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メモ。同族企業の業績は、非同族企業よりも高い傾向がある。

いささか古いが、2007年に甲南大学の倉科敏材教授と帝国データバンクが行った分析では、東証1部2部の企業の07年までの5期の平均利益率は、非同族企業が4・5%なのに対して同族企業が5・7%と、1ポイント以上上回っていた。

総資本に対する利益率=ROAについても、非同族企業が1・0%に対し1・6%、株主資本に対する利益率=ROEは非同族企業の0・2%に対して1・9%と、いずれも圧倒している。

こうした傾向は欧米でも同じらしい。カナダのアルバータ大学の研究所ダニー・ミラー、イザベル・ル・ブレトン=ミラー氏らの研究では、1990年代初頭のアメリカの公開企業の上位800社のうち、同族企業は利益率で33%、成長率で15%、業界平均より上回るというデータが載っている。

長い引用ですみませんm(_ _)m

実際、有名なグローバル企業の多くが同族企業です。

「フォード」「BMW」「フィアット」「ミシュラン」「エルメス」「プジョー」「テトラパック」「イケア」「J・Pモルガン」「カーギル」「ウォルマート」「コーニング」「フィデリティ・インベストメント」「モトローラ」「エステー・ローダー」「L・Lビーン」「ゼニア」「カンパリ」「フェラガモ」「フルラ」……

もちろん日本にも同族企業は多い。いやむしろ日本こそ優秀な同族企業が多く、その強みをいかし永続的な経営を実現しています。

なぜ同族企業の業績は高いのか


まずは長期的な視野からの経営が可能となります。

同族経営は、一度社長が決まると、よほどのことがない限り、次の世代まで続けることが多い。

したがって、経営方針が一貫しており、ブレません。

しかも社内の権力構造が一定で、権力闘争が少ないから、無駄なエネルギーを使うことがありません。

もっというと経営者が変わった途端に、前経営者の功績を否定にかかるといった無駄がありません。代替わりしても、次の経営者が先代の功績の上に戦略方向性を決めるので、さらに一貫した経営ができます。

後継者に関しても、早いうちから決まっているので、長いスパンで経験を積ませて育成することが可能となります。

また、長期政権なので、ものごとが決まりやすい。意思決定が早くなります。無駄に討議を重ねて時機を逃すことがありません。

逆にいうとワンマンになりがちで、イエスマンばかりの社内になると方向性を誤ってしまうことがあるかも知れません。

その分、ガバナンス(意思決定の仕組み、ルール)を明確に決めておく必要があります。二代三代と続く同族企業は、ガバナンスもしっかりしているものです。


そういえば、化粧品会社のコーセーも同族企業のメリットをいかしており、業績好調です。

参考:化粧品3位のコーセーが業績好調で1位の資生堂より儲けている

逆に、日本を代表する家電メーカーが軒並みダメになった理由も非同族企業ならではでした。



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同族経営は「理念」を重要視する


もうひとつ。同族企業は、経営の価値観も引き継がれることが多い。

つまり長く続く同族企業は「理念」がしっかりしています。

これを裏からいうと、同族企業は、ひとりよがりな社長が暴走しないために「経営理念」と「ガバナンス」を明確に決めておかなければなりません。

子供を後継者にしようという会社は、ぜひとも「理念」と「ガバナンス(ものごとを決定する仕組み)」づくりを行ってください。