上の記事は、マーケティングの対象から外されがちな高齢者層への考えを変えてはどうかという指摘です。
日本の個人金融資産は2000兆円を超えていると報道されていますが、そのうち1300兆円以上が60歳以上の資産となっています。
この宝のような市場を放置してどうするんだ、というしごくもっともな指摘です。
ちなみに日本では60歳以上の平均貯蓄額は約1300万円です。欧米では、貯金を使い切って死ぬのが幸せな人生だというそうですが、心配性な日本人は、充分すぎる資金を持ってあの世に旅立つのが大方です。
消費意欲の高い時に資金がない、資金がある時には消費意欲がないという状況では、経済が回りません。
そういう意味でも、企業には高齢層へのマーケティングを頑張っていただきたいと思います。
消費意欲の低い高齢者層にいかに訴求するか
マーケティングの対象から外されるのは、そのノウハウがないからでしょう。
これまで企業は消費意欲旺盛な40代までの層をターゲットにしてきました。それ以上になると50代以上とまとめられてしまっていました。
消費意欲が減退する高齢者層をターゲットにしても効率的ではないのでアメリカのような人口が増加している社会においては合理的です。
が、いまや少子高齢化に向かって爆速している日本においては、必ずしも合理的だとはいえなくなってきてきます。
消費意欲の薄い人たちにどのような訴求をするのかは、これから試しつつノウハウを蓄積していかなければなりません。
予防ヘルスケアと資産運用
端的にいいますが、高齢者に対するビジネスの一丁目一番地は、ヘルスケアと資産運用です。すなわち、
(1)記事でも指摘していますが、高齢者層で最も強い「元気で過ごしたい」という需要。
身体さえ元気ならば、今まで通りの食事もできますし、レジャーもできます。もちろん仕事も続けられます。
つまり身体のケアが基本です。
かといってじじくさい健康茶とか変な体操とかはごめんです。気持ちは40歳代の60歳以上に向けたヘルスケアがまず求められます。
そこが確立したうえで、グルメやレジャー関連の需要が増すというものです。
もうひとつ、
(2)持っている資金を減らさない、できれば増やしたいという需要。
高齢者が資産を持っているといっても、なくなってしまうのは不安です。
心配性は日本人の特性ですな。
ですから、高齢者を富裕層だと考えればうまくいきません。資金の殆どは保険に持っておく必要があるので、使える資金は何割程度かです。
ということは、低価格設定にしなければ、需要を刺激しません。
さらに持っている資金をいかに運用し、減らさないようにするかも重要ですから、資金運用、投資、個人事業に関するサポートサービスも必要となってきます。
要するに、高齢者向けのビジネスとして、まず必要なのが、予防に関するヘルスケアと、資産運用サポートです。
それぞれサービス展開している企業は多いものの、個別展開なので全体像がわかりにくい。
そんななか、和田氏のような識者の提供する情報は貴重だと思います。
これから増えてくるでしょうが、高齢者向けの総合的なノウハウ本に期待したいと思います。
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