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日経ビジネスの連載記事です。東京商工リサーチのビッグデータを分析して、様々な業界や業種の姿をみていこうという趣旨。なるほどなーと思うことがあり、なかなか面白い連載ですよ。

小規模事業者が多いゆえの葛藤


今回のテーマは芸能事務所でした。

芸能事務所の特徴は、小規模事業者が多いということです。

タレントとマネージャーがいれば始められるビジネスであり、規模が小さくなるはずです。

もう一つ、タレントという個人の才能に準拠したビジネスなので、大量生産できません。だから小規模事業に止まることが多い。

今年の中小企業白書でも、小規模事業者の生産性の低さが指摘されていましたが、事業者として安定するためには、ある程度の規模が必要になってきます。

何しろ、少数の売れっ子タレントに頼るのは経営としてリスクが高いわけです。

できれば本業で規模拡大したい(つまり、人気タレントを複数抱えたい)でしょうが、タレントの発掘、育成は、そう簡単なことではないようで、工業製品を複製するようにはいきません。

多角化展開を志向するも、2、3の事業ではダメ


そこで芸能事務所が試みるのは、周辺事業への多角化展開です。

本業に関連する事業(例えば、イベント企画、著作権管理、出版、音楽、映像制作など)に展開していくことで、規模拡大を目指します。

本来、多角化は成功確率が低い戦略ですが、それでも規模拡大のためには、背に腹は代えられないということなのでしょう。

かくして小規模なのに、複数事業を手掛ける会社が多くなるという現象になります。

しかも厄介なのは、2つ3つの多角化ではあまり効果がなく、というかむしろ生産性を低下させてしまうというデータがあることです。

多角化の進行度合いと利益率には一定の相関関係がある。多角化により事業の数が2、3業種に増えた場合、芸能事務所の専業だったときと比べて利益率が低い。しかし、多角化によって事業の数が4つ以上に増えると再び利益率が高くなる。

なんと、事業を4つ以上持たなければ、生産性が上がらないのです。

芸能事務所の経営が厳しい理由


一人二人のタレントでは、安定しない。

かといって、複数の売れっ子タレントを抱えるための方法論はない。

そこで周辺事業への多角化展開を試みるも、4つ以上の事業を成功させなければ、生産性が上がらず、むしろ逆効果…

という姿が浮かび上がります。

こうしてみると、芸能事務所というのは、通常のセオリーが通用しない厳しいビジネスなんだなあと思いますね。

どんなビジネスでも厳しいのは同じ、とはいえ、特に厳しい世界だと感じます。