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「いきなり!ステーキ」を展開するペッパーフードサービスの一瀬邦夫社長の啞然とするインタビュー記事です。

同社の業績は非常に厳しい状況です。
2020年12月期の売上高は310億円(前期675億円)、営業赤字は40億円(前期0.7億円の赤字)、さらに最終赤字は39億円(前期27億円の赤字)

業績低迷の原因は、「いきなり!ステーキ」の不振です。

最盛期には約500店舗あったのが、いまや半分近い店舗数になっています。

いきなり!ステーキが、危険な局面に?

上の↑記事では「何かよからぬことが起きるのではないか」と書いていますが、同社は祖業の「ペッパーランチ」をファンドに約85億円で売却し、なんとか債務超過を回避しました。

ちなみに一瀬社長は、「いきなり!ステーキの買い手を探したことはなかったけれど、(当時の状態では)買ってくれる人がいなかっただろうし、売りようがなかった」と発言しており、相当追い詰められた様子がうかがえます。

場合によっては、いきなり!ステーキの方を切り離すシナリオがあったのかもしれません。

「悪魔の増資」で生き延びている


しかし、現在は、MSワラントで生き延びている状態だと明かされています。

MSワラントとは、「市場よりも安い価格で新株を購入できる権利のついた予約券」のこと。

つまり株価が上がろうが、下がろうが、必ず市場よりも安い価格で購入できるので、会社がつぶれさえしなければ、購入したファンドは損をしません。

ただし、市場で株式を購入した一般株主からすると、ずるできる大口株主が存在することになり、いつ空売りを仕掛けられるかしれず、安心できません。

これでは、株価が上昇しずらい。だから、MSワラントは、通常は手を出していけない「悪魔の増資」と言われています。

そんな手段に頼らざるを得ないのだから、相当厳しい状況であることがわかります。

フランチャイズオーナーと消費者をダブルで軽視


今回のインタビューも、やけくそ気味です。

いきなり!ステーキの急激な業績悪化の原因を聞かれて、「過剰出店」と「利益優先」と正直に答えておられます。

要するに、調子がいいからと、ブレーキを掛けずに出店しまくり、さらに、薄利はキツイとこそこそ値上げをしまくったわけです。

フランチャイズオーナー軽視と、消費者軽視をダブルで行っているのだから、それは業績は悪化しますよ。

しかもそれを正直に白状しているのだから、恐れ入ります。

過剰出店については、「あのとき、私を止めてくれる人がいればよかったなと、今になって思う」って、それを言っちゃあおしめえよ、と言いたくなりますな。


フランチャイズビジネスにおいては、ちょっとヒットすると、どんどんオーナーを募集して資金を集め、あとは野となれ山となれ、といったいい加減なやり方をするところもあります。

一瀬社長は、そういう詐欺的なビジネスを志向したわけではないでしょう。が、結果は歴然としています。

今回のインタビューをみる限り、一瀬社長が力を発揮できるビジネスの規模を越えてしまったのだと思わざるを得ず、持続的な成功は難しいのかなと考えます。