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アメリカのメジャーリーグではとうとう年俸4000万ドルの選手が出てきたようです。

42億円です。日本プロ野球の最高年俸が9億円ですから、4.6倍。

ちなみに、42億円は、ソフトバンクホークスの全選手の年俸に匹敵する額だということです。

メジャーリーグの年俸が規格外になる理由


メジャーリーグの場合、一定の年数を経た選手はすべてフリーエージェントになるルールです。FA宣言など不要です。選手が球団を渡り歩くのが一般的で、少しでも条件のいい球団に行こうとします。だから、力のある選手に資金が集中するわけですな。

その分、格差も大きくなるので、選手同士の軋轢が大きくなるのだろうなといらぬ心配をしてしまいます。たぶん、ぎすぎすしたところはあるでしょう。が、記事を読むと、メジャーリーグ選手の年俸は総じて高い。日本プロ野球と比較すると、平均で約10倍の格差があります。

プロ野球の優秀な選手がメジャーリーグに行きたがるわけです。年俸だけじゃない。最高のレベルを求めていくのだ、というのも嘘ではないでしょうが、この金額を見せられると、年俸が動機であることは否定できません。もちろん、短い選手期間に、できるだけ稼いでおこうというのは当然の合理的行動ですよ。

高騰する放映権料


それにしてもなぜメジャーリーグはここまで大判振る舞いできるのか。

カギは、放映権料にあるようです。日本プロ野球とメジャーリーグの売上規模は、5倍以上です。その中身をみてみると、メジャーリーグは放映権料がバカでかいことがわかります。

「プロ野球とビジネス」―MLBとNPBになぜ約8000億円の差が生まれるか

メジャーリーグとプロ野球の格差が大きくなっていったのは、1990年代から。衛星放送が発達し、有料チャンネルが増えた頃と同じです。アメリカでは地上波放送にもケーブルテレビ料金を支払わなければならない仕組みなので、テレビに視聴料を支払うことが当たり前です。そんな中、スポーツのライブ放送を目玉にした専門有料チャンネルが台頭するのは自然な流れです。近年では動画配信が台頭し、新たな競争が起こっているので、放映権料を押し上げる要因となっています。

アメリカの多民族化はますます進み、英語を話せない人が大勢いるらしい。多様な国籍の選手が活躍するスポーツ中継は、全米で視聴されるコンテンツです。しかもドラマと違って、制作コストが低く抑えられます。

放送価値を最大化する運営


メジャーリーグ側もそれがわかっていますから、放送価値を上げる運営をしようとしてきました。まずは、リーグ全体で放映権の販売を一括管理し、価値を最大化するようにしました。有料放送どうしが競争していますから、放映権料を吊り上げることができます。そのうえで、なるべく球団間の格差をなくし、試合を面白くしようとしました。一定期間で選手を移動させる仕組みはその一環です。特定球団だけがいつも勝つとしらけますからね。

放送があると、球場の広告価値も上がりますからさらに儲かります。球場がガラガラでも、儲かるのはそういうことなんですな。

さらに放送の目玉となるのは、スター選手の存在です。テレビは、選手をフォーカスしますから、スターが生まれやすい。ひとりのスターと視聴率の相関関係を出すことができます。スター選手の価値が上がり、年俸の高騰が起きやすくなる所以です。


今のところ、日本プロ野球は年俸の面からいって、メジャーリーグとマイナーリーグの間、準1軍のような位置づけです。

ここから脱するには、日本だけではなく、台湾や韓国、中国を巻き込んだアジアリーグを作って、規模を拡大すべきだと考えています。

が、そうなると、中国や韓国に主導権を持っていかれそうで、複雑な感じはありますが。

日本プロ野球が生き残るためのビジネスモデル