス
同社の戦略は、日本と欧州を結ぶ最短距離が、シベリア上空を突っ切ることであるところから組み立てられています。
その場合の欧州の窓口は北欧です。
つまりフィンランドを拠点とする同社とすれば、地の利がある戦略です。
日本と欧州路線では、10時間〜12時間かかるのが普通ですが、北欧便なら9時間台で行けるそうです。
わずか数時間ですが、この差が大きいらしい。10時間を超えると、かなりキツイのだとか。私はこんな長い空旅はしないのでピンとはきませんが、記事の作者はそう言っていますね。
地方空港をハブ化して、メジャー化をうかがう
そこで同社は、ヘルシンキ・ヴァンター空港をハブにして、欧州や中東各地に乗り継ぎできるようにしています。
日本から来る、あるいは日本に行く場合は、とりあえずヘルシンキを経由させようという思惑です。
これに加えて、日本の新千歳空港をハブ化する構想も持っていて、欧州の人がアジアに向かう場合も、とりあえず新千歳に寄ってもらおうと図っています。
北欧と日本というマイナー路線から、欧州と東アジアというメジャー路線をうかがう野心を見せているということですな。
「勝ちやすきに勝つ」というのは、弱者の戦略の基本原則ですから、その局面をレバレッジにして、大きな需要をとろうとする典型的ですが見事な弱者の戦略でした。