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日本電産が、今期の純利益予想を大幅に下方修正しました。

いつも控えめな予想を立てて、それを超える実績を出すのが通例の日本電産だっただけに、株式市場には「日本電産ショック」が広がりました。

要因は、中国経済の不振


ちなみに日本電産の2018年3月期の売上高は1兆4881億円、営業利益は1676億円でした。

当初は増収増益を見込んでいたのですが、今回、売上高1兆4500億円、営業利益1400億円の減収減益予測です。

永守会長は、「尋常ではない変化が起きた。46年経営を行ってきたが、月単位で受注がこんなに落ち込んだのは初めて」とまで発言しています。

その要因として中国の輸出企業の販売不振と在庫過剰感があり、「場合によっては19年4〜6月期まで在庫がはけない可能性がある」と仰っています。



一過性の問題ではないかも知れない


中国の輸出に停滞感があることは、以前から囁かれてきましたが、ここまで突発的に不振に陥るとは、さすがの日本電産でも予測できなかったのでしょう。

きっかけはアメリカのトランプ大統領による対中貿易赤字の理不尽な問題化ですが、それはきっかけに過ぎず、構造的な不振に陥るのではないかとも考えられます。

そもそもアメリカが中国から輸入するのは、コストの安い中国の工場で製造するのが合理的だからです。

しかし、中国も賃金が上がってきていますし、中国企業によるパクリ問題もありますから、考えもなしに中国で製造するのが全面的に良いとは言えなくなってきています。

その上、製造業の自動化技術が進むと、アメリカ国内で製造してもコスト面で合う場合も増えてくるでしょう。

中国が世界の工場だった時代が終わりを迎えているのかも知れません。

安易な楽観ムードは危険


株式市場は、「いちばん慎重な日本電産の予測よりも悪くなることはない」といって、妙に楽観論が広がっているようです。

日本電産、下方修正でも「楽観ムード」のわけ

が、中国の停滞が、構造的なものだとしたら、長引きます。内需拡大を目指すのでしょうが、うまくいっていないという報道もあります。

中国、28年ぶり低成長 貿易戦争が打撃

日本電産なら難局に対応してくるでしょうが、他の電子部品メーカーは日本電産ほど素早く根本的な対応ができるでしょうか。

永守氏の鳴らす警鐘を甘く見ない方がいいと思います。