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いきなり!ステーキの苦境とニトリやくら寿司の好調を、チェーンストア理論で説明する記事です。わかりやすく納得できます。

チェーンストア理論とは


チェーンストア理論とは、10店舗以上の多店舗を本部管理で運営するための理論です。20世紀初頭のアメリカで成立し、日本に持ち込まれました。

日本では、経営コンサルタント渥美俊一氏が有名です。小売店の生産性向上を掲げた渥美氏のもとに、多くの小売業が集まり、大きな成果を上げました。1960年から70年代にかけての量販店の興隆は、渥美氏の指導を受けた企業が中心となっていました。

現在でも、ニトリが、渥美氏の理論を実践していると公言しています。

アップデートしなければ、すぐに破綻する


チェーンストア理論を一言でいうと、本部による集中管理です。各店舗がバラバラに運営していたのでは、多店舗の意味がありません。仕入れにしろ、一括で行うことで、集中効果を得ることができます。

そのためには、それぞれ店舗担当者の裁量にゆだねるのではなく、また本部の個人の才覚で行うのではなく、一定の仕組み、運営のルールが必要です。

もちろん業種によって、地域によって最適な店の運営方法は違うので、まずは、どのような仕組み、ルールで運営すると成果が上がるのかを見つけなければなりません。仕組みができると、それを多店舗で共有するのです。

ただし、店舗が10店舗の時と、50店舗の時では、運営のルールが異なるはずです。200店舗になるとまた違う運営の仕方をしなければなりません。

チェーンストア経営のキモは、店舗数が増えるにしたがって、運営のための仕組みをアップデートしていくことです。

一回、うまくいったからといって、それをずっと続けていると、早晩、破綻してしまいます。

それが、いきなり!ステーキの姿だと、記事は指摘しています。

アップデートせずに成長だけを追い求めた


いきなり!ステーキは、立ち食い形式を採用することで、顧客の回転数を高めて、延べ人数を増やすことで、薄利多売を可能としたステーキ業態です。

安いから客数が増え、儲かるというシンプルなビジネスモデルは新鮮で、業界にセンセーションを巻き起こしました。

顧客からの支持も得て、いきなり!ステーキは多店舗展開に邁進します。あまりにも急激な店舗増加を危ぶむ声も少なくありませんでしたが、同経営者は意に介さず、「急成長を楽しむ」と言っていたものです。

が、行き詰るのも早かったですね。コロナ禍もあいまって、大量閉店を余儀なくされています。

チェーンストア理論で重要なのが、仕組みをアップデートすること、およびアップデートした仕組みを使いこなせるように人材を教育することです。

人材の成長に、企業の成長をあわせなければ、健全な状態を維持することができません。

いきなり!ステーキの場合、急成長に人材教育が追い付いていないという、これもやはり単純な原因が浮かび上がります。

スタートの成功も単純、その後の失敗も単純とは、なんと単純な企業なのでしょうか。

営業組織の生産性向上も根本は同じ


ちなみにドン・キホーテなどの個店の裁量を大幅に認めたチェーン店の好調が目立ちますが、これはチェーンストア理論が通用しなくなったというのではなく、新たな仕組みのアップデートが始まっているということです。

現場裁量のいい部分と本部管理のいい部分を合わせた仕組みを作ることが、現在のトレンドのようになっていますが、当然、業態や企業によって成功パターンは違いますから、各自が独自の仕組みを持つべきですね。

またチェーンストア理論の概念は、小売店だけではなく、多くの分野に応用できるものです。

仕組みを作り、人材を育て、さらに仕組みをアップデートし、人材を育てる。これは、どんな組織にも応用可能です。

当然、営業組織の生産性向上も、根本の概念は同じです。

営業組織も、日々、アップデートしていかねばなりませんよ。