アース製薬川端社長のインタビューをもとにした記事です。殺虫剤業界について。勉強になります。
コロナ禍で、最高益を更新し、順風満帆かと思っていましたが、「(殺虫剤を)30年後は売っているかわからない」と発言しています。
温暖化で、蚊の活動が弱まる
素人考えで、温暖化により害虫の活動が活発化するので、殺虫剤の需要も伸びるのだろうなと思っていたのですが、そうでもないようです。
例えば、蚊は、気温が高すぎると活動しなくなるらしい。
35度を超える猛暑日が続いた18年は蚊の活動が鈍った影響で、アース製薬の18年12月期の虫ケア用品部門売上高は前期比5%減となった。
さらには、台風が増えると、蚊が吹き飛ばされて、需要が減るそうですよ。
そういうことになるとは、知りませんでした。
異業種からの参入が活発化
殺虫剤の需要も変化しています。
直接、吹き付けるタイプではなく、虫そのものを見ないで済むようなものが人気だとか。
また温暖化により、他の害虫が現れるということもあるでしょう。
つまり、新製品開発投資をしなければならないわけで、体力のあるところが有利です。
アース製薬は、業界トップ企業であり、有利な立場にあります。
が、最近、花王やシャープなど異業種大手が、独自技術の応用で、業界参入を果たしています。殺虫剤にどこまで資金投入できるかはわかりませんが、その気になれば資金は潤沢なので、脅威です。
ちなみに、2020年度の売上高を見てみると
アース製薬 1960億円
フマキラー 444億円
大日本除虫菊 325億円
花王 1兆3820億円
シャープ 2兆2712億円
となっており、規模が桁違いです。
先行した弱者だととらえなければならない
業界トップ企業の社長が、現行商品を「いつやめてもいい」的な発言をするのは、どうかと思いましたが、強い危機感の現れだととらえると納得できます。
実際、殺虫剤需要そのものは、温暖化により、多様化し、規模拡大していくでしょう。
おいしい市場には、企業が集まります。
業界トップ企業といえども、今のままだと、市場を後発大手企業の狩場とされてしまいます。
今のうちに、市場を細分化し、後発強者がきても死守できる市場を選定しておくべきです。
厳しい業界ですが、生き残るためには、必要な試練ですな。