これぞソリューション営業!というすばらしい事例です。ぜひ読んでください。
ワコンという和歌山の会社。段ボールや保冷箱などの梱包材を製造販売しています。
その会社の営業方針が「箱は売るな。温度を売れ」
自社商品を売り込むのではなく、自社商品に興味を持った顧客の問題を解決せよ。
という意味です。
商品を売らずに、信用を売る
例えば保冷箱に興味を持った顧客は、温度管理に悩んでいるわけです。どうすれば適切な温度管理ができるのか。
扱い物や保冷環境によって違うでしょうから、顧客と一緒になって解決方法を考える。
もし自社の保冷箱を使わなくても問題解決するならそれでよし。
というと営業の労力が損になるような気がしますが、そんなケチなことは言いません。
ワコンは、顧客の問題を解決することによって「信用」を売っているからです。
顧客は、ワコンをますます信用することになり、長い目で見ると業績アップにつながります。
ソリューション営業の基本
この事例は、ソリューション営業の基本であり、どの営業にもあてはまります。
市場が成熟した現在、商品差別化の効果は薄くなってきています。いうなれば、どの業者の商品・サービスも似たようなもの。
そもそも差別化している、希少性がある、というのは、売り手側からの提示にすぎません。
顧客が求めているのは、自分独自の目的を達成するための方法であり、その障害を取り除く方法であり、不安や危険から逃れる方法です。
そんな「問題解決策」を適切なタイミングで示すことが、営業の仕事となります。
信用が得られなえれば、ソリューション営業は失敗する
通常、ソリューション営業は、自社の商品・サービスをもって、顧客の問題を解決する方法を提示するものです。
ところが、顧客はなかなか本音で自分の悩みを打ち明けないものです。
信用できない者に自社の事情は開示しにくいものでしょう。
だから、下手な営業が見よう見まねでやるソリューション営業は、相手の本音を聞き出せずに、的外れの提案をしてしまうことになります。
「何としても自社の製品を売ってやろう」。そんな姿勢が顧客に透けて見えると、顧客はするすると逃げていく。
それでは、ただの売り込みと変わりありません。
ソリューション営業には、顧客の信頼が必要不可欠なのです。
一石三鳥のすぐれた営業方法
どの営業も苦労するのが、顧客から信用を勝ち得ること。
それができる人が優秀な営業で、できない人が凡庸な営業だと言ってもいいでしょう。
その意味では、この営業方法は非常に優れたものだといえます。
1.売り込まないので、顧客からの信用を得やすい
売り込まれない利他の営業活動に触れた顧客から信用されやすくなります。
お金を出してもほしい信用を普段の営業活動でもらえるなら安いものではないでしょうか。
2.営業の心理的ハードルを下がる
売り込まなくてもいいわけですから、感謝されこそすれ、拒絶される不安がない。
この方針だと営業は積極的になれます。
3.顧客の現場の悩みやニーズに触れることができる
この方針を貫いていると、様々な顧客の現場に触れて、顧客の悩みやニーズを知ることができます。それは次の商品・サービス開発につながります。
一石三鳥ですよ。
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