トヨタ自動車は8日、1台で移動や宅配、小売りなどの多様なサービスに使える自動運転車を発表した。米アマゾン・ドット・コムや中国ライドシェア最大手の滴滴出行など5社と共同で、2020年代前半に米国で実証実験を始める。欧州メーカーは移動サービス事業で先行するが、トヨタはネット通販や外食などのサービス事業者向けに専用システムを提供して対抗する。

トヨタのEVは何にでも化けるらしい


EV開発に消極的だと思われていたトヨタですが、やる時はやりますな。

トヨタが今回発表したEVは、事業者向けの多機能自動運転車とでもいうべきものです。トヨタはフレームを用意して、配送だったり、ピザ配達だったり、移動式ホテルだったり、事業者の要求に応じて車体そのものをカスタマイズできる様式にしています。

一般大衆者ではありませんからトヨタが得意とする大量生産車ではありませんが、それを採算に乗せるノウハウは、マツダが担うのでしょう。

それにしてもトヨタがこのようなコンセプトカーを発表するとは。(企画そのものもマツダかも知れませんが)

自動運転ホテルなんて夢のようです。寝ているうちに目的地についている車なんてSFですよ。一般に売り出してもヒットしそうです。移動式ホテル車があればワンルームマンションとはいりませんからね。出張が多い者にとっては、有難い限りです。

フォードもホンダも、プラットフォーム化を目指す


今回、トヨタの企画の特徴は、プラットフォームになろうとするものだということです。

トヨタは用意するのはフレームです。ビジネスのアイデアや仕組みは、他の事業者が考えることになります。

同じく自動車メーカーのフォードも、EVを新しい都市開発の一部だと捉えています。

「クルマは売らない」 CESで見せたフォードの覚悟(日経新聞・有料記事)

 フォードはコンセプトを実現するため、スマホ向け半導体大手の米クアルコムと提携し、クラウドを活用したプロジェクト「TMC(交通移動体クラウド)」構想を発表した。スマホや自動車、町角に設置された通信機器などを相互にネットワークにつなぎ、高度なサービスを提供しようというもの。地図やナビゲーション、決済システムなどの分野に力を入れる。

要するに町全体をネットワークでつなぎ、車は移動手段の一つとして町のシステムに組み込まれるという構想です。車は移動手段の一つであり、ネットワーク端末の一つとして機能します。

また自動車メーカーのホンダは、ロボット事業のプラットフォーム化を狙っています。

中型の箱形ロボットは中を冷蔵庫に改造して飲食販売に使ったり、移動型のDJブースにしたりできる。小型のロボットはベビーカーやカート、大型は消防や農業向けなどに変身する。利用者の感情や嗜好を学ぶAIが共通で載り、クラウドでデータを集め、異なるロボットにも反映できる。小売りや外食、レジャー、音楽、行政、起業家らがソフトや付属品を自由に設計できる。

ホンダの担当者は、二輪車のスーパーカブが、新興国でとんでもない使い方をされているのを目の当たりにして「使い方はユーザーに考えてもらおう」と発想したといいますが、ロボットかEVかという違いだけで、トヨタのコンセプトと同じです。

IoTの時代、最も影響力のあるポジションを得るのはどこか?


IoTという言葉はいまいち浸透していないのかもしれませんが、全てのものがネットにつながるという状況は確実に進んでいますね。

※IoT(インターネット・オブ・シングス)物のインターネット。すべての物がネットにつながる状況を示す言葉。

特に自動車は、自動運転車の実現が待たれており、ネット技術の粋が集結しています。自動車メーカーは、IoTの最前線にいることになり、ビジネスの革新に立ち会わざるを得ません。

全てのものがつながり、商品というくくりに境目がなくなる時、一メーカーの発想や技術では限度があります。全てがつながるのだから供給側もつながらなければならないということですね。

さらにいうと自動車メーカーは、今までのように自動車産業の中心でいたいという思惑があり、そのためには、プラットフォームの中心を押さえておきたいという事情が見えてきます。

この分野、中国のメーカーがデータ量で圧倒していますし、グーグルやアマゾンやAIを得意とする企業もプラットフォームの中心になることを狙っています。

トヨタやホンダでさえ、ただの自動車組み立て工場として淘汰される恐れがあります。ビジネスの中心どころではありません。

どうすれば淘汰されない企業になるのか、その激烈な戦いが始まっているということですね。