サンリオ、「リアル」重視が招いた一転減益 (日本経済新聞・有料記事)

サンリオの業績が低迷 海外事業が急激に縮小


サンリオの業績がふるいません。売上、利益ともに減少。特に利益が急降下しています。

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2017年3月期の売上高が、約627億円。経常利益は約73億円。経常利益率は11.6%です。

サンリオは、ハローキティを中心とするキャラクターのライセンスをビジネスにしています。

特にハローキティが国内でも海外でも人気で、大きなビジネスとなっていました。

ライセンスだから在庫はなし。高利益のビジネスです。

ほんの3年前までは、経常利益率が20%を超えており、超高収益企業でした。

ところが、一昨年あたりから、海外売上が低迷しはじめて、利益率も10%程度になってしまいました。


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バンダイナムコは事業を多様化


これと比較してバンダイナムコの業績は堅調です。

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2017年3月期の売上高は約6201億円。経常利益は約633億円。経常利益率は10.2%。

利益率は10%前後で推移していますが、売上高は右肩上がりです。

バンダイナムコの場合、事業の多様化を進めており、リスクが軽減されています。

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トイホビー事業の落ち込みを、ネットワークエンターテイメントや映像音楽プロデュースがカバーしています。

ハローキティは、ディズニーに負けてしまった


サンリオは、日本国内では、テーマパーク事業なども手掛けていますが、こちらは赤字です。

海外ではライセンスビジネスほぼ一本。

確かにライセンスビジネスは、高収益になりますが、キャラクターの人気を維持するのが難しい。サンリオは、ハローキティに続くキャラクターの開発を進めていますが、そうそうヒットが出るわけではありません。

サンリオ側は欧州の経済状況が悪化しているから業績が低迷していると言っていますが、実際はキャラクターの人気が続かなかったからでしょう。

ありていに言えば、ディズニーの「アナと雪の女王」のような強力なコンテンツに負けてしまった。ディズニーほどのキャラクター育成力を持たなかったからです。

多角化か、一点集中か


サンリオにはどのような道があるのでしょうか。

1.バンダイナムコのようにキャラクターコンテンツを中心に事業の多角化に挑戦する。→利益率が下がる上に、時間がかかる。相当の痛みを伴います。人材もいないでしょうし、実際は難しいかも知れません。

2.キャラクターを強化し、ライセンスビジネスを磨き上げる。→キャラクターの個性や世界観を打ち出す方法を多様化する。ディズニーまでとはいいませんが、もう少しストーリー性をもったコンテンツを訴求する。

2の方が現実的ですね。

記事では、デジタル戦略を強化する。とありますが、それもキャラクターの世界観を訴求する方向になるはずです。

キャッシュは潤沢にあるのですから、ここは投資をして、根本的にキャラクターの開発と育成を見直すべきだと思います。