00


ユニクロを運営するファーストリテイリングが、社会企業への変貌を意識しているという興味深い記事です。

売上高2兆円超。アパレル小売りとして、世界2位のシェアを誇り、時価総額では、1位のインデックス(ZARA運営会社)に並ぶ勢いです。

とくにユニクロやGUは、アジア諸国での成長が見込まれるので、将来的にはトップに立つことも充分に予想されます。

ワンマンオーナーらしい変節


もっとも柳井正社長兼会長は、以前のように「目標5兆円」などと言わなくなったとか。

高い目標を掲げて、猛進するのが、同社のスタイルだったのに、いまは「売上高は問題ではない」などと発言しているそうです。ワンマンオーナーにありがちな、変節ですな。

成功する起業家に多い特徴が、成功することに躊躇はないことです。(柳井さんは創業者ではありませんが)

これが成功への道だと決めたら、迷わずそこへ向かおうとします。多少無謀やことや、問題含みのことでも、成果のためには構おうとしません。

孫正義氏や、永守重信氏、澤田秀雄氏、渡邉美樹氏などをみていると、そう感じます。成功の影には、闇もあるものです。客観的で頭のいい評論家や専門家がみれば眉をしかめるようなことがいっぱいありました。

ところが変節するときも早い。

朝令暮改に躊躇がないのもオーナー経営者の特徴です。舌の根も乾かないうちに、違う目標を立てていたりします。日本電産なんて、超ブラック企業だったはずのなに、突然、残業ゼロ企業になっていましたからね。

ファーストリテイリングの場合、労働環境などの問題でブラック企業批判をあびたこともありましたが、今は「社会的責任」の追及に熱心な企業となっているそうです。
「柳井さんはやると決めたら徹底的に動く。皆が面食らうほどサステナに傾斜している」
とは、みごとな変節ぶりではないですか。

後継問題リスクは高まるばかり


コロナ禍においてさすがに業績を下げていますが、国内では来店客数が前年比を上回るなど、持ちこたえている印象です。

国内ユニクロの最近の特徴は、マスクや日用雑貨品などの販売を強化させていることです。生地では生花の販売も始めたとあります。

日用雑貨品を強化し、コロナ禍でも好調の企業としては、ニトリが有名です。ファーストリテイリングが目指すのは「情報製造小売業」だということですが、それはニトリと似たところに向かうということなのかも知れません。


ただ気になるのは、ますます柳井正氏の求心力が増していることです。コロナ禍のような危機においては、特に強いリーダーシップが求められますから、その傾向に拍車がかかっています。

柳井氏が不世出の経営者であることは論を待ちませんが、それだけに後継問題リスクは高まるばかりです。