メモ。化粧品会社のコーセー。いい会社です。
化粧品業界3位。(1位資生堂、2位花王)
売上高2667.6億円。営業利益391.6億円。無借金経営。(2017年3月期)
過去3年では平均売上高伸び率6%以上。過去5年の増収比率はなんと30%超えです。
記事では「資生堂をとらえる」となっていますが、これは昨年の営業利益が資生堂を超えたというものです。
資生堂は、なんでこんなに生産性が低いのだろう?
しかし1位の資生堂は、売上高8503.1億円の規模です。(2016年12月期)3倍以上の差があるわけで、とらえる、というのは少々大げさです。
資生堂の場合、営業利益率がわずか4.33%です。コーセーが14.68%ですから、それは逆転もされるというものです。
なぜ資生堂の利益率がこんなにも低いのか?
調べてみると、従業員数が36549人(正社員)。コーセーの7410人の5倍弱もいます。
売上高が3倍強なのに従業員数は5倍弱。
一人当たり売上高でいうと、資生堂は2326万円。コーセーは3600万円。(花王は4391万円・化粧品以外も含む)
従業員多すぎ。資生堂の生産性の低さが際立ちます。
これはつまり、資生堂が人件費のかかる販売チャネル(百貨店、直営店)を中心としているのに対して、コーセーや花王は、人手のかからない販売チャネル(量販店、ドラッグストア)を中心としていることを表しています。
ドラッグストアの成長とともに業績アップ
コーセーが売上高を伸ばした理由は、ドラッグストア対応が進んだからのようです。
近年、ドラッグストアがすごい勢いで扱い高を伸ばしているというメルマガを書きましたが
参考:ドラッグストアがコンビニを食い物にしている
販売チャネルが成長する時、同じく恩恵を受ける取引先が存在します。コーセーがそこにうまく乗ったということでしょう。
資生堂のように自社従業員が説明しながら売るのとは異なり、ドラッグストアでは、一目見てわかる商品でなければなりません。
百貨店を中心としたカウンセリング販売ならまだしも、セルフでお客様に手にとっていただくドラッグでは、分かりやすいブランド設計が欠かせない。「美白」なのか「アンチエイジング」なのか、メーキャップなのか、スキンケアなのか、それぞれの特徴と攻める市場を明確にしました。
つまり奥深い商品ではなく、わかりやすい尖った商品である必要があるということですね。
コーセーは、ドラッグストアで売るための商品ラインナップにチューニングしていきました。
ただドラッグストアで販売するデメリットもあります。
記事によると、当たり前のように返品してくるドラッグストアに悩まされたようですね。
そこで、コーセーは、
(1)新商品点数を減らしてロングセラーを増やす
(2)取引先店舗を減らす(要するに大量販売店舗に集中する)
という改革を進め、返品をコントロールする努力を進めました。
同族経営のメリットとデメリット
大胆にドラッグストアシフトを進めながら、商品点数を減らしていくというのは、かなり思い切った変革です。
今まで売れていたお客さんはどうするんだ!?
と必ず言われますからね。
しかしそこは、同族企業であるコーセーの強みとして、社長のリーダーシップでやりきったようです。
記事には、同族企業であるゆえのメリットが書かれています。
サラリーマン社長の場合、前任者の業績を否定するという意思決定がしばしばなされます。パナソニックもシャープもソニーも、それで低迷したなんて分析もあります。
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ところが同族経営は、先代の方向性を踏襲することが多い。一貫した経営方向性を保てるし、経営に関する知恵の蓄積が維持できるというものです。
一方で、思い切った今までにない商品が出づらかったり、社長が「好きそうな企画」という忖度が生まれてきたりといった弊害がありませんか。ありますね。社長好みのデザインや社長好みの香りになってきたり、無難なアイデアを出してきたりといったことはあります。逆にそういうのもすぐ分かってしまうのです。そうなってきたなと思うと、敢えて逆のことを言ったり、発売が遅れても良いからやり直しさせたりということはやります。
とは言うものの、やはりワンマン経営者が独善的になっていく危険性はつねにあります。
経営者自身が日頃から気を付けておく。というだけではなく、独裁者にならないような仕組みや慣習を作っておかなければならないでしょう。
↓ 流通チャネルの開拓は、サーモスでも鍵となる施策でしたね。
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