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首都圏が地盤のスーパーサミットが、ユニークなチラシを配布しているという記事です。

全国117店舗。売上高2848億円。大阪人にはあまり馴染みがありませんが、首都圏では大きな存在です。

地元で大きなシェアを持つ食品スーパーには優れた企業が多いのですが、サミットも同じです。地域に根付いた店舗づくりで進化し続けており、業績も好調です。

ちなみに、住友商事の100%子会社です。

地域強者の役割


チラシ戦略も独特です。一種の読み物のようなチラシを配布し、特売価格を載せないときもあるとか。機会損失になるやもしれず、思い切った施策です。

ただ、記事にあるように、サミット側は、こうした独特なチラシの役割を「ファンづくり」だと位置づけているようです。

背景には食品スーパーの社会的位置づけの変化があります。

サミットほどの規模のチェーン店になれば「美味しい、質の高い商品を低価格で」というだけでは、役割として不十分です。

そうした商品の質や価格だけで勝負できるのは、弱者の戦略がとれるような段階の店です。

地域の強者には、地域のコミュニティポイントとしての役割が求められます。とりあえず店に行こう、行けば何かある、安心だ、誰かいそうだ、という包括的な役割です。

サミットには「日本のスーパーマーケットを楽しくする」というビジョンがあるそうですが、これはまさに強者の役割だと思います。

商品よりも、担当者を訴求するチラシ


サミットはチラシを230万部配布しているそうですが、これは東京新聞なみの発行部数です。この部数を特売情報告知だけに止めておかなければならないという法はありません。

ちょっと悪ふざけ風、エンタメ風の読み物企画を作って、ファンを創るためのツールにしようというのは、必然の施策です。

集客効果抜群!話題のサミットのチラシデザインとその理由

具体的には ↑ に詳しいですが、各部門の責任者をチラシに登場させて、一押し商品を競わせるという企画が多く、ファンづくりど真ん中を狙っています。

これを見た消費者は、商品よりも、担当者を応援したくなるでしょう。実にわかりやすい。

他の地域トップのスーパーにも参考になるはずです。

好ましい認知度は長続きする


以前、あるローカルなリフォーム会社は、ひたすら経営者の考えを訴求する広告を地方誌に載せることで、地域における好ましい認知度を上げる施策をとっていました。

価格を訴求するより時間は相当かかりますが、蓄積された認知度は一定を超えると確実に効果を持ちます。

何より長続きします。

実際に、そのリフォーム会社は、「そんな広告むだだ」という社内の声にもかかわらず、ある時期から成果につながりました。

一定の枠内で強者になろうとする地域の小さな会社が生きていくために、参考になる事例だと思います。