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少し前に、中国企業が米国の「パクリ」を堂々とやりながら、巨大な人口を背景にビジネスを成立させてしまっている。という旨の記述のある記事を書きました。


確かにそのような事例があります。中国政府が海外の企業を受け入れたがらないのをいいことに、グーグルやアマゾンそっくりのサービスを立ち上げて、いつの間にか大企業になってしまっている。

中国企業って結局はパクリがうまいだけやん。ずるいよなぁ。なんて単純に考えていた自分を恥じなければならないのかも知れません。

時代は早い。今や、中国企業の創出力は、想像以上のものとなっている。という記事です。

かつては日本企業も「パクリ」から始まった


「パクリばかり」「猿まねばかり」なんて言われていたのは、実は50年ほど前の日本企業です。

ところが日本企業の技術力と応用力はいつしか欧米を凌駕するようになり、日本製こそ卓越した商品力の象徴とまで考えられるようになりました。

そうなんですよね。最初、真似から入るのは当たり前です。真似の中から、自分の得意分野を見つけて磨いていき、いつしか他者が追いつけないエクセレントな商品やサービスを生み出せるようになるのです。

ビジネスに貪欲な中国企業が儲かりそうな分野に殺到するのは当然です。なにせ人口が多いので、参加企業も多い。その中から、真に革新的サービスが生まれないと誰が言えるでしょうか。

中国企業を対象にした「タイムマシン経営」


記事の中で例としてあげられているのは、スマホのECアプリや、ニュースアプリ、音楽投稿アプリなど。

いま最も稼げるスマホアプリの分野で、続々とヒットサービスが生み出されている様が書かれています。

中国内では競争が激しいので、弾き飛ばされて海外に出ていき、成功した事例も挙げられています。

この動きをみて、日本企業が中国のベンチャーを観測しはじめています。

たとえばLINEは、早くから中国企業の生み出す商品に注目し、その商品アイデアを自社製品に採り入れているとあります。

これはまさにタイムマシン経営の対象を中国にしているということで、隔世の感があります。

でも、こうした企業はこれからも増えてくるでしょう。

※かつて米国で流行ったものが5〜10年ほど遅れて日本で流行ると言われました。だから、米国で成功しているビジネスを日本に持ち込めば、5〜10年のうちに流行ることが予測されます。これを未来を見越したタイムマシン経営というわけです。

中国企業が得意なのは「テストマーケティング」


記事を俯瞰してみると、中国企業が得意としているのは、テストマーケティングです。やはり人口が多くて、多種多様なニーズを持った国なので、どんなサービスが受け入れられるか、試行するクセがついているのでしょうね。

海外進出する際にも、しつこくテストマーケティングを繰り返して、その中から受け入れられるサービスを見出して、ヒットアプリに育てています。

要するに、欧米企業が生み出したサービスを、現地化していくのが中国企業という図式です。

思えばグーグルやアマゾンなども、グローバル化は早いもののいささか強引なビジネス姿勢で、現地に合わせようという細やかさに欠けるきらいがあります。

そんな中、徹底して実践的な中国企業が、各国の事情に合わせたカスタマイズをして、サービスを進化させていくわけですね。

どちらもポジショニング戦略のアプローチをとっていますが、着目する部分が違います。

それに対して、リソースを育てることを得意とする日本企業は、信じる技術をひたすら磨いて、強みといえるまで持っていくことに長けています。

みんな違ってみんないい。ということですな。

※ポジショニング戦略、リソース戦略についてはこちら→神戸製鋼の不祥事は、日本企業特有の問題なのだろうか?